JP3651792B2 - 円偏光板、その製造方法、及び半透過型液晶表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、円偏光板、その製造方法、及び半透過型液晶表示装置に関し、特に薄型・軽量であって、高コントラストの半透過型液晶表示装置、そのような液晶表示装置の作製に好適な円偏光板、及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示装置は、非発光素子である液晶素子によって構成されているため、低消費電力である。また、液晶表示装置は、薄型・軽量であり、かつ、フラットな表示装置である。液晶表示装置は、上記の利点を利用して、時計、電卓、コンピュータ端末、ワードプロセッサ、テレビ受信機等に用いられ、情報表示装置として広い分野にわたって利用されている。
【0003】
現代社会は、高度情報社会と言われており、情報の流通量が増大し、各個人における情報の収集や選択に対する要求が増大している。このような社会的背景において、個人用の携帯用端末の必要性が広く認識され、積極的に開発が進められている。
【0004】
ところで、最近、次世代携帯端末モジュール用の表示装置として、白黒表示で、白の色調が紙のように白く、黒表示が鉛筆書きしたように黒い、高明度かつ高コントラストの反射型・半透過型液晶表示装置が求められている。
【0005】
また、情報量増加に伴い液晶表示装置のカラー化の要求も高まっている。しかし、カラー表示ではカラーフィルタにより透過率が低下し、明度が白黒表示時に比べて極端に低下し、視認識性が悪くなる。そのため、カラー液晶表示装置においては、高明度化および高コントラスト化が不可欠となっている。
【0006】
また、反射型液晶表示装置は、外光が弱くなると、表示が不可能となり、使用できなくなる。このため、外光の反射光を利用して反射表示を行うとともに、バックライトの透過光を利用して透過表示を行う半透過型液晶表示装置が提案されている。しかも、上記半透過型液晶表示装置は、主に携帯端末モジュール用として利用される点から、薄型・軽量を損なうことなく、高コントラスト化が求められている。
【0007】
一方、偏光板は、液晶表示装置の普及に伴い、需要が急増している。偏光板は一般に偏光能を有する偏光膜の両面あるいは片面に、接着剤層を介して保護膜を貼り合わせられている。
偏光膜の素材としては、ポリビニルアルコール(以下、PVA)が主に用いられており、PVAフイルムを一軸延伸してから、ヨウ素あるいは二色性染料で染色するかあるいは染色してから延伸し、さらにホウ素化合物で架橋することにより偏光膜が形成される。
保護膜としては、光学的に透明で複屈折が小さいことから、主にセルローストリアセテートが用いられている。偏光膜は、通常連続フイルムの走行方向(長手方向)に一軸延伸して製造されるため、偏光膜の吸収軸は長手方向にほぼ平行となる。
【0008】
従来の液晶表示装置においては、画面の縦あるいは横方向に対して偏光板の透過軸を45゜傾けて配置しているため、ロール形態で製造される偏光板の打ち抜き工程において、ロール長手方向に対し45゜方向に打ち抜く必要があった。しかしながら45゜方向に打ち抜いたときには、ロールの端付近で使用できない部分が発生し、特に大サイズの偏光板では、得率が小さくなるという問題があり、結果として、コストの上昇、さらには廃棄物が増える問題があった。
【0009】
また、透過型液晶表示装置には、偏光板を1/4波長板、1/2波長板などの位相差膜を組み合わせ円偏光板が利用されるが、従来は、偏光膜の含水率が高いため位相差膜と偏光膜は保護膜を介して貼り合わせていたので、円偏光板自体の厚みも増し、液晶表示装置の薄型・軽量化の妨げになっていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、高コントラスト、かつ薄型・軽量の半透過型液晶表示装置を低コストで提供すること、そのような液晶表示装置の作製に好適な円偏光板、及びその製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、下記構成の円偏光板、その製造方法、及び半透過型液晶表示装置が提供され、本発明の上記目的が達成される。
1. (a)偏光膜が、保護膜を兼ねた1/4波長板と面内レターデーション値が20nm以下である保護膜との間に、吸収軸が該1/4波長板の遅相軸と20°以上70°未満の角度をなすように配置されており、かつ(b)厚みが、80μm以上250μm以下である円偏光板であって、
連続的に供給される偏光膜用ポリマーフィルムの両端を保持手段により保持し、該保持手段を該ポリマーフィルムの長手方向に進行させつつ張力を付与して延伸して、その際、(i)該ポリマーフィルムの一方端の実質的な保持開始点から実質的な保持解除点までの該保持手段の軌跡L1及び該ポリマーフィルムのもう一端の実質的な保持開始点から実質的な保持解除点までの該保持手段の軌跡L2と、二つの実質的な保持解除点の距離Wが、下記式(1)を満たし、( ii )該ポリマーフィルムを延伸後収縮させ、乾燥して揮発分率を低下させる、ことで形成される偏光膜の含水率を6%以下にして該偏光膜に1/4波長板を貼り合わせて形成されたことを特徴とする円偏光板。
式(1):|L2−L1|>0.4W
2. (a)偏光膜が、保護膜を兼ねた1/4波長板と面内レターデーション値が20nm以下である保護膜との間に、吸収軸が該1/4波長板の遅相軸と20°以上70°未満の角度をなすように配置されており、かつ(b)厚みが、80μm以上250μm以下である円偏光板の製造方法であって、
連続的に供給される偏光膜用ポリマーフィルムの両端を保持手段により保持し、該保持手段を該ポリマーフィルムの長手方向に進行させつつ張力を付与して延伸して、その際、(i)該ポリマーフィルムの一方端の実質的な保持開始点から実質的な保持解除点までの該保持手段の軌跡L1及び該ポリマーフィルムのもう一端の実質的な保持開始点から実質的な保持解除点までの該保持手段の軌跡L2と、二つの実質的な保持解除点の距離Wが、下記式(1)を満たし、(ii)該ポリマーフィルム延伸後収縮させ、乾燥して揮発分率を低下させる、ことで偏光膜を形成し、該偏光膜の含水率を6%以下にして該偏光膜に1/4波長板を貼り合わせて円偏光板が形成されることを特徴とする円偏光板の製造方法。
式(1):|L2−L1|>0.4W
3. バックライト、円偏光板、および反射型にも透過型にも使用可能な液晶表示素子を有する半透過型液晶表示装置において、
上記1に記載の円偏光板を用いたことを特徴とする半透過型液晶表示装置。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の半透過型液晶表示装置の構成の代表的な例を、図12に概略断面図として模式的に示した。勿論、本発明の半透過型液晶表示装置はこの例に限定されず、各種のバリエーションがあることは当業者には理解され得る。
図12の半透過型液晶表示装置141は、前面側基板103、背面側基板104、液晶部105、複数の前面電極106、前面電極106に対応する背面電極107、前面側円偏光板108、背面側円偏光板110、および透過可能な光の波長が相互に異なる2種類以上のカラーフィルタ142を含んでいる。
【0013】
以下、この半透過型液晶表示装置141の構成を、その製法と共に詳しく説明する。
