JP3651755B2 - ガス成分濃度計測装置およびガス成分濃度計測方法 - Google Patents

ガス成分濃度計測装置およびガス成分濃度計測方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば各種廃煙に含まれるダイオキシンのように、微量含有ガス等の検出に有効なガス成分濃度計測装置およびガス成分濃度計測方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ガス成分濃度計測方法としては各種の方法が知られており、例えば(1)ガスクロマトグラフやガスクロマトグラフ/質量分析による方法、(2)電解液中に試料ガスを通して電気化学的手法によって分析する方法、(3)紫外、可視、赤外光等の吸収による方法、などが挙げられる。
【0003】
上述した従来技術において、(1)のガスクロマトグラフやガスクロマトグラフ/質量分析による方法では、例えばゼオライトのような吸着剤に試料ガスを通し、吸着による給排ガス量の差に基づいて測定を行うが、検出対象となるガスを含有させる試料の調製や計測に、多くの手間および時間がかかり、また検出感度が必ずしも良くないという問題がある。
【0004】
また、(2)の電気化学的測定では、試料ガスの電解液への溶け込みによる電流変動に基づいて測定を行うものであるため、試料の成分が単純で、且つ対象となる成分濃度が比較的高い場合にのみ適応でき、微量含有ガスへの適用は困難である等の問題がある。
【0005】
さらに、(3)の吸光法では検出感度があまり高くなく、また多成分試料の場合、各光吸収スペクトル線が近接することがあり、その場合に各成分濃度を分離、測定することが困難である等の問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
近年、上述した方法に代り、(4)励起光を試料セルに照射し、その試料セルから生ずる蛍光を測定する方法が開発されている(例えば特開平7−120390号公報)。これは、試料セルにある励起波長の光を入射させた場合に蛍光が発生することに着目したもので、その蛍光を分光手段によって測定してスペクトルを分離するものである。
【0007】
しかし、生ずる蛍光には試料セル中に含まれる成分のうち、入射光の波長を吸収して蛍光を発する物質全てからの蛍光を含んでおり、分光手段によって単にスペクトルを分離しても、波長が近接した成分を分離することは困難である。したがって、このような蛍光法による測定においても、多成分試料において、それぞれの蛍光スペクトル線が近接した場合には、各成分濃度を分離、測定することが困難であるという課題があった。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、上記の成分濃度測定に係る課題を解決し、多成分が混在する試料中に微量濃度含まれている物質の濃度を正確に測定することができるガス成分濃度計測法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上述した(4)の蛍光を測定する方法においては、生ずる蛍光に試料セル中の成分のうち、入射光の波長を吸収し蛍光を発する物質全てからの蛍光を含んでおり、分光手段によってスペクトルを分離しても波長が近接した成分を分離することは困難である。しかし、発明者においては、ある励起波長を入射した結果生ずる蛍光スペクトルが類似している場合でも、それとは異なる別の励起波長により生じた蛍光スペクトルは互いに異なったスペクトル形状、時間減衰特性を示すことに着目した。そして、この特性を用いて、生ずる蛍光に差異が生ずるように選んだ複数の波長の励起光により生じた蛍光を測定し、両者の相関により被測定対象の濃度測定を行うことで上述した課題が解決できるとの見通しを得た。
【0010】
即ち、請求項1の発明では、計測対象となるガス成分を含む試料を封入した試料セルと、前記ガス成分が吸収し得る光の波長の中から選ばれた2以上の異なる波長の励起光を発する励起光源と、この励起光源から発した励起光を前記試料セルに導き、その励起光の照射により前記ガス成分を電子的に励起して蛍光を発生させる照射光学系と、前記試料セルから発生した蛍光を一定の方向に導く計測光学系と、この計測光学系によって導かれる蛍光を受け、その蛍光の強度を前記励起光の波長毎に分光して蛍光スペクトルを得る蛍光計測手段と、前記試料中に含まれ前記各波長の領域で蛍光を発する各種物質の蛍光要素スペクトルをデータベースとし、このデータベースに基づいて計測対象以外の物質に起因する蛍光要素スペクトルを収束演算により消去することにより、前記蛍光計測手段で得られた蛍光スペクトル中の計測対象となるガス成分の蛍光要素スペクトルを抽出し、この抽出値に基づいてガス成分濃度を求める演算手段とを備えたことを特徴とするガス成分濃度計測装置を提供する。
【0011】
請求項2の発明では、請求項1記載のガス成分濃度計測装置において、励起光が試料セルに入射する直前にその一部を抽出して入射光強度を計測する入射光強度計測手段と、前記励起光が前記試料セルを通過した後の出射光強度を計測する出射光強度計測手段と、前記入射光と出射光との強度比に基づいて前記試料セル内に含まれている各種物質による光吸収量を求め、その各種物質の光吸収量から存在濃度を算出する解析手段とを備え、演算手段は前記データベースに代え、または加えて、前記解析手段から得られたデータに基づいて収束演算を行うものであることを特徴とするガス成分濃度計測装置を提供する。
【0012】
