JP3660349B2 - 車椅子の姿勢制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車椅子の姿勢制御装置に関し、さらに詳しくは、左右各1組の後輪と前輪とで枠体を担持して移動する車椅子の進路の左側または右側へ傾斜する横傾斜路面における横傾斜姿勢を水平姿勢に制御する装置に関するものである。
従来の技術としては、例えば、特許文献1に開示された、コントロールキャスタ車椅子における横傾斜のある路面での操作性の改善に係る発明、特許文献2に開示された、操作者により加えられる力の一部を補助する動力補助手段を備えた移動装置に係る発明、特許文献3に開示された、電動機付き走行補助者および車椅子を含む自走者において、道路ならびに屋内の段差や溝形の凹凸面に片側の車輪を乗り入れるとき、横転を防止する車輪懸架装置に係る考案、特許文献4に開示された、路面の傾斜度合に応じて座席を常に水平な状態に維持することができる座席の水平保持装置に係る発明などが知られている。
これらの発明について、各々の引用文献にもとづいて以下のとおり説明する。 なお、以下の説明においては、各々の引用文献に記載された符号をそのまま用いるために、本発明の符号と一部重複するが、各々の引用文献の符号は本欄の「背景技術」および次欄の「発明が解決しようとする課題」の欄のみに限定して適用するものである。
まず、特許文献1の発明は、その公報の図1〜図4に示すように、左右一対のフロントパイプ1,1の各下端に、キャスタ車16のヨーク17を設けた可動アーム14が、大車輪11の進行方向に対して左右方向に各々傾動自在に軸着されている。 この可動アーム14に対してそれぞれ傾動機構22が設けられ、さらに可動アーム14を所定角度傾動させる一つのコントローラ25が設けられている。
これらのコントローラ25とそれぞれの傾動機構22との間にはインナワイヤ24を設け、このインナワイヤ24の牽引力により傾動機構22を作動させる構成である。 そして、例えば右傾斜の路面に車椅子が入った時には、同公報の図6(A)に示すように、コントローラ25の操作レバー26を左側に回動すると、同公報の図5(B)に示すように、左右のキャスタ車16,16は左側に傾斜させられるので、車体を左傾斜の路面に流されないように作用する。 左傾斜の場合も同様である。
次いで、特許文献2の発明は、その公報の図1,図2に示すように、操作者が車椅子10の外輪13r,13lに加える回転力により各々の車輪12r,12lを回転させるとともに、車輪12r,12lの各々に装着された動力補助手段30r,30lのモータMr,Mlによって、操作者が外輪13r,13lに加える回転力の一部を補助するようにしたものである。
これらの動力補助手段30r,30lを制御するために、操作者が外輪13r,13lに加える回転力を各々検出するトルクセンサ70r,70l、移動方向の傾斜を検出する第1の傾斜センサ80、移動方向に対して直交方向の傾斜を検出する第2の傾斜センサ90、各モータMr,Mlの回転速度を各々検出する速度センサ110r,110l、各センサから得られる情報に基づいて動力補助手段30r,30lのモータMr,Mlを別々に制御する制御手段100などを備えている。
そして、例えば右傾斜の路面に車椅子10が入った時には、第2の傾斜センサ90により車椅子10が右に傾いたことを検知し、トルクセンサ70r,70lにより左の車輪12lよりも右の車輪12rに大きい回転力が与えられたことを検知したときは、右モータMrを左モータMlよりも高トルクで回転させて、両輪12r,12lの速度差が生じないように、特に左の車輪12lが進み過ぎないように制御する。 左傾斜の場合も同様である。
次いで、特許文献3の発明は、その公報の図1〜図3に示すように、車体1の前方下位に支持板2が懸装され、この支持板2の中途と下端とにセンタピン3,3が並設されている。 これらセンタピン3,3により、上下一対の揺動枠4,4の中央位が、それぞれ天秤形に軸支されている。 これら揺動枠4,4の両端には隔板5,5が、ピン軸6,6により、センタピン3,3の上下間隔と等間隔で平行リンク形にピン連結されている。
その隔板5,5の両外側位に設けられた車軸受7,7には車軸8,8が軸支され、その外側端位に駆動前輪9,9を楔止して構成するものである。 そして、同公報の図4,図5に示すように、片方の駆動前輪9が段差に乗り上げて揺動枠4,4が傾斜しても、支持板2および車体1を後輪11,11の支持により、傾斜することなく、段差高さの半分の鉛直変位にとどめるようにしたものである。
次いで、特許文献4の発明は、その公報の図1,図2,図4に示すように、軸支体1の軸受部2a,2bの下部近傍に、ワイヤーなどの紐状物8が緊張固定されている。 その紐状物8の中間部位8aを、基台フレーム4上に設けた牽引手段10の駆動モータ14,駆動軸19により緊張方向に往復させることで、座席フレーム5は、図4に示す枢支軸6を中心にして揺動する。
また、座席フレーム5の両揺動側部5c,5dには、ワイヤーなどの紐状物9が緊張固定されている。 その紐状物9の中間部位9aを、軸支体1上に設けた牽引手段11の駆動モータ15、駆動軸20により緊張方向に往復させることで、座席フレーム5は、図2に示す枢支軸7を中心にして揺動する。 また、電源12と、座席フレーム5の傾きを検出する傾斜センサ13と、各駆動モータ14,15を制御する制御部を備えて構成する。
そして、車椅子が、同公報の図3のように傾斜した路面Gに至ると基台フレーム4が傾き、傾斜センサ13からの傾斜信号にもとづく制御部の指令により駆動モータ15が回動制御され、紐状物9の中間部位9aを傾斜の低い方へスライド移動させる。 すると、枢支軸7を支点に、シーソーのように高い方の座席フレーム5の揺動側部5cが、基台フレーム4に対して角度αになるまで下げられ、座席フレーム5とともに座席22を水平状態に保持するようにしたものである。
同様に、車椅子が、同公報の図5のように傾斜した路面Gに至ると基台フレーム4が傾き、傾斜センサ13からの傾斜信号にもとづく制御部の指令により駆動モータ14が回動制御され、紐状物8の中間部位8aを傾斜の低い方へスライド移動させる。 すると、枢支軸6を支点に、シーソーのように高い方の軸支体1の軸受部2aが、基台フレーム4に対して角度βになるまで下げられ、座席フレーム5とともに座席22を水平状態に保持するようにしたものである。
特開平11−363号公報(第2−4頁、図1−図6) 特開2000−14714号公報(第2−3頁、図1−図2) 実用新案登録第3081809号公報(第5−7頁、図1−図5) 特開2002−263144号公報(第3−4頁、図1−図5)
車椅子が日常的に通行する歩道または歩道のない道路の路肩部は、排水性の向上を図るために、道路の中心に対して端側が低くなるように進路の左側または右側へ横傾斜している。 このように横傾斜した歩道または路肩部を二足の徒歩や二輪の自転車などで通行する際には、直立姿勢への自立制御が容易にできるので、その傾斜角度は殆ど通行の障害にならない。
