JP3652041B2 - 複合センサ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
管路等を流れる液体や気体等の流体について、その流量と圧力とを同時に測定するための複合センサに関する。
【0002】
【背景技術】
液体や気体等の流体は、その体積が圧力や温度等により変動することから、その流量測定においては、圧力測定と温度測定とを同時に行い、これらの圧力測定値および温度測定値に基づき、流量測定値を所定の状態の体積に補正しなければならないことがある。
特に、気体は、その体積が圧力や温度等により、著しく変動することから、流量測定値を標準状態の体積に補正することが重要となっている。
このような補正を伴う流量測定を行うにあたり、流量センサ、圧力センサおよび温度センサを別々に設けたのでは、各センサの取付作業が煩雑となるうえ、場合によっては、望ましい位置に集中して設けることができず、同じ機材を用いても測定値が異なってしまう。
特に、流量センサと圧力センサとは、同一箇所に設けることが望ましいが、通常のものは、同一箇所に設けることが困難となっている。
【0003】
そこで、流量センサおよび圧力センサを一体化し、前述のような問題の解決を図った装置(特階昭63-70121号公報)が知られている。
この装置には、流体を流通させる筒部の内部に挿入される垂直バーを、前記筒部の外部において当該筒部と平行に配置される水平バーの中心部に連結したT字形アームが備えられている。
T字形アームの水平バーの両端は、支柱を介して前記筒部に連結されている。そして、これらの支柱には、第1および第2の荷重センサがそれぞれ取り付けられている。
垂直バーの基端の近傍部分には、流体の流動方向と平行に形成された鍔状の円盤部が設けられている。また、垂直バーの先端部分には、流体の流動方向と正対する受圧面が設けられている。
筒部には、垂直バーを挿通させる開口が設けられている。この開口には、蛇腹筒の一端が接続されている。この蛇腹筒の他端は、垂直バーの円盤部で塞がれている。
このような装置によれば、流体の圧力(静圧)が円盤部で受けとめられ、第1および第2の荷重センサの両方を同方向に変形させるので、これらの荷重センサからの測定値の和に基づいて、流体の圧力を測定することができる。
一方、受圧部で受けとめられる流体の動圧は、第1および第2の荷重センサを互いに逆方向に変形させるので、これらの荷重センサで得られる測定値の差から、流体の動圧が検出可能となっている。そして、検出された動圧に基づいて、流体の流速、ひいては流量を測定することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のような装置では、機械的な構成要素。部品を多く必要とする構造となっていることから、組立作業に時間がかかるうえ、荷重センサを支柱に接着剤等で取り付ける取付作業に時間がかかり、その製造効率がよくないという問題がある。
また、部品を多く必要とする構造であるので、全体が大きくなりやすく、小型化が困難であるという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、簡単な構造であり、小型化が容易な複合センサを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、測定対象となる流体の流量と圧力とを同時に測定するための複合センサであって、前記流体が流れる方向と平行に配置されるとともに一面が当該流体に接し、中央部分に厚さ寸法が周辺部分よりも大きい厚肉部が設けられ、この厚肉部の反対側の面に温度に応じて電気抵抗が変化する温度検出部が設けられているダイアフラム部と、このダイアフラム部の前記一面の前記厚肉部の前記流体が接する面に基端が接合されるとともに先端が前記流体の流動方向と交差する方向に延びるカンチレバー部と、前記ダイアフラム部の機械的変位に応じて電気抵抗が変化するとともに当該ダイアフラム部の表面に放射状に配列されている複数の歪みゲージとを備えていることを特徴とする。
このような本発明では、ダイアフラム部で流体の圧力(静圧)を受け、ダイアフラム部の変位を、その表面に設けた歪みゲージで検出することで、流体の圧力測定を行う。
一方、流体の動圧は、カンチレバー部で受けられ、このカンチレバー部がダイアフラム部に変位を生じさせ、この変位をダイアフラム部の歪みゲージで検出する。これにより、流体の動圧検出を行い、この動圧から流量を測定する。
