JP3655976B2 - 低電力型高速トランジスタ駆動回路 - Google Patents

低電力型高速トランジスタ駆動回路 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高速スイッチング動作を行う駆動回路に係り、特に、高速動作を確保しつつ消費電力の低減を図った低電力型高速トランジスタ駆動回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
図3には、この種のトランジスタ駆動回路の一例が示されており、以下、同図を参照しつつこのトランジスタ駆動回路について概略的に説明する。
このトランジスタ駆動回路は、いわゆるドライバ段をなす第1のアンプ30と、出力トランジスタ31と、スピードアップ回路32とを主たる構成要素としてなるもので、入力信号は、第1のアンプ30により増幅され、出力トランジスタ31のベースに印加されることにより、この出力トランジスタ31のコレクタ側に接続された負荷抵抗(図示せず)において増幅出力として取り出されるようになっているものである。
【0003】
このような構成においては、出力トランジスタ31のコレクタ電位は、負荷抵抗の増大と共に低下して出力トランジスタ31の飽和を招く傾向にある。
そして、このような出力トランジスタ31の飽和状態において、仮に、第1のアンプ30への入力がなくなると、理想的には出力トランジスタ31が即座に非導通状態となることが望ましいが、現実には、ベースとコレクタとの間に蓄積された電荷により、飽和状態からの復帰に時間を必要とし、そのため、いわゆる駆動速度の低速化を招くこととなる。
【0004】
このため、この駆動回路においては、このような出力トランジスタ31における、導通状態から非導通状態への切り替わり時間を速めるためスピードアップ回路32が設けられている。
すなわち、このスピードアップ回路32は、第2のアンプ33と、短絡用トランジスタ34とを主たる構成要素としてなるもので、第2のアンプ33は、反転増幅器となっており、第1のアンプ30への信号入力が零となると、短絡用トランジスタ34を導通状態とする信号を出力するようになっているものである。
短絡用トランジスタ34は、そのコレクタが出力トランジスタ31のベースに、エミッタがアースに、それぞれ接続されおり、出力トランジスタ31のベースとアース間に設けられた抵抗35に対して、短絡用トランジスタ34のコレクタ・エミッタ間が並列接続された状態となっている。
【0005】
したがって、短絡用トランジスタ34が導通状態となることによって、出力トランジスタ31のベースに蓄積された電荷が、この短絡用トランジスタ34を介してアースに放出されることとなり、出力トランジスタ31が導通状態から非導通状態へ遷移するに要する速度の向上が図ることができるようになっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の従来の駆動回路においては、スピードアップ回路32によって、出力トランジスタ31のいわゆるオン・オフ速度の確保、向上はなされるものの、第1のアンプ30への入力信号が無い場合、換言すれば、入力信号が論理値Lowの状態にある間、スピードアップ回路32の第2のアンプ33からは、出力トランジスタ31が完全に非導通状態となった後までも、論理値Highに相当する信号が出力され続けるようになっているため、駆動回路全体としての消費電力が増大してしまい、折角の駆動速度の向上という効果も半減してしまうという問題があった。
【0007】
本発明は、上記実状に鑑みてなされたもので、高速スイッチングが可能で、かつ、低消費電力の低電力型高速トランジスタ駆動回路を提供するものである。
本発明の他の目的は、いわゆるバッテリーでの駆動も可能な低電力型高速トランジスタ駆動回路を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明に係る低電力型高速トランジスタ駆動回路は、入力信号に応じて導通、非導通状態とされる出力トランジスタと、該出力トランジスタの導通状態から非導通状態への遷移速度を速めるスピードアップ回路と、スピードアップ回路の動作を、前記入力信号が論理値Highに相当する状態から論理値Lowに相当する状態となった際の所定時間に限定する動作制御手段と、を具備し、該動作制御手段は、前記入力信号が論理値Highに相当する状態の間のみ、前記入力信号の大きさに応じた電荷蓄積を行い、