前面側基板103および背面側基板104には、通常ガラス材料から成る基板が使用される。背面側基板104の一方面上に、タンタル(Ta)等からなる導電性材料の薄膜をスパッタリング法を用いて成膜し、該薄膜を所定形状にパターニングする。これによって、二端子素子113内の信号電極125と、該信号電極125に接続される信号配線とが形成される。次いで、二端子素子内の絶縁層124を形成するために、酒石酸アンモニウム等の電解液中で、信号電極125の表面および信号配線の表面を陽極酸化する。続いて、二端子素子内の上部電極122を形成するために、背面側基板104の一方面上に、チタン(Ti)等からなる導電性材料の薄膜をスパッタリング法を用いて成膜し、該薄膜を所定形状にパターニングする。
この後、画素電極として機能する背面電極107を形成するために、背面側基板104の二端子素子113を形成した面上に、アルミニウム(Al)の半透明薄膜をフォトマスクを用いた蒸着もしくはスパッタリング法により所定形状に成膜する。これによって、複数の半透明薄膜の矩形部分が背面電極107として残り、かつ矩形状の各背面電極107が各二端子素子の上部電極125とそれぞれ接しつつ行列状に配置される。背面電極107は、膜厚が50nm程度であり、反射モード時には液晶層透過後の外光を反射可能であり、透過モード時にはバックライト112からの光の一部を透過可能になっている。
【0014】
前面側基板103の一方面上に、所定波長域の光成分だけを透過可能な樹脂材料から成るカラーフィルタ142が、色毎に印刷される。その後、ITOの透明薄膜が、前面側基板103の一方面上に成膜され、ストライプ状に配置される帯状部分が前面電極106として残るようにパターニングされる。
【0015】
上述のように一方面に部品がそれぞれ形成された前面側基板103および背面側基板104は、前面電極106と背面電極107とが相互対向しかつ背面側基板104上の信号配線と帯状の前面電極106の長手方向とが基板法線方向から見て直交するように位置合わせされ、さらに、所定の間隔を空けた状態で両基板の周囲が貼り合わされる。こうして得られた液晶セルの内部空間に、液晶部105を形成する液晶材料(例えば、屈折率異方性Δnが0.065のTN液晶)が封入される。液晶部105が形成された後、液晶セルの前後両面に円偏光板が貼付けられる。
【0016】
半透過型液晶表示装置141は、このようにして作製されるパネルとバックライト112との組み合わせからなる。
画像の表示は、2つの円偏光板の配置(反射モードの場合は、前面側円偏光板による光の偏光状態)と、液晶層の配向状態の電圧印加による変化を利用して行う。前面側基板103に貼り付けられた円偏光板の偏光膜の透過軸と背面側基板104に貼り付けられた円偏光板の偏光膜の透過軸と液晶部105内の各基板103,104に最近接する液晶分子の配向状態とは、通常、モノクロ液晶表示パネルがノーマリホワイト(液晶部105に電圧を印加しないときに白表示)になるように位置合わせされるが、この配置に限定されるわけではない。
【0017】
本発明の円偏光板について、説明する。本発明の円偏光板は、偏光能を持つ偏光膜を有し、該偏光膜の片面に保護膜が接着剤層を介して設けられ、さらに片面側には、1/4波長板(λ/4板)が設けられる。通常、長尺の円偏光板(通常ロール形態)を製造し、それを用途に合わせて打ち抜くことにより、実用上の円偏光板が得られるものである。なお、本明細書の記載において特に断らない限り、「円偏光板」は長尺の円偏光板及び打ち抜いた円偏光板の両者を含む意味で用いられる。
【0018】
本発明の円偏光板を構成するλ/4板としては、特開平5−27118号および同5−27119号の各公報に記載されたレターデーションが大きい複屈折性フイルムと、レターデーションが小さい複屈折率フイルムとを、それらの光軸が直交するように積層させた位相差板、特開平10−68816号公報に記載された、特定波長においてλ/4となっているポリマーフイルムと、それと同一材料からなり同じ波長においてλ/2となっているポリマーフイルムとを積層させて、広い波長領域でλ/4が得られる位相差板、特開平10−90521号公報に記載された二枚のポリマーフイルムを積層することにより広い波長領域でλ/4を達成できる位相差板、WO00/26705号に記載された変性ポリカーボネートフイルムを用いた広い波長領域でλ/4を達成できる位相差板、WO00/65384号に記載されたセルロースアセテートフイルムを用いた広い波長領域でλ/4を達成できる位相差板等を挙げることができる。
【0019】
液晶材料や配向方向、視野角特性などの観点から、λ/4板の遅相軸と偏光膜の吸収軸との角度は20°以上70°未満とするが、45°の角度が望ましい。また、λ/4板の光の波長に対する位相遅れの公差を補償するために、円偏光板とλ/4板との間にλ/2板を配置することもある。
【0020】
一般に、λ/4板、λ/2板などの位相差板は透湿性が低くなるので、偏光膜と直に貼り合わせると、偏光膜の含水率は通常10%以上で比較的に高いので、疎水性保護膜と貼り合わせると偏光膜中の水分が偏光板外に揮発するまでの時間が長くなり、偏光度が低下したり、色ムラが生じたりと好ましくない。したがって、通常は、λ/4板が偏光膜の保護膜を兼ねることができず、円偏光板としては、保護膜/偏光膜/保護膜/(λ/4板)の構成となる。本発明では、最終的に偏光膜の含水率が6%以下の少ない状態に乾燥することで、λ/4板のように透湿性の低いフイルムを偏光膜の保護膜として、偏光膜に直接貼り合わせることができる。結果として、保護膜の使用枚数を減らすこととなり、円偏光板全体の厚みを薄くすることができ、液晶表示装置をさらに薄膜・軽量化することが可能となる。さらに、本発明の偏光板には、各種機能膜を直接片面または両面に貼合することができる。貼合する機能膜の例としては、上記のλ/4板、λ/2板などの位相差膜、光拡散膜、偏光膜と反対面に導電層を設けたプラスチックセル、反射板、半透過機能を持つ反射板等があげられる。本発明で円偏光板の厚みは80μm以上250μm以下である。
【0021】
本発明の円偏光板は、長尺の円偏光板において、偏光膜の吸収軸が長手方向に平行でも垂直でもない(かかる長尺の円偏光板を以下単に「斜め配向した」円偏光板と称することもある)。長手方向と偏光膜の吸収軸方向とがなす角度は、好ましくは10°以上90°未満、より好ましくは20°以上70゜以下、更に好ましくは40°以上50゜以下、特に好ましくは44°以上46゜以下である。これにより、長尺の円偏光板からの打ち抜き工程において、得率よく単板の円偏光板を得ることができる。本発明では、長手方向と偏光膜の吸収軸方向とがなす角度を自由に設定することができる。従って、他の光学部材と組み合わせて使用する際にも最適な角度を選ぶことができる。
【0022】
また、本発明の円偏光板は、単板透過率が550nmで35%以上かつ偏光度が550nmで80%以上であることを特徴とする。単板透過率は、好ましくは40%以上であり、偏光度は好ましくは95.0%以上、より好ましくは99%以上、特に好ましくは99.9%以上である。なお、以下の記載において、特に断りのない限り透過率は単板透過率のことである。
本発明の円偏光板は、優れた単板透過率及び偏光度を有しているため、液晶表示装置として用いる場合に、そのコントラストを高めることができ、有利である。
【0023】