ところが、車椅子で通行する際には、歩道または路肩部の横傾斜路面と平行な左側または右側へ横傾斜し、車椅子の重量と搭乗者の体重との和の鉛直荷重に対して、横傾斜路面と直角な下方への直角分力と、横傾斜路面と平行な低い方向への平行分力とが生じる。 そして、この平行分力により車椅子は、車体または車輪の左右に均等な推進力を加えて前進または後退させると、当該車椅子は直進せずに傾いた低い方向へ蛇行する。
この蛇行を回避すべく直進させるには、傾いた車椅子の低い方の車体または車輪に加える推進力を、高い方の車体または車輪に加える推進力よりもかなり大きくしなければならない。 例えば、発明者らが横傾斜角度別に実測した各推進力は次のとおりである。 なお、測定条件は、横傾斜路面は進路に向かって左側が下降する下記角度で各々傾斜し(進路の前後方向は傾斜なし)、重量が15.6kgの車椅子に体重が52kgの搭乗者を乗せて、路面上には路面の凹凸を均一化するために木版を介在させ、左右の推進力をばね秤で各々測定した。
平坦路(横傾斜角度が0度)の場合は、左右ともに進行方向へ約1kgずつの推進力である。 これに対して、横傾斜角度が1度の場合は、左側(低い方)が進行方向へ約3kg、右側(高い方)が進行反対側へ約1kgの推進力を要し、左右で約4kgの不均衡が生じる。 また、横傾斜角度が2.8度の場合は、左側が進行方向へ約5.4kg、右側が進行反対側へ約1.6kgの推進力を要し、左右で約7kgの不均衡が生じる。 これらの不均衡な推進力は、介助する健常者でも相当の負担になり、ましてや、障害者や病人の搭乗者自身が操作する場合には、苦痛を伴うか、または、不可能な推進力である。 なお、実際の路面においては、横傾斜角度が2〜3度の路面が多く、中には5度を超える横傾斜路面も実在する。
ところが、特許文献1の発明は、可動アーム14,14を各々のヨーク17,17およびキャスタ車16,16とともに路面の傾斜方向と反対側に傾斜させ、かつ、鉛直にするものであるから、キャスタ車16,16の各回動軸は水平になるが、車体の姿勢は傾斜したままである。 したがって、横傾斜路面と直角な直角分力の他に、傾いた車椅子の低い方向に横傾斜路面と平行な平行分力が付与されることは解消されていない。
その結果、この平行分力によりキャスタ車16,16の走行軌跡は傾斜面に沿って下降するので、車椅子は、車体または車輪の左右に均等な推進力を加えて前進または後退させると、当該車椅子は直進せずに傾いた低い方向へ蛇行するという問題があった。 また、この蛇行を避けて直進させるには、傾いた車椅子の低い方の車体または車輪に加える推進力を、高い方の車体または車輪に加える推進力よりもかなり大きくしなければならないという問題があった。
次いで、特許文献2の発明は、各種センサからの情報に基づいて動力補助手段30r,30lのモータMr,Mlを別々に制御するものであるから、車椅子10が停車中においては、トルクセンサ70r,70lや速度センサ110r,110lからの電気的な情報を取り込むことができないので、動力補助手段30r,30lのモータMr,Mlを適正に制御できないという問題があった。
すなわち、横傾斜路面内における車椅子10の姿勢は傾斜したままであるから、横傾斜路面と直角な直角分力の他に、傾いた車椅子の低い方向に横傾斜路面と平行な平行分力が付与され、車椅子10が停車中においては、この平行分力によりキャスタ14r,14lの走行軌跡は傾斜面に沿って下降するという問題があった。 また、構成要素が多く構造が複雑であるから、使用中の車椅子を利用して改善することが困難で、自家用への普及が困難であるという問題があった。
次いで、特許文献3の発明は、支持板2と車体1とは後輪11,11に支持されているので、片方の駆動前輪9が段差に乗り上げて揺動枠4,4が傾斜しても、支持板2と車体1とは傾斜しない。 しかしながら、車椅子が横傾斜路面に差し掛かると、車体1は後輪11,11に支持されているので、車体1の姿勢は横傾斜路面と平行に傾斜したままである。 したがって、横傾斜路面と直角な直角分力の他に、傾いた車椅子の低い方向に横傾斜路面と平行な平行分力が付与されることは解消されていない。
その結果、この平行分力により車椅子の走行軌跡は傾斜面に沿って下降するので、車椅子は、左右の駆動後輪13,13に均等な推進力を加えて駆動させると、当該車椅子は直進せずに傾いた低い方向へ蛇行するという問題があった。 また、この蛇行を避けて直進させるには、傾いた車椅子の低い方の駆動後輪13に加える推進力を、高い方の駆動後輪13に加える推進力よりもかなり大きくしなければならないという問題があった。
次いで、特許文献4の発明は、軸支体1や牽引手段10,11などの構成要素が多く構造が複雑であるとともに、基台フレーム4と座席フレーム5との間の高さが異常に高くなるので、使用中の車椅子を利用して改善することが困難で、自家用への普及が困難であるという問題があった。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、横傾斜路面においてキャスタ車軸など車椅子の部分的には水平になるが、車体の姿勢は傾斜したままであるため、傾いた車椅子の低い方向に横傾斜路面と平行な平行分力が付与され、車椅子は直進せずに傾いた低い方向へ蛇行する問題、この蛇行を避けるには、傾いた車椅子の低い方に加える推進力を高い方よりもかなり大きくしなければならない問題、構成要素が多く構造が複雑または基台フレームと座席フレームとの間の高さが異常に高くなるため、使用中の車椅子を利用して改善することが困難であるという問題などを解決しようとするものである。
上記課題を解決するために、本発明のうち請求項1に係る発明は、左右各1組の後輪と前輪とで枠体を担持して移動する車椅子の進路の左側または右側へ傾斜する横傾斜路面における横傾斜姿勢を水平姿勢に制御する装置であって、前記後輪が各々回動可能に枢着された左右各1個の滑動子と、枠体の左右に立設された各々の後輪側支柱に取着され前記滑動子を上下へ移動案内可能な案内溝が各々形成された左右各1個の滑座体と、これら滑座体の各下端に設けられ前記滑動子の各々の下降端位置を位置決め可能な左右各1個の下蓋と、前記滑座体の各上端に設けられた左右各1個の上蓋と、前記滑動子と前記上蓋との間の前記滑座体内に各々介装され前記滑動子を前記下蓋に向かって各々付勢可能な左右各1個の後輪側ばねと、これら後輪側ばねの付勢力に抗して前記滑動子を前記滑座体の上方へ左右別々に引上げ可能な左右各1組の引上げ手段とを備えて、車椅子が横傾斜路面を通行する際には傾斜上側の滑動子をその引上げ手段により上方へ引上げることで、当該滑動子に対して滑座体を相対的に下方へ移動させて、横傾斜姿勢の車椅子を水平姿勢に制御するようにしたものである。
