JP3652356B2 - 人工呼吸システムおよび気管カニューレ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は人工呼吸システムおよび気管カニューレ、詳しくは気管切開手術により気管の途中に形成された孔を通して行われる人工呼吸技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
患者の呼吸を確保するため、切開された気管に気管カニューレを挿入し、気管カニューレに、アダプタ部を介して、人工呼吸器から延びた呼吸管を連通することで、人工呼吸器を利用した人工呼吸を施す技術が開発されている。人工呼吸では、気管に溜まった痰が気道を塞ぐため、その処置が課題となる。
汎用される痰の処理方法は、介護者が気管カニューレからアダプタ部を外し、その後、気管カニューレの開口部に吸引チューブを挿入して痰を吸引していた。しかしながら、この処置方法では、介護者に昼夜を問わぬ労働を強いてしまう。その結果、介護者への負担が大きくなっていた。
そこで、従来、これを解消するものとして、例えば特許文献1のような人工呼吸システムが開発された。従来の人工呼吸システムは、気管カニューレに人工呼吸吸引両用アダプタを装着し、人工呼吸吸引両用アダプタに内設された1対の弁に対して、一方の弁が開くと他方の弁が閉じるという開閉操作を施す。これにより、気管カニューレを互いの通路に利用し、人工呼吸器による患者の呼吸の確保と、痰吸引器による気管内の痰の吸い出しとが行われる。
このような人工呼吸吸引両用アダプタを使用することで、それまでの痰処置法であった、呼吸管のアダプタを介護者が外して人工呼吸を短時間休止し、その間に気管カニューレを塞ぐ痰を、吸引管によって吸引するという手間を解消することができる。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−219175号公報(第1頁、図1)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の人工呼吸吸引両用アダプタを利用した人工呼吸システムでは、患者に対しての呼吸の確保と痰の吸い出しとを交互に行っていた。そのため、痰の吸い出し時、患者は呼吸をすることができなかった。
また、人工呼吸吸引両用アダプタには、一方の弁を開くと他方の弁を閉じる複雑な構造の弁開閉機構が組み込まれていた。これにより、人工呼吸吸引両用アダプタに故障が生じ易く、コスト高になっていた。
また、従来の人工呼吸システムでは、気管カニューレの内部流路が、送気および排気用の呼吸路と、痰の吸引路とを兼ねていた。そのため、痰の吸引直後、人工呼吸器から気管内に送気すると、気管カニューレの内壁面に付着した痰が、気管内まで押し戻されてしまうおそれがあった。
【0005】
【発明の目的】
この発明は、痰の吸引時にも呼吸することができ、しかも構造が簡単であり、低コストでかつ故障し難く、さらには人工呼吸器からの送気により痰を気管内に押し戻すおそれがない人工呼吸システムおよび気管カニューレを提供することを、その目的としている。
また、この発明は、気管カニューレにより気管の内周面を傷付け難くすることができる人工呼吸システムおよび気管カニューレを提供することを、その目的としている。
さらに、この発明は、気管内で発生した喀痰の有無を検出し、自動的に喀痰を吸引することができる人工呼吸システムを提供することを、その目的としている。
そして、この発明は、人工呼吸器の運転に支障なく気道内圧を測定することができる人工呼吸システムおよび気管カニューレを提供することを、その目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、送気および排気用の呼吸管が接続された人工呼吸器と、上記呼吸管に連通され、患者の気管に挿入される気管カニューレと、上記気管内に溜まった痰を吸い出す吸引管が連通された痰吸引器とを備え、上記吸引管を、上記気管カニューレに固定した人工呼吸システムであって、上記気管カニューレには、送気および排気用の呼吸路と、該呼吸路の外周全域に同心円状に配置された痰の吸引路とが二重管構造で別々に設けられるとともに、前記呼吸路の気管側の口と吸引路の痰吸引口とは同じ平面内に形成された人工呼吸システムである。
人工呼吸器とは、患者の呼吸を確保するため、気管に対して送気と排気とを一定時間ごとに交互に繰り返す器械である。人工呼吸器の構造は限定されない。