前記入力信号が論理値Lowに相当する状態となったときには、前記電荷を放電可能とする電荷蓄積手段と、前記入力信号が論理値Highに相当する状態の場合には、この入力信号によって動作状態となり、前記スピードアップ回路を非動作状態とし、前記入力信号が論理値Lowに相当する状態となったときには、前記電荷蓄積手段からの放電電荷によって動作状態となり、前記スピードアップ回路を動作状態とする制御手段と、を具備してなる低電力型高速トランジスタ駆動回路であって、前記制御手段は、2つのトランジスタを用いてなる差動増幅回路を有してなり、当該差動増幅回路は、一方のトランジスタのベース側に入力信号に相当する信号が、他方のトランジスタには所定の基準電圧が印加されるよう構成され、かつ、基準電圧は、入力信号が論理値Highに相当する場合、一方のトランジスタのベース電圧より小となるように設定され、前記2つのトランジスタのエミッタ側は、相互に接続されてこれら2つのトランジスタのエミッタ電流を制御する第3のトランジスタのコレクタに接続され、当該第3のトランジスタのエミッタはアースに接続され、前記他方のトランジスタのコレクタ側には、当該他方のトランジスタが導通状態となった場合に導通状態となり、前記スピードアップ回路の入力段へ電源供給が行われるようコレクタとエミッタとが電流源と前記スピードアップ回路の入力段に、それぞれ接続された制御用トランジスタが接続されてなるものであって、前記電荷蓄積手段は、前記差動増幅回路を構成する2つのトランジスタの内、一方のトランジスタのベースとアース間に、直列接続されたダイオードとコンデンサとからなり、前記ダイオードのアノードは、前記一方のトランジスタのベース側に接続され、当該ダイオードのカソードと前記コンデンサの一端とが接続されると共に、このダイオードとコンデンサの接続点は、前記第3のトランジスタのベースに接続されてなるものである。
【0009】
かかる構成においては、動作制御手段により、スピードアップ回路の動作時間が所定の時間に限定されるため、従来と異なり、出力トランジスタが完全に非導通状態となった後にも、スピードアップ回路が動作状態を続けるようことが回避され、不要な電力消費がなくなることとなり、駆動速度を高めつつ、消費電力の少ない駆動回路が提供されることとなるものである。
【0010】
また、ダイオードが、そのアノード側が差動増幅回路を構成する第1のトランジスタのベース側となるようにしてコンデンサと直列接続されることにより、第1のトランジスタが導通状態となる間は、ダイオードを介してコンデンサが充電され、入力信号が論理値Lowに相当する状態となったことに対応して、ダイオードのアノード側が論理値Lowに相当する状態となると、ダイオードが非導通状態となり、コンデンサの電荷は、第3のトランジスタに所定の時定数で供給されることとなるので、この間、差動増幅回路の動作を確保することができ、この差動増幅回路の動作に路が電源供給を受け、スピードアップ回路の本来の動作が先の時定数に対応する所定時間の間なされることとなるものである。
【0011】
請求項2記載の発明に係る低電力型高速トランジスタ駆動回路は、請求項1記載のスピードアップ回路は、出力トランジスタのベースとアース間を、動作制御手段の出力信号に応じて所定時間短絡状態とするスイッチング素子を用いてなるものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図1乃至図2を参照しつつ説明する。
なお、以下に説明する部材、配置等は本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。
最初に、図1を参照しつつ第1の例について説明する。
この低電力型高速トランジスタ駆動回路は、いわゆるドライバ段としての第1のアンプ(図1においては「A1」と表記)1と、出力トランジスタ2と、スピードアップ回路3と、動作制御回路4とに大別されてなるものである。
第1のアンプ1は、入力信号を緩衝増幅して出力するもので、その出力端は、第1のダイオード5を介して出力トランジスタ2のベースに接続されている。
また、この第1のアンプ1の出力信号は、後述する動作制御回路4へ印加されるようにもなっている。
【0013】