請求項3の発明では、請求項1記載のガス成分濃度計測装置において、前記試料セルに含まれる計測対象以外の物質の吸収波長で、かつ前記励起光とは異なる波長の吸収用の光を発する吸収計測用光源と、この光源から発した吸収計測用の光を前記試料セルに入射する吸収計測用入射光学系と、前記吸収計測用の光が前記試料セルに入射する直前に、その光の一部を抽出して入射光強度を測定する入射光強度測定手段と、前記試料セルを通過した後の出射光強度を測定する出射光強度測定手段と、前記入射光と出射光との強度比に基づいて前記試料セル内に含まれている各種物質による光吸収量を求め、その各種物質の光吸収量から存在濃度を算出する解析手段とを備え、演算手段は前記データベースに代え、または加えて、前記解析手段から得られたデータに基づいて収束計算を行うものであることを特徴とするガス成分濃度計測装置を提供する。
【0013】
請求項4の発明では、請求項1記載のガス成分濃度計測装置において、前記試料セルに含まれる計測対象以外の各種物質の吸収波長を含む連続スペクトルあるいは複数の波長成分を持つ吸収計測用の光を発する吸収計測用光源と、この光源から発した吸収計測用の光を前記試料セルに入射する吸収用入射光学系と、前記吸収用の光が前記試料セルに入射する直前に、その光の一部を抽出して入射光強度を測定する入射光強度測定手段と、前記試料セルを通過した後の出射光強度を測定する出射光強度測定手段と、前記入射光と出射光との強度比に基づいて前記試料セル内に含まれている各種物質による光吸収量を求め、その各種物質の光吸収量から存在濃度を算出する解析手段とを備え、前記解析手段から得られたデータに基づいて収束計算を行うものであることを特徴とするガス成分濃度計測装置を提供する。
【0014】
請求項5の発明では、請求項1記載のガス成分濃度計測装置において、励起光が前記試料セルに入射した際に前記試料セルに含まれる物質によりその物質特有のラマンシフトを受けたラマン散乱光を集光するラマン散乱光集光用光学系と、この光学系で計測したラマン散乱光を分光して波長および強度を計測するラマン光計測手段と、前記ラマン光強度に基づいて前記試料セル内に含まれている各種物質による光吸収量を求め、その各種物質の光吸収量から存在濃度を算出する解析手段とを備え、演算手段は前記データベースに代え、または加えて、前記解析手段から得られたデータに基づいて収束計算を行うものであることを特徴とするガス成分濃度計測装置を提供する。
【0015】
請求項6の発明では、請求項1記載のガス成分濃度計測装置において、蛍光計測に用いる励起光とは異なる波長のラマン光を発するラマン光励起光源と、前記ラマン励起光を前記試料セルに入射するラマン光励起入射光学系と、前記ラマン励起光を前記試料セルに入射するすることにより生じた誘導ラマン光を測定するラマン光測定手段と、このラマン光測定手段によって測定された誘導ラマン光強度に基づいて、前記試料セル内に含まれている各種物質による光吸収量を求め、その各種物質の光吸収量から存在濃度を算出する解析手段とを備え、演算手段は前記データベースに代え、または加えて、前記解析手段から得られたデータに基づいて収束計算を行うものであることを特徴とするガス成分濃度計測装置を提供する。
【0016】
請求項7の発明では、請求項1,2または5記載のガス成分濃度計測装置において、励起光源を可視領域ないし赤外領域で発振するレーザとし、このレーザから発振されるレーザ光の基本波の波長および計測対象となるガス成分の吸収領域によって選ばれる次数の高調波を作る複数の非線型光学素子と、これらの非線型光学素子で作られる各高調波を選択的に試料セルに照射する光スイッチとを備えたことを特徴とするガス成分濃度計測装置を提供する。
【0017】
請求項8の発明では、請求項3,4または6記載のガス成分濃度計測装置において、励起光源を可視領域ないし赤外領域で発振するレーザとし、このレーザから発振されるレーザ光の基本波の波長および計測対象となるガス成分の吸収領域によつて選ばれる次数の高調波を作る複数の非線型光学素子と、これらの非線型光学素子で作られる各高調波を選択的に試料セルに照射する光スイッチとを備え、かつ吸収もしくはラマン光源を、前記レーザから発振されるレーザ光の基本波を抽出する光スイッチと、抽出した基本波を前記試料セルに照射する基本波照射光学系とにより構成したことを特徴とするガス成分濃度計測装置を提供する。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るガス成分濃度計測装置およびガス成分濃度計測方法の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0019】
[第1実施形態(図1、図2)]
図1は本発明の第1実施形態を説明するためのシステム構成図であり、図2は作用説明図である。
【0020】
本実施形態の方法では基本的に、測定場に存在する被測定分子であるガス成分の吸収波長の中で短い波長領域に対応する第1の励起光を測定場に対して照射し、この第1の励起光の照射により測定場に誘起された第1の蛍光の波長に対応する強度を計測する。また、被測定分子の吸収波長の中で長い波長領域に対応する第2の励起光を測定場に照射し、この第2の励起光の照射により測定場に誘起された第2の蛍光の波長に対応する強度を計測する。そして、蛍光の強度比および相関に基づいて、測定場に存在する被測定分子の濃度を判定する。
【0021】
即ち、装置を用いた具体例について説明すると、図1に示すように、本実施形態の装置は、例えばダイオキシン等の計測対象となるガス成分を含む試料を封入した試料セル1と、このガス成分が吸収し得る光の波長の中から選ばれた2つ以上の異なる波長λ1,λ2の励起光L1,L2を発する励起光源2(第1励起光源2a,第2励起光源2b)と、この励起光源2から発した各励起光L1,L2を試料セル1の同一光軸上に導き、その各励起光L1,L2の照射によりガス成分を電子的に励起して蛍光Laを発生させる照射光学系3とを備える。また、試料セル1から発生した蛍光Laを一定の方向に導く計測光学系4と、この計測光学系4によって導かれる蛍光Laを受け、その蛍光Laの強度を励起光L1,L2の波長λ1,λ2毎に分光して蛍光スペクトルを得る蛍光計測手段5(蛍光測定用分光器5a,蛍光測定用受光器5b)とを備えている。さらに、演算手段としての信号処理装置6を備えており、この信号処理装置6では、試料セル1中に含まれ各波長λ1,λ2の領域で蛍光を発する各種物質の蛍光スペクトルの波形,強度をデータベースとして保持するとともに、このデータベースに基づいて計測対象以外の物質に起因する蛍光要素スペクトルを収束演算により消去することにより、蛍光計測手段5で得られた蛍光スペクトル中の計測対象となるガス成分の蛍光スペクトル成分を抽出し、この抽出値に基づいてガス成分濃度を求めるようにしている。