従って、主要な機械部品としては、ダイアフラム部およびカンチレバー部だけですみ、多くの部品を必要としない簡単な構造となる。
ダイアフラム部が弾性を有する平板状のものであることから、その表面に複数の歪みゲージを放射状に設けるにあたり、真空蒸着法等のPVD(Physical Vapour Deposition)や、プラズマCVD(Chemical Vapour Deposition)等の成膜法が容易に利用でき、歪みゲージの成形の容易化を図ることができる。
また、複数の歪みゲージを放射状に配置することから、各歪みゲージ間の位置が離隔し、これらの歪みゲージを成形するにあたり、小型化しても相互に干渉することがなくなり、この点からも製造が容易となる。
【0007】
以上において、前記カンチレバー部には、前記流体の流動方向と正対し、流動する前記流体を受ける流体受面が備えられ、前記ダイアフラム部の表面には、前記歪みゲージとして、前記流体の圧力を受けることにより生じる当該ダイアフラム部の変位を検出するために設けられた、複数の第1の歪みゲージと、前記カンチレバー部の前記流体受面が前記流体を受けることにより生じる当該ダイアフラム部の変位を検出するために設けられた、複数の第2の歪みゲージとが備えられ、前記第1の歪みゲージは、前記流体の流動方向に直交する方向に配列され、前記第2の歪みゲージは、前記流体の流動方向に沿って配列されていることが望ましい。
このようにすれば、第1の歪みゲージが流体の圧力検出専用ものもとなり、かつ、第2の歪みゲージが動圧検出専用のものとなり、当該センサからは、圧力信号および動圧信号が別個に出力され、電気的処理が容易に行えるようになり、当該センサの後段に接続される演算回路等の構成が簡単なものとなる。
そのうえ、第1の歪みゲージを流体の流動方向に直交する方向に配列すれば、カンチレバー部が動圧を受けることにより生ずるダイアフラム部の変位が最小となる部分に、第1の歪みゲージを配置できるようになる。これにより、第1の歪みゲージは、動圧に対する感度が低下するので、同一のダイアフラム部で流量測定を行っても、その影響が低減される。
そして、第2の歪みゲージを流体の流動方向に直交する方向に配列すれば、カンチレバー部が動圧を受けることにより生ずるダイアフラム部の変位が、ダイアフラム部の前後で逆方向となる位置に、第2の歪みゲージを配置することが可能となる。これにより、第2の歪みゲージの出力について、流体の圧力による成分を相殺することが可能となり、同一のダイアフラム部で圧力測定を行っても、その影響が低減される。
【0008】
また、前記ダイアフラム部には、中央部分に厚さ寸法が周辺部分よりも大きい厚肉部が設けられ、この厚肉部の前記流体が接する面に前記カンチレバー部の基部が接合され、前記厚肉部の反対側の面に温度に応じて電気抵抗が変化する温度検出部が設けられていることを特徴としている。
このようにすれば、ダイアフラム部へのカンチレバー部の連結強度が十分確保されるようになり、当該センサの耐久性が確保されるようになるうえ、流体の圧力などにより、温度検出部に変位が生じることがなくなり、ダイアフラム部に温度検出部を設けても、正確な温度測定が行えるようになる。
【0009】
さらに、前記ダイアフラム部は、金属製のものとされ、このダイアフラム部の前記流体に接しない面は、二酸化ケイ素の絶縁層で覆われ、前記歪みゲージは、前記絶縁層の上に形成されたシリコン薄膜とすることが望ましい。
このようにすれば、PVDやCVD等の製膜法および写真製版の技術を利用することが容易に行えるようになり、歪みゲージ付のダイアフラム部を超小型化できるうえに、大量生産することも可能となる。
【0010】
また、前記複数の歪みゲージは、前記ダイアフラム部の変形により圧縮力を受ける位置、および、同ダイアフラム部の変形により張力を受ける位置の両方にそれぞれ設けられていることが好ましい。
このようにすれば、カンチレバー部が動圧を受けることにより生ずるダイアフラム部の変位を第1の歪みゲージが検出しても、当該変位による電気的な変化を相殺することが可能となり、同一のダイアフラム部で流量測定を行っていることの影響が最小限となる。
一方、第2の歪みゲージは、流体の圧力により生ずるダイアフラム部の変位を検出しても、当該変位による電気的な変化を相殺することが可能となり、同一のダイアフラム部で圧力測定を行っていることの影響が最小限となる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の一形態を図面に基づいて説明する。