出力トランジスタ2は、この低電力型高速トランジスタ駆動回路の最終段であり、上述の第1のアンプ1からの増幅信号がベースに印加されることにより、動作する(導通状態となる)ようになっているもので、ベースとアース間には、バイアス抵抗6が接続され、エミッタはアースに接続されており、コレクタ側に負荷(図示せず)が接続されることによりこの負荷に出力信号が得られるようになっている。なお、この第1の例においては、出力トランジスタ2としてnpn型トランジスタが用いられている。
【0014】
スピードアップ回路3は、第2のアンプ(図においては「A2」と表記)7と短絡用トランジスタ8とを主たる構成要素としてなるもので、第2のアンプ7の入力端には、後述する動作制御回路4を構成する制御用トランジスタ14のコレクタが接続されている。また、第2のアンプ7の出力端は、短絡用トランジスタ8のベースに接続され、この短絡用トランジスタ8のコレクタは、出力トランジスタ2のベースに、エミッタは、アースに、それぞれ接続された構成となっている。そして、後述するように、動作制御回路4の動作により、第2のアンプ7に入力信号が印加されると、この第2のアンプ7により短絡用トランジスタ8のベース電流が供給され、短絡用トランジスタ8が導通状態となるようになっている。なお、この第1の例において、短絡用トランジスタ8は、npn型トランジスタが用いられている。また、短絡用トランジスタ8は、請求項2記載のスッチング素子を実現するものである。
【0015】
動作制御回路4は、第1及び第2のトランジスタ9,10による差動増幅回路を中心になるものである。
すなわち、npn型の第1及び第2のトランジスタ9,10は、相互にエミッタが接続されて、これら第1及び第2のトランジスタ9,10のエミッタ電流を制御するnpn型の第3のトランジスタ11のコレクタに接続される一方、第1のトランジスタ9のコレクタには、定電流源12から電源電流が供給されるようになっており、第2のトランジスタ10のコレクタには、コレクタ抵抗13を介して定電流源12から電源電流が供給されるようになっている。
また、第2のトランジスタ10のコレクタは、pnp型の制御用トランジスタ14のベースに接続されており、この制御用トランジスタ14のエミッタは、定電流源12に、コレクタは、第2のアンプ7の入力端に、それぞれ接続されたものとなっている。
【0016】
一方、第1のトランジスタ9のベースには、第1のアンプ1の出力信号が、第2のトランジスタ10のベースには、基準電圧Vrefが、それぞれ印加されるようになっており、この第1及び第2のトランジスタ9,10は、第1のトランジスタ9のベースに印加された入力信号と第2のトランジスタ10のベースに印加された基準電圧に対して差動増幅を行うようになっている。
【0017】
さらに、第1のトランジスタ9のベースとアースとの間には、第2のダイオード15及びコンデンサ16が、第2のダイオード15のアノードが第1のトランジスタ9のベース側となるようにして直列接続されると共に、第2のダイオード15とコンデンサ16との接続点は、第3のトランジスタ11のベースに接続されている。そして、この第3のトランジスタ11のベースとアースとの間には、バイアス抵抗17が接続される一方、エミッタはアースに接続されている。
【0018】
次に、上記構成における低電力型高速トランジスタ駆動回路の動作について説明する。
まず、第1のアンプ1に論理値Highに相当する入力信号が印加されると、増幅された信号が出力トランジスタ2のベースに印加され、出力トランジスタ2は、導通状態となり、そのコレクタ側に接続された負荷(図示せず)に負荷電流が流れて出力信号が取り出されることとなる。
一方、この状態において、動作制御回路4の基準電圧Vrefは、第1のアンプ1の出力電圧V1よりも小(V1>Vref)となるように予め設定されており、また、第2のダイオード15を介して第3のトランジスタ11のベースには、第3のトランジスタ11を導通状態とする電流が供給されるため、第1のトランジスタ9が動作状態となる一方、第2のトランジスタ10は、非動作状態となり、制御用トランジスタ14のベース電位は、略電源電圧Vccとなる。そのため、制御用トランジスタ14は、非動作状態となり、第2のアンプ7の入力段へは電流が供給されない状態となる。そのため、第2のアンプ7の出力側、すなわち、短絡用トランジスタ8のベースは、論理値Lowに相当する電位とされ、短絡用トランジスタ8は非動作状態となるので、出力トランジスタ2の導通状態には、何等悪影響を及ぼすことがない。
また、この状態において、動作制御回路4のコンデンサ16には、第2のダイオード15を介して電荷が蓄積されることとなる。
【0019】
