JP3654535B2 - 無菌性繊維及び繊維構造物 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、病院等で使用する無菌性繊維及び該繊維用いた製品に関する。さらに詳しくは、院内感染を防止する目的で繊維自体に耐性獲得されにくい殺菌性を付与した無菌性繊維及び繊維製品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
最近、合成ペニシリンの一種であるメチシリンをはじめ多くの抗生物質薬剤に対して耐性を獲得した黄色ブドウ球菌(methicillin resistant Staphyloccus aureus;以下MRSAと言う)による疾患が世界的に流行している。MRSAの予防対策の重要な点として、院内感染をいかに有効に行なうかが指摘されている。
【0003】
MRSAに対する消毒・殺菌には、クレゾール、エタノール、アクリノール、グルコン酸クロルヘキシジン等の有機液状消毒剤が使われている。しかし病院等で使用する繊維製品をこれらの消毒剤で処理しても、殺菌効果は一過的である。また、被処理量も膨大であり、頻繁に消毒を実施することは実際上は困難であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
MRSAは広範囲にかつ多岐にわたって分布し検出されている。高齢者医療や易感染性宿主の増加などから組織化された院内感染防止対策が必要とされている。しかし、現状ではMRSA感染症患者や保菌者の隔離や手洗いや消毒を厳重に励行する以外に対処できない状態である。
【0005】
そこで本発明の目的は、MRSA等の抗生物質に対して耐性を獲得しやすい院内感染の恐れのある細菌類に対する消毒・殺菌を有効にかつ簡便に実施できる繊維製品の提供にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は上記目的に鑑みて、各種の消毒・殺菌方法について検討した。その結果、MRSAに関して耐性獲得しない銀イオン担持体からなる殺菌剤を繊維に含有させることにより、繊維を長期間無菌状態に保持できることを見い出し、本発明を完成させたものである。
【0007】
本発明は、銀イオン及び該銀イオンを安定して保持する担持体からなる殺菌剤含有する、抗生物質に対して耐性を獲得しやすい微生物用無菌性繊維。に関する。
【0008】
以下本発明について説明する。
本発明において用いる殺菌剤は、銀イオン及び該銀イオンを安定して保持する担持体からなる。殺菌剤の有効成分である銀イオンは上記担持体に安定して保持されることが必要である。ここで安定に保持されるとは、熱(例えば温度200℃以下)、水(例えば湿度10〜100%)による影響がなく常にイオンの状態であり、金属や酸化物等の非イオン状態に変化しないことを意味する。
【0009】
担持体が銀イオンを保持する安定性は、担持体の銀安定度係数により表すことができる。イオン交換体(担持体)Rにおける銀安定度係数KAgは、ナトリウム(Na)イオンと銀(Ag)イオンとのイオン交換反応R・Na+Ag+ ←→R・Ag+Na+ において平衡に達している時、下記の式により定義される。
KAg=〔イオン交換体中の銀濃度(R・Ag)〕/〔溶液中の銀濃度(Ag+ )〕
【0010】
銀安定度係数は、ナトリウムイオンと銀イオンを等モル存在させた溶液中にイオン交換体(担持体)を加えて、室温下攪拌して平衡に達していることを確認後、イオン交換体(担持体)相と溶液相の銀濃度を測定して得られる。
【0011】
本発明に用いる銀イオンを安定して保持する担持体は、一定量の銀イオンを長時間安定して水等の媒液に供給できるという観点から、上記銀安定度係数KAgが0.2以上、好ましくは15以上、より好ましくは50以上であることが適当である。
【0012】