本発明の斜め配向した円偏光板は、以下に述べる方法により容易に得ることができる。すなわち、斜め配向をポリマーフイルムの延伸により得るとともに、フイルムの延伸時の揮発分率、フイルムを収縮させる際の収縮率などを工夫することにより得られる。更には、延伸前のフイルムに付着している異物の量を調節することも好ましい。これにより、斜め延伸しても、延伸したフイルムにシワ、ツレが発生せず、表面粗さの小さい優れた平滑性の偏光膜を得ることができる。
以下に、本発明の円偏光板を得るための好ましい延伸方法(以下、本発明の延伸方法と称することもある)について詳述する。
【0024】
<延伸方法>
図1および図2に、ポリマーフイルムを斜め延伸する方法の例が、概略平面図として示されている。
本発明の延伸方法は、(a)で示される原反フイルムを矢印(イ)方向に導入する工程、(b)で示される幅方向延伸工程、及び(c)で示される延伸フイルムを次工程、即ち(ロ)方向に送る工程を含む。以下「延伸工程」と称するときは、これらの(a)〜(c)工程を含んで、本発明の延伸方法を行うための工程全体を指す。
【0025】
フイルムは(イ)の方向から連続的に導入され、上流側から見て左側の保持手段にB1点で初めて保持される。この時点ではいま一方のフイルム端は保持されておらず、幅方向に張力は発生しない。つまり、B1点は本発明の実質的な保持開始点(以下、「実質保持開始点」という)には相当しない。
本発明では、実質保持開始点は、フイルム両端が初めて保持される点で定義される。実質保持開始点は、より下流側の保持開始点A1と、A1から導入側フイルムの中心線11(図1)または21(図2)に略垂直に引いた直線が、反対側の保持手段の軌跡13(図1)または23(図2)と交わる点C1の2点で示される。
この点を起点とし、両端の保持手段を実質的に等速度で搬送すると、単位時間ごとにA1はA2,A3…Anと移動し、C1は同様にC2,C3…Cnに移動する。つまり同時点に基準となる保持手段が通過する点AnとCnを結ぶ直線が、その時点での延伸方向となる。
【0026】
本発明の方法では、図1、図2のようにAnはCnに対し次第に遅れてゆくため、延伸方向は、搬送方向垂直から徐々に傾斜していく。本発明の実質的な保持解除点(以下、「実質保持解除点」という)は、より上流で保持手段から離脱するCx点と、Cxから次工程へ送られるフイルムの中心線12(図1)または22(図2)に略垂直に引いた直線が、反対側の保持手段の軌跡14(図1)または24(図2)と交わる点Ayの2点で定義される。
最終的なフイルムの延伸方向の角度は、実質的な延伸工程の終点(実質保持解除点)での左右保持手段の行程差Ay−Ax(すなわち|L1−L2|)と、実質保持解除点の距離W(CxとAyの距離)との比率で決まる。従って、延伸方向が次工程への搬送方向に対しなす傾斜角θは
tanθ=W/(Ay−Ax)、即ち、
tanθ=W/|L1−L2|
を満たす角度である。
図1及び図2の上側のフイルム端は、Ay点の後も18(図1)または28(図2)まで保持されるが、もう一端が保持されていないため新たな幅方向延伸は発生せず、18および28は本発明の実質保持解除点ではない。
【0027】
以上のように、本発明において、フイルムの両端にある実質保持開始点は、左右各々の保持手段への単純な噛み込み点ではない。本発明の二つの実質保持開始点は、上記で定義したことをより厳密に記述すれば、左右いずれかの保持点と他の保持点とを結ぶ直線がフイルムを保持する工程に導入されるフイルムの中心線と略直交している点であり、かつこれらの二つの保持点が最も上流に位置するものとして定義される。
同様に、本発明において、二つの実質保持解除点は、左右いずれかの保持点と他の保持点とを結ぶ直線が、次工程に送りだされるフイルムの中心線と略直交している点であり、しかもこれら二つの保持点が最も下流に位置するものとして定義される。
ここで、略直交とは、フイルムの中心線と左右の実質保持開始点、あるいは実質保持解除点を結ぶ直線が、90±0.5゜であることを意味する。
【0028】
テンター方式の延伸機を用いて左右の行程差を付けようとする場合、レール長などの機械的制約により、しばしば保持手段への噛み込み点と実質保持開始点に大きなずれが生じたり、保持手段からの離脱点と実質保持解除点に大きなずれが生じたりすることがあるが、上記定義する実質保持開始点と実質保持解除点間の工程が式(1)の関係を満たしていれば本発明の目的は達成される。
【0029】
上記において、得られる延伸フィルムにおける配向軸の傾斜角度は、(c)工程の出口幅Wと、左右の二つの実質的保持手段の行程差|L1−L2|の比率で制御、調整することができる。
偏光板、円偏光板、位相差膜では、しばしば長手方向に対し45゜配向したフイルムが求められる。この場合、45゜に近い配向角を得るために、下記式(2)を満たすことが好ましく、
式(2):0.9W<|L1−L2|<1.1W
さらに好ましくは、下記式(3)を満たすことが好ましい。
式(3):0.97W<|L1−L2|<1.03W
【0030】
具体的な延伸工程の構造は、式(1)を満たす限り、図1〜16に例示するように、設備コスト、生産性を考慮して任意に設計できる。
【0031】
延伸工程へのフイルム導入方向(イ)と、次工程へのフイルム搬送方向(ロ)のなす角度は、任意の数値が可能であるが、延伸前後の工程を含めた設備の総設置面積を最小にする観点からは、この角度は小さい方がよく、3゜以内が好ましく、0.5゜以内がさらに好ましい。例えば図1、図4に例示するような構造で、この値を達成することができる。
このようにフイルム進行方向が実質的に変わらない方法では、保持手段の幅を拡大するのみでは、偏光板、円偏光板、位相差膜として好ましい長手方向に対して45゜の配向角を得るのは困難である。そこで、図1の如く、一旦延伸した後、収縮させる工程を設けることで、|L1−L2|を大きくすることができる。延伸率は1.1〜10.0倍が望ましく、より望ましくは2〜10倍であり、その後の収縮率は10%以上が望ましい。また、図4に示すように、延伸−収縮を複数回繰り返すことも、|L1−L2|を大きくできるため好ましい。
【0032】
また、延伸工程の設備コストを最小に抑える観点からは、保持手段の軌跡の屈曲回数、屈曲角度は小さい程良い。この観点からは、図2、図3、図5に例示する如くフィルム両端を保持する工程の出口におけるフィルムの進行方向と、フィルムの実質延伸方向のなす角が、20〜70゜傾斜するようにフィルム進行方向をフィルム両端を保持させた状態で屈曲させることが好ましい。
【0033】
本発明において両端を保持しつつ張力を付与しフイルムを延伸する装置としては、いわゆる図1〜図5のようなテンター装置が好ましい。また、従来型の2次元的なテンターの他に、図6のように螺旋状に両端の把持手段に行路差を付ける延伸工程を用いることもできる。
【0034】
テンター型の延伸機の場合、クリップが固定されたチェーンがレールに沿って進む構造が多いが、本発明のように左右不均等な延伸方法をとると、結果的に図1及び2に例示される如く、工程入口、出口でレールの終端がずれ、左右同時に噛み込み、離脱をしなくなることがある。この場合、実質工程長L1,L2は、上に述べたように単純な噛み込み−離脱間の距離ではなく、既に述べたように、あくまでフイルムの両端を保持手段が保持している部分の行程長である。
【0035】
