JP3651658B2 - 水中ポンプにおける潤滑油の給・排油装置並びにその給・排油方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、水中に設置した水中ポンプにおける潤滑油の給・排油装置並びにその給・排油方法に関し、特に、地上より給油した油が油溜室に適量となるよう調整される潤滑油の給・排油装置、並びにその給・排油方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、一般的な給油作業は、まず、あらかじめ決められた量を給油し、次に、オイルゲージや油検出口で液面の状態を確認しながら規定のレベルになるように調整していた。また、オイルリザーバーと油メカニカルシールとをオイルポンプを有する給油ラインで連結し、油を循環させてメカニカルシールの潤滑と冷却を行う給・排油装置は、例えば、特開平6−50285号の公報に記載してあるように公知である。
【0003】
【発明が解決しょうとする課題】
しかしながら、上記の油を循環させてメカニカルシールの潤滑と冷却を行う給・排油装置は水中に設置した水中ポンプにも適用できるものであるが、水中ポンプに適量の給油を行うためには、陸上に引き上げなくてはならず、水中に設置したまま交換機等で給油する場合において、あらかじめ決められた量を給油した時、交換機と水中ポンプの間の給油ホース等にオイルが付着して実際の給油量が少なくなっていた。また、水中ポンプの油溜室が鋳物等の製品の形状に比較的バラツキがある場合、あらかじめ決められた給油量はそのポンプの適量でない場合がある。この発明は、水中に設置したポンプの油溜室に自動的に適量の給油が行える給・排油装置とその給・排油方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
この発明の要旨とするところは、水中ポンプの軸封部の油溜室に廃油タンクと給油タンクを接続して、潤滑油を油溜室に給油させるポンプにおいて、水中ポンプの油溜室の底部に設けた給排管を給排回路に接続し、この給排回路を廃油タンクと給油タンクに切替自在に接続させ、油溜室の適量液位に開口した溢流管を廃油タンクに連通させて、この廃油タンクに真空ポンプを接続すると共に、油溜室の上部の吸気管に大気に開閉自在とした吸気回路を連結し、更に、廃油タンクと給油タンクにそれぞれ設定した油容量の検知装置を設けたものである。そして、この潤滑油の給・排油装置を実施するための給・排油方法が、廃油タンクを真空ポンプで減圧し、水中ポンプの油溜室の排油を給排回路から真空吸引して廃油タンクに排出させ、廃油タンクの所定の流入廃油量を検知した後、油溜室の給排管に接続した給排回路を給油タンクに切替えて、廃油タンクに連通した溢流管から油溜室を真空吸引させながら、給油タンクから適正量より多い油を油溜室に吸引し、給油タンクの所定の排出油量を検知して給油を停止させ、次に、油溜室の上部を大気に解放して、油溜室に給油された余剰油を溢流管から廃油タンクに真空吸引させ、廃油タンクに吸引した余剰油を検知して真空ポンプを停止させて、水中ポンプの油溜室の油量を適正液量とするものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
この発明に係る水中ポンプにおける潤滑油の給・排油装置並びにその給・排油方法は上記のように構成してあり、廃油タンクを真空ポンプで減圧して、水中ポンプの油溜室の廃油を給排回路から真空吸引して廃油タンクに排出させ、油溜室の総油量を抜出した後、所定時間後に油溜室の給排口に接続した給排回路を切替えて、油溜室の溢流口から真空吸引させながら、空になった油溜室に給油タンクから所定の適正量より多い油を吸引させ、次に、油溜室の上部を大気に解放し、油溜室に給油された余剰油を溢流口から廃油タンクに真空吸引して、水中ポンプの油溜室の油量を適正液量とするものである。
【0006】
【実施例】
