JP3658256B2 - 粒径分布測定装置並びにこの装置に用いるアレイ検出器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、粒径分布測定装置並びにこの装置に用いるアレイ検出器に関する。
【0002】
【従来の技術】
前記粒径分布測定装置においては、レーザ光源からのレーザ光を分散した粒子群に照射したときに生ずる散乱光の強度を各散乱角ごとに検出する複数の散乱光検出素子を有するアレイ検出器を備えている。
【0003】
図4は、一般的な粒径分布測定装置の要部を示すもので、この図において、1は適宜の分散媒に測定対象の粒子群を分散させた試料液2が供給される透明な容器よりなる流通型のセル(フローセル)である。3はこのセル1の一方の側(後方側)に設けられるレーザ光源部で、例えば平行なレーザ光4を発するHe−Neレーザからなるレーザ光源5と、レーザ光4の進行方向を90°ずつ変えるミラー6,7と、平行なレーザ4を光束方向に適宜拡大するビーム拡大器8などからなる。
【0004】
9はセル1の他方の側(前方側)に設けられる集光レンズで、その焦点位置にリング状のアレイ検出器10が配置されている。このアレイ検出器10は、図5に示すように、集光レンズ9の光軸に対応する位置に形成される透過光検出素子11と、この透過光検出素子11を中心として同心円状に、複数の円弧状で、かつ、透過光検出素子11から遠ざかるにしたがって幅広となる散乱光受光素子12a,12b,……,12nからなり、散乱光4Aを検出するための散乱光検出用素子群12とからなる。なお、13はアイソレーションギャップである。このようなアレイ検出器10は、セル1内の粒子によって回折または散乱した光を各散乱角ごとにそれぞれ受光して、それらの光強度を測定する。なお、前記透過光検出素子11は、光軸調整や試料液2の濃度測定に用いられる。
【0005】
14は前記アレイ検出器10の出力(散乱光強度信号)を順次取り込み、AD変換器15に順次送出するマルチプレクサ、16はAD変換器15の出力が入力される演算処理装置としてのコンピュータである。このコンピュータ16には、ディジタル信号に変換されたアレイ検出器10の出力を、フラウンホーファ回折理論やミー散乱理論に基づいて処理し、粒子群における粒径分布を求めるためのプログラムが格納されている。17は演算結果などを表示するカラーディスプレイである。
【0006】
前記粒径分布測定装置においては、セル1に試料液2を供給している状態で、レーザ光源5からのレーザ光4を試料セル1に照射すると、このレーザ光4は、セル1中の粒子によって回折または散乱する。この回折光または散乱光4Aは、集光レンズ9によってアレイ検出器10上に入射し、アレイ検出器10を構成する散乱光受光素子12a,12b,……,12nからの出力は、それぞれプリアンプ(図示していない)によって増幅された後、マルチプレクサ14に入力される。
【0007】
前記マルチプレクサ14においては、アレイ検出器10によって得られた各散乱角ごとの光強度データ、つまりアナログ電気信号が所定の順序で順次取り込まれる。そして、マルチプレクサ14によって取り込まれたアナログ電気信号は直列信号にされて、AD変換器15で順次ディジタル信号に変換され、さらに、コンピュータ16に入力される。そして、このコンピュータ16においては、アレイ検出器10によって得られた各散乱角ごとの光強度データを、フラウンホーファ回折理論やミー散乱理論に基づいて処理し、前記試料液2中の粒子の粒径分布が求められ、その結果がカラーディスプレイ17に表示されたり、メモリ装置(図示していない)に格納される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記アレイ検出器10は、ウェーハを所定の形状に切断して製作されるが、従来においては、アレイ検出器10の散乱光検出素子群12を構成する各素子12a〜12nの開き角度を一定、例えば90°となるようにしていたので、次のような不都合があった。すなわち、アレイ検出器10においては、散乱光検出素子12a〜12nの散乱光検出特性を互いに等しくなるようにする必要があるところから、図5に示すように、透過光検出素子11から遠ざかるにしたがって、散乱光検出素子12a〜12nの半径方向および円周方向の寸法を漸次増大させ、その面積も指数関数的に増大するように形成される。この場合、各散乱光検出素子12a〜12nの開き角度が一定であると、透過光検出素子11からの半径が大きくなるに伴って、散乱光検出素子12a〜12nの有効な部分(図5中の符号aで示す部分)の面積が大きくなり、このため、アレイ検出器10が大型化するとともに、これを保持する装置などが大きくなるため、粒径分布測定装置が大型化する。