このように構成された請求項1の発明によれば、左右の後輪が各々枢着された左右各1個の滑動子と、滑動子を上下へ移動案内可能な案内溝が各々形成された左右各1個の滑座体と、滑動子を滑座体の上方へ左右別々に引上げ可能な左右各1組の引上げ手段とを備えて、車椅子が横傾斜路面を通行する際には傾斜上側の滑動子をその引上げ手段により上方へ引上げることで、当該滑動子に対して滑座体を相対的に下方へ移動させて、横傾斜姿勢の車椅子を水平姿勢に制御するようにしたので、車椅子には横傾斜路面と平行な平行分力が付与されずに直進し、左右均等な推進力で移動操作することができる。 また、構成要素が少なく構造が簡素で、かつ、高さが異常に高くなることもないので、使用中の車椅子を利用して改善することが容易である。
また、請求項2に係る発明の前記各組の引上げ手段は、長桿部と短桿部とで略L字形状に形成されその短桿部の先端部に軸穴が穿孔された調整レバーと、介助者または搭乗者が手動操作可能な位置の枠体に取着され下方に軸穴が穿孔された保持具と、前記調整レバーの軸穴と前記保持具の軸穴とに挿通され前記保持具に前記調整レバーを揺動可能に保持する揺動軸と、任意の位置で直線状または湾曲状に変形可能な線形状に形設され一端が前記調整レバーの長桿部と短桿部との交差部に連結されかつ他端が前記滑動子に連結されたワイヤロープとを各々備えて、傾斜上側の調整レバーの長桿部を手で握ることにより揺動させて、その調整レバーに連結されたワイヤロープを介して滑動子を上方へ引上げるようにしたものである。
このように構成された請求項2の発明によれば、各組の引上げ手段は、短桿部の先端部に軸穴が穿孔された調整レバーと、下方に軸穴が穿孔された保持具と、保持具に調整レバーを揺動可能に保持する揺動軸と、一端が調整レバーの長桿部と短桿部との交差部に連結されかつ他端が前記滑動子に連結されたワイヤロープとを各々備えて、傾斜上側の調整レバーの長桿部を手で握ることにより揺動させて、その調整レバーに連結されたワイヤロープを介して滑動子を上方へ引上げるようにしたので、使用中の車椅子にも容易に取付けることができる。
また、請求項3に係る発明の各前輪の保持部は、各基軸部と連なる各々の股部に前記前輪が各々回動可能に枢着された左右各1個の二股腕と、これら二股腕の各基軸部を上下移動かつ回動可能に挿入可能な下端開口の筒状に形成され枠体の左右に立設された各々の前輪側支柱と平行に着接された左右各1個の支持筒と、前記支持筒内の天壁と前記二股腕の基軸部上面との間に各々介装され前記二股腕を下方に向かって各々付勢可能な左右各1個の前輪側ばねとを備えて、左側または右側の前記滑動子の上下移動に追従して前記二股腕とともに当該前輪を上下移動させるようにしたものである。
このように構成された請求項3の発明によれば、左右の前輪が各々回動可能に枢着された左右各1個の二股腕と、これら二股腕の各基軸部を上下移動かつ回動可能に挿入可能な左右各1個の支持筒と、二股腕を下方に向かって各々付勢可能な左右各1個の前輪側ばねとを備えて、左側または右側の滑動子の上下移動に追従して二股腕とともに当該前輪を上下移動させるようにしたので、車椅子が横傾斜路面を通行する際には、傾斜上側の滑動子を上方へ引上げることで滑座体を相対的に下方へ移動させることと追従して、傾斜上側の前輪を車椅子の上方側へ移動し、車椅子全体を水平に維持することができる。
また、請求項4に係る発明は、左右各1組の後輪と前輪とで枠体を担持して移動する車椅子の進路の左側または右側へ傾斜する横傾斜路面における横傾斜姿勢を水平姿勢に制御する装置であって、前記後輪が各々回動可能に枢着された左右各1個の滑動子と、枠体の左右に立設された各々の後輪側支柱に取着され前記滑動子を上下へ移動案内可能な案内溝が各々形成された左右各1個の滑座体と、これら滑座体の各下端に設けられ前記滑動子の各々の下降端位置を位置決め可能な左右各1個の下蓋と、前記滑座体の各上端に設けられた左右各1個の上蓋と、前記滑動子と前記上蓋との間の前記滑座体内に各々介装され前記滑動子を前記下蓋に向かって各々付勢可能な左右各1個の後輪側ばねと、各基軸部と連なる各々の股部に前記前輪が各々回動可能に枢着された左右各1個の二股腕と、これら二股腕の各基軸部を上下移動かつ回動可能に挿入可能な下端開口の筒状に形成され枠体の左右に立設された各々の前輪側支柱と平行に着接された左右各1個の支持筒と、これら支持筒内の天壁と前記二股腕の基軸部上面との間に各々介装され前記二股腕を下方に向かって各々付勢可能な左右各1個の前輪側ばねと、前記後輪側ばねの付勢力に抗して前記滑動子と前記前輪側ばねの付勢力に抗して前記二股腕とを左右別々に上方へ引上げる左右各1組の引上げ手段とを備えて、車椅子が横傾斜路面を通行する際には傾斜上側の滑動子と二股腕とをその引上げ手段により上方へ引上げることで、当該滑動子に対して滑座体を相対的に下方へ移動させるとともに、当該二股腕に対して支持筒を相対的に下方へ移動させて、横傾斜姿勢の車椅子を水平姿勢に制御するようにしたものである。
このように構成された請求項4の発明によれば、左右の後輪が各々枢着された左右各1個の滑動子と、滑動子を上下へ移動案内可能な案内溝が各々形成された左右各1個の滑座体と、滑動子を滑座体の上方へ左右別々に引上げ可能な左右各1組の引上げ手段と、左右の前輪が各々回動可能に枢着された左右各1個の二股腕と、これら二股腕の各基軸部を上下移動かつ回動可能に挿入可能な左右各1個の支持筒と、二股腕を下方に向かって各々付勢可能な左右各1個の前輪側ばねとを備えて、車椅子が横傾斜路面を通行する際には傾斜上側の滑動子をその引上げ手段により上方へ引上げることで、当該滑動子に対して滑座体を相対的に下方へ移動させて、横傾斜姿勢の車椅子を水平姿勢に制御するとともに、傾斜上側の滑動子を上方へ引上げることと追従して傾斜上側の前輪を車椅子の上方側へ移動するようにしたので、車椅子には横傾斜路面と平行な平行分力が付与されずに直進し、左右均等な推進力で移動操作することができる。 また、構成要素が少なく構造が簡素で、かつ、高さが異常に高くなることもないので、使用中の車椅子を利用して改善することが容易である。
また、請求項5に係る発明の前記各組の引上げ手段は、長桿部と短桿部とで略L字形状に形成されその短桿部の先端部に軸穴が穿孔された調整レバーと、介助者または搭乗者が手動操作可能な位置の枠体に取着され下方に軸穴が穿孔された保持具と、前記調整レバーの軸穴と前記保持具の軸穴とに挿通され前記保持具に前記調整レバーを揺動可能に保持する揺動軸と、任意の位置で直線状または湾曲状に変形可能な線形状に形設され一端が前記調整レバーの長桿部と短桿部との交差部に連結されかつ他端が中継片に連結された共通ワイヤロープと、任意の位置で直線状または湾曲状に変形可能な線形状に形設され一端が前記中継片に連結されかつ他端が前記滑動子に連結された後輪側ワイヤロープと、任意の位置で直線状または湾曲状に変形可能な線形状に形設され一端が前記中継片に連結されかつ他端が前記二股腕に連結された前輪側ワイヤロープとを各々備えて、傾斜上側の調整レバーの長桿部を手で握ることにより揺動させて、その調整レバーに連結された共通ワイヤロープを介して後輪側ワイヤロープに連結された滑動子と前輪側ワイヤロープに連結された二股腕とを上方へ引上げるようにしたものである。