延伸工程出口でフイルムの左右に進行速度差があると、延伸工程出口におけるシワ、寄りが発生するため、左右のフイルム把持手段の搬送速度差は、実質的に同速度であることが求められる。速度差は好ましくは1%以下であり、さらに好ましくは0.5%未満であり、最も好ましくは0.05%未満である。ここで述べる速度とは、毎分当たりに左右各々の保持手段が進む軌跡の長さのことである。一般的なテンター延伸機等では、チェーンを駆動するスプロケット歯の周期、駆動モータの周波数等に応じ、秒以下のオーダーで発生する速度ムラがあり、しばしば数%のムラを生ずるが、これらは本発明で述べる速度差には該当しない。
【0036】
<収縮>
延伸ポリマーフイルムの収縮は、延伸時・延伸後のいずれの工程でも行って良い。収縮は、斜め方向に配向する際の発生するポリマーフイルムのシワが解消すればよく、フイルムを収縮させる手段としては、温度を掛けることにより、揮発分を除去する方法などが挙げられるが、フイルムを収縮させればいかなる手段を用いても良い。好ましいフイルムの収縮率としては、長手方向に対する配向角θを用いて、1/sinθ倍以上収縮することで、値としては10%以上収縮することが好ましい。
【0037】
<揮発分率>
延伸工程において、左右の行程差が生じるに従って、フイルムにシワ、寄りが発生する。この問題を解決するために、ポリマーフイルムの支持性を保ち、ポリマーフイルムの揮発分率が5%以上の状態を存在させて延伸し、その後収縮させて揮発分率を低下させることが好ましい。本発明における揮発分率とは、フイルムの単位体積あたりに含まれる揮発成分の体積を表し、揮発成分体積をフイルム体積で割った値(%)である。
本発明において、偏光膜用ポリマーフイルムの延伸前に揮発分を含有させる工程を少なくとも1工程設けることが好ましい。揮発分を含有させる工程は、フイルムをキャストし溶剤、水などを含有させる、溶剤、水などに浸漬、塗布、噴霧する、ことなどにより行われる。後述する<染色処方、染色方法>、<硬膜剤(架橋剤)、金属塩添加>の項に記載の染色工程または硬膜剤添加工程が、揮発分を含有させる工程を兼ねてもよい。染色工程が兼ねる場合は、硬膜剤添加工程を延伸前に設けることが好ましい。硬膜剤添加工程が兼ねる場合は、染色工程は、延伸前もしくは延伸後のいずれに設けてもよい。また、延伸前であれば染色工程と延伸工程を同時に行ってもよい。
【0038】
好ましい揮発分率は、ポリマーフイルムの種類によって異なる。揮発分率の最大は、ポリマーフイルムの支持性を保つ限り可能である。ポリビニルアルコールでは揮発分率として10%〜100%が好ましい。セルロースアシレートでは、10%〜200%が好ましい。
【0039】
<揮発分成分の含有分布>
長尺、特にロール形態の円偏光板を一貫工程で作製する場合には、染色のムラや抜けがないことが必要である。延伸前のフイルム中の揮発成分に分布のムラ(フイルム面内の場所による揮発成分量の差異)があると染色ムラ、抜けの原因となる。従って、延伸前のフィルム中の揮発分成分の含有分布は小さいほうが好ましく、少なくとも5%以下であることが好ましい。揮発成分の分布とは、揮発分率の1m2あたりの変動幅(平均揮発分率に対する、最大値または最小値と該平均揮発分率との差の大きい方の比))を表す。揮発分成分の含有分布を小さくする方法として、フイルムの表裏表面を均一なエアーでブローする、ニップローラーにて均一に絞る、ワイパーなどで拭き取る(ブレード、スポンジ拭き取りなど)などの方法挙げられるが、分布が均一になればいかなる方法を用いても良い。図9〜11にエアーブロー装置、ニップ装置、ブレード装置の一例を示す。
【0040】
<シワ発生から消失までの距離>
斜め方向に配向する際に発生するポリマーフイルムのシワは、本発明における実質保持解除点までに消失していればよい。しかし、シワの発生から消失までに時間がかかると、延伸方向のばらつきが生じることがあるため、好ましくは、シワが発生した地点からできるだけ短い移行距離でシワが消失することが良い。このためには、揮発分量の揮発速度を高くするなどの方法がある。
【0041】
<異物>
本発明において、延伸前のポリマーフイルムに異物が付着していると、表面が粗くなるため、異物を取ることが好ましい。異物が存在していると、特に円偏光板作製時には、色むら・光学むらの原因となる。また、保護膜を張り合わせるまでの間に、異物が付着しないことも重要で、極力浮遊するゴミが少ない環境下で製造することが好ましい。本発明における異物の量とは、フイルム表面に付着している異物の重量を表面積で割った値で、平方メートルあたりのグラム数を表す。異物は、1g/m2以下が好ましく、更に好ましくは0.5g/m2以下であり、少ないほど好ましい。
【0042】
異物の除去方法としては特に限定されず、延伸前のポリマーフイルムに悪影響を与えることなく、異物を除去することができれば、いずれの方法でもよい。例えば、水流を吹き付けることにより異物を掻き落とす方法、気体噴射により異物を掻き落とす方法、布、ゴム等のブレードを用いて異物を掻き落とす方法等が挙げられる。
【0043】
<乾燥>
発生したシワが消失する条件であれば、乾燥条件はいかようでもかまわない。ただし、好ましくは、所望の配向角度が得られた後、できるだけ短い移動距離で乾燥点が来るように調節するのがよい。乾燥点とは、フイルムの表面膜温度が環境雰囲気温度と同じになる場所を意味する。このことから、乾燥速度もできるだけ速いほうが好ましい。
【0044】
<乾燥温度>
発生したシワが消失する条件であれば、乾燥条件はいかようでもかまわないが、延伸するフイルムによって異なる。本発明によりポリビニルアルコールフィルムを用いて偏光板を作成する場合には、20℃以上100℃以下が好ましく、より好ましくは40℃以上90℃以下である。
【0045】
<膨潤率>
本発明において、ポリマーフイルムがポリビニルアルコールで、硬膜剤を使用した場合、斜め方向に延伸した状態を緩和せずに保つために、延伸前後で水に対する膨潤率が異なることが好ましい。具体的には、延伸前の膨潤率が高く、延伸・乾燥後の膨潤率が低くなることが好ましい。更に好ましくは、延伸する前の水に対する膨潤率が3%以上で、乾燥後の膨潤率が3%以下であることが好ましい。
【0046】
<屈折部>
本発明で保持手段の軌跡を規制するレールには、しばしば大きい屈曲率が求められる。急激な屈曲によるフイルム把持手段同士の干渉、あるいは局所的な応力集中を避ける目的から、屈曲部では把持手段の軌跡が円弧を描くようにすることが望ましい。
【0047】
<延伸速度>
本発明にて、フイルムを延伸する速度は、単位時間当りの延伸倍率で表すと、1.1倍/分以上、好ましくは2倍/分以上で、早いほうが好ましい。また、長手方向の進行速度は、0.1m/分以上、好ましくは1m/分以上で、早いほうが生産性の観点から見て好ましい。いずれの場合も、上限は、延伸するフイルム及び延伸機により異なる。
【0048】
<長手方向の張力>
本発明において、フイルムの両端を保持手段により保持する際、保持しやすいようにフイルムが張った状態にしておくことが好ましい。具体的には、長手方向に張力をかけてフイルムを張るなどの方法が挙げられる。張力としては、延伸前のフイルム状態により異なるが,弛まない程度にすることが好ましい。
【0049】
<延伸時温度>
フイルム延伸時の環境温度は、少なくともフイルムに含まれる揮発分の凝固点以上であればよい。フイルムがポリビニルアルコールである場合には、25℃以上が好ましい。また、偏光膜を作製するためのヨウ素・ホウ酸を浸漬したポリビニルアルコールを延伸する場合には、25℃以上90℃以下が好ましく、より好ましくは40℃以上90℃以下である。
【0050】