【0022】
図2(a)は、励起光波長がλ1,λ2の場合に得られる蛍光スペクトルS1,S2を例示したものである。このうち、波長λ1による蛍光スペクトルS1は、図2(b)に示すように、試料セル1内に比較的多量に含まれている計測対象以外の物質(成分1,成分2)による蛍光要素スペクトルSa1,Sa2と、計測対象である微量含有ガス(成分3)による蛍光要素スペクトルSa3とが足し合わされたものであり、同じく図2(a)のS2は、図2(c)に示すように、Sb1,Sb2,Sb3が足し合わされたものである。
【0023】
本実施形態では、信号処理装置6を用いて統計的処理を行い、2つの蛍光スペクトルS1,S2を要素スペクトルSa1,Sa2,Sa3,Sb1,Sb2,Sb3にデコンボリュートし、S1からSa1,Sa2を消去するとともに、S2からSb1,Sb2を消去した後、残るSa3,Sb3についての連立方程式の解を求めることにより、計測対象であるガス成分の存在濃度を算出するものである。
【0024】
このように、本実施形態によれば、二つの蛍光スペクトルS1,S2をそれぞれ試料セル1に含まれていると推定される成分により生ずる蛍光成分にデコンボリューションして、第1の蛍光スペクトルS1、第2の蛍光スペクトルS2それぞれが最も良くフィッティングするように各成分の濃度比を算出することにより、微量成分に対しても正確な濃度測定が行える。
【0025】
[参考例(図1、図3)]
本参考例では、第1実施形態における蛍光スペクトルに代え、蛍光の時間的推移(減衰)特性を使用する。
【0026】
即ち、本参考例では、測定場に存在する被測定分子であるガス成分の吸収波長の中で短い波長領域に対応する第1の励起光を測定場に対して照射し、この第1の励起光の照射により測定場に誘起された第1の蛍光の強度の時間推移を、第1の励起光照射開始時刻を基準に計測する。また、被測定分子の吸収波長の中で長い波長領域に対応する第2の励起光を測定場に照射し、この第2の励起光の照射により測定場に誘起された第2の蛍光の強度の時間推移を、第2の励起光照射開始時刻を基準に計測し、蛍光の励起光照射開始後の時間経過に伴う強度比および相関に基づいて、測定場に存在する被測定分子の濃度を判定する。
【0027】
本参考例の方法は、図1に示した第1実施形態の装置と略同様の構成を用いて実施することができる。この場合、信号処理装置6ではデータベースとして、蛍光強度の時間的推移特性要素を使用する。つまり、試料セル1に第1の励起波長の光を入射させることにより、第1の蛍光が発生し、同様に第2の励起波長λ2の光を試料セル1に入射させることにより、第2の蛍光が発光する。そこで、計測対象となる物質と他の物質との間で、蛍光の減衰特性に最も顕著な差異の現れる波長の蛍光成分を、その時間波形として測定する。
【0028】
各光源2a,2bからの放射光波形が生ずる蛍光波形に比べて充分に短い場合、蛍光の緩和波形は蛍光を発する物質の物性を反映したものとなるからである。
【0029】
図3(a),(b)は、本参考例の作用説明図であり、それぞれ波長λ1,λ2の波長を持つ短パルス励起光で励起された際に発生する蛍光の時間的推移(緩和特性)の一例を示している。これら蛍光の時間的推移特性(緩和波形)K1,K2は前記蛍光スペクトルの場合と同様に、試料セル1中に含まれる各成分から発生した蛍光の時間的推移特性要素(緩和波形要素)ka1,ka2,ka3,kb1,kb2,kb3が足し合わされたものであり、各緩和成分にデコンボリュートするために、信号処理装置6を用いて統計的処理を行い、計測対象となるガス成分の存在濃度を算出するものである。
【0030】
このように、本参考例によれば、二つの励起波長λ1,λ2による蛍光の減衰特性を、それぞれ試料セル1に含まれていると推定される成分により生ずる蛍光の減衰波形成分にデコンボリューションし、その際、第1,第2の励起波長λ1,λ2に対応して、蛍光の減衰波形がそれぞれが最も良くフィットするように各成分の濃度比を算定することにより、微量成分に対しても正確な濃度測定が行える。
【0031】
第2実施形態(図4)]
図4は、本発明の第2実施形態を説明するためのシステム構成図である。
【0032】
本実施形態が前記の実施形態と異なる点は、試料セル1に照射する励起光を、波長の長いもの(L1)、短いもの(L2)の2成分に加え、その中間領域の波長の励起光L3を使用する多波長式としたことにある。そのために、図4に示すように、第3の励起光源2cを設けてある。なお、図示しないが、第4,5…の励起光を発する光源を設けてもよい。本実施形態の場合は、前記励起光を前記試料に照射する光学系と、第2以降の蛍光に対する解析機能とを具備する構成とする。
【0033】
このような構成にすれば、多くの要素に基づいて濃度計測を行うことにより、微少ガス成分をさらに高精度で計測することができる。
【0034】
第3実施形態(図5,図6)]
図5は本発明の第3実施形態を説明するためのシステム構成図であり、図6は作用説明図である。
【0035】
本実施形態のガス成分濃度測定方法は概略的に、励起光が測定場を通過する際に受ける吸収を別途計測することにより比較的高濃度で含まれる計測対象以外の物質に関して存在濃度を定量化し、当該物質により発生する蛍光成分を計測結果から差し引くことにより、計測対象となるガス成分の蛍光強度を抽出して、その濃度の統計演算を行うものである。