図1および図2には、本実施形態に係る複合センサ1が示されている。この複合センサ1は、測定対象となる流体を流通させる配管に接続される筒体10に、流量と圧力とを同時に測定するための仕組みを設けたものである。
筒体10の内部には、前述の流体が通る流路11が設けられ、この流路11両端には、配管を接続するための接続部12が設けられている。
接続部12は、内周面側の雌ねじ部13と、外周面側の工具係合部14とを有したものである。雌ねじ部13は、内部に向かって次第に直径が小さくなったもので、いわゆるテーパー雄ねじと螺合するようになっている。工具係合部14は、六角ナット状に形成されたものであり、スパナ等の工具と係合するようになっている。
筒体10の中間部分には、当該筒体10の側壁15を貫通する開口部16が設けられている。開口部16の周囲には、筒体10の外周面から突出する立ち上がり部17が設けられている。
【0012】
開口部16は、その内部に流路11を横断するカンチレバー部20が挿入された状態で、円盤状のダイアフラム部30で塞がれたものとなっている。ダイアフラム部30の中心部分にカンチレバー部20が連結されるとともに、ダイアフラム部30がリング状部材31を介して筒体10の立ち上がり部17に連結されている。
ここで、ダイアフラム部30が変形することにより、カンチレバー部20の先端側が回動するようになっている。
また、流路11の内周面には、 開口部16と対向する部分に凹部18が設けられている。この凹部18は、内部にカンチレバー部20の先端が挿入され、カンチレバー部20の回動量が過大にならないように抑制するストッパーとなっている。
【0013】
カンチレバー部20は、その基端がダイアフラム部30に接合されるとともに、先端が流体の流動方向と交差する方向に延びる棒状のものとなっている。カンチレバー部20の流路11内に収まる部分には、流体の流動方向と正対し、当該流体を受ける流体受面21が設けられている。なお、流体受面21は、カンチレバー部20が金属製の丸棒である場合には、丸棒の所定箇所を押し潰すことにより形成することができる。
ダイアフラム部30は、流路11内の流体が流れる方向と平行に配置されたものである。ダイアフラム部30には、図3および図4に示されるように、中央部分および周縁部分に、厚さ寸法の大きい中央厚肉部32および周縁厚肉部33が設けられている。これらの厚肉部32, 33の間には、厚さ寸法の小さい変形薄肉部34が設けられている。
このうち、中央厚肉部32は、図中下方の面が流体と接する面となっており、こちら側の面に、前述のカンチレバー部20の基部が溶接により接合されている。また、周縁厚肉部33には、筒体10に溶接されるリング状部材31が、やはり溶接により接合されている。
ここで、ダイアフラム部30は、流路11内を流体の圧力(静圧)およびカンチレバー部30の回動のいずれによっても、変形薄肉部34が変位を生じるようになっている。
【0014】
ダイアフラム部30の流体と接しない面には、当該ダイアフラム部30の機械的変位に応じて電気抵抗が変化する複数の歪みゲージGF1〜GF4, GP1〜GP4と、温度に応じて電気抵抗が変化する温度検出部GTとが設けられている。このうち、温度検出部GTは、ダイアフラム部30の中央厚肉部32に設けられている。
歪みゲージGP1〜GP4, GF1〜GF4は、ダイアフラム部30の変形薄肉部34に放射状に配列されている。
このうち、歪みゲージGP1〜GP4は、流体の圧力を受けることにより生じるダイアフラム部30の変位を検出するために設けられた第1の歪みゲージである。これらの歪みゲージGP1〜GP4は、図5に示されるように、流体の流動方向に直交する方向に一列に配列されている。
一方、歪みゲージGF1〜GF4は、カンチレバー部20の流体受面21が流体を受けることにより生じるダイアフラム部30の変位を検出するために設けられた第2の歪みゲージである。これらの歪みゲージGF1〜GF4は、流体の流動方向に沿って一列に配列されている。
【0015】
ここで、歪みゲージGP1,GP3は、図6に示されるように、ダイアフラム部30の変形薄肉部34の内周縁の近傍位置に設けられている。
一方、歪みゲージGP2,GP4は、変形薄肉部34の外周縁の近傍位置に設けられている。