<延伸時湿度>
揮発分が水であるフイルム、例えばポリビニルアルコール、セルロースアシレートなどを延伸する場合は、調湿雰囲気下で延伸しても良い。ポリビニルアルコールである場合は、50%以上が好ましく、好ましくは80%以上、更に好ましくは90%以上である。
【0051】
<偏光膜用ポリマーフイルム>
本発明で、偏光膜を形成するための延伸の対象とするポリマーフイルムに関しては特に制限はなく、熱可塑性の適宜なポリマーからなるフイルムを用いることができる。ポリマーの例としては、PVA、ポリカーボネート、セルロースアシレート、ポリスルホンなどを挙げることができる。
好ましくはPVAを包含するポリビニルアルコール系ポリマーである。PVAは通常、ポリ酢酸ビニルをケン化したものであるが、例えば不飽和カルボン酸、不飽和スルホン酸、オレフィン類、ビニルエーテル類のように酢酸ビニルと共重合可能な成分を少量含有しても構わない。また、アセトアセチル基、スルホン酸基、カルボキシル基、オキシアルキレン基等を含有する変性PVAもポリビニルアルコール系ポリマーに含まれ好ましく用いることができる。
なかでも、PVAが最も好ましい。
【0052】
PVAのケン化度は特に限定されないが、溶解性等の観点から80〜100mol%が好ましく、90〜100mol%が特に好ましい。またPVAの重合度は特に限定されないが、1000〜10000が好ましく、1500〜5000が特に好ましい。
【0053】
延伸前のポリマーフイルムの好ましい弾性率は、ヤング率で表して、0.01Mpa以上5000Mpa以下、更に好ましくは0.1Mpa以上500Mpa以下である。弾性率が低すぎると延伸時・延伸後の収縮率が低くなり、シワが消えにくくなり、また高すぎると延伸時にかかる張力が大きくなり、フイルム両端を保持する部分の強度を高くする必要が生じ、機械に対する負荷が大きくなる。
【0054】
延伸前のフイルムの厚みは特に限定されないが、フイルム保持の安定性、延伸の均質性の観点から、1μm〜1mmが好ましく、20〜200μmが特に好ましい。
【0055】
<染色処方・方法>
偏光膜は、偏光膜用ポリマーフイルム、例えばPVAフイルムを配向すると共に染色して得られる。染色は、気相または液相吸着により行われる。液相で行う場合の例として、偏光子としてヨウ素を用いる場合には、ヨウ素−ヨウ化カリウム水溶液に偏光膜用ポリマーフイルムを浸漬させて行われる。ヨウ素は0.1〜20g/l、ヨウ化カリウムは1〜200g/l、ヨウ素とヨウ化カリウムの質量比は1〜200が好ましい。染色時間は10〜5000秒が好ましく、液温度は5〜60℃が好ましい。染色方法としては浸漬だけでなく、ヨウ素あるいは染料溶液の塗布あるいは噴霧等、任意の手段が可能である。染色操作は、本発明の延伸工程の前後いずれに置いても良い。また、適度に膜が膨潤され延伸が容易になることから、延伸工程前に液相で染色することが特に好ましい。
【0056】
<硬膜剤(架橋剤)、金属塩添加>
偏光膜用ポリマーフイルム、例えばPVAフイルムを延伸して偏光膜を製造する過程では、PVAに架橋させる添加物を用いることが好ましい。特に本発明の斜め延伸法を用いる場合、延伸工程出口でPVAが十分に硬膜されていないと、工程のテンションでPVAの配向方向がずれてしまうことがあるため、延伸前工程あるいは延伸工程で架橋剤溶液に浸漬、または溶液を塗布して硬膜剤(架橋剤)を含ませるのが好ましい。硬膜剤(架橋剤)を偏光膜用ポリマーフイルムに付与する手段は、特に限定されるものではなく、フイルムの液への浸漬、塗布、噴霧等任意の方法を用いることができるが、特に浸漬法、塗布法が好ましい。塗布手段としてはロールコータ、ダイコータ、バーコータ、スライドコータ、カーテンコータ等、通常知られている任意の手段をとることができる。また、溶液を含浸させた布、綿、多孔質素材等をフイルムに接触する方式も好ましい。硬膜剤(架橋剤)としては、米国再発行特許第232897号に記載のものが使用できるが、ホウ酸、ホウ砂が実用的に好ましく用いられる。また、亜鉛、コバルト、ジルコニウム、鉄、ニッケル、マンガン等の金属塩も併せて用いることができる。
【0057】
硬膜剤(架橋剤)の付与は、延伸機に噛み込む前に行ってもよいし、噛み込んだ後に行っても良く、幅方向延伸が実質的に終了する図1、図2の例の(b)工程の終端までのいずれかの工程で行えばよい。硬膜剤(架橋剤)を添加した後に洗浄・水洗工程を設けてもよい。
【0058】
<偏光子>
ヨウ素の他に二色性色素で染色することも好ましい。二色性色素の具体例としては、例えばアゾ系色素、スチルベン系色素、ピラゾロン系色素、トリフェニルメタン系色素、キノリン系色素、オキサジン系色素、チアジン系色素、アントラキノン系色素等の色素系化合物をあげることができる。水溶性のものが好ましいが、この限りではない。又、これらの二色性分子にスルホン酸基、アミノ基、水酸基などの親水性置換基が導入されていることが好ましい。二色性分子の具体例としては、例えばシー.アイ.ダイレクト.イエロー12、シー.アイ.ダイレクト.オレンジ39、シー.アイ.ダイレクト.オレンジ72、シー.アイ.ダイレクト.レッド39、シー.アイ.ダイレクト.レッド79、シー.アイ.ダイレクト.レッド81、シー.アイ.ダイレクト.レッド83、シー.アイ.ダイレクト.レッド89、シー.アイ.ダイレクト.バイオレット48、シー.アイ.ダイレクト.ブルー67、シー.アイ.ダイレクト.ブルー90、シー.アイ.ダイレクト.グリーン59、シー.アイ.アシッド.レッド37等が挙げられ、さらに特開昭62−070802号、特開平1−161202号、特開平1−172906号、特開平1−172907号、特開平1−183602号、特開平1−248105号、特開平1−265205号、特開平7−261024号、の各公報記載の色素等が挙げられる。これらの二色性分子は遊離酸、あるいはアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン類の塩として用いられる。これらの二色性分子は2種以上を配合することにより、各種の色相を有する偏光子を製造することができる。偏光素子または偏光板として偏光軸を直交させた時に黒色を呈する化合物(色素)や黒色を呈するように各種の二色性分子を配合したものが単板透過率、偏光率とも優れており好ましい。
【0059】
また、PVAを脱水あるいはポリ塩化ビニルを脱塩化水素することによりポリエン構造をつくり、共役二重結合により偏光を得るいわゆるポリビニレン系偏光膜の製造にも、本発明の延伸法は好ましく用いることができる。
【0060】
<保護膜>
本発明の円偏光板は、偏光膜の両面あるいは片面に保護膜(保護膜)を貼り付けて用いられる。保護膜の種類は特に限定されず、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースプロピオネート等のセルロースエステル類、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエステル等を用いることができる。
【0061】
保護膜は、通常、ロール形態で供給され、長尺の円偏光板に対して、長手方向が一致するようにして連続して貼り合わされることが好ましい。ここで、保護膜の配向軸(遅相軸)は何れの方向であってもよく、操作上の簡便性から、保護膜の配向軸は、長手方向に平行であることが好ましい。
【0062】