【0007】
気管カニューレとは、気管切開手術により気管に形成された孔を通し、気管に挿入される短尺な管部材である。気管カニューレの気管側の端部の外周面には、気管と気管カニューレとの隙間を塞ぐため、空気の出し入れにより拡縮自在なカフを取り付けてもよい。
吸引管を気管カニューレに固定するとは、吸引管と気管カニューレとを一体的に固定するだけではなく、常時、吸引管を抜き差し自在に気管カニューレに取り付けることを含む。吸引管は、気管カニューレの通路壁の内周面に固定しても、外周面に固定してもよい。吸引管は、吸引管に固定された部分と、そこから痰吸引器まで延出される部分とに、着脱自在に分割されてもよい。
痰吸引器とは、痰吸引器の内部で発生した負圧により、気管に溜まった痰を吸引管を介して吸い出す器械である。
【0008】
上記気管カニューレは、送気および排気用の呼吸路と痰の吸引路とが別々に設けられた二重管構造を有している。
例えば、呼吸路の外周全域に吸引路が配置された二重管構造でもよい。また、呼吸路の外周の一部分にだけ吸引路が配置された二重管構造でもよい。
呼吸路の気管側の口と吸引路の痰吸引口とは、同一平面上に配置されている。
【0009】
請求項2に記載の発明は、上記気管カニューレには、前記呼吸路に連通されて第1の圧力センサにより気道内圧を測定する枝管が連通された請求項1に記載の人工呼吸システムである。
気道内圧を測定する位置は、気管カニューレ内である。
痰吸引器を作動させる気道内圧の大きさは限定されない。患者の身長、体重などに応じて変更される。例えば2.50KPa以上である。
【0010】
請求項3に記載の発明は、上記吸引路の内圧を測定する第2の圧力センサと、上記第1の圧力センサにより検出された気道内圧が2.50KPa以上のとき、上記痰吸引器を作動させ、かつ、タイマを用いた10〜20分の経過毎、上記痰吸引器を作動させて試験吸引を5秒間行い、上記第2の圧力センサにより検出された吸引路の内圧が−20KPa以下のとき、上記痰吸引器を20秒間作動させて本吸引を行うとともに、上記吸引路の内圧が−18KPaに達したとき、上記痰吸引器を停止して本吸引を終了する制御部とを有した請求項2に記載の人工呼吸システムである。
痰吸引器の作動を継続する吸引路の内圧の大きさ、喀痰量または喀痰の粘度などに応じて変更され−20KPa以下である。また、痰吸引器の作動を停止する吸引路の内圧の大きさ、喀痰量または喀痰の粘度などに応じて適宜変更され−18KPaを超えたときである。
【0011】
請求項4に記載の発明は、患者の気管に送入され、人工呼吸器から延出された呼吸管が接続される気管カニューレにおいて、送気および排気用の呼吸路と、該呼吸路の外周全域に同心円状に配置された痰の吸引路とが二重管構造で別々に設けられるとともに、前記呼吸路の気管側の口と吸引路の痰吸引口とは同じ平面内に形成された気管カニューレである。
【0012】
請求項5に記載の発明は、上記気管カニューレには、前記呼吸路に連通されて、請求項2の第1の圧力センサにより気道内圧を測定する枝管が設けられた請求項4に記載の気管カニューレである。
【0013】
【作用】
請求項1の人工呼吸システムまたは請求項4の気管カニューレによれば、人工呼吸器を用いた患者の気管への送気および排気は、従来と同様に気管カニューレの内部通路(呼吸路)を通して行われる。一方、気管内に痰が溜まった場合には、単に痰吸引器を作動させると、その負圧力により吸引管(痰の吸引路)を通して痰が体外に吸い出される。その際、常時、呼吸路は人工呼吸器と連通されているので、痰の吸引中でも呼吸が確保される。 このように、吸引管を気管カニューレに固定し、痰の吸引を必要に応じて常時行えるようにしたので、従前の人工呼吸システムのように、呼吸管のアダプタを取り外し、その間に吸引管を気管カニューレ内に挿入して痰を吸い出すという手間を省くことができる。しかも、従来の人工呼吸吸引両用アダプタを備えた人工呼吸システムよりも構造が簡単であるため、低コストで故障がし難い。また、気管カニューレにおいて、呼吸路と痰の吸引路とが、呼吸路の外周全域に同心円状に痰の吸引路が配置された二重管構造で別々に配設されているため、痰の吸引直後、人工呼吸器からの送気によって気管カニューレ内に残った痰を気管内に押し戻すおそれがない。
【0014】