【0036】
即ち、図5に示すように、本実施形態では、第1実施形態の構成に加えて、励起光L1,L2が試料セル1に入射する直前に設けられた部分反射鏡7と、この部分反射鏡7により励起光L1,L2の一部を抽出して入射光強度を計測する入射光強度計測手段としての入射光強度モニタ7と、試料セル1の励起光入射面の反対側に設けられ、励起光L1,L2が試料セル1を通過した後の出射光強度を計測する出射光強度計測手段としての出射光強度モニタ9とを備えている。そして、信号処理装置6は、入射光と出射光との強度比に基づいて試料セル1内に含まれている各種物質による光吸収量を求め、その各種物質の光吸収量から存在濃度を算出する解析手段を備え、この解析手段から得られたデータに基づいて収束演算を行う構成としてある。
【0037】
具体的に説明すると、入出射光の強度比が信号処理装置6によって求められ、これにより励起光L1,L2の波長λ1,λ2…に対応する吸収係数α1,α2…が求められる。
【0038】
試料セル1中に比較的高濃度で存在する物質a,b…の励起波長λ1,λ2…における吸収係数をそれぞれγa1,γa2…,γb1,rb2…,とし、また、a,b…の濃度をそれぞれNa,Nb…とすると,測定により求められた吸収係数α1,α2…は
【数1】
α1 =γa1 *Na+γb1 *Nb
α2 =γa2 *Nb+γb2 *Nb
となる。ここで吸収係数γa1,γa2…,rb1,γb2…は予め評価、測定し、信号処理装置6のデーターベースに貯えられている。信号処理装置6では、上記関係式を用い、測定結果を基にして最小自乗法等の統計処理を行い、試料中に含まれる計測対象外の各成分濃度Na,Nb…を算出する。
【0039】
励起光波長がλ1、λ2の場合に得られる蛍光スペクトルが図2に示したものである場合、例えば図6(a),(b),(c)に示すように先の吸収係数法により求めた計測対象以外の物質aの濃度を用いて測定された蛍光データを基に、計測対象以外の物質aから生ずる蛍光成分を差し引き、残部スペクトル波形について信号処理装置6により統計的処理を行い、上記物質以外の物質から生じるスペクトル成分でデコンボリュートし、計測対象となるガス成分の存在濃度を算出する。
【0040】
本実施形態によれば、消去すべき高濃度物質の濃度を実測値に基づくデータとして入力することにより、補正要素を減少することができ、演算の容易化および計測の高精度化が図れる。
【0041】
第4実施形態(図7)]
図7は本発明の第4実施形態を説明するためのシステム構成図である。
【0042】
本実施形態のガス成分濃度測定方法は概略的に、予め比較的高濃度で含まれることが予想される物質に関してその吸収波長成分の計測光を測定場に照射し、測定場通過前後の強度変化を計測することにより、その物質の濃度を定量化し、当該物質により発生する蛍光成分を計測結果から差し引くことにより、計測対象となるガス成分の蛍光強度を抽出して、その濃度の統計演算を行うものである。
【0043】
即ち、本実施形態では、第1実施形態の構成に加えて、試料セル1に含まれる計測対象以外の物質の吸収波長で、かつ励起光とは異なる波長の吸収用の光L4を発する吸収用光源10と、この光源10から発した吸収計測用の光L4を試料セル1に入射する吸収用入射光学系11と、吸収用の光L4が試料セル1に入射する直前に、その光L4の一部をビームスプリッタ12で抽出して入射光強度を測定する入射光強度測定手段としての入射光強度モニタ13と、試料セル1を通過した後の出射光強度を測定する出射光強度測定手段としての射出光強度モニタ14とを備えている。そして、信号処理装置6は、入射光と出射光との強度比に基づいて試料セル1内に含まれている各種物質による光吸収量を求め、その各種物質の光吸収量から存在濃度を算出する解析手段を備え、この解析手段から得られたデータに基づいて収束計算を行う構成としてある。
【0044】
このような構成において、前記各実施形態と同様に、試料セル1に異なった波長の励起光L1,L2を照射する。さらにこの場合、励起光L1,L2とは別の吸収用の光L4を照射し、この光L4が励起光L1,L2の照射空間を横切って試料セル1に達するようにする。この吸収用の光L4の波長は、試料セル1に含まれていると考えられる成分の吸収波長中で他の物質との識別が良好なスペクトルとして予め調査、選択されたものである。吸収用の光L4が試料セル1に入射する光強度及び透過光強度を測定することにより、試料の波長に対する透過率特性が求まる。計測対象以外に含まれる複数の物質濃度を計測する場合、吸収用の光L4の波長を必要に応じて変化させ、同様の計測を行う。このようにして測定した吸収特性から各成分濃度を求め、求められた吸収特性に一致するように各成分の濃度比を統計的手法により導くものである。
【0045】
本実施形態では、吸収用の光L4の入出射光の強度比を信号処理装置6によって求め、波長λ3,λ4…に対応する吸収係数α3,α4…を求める。
【0046】
試料セル1中に比較的高濃度で存在する物質a,b…の励起波長λ3,λ4…における吸収係数をそれぞれγa3,γa4…,γb3,γb4…,とする。また、a,b…の濃度をそれぞれNa,Nb…とすれば測定により求められた吸収係数α3,α4…は
【数2】
α3 =γa3 *Na+γb3 *Nb
α4 =γa4 *Nb+γb4 *Nb

となる。ここでγa3,γa4…,γb3,γb4…,は予め評価、測定し信号処理系装置6のデーターベースに貯えられている。信号処理装置6により上記関係式を用いて測定結果を最小自乗法等の統計処理を行い、試料中に含まれる計測対象以外の各成分濃度Na,Nb…を算出する。
【0047】