本発明の長尺の円偏光板は、偏光膜の吸収軸が長手方向に平行でないため、配向軸が長手方向に平行である保護膜を本発明の長尺偏光膜に連続して貼り合わせる場合には、偏光膜の吸収軸と保護膜の配向軸とが平行でない円偏光板が得られる。偏光膜の吸収軸と保護膜の配向軸が平行でない角度で貼り合わされている円偏光板は、寸度安定性に優れるという効果がある。この性能は、特に液晶表示装置に用いたときに好ましく発揮される。特に、本発明では、保護膜の遅相軸と偏光膜の吸収軸との角度は20°以上70°未満であり、寸度安定効果の点から好ましくは40°以上50°未満である。
【0063】
保護膜のレターデーションは一般に低いことが好ましいが、偏光膜の吸収軸と保護膜の配向軸が平行でない場合には、特に保護膜のレターデーション値が一定値以上であると、偏光軸と保護膜の配向軸(遅相軸)が斜めにずれているため、直線偏光が楕円偏光に変化し、好ましくない。従って、例えば632.8nmにおいて10nm以下が好ましく、5nm以下がさらに好ましいが、本発明では、保護膜の面内レターデーション値が20nm以下とし、好ましくは10nm以下であり、特に好ましくは5nm以下である。なお、一般に、レターデーションと言った場合、面内レターデーション(面内位相差)のことを言う。
このような低レターデーションの観点から、保護膜として使用するポリマーはセルローストリアセテートが特に好ましい。また、ゼオネックス、ゼオノア(共に日本ゼオン(株)製)、ARTON(JSR(株)製)のようなポリオレフィン類も好ましく用いられる。その他、例えば特開平8−110402号又は特開平11−293116号に記載されているような非複屈折性光学樹脂材料が挙げられる。
【0064】
本発明では、円偏光板の製造工程において、含水率の低い状態で保護膜と偏光膜を貼り合わせるため、位相差フイルム(1/4波長板、1/2波長板)等の透湿性の低いフイルムを保護膜として直接、偏光膜に接着することができる。これにより、従来法より保護膜の使用枚数が液晶表示素子当たり2枚少ない薄型・軽量化された液晶表示装置の提供が可能になる。
【0065】
<接着剤>
偏光膜と保護層との接着剤は特に限定されないが、PVA系樹脂(アセトアセチル基、スルホン酸基、カルボキシル基、オキシアルキレン基等の変性PVAを含む)やホウ素化合物水溶液等が挙げられ、中でもPVA系樹脂が好ましい。PVA樹脂にホウ素化合物、ヨウ化カリウム水溶液等を添加して用いてもよい。接着剤層厚みは乾燥後に0.01乃至10μmが好ましく、0.05乃至5μmが特に好ましい。
【0066】
<一貫工程>
本発明において、フイルム(偏光膜)を延伸後、収縮させ揮発分率を低下させる乾燥工程を有し、乾燥後もしくは乾燥中に偏光膜の含水率を6%以下(好ましくは、3%以下)にした状態で保護膜とλ/4板とを偏光膜に貼り合わせた後、後加熱工程を有することが好ましい。具体的な貼り付け方法として、乾燥工程中、両端を保持した状態で接着剤を用いてフイルムに保護膜とλ/4板を貼り付け、その後両端を耳きりする、もしくは乾燥後、両端保持部からフイルムを解除し、フイルム両端を耳きりした後、保護膜とλ/4板を貼り付けるなどの方法がある。耳きりの方法としては、刃物などのカッターで切る方法、レーザーを用いる方法など、一般的な技術を用いることができる。貼り合わせた後に、接着剤を乾燥させるため、および偏光性能を良化させるために、加熱することが好ましい。加熱の条件としては、接着剤により異なるが、水系の場合は、30℃以上が好ましく、さらに好ましくは40℃以上100℃以下、さらに好ましくは50℃以上80℃以下である。これらの工程は一貫した製造ラインで行われることが、性能上及び生産効率上更に好ましい。
【0067】
<粘着層>
本発明の円偏光板には他の液晶表示装置部材との貼り合わせ用の粘着層を設けてもよい。粘着層の表面に剥離フイルムを設けることが好ましい。粘着層は、光学的に透明であることはもとより、適度な粘弾性や粘着特性を示すものである。本発明における粘着層としては、例えばアクリル系共重合体やエポキシ系樹脂、ポリウレタン、シリコーン系ポリマー、ポリエーテル、ブチラール系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、合成ゴムなどの接着剤もしくは粘着剤等のポリマーを用いて、乾燥法、化学硬化法、熱硬化法、熱熔融法、光硬化法等により膜形成させ、硬化せしめることができる。就中アクリル系共重合体において最も粘着物性を制御しやすく、かつ透明性や耐候性や耐久性などに優れて好ましく用い得る。
【0068】
<打ち抜き>
図7に従来の円偏光板打ち抜きの例を、図8に本発明の円偏光板打ち抜きする例を示す。従来の円偏光板は、図7に示されるように、偏光膜の吸収軸71すなわち延伸軸が長手方向72と一致しているのに対し、本発明の円偏光板は、図8に示されるように、偏光膜の吸収軸81すなわち延伸軸が長手方向82に対して45゜傾斜しており、この角度がLCDにおける液晶セルに貼り合わせる際の円偏光板の吸収軸と、液晶セル自身の縦または横方向とのなす角度に一致しているため、打ち抜き工程において斜めの打ち抜きは不要となる。しかも図8からわかるように、本発明の円偏光板は切断が長手方向に沿って一直線であるため、打ち抜かず長手方向に沿ってスリットすることによっても製造可能であるため、生産性も格段に優れている。
以上、本発明の液晶表示装置に用いられる円偏光板について説明した。
【0069】
【実施例】
以下、実施例に基づき、本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に限定解釈されない。
【0070】
〔I〕λ/4板の作製
(1)λ/4板Aの作製
8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕ドデカ−3−エン100g、1,2−ジメトキシエタン60g、シクロヘキサン240g、1−ヘキセン25g、およびジエチルアルミニウムクロライド0.96モル/リットルのトルエン溶液3.4mlを、内容積1リットルのオートクレーブに加えた。一方、別のフラスコに、六塩化タングステンの0.05モル/リットルの1,2−ジメトキシエタン溶液20mlとパラアルデヒドの0.1モル/リットルの1,2−ジメトキシエタン溶液10mlを混合した。この混合溶液4.9mlを、上記オートクレーブ中の混合物に添加した。密栓後、混合物を80℃に加熱して3時間攪拌を行った。得られた重合体溶液に、1,2−ジメトキシエタンとシクロヘキサンの2/8(重量比)の混合溶媒を加えて重合体/溶媒が1/10(重量比)にしたのち、トリエタノールアミン20gを加えて10分間攪拌した。
【0071】
この重合溶液に、メタノール500gを加えて30分間攪拌して静置した。2層に分離した上層を除き、再びメタノールを加えて攪拌、静置後、上層を除いた。同様の操作をさらに2回行い、得られた下層をシクロヘキサン、1,2−ジメトキシエタンで適宜希釈し、重合体濃度が10%のシクロヘキサン−1,2−ジメトキシエタン溶液を得た。この溶液に20gのパラジウム/シリカマグネシア〔日揮化学(株)製、パラジウム量=5%〕を加えて、オートクレーブ中で水素圧40kg/cm2として165℃で4時間反応させたのち、水添触媒をろ過によって取り除き、水素添加(共)重合体溶液を得た。