特に、気管カニューレを、呼吸路と痰の吸引路とが呼吸路の外周全域に同心円状に痰の 吸引路が配置された二重管構造としたので、内部流路を有効に活用することができるとともに、気管カニューレを円滑な円管形状に仕上げることができる。これにより、気管カニューレにより気管の内周面を傷付け難くなる。
【0015】
また、請求項2に記載の人工呼吸システムおよび請求項5に記載の気管カニューレによれば、気管カニューレに内部形成された呼吸路に、第1の圧力センサにより気道内圧を測定する枝管を連通したので、人工呼吸器の運転に支障なく気道内圧を測定することができる。
【0016】
さらに、請求項3に記載の人工呼吸システムによれば、第1の圧力センサにより気道内圧を測定するか、第2の圧力センサにより気管カニューレに設けられた痰の吸引路の内圧を測定する。このとき、測定された気道内圧が2.50KPa以上のとき、制御部により痰吸引器を作動させる。または、タイマを用いた10〜20分の経過毎、痰吸引器を作動させて試験吸引を5秒間行い、第2の圧力センサにより検出された吸引路の内圧が−20KPa以下のとき、痰吸引器を20秒間作動させて本吸引を行う。吸引路の内圧が−18KPaに達したとき、痰吸引器を停止して本吸引を終了する。
これにより、気管内で発生した喀痰の有無を検出し、自動的に喀痰を吸引することができる。しかも、喀痰の吸引後、自動的に痰吸引器を停止することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の第1の実施例を図面を参照して説明する。
図1において、10はこの発明の第1の参考例に係る人工呼吸システムである。この人工呼吸システム10は、送気および排気を行うための呼吸管11が連通された人工呼吸器12と、患者の気管13に挿入される気管カニューレ14と、呼吸管11に連通され、気管13内に溜まった痰を吸い出す吸引カテーテル(吸引管)15が連通された痰吸引器16と、人工呼吸器12のON・OFFをシーケンサ17により制御するコントロールボックス(制御部)18とを備えている。
【0018】
人工呼吸器12は、内蔵した吸引器とコンプレッサとを一定時間毎に交互に作動し、患者の呼吸を確保する装置である。呼吸管11は、人工呼吸器12の送排気口と気管カニューレ14の元部に装着されたマウント(ジョイント部)20とを連通している。呼吸管11の途中には呼気弁21が設けられている。
気管カニューレ14は、気管切開手術により患者の気管13に形成された孔に挿入される略Jの字形状に湾曲したプラスチック製の管である。気管カニューレ14の内径は9mmであり、先端は気管内に開口している。気管カニューレ14の上端部には、気道内圧の測定用の第1のモニター管(枝管)22の一端が、気管カニューレ14内の呼吸路14aと連通されている。一方、第1のモニター管22の他端は、上記コントロールボックス18に収納された第1の圧力センサ30Aに連通されている。これにより、第1のモニター管22を介して、第1の圧力センサ30Aにより気道内圧を測定することができる。その結果、突発的な痰の発生を検出し、迅速に対処することができる。また、第1のモニター管22に代えて、上記呼気弁21を通過する空気をサンプリングし、これを第1の圧力センサ30Aに導く別のモニター管を採用してもよい。
【0019】
気管カニューレ14の管内には、上記マウント20を介して、痰吸引器16から延出された吸引カテーテル15の先部が留置されている。吸引カテーテル15の先端部の挿入位置は、気管カニューレ14の先端から気管分岐部の略中間位置としている。吸引カテーテル15の外径は4mmである。よって、気管カニューレ14の内部通路には、断面積51mmという大きな呼吸路14aが確保される。これにより、患者は楽に呼吸することができる。また、吸引カテーテル15の内部には、痰の吸引路15aが形成されている。さらに、吸引カテーテル15の先端部には、痰吸引口15bが形成されている。この痰吸引口15bの形成位置は、気管粘膜の損傷を防ぐため、吸引カテーテル15の先端ではなく、周側壁となっている。すなわち、吸引カテーテル15の先端は半球状に封止され、その先端部の管側壁に所定大きさの痰吸引口15bが形成されている。
【0020】
痰吸引器16は、内部で発生した負圧により、気管13内に溜まった痰を吸引カテーテル15を介して吸い出し、それを痰回収ビン23に回収する器械である。
