JP3652532B2 - 次亜塩素酸ナトリウム生成装置及び次亜塩素酸ナトリウム生成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、次亜塩素酸ナトリウム生成装置及び次亜塩素酸ナトリウム生成方法に係り、特に、塩水の電気分解時に発生する水素ガスの排出技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えば、特開平7−216574号公報や特開平9−117605号公報に開示されているように、水処理等において滅菌、消毒及び酸化剤として使用される次亜塩素酸ナトリウムを生成する生成装置が知られている。これらの装置は、塩水を電気分解することによって次亜塩素酸ナトリウム溶液(以下、次亜液ともいう)を生成する方法を採用しているため、原料として必要なものは塩水と電気だけであり、ランニングコストが安価となる。また、生成される次亜塩素酸ナトリウムの有効塩素濃度は約1%であり、安定した次亜塩素酸ナトリウムを得ることができる。
【0003】
図2は、従来の次亜塩素酸ナトリウム生成装置のうち、いわゆるガス抜き弁方式を用いた装置を示している。本装置では、始めに飽和塩水を希釈水によって希釈し、3%塩水を生成する。そして、この3%塩水を電解槽101に導入し、図示しない電解部により、電気分解を行う。この電気分解により、電解部の陽極には塩素(Cl2)が生成され、陰極には水酸化ナトリウム(NaOH)と水素(H2)が生成される。更に、塩素と水酸化ナトリウムは液中で速やかに反応し、次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)が生成される。なお、この次亜塩素酸ナトリウムの生成に際しても、水素が発生する。
【0004】
水素ガスは電解槽101の破損や爆発を引き起こす可能性があるので、装置の信頼性及び安全性を向上するために、気液分離器102において除去される。すなわち、電解槽101内の水素ガス及び水素ガスを含んだ次亜液は気液分離器102に送られ、水素ガスは、気液分離器102内の上部に滞留する。水素ガスの滞留量が多くなると、その圧力が高くなり、フロート103が押し下げられる。すると、このフロート103と一体化された弁体104がガス排出口105から離れ、ガス排出口105が開口する。これにより、一定圧力以上の水素ガスは気液分離器102からガス抜き管109に排出され、当該ガス抜き管109を通過した後、送風機106からの外気と混合されて屋外に排出される。逆に、気液分離器102内の水素ガスの圧力が一定圧力よりも小さくなると、フロート103は浮力により上昇し、弁体104はガス排出口105を閉鎖する。このようにして、気液分離器102内の水素ガスは排出される。
【0005】
一方、気液分離器102で分離された次亜液は、貯留槽107に圧送され、貯留槽107において貯留される。
【0006】
図3は、従来の次亜塩素酸ナトリウム生成装置のうち、いわゆるガス抜き筒方式を用いた装置を示している。本装置の気液分離器108は、弁体を用いない気液分離器であって、細長い密閉型円筒部材(ガス抜き筒)で構成されている。気液分離器108には、電解槽101から水素ガス及び次亜液が搬送され、その内部空間上部には水素ガスが滞留し、その内部空間下部には次亜液が滞留する。水素ガスは、気液分離器108の上部に接続されたガス抜き管109を通じて流出し、送風機106によって供給された外気により希釈されて屋外に排出される。一方、気液分離器108内の次亜液は、液管110を通じて貯留槽107に搬送される。なお、気液分離器108は貯留槽107よりも高い位置に設置されており、気液分離器108から貯留槽107への次亜液の搬送は、自然流下により行われる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、図2に示すガス抜き弁方式の装置では、気液分離器102内の圧力変動に伴ってフロート103が上下に振動し、ガス排出口105の開閉動作が頻繁に繰り返されることがあった。そして、これに伴い、電解槽101の圧力も頻繁に変動することがあった。ところが、電解槽101は、直方体形状の筐体から成り、また、比較的脆い材料から構成されていることから、このような圧力変動が原因となって破損するおそれがある。そこで、従来の装置では、このような破損を防止するため電解槽101の強度を高める必要があり、電解槽101のコスト上昇や重量の増大を招いていた。
【0008】
また、弁体104の開閉動作が良好に行われず、ガス排出口105が閉鎖されたままの状態となることがあった。このような場合、気液分離が良好に行われず、次亜液中に水素ガスが混入したまま貯留槽107に搬送されることがあり、貯留槽内で水素ガスが滞留する場合があった。