この発明を実施例に基づき詳述すると、まず、図1において、符号1は水中ポンプであって、水中モーター2の駆動軸3がケーシングボス4に設けたメカニカルシール5で保持され、この駆動軸3の下端に羽根車6が止着してある。羽根車6の周部にはガイドケーシング7が配設してあり、羽根車6の後方の案内羽根8がケーシングボス4とガイドケーシング7にその内外端が連結されており、水中モーター2は、その下端がケーシングボス4の上部に連結されて支持してある。そして、吸込ケーシング9から吸引した水をガイドケーシング7の羽根車6で加圧し、中間ケーシング10とモーターフレーム11の間を上昇して、吐出ケーシング12から噴出させた加圧水を地上等へ揚水するようにしてある。符号13は水中モーター2の電源ケーブル、符号14は吸込ケーシング9の吸込口に設けたストレーナースタンドである。ケーシングボス4の内部には油溜室15が設けてあり、図2に示すように、駆動軸3のメカニカルシール5の外周部に油溜室15が設けてある。油溜室15には、その底部に給排管16と、油溜室15の適量液位に開口した溢流管17と、油溜室15の上部に吸気管18とが連結してある。
【0007】
次に、水中ポンプ1の油溜室15に接続する潤滑油の給・排油装置について、図2及び図3に基づき詳述すると、水中ポンプ1の油溜室15の底部に連結した給排管16がガイドケーシング7を貫通して給排回路19に接続してあり、この給排回路19は電磁弁V1を介して廃油タンク20の上部に開口してある。給排回路19に設けた電磁弁V1の前段の油溜室15側には、給排回路19を分岐させ、電磁弁V2を介して給油タンク21の槽底近くに開口してある。また、電磁弁V1と分岐させて電磁弁V2を設けた間の給排回路19には、大気に解放させる電磁弁V3が設けてある。油溜室15の貯溜油の適量液位に開口した溢流管17の他端は、ガイドケーシング7の外周部で溢流回路22に連結してあり、この溢流回路22は電磁弁V4を介して廃油タン20に連通させてある。そして、油溜室15の上部に設けた吸気管18がガイドケーシング7を貫通して吸気回路23に連結してあり、油溜室15を大気に開放できるように吸気回路23には電磁弁V5が設けてある。
【0008】
符号24は廃油タンク20を収納した密閉状の真空タンクであって、この真空タンク24に真空ポンプ25が接続してあり、給排回路19の電磁弁V1または、溢流回路22の電磁弁V4を開けば、真空ポンプ25で廃油タンク20を真空吸引して水中ポンプ1の油溜室15を減圧できるようにしてある。符号26は真空タンク24を吊設したホルダーであって、廃油タンク20の廃油の容量が計測できるようにロードセル27が設けてある。そして、水中ポンプ1の油溜室15の総貯溜油と、油溜室15の溢流管17から抜出す余剰油量を検知するようにしてある。また、給油タンク21もホルダー28で吊設されており、給油タンク21の油の容量が計測できるようにロードセル29が設けてあり、油溜室15への設定給油量を検知するようにしてある。ロードセル27、29の検知信号をコントローラー30に送信し、電磁弁V1乃至V5の開閉をコントローラー30で行うようにしてある。なお、コントローラー30に接続した操作部31で、運転開始の操作と、作動状況のモニターと、油量の設定を行うようにしてある。
【0009】
この発明の水中ポンプにおける潤滑油の給・排油装置は上記のように構成してあり、この給・排油装置を操作するための給・排油方法が、図3において、水中ポンプ1の油溜室15の油を排出するために、操作部31でコントローラー30を操作して、先ず、電磁弁V1を開き水中ポンプ1の油溜室15の槽底部を廃油タンク20に連通させ、同時に、電磁弁V5を開いて油溜室15の上部を大気に解放させ、油溜室15の廃油の表面を大気圧で加圧する。次に、電磁弁V2、V3、V4を閉じて他の回路を遮断して、油溜室15からの廃油の排出準備が完了する。次に、真空ポンプ25を運転して廃油タンク20を減圧させ、給排回路19から真空吸引して油溜室15の廃油の全量を廃油タンク20に吸引され、廃油タンク20を吊設しているロードセル27で検知され、所定時間後に排油終了とみなして真空ポンプ25を停止させる。総ての電磁弁V1〜V5を解放して、油溜室15の廃油の排出を完了する。
【0010】