このように構成された請求項5の発明によれば、短桿部の先端部に軸穴が穿孔された調整レバーと、下方に軸穴が穿孔された保持具と、保持具に調整レバーを揺動可能に保持する揺動軸と、一端が調整レバーの長桿部と短桿部との交差部に連結されかつ他端が中継片に連結された共通ワイヤロープと、一端が中継片に連結されかつ他端が滑動子に連結された後輪側ワイヤロープと、一端が中継片に連結されかつ他端が二股腕に連結された前輪側ワイヤロープとを各々備えて、傾斜上側の調整レバーの長桿部を手で握ることにより揺動させて、その調整レバーに連結された共通ワイヤロープを介して後輪側ワイヤロープに連結された滑動子と前輪側ワイヤロープに連結された二股腕とを上方へ引上げるようにしたので、使用中の車椅子にも容易に取付けることができる。
また、請求項6に係る発明の前記各組の引上げ手段には、前記調整レバーの長桿部とその近傍の枠体とに外接して移動可能に外嵌され長桿部上の軸方向位置を調整することで前記調整レバーの揺動角度を位置決め可能な環状の留め具を各々備えて、横傾斜路面が連続的に傾斜している場合には、傾斜上側の調整レバーの揺動角度を前記留め具により最大角度と最小角度との間の設定位置に位置決めすることで、当該滑動子の位置をその滑座体に対して一定位置に保って通行できるようにしたものである。
このように構成された請求項6の発明によれば、各組の引上げ手段には、長桿部上の軸方向位置を調整することで調整レバーの揺動角度を位置決め可能な環状の留め具を各々備えて、横傾斜路面が連続的に傾斜している場合には、横傾斜姿勢の車椅子を水平姿勢に制御すべく傾斜上側の調整レバーの揺動角度を調整し、その揺動角度を留め具により一定角度に保つことで、当該滑動子の位置をその滑座体に対して一定位置に保って通行できるので、ほぼ一定角度で傾斜する所定道程の横傾斜路面を通行する際に、調整レバーの長桿部を握る握力を解放したままで、車椅子に横傾斜路面と平行な平行分力が付与されることなく直進できる。
本発明は、上述のとおりであるので、以下に記載するような効果を奏する。
請求項1の発明によれば、車椅子が横傾斜路面を通行する際には傾斜上側の滑動子をその引上げ手段により上方へ引上げることで、当該滑動子に対して滑座体を相対的に下方へ移動させて、横傾斜姿勢の車椅子を水平姿勢に制御することで、車椅子には横傾斜路面と平行な平行分力が付与されずに、左右均等な推進力で移動操作することができるから、介助する健常者はもとより、障害者や病人の搭乗者自身にも容易に移動操作することができる。 また、構成要素が少なく構造が簡素で、かつ、高さが異常に高くなることもないので、使用中の車椅子を利用して改善することが容易であるから、自家用への普及も容易に図ることができる。
また、請求項2の発明によれば、傾斜上側の調整レバーの長桿部を手で握ることにより揺動させて、その調整レバーに連結されたワイヤロープを介して滑動子を上方へ引上げるようにしたので、水平姿勢制御が容易にできるとともに、使用中の車椅子を利用して改善することが容易であるから、自家用への普及も容易に図ることができる。
また、請求項3の発明によれば、左側または右側の滑動子の上下移動に追従して二股腕とともに当該前輪を上下移動させるようにしたので、車椅子が横傾斜路面を通行する際には、傾斜上側の滑動子を上方へ引上げることで滑座体を相対的に下方へ移動させることと追従して、傾斜上側の前輪を車椅子の上方側へ移動し、車椅子全体を水平に維持することができる。 その結果、滑動子に対する滑座体の相対的な移動量により車椅子の全体が姿勢制御され、安定した通行を図ることができる。
また、請求項4の発明によれば、車椅子が横傾斜路面を通行する際には傾斜上側の滑動子と二股腕とをその引上げ手段により上方へ引上げることで、当該滑動子に対して滑座体を相対的に下方へ移動させるとともに、当該二股腕に対して支持筒を相対的に下方へ移動させて、横傾斜姿勢の車椅子を水平姿勢に制御することで、車椅子には横傾斜路面と平行な平行分力が付与されずに、左右均等な推進力で移動操作することができるから、介助する健常者はもとより、障害者や病人の搭乗者自身にも容易に移動操作することができる。 また、構成要素が少なく構造が簡素で、かつ、高さが異常に高くなることもないので、使用中の車椅子を利用して改善することが容易であるから、自家用への普及も容易に図ることができる。
また、請求項5の発明によれば、傾斜上側の調整レバーの長桿部を手で握ることにより揺動させて、その調整レバーに連結された共通ワイヤロープを介して後輪側ワイヤロープに連結された滑動子と前輪側ワイヤロープに連結された二股腕とを上方へ引上げるようにしたので、水平姿勢制御が容易にできるとともに、使用中の車椅子を利用して改善することが容易であるから、自家用への普及も容易に図ることができる。
また、請求項6の発明によれば、横傾斜路面が連続的に傾斜している場合には、傾斜上側の調整レバーの揺動角度を調整し、その揺動角度を留め具により一定角度に保つことで、当該滑動子の位置をその滑座体に対して一定位置に保って通行できるので、調整レバーの長桿部を握る握力を解放したままで、車椅子に横傾斜路面と平行な平行分力が付与されることなく直進できる。 その結果、歩道または路肩部などのように横傾斜路面が連続的に続く場合でも、調整レバーの長桿部を握る握力を解放したまま通行できるから、疲労することがなくなる。
本発明を実施するための最良の形態について、図1〜図10を参照して以下のとおり説明する。 図1は本発明の実施例1を示す全体の側面図、図2は後輪および後輪制御機構を示す図1のA−A断面図、図3は後輪制御機構を示す図2のD−D断面図、図4は前輪および前輪制御機構を示す図1のB−B断面図、図5は引上げ機構の操作部を示す図1のC部を部分的に断面した拡大図である。 図6は本発明の実施例2を示す全体の側面図、図7は前輪制御機構を示す図6のF−F断面図、図8は引上げ機構のワイヤロープ中継部を示す図6のE部をワイヤロープ軸線上で断面した拡大図である。
また、図9は平坦路面または横傾斜路面における車椅子の簡略図であって、(a)は進路の左側へ傾斜する左傾斜路面、(b)は平坦路面、(c)は進路の右側へ傾斜する右傾斜路面での各傾斜状態を示し、(d)は(a)を、(e)は(c)を姿勢制御した後の各無傾斜状態を示す図である。 図10は本発明の実施例3を示す引上げ機構の操作部であって、(a)は平坦路面を通行中の状態を示し、(b)は横傾斜路面を通行中の状態を示す図である。
なお、本欄における左右前後の表示は図1,図6において、左は紙面の裏側、右は紙面の表側、また、後は紙面の左側、前は紙面の右側である。 また、本発明の実施例における各機構は左右対称の独立した同一機構であるため、各図に示す進行方向右側の各機構について説明し、進行方向左側の各機構については説明を省略する。