コントロールボックス18には、上記シーケンサ17と、上記気道内圧または吸引カテーテル15の吸引圧を検出する第1の圧力センサ30Aおよび第2の圧力センサ30Bと、タイマ24とが収納されている。吸引圧は、吸引カテーテル15の途中に連通された前記第2のモニター管25を介して第2の圧力センサ30Bにより検出される。コントロールボックス18には、患者が自己判断で試験吸引を開始するセルフスイッチ26が接続されている。
【0021】
次に、第1の参考例に係る人工呼吸システム10の作動を説明する。
患者の呼吸、すなわち人工呼吸器12を用いた患者の気管13への送気および排気は、従来と同様に、呼吸管11およびマウント20を介して、気管カニューレ14内の呼吸路14aを通して行われる。
以下、痰吸引器16を使用した痰の吸引操作について、図2のシーケンサ17を利用した人工呼吸システム10の制御のフローシートを参照して詳細に説明する。
タイマ24を用いて10〜20分毎の経過時間が検出されると(S100)、痰吸引器16が作動し、試験吸引を5秒間行う(S101)。
【0022】
試験吸引時、第2の圧力センサ30Bにより検出した吸引カテーテル15内の圧力が−20KPa以下であれば、気管13内に痰が発生しているものと見なし、20秒間の本吸引に移行する(S102,S103)。また、この試験吸引は、常時、第1のモニター管22を用いて第1の圧力センサ30Aにより監視される気道内圧が、所定の設定圧を超えた場合にも開始される(S104)。さらに、患者の自己判断により、セルフスイッチ26を入れることで、試験吸引を開始することも可能である(S105)。試験吸引時、吸引カテーテル15内の圧力が−20KPaを超えていたなら、痰が発生していないと見なし、試験吸引を終了する(S107)。上記本吸引は、第2の圧力センサ30Bが−18KPa以上に復帰するまで続行される(S106)。そして、吸引圧が−18KPaに達したなら、本吸引を終了する(S107)。
【0023】
このように、吸引カテーテル15を気管カニューレ14に固定し、痰の吸引を必要に応じて常時行えるようにしたので、従前の人工呼吸システムのように、呼吸管11のアダプタを取り外し、その間に吸引カテーテル15を気管カニューレ14内に挿入して痰を吸い出すという手間を省くことができる。しかも、従来の人工呼吸吸引両用アダプタを備えた人工呼吸システムよりも構造が簡単であるため、低コストで故障がし難くい。また、気管カニューレ14において、呼吸路14aと痰の吸引路15aとが別々に配設されているため、痰の吸引直後、人工呼吸器12からの送気によって気管カニューレ14内に残った痰を気管13内に押し戻すおそれがない。さらに、気管13内で発生した喀痰の有無を検出し、自動的にその喀痰を吸引することができる。さらにまた、気管カニューレ14に内部形成された呼吸路14aに、第1の圧力センサ30Aにより気道内圧を測定する第1のモニター管22を連通したので、人工呼吸器12の運転に支障なく気道内圧を測定することができる。
【0024】
次に、図3および図4を参照して、この発明の第2の参考例に係る人工呼吸システムを説明する。
第2の参考例は、気管カニューレ14として、患者の肺への送気および排気用の呼吸路14aと、吸引カテーテル15に連通された痰の吸引路15aとが別々に設けられた二重管構造を有するものを採用した例である。このとき、呼吸路14aの気管側の口14bと吸引路15aの痰吸引口15bとは、同じ平面内に形成されている。
図3(a),(b)に示す気管カニューレ14は、痰の吸引路15aの断面形状が、気管カニューレ14の内周面に沿って略三日月形状を有している。また、図3(c)に示す気管カニューレ14は、呼吸路14aとの仕切り板が平坦な断面三日月形状の吸引路15aを有している。さらに、図3(d)に示す気管カニューレ14は、呼吸路14aとの仕切り板が呼吸路14a側に隆起した断面凸形の吸引路15aを有している。
その他の構成、作用および効果は、第1の参考例と同じであるので説明を省略する。
【0025】
次に、図4を参照して、この発明の第1の実施例に係る人工呼吸システムを説明する。
第1の実施例は、気管カニューレ14として、患者の肺への送気および排気用の呼吸路14aと、吸引カテーテル15に連通された痰の吸引路15aとが別々に設けられた二重管構造を有するものを採用した例である。このとき、呼吸路14aの気管側の口14bと吸引路15aの痰吸引口15bとは、同じ平面内に形成されている。
図4(a),(b)には、気管カニューレ14として、呼吸路14aの外周側に、吸引路15aを二重管構造で形成したものを例示している。この気管カニューレ14内の呼吸路14aの断面積は50mm程度である。