本実施形態においても、第3実施形態と同様に、計測対象以外の物質の濃度を用いて測定された蛍光データを基に、計測対象以外の物質から生ずる蛍光成分を差し引き、残部スペクトル波形を信号処理装置6を用いて統計的に処理し、上記物質以外の物質より生ずるスペクトル成分でデコンボリュートすることにより、計測対象となるガス成分の存在濃度を算出することができる。
【0048】
第5実施形態(図8、9)]
図8は本発明の第5実施形態を説明するためのシステム構成図であり、図9は作用説明図である。
【0049】
本実施形態のガス成分濃度測定法は第4実施形態と同様に、吸収用の光源を別に使用するものであるが、この吸収用の光源を、予め比較的高濃度で含まれることが予想される物質に関してその吸収波長領域を含む連続スペクトル光もしくは多波長の計測光を測定場に照射し、測定場通過後の強度変化を計測することによりその物質の濃度を定量化し、当該物質により発生する蛍光成分を計測結果から差し引くことにより、計測対象となるガス成分の蛍光強度を抽出して、その濃度の統計演算を行うものである。
【0050】
即ち、図8に示すように、本実施形態では、吸収用光源15から発する計測光L5が、試料セル1に含まれていると考えられる物質の吸収波長を含む連続スペクトル、あるいは多数のスペクトル成分により構成されている。この吸収用の光L5が試料セル1に入射する光強度及び透過光強度を測定することにより、試料の波長に対する透過率特性が求まる。これらの吸収特性は、試料セル1に含まれている物質により生ずる吸収の総和と考えられ、求められた吸収特性に一致するように各成分の濃度比を統計的手法により導くものである。なお、本実施形態において、第4実施形態と同一の構成部分には、図8に図7と同一の符号を付して説明を省略する。
【0051】
本実施形態においては、例えば吸収用光源15から試料セル1の吸収波長域で連続スペクトルを放射する。この場合、図9に実線で示した曲線(I)が、測定結果に対する試料中に比較的高濃度で存在することが予期される物質a,bによる吸収スペクトル波形の合成を表している。これらの物質の吸収スペクトル波形は予め知られており、これをデータベースに保持しておく。そして、各物質a,bの濃度に応じて吸収強度を変化させて、吸収スペクトル成分を推定する。即ち、各物質a,bの個別の吸収スペクトル波形は、図9に破線(II)および一点鎖線(III)で示すようなものになる。測定により得られたこれらのスペクトル波形を、各物質の吸収の台形波形で最も良く再現できるように信号処理装置6で処理し、濃度Na,Nb…を算出する。
【0052】
そして、この濃度データを前記各実施形態と同様に、励起光L1,L2から求められたスペクトル波形処理に適用し、計測対象以外の物質から生ずる蛍光成分を差し引き、残部スペクトル波形を信号処理装置6を用いて統計的処理を行い、上記物質以外の物質より生ずるスペクトル成分でデコンボリュートし、計測対象物質の存在濃度を算出する。
【0053】
本実施形態によれば、前記各実施形態と同様に、得られた複数の蛍光スペクトルをそれぞれ試料に含まれていると推定される物質により生ずる蛍光成分にデコンボリューションする場合、上記吸収特性より求めた各物質の濃度データを用い、さらに各励起波長による蛍光が最も良くフィッティングするように各物質の濃度比を統計的手段を用いて算定することにより、微量ガス成分に対しても正確な濃度測定が行える。
【0054】
第6実施形態(図10、11)]
図10は本発明の第6実施形態を説明するためのシステム構成図であり、図11は作用説明図である。
【0055】
本実施形態のガス成分濃度測定方法は概略的に、蛍光発生用の励起光により生ずるラマン散乱光の波長に対する強度を測定し、予め比較的高濃度で含まれることが予想される計測対象以外の物質に関してその物質の濃度を定量化し、当該物質により発生する蛍光成分の強度を該濃度を基に算出し、この蛍光強度の算出値を計測値から差し引くことにより、計測対象となるガス成分の蛍光強度を抽出してその濃度を前記各実施形態と同様の統計演算によって求めるものである。
【0056】
即ち、図10に示すように、本実施形態では、第1実施形態の構成に加えて、励起光L1,L2が試料セル1に入射した際に試料セル1に含まれる物質によりその物質特有のラマンシフトを受けたラマン散乱光L6を集光するラマン散乱光集光用光学系16と、この光学系16で計測したラマン散乱光L6を分光して波長および強度を計測するラマン光計測手段17(ラマン光測定用分光器17aおよびラマン光測定用受光器17b)とを備えている。
【0057】
そして、ラマン散乱光集光用光学系16およびラマン光計測手段17により、励起光L1,L2が試料セル1に入射した際に試料セル1に含まれる物質特有のラマンシフトを受けたラマン散乱光L6の波長および強度が計測される。信号処理装置6には、ラマン光強度を基に試料セル1内に含まれている物質による吸収量から特定物質の存在濃度を算出する濃度解析手段と、蛍光Laの分光および計測結果を解析する計測結果解析手段とが含まれている。
【0058】
計測時には図11に示すように、励起光源2a,2bからの励起光L1,L2により励起された試料セル1から蛍光La以外にラマン散乱光L6が発生する。このラマン散乱光L6の成分がラマン散乱光測定用分光器17aおよび検出器17bで計測される。ラマン散乱光L6のスペクトル波形および強度は、その基になる物質の種類、濃度により異なるので、信号処理系装置6を用い、存在が予期される計測対象以外の物質の成分濃度を算出することができる。
【0059】
一方、励起光L1,L2に基づく蛍光スペクトルは図2に示したように求められる。そこで、ラマン光強度解析により求めた計測対象以外の物質の濃度を基に、それらの物質により出現する蛍光強度、波形を算出し、測定スペクトルから差し引くことにより、微量成分からの蛍光発光が主体となる残部スペクトル波形を得て、信号処理系装置6を用いてこの残部スペクトルに統計的処理を行い、計測対象となるガス成分の存在濃度を算出することができる。
【0060】