本発明に係る車椅子の基礎的な構成は、図1および図6に示すように、搭乗者が乗降可能に枠組みされた枠体10と、この枠体10を担持して回動可能な左右各1組の後輪機構20と、枠体10を補助的に担持して回動可能で、かつ、鉛直軸線を中心に旋回可能な左右各1組の前輪機構40とで構成されている。 枠体10は、左右の後輪機構20により担持された左右各1個の後輪側支柱11と、左右の前輪機構40により担持された左右各1個の前輪側支柱12と、これらを連結する着座パイプ13および補助パイプ14とから構成されている。
そして、左右の後輪側支柱11の上部は各々後方側へ折り曲げられ、各々の先端部には車椅子を移動操作する際に握るためのグリップ15が設けられている。 また、着座パイプ13の水平な上面部には図示しない着座用のシートが設けられ、下端部には足載せ用のフットレスト16が各々設けられている。 この外、左右の後輪機構20と同心円の外側で搭乗者自身が移動操作可能な図示しない左右各1個のハンドリムや、車椅子を制動可能な図示しないブレーキ機構などが設けられている。
本発明の実施例1ついて、図1〜図5を参照して以下のとおり説明する。 本例の車椅子は図1に示すように、枠体10を担持する左右各1組の後輪機構20と、これらの後輪機構20を各々保持して左右個別に上下移動可能な左右各1組の後輪制御機構30と、枠体10を補助的に担持する左右各1組の前輪機構40と、これらの前輪機構40を各々保持して左右個別に上下移動可能な左右各1組の前輪制御機構50と、各々の後輪機構20を枠体10の上方へ左右別々に引上げ可能な左右各1組の引上げ機構60とを備えて構成する。
後輪制御機構30は、後輪側支柱11の下端部に設けられ、後輪機構20を保持する滑動子31と、滑動子31を上下へ個別に移動案内する滑座体32と、滑座体32の下端に取着された下蓋33と、滑座体32の上端に取着された上蓋34と、滑動子31と上蓋34との間に介装された後輪側のコイルばね35とから構成されている。
滑座体32は、図2に示す当て板36,36,36とボルト37,37,37とにより後輪側支柱11に取着され、この滑座体32の内周面は図3に示すように、四角穴状の摺動面32aと、この摺動面32aと連なる開口面32bとの内側の空間部により凸字形を形成するように案内溝32cが削成されている。 この滑座体32の案内溝32c内には、その内面に沿って上下移動可能な凸字形に形成された滑動子31が挿入されている。
また、下蓋33は、滑動子31の下降端位置を位置決め可能に、小ねじ33A,33Aにより滑座体32の下端に螺着されている。 コイルばね35は、滑動子31をその下方の下蓋33に向かって付勢可能に、当該滑座体32内の滑動子31と上蓋34との間に介装されている。 上蓋34は、コイルばね35の上端を規制可能に、小ねじ34A,34Aにより滑座体32の上端に螺着されている。
そして、コイルばね35の撓み量は、後輪側支柱11、滑座体32、上蓋34を介してコイルばね35に、車椅子の自重と搭乗者の体重との和による荷重を負荷させたときに、滑動子31が、図2に示すように下蓋33に当接するか、または、下蓋33の近接位置に停留するようにコイル径、線材径、有効巻数などが設定されている。
次いで、後輪機構20は図2に示すように、チューブ22を内挿した後輪(タイヤ)21がリム23に楔着され、そのリム23は、多数のスポーク24,24・・・によりハブ25に張着されている(図1ではスポーク24、ハブ25の図示を省略)。 このハブ25は、中心穴部に図示しないころがり軸受を内蔵し後輪軸26により回動可能に枢支され、その後輪軸26は、ボルト27により滑動子31に締着されている。 したがって、後輪21は、滑動子31が滑座体32の案内溝32cに案内されて上下移動する際には、その滑動子31と一体的に上下移動する。
次いで、前輪機構40は図4に示すように、中心穴部に図示しないころがり軸受を内蔵した前輪41が、前輪軸43により二股腕44の基軸部44aと連なる股部44b,44bに回動可能に枢着されている。 二股腕44の基軸部44aは、股部44b,44bと連なる部分が開口された筒状に形成されている。
次いで、前輪制御機構50は、前輪側支柱12の下端部に設けられ、前輪機構40を保持する支持筒51と、支持筒51内で二股腕44を下方に向かって付勢可能な前輪側のコイルばね52と、二股腕44の下降端位置を位置決めする小ねじ53と、小ねじ53頭部の下端位置を位置決めするナット54とから構成されている。
支持筒51は、図4に示す前輪側支柱12と平行にその下端部に接着され、その内周面には、二股腕44の基軸部44aを上下移動かつ回動可能に挿入可能な下端開口の筒状に形成されている。 コイルばね52は、二股腕44をその下方に向かって付勢可能に、支持筒51内の天壁51aと、支持筒51に挿入された二股腕44の基軸部44a上面との間に介装されている。 このコイルばね52により下方へ付勢される二股腕44の下降端位置は、二股腕44の基軸部44a内からその天壁44cと、支持筒51の天壁51aとに挿通された小ねじ53の頭部の上下位置をナット54により調整して位置決めできる。
そして、コイルばね52の撓み量は、前輪側支柱12、支持筒51内の天壁51aを介してコイルばね52に、車椅子の自重と搭乗者の体重との和による荷重を負荷させたときに、二股腕44の基軸部44aが、図4に示すように支持筒51内の下方位置を維持するようにコイル径、線材径、有効巻数などが設定されている。 したがって、支持筒51は、横傾斜路面上で車椅子が傾斜した際に、後輪制御機構30の作用により高い方の前輪側支柱12とともに下降して車椅子を水平姿勢に制御できる。
次いで、引上げ機構60は図5に示すように、略L字形状に形成された調整レバー61と、この調整レバー61を保持する保持具62と、この保持具62に調整レバー61を揺動可能に保持する揺動軸63と、一端が調整レバー61に連結されかつ他端が後輪制御機構30の滑動子31に連結されたワイヤロープ64と、このワイヤロープ64を保護する保護管65とから構成されている。 調整レバー61は、長桿部61aと短桿部61bとで略L字形状に形成され、その短桿部61bの先端部に軸穴61cが穿孔されている。
保持具62は、引上げ機構60を手動操作可能なグリップ15近傍の後輪側支柱11にボス62aが取着され、そのボス62aと連なる下方の保持部62bに軸穴が穿孔されている。 揺動軸63は、調整レバー61の軸穴61cに回動可能に挿通されるとともに、保持具62の保持部62bの軸穴に止着され、保持具62に調整レバー61を揺動可能に保持するものである。 ワイヤロープ64は、任意の位置で直線状または湾曲状に変形可能な線形状に形設され、一端が調整レバー61の長桿部61aと短桿部61bとの交差部61dに連結され、かつ、他端が図2に示す滑動子31に連結され、これらの間の露出部は保護管65により保護されている。
