JP3660820B2 - 電機機器コイルの絶縁構造及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高温や高圧力の環境下、又は高湿度、放射線、化学薬品等の充満する特殊な雰囲気下、即ち通常の大気雰囲気とは異なる特殊環境下で使用される電機機器のコイルの絶縁構造及びその製造方法、特にこのような特殊環境下で使用される電動機のコイルの絶縁構造として好適な絶縁構造及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、上記のような特殊環境下において使用される代表的な電機機器には、キャンドモータがある。通常モータコイルに使用される絶縁材料はエポキシ樹脂等の有機材料で、この種の有機材料を上記のような特殊環境下で使用すると短時間に材料の著しい劣化が促進し、長期間安定して使用することはできない。そのためキャン材でコイルを含む絶縁物を覆い、絶縁物が上記特殊環境に直接接することが無いように構成したモータをキャンドモータと称している。
【0003】
一般にキャンドモータの固定子の製造は、先ず固定子コイルを巻回した固定子鉄心をフレームに相当する円筒に挿入し固定する。次いで、円筒両端に側板を嵌合させ該側板の外周部と円筒両端を溶接する。更に、固定子鉄心の内径に相当する円筒キャン材を該固定子鉄心の内径に挿入し、円筒キャン材の内側から固定子鉄心方向に圧力をかけ、所謂拡管技術により円筒キャン材を固定子鉄心に嵌合させ、その後円筒キャン材の両端部を円筒両端に溶接固定した側板の内周部に溶接する。
【0004】
以上の工程で、固定子鉄心及び該固定子鉄心に巻回された固定子コイルはその外周をフレーム、両端を側板、内周をキャン材で覆われて外部とは完全に遮断され、外部雰囲気の影響による絶縁劣化は皆無となるキャンドモータの固定子ができる。
【0005】
ここで、通常の汎用モータとキャンドモータの大きな差異は、キャンドモータはキャンを有することで固定子鉄心と回転子鉄心の間のギャップが増え、モータの電気特性が低下すること。また、キャンドモータは固定子コイルの周囲をフレーム、側板及びキャンで覆われているため、コイルで発生する熱の放熱が低下することである。
【0006】
即ち、ギャップの磁気抵抗は鉄心のそれと比較して極端に大きいため、該ギャップを大きくするということは、磁気抵抗増加によるロスを補うために電気装荷を増やすことが必要になり、そのためモータサイズが大きくなるという問題がある。
【0007】
また、キャンドモータは、コイルを含む絶縁物がフレーム、側板、キャン材で覆われており、コイルで発生する熱はコイルを納めた鉄心、鉄心を固定するフレームを介して該フレーム表面に放出するのみであるから、冷却効率は著しく劣る。この対策として、コイルで発生する熱を効率よくフレームに伝達するため、熱伝導率の優れた樹脂材を空隙部に充填することがなされている。特に大型機、大容量機にはこの種の技術が必要となる。
【0008】
上記樹脂の充填方法はフレームを立て、上部に位置する側板に2個の孔を開けて、該2個の孔にそれぞれパイプを接続し、一方のパイプを通して樹脂を充填することが一般的である。具体的には、一方のパイプにバルブを介して真空ポンプを接続し、もう一方のパイプにはバルブを介して樹脂を満たした漏斗を接続する。次いで、真空ポンプを稼働し、バルブを開けてフレーム、側板及びキャンで囲まれた空間を真空雰囲気としてこれを維持する。この状態でもう一方のバルブを開き、漏斗に充満した樹脂を該フレーム、側板及びキャンで囲まれた空間に導入することで該空間に樹脂を充填する。
【0009】
しかし、ここで用いる樹脂とはエポキシ樹脂等の熱硬化型合成樹脂で、この種の樹脂は液状から加熱によるゲル状を経て完全硬化にいたる。この場合、ゲルに至る過程で、また硬化に至る過程で反応熱を発生し局部的な温度上昇と、その結果として体積膨張を起こし、キャン内部で膨張しようとする応力が発生する。更に、完全硬化後の冷却の過程で収縮しようとするいわゆる硬化収縮による応力がキャン材に直接作用する。
【0010】
例えば、外径50mmのパイプ中に外径10mm、膨張係数9×10-6mm/mm℃のガラス丸棒を配し、この空隙にヤング率34.000kg/cm2、収縮率1.1%、ポアソン比0.49の充填樹脂を充填し、130℃で硬化後、20℃迄冷却したと仮定して収縮応力を計算するとガラス丸棒に実に216kg/cm2もの応力が加わることになる。
【0011】
