JP3655226B2 - カートリッジに予めパック詰めされたコーヒー粉末からコーヒー飲料を抽出するためのコーヒーマシン - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カートリッジ底部を有するカートリッジに予めパック詰めされたコーヒー粉末からコーヒーを抽出するためのコーヒーマシンに関するものであり、このコーヒーマシンは、カートリッジ底部に開口部を形成するための穿孔手段を具えるものである。
【０００２】
【従来の技術】
カートリッジに予めパック詰めしたコーヒー粉末からコーヒーを抽出するため、これまでは、主に半自動型のコーヒーマシンが使用されており、このコーヒーマシンでは、カートリッジを、キャップを下に向けてシーブホルダー内に挿入し、それによって、後でシーブホルダーを手動でコーヒーマシンに固定しなければならなかった。コーヒーマシンは抽出用ピン部材を具え、このピン部材には抽出用の水のために半径方向に出口開口部が設けられ、パックホルダー固定部の領域に配置される。シーブホルダーをコーヒーマシンに固定した時、抽出用ピン部材はカートリッジの底部を貫通する。シーブホルダー自体に、その底部に多数の突起が設けられている。これら突起はカートリッジのキャップを貫通して孔を開け、孔が開けられると直ちにシーブホルダーへ抽出用の水が供給される。それによって、カートリッジは過剰の水圧の影響下でこれら突起に対して押圧される。連続的な抽出操作において、抽出用の水は抽出用ピン部材によってカートリッジ内に供給され、それゆえ、水はカートリッジ内に収容されたコーヒー粉末を通過して流れ、キャップに設けられた孔を通してカートリッジ内部から流出する。新たに抽出されたコーヒー飲料は、シーブホルダーの下側に配置された出口を通して流出させることができる。
【０００３】
最近、全自動型のコーヒーマシンが利用できるようになっている。このコーヒーマシンにおいては、予めパック詰めされたコーヒー粉末を収容したカートリッジを、多数のカートリッジを収容したマガジンから取り出し、当該コーヒーマシンの抽出チャンバーへと移動させる。この抽出チャンバーの底部には穿孔部材が配置されているが、この穿孔部材は抽出チャンバーを閉鎖したときにカートリッジの底部に溝を設けるためのものである。これらの溝を通して、抽出用の水はカートリッジ内部へと流入することができる。抽出チャンバーを閉鎖するために、こうしたコーヒーマシンは移動可能な閉鎖部材を具え、この閉鎖部材には、その下面に、抽出チャンバーと対面する多数の突起が配置されている。一旦、抽出チャンバーがこの閉鎖部材によって閉鎖されると、抽出用の水が前述した方法によって加圧下で抽出チャンバー内へ導入される。それゆえ、水力学的な過剰圧がカートリッジを収容した抽出チャンバー内で発生し、そのためカートリッジは上述した突起を設けた閉鎖部材の下面に対して押圧され、その結果これら突起はカートリッジのカバーを貫通して孔を開ける。
【０００４】
通常、こうした全自動型コーヒーマシンの抽出チャンバーは、操作する者が洗浄を行うために何ら工具を使わずに容易に取り出すことができるように、使用者が取り外し可能なモジュールの部品となっている。そのため、操作する者が、例えば指を抽出チャンバーに差し入れた場合に、抽出チャンバー底部に配置された、ほぼナイフ形状の上述した穿孔部材で負傷し得えないことが保証されなければならない。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の目的は、こうした負傷の危険性が避けられる、あるいは少なくともほとんど排除される、カートリッジに予めパック詰めされたコーヒー粉末からコーヒー飲料を抽出するためのコーヒーマシンを提供することにある。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
このことおよび他の目的のため、本発明が提供する、カートリッジに予めパック詰めされたコーヒー粉末からコーヒー飲料を抽出するためのコーヒーマシンは、カートリッジを収容するのに適合された抽出チャンバーを具え、この抽出チャンバーは、カートリッジのカートリッジ底部に少なくとも一つの開口部を形成するために適合された、抽出チャンバー内へ突出する穿孔部材を有する。保護部材は、休止位置と作動位置との間を穿孔部材に対して移動可能である。保護手段は、一旦休止位置に位置すると、穿孔部材へのアクセスを禁止するように適合されている。
【０００７】
休止位置と作動位置との間を穿孔部材に対して移動可能な保護部材を設けることにより、保護部材が休止位置にある場合には穿孔部材へのアクセスが禁止され、コーヒーマシンを操作する者が負傷する危険性が最大限に避けられることとなる。望ましくは、保護部材は、抽出チャンバーが閉鎖している間、上述した閉鎖部材によって休止位置から作動位置へと移動し、それによってカートリッジ底部には、保護部材が作動位置にあるときに、穿孔部材の影響の下に溝が設けられることとなる。
