JP3658478B2 - 復水器設備 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は蒸気タービンプラントの復水器設備に係り、特に2以上の異なる水源から冷却水を同一の復水器に供給して復水作用を行うものにおいて、各水源からの冷却水入口温度が変化しても交換熱量のアンバランスを防止して安定な運転が行えるようにした復水器設備に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に蒸気タービンプラントの復水器においては、表面冷却方式が広く採用されており、この場合の冷却水として海水、工業用水、河川水等が適用され、これらの水源がない場合には冷却塔が設置されている。
【0003】
冷却塔を使用する場合には空気冷却を伴うため、海水、工業用水、河川水等の水源による冷却水を使用する場合に比較して、冷却水温度が高くなって高真空度が得られない。また、冷却塔ファンの電力も必要となるので、所内動力も増加し、建設費も高くなり、さらに広い設置スペースも必要となる。
【0004】
このため、効率が低くコストがかかる冷却塔よりも、海水、工業用水、河川水等の冷却水源がある場合には、これらの冷却水を復水器に使用することが通例である。
【0005】
しかしながら、自家発電設備等を有する一般産業施設においては、工場やプロセスに使用する冷却水量が、その地域における取水量制限に到達したり、または少量の取水量しかなく、冷却塔を併設することが必要な場合がある。但し、このように、海水等と冷却塔水とを混合させる場合には、冷却塔設備も海水に対する腐食性対策を講じる必要があり、機器の信頼性、価格アップになるため、必ずしも有効な対策とはいえなない。
【0006】
ところで、復水器では水室を複数に区分することが可能なことから、異なる冷却水を使用する場合には、むしろ水室を分割し、それぞれの水室に単独に通水した方が有効な対策となる。水室を分割する場合には通常、蒸気タービン排気口からの熱負荷を制御することができないため、左右および上下対称に分割し、それぞれの冷却塔に均等に熱負荷がかかるように計画する。しかし、異なる冷却水を使用する場合、条件によっては水室を左右上下対称に分割することができず、また運転条件によっては熱負荷、冷却水入口温度、冷却水温度上昇等が設計許容値を逸脱し、復水器にとっては蒸気による冷却管の振動応力の増加、冷却水温度上昇による熱変形、あるいは熱負荷のアンバランスによる運転制限等、プラント運転上での好ましくない状態や、プラント運転性を損なう不都合等があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、2以上の異なる水源から冷却水を同一の復水器に供給して復水作用を行うようにした復水器設備においては従来、各水源からの冷却水入口温度の変化等によって交換熱量がアンバランスとなり、必ずしも安定な運転が行えない等の問題があった。また、異なる冷却水を使用する場合、条件によっては水室を左右上下対称に分割することができず、運転条件によっては熱負荷、冷却水入口温度、冷却水温度上昇等が設計許容値を逸脱し、復水器にとっては蒸気による冷却管の振動応力の増加、冷却水温度上昇による熱変形、あるいは熱負荷のアンバランスによる運転制限等の好ましくない状態が生じたり、プラント運転性を損なう等の問題があった。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、冷却水入口温度変化による復水器熱負荷のアンバランスを防止し、復水器の寿命およびプラントの運用性を高めることができる復水器設備を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明は、蒸気タービンプラントの復水器に、2以上の異なる系統の水源から冷却水を供給して蒸気凝縮を行わせるようにした復水器設備において、各系統における冷却水入口温度を検出する手段と、各系統における冷却水出口温度を検出する手段と、前記冷却水入口温度検出手段から得られた信号と前記冷却水出口温度検出手段から得られた信号から各系統の冷却水の復水器内で上昇した温度を検出する温度上昇検出器と、各系統における冷却水出口流量を検出する手段と、前記各系統の温度上昇検出器からの信号と前記各系統の冷却水出口流量検出器からの信号とから各系統の冷却水による復水器内での交換熱量を演算する交換熱量演算器と、この交換熱量演算器からの信号に基づいて各系統の冷却水による熱交換量が均一となるように予め決められた系統の冷却水流量の調節を行う手段とを備えたことを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0011】
図1は本実施形態による復水器設備のシステム構成を示す図である。この図1に示すように、本実施形態の復水器設備では、復水器1に海水水室2および冷却塔水室3が設けられている。そして、海水水室2に冷却水を供給するための海水系統4が設けられ、この海水系統4は海水取水口5aおよび海水循環水ポンプ6を有している。この海水系統4により、海水取水口5aから海水水室2に冷却水としての海水が供給され、これにより復水器1で蒸気凝縮が行われて温度上昇した後、海水排水口5bへ排出されるようになっている。
【0012】
この海水系統4には、給水量を調節するための海水水室入口弁7、海水供給側の温度を計測するための海水水室入口温度計8、海水排出側の温度を計測するための海水水室出口温度計9、排水量を調節するための海水水室出口弁10、および排水量を計測するための海水流量計11等が設置されている。
【0013】
一方、冷却塔水室3に冷却水を供給する冷却塔水系統12が設けられ、この冷却塔水系統12では、冷却水が冷却塔13から冷却塔水循環水ポンプ14によって冷却塔水水室3に供給され、復水器1で蒸気を凝縮した後、冷却塔13へ戻されるようになっている。この冷却塔水系統12においても、冷却水水室入口弁16、冷却塔水水室入口温度計17、冷却水水室出口温度計18、冷却塔水水室出口電動弁19、冷却塔水流量計20等が設置されている。
【0014】
