JP3653933B2 - 表面電位検出装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、表面電位検出装置、特に、電子写真複写機の感光体ドラムなどの被検出表面の表面電位を非接触で測定するための表面電位検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の表面電位検出装置としては、例えば図2に示すようなものが知られている。表面電位検出装置1は、概略、検出電極3と、圧電音叉4と、発振回路9と、検出回路21と、バンドパスフィルタ22と、信号処理回路23と、DC増幅器24とで構成されている。
【0003】
圧電音叉4は、その両脚部4a,4bに、それぞれ圧電振動子12a,12bが貼着されている。この圧電音叉4の一方の脚部4aの先端部には絶縁体5を介して検出電極3が固定されている。この検出電極3は、被検出面である感光体ドラム2の表面に対向して配置されており、感光体ドラム2と共に可変コンデンサC1を形成している。検出電極3は検出回路21に接続されている。この検出電極3は、圧電音叉4が振動すると、感光体ドラム2の表面と検出電極3との間の距離が変化して、感光体ドラム2の表面と検出電極3との間の静電容量、すなわち可変コンデンサC1の静電容量が変化する。
【0004】
発振回路9は、演算増幅器7と圧電音叉4とを備えている。発振回路9は、演算増幅器7の出力を、圧電音叉4の一方の圧電振動子12bに印加して電歪振動を発生させ、この電歪振動によって圧電音叉4をその固有振動数で振動させる。そして、圧電音叉4の振動により他方の圧電振動子12aに前記固有振動数に等しい周波数の圧電信号を発生させ、この圧電信号を抵抗R1,R2、コンデンサC2等を介して演算増幅器7の反転入力端子に帰還させる。これにより、発振回路9は所定の発振周波数で自励発振する。演算増幅器7は、非反転入力端子がアースに接続され、出力端子と反転入力端子との間には抵抗R3が接続されている。
【0005】
検出回路21は、検出電極3から出力された電気信号を増幅する。バンドパスフィルタ22は、検出回路21から出力された電気信号の中から発振回路9の発振周波数以外の周波数成分を除去する。信号処理回路23はバンドパスフィルタ22から出力された電気信号を整流する。DC増幅器24は信号処理回路23から出力された電気信号を直流増幅する。図2において、6は抵抗素子である。
【0006】
以上の構成からなる表面電位検出装置1において、感光体ドラム2の表面に高電圧が印加されると、感光体ドラム2の表面からの電気力線が検出電極3に達し、静電誘導により、検出電極3にも感光体ドラム2の表面に発生している電荷と等しい電荷が誘起される。この状態で、発振回路9の発振により圧電音叉4が振動すると、感光体ドラム2の表面と検出電極3との間の距離が変化して可変コンデンサC1の静電容量が変化する。これにより可変コンデンサC1から電荷が充放電され、それに基づく電気信号が検出回路21に入力される。
【0007】
電気信号は、検出回路21にて以後の処理に適したレベルまで増幅された後、バンドパスフィルタ22にて発振回路9の発振周波数に等しい周波数成分以外の雑音成分が除去され、信号処理回路23にて直流信号に変換される。信号処理回路23から出力された直流信号は、DC増幅器24で増幅されて感光体ドラム2の表面電位信号として出力される。DC増幅器24から出力された表面電位信号は、感光体ドラム2の表面電位を制御するためのフィードバック信号として、電子写真複写機本体の高電圧制御系へ供給される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来の表面電位検出装置1では、その出力特性が温度の影響を受けて変動する。温度による出力変動の要因としては、圧電音叉4とその上に貼着した圧電振動子12a,12bとの間の熱膨張係数の差による接合界面のストレス、それによる共振周波数のずれ、圧電音叉4と圧電振動子12a,12bを接合している接着材料の熱による物理的特性の変動、さらには圧電振動子12a,12b自体の温度変動等がある。このため、従来の表面電位検出装置1では、温度が上昇すると、これらの変動要因によって共振インピーダンスが高くなり、圧電音叉4への入力が制限されてしまい、感光体ドラム2の表面と検出電極3との間の距離の変化が小さくなり、可変コンデンサC1から取り出される出力が低下するという問題があった。
【0009】
このような問題を解消するため、従来の表面電位検出装置1では、図2に点線で示すように、演算増幅器7の出力端子と圧電振動子12bとの間に、温度が上昇すると抵抗値が低くなる、いわゆる負特性サーミスタ(NTC)28を挿入し、該負特性サーミスタ28により、温度上昇による出力低下を防止するようにしたものが提案されている。しかしながら、このように温度上昇による出力低下を防止するために負特性サーミスタ28を使用すると、表面電位検出装置1の部品コストが高くなるという問題があった。
【0010】
そこで、本発明の目的は、周囲温度の上昇による出力変動を抑えることができ、低コストでしかも良好な特性を有する表面電位検出装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
以上の目的を達成するため、本発明に係る表面電位検出装置は、
(a)被検出面に対向して配置された検出電極と、
(b)前記検出電極を機械的に振動させ、前記被検出面と前記検出電極との間の距離を変化させて、前記被検出面と前記検出電極との間の静電容量を変化させる圧電音叉と、