【0009】
一方、図3に示すガス抜き筒方式の装置では、次亜液の生成量に応じて気液分離器108の容積を大型化しなければならず、気液分離器108の鉛直方向長さが非常に長くなって、装置全体の大型化を招く原因となっていた。また、気液分離器108を貯留槽107よりも高い位置に設けなければならないため、貯留槽107の大型化に伴い、気液分離器108の設置位置をより高い位置に設定する必要があった。そのため、装置の設置箇所の自由度が小さかった。
【0010】
さらに、上記ガス抜き弁方式及びガス抜き筒方式のいずれの装置においても、高濃度の水素ガスが気液分離器102、108から流出する際に、ガス抜き管109を通過するので、ガス抜き管109における水素の爆発を防止するために、ガス抜き管109に静電気防止用の保護装置(保護アース111)を設けることが必要不可欠であった。これにより、装置の高コスト化及び大型化が助長されることとなった。
【0011】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、塩水の電気分解時に発生する水素ガスを安全かつ確実に排出することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、希釈ガスを電解槽に供給し、電解槽内の水素ガスを希釈ガスで希釈しながら排出するようにした。
【0013】
具体的には、第1の発明に係る次亜塩素酸ナトリウム生成装置は、塩水を導入する電解槽と、該電解槽に導入された塩水を電気分解する電解部と、該電解槽内で生成される次亜塩素酸ナトリウム溶液を該電解槽から導出する次亜液導出通路と、該次亜液導出通路を通じて導出した次亜塩素酸ナトリウム溶液を貯留する貯留槽と、上記電解槽内で発生する水素ガスを所定の希釈ガスで希釈しつつ該電解槽外に排出するように、該電解槽に希釈ガスを連続的に供給する希釈ガス供給手段とを備えていることとしたものである。
【0014】
上記発明特定事項により、電解槽に塩水が導入され、この塩水は電解部によって電気分解される。この結果、電解槽内には、次亜塩素酸ナトリウム溶液(以下、次亜液ともいう)及び水素ガスが生成される。次亜液は次亜液導出通路を介して貯留槽に貯留される。一方、電解槽内の水素ガスは、希釈ガス供給手段によって連続的に供給された希釈ガスと混合され、電解槽の内部で常時希釈される。そして、希釈された水素ガスは電解槽外に排出される。このように、電解槽内で次亜液と水素ガスとが分離され、水素ガスは電解槽内で希釈されつつ電解槽外に排出されるので、水素ガスは安全かつ確実に排出されることになる。
【0015】
第2の発明は、上記第1の発明において、電解槽は、塩水導入管、ガス導入管及びガス導出管が接続された密閉型の容器から成り、次亜液導出通路は、該電解槽に接続された液導出管から成り、希釈ガス供給手段は、該電解槽内の水素ガスが上記ガス導入管から導入された希釈ガスと混合して上記ガス導出管から排出されるように、該ガス導入管から希釈ガスを供給するように構成されていることとしたものである。
【0016】
第3の発明は、上記第2の発明において、希釈ガスは空気から成り、希釈ガス供給手段は、ガス導入管またはガス導出管に設けられた送風機によって構成されていることとしたものである。
【0017】
上記第2及び第3の各発明の発明特定事項により、簡易かつ安価な構成により、水素ガスを安全かつ確実に排出する次亜塩素酸ナトリウム生成装置が得られる。
【0018】
第4の発明に係る次亜塩素酸ナトリウム生成方法は、塩水を電解槽内で電気分解して次亜塩素酸ナトリウム溶液及び水素ガスを生成し、該次亜塩素酸ナトリウム溶液を貯留槽に貯留する一方、該水素ガスを、該電解槽に直接供給した空気で希釈しながら該空気と共に該電解槽外に連続的に排出することとしたものである。
【0019】
上記発明特定事項により、電解槽内の次亜塩素酸ナトリウム溶液は貯留槽に貯留される一方、電解槽内の水素ガスは、電解槽内に直接供給された希釈ガスと混合され、電解槽の内部で常時希釈される。そして、希釈された水素ガスは、電解槽外に連続的に排出される。従って、水素ガスは電解槽内で希釈されつつ電解槽外に排出されるので、水素ガスは安全かつ確実に排出されることになる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
図1に示すように、本実施形態に係る次亜塩素酸ナトリウム生成装置(以下、次亜生成装置という)10は、直方体形状の密閉型容器から成る電解槽11を備えている。電解槽11は、所定量の希釈塩水(3%塩水)を導入するように形成されている。電解槽11の一方の側壁には、希釈塩水を導入する塩水導入管12が接続されている。塩水導入管12には図示しない搬送ポンプが設けられ、この搬送ポンプにより希釈塩水が電解槽11に搬送されるように構成されている。電解槽11の他方の側壁には、第1液導出管13の一端が接続されている。