次に、水中ポンプ1の油溜室15に新しい油を給油するために、先ず、操作部31でコントローラー30を操作して、電磁弁V2、V4を解放し、水中ポンプの油溜室15の底部を給油タンク21に連通させ、油溜室15の適量液位に廃油タン20を連通させ、同時に電磁弁V1、V3、V5を閉じて大気から遮断する。そして、真空ポンプ25を運転して廃油タンク20を減圧すると、溢流管17から真空吸引された油溜室15に、給油タンク21から新しい油が吸引されて流下する。給油タンク21を吊設しているロードセル29で排出させた最適の油量が検知され、所定時間後に給油終了とみなし、電磁弁V2を閉じて給油タンク21からの油の供給を中止する。同時に、給排回路19を大気に解放する電磁弁V3を開き、給排回路19の油を油溜室15に流下させる。次に、吸気回路23の電磁弁V5が解放され、油溜室15の油面上を大気圧にして、油溜室15の余剰の油を溢流管17から給油タンク21に真空吸引されて排出させ、廃油タンク20に流入した廃油の量が予め設定した余剰油量となった時、ロードセル27で検知され、所定時間後に排油終了とみなして真空ポンプ25を停止させる。総ての電磁弁V1〜V5を解放して、水中ポンプへの給油を完了する。
【0011】
【発明の効果】
この発明は、上記のように構成してあり、適量以上の給油を行って余分な油を排出し、水中ポンプの油溜室に最適な油量を給油することができるものである。即ち、従来の水中ポンプに適量の給油を行うためには、陸上に引き上げなくてはならず、また、水中に設置したまま交換機等で給油する場合においては、あらかじめ決められた給油量は、給油経路や油溜室の形状により、そのポンプの適量でない場合があったものであるが、この発明にあっては、水中ポンプの油溜室に連結した底部近傍の給排管と適量液位の溢流管を、それぞれ電磁弁を介して真空吸引させる廃油タンクと給油タンクに連通させ、油溜室の上部を大気に解放可能とし、廃油タンクと給油タンクの設定油量を検知して電磁弁を操作するようにしたので、水中ポンプのメカニカルシールに最適油量の潤滑油を陸上から自動的に給油できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る給・排油装置に用いる水中ポンプの縦断側面図である。
【図2】水中ポンプの要部油溜室の縦断側面図である。
【図3】この発明に係る水中ポンプにおける潤滑油の給・排油装置のフローチャートである。
【符号の説明】
1 水中ポンプ
15 油溜室
16 給排管
17 溢流管
18 吸気管
19 給排回路
20 廃油タンク
21 給油タンク
23 吸気回路
25 真空ポンプ
27、29 ロードセル
Claims (2)
- 水中ポンプ(1)の軸封部の油溜室(15)に廃油タンク(20)と給油タンク(21)を接続して、潤滑油を油溜室(15)に給油させるポンプにおいて、水中ポンプ(1)の油溜室(15)の底部に設けた給排管(16)を給排回路(19)に接続し、この給排回路(19)を廃油タンク(20)と給油タンク(21)に切替自在に接続させ、油溜室(15)の適量液位に開口した溢流管(17)を廃油タンク(20)に連通させて、この廃油タンク(20)に真空ポンプ(25)を接続すると共に、油溜室(15)の上部の吸気管(18)に大気に開閉自在とした吸気回路(23)を連結し、更に、廃油タンク(20)と給油タンク(21)にそれぞれ設定した油容量の検知装置(27、29)を設けたことを特徴とする水中ポンプにおける潤滑油の給・排油装置。
- 請求項1記載の潤滑油の給・排油装置において、廃油タンク(20)を真空ポンプ(25)で減圧し、水中ポンプ(1)の油溜室(15)の排油を給排回路(19)から真空吸引して廃油タンク(20)に排出させ、廃油タンク(20)の所定の流入廃油量を検知した後、油溜室(15)の給排管(16)に接続した給排回路(19)を給油タンク(21)に切替えて、廃油タンク(20)に連通した溢流管(17)から油溜室(15)を真空吸引させながら、給油タンク(21)から適正量より多い油を油溜室(15)に吸引し、給油タンク(21)の所定の排出油量を検知して給油を停止させ、次に、油溜室(15)の上部を大気に解放して、油溜室(15)に給油された余剰油を溢流管(17)から廃油タンク(20)に真空吸引させ、廃油タンク(20)に吸引した余剰油を検知して真空ポンプ(25)を停止させて、水中ポンプ(1)の油溜室(15)の油量を適正液量とすることを特徴とする水中ポンプにおける潤滑油の給・排油方法。
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