(c)増幅器の出力を、前記圧電音叉及びフィルタからなる帰還回路を介して前記増幅器の入力側に帰還させて自励発振を行う発振回路とを備え、
(d)前記フィルタを構成しているコンデンサの静電容量が負の温度係数を有していること、
を特徴とする。
【0012】
【作用】
以上の構成により、フィルタを構成しているコンデンサは、温度変化により静電容量が減少する。それにより、周囲温度の上昇とともにフィルタのインピーダンスが低くなり、圧電音叉の共振インピーダンスの上昇による出力低下が抑えられる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る表面電位検出装置の実施形態について添付図面を参照して説明する。
【0014】
図1に示すように、表面電位検出装置31は、感光体ドラム2の表面に対向して配置された検出電極3、圧電音叉4、演算増幅器32の出力を圧電音叉4を介して演算増幅器32の入力側に帰還させて自励発振を行う発振回路33、検出回路21、バンドパスフィルタ22、信号処理回路23及びDC増幅器24から構成されている。なお、図1において、図2と対応する部分には対応する符号を付して示し、重複した説明は省略する。
【0015】
発振回路33は、演算増幅器32,圧電音叉4,RCフィルタ34,コンデンサC21及び抵抗R21〜R23から構成されている。圧電音叉4,RCフィルタ34は演算増幅器32の帰還回路を構成している。演算増幅器32の出力端子と圧電振動子12bとの間に、RCフィルタ34の抵抗R24が接続されている。抵抗R24の圧電振動子12bへの接続側の端部とアースとの間には、RCフィルタ34のコンデンサC22が接続されている。演算増幅器32の非反転入力端子は、圧電振動子12aに接続され、非反転入力端子とアースとの間には、抵抗R23が接続されている。又、演算増幅器32の反転入力端子と出力端子との間には、抵抗R21及びコンデンサC21が並列に接続され、反転入力端子とアースとの間には、抵抗R22が接続されている。演算増幅器32の出力が矩形波であるので、RCフィルタ34を演算増幅器32の出力と圧電音叉4との間に接続することにより、圧電音叉4の固有振動数に対応する基本周波数を超える高域の信号を遮断し、発振回路33が圧電音叉4の基本振動モード以外の高次モードで発振するのを防止する。
【0016】
発振回路33は、演算増幅器32の出力を圧電音叉4の一方の脚部4bに貼着した圧電振動子12bに与え、圧電音叉4の他方の脚部4aに貼着した圧電振動子12aより360度の位相で信号を演算増幅器32の非反転入力端子に帰還させる。
【0017】
ところで、表面電位検出装置31において、RCフィルタ34のコンデンサC22として、周囲温度に関係なく一定の静電容量を有しているものを使用すると、図2において説明した表面電位検出装置1と同様の理由により、周囲温度が上昇するにつれて、DC増幅器24から出力される感光体ドラム2の表面電位信号が小さくなる。そこで、本実施形態では、周囲温度が上昇するにつれて静電容量が減少する負の温度係数を有するコンデンサC22を使用し、RCフィルタ34に圧電音叉4の温度補償機能を付与するようにしている。
【0018】
このようにすれば、温度上昇とともにRCフィルタ34のインピーダンスが低くなり、圧電音叉4の共振インピーダンスの上昇による出力低下が抑えられる。因みに、個々の圧電音叉4の仕様によって異なるが、RCフィルタ34のコンデンサC22として、−750ppm/℃の温度係数を有するものを使用したところ、DC増幅器24から出力される感光体ドラム2の表面電位信号の温度による変化が大幅に改善された。
【0019】
なお、本発明に係る表面電位検出装置は前記実施形態に限定するものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更することができる。
【0020】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、フィルタを構成しているコンデンサとして、温度上昇により静電容量が減少する負の温度係数を有するコンデンサを使用することにより、温度上昇とともにフィルタのインピーダンスが低くなり、圧電音叉の共振インピーダンスの上昇による出力低下を抑えることができる。この結果、温度特性が良好でかつ安価な表面電位検出装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る表面電位検出装置の一実施形態の構成を示すブロック図。
【図2】従来の表面電位検出装置の構成を示すブロック図。
【符号の説明】
3…検出電極
4…圧電音叉
12a,12b…圧電振動子
21…検出回路
22…バンドパスフィルタ
23…信号処理回路
24…DC増幅器
32…演算増幅器
33…発振回路
34…RCフィルタ
1…可変コンデンサ
22…コンデンサ
24…抵抗

Claims (1)

  1. 被検出面に対向して配置された検出電極と、
    前記検出電極を機械的に振動させ、前記被検出面と前記検出電極との間の距離を変化させて、前記被検出面と前記検出電極との間の静電容量を変化させる圧電音叉と、
    増幅器の出力を、前記圧電音叉及びフィルタからなる帰還回路を介して前記増幅器の入力側に帰還させて自励発振を行う発振回路とを備え、
    前記フィルタを構成しているコンデンサの静電容量が負の温度係数を有していること、
    を特徴とする表面電位検出装置。
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