即ち、本実施形態においては、測定されるラマン散乱光L6の特性が、試料に含まれている物質により生ずる各々のラマン散乱光L6の総和と考えられることから、測定されたラマン散乱光L6に一致するように試料中に存在すると予測される各物質の濃度比を統計的手法により導くものである。
【0061】
このような本実施形態によれば、前記実施形態と同様に、得られた複数の蛍光スペクトルをそれぞれ試料に含まれていると推定される物質により生ずる蛍光成分にデコンボリューションする場合において、ラマン散乱特性から求めた各物質の濃度データを用い、さらに各励起波長による蛍光が最も良くフィッティングするように各物質の濃度比を統計的手段を用いて算定することにより、微量ガス成分に対しても正確な濃度測定が行える。
【0062】
第7実施形態(図12)]
図12は本発明の第7実施形態を説明するためのシステム構成図である。
【0063】
本発明のガス成分濃度測定方法は概略的に、上記蛍光発生用の励起光とは異なる波長のラマン励起光を測定場に照射しラマン散乱光の波長に対する強度を測定し、予め比較的高濃度で含まれることが予想される計測対象以外の物質に関してその物質の濃度を定量化し、当該物質により発生する蛍光成分の強度をラマン光強度から求められた該濃度を基に算出し、この蛍光強度の算出値を計測値から差し引くことにより、計測対象となるガス成分の蛍光強度を抽出してその濃度を前記各実施形態と同様の統計演算によって求めるものである。
【0064】
即ち、図12に示すように、本実施形態では、第1実施形態の構成に加えて、励起光L1,L2とは異なる波長のラマン励起光L7を発するラマン光励起光源18と、このラマン励起光L7を試料セル1に入射するラマン光励起入射光学系19と、ラマン励起光L7が試料セル1に入射する直前に、そのラマン励起光L7の一部をビームスプリッタ20で抽出して入射光強度を測定する入射光強度測定手段としての入射光強度モニタ21と、ラマン励起光L7を試料セル1に入射することにより生じた誘導ラマン光L8を測定する誘導ラマン光測定手段22(誘導ラマン光測定用分光器22a、誘導ラマン光測定用受光器22b)とを備えている。
【0065】
そして、信号処理手段6には、計測された誘導ラマン光強度に基づいて試料セル1内に含まれている物質による吸収量から特定物質の存在濃度を算出する濃度解析手段と、蛍光Laの分光および計測結果を解析する計測結果解析手段とが含まれている。
【0066】
計測時には図12に示すように、ラマン励起光L7により励起された試料セル1から誘導ラマン光L8が発生する。この誘導ラマン光L8が分光器22aおよび受光器22bにより計測される。誘導ラマン光L8のスペクトル波形、強度はその基になる物質の種、濃度により異なるので、信号処理装置6を用いて存在が予期される計測対象以外の物質の濃度を算出することができる。
【0067】
一方、励起光L1,L2に基づく蛍光スペクトルは図2に示したように求められる。そこで、ラマン光強度解析により求めた計測対象以外の物質の濃度を基に、それらの物質により出現する蛍光強度、波形を算出し、測定スペクトルから差し引くことにより、微量成分からの蛍光発光が主休となる残部スペクトル波形を得て、信号処理装置6を用いてこの残部スペクトルに統計的処理を行い、計測対象となるガス成分の存在濃度を算出することができる。
【0068】
即ち、本実施形態では、前記第1実施形態と同様に、試料セル1に異なった波長の励起光L1,L2を照射するとともに、蛍光励起光とは別の波長のコヒーレント光を試料セル1に入射することによって生じた誘導ラマン光L8の強度を測定し、これらの誘導ラマン光L8が試料セル1に含まれている物質により異なった波長を持つことに基づいて、測定された誘導ラマン光L8のスペクトル成分に一致するように試料中に存在すると予測される各物質の濃度比を統計的手法により導くものである。
【0069】
これにより、本実施形態によっても、前記実施形態と同様に、得られた複数の蛍光スペクトルをそれぞれ試料に含まれていると推定される物質により生ずる蛍光成分にデコンポリューションする場合において、誘導ラマン光特性より求めた各物質の濃度データーを用い、さらに各励起波長による蛍光が最も良くフィッティングするように各物質の濃度比を統計的手段を用いて算定することにより、微量ガス成分に対しても正確な濃度測定が行える。
【0070】
第8実施形態(図13)]
図13は本発明の第8実施形態を説明するためのシステム構成図である。
【0071】
本実施形態は第1,3,6実施形態における励起光源2の変形例についてのものである。即ち、本実施形態のガス成分濃度計測装置では、図13に示すように、励起光源2を可視領域ないし赤外領域で発振するレーザ2dとし、このレーザ2dから発振されるレーザ光L9の基本波の波長および計測対象となるガス成分の吸収領域によって選ばれる次数の高調波を作る複数の非線型光学素子(結晶)23,24,25と、これらの非線型光学素子23,24,25で作られる各高調波を選択的に試料セル1に照射する光スイッチ26とを備えている。そして、例えば第1の励起光としてレーザ光L9の第2もしくは第3高調波を用い、第2の励起光としてそのレーザ光L9の第3もしくは第4高調波を用いるようにしている。なお、他の構成については、第1,3,6実施形態と略同様である。
【0072】
このように、本実施形態においては、光源として前記第1,3,6実施形態で用いる複数の光源に代えて1台のレーザ2dから各発振されるレーザ光L9を使用し、光スイッチ26で切り替えられる各非線型素子23,24,25により、レーザ光L9の基本波の1/2の波長の光(第2高調波)、1/3の波長の光(第3高調波)、あるいは1/4の波長の光(第4高調波)を発生させ、これらを第1または第2の励起光(波長λ1,λ2)として用いるものである。
【0073】