ここでキャン材はキャンドモータの回転子と固定子の間に介在するもので、モータの特性としてギャップは極力小さいことが望まれており、キャン材そのものには、例えば0.1mmから0.3mm程度の薄板が用いられる。一方、この種のキャン材を使用すれば1.5kg・f/cm2程度の応力で変形することも計算により確認されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
上記のようにキャン材は磁気的には薄いものが望まれるものの物理的には厚いものが望まれる。その結果、固定子と回転子の間のギャップが大きくなって磁気抵抗が増え、これを補うためモータ自体が大きくなるという欠点がある。
【0013】
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、上記特殊環境下でもキャン等でコイルを含む絶縁物を覆うことなく使用できる電機機器コイルの絶縁構造及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため請求項1に記載の発明は、鉄心に挿入されたコイルを電気的に絶縁するため絶縁部を有する電機機器コイルの絶縁構造であって、絶縁部を構成する材料に、ポリテトラフロロエチレン(PTFE)、ポリテトラフロロアルコキシレジン(PFA)、フロリネイティドエチレンプロピレンコーポリマー(FEP)、エチレンテトラフロロエチレンコーポリマー(ETFE)、ポリクロロトリフロロエチレンコーポリマー(CTFE)の単体材料又はその組み合わせ材料である熱可塑性絶縁材を用い、絶縁部は、コイルを構成する導体を熱可塑性絶縁材で直接覆う素線絶縁部を備え、絶縁部の熱可塑性絶縁材を溶融一体化したことを特徴とする。
【0015】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電機機器コイルの絶縁構造であって、素線絶縁部は、導体の外周に熱可塑性絶縁材で構成されたテープを巻いて構成されることを特徴とする。
【0016】
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の電気機器コイルの絶縁構造であって、素線絶縁部の外周に熱可塑性絶縁材で構成されたテープを巻いて構成される耐地絶縁部を設けたことを特徴とする。
【0017】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電機機器コイルの絶縁構造であって、組み合わせ材料は融点の異なる材料の組み合わせであり、該組み合わせ材料の融点の低い材料を溶融させ、融点の高い材料を溶融させないことを特徴とする。
【0018】
また、請求項5に記載の発明は、鉄心に挿入したコイルを電気的に絶縁するための絶縁部を有する電機機器コイルの絶縁構造製造方法であって、絶縁部を構成する材料に、ポリテトラフロロエチレン(PTFE)、ポリテトラフロロアルコキシレジン(PFA)、フロリネイティドエチレンプロピレンコーポリマー(FEP)、エチレンテトラフロロエチレンコーポリマー(ETFE)、ポリクロロトリフロロエチレンコーポリマー(CTFE)の単体材料又はその組み合わせ材料である熱可塑性絶縁材を用い、絶縁部としてコイル を構成する導体を熱可塑性絶縁材で直接覆う素線絶縁部を備えた電機機器コイルを製作する工程、電機機器コイルを電機機器の鉄心に挿入する工程、鉄心に挿入された電機機器コイルを該鉄心と共に熱を加え絶縁部の熱可塑性絶縁材を溶融一体化する工程からなることを特徴とする。
【0019】
また、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の電機機器コイルの絶縁構造製造方法であって、熱可塑性絶縁材は融点の異なる熱可塑性絶縁材の組み合わせからなり、融点の低い材料の溶融温度で該融点の低い材料を溶融させると共に、融点の高い材料は溶融させない工程を有することを特徴とする。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態例を説明する。
〔実施形態例1〕
図1及び図2は本発明の電機機器コイルの絶縁構造を具備する高圧モータの型巻きコイルの構造例を示す断面図である。図1及び図2において、8は固定子鉄心9に設けた鉄心スロットであり、該鉄心スロット8内にはコイルを電気的に絶縁するための絶縁部が設けられている。該絶縁部はコイルを構成する導体1の外周を覆う素線絶縁部2、該素線絶縁部2と素線絶縁部2の間に位置する層間絶縁部3、該素線絶縁部2と層間絶縁部3の外周を覆う耐地絶縁部4、耐地絶縁部4と耐地絶縁部4の間に位置する相間絶縁部5、耐地絶縁部4の外周と鉄心スロット8の内周に位置するスロット絶縁部6からなる。