【0009】
また、1枚のウェハ18から製作できるアレイ検出器10の数も、前記開き角度が90°であると、図5に示すように、4となり、ウェハ1枚当たりで製作できるアレイ検出器10の数は少なく、それだけ、コストアップとなり、ひいては粒径分布測定装置が高価になる。
【0010】
この発明は、上述の事柄に留意してなされたもので、その第1の目的は、アレイ検出器部分の構成をコンパクトにした粒径分布測定装置を提供することであり、第2の目的は、この装置に用いる専有面積の小さいコンパクトなアレイ検出器を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記第1の目的を達成するため、第1の発明では、レーザ光源からのレーザ光を分散した粒子群に照射したときに生ずる散乱光の強度を各散乱角ごとに検出する複数の散乱光検出素子と、レーザ光源からのレーザ光を分散した粒子群に照射したときの透過光を検出する透過光検出素子とを同一ウェハ上に有するアレイ検出器を備え、各散乱光検出素子からの散乱光強度信号に基づいて前記粒子群における粒径分布を測定するようにした装置において、前記複数の散乱光検出素子が、前記透過光検出素子を共通の中心にしてそれぞれ同心円状に、円弧状で、かつ、中心から遠ざかるにしたがってその半径方向の寸法が漸次増大するよう一つの半径方向に形成されるとともに、扇形角が互いに等しく構成された複数の散乱光検出素子と、その複数の散乱光検出素子の外側にて前記半径方向の外側にいくにしたがって扇形角が徐々に小さくなるように構成された複数の散乱光検出素子とで形成されることにより、前記アレイ検出器は、予め設定されたウェハの幅内において最大の扇形角を得られるよう形成されている(請求項1)。
【0012】
上記第2の目的を達成するため、第2の発明では、レーザ光源からのレーザ光を分散した粒子群に照射したときに生ずる散乱光の強度を各散乱角ごとに検出する複数の散乱光検出素子と、レーザ光源からのレーザ光を分散した粒子群に照射したときの透過光を検出する透過光検出素子とを同一ウェハ上に有するアレイ検出器において、前記複数の散乱光検出素子が、前記透過光検出素子を共通の中心にしてそれぞれ同心円状に、円弧状で、かつ、中心から遠ざかるにしたがってその半径方向の寸法が漸次増大するよう一つの半径方向に形成されるとともに、扇形角が互いに等しく構成された複数の散乱光検出素子と、その複数の散乱光検出素子の外側にて前記半径方向の外側にいくにしたがって扇形角が徐々に小さくなるように構成された複数の散乱光検出素子とで形成されることにより、予め設定されたウェハの幅内において最大の扇形角を得られるよう形成されている(請求項2)。
【0013】
【0014】
この発明のアレイ検出器は、図2に示すように、中心23から最も遠い位置にある散乱光検出素子24nの幅Wn は、予め設定してある最大幅Wを超えることがなく、したがって、同じ素子数である場合、ウェハにおける専有面積を小さくすることができ、そのため、コンパクトでしかも安価なアレイ検出器が得られる。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1〜図3は、この発明の一つの実施の形態を示すもので、まず、図1は、粒径分布測定装置の要部の構成を概略的に示す図である。この図において、図4に示した符号と同一のものは同一物であるので、それらの説明は省略する。21はアレイ検出器で、垂直に立設された検出器保持部材22に取り付けられている。このアレイ検出器21が図4および図5に示した従来のアレイ検出器10と異なる点は、一つの検出平面に光軸を中心にして一つの半径方向に設けられる複数の散乱光検出素子を、それらの扇形角が一定になるようにするのではなく、予め設定された幅内において最大の扇形角が得られるように形成されている点である。以下、これについて、図2および図3を参照しながら説明する。