したがって、調整レバー61の長桿部61aをグリップ15とともに握ると、調整レバー61は揺動軸63を中心にして揺動し、その交差部61dに連結されたワイヤロープ64を図5に示す左側へ引き込むように移動させる。 このワイヤロープ64の移動により、ワイヤロープ64の他端が連結された図1,図2に示す滑動子31を後輪21とともに引上げることができる。 また、滑動子31を下方へ戻す際には、調整レバー61の長桿部61aへの握力を弱めることで、コイルばね35の付勢により滑動子31を下方へ戻すことができる。
次いで、このように構成された実施例1の作用について、図1,図2,図4,図5および図9を参照して以下のとおり説明する。 先に「発明が解決しようとする課題」の欄において述べたように、図9(b)のような平坦路を車椅子で通行する際には、車椅子の重量と搭乗者の体重との和の鉛直荷重Wに対して、左右方向への余分な分力がなく、車椅子を前進させるための推進力は左右均等である。 したがって、このような平坦路では円滑に移動操作することができるから、図1に示す調整レバー61を握ることにより後輪制御機構30を作動させる必要はない。
ところが、例えば、図9(a)のように、通路が進行方向に対して左側へ角度θだけ横傾斜していると、車椅子の重量と搭乗者の体重との和の鉛直荷重Wに対して、横傾斜路面と直角な下方への直角分力Fと、横傾斜路面と平行な低い方向への平行分力F(=W・sinθ)とが生じる。 そして、この平行分力Fにより車椅子には、図9(a)の左下側へ下降しようとする力が作用する。 このため、低い方(左側)に加える推進力を、高い方(右側)に加える推進力よりもかなり大きくしなければならない。
これらについて、鉛直荷重W=67.6kg(車椅子の重量が15.6kg、搭乗者の体重が52kg)の実車を用いて実測した各推進力は次のとおりである。 図9(b)のような平坦路の場合は、左右ともに進行方向へ約1kgずつの推進力で円滑に移動操作をすることができる。 これに対して、図9(a)のように横傾斜角度θ=2.8度の場合は、左側が進行方向へ約5.4kg、右側が進行反対側へ約1.6kgの推進力を要するとともに、左右で約7kgの不均衡を生じるので移動操作をするのが苦痛である。 なお、上記以外の測定条件は、「発明が解決しようとする課題」の欄と同一である。
このような横傾斜路面における不均衡な推進力を左右均等にして、移動操作を円滑にするためには、横傾斜路面の高い方(図9(a)の右側)の図1に示す調整レバー61を握り、その揺動により図5に示す交差部61dに連結されたワイヤロープ64を左側へ引き込むように移動させ、その他端が連結された図1,図2に示す滑動子31を後輪21とともに滑座体32の上方へ引上げる。
この滑動子31の引上げにより、滑動子31に対して滑座体32を相対的に下方へ移動させるので、横傾斜路面の高い方(図9(a)の右側)の後輪21に対して、高い方の枠体10の後輪側支柱11を下降させる。 この後輪側支柱11の下降により、図1,図4に示す前輪41に対して、高い方の支持筒51とともに前輪側支柱12も追従して下降されるので、車椅子は図9(d)のように水平姿勢に制御される。
そして、この姿勢制御により、図9(a)の状態で生じていた横傾斜路面と平行な低い方向への余分な平行分力Fは除去され、図9(b)の状態と同様に、車椅子を前進させるための推進力を左右均等にすることができる。 この状態における車椅子の推進力は、図9(b)の状態と同様に、左右ともに進行方向へ約1kgずつの推進力で円滑に移動操作をすることができる。
なお、この実施例1において、前輪機構40は前輪制御機構50により保持せず、前輪41が上下移動できない構成にした場合には、左側が進行方向へ約1.3kg、右側が進行方向へ約1.0kgの推進力であった。 したがって、後輪制御機構30と前輪制御機構50とにより横傾斜姿勢を制御すると、車椅子を前進させるための推進力を左右均等にできるが、後輪制御機構30のみにより制御しても左右の不均衡が小さいので比較的円滑に移動操作をすることができる。
また、横傾斜路面の傾斜角度が変化した場合には、調整レバー61の長桿部61aの揺動角度を加減し、滑動子31の上下移動量を調整することで、車椅子を常時水平姿勢に保つことができる。 なお、図9(c),(e)に示すように、通路が進行方向に対して右側へ横傾斜している場合も、上記図9(a),(d)に示す左側へ傾斜の場合と同様であるので説明は省略する。
引き続いて、本発明の実施例2ついて、図2および図5〜図8を参照して以下のとおり説明する。 本例の車椅子は図6に示すように、枠体10を担持する左右各1組の後輪機構20と、これらの後輪機構20を各々保持して左右個別に上下移動可能な左右各1組の後輪制御機構30と、枠体10を補助的に担持する左右各1組の前輪機構70と、これらの前輪機構70を各々保持して左右個別に上下移動可能な左右各1組の前輪制御機構80と、各々の後輪機構20を枠体10の上方へ左右別々に引上げ可能な左右各1組の引上げ機構90とを備えて構成する。 なお、枠体10、後輪機構20および後輪制御機構30は、前述の実施例1と同一の構成であるため同一の符号を用いて詳細な説明は省略する。
前輪機構70は図7に示すように、中心穴部に図示しないころがり軸受を内蔵した前輪41が、前輪軸43により二股腕74の基軸部74aと連なる股部74b,74bに回動可能に枢着されている。 二股腕74の基軸部74aは、柱状に形成されている。
次いで、前輪制御機構80は、前輪側支柱12の下端部に設けられ、前輪機構70を保持する支持筒81と、支持筒81内で二股腕74を下方に向かって付勢可能な前輪側のコイルばね82とから構成されている。 支持筒81は、図7に示す前輪側支柱12と平行にその下端部に接着され、その内周面には、二股腕74の基軸部74aを上下移動かつ回動可能に挿入可能な下端開口の筒状に形成されている。
コイルばね82は、二股腕74をその下方に向かって付勢可能に、支持筒81内の天壁81aと、支持筒81に挿入された二股腕74の基軸部74a上面との間に介装されている。 このコイルばね82により下方へ付勢される二股腕74の下降端位置は、後述する引上げ機構90のワイヤロープ94Cの長さを調整して位置決めできる。
そして、コイルばね82の撓み量は、前輪側支柱12、支持筒81内の天壁81aを介してコイルばね82に、車椅子の自重と搭乗者の体重との和による荷重を負荷させたときに、二股腕74の基軸部74aが、図7に示すように支持筒81内の下方位置を維持するようにコイル径、線材径、有効巻数などが設定されている。 したがって、支持筒81は、横傾斜路面上で車椅子が傾斜した際に、後述する引上げ機構90の操作により高い方の前輪側支柱12とともに下降して車椅子を水平姿勢に制御できる。
次いで、引上げ機構90は、実施例1と同一構成の図5に示す操作部と、図8に示す中継部とに大別できる。 なお、操作部については第1実施例のワイヤロープ64と保護管65とを、直線状または湾曲状に変形可能な共通ワイヤロープ94Aと保護管95Aとに置き替え、その他は同一であるので詳細な説明は省略する。 図8に示す中継部は中継箱96が、後輪側支柱11にボルトにより螺着され、その上板96aと下板96bとの間には、案内軸97,97が平行に架設されている。