本発明において銀イオンを安定して保持する担持体は、例えばリン酸ジルコニウム(Zr(HPO4)2 ・nH2O) 、チタン酸カリウム(K2Ti2O5)、ウラン酸カリウム(K2U2O7)、バナジン酸カリウム(KV2O8)、ニオブ酸カリウム(KNbO8)、タングステン酸ナトリウム(Na2W4O13) 、モリブテン酸マグネシウム(Mg2Mo2O7) 等の酸素酸塩、ペンタホウ酸塩(Ca2(B5O9)(OH))、グラファイト(C)、結晶性アルミノケイ酸塩(xR2O・Al2O3 ・ySiO2)、結晶性リン酸アルミニウム(xR2O・Al2O3 ・yP2O5)、ヘキサシアノ鉄酸塩(R[Fe(CN)6]) 、セピオライト(Mg8Si12O30(OH)4(H2O)4)、モンモリロナイト(xR(Al 、Mg)Si4O10(OH)2) 等のゼオライト様物質、β- アルミナ(Al2O3)、含水酸化チタン(TiO4・nH2O) 、ヒドロキシアパタイト(Ca2(PO4)(OH)・nH2O) 等の含水酸化物やスルホン基、カルボキシル基、フェノール性水酸基、アミノ基、第4級アンモニウム基含有のイオン交換樹脂を挙げることができる。このうち銀イオンを安定して多量に保持できる点よりリン酸ジルコニウム、チタン酸カリウム、Si/Al比10以下の結晶性アルミノケイ酸塩、P/Al比10以下の結晶性リン酸アルミニウムがより好ましい。
【0013】
本発明における銀イオン担持体に含まれる銀イオンは0.2〜20重量%、より好ましくは0.5〜15重量%であることが殺菌効果の点より良い。
【0014】
本発明の殺菌剤は、水に対する銀イオンの溶出量が24時間当たり0.05mg/l以上であることが殺菌持続性の観点より好ましい。また該担持体の粒子径は0.2〜15μmとすることが少量で効果的に有効性を発揮できるという観点から好ましい。
【0015】
本発明の殺菌剤は溶解性の高い銀化合物の溶液に担持体粉末を加えて攪拌することによって得ることができる。使用できる銀化合物としては硝酸銀、硫酸銀、過塩素酸銀、酢酸銀、ジアンミン銀硝酸塩、ジアンミン硫酸塩等を挙げることができる。攪拌は10〜80℃、好ましくは40〜60℃で1〜50時間、好ましくは10〜24時間バッチ式又は連続式によって行うことができる。攪拌終了後、担持体を充分水洗したのち60〜170℃で乾燥する。
【0016】
本発明において殺菌剤を繊維に含有させる方法としては、従来より知られている紡糸時練り込み加工法や繊維後加工法(殺菌剤をバインダーと混合し、繊維表面に添着)をいずれも適用できる。このうち洗濯や液体消毒処理で脱離するおそれのない紡糸時練り込み加工法が好ましい。紡糸時練り込み加工法では殺菌剤を0.3〜10重量%練り込むのが好ましい。
【0017】
本発明において殺菌剤を含有させる繊維の素材としては合成繊維、半合成繊維、天然繊維のいずれでもよい。但し、前記紡糸時練り込み加工が可能であり、かつ親水性に富んだ繊維であるアセテート、及びレーヨンが好ましい。
【0018】
本発明の無菌性繊維は、従来より知られている織り、編み、不織布等の方法により織物、編物及び不織布等の繊維構造物に加工することができる。尚、繊維構造物の繊維としては、無菌性繊維のみを用いても、無菌性繊維と通常の繊維を併用しても良い。通常の繊維としては例えばポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリアルキレンパラオキシベンゾエート、ポリクラール等の合成繊維や木綿、亜麻、羊毛等の天然繊維を挙げることができる。
【0019】
本発明の無菌性繊維及び繊維構造物は、MRSAを含む細菌等の院内感染の防止に適当と思われる製品に広く適用できる。例えば、リネン類、ベット、シーツ、手術衣、手術キャプ、手袋、パジャマ、スリッパ、カーテン、壁紙、タイルカーペット等に使用するのが好ましい。
【0020】
【発明の効果】
本発明の無菌性繊維は、MRSA等をはじめとする多くの抗生物質に対して耐性を獲得しやすい細菌の繁殖を長時間安定的に抑制することができ、院内感染を防止する繊維製品を提供することができる。