【0026】
このように、気管カニューレ14を呼吸路14aと痰の吸引路15aとが分離された二重管構造としたので、気管カニューレ14の内部流路を有効に活用することができる。しかも、気管カニューレ14を円滑な円管形状に仕上げることができる。これにより、気管13を切開して形成された孔の長さを短くすることができるとともに、この孔内に挿入された気管カニューレ14により気管13の内周面を傷付け難くなる。
その他の構成、作用および効果は、第1の参考例と同じであるので説明を省略する。
【0027】
次に、図5を参照して、この発明の第3の参考例に係る人工呼吸システムを説明する。
第3の参考例では、気管カニューレ14として、その略全長にわたって、断面が略三日月形状を有した痰の吸引路15aを、気管カニューレ14の周板に沿って所定間隔をあけて一体形成し、しかも呼吸路14aの気管側の口14bが、吸引路15aの痰吸引口15bより突出長さd(2mm)だけ外方に(先端側に突出して)配置されたものを採用した例である。
気管カニューレ14の先端部の外周面には、空気の出し入れによって拡縮自在なカフ32が周設されている。膨張したカフ32により、気管13と気管カニューレ14との隙間が塞がれる。気管カニューレ14内の呼吸路14aの断面積は50mm程度である。
このように、呼吸路14aの気管13側の口を、吸引路15aの痰吸引口15bよりも外方に配置したので、痰の吸引時において、痰吸引口15bを通した吸い込み力が、呼吸路14aを通した人工呼吸器12による呼吸を妨げ難い。
その他の構成、作用および効果は、第2の参考例と略同じであるので説明を省略する。
【0028】
ここで、図6のグラフを参照し、終夜継続して実施された第1の参考例の人工呼吸システムの臨床試験の結果を報告する。
臨床試験は、女性患者を被験者とし、2001年5月14日に実施した。試験場所は病院とした。マウントは、吸引カテーテルを、マウント上部から挿入、留置することが可能なマリンクロット社製のダブルシーベルカテーテルマウントを用いた。このマウントを患者の気管カニューレに連通し、その上部ホールを通して、吸引カテーテルを気管カニューレ内を経由し、気管内まで導いた。人工呼吸器には新鋭工業株式会社製Minic−W、シーケンサにはオムロン製のSYSMAC CPM1Aを採用した。また、タイマにはオムロン社製H3YN−2を2機(試験吸引の間隔設定用と試験吸引の時間設定用)採用した。さらに、第1の圧力センサおよび第2の圧力センサには、CKD製PRD−V01AHN−6Pを採用した。
【0029】
患者への人工呼吸システムの装着は21時30分に行った。患者は覚醒していたため、試験吸引の間隔は10分毎から開始した。23時から翌日8時までは就寝モードとし、試験吸引を20分毎に延長した。翌朝8時から再び10分毎に戻し、10時30分に臨床試験を終了した。
図6のグラフから明らかなように、就寝モード時において、一度も自動吸引とは異なる用手吸引を必要としなかった。また、人工呼吸器からは気道内圧が設定値以上に達したことを知らせる警報アラームも発生しなかった。終夜臨床実験における採取喀痰量は、約30mlであった。
【0030】
この結果から、第1の参考例の人工呼吸システムは、終夜継続の臨床試験においても有効に作動したと考えられる。
安全性については、試験前後、気管支ファイバースコープを用いて気管内の観察を行って確認した。すなわち、気管内に出血、炎症、潰瘍、びらんなどの気管内粘膜変化は認められなかった。また、終夜臨床試験中、心拍、酸素飽和度に対してモニタ指標の顕著な変化はなかった(図6)。
さらに、今回の一連の臨床試験で判明したことは、留置型の吸引カテーテルによって痰を吸引した場合、従前の用手吸引手技で生じるような「むせ」が患者に生じない。このことは、終夜試験においても、睡眠が中断されないという現象として捕捉されている。これにより、吸引行為における「むせ」のくるしさから気管切開患者を開放することができる。
【0031】
【発明の効果】
請求項1の人工呼吸システムおよび請求項4の気管カニューレによれば、吸引管を気管カニューレに固定し、痰の吸引を必要に応じて常時行えるようにしたので、従前の人工呼吸システムのように、呼吸管のアダプタを取り外し、その間に吸引管を気管カニューレ内に挿入し、痰を吸い出す手間が省ける。