【0016】
図2は、この発明のアレイ検出器21の平面的な構成を概略的に示すもので、この図において、23は光軸調整および濃度測定用の透過光検出素子である。この透過光検出素子23は光軸に対応するものである。そして、24a〜24nは、前記透過光検出素子23を中心として同心円状に、複数の円弧状で、かつ、透過光検出素子23から遠ざかるにしたがってその半径方向の寸法が漸次指数関数的に増大する散乱光受光素子である。そして、扇形角が互いに等しい散乱光検出素子24a〜24dはその半径方向のみならず円周方向の寸法も漸次増大し、扇形角が互いに異なる検出素子24e〜24nは半径方向の寸法のみが漸次指数関数的に増大するように形成されている。25は透過光検出素子23および散乱光検出素子24a〜24nの各素子の間に形成されるアイソレーションギャップである。
【0017】
この発明のアレイ検出器21においては、前記散乱光検出素子24a〜24nの扇形角を、従来のように一定(例えば90°)になるようにしたものではなく、予め設定された幅内において最大の扇形角が得られるようにしてある。すなわち、図2において、扇形の中心に位置する透過光検出素子23に近い散乱光検出素子、図示例では、符号24a〜24dについては、その扇形角θは互いに等しく、例えば90°となるようにしてあるが、散乱光検出素子24dより外側に位置する散乱光検出素子24e〜24nは、図中に符号Wで示す幅が予め設定されているところから、それらの扇形角は徐々に小さくなるようにしてあり、例えば、最も遠くの散乱光検出素子24nの扇形角θn は30°以下になる場合もある。
【0018】
つまり、上記アレイ検出器21においては、前記散乱光検出素子のうち24a〜24dは、半径方向および円周方向の寸法が漸次指数関数的に増大し、24e〜24nは半径方向の寸法のみが漸次指数関数的に増大するといった条件を満たすため、予め設定された幅寸法W内において最大の扇形角が得られるように形成されているのである。このように構成されたアレイ検出器21においては、全体が幅W×長さLからなる矩形状の範囲内に納まることになり、その専有面積は従来のアレイ検出器10に比べてかなり小さくなる。
【0019】
上記アレイ検出器21を製作するには、例えば図3に示すような直径が例えば8インチのウェハ18に、最大幅Wと長さLの矩形部分26を寸法取りし、この矩形部分26の幅方向の中心の一端側に透過光検出素子23となる部分を設定し、この設定された透過光検出素子23を中心にして複数の散乱光検出素子24a〜24nを、上記段落0016に記載したように形成するのである。この発明のアレイ検出器21の製作方法によれば、アレイ検出器21の専有面積が小さくなることから、1枚のウェハ18から、従来と同様性能のアレイ検出器21を、3〜4倍も多く製作することができ、それだけ、コストダウンが図れる。
【0020】
上述のようにして形成されたアレイ検出器21は、その透過光検出素子23が集光レンズ9の光軸と一致するようにして検出器保持部材22に取り付けられる。
【0021】
上述のように、この発明によれば、アレイ検出器21は、図2に示すように、中心23から最も遠い位置にある散乱光検出素子の幅Wn は、予め設定してある最大幅Wを超えるないように製作されるため、透過光検出素子23からの半径が大きくなるに伴って、散乱光検出素子24a〜24nの有効な部分の面積が徒に増大するといったことがなくなり、全体としてコンパクトに構成される。したがって、同じ素子数である場合、ウェハ18における専有面積を小さくすることができ、そのため、1枚のウェハ18から従来に比べて数倍のアレイ検出器21を製作することができ、製作コストが低減される。そして、このようなコンパクトな形状のアレイ検出器21を保持する装置22も従来より小型で簡単な形状のものでよいから、粒径分布測定装置そのものの構成が小型化されるとともに、コストダウンが図れる。