一方、第1のアンプ1への入力信号が論理値Highに相当する状態から論理値Lowに相当する状態となると、出力トランジスタ2のベースも論理値Lowに相当する電位となるため、出力トランジスタ2は、導通状態から非導通状態へ遷移することとなる。
この際、第2のダイオード15のアノード側は、論理値Lowに相当する電位であり、カソード側は、先に述べたようにコンデンサ16に蓄積された電荷によって、所定の正の電位となるため、第2のダイオード15は、非導通状態となり、第3のトランジスタ11ベースには、コンデンサ16の蓄積電荷によるベース電流の供給がなされることとなる。
【0020】
そして、この場合の第1のトランジスタ9のベース電圧、すなわち、第1のアンプ1の論理値Lowに相当する出力電圧V1は、先の基準電圧Vrefに対して、予めV1<Vrefの関係となるよう設定されていることから、先の場合とは逆に、第1のトランジスタ9が非動作状態となる一方、第2のトランジスタ10が動作状態となる。
ここで、第3のトランジスタ11が、コンデンサ16の電荷によりベース電流の供給を受けるのは、このコンデンサ16の容量と、バイアス抵抗17の抵抗値と、第3のトランジスタ11の導通状態における等価抵抗値並びに第3のトランジスタ11のベース電流値とから定まるいわゆる時定数に比例した比較的短い時間だけとなる。
【0021】
したがって、第2のトランジスタ10も同一時間の間だけ動作状態となり、この間、制御用トランジスタ14のベース電位が、低下して制御用トランジスタ14は動作状態となるため、この制御用トランジスタ14を介してスピードアップ回路3の第2のアンプ7の入力段に電流が供給されることとなる。
この結果、短絡用トランジスタ8が導通状態となり、この短絡用トランジスタ8を介して出力トランジスタ2のベースがアースに接続され、出力トランジスタ2が導通状態の際にベースに蓄積された過剰キャリアがアースへ放出されることとなるために、出力トランジスタ2は、素早く導通状態から非導通状態へ遷移できることとなる。
【0022】
そして、第3のトランジスタ11が先の時定数により定まる時間経過後に非導通状態となると、制御用トランジスタ14も非導通状態となるため、第2のアンプ7の入力段への電流供給は断たれ、出力トランジスタ2が非導通状態となった後における、第2のアンプ7におけ必要以上の増幅動作が停止されることにより、第2のアンプ7における電力消費が低減されることとなり、また、短絡用トランジスタ8が非導通状態となって、ここでの電力消費がなくなる。
【0023】
次に、第2の例について、図2を参照しつつ説明する。
この第2の例は、先に図1に示された第1の例における第1のアンプ1及び第2のアンプ7の部分の具体的構成例を示したもので、他の部分は、基本的には、図1に示された回路例と同一のものである。
以下の説明においては、図1の構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略し、異なる点を中心に説明することとする。
【0024】
まず、先の図1における第1のアンプ1に対応する部分は、npn型の第5のトランジスタ20を中心に構成されている。
すなわち、第5のトランジスタ20のベースには、並列接続された入力抵抗21と入力コンデンサ22とを介して外部から入力信号が印加されるようになっており、さらに、第5のトランジスタ20のベースとエミッタ間には、抵抗23が接続されている。
また、第5のトランジスタ20のコレクタは、定電流源12に接続される一方、エミッタは、第1のダイオード5のアノード及び第2のダイオード15のアノード並びに第1のトランジスタ9のベースに接続されて、第5のトランジスタ20の増幅信号が、これら第1及び第2のダイオード5,15並びに第1のトランジスタ9にそれぞれ印加されるようになっている。
【0025】
一方、この第5のトランジスタ20が第1のトランジスタ9の前段に設けられたことによって、この低電力型高速トランジスタ駆動回路の入力端でみた第1のトランジスタ9のベース電圧V1が、第5のトランジスタ20のベース・エミッタ間電圧分だけ高くなるため、このシフト分を相殺するため、第1のトランジスタ9のコレクタ側には、ダイオードとして作用するようにベースとコクレタとが接続されたpnp型のレベルクランプ用トランジスタ24のコレクタ及びベースが接続され、このレベルクランプ用トランジスタ24のエミッタは、定電流源12に接続されている。また、レベルクランプ用トランジスタ24のベースは、抵抗25を介して定電流源12に接続されるようになっている。