これにより、ダイアフラム部30が流体の圧力(静圧)を受けて図中上方に変形すると、変形薄肉部34の内周縁近傍の表面は、折れ曲がりの外側の面となることから、歪みゲージGP1,GP3に張力が加わるようになっている。
また、ダイアフラム部30が前述の如く変形すると、変形薄肉部34の外周縁近傍の表面は、折れ曲がりの内側の面となることから、歪みゲージGP2,GP4に圧縮力が加わるようになっている。
従って、流体の静圧によりダイアフラム部30が変形すると、歪みゲージGP1,GP3は、電気抵抗が大きくなる一方、歪みゲージGP2,GP4は、電気抵抗が小さくなるように配置されている。
【0016】
歪みゲージGF1,GF3は、図7に示されるように、ダイアフラム部30の変形薄肉部34の内周縁の近傍位置に設けられ、歪みゲージGF2,GF4は、変形薄肉部34の外周縁の近傍位置に設けられている。
これにより、カンチレバー部20の流体受面21が流体の動圧を受け、カンチレバー部20の先端が図中左方へ回動するのに応じて、ダイアフラム部30が変形すると、変形薄肉部34の図中左側の内周縁近傍および図中右側の外周縁近傍の表面は、折れ曲がりの外側の面となることから、歪みゲージGF1,GF4には、張力が加わるようになっている。
また、ダイアフラム部30が前述の如く変形すると、変形薄肉部34の図中左側の外周縁近傍および図中右側の内周縁近傍の表面は、折れ曲がりの内側の面となることから、歪みゲージGF2,GF3には、圧縮力が加わるようになっている。
従って、流体の動圧によりダイアフラム部30が変形すると、歪みゲージGF1,GF4は、電気抵抗が大きくなる一方、歪みゲージGF2,GF3は、電気抵抗が小さくなるように配置されている。
【0017】
さらに、カンチレバー部20が流体の流動方向と直交する方向へ回動するのに応じて、ダイアフラム部30が変形すると、歪みゲージGP1〜GP4は、図7に示される歪みゲージGF1〜GF4を歪みゲージGP1〜GP4に置き換えた如く、歪みゲージGP1,GP4の電気抵抗が大きくなる一方、歪みゲージGP2,GP3の電気抵抗が小さくなる。
また、歪みゲージGF1〜GF4は、流体の静圧を受けてダイアフラム部30が変形すると、図6に示される歪みゲージGP1〜GP4を歪みゲージGF1〜GF4に置き換えた如く、歪みゲージGF1,GF3の電気抵抗が大きくなる一方、歪みゲージGF2,GF4の電気抵抗が小さくなる。
なお、ダイアフラム部30は、金属製のものとされている。このダイアフラム部30の流体と接しない表面は、二酸化ケイ素の絶縁層で覆われている。
歪みゲージGP1〜GP4,GF1〜GF4は、前述の絶縁層上にプラズマCVD法により積層形成したシリコン薄膜を、写真食刻技術により所定の平面形状に成形したものである。
【0018】
図8には、歪みゲージGP1〜GP4の電気結線が示されている。
図において、歪みゲージGP1は、一端が歪みゲージGP2の一端と、接続点aにおいて接続され、他端が歪みゲージGP4の一端と、接続点dにおいて接続されている。歪みゲージGP2の他端は、歪みゲージGP3の一端と、接続点bにおいて接続されている。歪みゲージGP3の他端は、歪みゲージGP4の他端と、接続点cにおいて接続されている。このような歪みゲージGP1〜GP4の接続により、流体の圧力(静圧)を検出する圧力検出部2が形成されている。
圧力検出部2の接続点b,dには、入力端子41, 42がそれぞれ接続され、これらの入力端子41, 42に所定の電圧が印化されるようになっている。圧力検出部2の接続点c,aには、出力端子43, 44がそれぞれ接続され、これらの出力端子43, 44から、流体の圧力に応じた電気信号が出力されるようになっている。
【0019】
図9には、歪みゲージGF1〜GF4の電気的な結線が示されている。
図において、歪みゲージGF1は、一端が歪みゲージGF2の一端と、接続点eにおいて接続され、他端が歪みゲージGF3の一端と、接続点hにおいて接続されている。歪みゲージGF2の他端は、歪みゲージGF4の一端と、接続点fにおいて接続されている。歪みゲージGF4の他端は、歪みゲージGF3の他端と、接続点gにおいて接続されている。このような歪みゲージGF1〜GF4の接続により、流体の静圧から流量を検出する流量検出部3が形成されている。
流量検出部3の接続点f,hには、入力端子45, 46がそれぞれ接続され、これらの入力端子45, 46に所定の電圧が印化されるようになっている。流量検出部3の接続点g,eには、出力端子47, 48がそれぞれ接続され、これらの出力端子47, 48から、流体の流量に応じた電気信号が出力されるようになっている。