【０００８】
【発明の実施の形態】
以下において、本発明に係るコーヒーマシンの一実施形態を、添付図面を参照して更に説明する。
【０００９】
図1は、予めカートリッジ10内にパック詰めされたコーヒー粉末からコーヒーを抽出するための、好ましくは全自動型コーヒーマシンの抽出組立体を模式的に示す長手方向断面図である。望ましくは、抽出組立体は図示しない閉鎖ピストンと共に、容易に取り外しが可能なスライド式のモジュール上に配置され、このモジュールは何らの道具無しに容易にコーヒーマシンから取り外しができ、洗浄した後に再度コーヒーマシン内に挿入される。
【００１０】
抽出組立体は抽出チャンバーハウジング1を具え、このハウジング内には、実際の抽出チャンバー14を構成する抽出チャンバー部分2，3が配置される。本例においては、上側抽出チャンバー部分3が、下側抽出チャンバー部分2上に垂直かつ同心に配置される。上側チャンバー部分3は下側抽出チャンバー部分2に対して軸線方向に移動可能であり、それによって上側チャンバー部分3は、この上側チャンバー部分3を押圧するばね部材4によって、図1に示すように止め部材に抗して上側の休止位置へと付勢される。
【００１１】
抽出チャンバー14を閉鎖するためには、まず抽出チャンバーハウジング1を旋回させ、その後閉鎖ピストン（図示せず）に対して上昇させる。なお、抽出チャンバーハウジング1を旋回させるために必要な操作手段は図示していない。抽出チャンバー14の底部には３個の穿孔部材8が設けられ、これら穿孔部材は傾斜したナイフ刃形状を有し、カートリッジ10の背面を穿孔するのに適合されている。しかしながら、図1の断面図では３個の穿孔部材8の内、２個だけが見えていることに注意されたい。上側チャンバー部分3には延長部材16が設けられ、その形状は本質的にカートリッジ10の外形と一致している。延長部材16は中央開口部17を具え、その縁部には半径方向に延在する窪み18が設けられている。
【００１２】
図2は、図１に示す抽出組立体の模式的な上面図である。本図では、特に３個の穿孔部材8および中央開口部17ならびに窪み18が明瞭に見えている。
【００１３】
延長部材16は、コーヒーマシンを操作する者、特にその者の指が穿孔部材によて負傷するのを防ごうとするものである。中央開口部17の直径ならびに窪みの長さは、通常の環境の元で、成人の指が押されても、穿孔部材によって操作する者が負傷し得る位に開口部17内へ軸線方向に入り込むことができたり、また窪み18へ横方向に通過することができたりしないように選択される。本例においては、中央開口部17の直径は約13mmであり、窪み8の平均長さは約5mmである。
【００１４】
抽出チャンバーハウジング1を持ち上げると、閉鎖ピストン（図示せず）は抽出チャンバーハウジング1内部へ進入して上側チャンバー部分3の上部と当接し、それによって上側チャンバー部分3はカートリッジ10および延長部材16と共に、ばね部材4の偏向力に抗して下方へ移動する。カートリッジ10の一方の側では延長部材16との、他方の側では穿孔部材8との相対的な移動により、穿孔部材8はカートリッジ10の底部を貫通し、カートリッジ底部に溝を形成する。それゆえ、ナイフ状の穿孔部材8の傾斜した配置により、カートリッジ10の底部には長手方向の溝Ｓが設けられることとなり、この溝の長さは、対応する穿孔部材8の幅よりも長くなっている。
【００１５】
抽出チャンバーハウジング1の上端部において、上側チャンバー部分3の下部が下側抽出チャンバー部分2の下部と当接し、閉鎖ピストン（図示せず）はカートリッジ10を、その縁部12が上側チャンバー部分3に設けたシール部材6に対して静止するように下方へ押圧する。それゆえカートリッジ10の前部は、その後部に対して水力学的に密封されることとなる。
【００１６】
一旦カートリッジ10が孔開けされ、カートリッジ10の前部が後部に対して水力学的に密封されると、抽出用の水が抽出チャンバー14内へ導入することが可能となる。抽出用の水は開口部17および窪み18を通してカートリッジ10の後部へ流入することができ、その結果カートリッジ10は閉鎖部材に対して上向きに水力学的に押圧される。それによって、閉鎖部材（図示せず）に設けた突起はカートリッジ10のカバー11に対して押圧され、カバー11に孔を開ける。ここで、抽出用の水は、穿孔部材8によって形成された溝Ｓを通してカートリッジ10内部へ流入可能となる。抽出用の水はカートリッジ10外部からその内部へと流れると言う事実により、さらにカートリッジの底部には狭い溝が形成されるのみであると言う事実により、実際の抽出作業中にコーヒー粉末がカートリッジ10から流出せず、その結果、コーヒーマシンはほとんど汚染されない。最後に、抽出されたコーヒー飲料はカートリッジ10のカバー11の開口部を通してカートリッジ10内部から流出することができ、図示しない導管を通って、コーヒー飲料出口へと流れる。