【0026】
さらに、この第2の例においては、先の図1における第2のアンプ7に対応する回路が省略されている。すなわち、短絡用トランジスタ8のベースには、制御用トランジスタ14のコレクタが直接接続されると共に、バイアス抵抗26を介してアースされるようになっている。
【0027】
次に、上記構成における動作について説明する。
まず、第5のトランジスタ20へ、入力抵抗21及び入力コンデンサ22を介して論理値Highに相当する入力信号が印加されると、増幅された信号が出力トランジスタ2のベースに印加され、出力トランジスタ2は、導通状態となり、そのコレクタ側に接続された負荷(図示せず)に負荷電流が流れて出力信号が取り出されることとなる。
一方、この状態において、動作制御回路4の基準電圧Vrefは、第1のアンプ1の出力電圧V1よりも小(V1>Vref)となるように予め設定されており、また、第2のダイオード15を介して第3のトランジスタ11のベースには、第3のトランジスタ11を導通状態とする電流が供給されるため、第1のトランジスタ9が動作状態となる一方、第2のトランジスタ10は、非動作状態となり、制御用トランジスタ14のベース電位は、略電源電圧Vccとなる。そのため、制御用トランジスタ14は、非動作状態となり、短絡用トランジスタ8のベースには、制御用トランジスタ14を介しての電流供給がなされない状態となる。そのため、短絡用トランジスタ8は非動作状態となるので、出力トランジスタ2の導通状態には、何等悪影響を及ぼすことがない。
また、この状態において、動作制御回路4のコンデンサ16には、第2のダイオード15を介して電荷が蓄積されることとなる。
【0028】
一方、第5のトランジスタ20のベースへの入力信号が、論理値Highに相当する状態から論理値Lowに相当する状態となると、出力トランジスタ2のベースも論理値Lowに相当する電位となるため、出力トランジスタ2は、導通状態から非導通状態へ遷移することとなる。
この際、第2のダイオード15のアノード側は、論理値Lowに相当する電位であり、カソード側は、先に述べたようにコンデンサ16に蓄積された電荷によって、所定の正の電位となるため、第2のダイオード15は、非導通状態となり、第3のトランジスタ11ベースには、コンデンサ16の蓄積電荷によるベース電流の供給がなされることとなる。
【0029】
そして、この場合の第1のトランジスタ9のベース電圧、すなわち、第5のトランジスタ20からの論理値Lowに相当する出力電圧V1は、先の基準電圧Vrefに対して、予めV1<Vrefの関係となるよう設定されていることから、先の場合とは逆に、第1のトランジスタ9が非動作状態となる一方、第2のトランジスタ10が動作状態となる。
ここで、第3のトランジスタ11が、コンデンサ16の電荷によりベース電流の供給を受けるのは、このコンデンサ16の容量と、バイアス抵抗17の抵抗値と、第3のトランジスタ11の導通状態における等価抵抗値並びに第3のトランジスタ11のベース電流値とから定まるいわゆる時定数に比例した比較的短い時間だけとなる。
【0030】
したがって、第2のトランジスタ10も同一時間の間だけ動作状態となり、この間、制御用トランジスタ14のベース電位が低下して制御用トランジスタ14は動作状態となるため、この制御用トランジスタ14を介してスピードアップ回路3の短絡用トランジスタ8のベース電流が供給され、短絡用トランジスタ8は導通状態となる。このため、短絡用トランジスタ8を介して出力トランジスタ2のベースがアースに接続され、出力トランジスタ2が導通状態の際にベースに蓄積された過剰キャリアがアースへ放出されることとなるために、出力トランジスタ2は、素早く導通状態から非導通状態へ遷移できることとなる。
【0031】
そして、第3のトランジスタ11が先の時定数により定まる時間経過後に非導通状態となると、制御用トランジスタ14も非導通状態となるため、短絡用トランジスタ8への電流供給は断たれ、短絡用トランジスタ8が非導通状態となり、必要以上の短絡用トランジスタ8における電力消費がなくなることとなる。
【0032】
なお、上述した発明の実施の形態における回路構成に用いたトランジスタの種類は、あくまでも一例であり、これらに限定される必要はなく、例えば、npn型トランジスタを、pnp型に、pnp型トランジスタを、npn型に、それぞれ変えても、バイアス等を対応して変えることにより、基本的には、同様な回路構成で同様な動作の低電力型高速トランジスタ駆動回路を実現することができるものである。また、バイポーラトランジスタ以外のトランジスタを用いても、同様な低電力型高速トランジスタ駆動回路を実現することができるものである。