【0021】
上記素線絶縁部2、層間絶縁部3、耐地絶縁部4、相間絶縁部5及びスロット絶縁部6を構成する材料に熱可塑性絶縁材を用い、熱可塑性絶縁材を溶融一体化して絶縁部を構成している。熱可塑性絶縁材としては、ポリテトラフロロエチレン(PTFE)、ポリテトラフロロアルコキシレジン(PFA)、フロリネイティドエチレンプロピレンコーポリマー(FEP)、エチレンテトラフロロエチレンコーポリマー(ETFE)、ポリクロロトリフロロエチレンコーポリマー(CTFE)の単体材料又はその組み合わせ材料を用いる。以下、素線絶縁部2、層間絶縁部3、耐地絶縁部4、相間絶縁部5及びスロット絶縁部6からなる絶縁構造の製造例を説明する。
【0022】
コイル材料となる2mm×5mmの断面積を有する導体1の外周に素線絶縁部2を形成するために0.08mm厚さの未焼性ポリテトラフロロエチレン(PTFE)のテープを1/2重ね巻で2回巻いてテフロン絶縁電線とする。該テフロン絶縁電線を規定の亀甲形状に形成してモータの固定子コイルとする。なお、固定コイルにするときに導体1を規定長さで切断するがこの時、PTFEのテープがほつれるのを防止するため、導体1の切断部に熱風を当て、PTFEのテープを熱溶融させて局部的に溶融接着する。
【0023】
また、固定子コイルに成型する過程で層間(素線絶縁部2と素線絶縁部2の間)に層間絶縁部3を形成するため0.1mmの厚さのテフロン処理ガラスクロスを短冊状に切断して挿入する。次いで、固定子コイルの耐地絶縁部4を形成するため0.08mm厚さのPTFEのテープを2/3重ね巻で3回巻いた。このテープの巻端部は上記と同様熱風により一時的に溶融接着する。
【0024】
一方、固定子鉄心9の鉄心スロット8には予めスロット絶縁部6を形成するため0.18mm厚さのテフロン処理ガラスクロスを鉄心スロット8の形状に合わせてU字型に成型して鉄心スロット8に挿入する。該鉄心スロット8内に上記耐地絶縁部4を形成するためPTFEのテープを巻回した固定子コイル10を順次挿入し、この固定子コイル10、10を楔7で鉄心スロット8内に固定する。なお、固定子コイル10、10を鉄心スロット8内に挿入する過程で各層の固定子コイル10のエンド部分には相間絶縁部5を形成するため0.18mm厚さのテフロン処理ガラスクロスを挿入し、各相の固定子コイル10が直接接触しないようにした。
【0025】
上記のようにして、固定子鉄心9の鉄心スロット8に納めた固定子コイル10、10を固定子鉄心9と共に370℃の恒温槽で5時間加熱し、その後恒温槽の熱源を断ち該恒温槽の中で除冷して固定子組立を完了する。上記370℃の恒温槽で固定子鉄心9と共に固定子コイル10、10を加熱することにより、素線絶縁部2及び耐地絶縁部4として巻回したPTFEのテープ、層間絶縁部3、相間絶縁部5及びスロット絶縁部6として挿入したテフロン処理ガラスクロスは溶融し一体化して導体1を電気的に絶縁する絶縁部を形成する。
【0026】
上記のようにして固定子コイル10、10を収容した固定子鉄心(固定組立体)を80℃の温水槽の温水に浸漬し導体1と水温中に3.000Vの交流電圧を印加して絶縁物中に流れる電流の変化を2週間に亘り観測したが有意差を見いだせる程の変化は認められなかった。
【0027】
上記のような絶縁部を有するモデルコイルを1.000ppm以上の水分を有する絶縁油と共に圧力容器に入れ、この圧力容器を300℃の恒温槽に入れ圧力容器内に80kg・f/cm2の圧力を加えてこの状態を保持、2週間放置した。圧力容器に入れる前後において、固定子コイル10の表面に多少の変色は認められたものの、固定子コイル10の絶縁抵抗に有意差は認められなかった。
【0028】
上記のように素線絶縁部2及び耐地絶縁部4をPTFEのテープを巻回してテフロン絶縁とし、層間絶縁部3、相間絶縁部5及びスロット絶縁部6にテフロン処理ガラスクロスを用い、加熱溶融して一体化することにより、テフロンは化学的にも安定しており、アンモニア等の腐食性ガス雰囲気中でも絶縁性能に変化は認められない絶縁構造が得られる。
【0029】
また、導体1にPTFEの熱可塑性絶縁材テープを巻コイルに形成するが、形成時の応力はテープのずれにより緩和することが可能で、さらにこの後熱溶融させて該テープを密着させるため固定子コイル10になった後のテープの残留応力は殆ど解除される。従ってクリープ等によるテープの劣化は皆無となる。