したがって、本実施形態によれば、前記各実施形態と同様の作用効果に加え、光源が単純になることと同時に、各波長の光がほぼ同一光路上に位置するため、入射光学系を単純にすることができる等の利点が得られる。
【0074】
なお、本実施形態において、励起光源である可視領域ないし赤外領域で発振するレーザー2dとしては、例えばNd/YAGレーザが好適である。
【0075】
第9実施形態(図14)]
図14は本発明の第9実施形態を説明するためのシステム構成図である。
【0076】
本実施形態は第4,第5,第7実施形態における励起光源および吸収もしくはラマン光源の変形例についてのものである。即ち、本実施形態のガス成分濃度計測装置では、図14に示すように、励起光源2を可視領域(特に近赤外領域)ないし赤外領域で発振するレーザ2dとし、このレーザ2dから発振されるレーザ光の基本波の波長および計測対象となるガス成分の吸収領域によって選ばれる次数の高調波を作る複数の非線型光学素子(結晶)23,24,25と、これらの非線型光学素子23,24,25で作られる各高調波を選択的に試料セル1に照射する光スイッチ26とを備えている。また、本実施形態では、吸収もしくはラマン光源として、レーザ2dから発振されるレーザ光L9の基本波L10を抽出する光スイッチ27と、抽出した基本波L10を試料セル1に照射する基本波照射光学系28とにより構成してある。そして、例えば第1,第2の励起光として第9実施形態と同様のレーザ光L9の高調波を用い、吸収光もしくはラマン励起光として、そのレーザ光の基本波L10を用いるようにしている。なお、他の構成については、第5,第6,第8実施形態と略同様である。
【0077】
このように、本実施形態においては、光源として前記第4,5実施形態で用いる複数の光源に代えて1台のレーザ2dから発振されるレーザ光L9を使用し、光スイッチ26で切り替えられる各非線型素子23,24,25により、レーザ光L9の基本波の1/2の波長の光(第2高調波)、1/3の波長の光(第3高調波)、あるいは1/4の波長の光(第4高調波)を発生させ、これらを第1、第2の励起光として用いるとともに、さらに吸収もしくはラマン励起光として基本波L10を用いることにより、比較的大強度の光励起を可能とし、高効率に誘導ラマン光を得ることができるものである。
【0078】
したがって、本実施形態によれば、前記各実施形態と同様の作用効果に加え、励起光源および吸収もしくはラマン光源の単一化により、さらに光源の構成が単純になることと同時に、各波長の光がほぼ同一光路上に位置するため、入射光学系を単純にすることができる等の利点が得られる。
【0079】
なお、本実施形態においても、励起光源および吸収もしくはラマン光源としての可視(近赤外)領域ないし赤外領域で発振するレーザー2dとしては、例えばNd/YAGレーザが好適である。
【0080】
【発明の効果】
本発明は以上で詳述したように、同一試料内に共存する妨害物質からの蛍光を、多波長の励起光の使用によって取り除き、多成分系に存在する微量物質の測定感度を向上させることができ、また、試料の吸収特性を基に多成分試料中の中ないし高濃度物質の濃度を選出することにより、これらの物質からの蛍光を測定信号から取り除くことができ、多成分系に存在する微量物質の測定感度を向上させることができる。さらに、試料のラマン光発光特性を基に、多成分試料中の中ないし高濃度物質の濃度を選出することにより、これらの物質からの蛍光を測定信号から取り除くことができ、多成分系に存在する微量ガス成分の測定感度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態によるガス成分濃度測定装置の構成を示す説明図。
【図2】 (a),(b),(c)は前記実施形態により得られた蛍光スペクトルのデコンボリューション例を示す説明図。
【図3】 (a),(b)は参考例により得られた蛍光波形の緩和時間に対するデコンボリューション例を示す説明図。
【図4】 本発明の第2実施形態によるガス成分濃度測定装置の構成を示す説明図。
【図5】 本発明の第3実施形態によるガス成分濃度測定装置の構成を示す説明図。
【図6】 (a),(b),(c)は前記実施形態によるガス成分濃度測定法において、吸収係数をもとに蛍光波形をデコンボリューションする例を示す説明図。
【図7】 本発明の第4実施形態によるガス成分濃度測定装置の構成を示す説明図。
【図8】 本発明の第5実施形態によるガス成分濃度測定装置の構成を示す説明図。
【図9】 前記実施形態における吸収スペクトル波形のデコンボリューション例を示す図。
【図10】 本発明の第6実施形態によるガス成分濃度測定装置の構成を示す説明図。
【図11】 前記実施形態による試料セルから放射される光のスペクトル構成を模式的に示す説明図。
【図12】 本発明の第7実施形態によるガス成分濃度測定装置の構成を示す説明図。
【図13】 本発明の第8実施形態によるガス成分濃度測定装置の構成を示す説明図。
【図14】 本発明の第9実施形態によるガス成分濃度測定装置の構成を示す説明図。
【符号の説明】
1 試料セル
2,2a,2b,2c 蛍光励起光源
2d レーザ
3 照射光学系
4 計測光学系
5 蛍光計測手段
5a 蛍光測定用分光器
5b 蛍光測定用受光器
6 信号処理装置(演算手段)
7 部分反射鏡
8,13 入射光強度モニタ
9,14 出射光強度モニタ
10,15 吸収用光源
11 吸収用入射光学系
12 ビームスプリッタ
16 ラマン散乱光用光学系
17 ラマン光計測手段
17a ラマン散乱光測定用分光器
17b ラマン散乱光測定用受光器
18 ラマン光励起光源
19 ラマン光励起光入射光学系
20 ビームスプリッタ
21 入射光強度モニタ
22 誘導ラマン光測定手段
22a 誘導ラマン光測定用分光器
22b 誘導ラマン光測定用受光器
23 第2高調波発生用非線型光学素子
24 第3高調波発生用非線型光学素子
25 第4高調波発生用非線型光学素子
26,27 光スイッチ