しかも、従来の人工呼吸吸引両用アダプタを備えた人工呼吸システムよりも構造が簡単であるので、低コストで故障がし難いとともに、気管カニューレにおいて呼吸路と痰の吸引路とが区分されているので、痰の吸引直後、人工呼吸器からの送気により気管カニューレ内に残った痰を気管内に押し戻すおそれがない。
【0032】
特に、気管カニューレを、呼吸路の外周全域に同心円状に痰の吸引路が配置された二重管構造としたので、内部流路を有効に活用することができるとともに、気管カニューレを円滑な円管形状に仕上げることができる。これにより、気管を切開して形成された孔の長さを短くできるとともに、この孔内に挿入された気管カニューレによって気管の内周面を傷付け難い。
【0033】
また、請求項2の人工呼吸システムおよび請求項5の気管カニューレによれば、気管カニューレに内部形成された呼吸路に、第1の圧力センサにより気道内圧を測定する枝管を連通したので、人工呼吸器の運転に支障なく気道内圧を測定することができる。
【0034】
さらに、請求項3の人工呼吸システムによれば、第1の圧力センサにより気道内圧を測定するか、第2の圧力センサにより気管カニューレに設けられた痰の吸引路の内圧を測定するようにしたので、気管内で発生した喀痰の有無を検出し、自動的に喀痰を吸引することができる。しかも、喀痰の吸引後、自動的に痰吸引器を停止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の第1の参考例に係る人工呼吸システムの全体斜視図である。
【図2】 この発明の第1の参考例に係る人工呼吸システムの制御のフローシートである。
【図3】 この発明の第2の参考例に係る人工呼吸システムに配備された気管カニューレの断面図である。
【図4】 この発明の第の実施例に係る人工呼吸システムに配備された気管カニューレの断面図である。
【図5】 この発明の第3の参考例に係る人工呼吸システムに配備された気管カニューレの断面図である。
【図6】 終夜継続して実施された人工呼吸システムの臨床試験のグラフである。
【符号の説明】
10 人工呼吸システム、
11 呼吸管、
12 人工呼吸器、
13 気管、
14 気管カニューレ、
14a 呼吸路、
14b 気管側の口、
14c 痰吸引口、
15 吸引カテーテル(吸引管)、
15a 吸引路、
16 痰吸引器、
22 第1のモニター管(枝管)、
30A 第1の圧力センサ、
30B 第2の圧力センサ。

Claims (5)

  1. 送気および排気用の呼吸管が接続された人工呼吸器と、
    上記呼吸管に連通され、患者の気管に挿入される気管カニューレと、
    上記気管内に溜まった痰を吸い出す吸引管が連通された痰吸引器とを備え、上記吸引管を、上記気管カニューレに固定した人工呼吸システムであって、
    上記気管カニューレには、送気および排気用の呼吸路と、該呼吸路の外周全域に同心円状に配置された痰の吸引路とが二重管構造で別々に設けられるとともに、前記呼吸路の気管側の口と吸引路の痰吸引口とは同じ平面内に形成された人工呼吸システム。
  2. 上記気管カニューレには、前記呼吸路に連通されて第1の圧力センサにより気道内圧を測定する枝管が連通された請求項1に記載の人工呼吸システム。
  3. 上記吸引路の内圧を測定する第2の圧力センサと、
    上記第1の圧力センサにより検出された気道内圧が2.50KPa以上のとき、上記痰吸引器を作動させ、かつ、タイマを用いた10〜20分の経過毎、上記痰吸引器を作動させて試験吸引を5秒間行い、上記第2の圧力センサにより検出された吸引路の内圧が−20KPa以下のとき、上記痰吸引器を20秒間作動させて本吸引を行うとともに、上記吸引路の内圧が−18KPaに達したとき、上記痰吸引器を停止して本吸引を終了する制御部とを有した請求項2に記載の人工呼吸システム。
  4. 患者の気管に送入され、人工呼吸器から延出された呼吸管が接続される気管カニューレにおいて、
    送気および排気用の呼吸路と、該呼吸路の外周全域に同心円状に配置された痰の吸引路とが二重管構造で別々に設けられるとともに、前記呼吸路の気管側の口と吸引路の痰吸引口とは同じ平面内に形成された気管カニューレ。
  5. 上記気管カニューレには、前記呼吸路に連通されて、請求項2の第1の圧力センサにより気道内圧を測定する枝管が設けられた請求項4に記載の気管カニューレ。
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