【0020】
次に、本発明の動作について説明する。
いま、ダイアフラム部30が流体の圧力を受けて図6の如く、図中上方に変形したとすると、歪みゲージGP1,GP3には、張力が加わり、歪みゲージGP2,GP4には、圧縮力が加わるので、流体の圧力の強さに応じて、歪みゲージGP1,GP3の電気抵抗が大きくなり、歪みゲージGP2,GP4の電気抵抗が小さくなる。
ここで、歪みゲージGP1〜GP4は、電気抵抗の変化分の絶対値が等しくなるように設定され、その絶対値がΔRであるとすると、図8の如く、歪みゲージGP1,GP3の変化分は、+ΔRとなり、歪みゲージGP2,GP4の変化分は、−ΔRとなる。
このため、接続点cの電位は上がり、接続点aの電位は下がり、これにより、出力端子43, 44の間に、流体の圧力に応じた電気信号が出力される
一方、上述のようにダイアフラム部30が変形すると、歪みゲージGF1,GF3の電気抵抗が大きくなり、歪みゲージGF2,GF4の電気抵抗が小さくなる。
ここで、歪みゲージGF1〜GF4は、電気抵抗の変化分の絶対値が等しくなるように設定され、その絶対値がΔRであるとすると、図9の如く、歪みゲージGF1,GF3の変化分は、+ΔRとなり、歪みゲージGF2,GF4の変化分は、−ΔRとなる。
このため、接続点g,eの電位がともに下がり、これにより、流体の圧力でダイアフラム部30が変形しても、出力端子47, 48の間には、何ら電気信号が発生しない。
【0021】
次に、カンチレバー部20の流体受面21が流体の動圧を受け、カンチレバー部20の先端が図中左方へ回動するのに応じて、図7の如く、ダイアフラム部30が変形したとすると、歪みゲージGF1,GF4には、張力が加わり、歪みゲージGF2,GF3には、圧縮力が加わる。これにより、流体の動圧の大きさに応じて、歪みゲージGF1,GF4の電気抵抗が大きくなり、歪みゲージGF2,GF3の電気抵抗が小さくなる。
ここで、歪みゲージGF1〜GF4は、電気抵抗の変化分の絶対値が等しくなるように設定され、その絶対値がΔrであるとすると、図9の如く、歪みゲージGF1,GF4の変化分は、+Δrとなり、歪みゲージGF2,GF3の変化分は、−Δrとなる。
このため、接続点gの電位は上がり、接続点eの電位は下がり、これにより、出力端子47, 48の間に、流体の動圧、すなわち流量に応じた電気信号が出力される。
一方、上述のようにダイアフラム部30が変形すると、歪みゲージGP1,GP4の電気抵抗が大きくなり、歪みゲージGP2,GP3の電気抵抗が小さくなる。
ここで、歪みゲージGP1〜GP4は、電気抵抗の変化分の絶対値が等しくなるように設定され、その絶対値がΔrであるとすると、図8の如く、歪みゲージGP1,GP4の変化分は、+Δrとなり、歪みゲージGP2,GP3の変化分は、−Δrとなる。
このため、接続点a,cの電位がともに下がり、これにより、流体の動圧でダイアフラム部30が変形しても、出力端子43, 44の間には、何ら電気信号が発生しない。
【0022】
前述のような本実施形態によれば、次のような効果がある。
すなわち、ダイアフラム部30で流体の圧力を受け、ダイアフラム部30の変位を歪みゲージGP1〜GP4で検出し、また、カンチレバー部20で流体の動圧を受け、このカンチレバー部20でダイアフラム部30に変位を生じさせ、この変位を歪みゲージGF1〜GF4で検出し、さらに、ダイアフラム部30に設けた温度検出部GTで流体の温度測定を行うようにしたので、流体の圧力、流量および温度を同時に測定することができる。
【0023】
また、ダイアフラム部30およびカンチレバー部20で複合センサ1の主要構造を構成したので、他の機械要素が不要となって部品数が低減され、複合センサ1の構造が簡単なものとなり、製造の効率を向上できるうえ、全体を小型化することができる。
【0024】
さらに、ダイアフラム部30を平板状に形成し、その表面に複数の歪みゲージGP1〜GP4, GF1〜GF4を形成するにあたり、プラズマCVDおよび写真食刻技術を利用したので、ダイアフラム部30が著しく小さなものであっても、歪みゲージGP1〜GP4, GF1〜GF4の成形を容易に行うことができる。
また、複数の歪みゲージGP1〜GP4, GF1〜GF4を放射状に配置したので、その間隔が拡大され、歪みゲージGP1〜GP4, GF1〜GF4を成形するにあたり、ダイアフラム部30を超小型化しても、写真食刻時に、歪みゲージGP1〜GP4, GF1〜GF4が相互に干渉することがなく、この点からも製造が容易となる。