そして本実施形態では、各系統4,12における冷却水による交換熱量をそれぞれ演算する手段として、海水水室入口温度計8および海水水室出口温度計9の検出信号を入力する海水温度上昇発信器21と、冷却塔水水室入口温度計17および冷却水水室出口温度計18の検出信号を入力する冷却塔水温度上昇発信器22とが設けられ、さらにこれら海水温度上昇発信器21および冷却塔水温度上昇発信器22に加え、海水流量計11および冷却塔水流計20の検出信号も入力する交換熱量演算器23が設けられている。この交換熱量演算器23から出力される制御信号によって前記の冷却塔水水室出口電動弁19が制御されるようになっており、これにより各系統の冷却水による熱交換量が均一となるように冷却水流量を調節する手段が構成されている。
【0015】
次に作用を説明する。
【0016】
通常、海水側および冷却塔水側において、計画仕様通りの交換熱量および冷却水温度で運転できるならば、特に問題はない。しかしながら、例えば外気条件等が変化し、海水入口温度は変化しないが冷却塔水入口温度が高くなったような場合には、復水器1の交換熱量については、計画仕様に比較して冷却塔水側の交換熱量が減少し、海水側の熱負荷が増加することになる。
【0017】
そこで、本実施形態においては、海水系統4および冷却塔水系統12のそれぞれにおいて、水室出口温度が検出され、各冷却水温度上昇発信器21,22と各流量計11,20との情報に基づき、交換熱量演算器23で各水室での交換熱量が演算されて冷却塔水水室出口電動弁19が開閉制御され、この流量制御によって熱負荷のアンバランスが防止されるものである。
【0018】
下記の第1表は、以上の本実施形態に基づく復水器計画仕様と夏場運転時の状態とを示している。この第1表では、設計点の海水側冷却水入口温度が22℃であり、温度上昇は8℃、冷却塔水側冷却水入口温度は23℃である。
【0019】
そして、温度上昇を7℃、真空度を722mmHgで計画すると、海水側と冷却塔水側との面積比率は、それぞれ約37%、約63%になり、夏場海水温度が28℃、冷却塔水温度が31℃の時、真空度は703.5mmHgになる。
【0020】
この場合、海水側および冷却塔水側の変換熱量は、設計点に比較して多少増減するものの、その増減量は±10%以内の範囲にあり、十分許容できる値となっている。
【0021】
これに対し、第2表および第3表は前記のような制御を行わない比較例を示したもので、第2表は設計点冷却水温度を変えた場合における夏場運転時の状態を示し、第3表は海水側、冷却水側の面積比率を変えた場合における夏場運転時の状態を示している。
【0022】
第2表では設計点の冷却水入口温度を変え、海水側25℃、冷却塔水側22℃で計画した場合であり、合計面積についても差はなく、面積比率も海水側約34%、冷却塔側約66%と第1表と差はないが、夏場における交換熱量は、設計点に比較すると海水側が約150%、冷却塔側が約82.6%となり、海水側が多大なオーバーロードになることが分かる。
【0023】
また、第3表では、設計点については第2表と同程度の冷却水温度に設定し、面積比率を変化させ、海水側約40%、冷却塔側約60%と、海水側を大きくした場合であるが、この場合においても、夏場のオーバーロードは海水側が約131.1%、冷却塔側が約83.8%になり、復水器の構造にとって好ましくないことが分かる。
【0024】
【表1】
Figure 0003658478
【0025】
【表2】
Figure 0003658478
【0026】
【表3】
Figure 0003658478
【0027】
以上のように、本実施形態によれば、各系統の冷却水による熱交換器が均一となるように制御することによって、片方の水室にオーバロードがかかることを防止でき、復水器の寿命を損なうことなくプラントの運用性を高めることができる。
【0028】
なお、以上の実施形態では海水系統と冷却塔とを併用した場合について説明したが、本発明はこれに限らず、河川水系統または工業用水系統等に対して冷却塔を併用する場合についても同様に実施することができるものである。また、前記実施形態では2系統の併用について説明したが、本発明は3以上の系統を併用する場合でも適用可能である。
【0029】
【発明の効果】
以上の実施形態で詳述したように、本発明に係る復水器設備によれば、2以上の異なる系統の冷却水を使用する場合において、夏場等の冷却水入口温度の変化によっても交換熱量のアンバランスを防止することができ、復水器の寿命長期化、およびプラントの運用性向上等が図れるという効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る復水器設備の一実施形態を示すシステム構成図。
【符号の説明】
1 復水器
2 海水水室
3 冷却塔水室
4 海水系統
5a 海水取水口
5b 海水排水口
6 海水循環水ポンプ
7 海水水室入口弁
8 海水水室入口温度計
9 海水水室出口温度計
10 海水水室出口弁
11 海水流量計
12 冷却塔水系統
13 冷却塔
14 冷却塔水循環水ポンプ
16 冷却水水室入口弁
17 冷却塔水水室入口温度計
18 冷却水水室出口温度計
19 冷却塔水水室出口電動弁
20 冷却塔水流量計
21 海水温度上昇発信器
22 冷却塔水温度上昇発信器
23 交換熱量演算器

Claims (1)

  1. 蒸気タービンプラントの復水器に、2以上の異なる系統の水源から冷却水を供給して蒸気凝縮を行わせるようにした復水器設備において、
    各系統における冷却水入口温度を検出する手段と、
    各系統における冷却水出口温度を検出する手段と、
    前記冷却水入口温度検出手段から得られた信号と前記冷却水出口温度検出手段から得られた信号から各系統の冷却水の復水器内で上昇した温度を検出する温度上昇検出器と、
    各系統における冷却水出口流量を検出する手段と、
    前記各系統の温度上昇検出器からの信号と前記各系統の冷却水出口流量検出器からの信号とから各系統の冷却水による復水器内での交換熱量を演算する交換熱量演算器と、
    この交換熱量演算器からの信号に基づいて各系統の冷却水による熱交換量が均一となるように予め決められた系統の冷却水流量の調節を行う手段
    とを備えたことを特徴とする復水器設備。
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