【0021】
【実施例】
以下本発明を実施例により説明する。
【0022】
実施例1(練り込み繊維の作成)
銀イオンの担持体として、リン酸ジルコニウム(Zr(HPO4)2 ・nH2O) 、チタン酸カリウム(K2Ti2O5)、ニオブ酸カリウム(KNbO8)、結晶性アルミノケイ酸塩(xR2O・Al2O3 ・ySiO2)、結晶性リン酸アルミニウム(xR2O・Al2O3 ・yP2O5)、セピオライト(Mg8Si12O30(OH)4(H2O)4)、モンモリロナイト(xR(AL 、Mg)Si4O10(OH)2) 、含水酸化チタン(TiO4・nH2O) 、ヒドロキシアパタイト(Ca2(PO4)(OH)・nH2O) スルホン基含有陽イオン交換樹脂を用い、これらを0.05N硝酸銀水溶液に入れ40℃、15時間攪拌混合することにより銀イオン担持殺菌剤を得た。得た各殺菌剤を繊維紡糸時に混合して本発明の無菌性繊維を作成した。各無菌性繊維の詳細を表1に示す。
【0023】
【表1】
【0024】
実施例2(後加工繊維の作成)
銀イオンの担持体として、リン酸ジルコニウム(Zr(HPO4)2 ・nH2O) 、チタン酸カリウム(K2Ti2O5)、ウラン酸カリウム(K2U2O7)、バナジン酸カリウム(KV2O8) 、結晶性アルミノケイ酸塩(xR2O ・Al2O3 ・ySiO2)、モンモリロナイト(xR(Al 、Mg)Si4O10(OH)2) 、ヒドロキシアパタイト(Ca2(PO4)(OH)・nH2O) スルホン基含有陽イオン交換樹脂を用い、これらを0.05N硝酸銀水溶液に入れ40℃、15時間攪拌混合することにより銀イオン担持殺菌剤を得た。得た各殺菌剤をアクリル系バインダーに分散混合し、これを紡糸した繊維表面に塗付して本発明の無菌性繊維を作成した。各無菌性繊維の詳細を表2に示す。
【0025】
【表2】
【0026】
試験例(抗菌試験)
実施例1、2で得た種々の無菌性繊維について作成直後(洗濯なし)及び洗濯30回後にMRSAについての抗菌試験を実施した。試験方法は、菌液を供試繊維品50×50mmに一様に接種し、35℃で24時間培養したときの生菌数を測定した。なお対照として菌液のみの試験と殺菌剤を加工しないものも同時に試験した。結果を表3に示す。
【0027】
【表3】
Claims (3)
- 銀イオン及び該銀イオンを安定して保持する担持体からなる殺菌剤を含有するメチシリン耐性黄色ブドウ球菌用無菌性繊維であって、前記担持体が、リン酸ジルコニウム、またはP/Al比10以下の結晶性リン酸アルミニウムである、前記繊維。
- 銀イオン及び該銀イオンを安定して保持する担持体からなる殺菌剤を含有する繊維であって、前記担持体が、リン酸ジルコニウム、またはP/Al比10以下の結晶性リン酸アルミニウムである、抗生物質に対して耐性を獲得しやすい微生物用無菌性繊維。
- 少なくとも一部が請求項1または2に記載の無菌性繊維である繊維構造物。
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JP29643991A JP3654535B2 (ja) | 1991-10-16 | 1991-10-16 | 無菌性繊維及び繊維構造物 |
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JPH05103821A JPH05103821A (ja) | 1993-04-27 |
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1991
- 1991-10-16 JP JP29643991A patent/JP3654535B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH05103821A (ja) | 1993-04-27 |
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