【0033】
【発明の効果】
以上、述べたように、本発明によれば、入力信号が論理値Lowに相当する状態にある場合の消費電力を極力低減し、かつ、出力トランジスタの高速駆動が確保されるように構成することにより、従来と異なり、出力トランジスタが導通状態から非導通状態へ遷移した際の所定時間の間だけ、スピードアップ回路に電流が供給されて動作することとなるため、出力トランジスタが完全に非導通状態となった後までも、スピードアップ回路における従来のような無駄な電力消費がなくなるため、低電力で、しかも、高速駆動が可能な駆動回路を提供することができる。
また、このように低電力であるため、例えば、バッテリー駆動型の装置における駆動回路に適するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における低電力型高速トランジスタ駆動回路の第1の回路例を示す回路図である。
【図2】本発明の実施の形態における低電力型高速トランジスタ駆動回路の第2の回路例を示す回路図である。
【図3】従来の駆動回路の回路例を示す回路図である。
【符号の説明】
1…第1のアンプ
2…出力トランジスタ
3…スピードアップ回路
4…動作制御回路
8…短絡用トランジスタ
14…制御用トランジスタ
15…第2のダイオード
16…コンデンサ

Claims (2)

  1. 入力信号に応じて導通、非導通状態とされる出力トランジスタと、該出力トランジスタの導通状態から非導通状態への遷移速度を速めるスピードアップ回路と、スピードアップ回路の動作を、前記入力信号が論理値Highに相当する状態から論理値Lowに相当する状態となった際の所定時間に限定する動作制御手段と、を具備し
    該動作制御手段は、前記入力信号が論理値Highに相当する状態の間のみ、前記入力信号の大きさに応じた電荷蓄積を行い、前記入力信号が論理値Lowに相当する状態となったときには、前記電荷を放電可能とする電荷蓄積手段と、
    前記入力信号が論理値Highに相当する状態の場合には、この入力信号によって動作状態となり、前記スピードアップ回路を非動作状態とし、前記入力信号が論理値Lowに相当する状態となったときには、前記電荷蓄積手段からの放電電荷によって動作状態となり、前記スピードアップ回路を動作状態とする制御手段と、を具備してなる低電力型高速トランジスタ駆動回路であって、
    前記制御手段は、2つのトランジスタを用いてなる差動増幅回路を有してなり、当該差動増幅回路は、一方のトランジスタのベース側に入力信号に相当する信号が、他方のトランジスタには所定の基準電圧が印加されるよう構成され、かつ、基準電圧は、入力信号が論理値Highに相当する場合、一方のトランジスタのベース電圧より小となるように設定され、
    前記2つのトランジスタのエミッタ側は、相互に接続されてこれら2つのトランジスタのエミッタ電流を制御する第3のトランジスタのコレクタに接続され、当該第3のトランジスタのエミッタはアースに接続され、前記他方のトランジスタのコレクタ側には、当該他方のトランジスタが導通状態となった場合に導通状態となり、前記スピードアップ回路の入力段へ電源供給が行われるようコレクタとエミッタとが電流源と前記スピードアップ回路の入力段に、それぞれ接続された制御用トランジスタが接続されてなるものであって、
    前記電荷蓄積手段は、前記差動増幅回路を構成する2つのトランジスタの内、一方のトランジスタのベースとアース間に、直列接続されたダイオードとコンデンサとからなり、前記ダイオードのアノードは、前記一方のトランジスタのベース側に接続され、当該ダイオードのカソードと前記コンデンサの一端とが接続されると共に、このダイオードとコンデンサの接続点は、前記第3のトランジスタのベースに接続されてなることを特徴とする低電力型高速トランジスタ駆動回路。
  2. 前記スピードアップ回路は、前記出力トランジスタのベースとアース間を、前記動作制御手段の出力信号に応じて所定時間短絡状態とするスイッチング素子を用いてなることを特徴とする請求項1記載の低電力型高速トランジスタ駆動回路。
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