28 基本波照射光学系

Claims (8)

  1. 計測対象となるガス成分を含む試料を封入した試料セルと、前記ガス成分が吸収し得る光の波長の中から選ばれた2以上の異なる波長の励起光を発する励起光源と、この励起光源から発した励起光を前記試料セルに導き、その励起光の照射により前記ガス成分を電子的に励起して蛍光を発生させる照射光学系と、前記試料セルから発生した蛍光を一定の方向に導く計測光学系と、この計測光学系によって導かれる蛍光を受け、その蛍光の強度を前記励起光の波長毎に分光して蛍光スペクトルを得る蛍光計測手段と、前記試料中に含まれ前記各波長の領域で蛍光を発する各種物質の蛍光要素スペクトルをデータベースとし、このデータベースに基づいて計測対象以外の物質に起因する蛍光要素スペクトルを収束演算により消去することにより、前記蛍光計測手段で得られた蛍光スペクトル中の計測対象となるガス成分の蛍光要素スペクトルを抽出し、この抽出値に基づいてガス成分濃度を求める演算手段とを備えたことを特徴とするガス成分濃度計測装置。
  2. 請求項1記載のガス成分濃度計測装置において、励起光が試料セルに入射する直前にその一部を抽出して入射光強度を計測する入射光強度計測手段と、前記励起光が前記試料セルを通過した後の出射光強度を計測する出射光強度計測手段と、前記入射光と出射光との強度比に基づいて前記試料セル内に含まれている各種物質による光吸収量を求め、その各種物質の光吸収量から存在濃度を算出する解析手段とを備え、演算手段は前記データベースに代え、または加えて、前記解析手段から得られたデータに基づいて収束演算を行うものであることを特徴とするガス成分濃度計測装置。
  3. 請求項1記載のガス成分濃度計測装置において、前記試料セルに含まれる計測対象以外の物質の吸収波長で、かつ前記励起光とは異なる波長の吸収用の光を発する吸収用光源と、この光源から発した吸収計測用の光を前記試料セルに入射する吸収用入射光学系と、前記吸収用の光が前記試料セルに入射する直前に、その光の一部を抽出して入射光強度を測定する入射光強度測定手段と、前記試料セルを通過した後の出射光強度を測定する出射光強度測定手段と、前記入射光と出射光との強度比に基づいて前記試料セル内に含まれている各種物質による光吸収量を求め、その各種物質の光吸収量から存在濃度を算出する解析手段とを備え、演算手段は前記データベースに代え、または加えて、前記解析手段から得られたデータに基づいて収束計算を行うものであることを特徴とするガス成分濃度計測装置。
  4. 請求項1記載のガス成分濃度計測装置において、前記試料セルに含まれる計測対象以外の各種物質の吸収波長を含む連続スペクトルあるいは複数の波長成分を持つ吸収用の光を発する吸収用光源と、この光源から発した吸収計測用の光を前記試料セルに入射する吸収用入射光学系と、前記吸収用の光が前記試料セルに入射する直前に、その光の一部を抽出して入射光強度を測定する入射光強度測定手段と、前記試料セルを通過した後の出射光強度を測定する出射光強度測定手段と、前記入射光と出射光との強度比に基づいて前記試料セル内に含まれている各種物質による光吸収量を求め、その各種物質の光吸収量から存在濃度を算出する解析手段とを備え、前記解析手段から得られたデータに基づいて収束計算を行うものであることを特徴とするガス成分濃度計測装置。
  5. 請求項1記載のガス成分濃度計測装置において、励起光が前記試料セルに入射した際に前記試料セルに含まれる物質によりその物質特有のラマンシフトを受けたラマン散乱光を集光するラマン散乱光集光用光学系と、この光学系で計測したラマン散乱光を分光して波長および強度を計測するラマン光計測手段と、前記ラマン光強度に基づいて前記試料セル内に含まれている各種物質による光吸収量を求め、その各種物質の光吸収量から存在濃度を算出する解析手段とを備え、演算手段は前記データベースに代え、または加えて、前記解析手段から得られたデータに基づいて収束計算を行うものであることを特徴とするガス成分濃度計測装置。
  6. 請求項1記載のガス成分濃度計測装置において、励起光とは異なる波長の励起光を発するラマン励起光源と、前記ラマン励起光を前記試料セルに入射するラマン励起光入射光学系と、前記ラマン励起光を前記試料セルに入射するすることにより生じた誘導ラマン光を測定するラマン光測定手段と、このラマン光測定手段によって測定された誘導ラマン光強度に基づいて、前記試料セル内に含まれている各種物質による光吸収量を求め、その各種物質の光吸収量から存在濃度を算出する解析手段とを備え、演算手段は前記データベースに代え、または加えて、前記解析手段から得られたデータに基づいて収束計算を行うものであることを特徴とするガス成分濃度計測装置。
  7. 請求項1,2または5記載のガス成分濃度計測装置において、励起光源を可視領域ないし赤外領域で発振するレーザとし、このレーザから発振されるレーザ光の基本波の波長および計測対象となるガス成分の吸収領域によって選ばれる次数の高調波を作る複数の非線型光学素子と、これらの非線型光学素子で作られる各高調波を選択的に試料セルに照射する光スイッチとを備えたことを特徴とするガス成分濃度計測装置。
  8. 請求項3,4または6記載のガス成分濃度計測装置において、励起光源を可視領域ないし赤外領域で発振するレーザとし、このレーザから発振されるレーザ光の基本波の波長および計測対象となるガス成分の吸収領域によつて選ばれる次数の高調波を作る複数の非線型光学素子と、これらの非線型光学素子で作られる各高調波を選択的に試料セルに照射する光スイッチとを備え、かつ吸収もしくはラマン光源を、前記レーザから発振されるレーザ光の基本波を抽出する光スイッチと、抽出した基本波を前記試料セルに照射する基本波照射光学系とにより構成したことを特徴とするガス成分濃度計測装置。
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