【0022】
この発明は、上述の実施の形態に限られるものではなく、種々に変形して実施することができる。例えば、粒径分布測定装置としては、アレイ検出器21のほかに、セル1の近傍に、セル1内の粒子によって回折または散乱したレーザ光4Aのうちアレイ検出器21では検出できないような大きな角度で散乱/回折した光を各散乱角ごとに個別に検出する広角散乱光用光検出群を設け、より微小な粒子の粒径分布の測定も併せてできるようにしてあってもよい。
【0023】
そして、セル1に照射するレーザ光4としては、必ずしも平行である必要はなく、レーザ光源5として半導体レーザを用い、これとセル1との間に集光レンズを設けるようにして、集光したレーザ光を照射するようにしてもよい。
【0024】
また、セル1は流通型である必要はなく、さらに、測定対象は、液体中の粒子のみならず、気体中に分散した粉体や粒子、固体中の粉体や粒体などであってもよい。
【0025】
【発明の効果】
この発明においては、アレイ検出器における散乱光検出素子の幅が一定に制限されるので、全体としてアレイ検出器がコンパクトに構成される。そして、1枚のウェハからより多くの多くのアレイ検出器を製作することができ、アレイ検出器の製作コストが低減される。そして、このようなコンパクトな形状のアレイ検出器の保持装置も小型化され、粒径分布測定装置そのものの構成が小型化されるとともに、コストダウンが図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の粒径分布測定装置の要部の構成を概略的に示す図である。
【図2】 この発明のアレイ検出器の平面構成の一例を概略的に示す図である。
【図3】 前記アレイ検出器をウェハから製作するときの説明図である。
【図4】 一般的な粒径分布測定装置の構成を概略的に示す図である。
【図5】 従来のアレイ検出器の問題点を説明するための図である。
【符号の説明】
4…レーザ光、5…レーザ光源、21…アレイ検出器、24a〜24n…散乱光検出素子、18…ウェハ、θ,θn …扇形角。
Claims (2)
- レーザ光源からのレーザ光を分散した粒子群に照射したときに生ずる散乱光の強度を各散乱角ごとに検出する複数の散乱光検出素子と、レーザ光源からのレーザ光を分散した粒子群に照射したときの透過光を検出する透過光検出素子とを同一ウェハ上に有するアレイ検出器を備え、各散乱光検出素子からの散乱光強度信号に基づいて前記粒子群における粒径分布を測定するようにした装置において、前記複数の散乱光検出素子が、前記透過光検出素子を共通の中心にしてそれぞれ同心円状に、円弧状で、かつ、中心から遠ざかるにしたがってその半径方向の寸法が漸次増大するよう一つの半径方向に形成されるとともに、扇形角が互いに等しく構成された複数の散乱光検出素子と、その複数の散乱光検出素子の外側にて前記半径方向の外側にいくにしたがって扇形角が徐々に小さくなるように構成された複数の散乱光検出素子とで形成されることにより、前記アレイ検出器は、予め設定されたウェハの幅内において最大の扇形角を得られるよう形成されていることを特徴とする粒径分布測定装置。
- レーザ光源からのレーザ光を分散した粒子群に照射したときに生ずる散乱光の強度を各散乱角ごとに検出する複数の散乱光検出素子と、レーザ光源からのレーザ光を分散した粒子群に照射したときの透過光を検出する透過光検出素子とを同一ウェハ上に有するアレイ検出器において、前記複数の散乱光検出素子が、前記透過光検出素子を共通の中心にしてそれぞれ同心円状に、円弧状で、かつ、中心から遠ざかるにしたがってその半径方向の寸法が漸次増大するよう一つの半径方向に形成されるとともに、扇形角が互いに等しく構成された複数の散乱光検出素子と、その複数の散乱光検出素子の外側にて前記半径方向の外側にいくにしたがって扇形角が徐々に小さくなるように構成された複数の散乱光検出素子とで形成されることにより、予め設定されたウェハの幅内において最大の扇形角を得られるよう形成されていることを特徴とするアレイ検出器。
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