【0022】
電解槽11の内部には、希釈塩水を電気分解する電解部(図示せず)が収容されている。図示しない電解部の正極及び負極の両電極は、電解槽11内の希釈塩水に浸漬するように形成されている。
【0023】
第1液導出管13の他端は、電解槽11よりも低い位置に設置された中間貯留槽14に接続されている。これにより、電解槽11内の次亜液は、自然流下によって電解槽11から流出し、第1液導出管13を通って中間貯留槽14に一時的に貯留される。
【0024】
中間貯留槽14には、貯留した次亜液の液位を検出する液面センサ15が設けられている。中間貯留槽14には、貯留した次亜液を導出する第2液導出管16が接続されている。第2液導出管16には、次亜液を搬送するための搬送ポンプ17が設けられている。搬送ポンプ17は液面センサ15に接続され、中間貯留槽14内の次亜液の液位に応じて作動するように構成されている。つまり、搬送ポンプ17は、中間貯留槽14内の次亜液の液位が所定の導出位置にまで上昇すると駆動する一方、所定の停止位置まで下降すると停止するように構成されている。
【0025】
第2液導出管16の他端は、次亜液を最終的に貯留する貯留槽18が接続され、次亜液は当該貯留槽18において貯留されることになる。
【0026】
電解槽11の上壁には、ガス導入管21とガス導出管22とが接続されている。ガス導入管21には、外気(空気)を供給する送風機23が設けられている。ガス導出管22の開口端22aは屋外に配設されている。なお、本実施形態では、ガス導出管22には必ずしもアース部を設ける必要はないが、静電気の発生を防止するためのアース部24を設けてもよいことは勿論である。
【0027】
送風機23の送風量は、水素ガスの濃度が爆発限界以下になるような量に設定されており、電解槽11の容積や水素ガスの生成量によって適宜変更することが可能である。具体的には、送風量は、電解槽11内の水素ガス濃度が4%以下になるように設定されていることが好ましく、本実施形態では、特に、水素ガスの濃度が0.1〜1%の範囲内になるように設定されている。
【0028】
次に、本装置10を用いた次亜塩素酸ナトリウムの生成方法を説明する。
【0029】
まず、電解槽11に希釈塩水を導入し、図示しない電解部により、電解槽11内の希釈塩水を電気分解する。これにより、電解槽11内に次亜塩素酸ナトリウム及び水素が生成される。水素は次亜液中で気泡状の水素ガスとなり、電解槽11内の上部に移動する。その結果、生成された次亜液及び水素ガスは電解槽11の内部で分離され、電解槽11の内部には、上方に位置するガス貯留部11aと、下方に位置する液貯留部11bとが形成される。ガス貯留部11aには、ガス導入管21から導入された空気が流通し、水素ガスは空気によって希釈され、空気と共にガス導出管22から電解槽11外に排出される。そして、水素と空気との混合気体は、ガス導出管22を流通した後、屋外に排出される。
【0030】
電解槽11内の液貯留部11bの次亜液は、第1液導出管13を通じて中間貯留槽14に一時的に貯留される。中間貯留槽14に貯留された次亜液は、搬送ポンプ17によって第2液導出管16を通じて貯留槽18に搬送される。貯留槽18に搬送された次亜液は、貯留槽18において貯留される。
【0031】
以上のように、本実施形態によれば、電解槽11の内部で水素ガスが希釈されるので、装置内に高濃度の水素ガスが滞留する箇所がない。そのため、水素ガスの爆発を確実に防止することができる。従って、次亜塩素酸ナトリウム生成装置の信頼性及び安全性を向上させることができる。
【0032】
また、電解槽11内は大気圧程度の低い圧力に保たれるので、水素ガスの高圧による電解槽11等の破損が確実に防止される。従って、電解槽11の耐圧性能を抑制することが可能となり、電解槽11を安価かつ簡易に構成することができる。また、電解槽11内の圧力が低いため、次亜液中の水素が気泡となって次亜液から排出されやすい。そのため、水素が次亜液中に混入したまま貯留槽18に搬送され、貯留槽18内で水素ガスが滞留することが抑制される。
【0033】
水素ガスを空気によって強制排出しているので、電解槽と別個に気液分離器を設ける必要がなくなる。
【0034】
水素ガスを電解槽11から直接取り出すようにしているので、第1液導出管13以降の下流側の機器の設計において、水素ガスの存在を特に考慮する必要がなくなる。そのため、装置の設計自由度が拡大する。