【００１７】
コーヒー抽出作業の後、抽出チャンバーハウジング1は再度下げられ、初期位置へと逆方向へ旋回させられる。ここで、使用済みのコーヒー粉末を収容したカートリッジ10は、図示しない適当な手段、例えばプッシュロッドを開口部17を通して抽出チャンバー14へ挿入し、カートリッジ10を、抽出チャンバーが傾斜位置にある場合には重力の影響下で、あるいは動力式駆動手段により、このカートリッジが抽出チャンバー14から取り出せるように持ち上げることにより排出する。カートリッジを取り出すために抽出チャンバー14内へ移動させるのに適合させた部材を具えるこうした動力式駆動手段が必要な場合にのみ、開口部17が必要であることを理解されたい。こうした取り出し手段が設けられていない場合には、開口部17を設けないこととすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図１】 抽出用に予めコーヒー粉末をパック詰めしたコーヒーカートリッジを挿入した、初期状態にある抽出組立体を模式的に示す長手方向断面図である。
【図２】 図１の抽出組立体の模式的な上面図である。
【符号の説明】
1 抽出チャンバーハウジング
2 下側抽出チャンバー部分
3 上側抽出チャンバー部分
4 ばね部材
8 穿孔部材
10 カートリッジ
14 抽出チャンバー
16 延長部材
17 中央開口部
18 窪み

Claims (9)

1. カートリッジ底部を有するカートリッジ手段に予めパック詰めされたコーヒー粉末からコーヒー飲料を抽出するためのコーヒーマシンであって、前記カートリッジ手段を収容するのに適合させた抽出チャンバー手段と、前記抽出チャンバー手段内へ突出し、前記カートリッジ手段の前記カートリッジ底部に少なくとも一つの開口部を形成するのに適合させた穿孔手段とを具え、
   休止位置と作動位置との間を前記穿孔手段に対して移動可能な保護手段を設け、この保護手段が、一旦その休止位置に達すると、前記穿孔手段へのアクセスを禁止するように適合されていることを特徴とする、コーヒーマシン。
2. 前記保護手段が、抽出チャンバー閉鎖手段が前記抽出チャンバーを閉鎖している際に、この抽出チャンバー閉鎖手段によって休止位置から作動位置へと移動することを特徴とする、請求項１記載のコーヒーマシン。
3. 第一の上側抽出チャンバー部分および第二の下側抽出チャンバー部分を収容するのに適合させた抽出チャンバーハウジング手段をさらに具え、前記第一および第二の抽出チャンバー部分が前記抽出チャンバー手段を規定し、それによって前記第一および第二の抽出チャンバー部分が互いに相対的に軸線方向に移動可能であることを特徴とする、請求項１記載のコーヒーマシン。
4. 前記第一の上側抽出チャンバー手段を付勢し、それによって前記第一の上側抽出チャンバー手段を前記第二の下側抽出チャンバー手段から離間した休止位置に位置させるばね手段をさらに具え、それによって前記保護手段が前記第一の上側抽出チャンバー手段と一体に形成された延長部手段の形状を取ることを特徴とする、請求項３記載のコーヒーマシン。
5. 前記第一の上側抽出チャンバー手段が前記カートリッジ手段を垂直方向に支持するための支持手段を具えることを特徴とする、請求項３記載のコーヒーマシン。
6. 前記抽出チャンバー閉鎖手段が、前記第一の上側抽出チャンバー手段を、これに収容されたカートリッジ手段と共に移動させ、かつ、前記抽出チャンバー手段が閉鎖され、前記穿孔手段が前記カートリッジ底部を孔開けするまで、前記支持手段によって前記第二の下側抽出チャンバー手段へ向けて垂直方向に支持するように適合させたことを特徴とする、請求項２，３および５記載のコーヒーマシン。
7. 前記穿孔手段が円形に配置した多数の穿孔部材手段を具え、それによって前記保護手段が中央開口部手段ならびに多数の横方向の窪みを具え、これら窪みの数および位置が前記多数の穿孔部材手段と一致することを特徴とする、請求項１記載のコーヒーマシン。
8. 前記穿孔部材手段が前記カートリッジ手段の前記底部に孔を形成するのに適合させた傾斜した穿孔ナイフ手段を具え、前記孔の長さが前記穿孔ナイフ手段の幅の平均値よりも大きいことを特徴とする、請求項７記載のコーヒーマシン。
9. 前記第一の上側抽出チャンバー部分および第二の下側抽出チャンバー部分が、相互に接近するように移動して前記抽出チャンバー手段の範囲を規定するときに、内側形状が前記カートリッジ手段の外形とほぼ一致することを特徴とする、請求項３記載のコーヒーマシン。

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