【0025】
また、歪みゲージGF1〜GF4を流体の流動方向に沿って配列して、流体の動圧検出専用のものとし、かつ、歪みゲージGP1〜GP4を流体の流動方向に直交する方向に配列して、流体の静圧検出専用のものとし、当該複合センサ1から動圧信号および静圧信号が別個に出力されようにしたので、これらの信号の電気的処理が容易となり、当該複合センサ1の後段に接続される演算回路等の構成を簡単なものとできる。
【0026】
さらに、カンチレバー部20に流体の流動方向と正対して当該流体を受ける流体受面21を設けたことから、ダイアフラム部30に接合することによりカンチレバー部20を回動可能としても、流体の動圧によるカンチレバー部20の回動方向が一方向に決まり、流体の動圧によるダイアフラム部30の変位検出を歪みゲージGF1〜GF4だけで検出することが可能となる。
そのうえ、カンチレバー部20の前後に歪みゲージGF1〜GF4を配置し、前後の歪みゲージGF1〜GF4の位置では、ダイアフラム部30の変位が逆方向となるようにしたので、出力信号は、流体の圧力による成分が相殺可能となり、流量測定および圧力測定を同一のダイアフラム部30の変位に基づいて行っても、相互に影響がでることがない。
【0027】
特に、歪みゲージGP1,GP3,GF1,GF3を変形薄肉部34の内周縁の近傍位置に設け、歪みゲージGP2,GP4,GF2,GF4を変形薄肉部34の外周縁の近傍位置に設け、ダイアフラム部30の所定の変形に対して、歪みゲージGP1,GP3,GF1,GF3には、張力が加わるようにするとともに、歪みゲージGP2,GP4,GF2,GF4には、圧縮力が加わるようにし、かつ、歪みゲージGP1〜GP4は、流体の動圧による成分が相殺されるように結線し、歪みゲージGF1〜GF4は、流体の静圧による成分が相殺されるように結線したので、流量測定および圧力測定の間で、相互に影響がでることを確実に防止できる。
【0028】
また、ダイアフラム部30の中央部分に、厚さ寸法が周辺部分よりも大きい中央厚肉部32を設け、この中央厚肉部32の一方の面にカンチレバー部20の基部を接合し、中央厚肉部32の他方の面に温度検出部GTを設けたので、ダイアフラム部30へのカンチレバー部20の連結強度が十分確保され、複合センサ1の耐久性を向上することができうるうえ、流体の圧力等で温度検出部GTに変位が生じることがなくなるので、ダイアフラム部30に温度検出部GTを設けても、流体の圧力等の影響を受けず、正確に温度を測定できる。
【0029】
さらに、ダイアフラム部30を金属製のものとし、このダイアフラム部30の表面を二酸化ケイ素の絶縁層で覆い、この絶縁膜の上にシリコン薄膜製の歪みゲージGP1〜GP4,GF1〜GF4を形成するにあたり、プラズマCVDおよび写真食刻技術を利用したので、歪みゲージ付のダイアフラム部30を超小型化できるうえに、大量生産することができる。
【0030】
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は、この実施形態に限られるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の改良並びに設計の変更が可能である。
例えば、ダイアフラム部とカンチレバー部との接合部としては、互いの接合部分を平面とし、これらの平面同士を突き合わせて接合するものに限らず、図10に示されるように、カンチレバー部20A の基端をテーパー状に形成し、ダイアフラム部30A の中央厚肉部32A にカンチレバー部20A の基端に応じたすり鉢状の凹部を設け、カンチレバー部20A の基端を中央厚肉部32A の凹部に嵌合させた状態で溶接した接合部でもよい。
このようにすれば、ダイアフラム部30A の周縁厚肉部33A の厚さ寸法が大きく、接合部の横から水平にした溶接棒4を溶接部に近づけることができなくとも、斜め方向から溶接棒4を接合部に近づけることができ、例えば、カンチレバー部20A と所定角度θをなすように、溶接棒4を接合部に近づけることが可能となるので、溶接の便宜を図ることができる。なお、角度θは、45度前後とするのが好ましい。
【0031】