この案内軸97,97は中継片98に各々挿通され、その中継片98を上下移動自在に案内する。 この中継片98の上端側には、一端が図5に示す調整レバー61の交差部61dに連結された共通ワイヤロープ94Aの他端が連結され、この共通ワイヤロープ94Aの露出部は保護管95Aにより保護されている。 そして、調整レバー61の揺動角度を調整することにより、中継片98が上下移動する。
また、中継片98の下端側には、任意の位置で直線状または湾曲状に変形可能な線形状に形設された後輪側ワイヤロープ94Bと、前輪側ワイヤロープ94Cとの各一端が連結されている。 一方の後輪側ワイヤロープ94Bの他端は、図6,図2に示す滑動子31の上端部に連結され、この後輪側ワイヤロープ94Bの露出部は保護管95Bにより保護されている。 他方の前輪側ワイヤロープ94Cの他端は、図6,図7に示す二股腕74の上端部に連結され、この前輪側ワイヤロープ94Cの露出部は保護管95Cにより保護されている
したがって、調整レバー61の長桿部61aをグリップ15とともに握ると、調整レバー61は揺動軸63を中心にして揺動し、その交差部61dに連結されたワイヤロープ94Aを図5に示す左側へ引き込むように移動させる。 このワイヤロープ94Aの移動により、ワイヤロープ94Aの他端が連結された図8に示す中継片98を介して、一方の後輪側ワイヤロープ94Bと、他方の前輪側ワイヤロープ94Cとを同時に引上げる。
そして、一方の後輪側ワイヤロープ94Bにより図6,図2に示す滑動子31を後輪21とともに引上げ、他方の前輪側ワイヤロープ94Cにより図6,図7に示す二股腕74を前輪41とともに引上げることができる。 また、滑動子31と二股腕74とを下方へ戻す際には、調整レバー61の長桿部61aへの握力を弱めることで、コイルばね35の付勢により滑動子31と、コイルばね82の付勢により二股腕74とを下方へ戻すことができる。
次いで、このように構成された実施例2の作用について、図2および図5〜図9を参照して以下のとおり説明する。 なお、車椅子を前進させるための推進力について、図9の各図において相違することは、実施例1において述べたので本欄では説明を省略する。 例えば、図9(a)のように、通路が進行方向に対して左側へ角度θだけ横傾斜していると、車椅子には、平行分力Fにより左下側へ下降しようとする力が作用する。 このため、左右の推進力に不均衡を生じるので移動操作をするのが苦痛である。
このような傾斜路面における不均衡な推進力を左右均等にして、移動操作を円滑にするためには、横傾斜路面の高い方(図9(a)の右側)の図6に示す調整レバー61を握り、その揺動により図5に示す交差部61dに連結された共通ワイヤロープ94Aを左側へ引き込むように移動させ、その他端が連結された図8に示す中継片98を介して、一方の後輪側ワイヤロープ94Bと、他方の前輪側ワイヤロープ94Cとを同時に引上げる。 その結果、一方の後輪側ワイヤロープ94Bにより図6,図2に示す滑動子31を後輪21とともに引上げ、かつ、他方の前輪側ワイヤロープ94Cにより図6,図7に示す二股腕74を前輪41とともに引上げる。
そして、滑動子31の引上げにより、滑動子31に対して滑座体32を相対的に下方へ移動させるので、横傾斜路面の高い方(図9(a)の右側)の後輪21に対して、高い方の後輪側支柱11を下降させ、かつ、二股腕74の引上げにより、二股腕74に対して支持筒81を相対的に下方へ移動させるので、横傾斜路面の高い方の前輪41に対して、高い方の前輪側支柱12を下降させるので、車椅子は図9(d)のように水平姿勢に制御される。
この姿勢制御により、図9(a)の状態で生じていた横傾斜路面と平行な低い方向への余分な平行分力Fは除去され、図9(b)の状態と同様に、車椅子を前進させるための推進力を左右均等にすることができる。 この状態における車椅子の推進力は、図9(b)の状態と同様に、左右ともに進行方向へ約1kgずつの推進力で円滑に移動操作をすることができる。
また、横傾斜路面の傾斜角度が変化した場合には、調整レバー61の長桿部61aの揺動角度を加減し、滑動子31と二股腕74との上下移動量を調整することで、車椅子を常時水平姿勢に保つことができる。 なお、図9(c),(e)に示すように、通路が進行方向に対して右側へ横傾斜している場合も、上記図9(a),(d)に示す左側へ傾斜の場合と同様であるので説明は省略する。
引き続いて、本発明の実施例3ついて、図2および図5〜図8を参照して以下のとおり説明する。 本例の車椅子は、図10に示すように引上げ機構の操作部に留め具68を設けて、滑動子31や二股腕74の上下調整位置を一定に保つものである。 この留め具68は、調整レバー61の長桿部61aとその近傍の後輪側支柱11とに外接して移動可能に外嵌され、長桿部61a上の軸方向位置を調整することで調整レバー61の揺動角度を位置決め可能な環状に形成されている。
そして、横傾斜路面が連続的に傾斜している場合には、横傾斜姿勢の車椅子を図9(d),(e)のように水平姿勢に制御すべく、傾斜上側の調整レバー61の揺動角度を図10(a)の角度から図10(b)の角度に調整し、かつ、留め具68の軸方向位置を調整することで、調整レバー61の揺動角度を一定角度に保つことができる。 したがって、ほぼ一定角度で傾斜する横傾斜路面を通行する際に、横傾斜路面の高い方の滑動子31の位置をその滑座体32に対して一定位置に保って通行できるので、調整レバー61を握る握力を解放したままで、車椅子に図9に示す平行分力Fが生じることなく円滑に直進できる。
なお、本発明に係る車椅子の姿勢制御装置は、上述した実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲においてさまざまな形態に構成することができる。 例えば、横傾斜姿勢の車椅子を水平姿勢に制御する引上げ手段は、ワイヤロープを円板に巻き付け、その円板をレバーにより回動させることで制御することもできる。 また、調整レバーなどによる手動操作方式に限定されず、角度センサの傾斜信号に応じて電動機により制御する電動操作方式にすることもできる。
本発明の実施例1を示す全体の側面図である。 同じく、後輪および後輪制御機構を示す図1のA−A断面図である。 同じく、後輪制御機構を示す図2のD−D断面図である。 同じく、前輪および前輪制御機構を示す図1のB−B断面図である。 同じく、引上げ機構の操作部を示す図1のC部を部分的に断面した拡大図である。 本発明の実施例2を示す全体の側面図である。 同じく、前輪制御機構を示す図6のF−F断面図である。 同じく、引上げ機構のワイヤロープ中継部を示す図6のE部をワイヤロープ軸線上で断面した拡大図である。 平坦路面または横傾斜路面における車椅子の簡略図であって、(a)は進路の左側へ傾斜する左傾斜路面、(b)は平坦路面、(c)は進路の右側へ傾斜する右傾斜路面での各傾斜状態を示し、(d)は(a)を、(e)は(c)を姿勢制御した後の各無傾斜状態を示す。 本発明の実施例3を示す引上げ機構の操作部であって、(a)は平坦路面を通行中の状態を示し、(b)は横傾斜路面を通行中の状態を示す図である。