【0030】
なお、上記例ではPTFEのテープを用いた例を示したが、ポリテトラフロロアルコキシレジン(PFA)、フロリネイティドエチレンプロピレンコーポリマー(FEP)、エチレンテトラフロロエチレンコーポリマー(ETFE)、ポリクロロトリフロロエチレンコーポリマー(CTFE)の単体材料又はこれらとPTFEを含む組み合わせ材料を用いても同様な結果が容易に予測できる。
【0031】
〔実施形態例2〕
図3は本発明の電機機器コイルの絶縁構造を具備する低圧モータの乱巻きコイルの構造例を示す断面図である。8は固定子鉄心9に設けた鉄心スロットであり、該鉄心スロット8内には固定子コイルを電気的に絶縁するための絶縁部が設けられている。該絶縁部はコイルを構成する導体1の外周を覆う素線絶縁部2、相間絶縁部5、スロット絶縁部6からなる。
【0032】
上記素線絶縁部2、相間絶縁部5及びスロット絶縁部6を構成する材料に熱可塑性絶縁材を用い、該熱可塑性絶縁材を溶融一体化している。熱可塑性絶縁材としては、上記実施形態例1と同じく、ポリテトラフロロエチレン(PTFE)、ポリテトラフロロアルコキシレジン(PFA)、フロリネイティドエチレンプロピレンコーポリマー(FEP)、エチレンテトラフロロエチレンコーポリマー(ETFE)、ポリクロロトリフロロエチレンコーポリマー(CTFE)の単体材料又はその組み合わせ材料を用いる。素線絶縁部2、相間絶縁部5及びスロット絶縁部6からなる絶縁構造の製造例を説明する。
【0033】
コイル材料となる直径1.2mmのアルミニウム線に素線絶縁部2を形成するために0.02mm厚さのPTFEテープを2/3重ね巻で1回巻してテフロン絶縁電線とした。このテフロン絶縁電線を規定の小判形状に形成して乱巻き固定子コイル10とした。この固定子コイル10を上記実施形態例1の場合と同様、スロット絶縁部6を形成した固定子鉄心9の鉄心スロット8に順次納め楔7で固定した。この時、1つの鉄心スロット8中に相の異なる固定子コイル10、10が上と下に挿入されるため、上下の固定子コイル10、10が直接接触することがないように、上下の固定子コイル10、10の間に相間絶縁部5を設けた。なお、相間絶縁部5の材料は上記実施形態例1と同じである。
【0034】
固定子鉄心9に納めた固定子コイル10、10を固定子鉄心9と共に370℃の恒温槽で3時間加熱し、その後恒温槽の熱源を断ち該恒温槽の中で除冷した固定子組立を完了した。上記370℃の恒温槽で固定子鉄心9と共に固定子コイル10、10を加熱することにより、素線絶縁部2、相間絶縁部5、スロット絶縁部6は溶融し一体化して固定子コイル10、10を電気的に絶縁する絶縁部を形成する。
【0035】
上記のようにした固定子と別途製造した回転子等を組み合わせモータとし、該モータの内部に80℃の温水を充満させ、これを循環させてモータを稼働したが、大気雰囲気中と同様に正常に稼働した。また、稼働前後における絶縁特性の変化は認められなかった。
【0036】
次いで、モータ内部にアンモニアを充満させアンモニア雰囲気中で稼働させた。アンモニアを強制的に循環させるため、時に液体、時にガス体とその時々によって状態が変わり固定子コイルに接触したが、稼働前後における絶縁特性に変化は認められなかった。
【0037】
なお、上記実施形態例ではPTFEのテープを用いた例を示したが、実施形態例1と同様、ポリテトラフロロアルコキシレジン(PFA)、フロリネイティドエチレンプロピレンコーポリマー(FEP)、エチレンテトラフロロエチレンコーポリマー(ETFE)、ポリクロロトリフロロエチレンコーポリマー(CTFE)の単体材料又はこれらとPTFEを含む組み合わせ材料を用いても同様な結果が得られることが容易に予測できる。
【0038】
また、上記実施形態例ではモータの固定子を例に説明したが本発明の絶縁構造はこれに限定されるものではなく、高温や高圧力の環境下、又は高湿度、放射線、化学薬品等の充満する特殊な雰囲気下で使用される電機機器の鉄心に挿入されたコイルを電気的に絶縁するための絶縁構造として広く利用することができる。
【0039】
また、上記実施形態例では、熱可塑性絶縁材からなるテープを巻き付け溶融一体化して絶縁部を形成する例を説明したが、溶融一体化は必ずしも必要ではなく、場合によっては熱可塑性絶縁材からなるテープを巻き付け溶融とないで絶縁部としてもよい。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように、各請求項に記載された発明によれば下記のような優れた効果が得られる。