また、歪みゲージの数や配列としては、前記実施形態で示した数や配列に限らず、二個以上の歪みゲージを有していれば、その配列には制限がなく、歪みゲージの数や配列は実施に当たり適宜選択できる。しかしながら、前記実施形態のようにすれば、流量測定および圧力測定の間で、相互に影響がでることを確実に防止できるという効果が得られる。
さらに、温度検出部は、省略してもよく、設置する場合には、その設置位置は、ダイアフラム部に限定されず、筒体に設けてもよいが、ダイアフラム部に設ければ、前述の実施形態の如く製造が容易となる。
また、ダイアフラム部としては、金属製のものに限らず、セラミック製のものなどでもよく、ダイヤフラム部の材質は、実施にあたり適宜選択できる。
さらに、ダイアフラム部の絶縁層は、二酸化ケイ素製のものに限らず、合成樹脂製のものでもよい。なお、ダイアフラム部の材質として、セラミック製等の電気絶縁体を採用すれば、絶縁層は省略できる。
また、歪みゲージとしては、シリコン薄膜で形成したものに限らず、金属皮膜のものなどでもよく、歪みゲージの材質は、実施にあたり適宜選択できる。
【0032】
【発明の効果】
前述のように、本発明によれば、その構造を簡単なものとできるうえ、製造効率が向上し、かつ、小型化や量産化を容易に実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の全体を示す断面図である。
【図2】図1で示した前記実施形態の側面図である。
【図3】図2のIII − III線における拡大断面図である。
【図4】図1のIV − IV線における拡大断面図である。
【図5】前記実施形態のダイアフラム部を示す拡大平面図である。
【図6】図5のVI − VI線における拡大断面図である。
【図7】図5のVII − VII線における拡大断面図である。
【図8】本実施例における第1の歪みゲージの結線図である。
【図9】本実施例における第2の歪みゲージの結線図である。
【図10】本発明の変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 複合センサ
20 カンチレバー部
21 流体受面
30 ダイアフラム部
32 厚肉部としての中央厚肉部
GP1〜GP4 第1の歪みゲージ
GF1〜GF4 第2の歪みゲージ
GT 温度検出部
Claims (4)
- 測定対象となる流体の流量と圧力とを同時に測定するための複合センサであって、
前記流体が流れる方向と平行に配置されるとともに一面が当該流体に接し、中央部分に厚さ寸法が周辺部分よりも大きい厚肉部が設けられ、この厚肉部の反対側の面に温度に応じて電気抵抗が変化する温度検出部が設けられているダイアフラム部と、
このダイアフラム部の前記一面の前記厚肉部の前記流体が接する面に基端が接合されるとともに先端が前記流体の流動方向と交差する方向に延びるカンチレバー部と、
前記ダイアフラム部の機械的変位に応じて電気抵抗が変化するとともに当該ダイアフラム部の表面に放射状に配列されている複数の歪みゲージとを備えていることを特徴とする複合センサ。 - 請求項1に記載の複合センサにおいて、
前記カンチレバー部には、前記流体の流動方向と正対し、流動する前記流体を受ける流体受面が備えられ、
前記ダイアフラム部の表面には、前記歪みゲージとして、
前記流体の圧力を受けることにより生じる当該ダイアフラム部の変位を検出するために設けられた、複数の第1の歪みゲージと、
前記カンチレバー部の前記流体受面が前記流体を受けることにより生じる当該ダイアフラム部の変位を検出するために設けられた、複数の第2の歪みゲージとが備えられ、
前記第1の歪みゲージは、前記流体の流動方向に直交する方向に配列され、前記第2の歪みゲージは、前記流体の流動方向に沿って配列されていることを特徴とする複合センサ。 - 請求項1または請求項2に記載の複合センサにおいて、前記ダイアフラム部は、金属製のものとされ、このダイアフラム部の前記流体に接しない面は、二酸化ケイ素の絶縁層で覆われ、前記歪みゲージは、前記絶縁層の上に形成されたシリコン薄膜であることを特徴とする複合センサ。
- 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の複合センサにおいて、前記複数の歪みゲージは、前記ダイアフラム部の変形により圧縮力を受ける位置、および、同ダイアフラム部の変形により張力を受ける位置の両方にそれぞれ設けられていることを特徴とする複合センサ。
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