符号の説明
10 枠体
11 後輪側支柱
12 前輪側支柱
20 後輪機構
21 後輪(タイヤ)
30 後輪制御機構
31 滑動子
32 滑座体
35 コイルばね
40 前輪機構
41 前輪
44 二股腕
50 前輪制御機構
51 支持筒
52 コイルばね
60 引上げ機構
61 調整レバー
63 揺動軸
64 ワイヤロープ
68 留め具
70 前輪機構
74 二股腕
80 前輪制御機構
81 支持筒
82 コイルばね
90 引上げ機構
94A 共通ワイヤロープ
94B 後輪側ワイヤロープ
94C 前輪側ワイヤロープ
98 中継片
直角分力
平行分力
W 鉛直荷重

Claims (6)

  1. 左右各1組の後輪と前輪とで枠体を担持して移動する車椅子の進路の左側または右側へ傾斜する横傾斜路面における横傾斜姿勢を水平姿勢に制御する装置であって、
    前記後輪が各々回動可能に枢着された左右各1個の滑動子と、枠体の左右に立設された各々の後輪側支柱に取着され前記滑動子を上下へ移動案内可能な案内溝が各々形成された左右各1個の滑座体と、これら滑座体の各下端に設けられ前記滑動子の各々の下降端位置を位置決め可能な左右各1個の下蓋と、前記滑座体の各上端に設けられた左右各1個の上蓋と、前記滑動子と前記上蓋との間の前記滑座体内に各々介装され前記滑動子を前記下蓋に向かって各々付勢可能な左右各1個の後輪側ばねと、
    これら後輪側ばねの付勢力に抗して前記滑動子を前記滑座体の上方へ左右別々に引上げ可能な左右各1組の引上げ手段とを備えて、
    車椅子が横傾斜路面を通行する際には傾斜上側の滑動子をその引上げ手段により上方へ引上げることで、当該滑動子に対して滑座体を相対的に下方へ移動させて、横傾斜姿勢の車椅子を水平姿勢に制御するようにしたことを特徴とする車椅子の姿勢制御装置。
  2. 前記各組の引上げ手段は、長桿部と短桿部とで略L字形状に形成されその短桿部の先端部に軸穴が穿孔された調整レバーと、介助者または搭乗者が手動操作可能な位置の枠体に取着され下方に軸穴が穿孔された保持具と、前記調整レバーの軸穴と前記保持具の軸穴とに挿通され前記保持具に前記調整レバーを揺動可能に保持する揺動軸と、任意の位置で直線状または湾曲状に変形可能な線形状に形設され一端が前記調整レバーの長桿部と短桿部との交差部に連結されかつ他端が前記滑動子に連結されたワイヤロープとを各々備えて、
    傾斜上側の調整レバーの長桿部を手で握ることにより揺動させて、その調整レバーに連結されたワイヤロープを介して滑動子を上方へ引上げるようにした請求項1に記載の車椅子の姿勢制御装置。
  3. 各前輪の保持部は、各基軸部と連なる各々の股部に前記前輪が各々回動可能に枢着された左右各1個の二股腕と、これら二股腕の各基軸部を上下移動かつ回動可能に挿入可能な下端開口の筒状に形成され枠体の左右に立設された各々の前輪側支柱と平行に着接された左右各1個の支持筒と、前記支持筒内の天壁と前記二股腕の基軸部上面との間に各々介装され前記二股腕を下方に向かって各々付勢可能な左右各1個の前輪側ばねとを備えて、
    左側または右側の前記滑動子の上下移動に追従して前記二股腕とともに当該前輪を上下移動させるようにした請求項1または2に記載の車椅子の姿勢制御装置。
  4. 左右各1組の後輪と前輪とで枠体を担持して移動する車椅子の進路の左側または右側へ傾斜する横傾斜路面における横傾斜姿勢を水平姿勢に制御する装置であって、
    前記後輪が各々回動可能に枢着された左右各1個の滑動子と、枠体の左右に立設された各々の後輪側支柱に取着され前記滑動子を上下へ移動案内可能な案内溝が各々形成された左右各1個の滑座体と、これら滑座体の各下端に設けられ前記滑動子の各々の下降端位置を位置決め可能な左右各1個の下蓋と、前記滑座体の各上端に設けられた左右各1個の上蓋と、前記滑動子と前記上蓋との間の前記滑座体内に各々介装され前記滑動子を前記下蓋に向かって各々付勢可能な左右各1個の後輪側ばねと、
    各基軸部と連なる各々の股部に前記前輪が各々回動可能に枢着された左右各1個の二股腕と、これら二股腕の各基軸部を上下移動かつ回動可能に挿入可能な下端開口の筒状に形成され枠体の左右に立設された各々の前輪側支柱と平行に着接された左右各1個の支持筒と、これら支持筒内の天壁と前記二股腕の基軸部上面との間に各々介装され前記二股腕を下方に向かって各々付勢可能な左右各1個の前輪側ばねと、
    前記後輪側ばねの付勢力に抗して前記滑動子と前記前輪側ばねの付勢力に抗して前記二股腕とを左右別々に上方へ引上げる左右各1組の引上げ手段とを備えて、
    車椅子が横傾斜路面を通行する際には傾斜上側の滑動子と二股腕とをその引上げ手段により上方へ引上げることで、当該滑動子に対して滑座体を相対的に下方へ移動させるとともに、当該二股腕に対して支持筒を相対的に下方へ移動させて、横傾斜姿勢の車椅子を水平姿勢に制御するようにしたことを特徴とする車椅子の姿勢制御装置。
  5. 前記各組の引上げ手段は、長桿部と短桿部とで略L字形状に形成されその短桿部の先端部に軸穴が穿孔された調整レバーと、介助者または搭乗者が手動操作可能な位置の枠体に取着され下方に軸穴が穿孔された保持具と、前記調整レバーの軸穴と前記保持具の軸穴とに挿通され前記保持具に前記調整レバーを揺動可能に保持する揺動軸と、任意の位置で直線状または湾曲状に変形可能な線形状に形設され一端が前記調整レバーの長桿部と短桿部との交差部に連結されかつ他端が中継片に連結された共通ワイヤロープと、任意の位置で直線状または湾曲状に変形可能な線形状に形設され一端が前記中継片に連結されかつ他端が前記滑動子に連結された後輪側ワイヤロープと、任意の位置で直線状または湾曲状に変形可能な線形状に形設され一端が前記中継片に連結されかつ他端が前記二股腕に連結された前輪側ワイヤロープとを各々備えて、
    傾斜上側の調整レバーの長桿部を手で握ることにより揺動させて、その調整レバーに連結された共通ワイヤロープを介して後輪側ワイヤロープに連結された滑動子と前輪側ワイヤロープに連結された二股腕とを上方へ引上げるようにした請求項4に記載の車椅子の姿勢制御装置。
  6. 前記各組の引上げ手段には、前記調整レバーの長桿部とその近傍の枠体とに外接して移動可能に外嵌され長桿部上の軸方向位置を調整することで前記調整レバーの揺動角度を位置決め可能な環状の留め具を各々備えて、
    横傾斜路面が連続的に傾斜している場合には、傾斜上側の調整レバーの揺動角度を前記留め具により最大角度と最小角度との間の設定位置に位置決めすることで、当該滑動子の位置をその滑座体に対して一定位置に保って通行できるようにした請求項2または5に記載の車椅子の姿勢制御装置。
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