また、この水素添加(共)重合体溶液に、酸化防止剤であるペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕を、水素添加(共)重合体に対して0.1%加えてから、380℃で減圧下に脱溶媒を行った。次いで、溶融した樹脂を、チッ素雰囲気下で押し出し機によりペレット化し、トリシクロデカンを基本骨格とする熱可塑性樹脂Aを得た。
【0072】
熱可塑性樹脂Aのペレットを原料として、塩化メチレンを溶媒として用いた溶液キャスト法により、厚さ100μm、レターデーション値15nmのベースフィルムを得た。得られたベースフィルムを延伸倍率125%で1軸延伸し、厚さ90μm、レターデーション値135nmのλ/4板Aを得た。
(膜の厚み)
キーエンス(株)製レーザーフォーカス変位計LT−8010を用いて測定した。
なお、レターデーション値の測定は、王子計測機器(株)製KOBRA−21ADHを用いて行った。以下同じである。
【0073】
(2)λ/4板Bの作製
WO00/26705号の実施例3に従って、ポリカーボネート共重合体延伸フイルム(λ/4板B)を作製した。
波長450nmにおける面内レターデーション値は148.5nm、波長550nmにおける面内レターデーション値は161.1nm、波長650nmにおける面内レターデーション値は162.9nmだった。
【0074】
(3)λ/4板Cの作製
室温において、平均酢化度59.5%のセルロースアセテート100質量部、トリフェニルホスフェート7.8質量部、ビフェニルジフェニルホスフェート3.9質量部、レターデーション制御剤(41-trans)1.32質量部、メチレンクロリド587.69質量部、メタノール50.85質量部を混合して、溶液(ドープ)を調製した。
【0075】
【化1】
【0076】
得られたドープを、製膜バンド上に流延し、室温で1分間乾燥後、45℃で5分間乾燥させた。乾燥後の溶剤残留量は30質量%であった。セルロースアセテートフイルムをバンドから剥離し、120℃で10分間乾燥した後、130℃で流延方向とは平行な方向に実倍で1.34倍に延伸した。延伸方向と垂直な方向は、自由に収縮できるようにした。延伸後、120℃で30分間乾燥した後、得られたフイルムをλ/4板Cとして使用した。延伸後の溶剤残留量は0.1質量%であった。
【0077】
得られたλ/4板Cの厚さは、112.7μmであり、エリプソメーター(M−150、日本分光(株)製)を用いて、波長450nm、550nmおよび590nmにおけるレターデーション値(Re)を測定したところ、それぞれ、125.2nm、137.8nmおよび141.1nmであった。
さらに、アッベ屈折率計による屈折率測定と、レターデーションの角度依存性の測定から、波長550nmにおける面内の遅相軸方向の屈折率nx、面内の遅相軸に垂直な方向の屈折率nyおよび厚み方向の屈折率nzを求め、(nx−nz)/(nx−ny)の値を計算したところ、1.48であった。なお、(nx−nz)/(nx−ny)はNZパラメーターと呼ばれる値で、この値が大きいものほど視野角による表示コントラストの変化が少なく好ましい。
【0078】
(4)λ/4板Dの作製
6−メチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレンに、重合触媒としてトリエチルアルミニウムの15%シクロヘキサン溶液10部、トリエチルアミン5部、および四塩化チタンの20%シクロヘキサン溶液10部を添加して、シクロヘキサン中で開環重合し、得られた開環重合体をニッケル触媒で水素添加してポリマー溶液を得た。このポリマー溶液をイソプロピルアルコール中で凝固させ、乾燥し、粉末状の樹脂を得た。この樹脂の数平均分子量は40,000、水素添加率は99.8%以上、Tgは142℃であった。
上述の粉末状樹脂を250℃で溶融し、ペレット化を行った。このペレットを40mmのフルフライト型スクリューを有する単軸押出機を用いて、幅300mmのTダイから、溶融押し出しし、直径300mmの3本構成の冷却ロールで巻き取ることにより、シートを作製した。この際のダイ部での樹脂温度は275℃、冷却ロールの温度は、第1、第2、第3ロールの順に120℃、100℃、100℃だった。
【0079】
この延伸前シートの両端は厚さが不均一となるため、幅20mmの部分は切り落とし、表面を目視および光学顕微鏡で観察したが、発泡、スジ、キズなどは観察されなかった。Tgは139℃、平均厚さは75μmで厚さムラは±2μm以下、光線透過率は91.5%、レターデーション値は平均で11nm、その面内でのバラツキは±5nmであった。
【0080】
この延伸前のシートを140±2℃に制御し、1.25倍の延伸倍率で一軸方向に延伸し、λ/4板Dを得た。
【0081】
λ/4板Dの平均厚さは50μm、厚さムラは±1.2μm、レターデーションは平均で140nm、その面内でバラツキは±7nmであった。
λ/4板Dを80℃で2時間保持した後、室温まで降温し、レターデーション値を測定したところ、平均で136nmだった。
【0082】
〔II〕円偏光板の作製
(1)円偏光板Aの作製
平均重合度が1700、膜厚75μmのPVAフィルムの両面を水流2L/分で、イオン交換水にて洗浄し、エアーブローして表面水分を飛ばした後、該PVAフィルムをヨウ素1.0g/l、ヨウ化カリウム60.0g/lの水溶液に25℃にて90秒浸漬し、さらにホウ酸40g/l、ヨウ化カリウム30g/lの水溶液に25℃にて120秒浸漬後、フィルムの両面をエアーブローして、余剰水分を除去し、フィルム中の含有水分率の分布を2%以下にした状態で、図1の形態のテンター延伸機に導入した。搬送速度を5m/分として、100m送出し、40℃95%雰囲気下で5.5倍に一旦延伸した後4.0倍まで収縮させ、以降幅を一定に保ち、60℃で乾燥中に延伸膜の含水率が6%となった時点で、PVA((株)クラレ製PVA−117H)3%、ヨウ化カリウム4%からなる水溶液を接着剤として一方の面を上記のように作製したλ/4板Aと、もう一方の面をケン化処理した富士写真フイルム(株)製フジタック(セルローストリアセテート、面内レターデーション値3nm、膜厚80μm)と貼り合わせ、さらに60℃で30分間加熱した。この後、テンターより離脱し、幅方向から3cm、カッターにて耳きりをし、有効幅650mm、長さ100mのロール形態の円偏光板Aを作製した。
乾燥点は(c)ゾーンの中間であり、延伸開始前のPVAフイルムの含水率は30%で、乾燥後の含水率は1.5%であった。
左右のテンタークリップの搬送速度差は、0.05%未満であり、導入されるフイルムの中心線と次工程に送られるフイルムの中心線のなす角は、0゜だった。ここで|L1−L2|は0.7m、Wは0.7mであり、|L1−L2|=Wの関係にあった。テンター出口におけるシワ、フイルム変形は観察されなかった。
得られた円偏光板Aの吸収軸方向は、保護膜(フジタック)およびλ/4板の遅相軸に対し45゜傾斜していた。550nmで測定された偏光度は99.8%、単板透過率は41%であった。また、円偏光板Aの厚みは200μmであった。
【0083】
(2)円偏光板B、C、Dおよび比較円偏光板Eの作製
λ/4板Aの替わりに、各々λ/4板B、C、Dを上述の円偏光板製造プロセスにそれぞれ使用することで円偏光板B、C、Dをそれぞれ作製した。
また、λ/4板Aの替わりに、富士写真フイルム(株)製フジタック(セルローストリアセテート、レターデーション値3.0nm、膜厚80μm)を上述の円偏光板製造プロセスに使用することで偏光板を作製し、さらにアクリル系粘着剤(膜厚20μm)を用いてλ/4板Bと貼り合わせて比較円偏光板Eを作製した。