【0035】
水素ガスを希釈する希釈ガスとして、空気を利用することとしているので、水素ガスの希釈を簡易かつ安価に行うことができる。
【0036】
電解槽11で生成した次亜液を一時的に貯留する中間貯留槽14を設けることとしたので、電解槽11内の圧力変動が搬送ポンプ17に直接伝わることがなく、搬送ポンプ17の搬送動作は円滑に行われる。
【0037】
−変形例−
なお、上記実施形態では、水素ガスの希釈化を電解槽11でのみ行うこととしたが、電解槽11に加え、中間貯留槽14において水素ガスの希釈化を行ってもよいことは勿論である。つまり、電気分解の条件等によっては、中間貯留槽14に搬送する次亜液中に若干の水素が混入する場合があり、中間貯留槽14に水素ガスが滞留することがある。そこで、中間貯留槽14にもガス導入管及びガス導出管を設け、ガス導入管から所定量の空気を導入し、当該空気によって中間貯留槽14内の水素ガスを希釈しつつ排出するようにしてもよい。
【0038】
なお、中間貯留槽14で発生する水素ガスは微量であるため、設置箇所によっては、中間貯留槽14を開放型の容器で構成することも可能である。
【0039】
貯留槽18は、ガス排出管が設けられた開放型の容器で構成されていてもよく、密閉型の容器で構成されていてもよい。
【0040】
送風機23は、電解槽11に直接空気を供給できる構成であればよく、ガス導出管22に設けられていてもよい。
【0041】
電解槽11は、水素ガスを希釈しつつ排出することのできる構成であれば、開放型の容器で構成されていてもよい。
【0042】
希釈ガスは空気に限らず、窒素等の不燃性ガスであってもよい。
【0043】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、電解槽に希釈ガスを直接供給することとしたので、塩水の電気分解に際して発生する水素ガスを、電解槽の内部で希釈しつつ、電解槽外に排出することができる。従って、水素ガスを安全かつ確実に排出することができる。
【0044】
また、生成装置の内部に高濃度の水素ガスが滞留する箇所がなくなるため、装置の信頼性が向上する。
【0045】
電解槽に外気を供給することにより、電解槽の内部の圧力は大気圧程度の低い圧力に維持されるので、耐圧性能が比較的低い容器で電解槽を構成することが可能となり、電解槽を簡易かつ安価に構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】次亜塩素酸ナトリウム生成装置の構成図である。
【図2】従来のガス抜き弁方式の次亜塩素酸ナトリウム生成装置の構成図である。
【図3】従来のガス抜き筒方式の次亜塩素酸ナトリウム生成装置の構成図である。
【符号の説明】
10 次亜塩素酸ナトリウム生成装置
11 電解槽
11a ガス貯留部
11b 液貯留部
12 塩水導入管
13 第1液導出管(次亜液導出通路)
14 中間貯留槽
15 液面センサ
16 第2液導出管
17 搬送ポンプ
18 貯留槽
21 ガス導入管
22 ガス導出管
23 送風機(希釈ガス供給手段)
Claims (4)
- 塩水を導入する電解槽と、
該電解槽に導入された塩水を電気分解する電解部と、
該電解槽内で生成される次亜塩素酸ナトリウム溶液を該電解槽から導出する次亜液導出通路と、
該次亜液導出通路を通じて導出した次亜塩素酸ナトリウム溶液を貯留する貯留槽と、
上記電解槽内で発生する水素ガスを所定の希釈ガスで希釈しつつ該電解槽外に排出するように、該電解槽に希釈ガスを連続的に供給する希釈ガス供給手段と
を備えている次亜塩素酸ナトリウム生成装置。 - 請求項1に記載の次亜塩素酸ナトリウム生成装置であって、
電解槽は、塩水導入管、ガス導入管及びガス導出管が接続された密閉型の容器から成り、
次亜液導出通路は、該電解槽に接続された液導出管から成り、
希釈ガス供給手段は、該電解槽内の水素ガスが上記ガス導入管から導入された希釈ガスと混合して上記ガス導出管から排出されるように、該ガス導入管から希釈ガスを供給するように構成されている次亜塩素酸ナトリウム生成装置。 - 請求項2に記載の次亜塩素酸ナトリウム生成装置であって、
希釈ガスは空気から成り、
希釈ガス供給手段は、ガス導入管またはガス導出管に設けられた送風機によって構成されている次亜塩素酸ナトリウム生成装置。 - 塩水を電解槽内で電気分解して次亜塩素酸ナトリウム溶液及び水素ガスを生成し、該次亜塩素酸ナトリウム溶液を貯留槽に貯留する一方、該水素ガスを、該電解槽に直接供給した空気で希釈しながら該空気と共に該電解槽外に連続的に排出する次亜塩素酸ナトリウム生成方法。
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