【0041】
請求項1乃至4に記載の各発明によれば、絶縁部を構成する材料に熱可塑性絶縁材を用い、該熱可塑性絶縁材を溶融一体化したので、導電性を有する液中でも電機機器コイルの優れた絶縁性を維持できる絶縁構造を提供できる。
【0042】
請求項1に記載の発明によれば、熱可塑性絶縁材にポリテトラフロロエチレン(PTFE)、ポリテトラフロロアルコキシレジン(PFA)、フロリネイティドエチレンプロピレンコーポリマー(FEP)、エチレンテトラフロロエチレンコーポリマー(ETFE)、ポリクロロトリフロロエチレンコーポリマー(CTFE)の単体材料又はその組み合わせ材料を用いるので、アンモニア等の腐食性ガス雰囲気中でも電機機器コイルの優れた絶縁性を維持できる。
【0043】
請求項5、6に記載の各発明によれば上記のように優れた絶縁性を有する電機機器コイルの絶縁構造を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の電機機器コイルの絶縁構造を具備する高圧モータの型巻きコイルの構造例を示す断面図である。
【図2】 本発明の電機機器コイルの絶縁構造を具備する高圧モータの型巻きコイルの構造例を示す断面図である。
【図3】 本発明の電機機器コイルの絶縁構造を具備する低圧モータの乱巻きコイルの構造例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 導体
2 素線絶縁部
3 層間絶縁部
4 耐地絶縁部
5 相間絶縁部
6 スロット絶縁部
7 楔
8 鉄心スロット
9 固定子鉄心
10 固定子コイル
Claims (6)
- 鉄心に挿入されたコイルを電気的に絶縁するため絶縁部を有する電機機器コイルの絶縁構造であって、
前記絶縁部を構成する材料に、ポリテトラフロロエチレン(PTFE)、ポリテトラフロロアルコキシレジン(PFA)、フロリネイティドエチレンプロピレンコーポリマー(FEP)、エチレンテトラフロロエチレンコーポリマー(ETFE)、ポリクロロトリフロロエチレンコーポリマー(CTFE)の単体材料又はその組み合わせ材料である熱可塑性絶縁材を用い、
前記絶縁部は、前記コイルを構成する導体を前記熱可塑性絶縁材で直接覆う素線絶縁部を備え、
前記絶縁部の熱可塑性絶縁材を溶融一体化したことを特徴とする電機機器コイルの絶縁構造。 - 請求項1に記載の電機機器コイルの絶縁構造であって、
前記素線絶縁部は、前記導体の外周に前記熱可塑性絶縁材で構成されたテープを巻いて構成されることを特徴とする電機機器コイルの絶縁構造。 - 請求項2に記載の電気機器コイルの絶縁構造であって、
前記素線絶縁部の外周に前記熱可塑性絶縁材で構成されたテープを巻いて構成される耐地絶縁部を設けたことを特徴とする電気機器コイルの絶縁構造。 - 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電機機器コイルの絶縁構造であって、
前記組み合わせ材料は融点の異なる材料の組み合わせであり、該組み合わせ材料の融点の低い材料を溶融させ、融点の高い材料を溶融させないことを特徴とする電機機器コイルの絶縁構造。 - 鉄心に挿入したコイルを電気的に絶縁するための絶縁部を有する電機機器コイルの絶縁構造製造方法であって、
前記絶縁部を構成する材料に、ポリテトラフロロエチレン(PTFE)、ポリテトラフロロアルコキシレジン(PFA)、フロリネイティドエチレンプロピレンコーポリマー(FEP)、エチレンテトラフロロエチレンコーポリマー(ETFE)、ポリクロロトリフロロエチレンコーポリマー(CTFE)の単体材料又はその組み合わせ材料である熱可塑性絶縁材を用い、前記絶縁部として前記コイルを構成する導体を前記熱可塑性絶縁材で直接覆う素線絶縁部を備えた電機機器コイルを製作する工程、
前記電機機器コイルを電機機器の鉄心に挿入する工程、
前記鉄心に挿入された電機機器コイルを該鉄心と共に熱を加え前記絶縁部の熱可塑性絶縁材を溶融一体化する工程からなることを特徴とする電機機器コイルの絶縁構造製造方法。 - 請求項5に記載の電機機器コイルの絶縁構造製造方法であって、
前記熱可塑性絶縁材は融点の異なる熱可塑性絶縁材の組み合わせからなり、融点の低い材料の溶融温度で該融点の低い材料を溶融させると共に、融点の高い材料は溶融させない工程を有することを特徴とする電機機器コイルの絶縁構造製造方法。
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