各円偏光板の550nmで測定された偏光度と単板透過率、および円偏光板の厚みは下記の通りである。
円偏光板B:偏光度99.8%、単板透過率39%、厚み195μm
円偏光板C:偏光度99.9%、単板透過率38%、厚み223μm
円偏光板D:偏光度99.8%、単板透過率40%、厚み160μm
円偏光板E:偏光度99.5%、単板透過率37%、厚み280μm
【0084】
〔III〕半透過型液晶表示装置A〜Eの作製
図9に示される半透過型液晶表示装置A〜Eを、円偏光板A〜Eを用いて前述した手順で作製した。なお、半透過型液晶表示装置Eは、比較用である。
【0085】
〔IV〕液晶表示装置の評価
作製した半透過型液晶表示装置A〜Eにつき、下記の評価を行った。
(1)反射モード時の表示品位
ミノルタ(株)製の分光測色計CM−2002を用いて液晶表示装置の白色表示の反射率と黒色表示の反射率とを測定し、コントラスト比を算出した。結果を表1に示した。
(2)透過モード時の表示品位
TOPCOM(株)製の輝度計BM−5Aを用いてバックライト点灯時の液晶表示装置の白色表示の輝度と黒色表示の輝度とを測定し、コントラスト比を算出した。結果を表1に示した。
【0086】
【表1】
【0087】
表1に示される結果から、本発明に係わる液晶表示装置A〜Dは、比較液晶表示装置Eと比べ、反射モード時および透過モード時のいずれにおいても、コントラスト比を低下することなく、液晶パネルの厚みが100μm前後薄くできていることが明らかである。
【0088】
【発明の効果】
本発明の液晶表示装置は、高コントラストを維持したまま、軽量化や薄膜化に対応可能であり、しかも低コストである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる、ポリマーフイルムを斜め延伸する方法の一例を示す概略平面図である。
【図2】本発明に係わる、ポリマーフイルムを斜め延伸する方法の一例を示す概略平面図である。
【図3】本発明に係わる、ポリマーフイルムを斜め延伸する方法の一例を示す概略平面図である。
【図4】本発明に係わる、ポリマーフイルムを斜め延伸する方法の一例を示す概略平面図である。
【図5】本発明に係わる、ポリマーフイルムを斜め延伸する方法の一例を示す概略平面図である。
【図6】本発明に係わる、ポリマーフイルムを斜め延伸する方法の一例を示す概略平面図である。
【図7】従来の偏光板を打ち抜く様子を示す概略平面図である。
【図8】本発明において、偏光板を打ち抜く様子を示す概略平面図である。
【図9】エアーブロー装置の概略概念図である。
【図10】ニップ装置の概略概念図である。
【図11】ブレード装置の概略概念図である。
【図12】本発明の半透明型液晶表示装置を模式的に示す概略断面図である。
【符号の説明】
(イ) フイルム導入方向
(ロ) 次工程へのフイルム搬送方向
(a) フイルムを導入する工程
(b) フイルムを延伸する工程
(c) 延伸フイルムを次工程へ送る工程
A1 フイルムの保持手段への噛み込み位置とフイルム延伸の起点位置(実質保持開始点:右)
B1 フイルムの保持手段への噛み込み位置(左)
C1 フイルム延伸の起点位置(実質保持開始点:左)
Cx フイルム離脱位置とフイルム延伸の終点基準位置(実質保持解除点:左)Ay フイルム延伸の終点基準位置(実質保持解除点:右)
|L1−L2| 左右のフイルム保持手段の行程差
W フイルムの延伸工程終端における実質幅
θ 延伸方向とフイルム進行方向のなす角
11 導入側フイルムの中央線
12 次工程に送られるフイルムの中央線
13 フイルム保持手段の軌跡(左)
14 フイルム保持手段の軌跡(右)
15 導入側フイルム
16 次工程に送られるフイルム
17、17’ 左右のフイルム保持開始(噛み込み)点
18、18’ 左右のフイルム保持手段からの離脱点
21 導入側フイルムの中央線
22 次工程に送られるフイルムの中央線
23 フイルム保持手段の軌跡(左)
24 フイルム保持手段の軌跡(右)
25 導入側フイルム
26 次工程に送られるフイルム
27、27’ 左右のフイルム保持開始(噛み込み)点
28、28’ 左右のフイルム保持手段からの離脱点
33、43、53、63 フイルム保持手段の軌跡(左)
34、44、54、64 フイルム保持手段の軌跡(右)
35、45、55、65 導入側フイルム
36、46、56、66 次工程に送られるフイルム
71 吸収軸(延伸軸)
72 長手方向
81 吸収軸(延伸軸)
82 長手方向
91、92 ヨウ素系偏光フイルム(偏光層)
93 液晶セル
94 バックライト
103 前面側基板
104 背面側基板
105 液晶部
106 前面電極
107 背面電極
108 前面側円偏光板
110 背面側円偏光板
112 バックライト
113 二端子素子
122 信号電極
124 絶縁層
125 二端子素子内の上部電極
141 半透過型液晶表示装置
142 カラーフィルタ
Claims (3)
- (a)偏光膜が、保護膜を兼ねた1/4波長板と面内レターデーション値が20nm以下である保護膜との間に、吸収軸が該1/4波長板の遅相軸と20°以上70°未満の角度をなすように配置されており、かつ(b)厚みが、80μm以上250μm以下である円偏光板であって、
連続的に供給される偏光膜用ポリマーフィルムの両端を保持手段により保持し、該保持手段を該ポリマーフィルムの長手方向に進行させつつ張力を付与して延伸して、その際、(i)該ポリマーフィルムの一方端の実質的な保持開始点から実質的な保持解除点までの該保持手段の軌跡L1及び該ポリマーフィルムのもう一端の実質的な保持開始点から実質的な保持解除点までの該保持手段の軌跡L2と、二つの実質的な保持解除点の距離Wが、下記式(1)を満たし、( ii )該ポリマーフィルムを延伸後収縮させ、乾燥して揮発分率を低下させる、ことで形成される偏光膜の含水率を6%以下にして該偏光膜に1/4波長板を貼り合わせて形成されたことを特徴とする円偏光板。
式(1):|L2−L1|>0.4W - (a)偏光膜が、保護膜を兼ねた1/4波長板と面内レターデーション値が20nm以下である保護膜との間に、吸収軸が該1/4波長板の遅相軸と20°以上70°未満の角度をなすように配置されており、かつ(b)厚みが、80μm以上250μm以下である円偏光板の製造方法であって、
連続的に供給される偏光膜用ポリマーフィルムの両端を保持手段により保持し、該保持手段を該ポリマーフィルムの長手方向に進行させつつ張力を付与して延伸して、その際、(i)該ポリマーフィルムの一方端の実質的な保持開始点から実質的な保持解除点までの該保持手段の軌跡L1及び該ポリマーフィルムのもう一端の実質的な保持開始点から実質的な保持解除点までの該保持手段の軌跡L2と、二つの実質的な保持解除点の距離Wが、下記式(1)を満たし、(ii)該ポリマーフィルム延伸後収縮させ、乾燥して揮発分率を低下させる、ことで偏光膜を形成し、該偏光膜の含水率を6%以下にして該偏光膜に1/4波長板を貼り合わせて円偏光板が形成されることを特徴とする円偏光板の製造方法。
式(1):|L2−L1|>0.4W - バックライト、円偏光板、および反射型にも透過型にも使用可能な液晶表示素子を有する半透過型液晶表示装置において、
請求項1に記載の円偏光板を用いたことを特徴とする半透過型液晶表示装置。
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