JP3651535B2 - 金属蒸気放電灯 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光化学反応用光源に関し、主として製版焼付用装置に使用される金属蒸気放電灯の発光管の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
光化学用光源はあらゆる産業分野で使用されている。例えば、印刷分野では感光性インキや樹脂を印刷物に塗布し、これに紫外線あるいは短波長の可視光線を照射するにより、インキや樹脂の化学反応を起こし、乾燥、硬化させることができる。また、ポジフィルムを利用して、光の照射、未照射部を作り、感光剤にパターンを形成することにより版を製作する殖版機といわれる製版焼付装置が市販されている。
この殖版機用光源として、水冷式超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプなど様々な光源が使用されているが、その中でも光化学反応に有効な波長の光の放射効率が良好なメタルハライドランプが多用されている。
【0003】
光化学反応においては、感光剤の感度にあった波長の光を照射することが効率の点から重要である。殖版機に用いられる被照射物には、感光性樹脂版と呼ばれるアルミニウムの薄板にジアゾ系の感光剤が塗布されたものが用いられている。この種の感光剤は350nm〜450nmの波長の光を吸収して光化学反応を起こすので、殖版機用メタルハライドランプには発光金属としてガリウムが封入され、350nm〜450nmの光を効率良く放射するようになっている。
【0004】
しかし、ガリウムは発光管の封着部材であるモリブデンを侵す性質を有する。発光管内部を気密にするために発光管両端の封着部に使用されるモリブデン箔とガリウムとが反応すると、モリブデンとガリウムとの合金が生成し、モリブデン箔を脆くし機械的強度を低下させる。このため、ランプの点灯、消灯時における電極の熱膨張によって、モリブデン箔が断裂したり、ランプが不点になったり、断裂部でアーク放電が生じ急激な発熱により封着部がクラックし、終には発光管がリークしたりする。
このように、ガリウムを添加したランプは寿命が短いといった問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、前記モリブデン箔のガリウムによる浸食作用について、種々検討したところ、前記作用は次のようにして発生することが判明した。
一般に、メタルハライドランプは、特公昭42−28228号公報に開示されているように、発光管内の遊離ヨウ素の発生を抑制するために金属をヨウ素よりも過剰に封入することがよく知られている。
【0006】
本発明に係るランプも前記と同様な設計がなされているが、発光管内に添加した余剰のガリウムは放電灯の点灯時にランプの最冷部である発光管内端部の底部にたまり、次に封着部の電極芯棒と石英ガラスの隙間を通って、封着の際電極とモリブデン箔の接続部の周囲に生じた隙間にたまる。
なお、ガリウムは約29℃以上で液体になるので、前記隙間のうち、特に電極とモリブデンの接続部付近や石英ガラスとモリブデン箔の封着部付近といった狭い個所に表面張力によってたまってゆくという性質がある。
【0007】
こうした個所にガリウムがたまっていくにつれて、ランプの点灯中、約400℃に達する接続部付近では、ガリウムのモリブデン箔への浸食プロセスは以下のように進行する。
すなわち、純粋なモリブデン箔は、製造の際焼結されるので、モリブデン箔の微細な結晶粒の境界に粒界が存在する。そして、ガリウムがモリブデンに接触すると、ガリウムはモリブデンの粒界に侵入する。次に、モリブデンの結晶粒をその周囲から溶解してゆく。このため、モリブデン箔は次第にガリウムに溶解していきガリウム−モリブデンの合金となってしまう。
この合金は機械的強度が弱いため、ランプの点灯・消灯に伴なう電極の熱膨張による応力を受けて電気的結合が切断されてしまう。そして、電極に電気エネルギーが供給されなくなり、放電が維持できずに不点となったり、断裂部にアーク放電が発生し、急激な発熱により封着部がクラックし、終には発光管がリークしたりする。
【0008】
本発明は前記の問題点を解決するためになされたもので、発光管添加物であるガリウムによるモリブデン箔の浸食を抑制してランプの寿命特性を改善し、かつランプ特性が優れた光化学用光源として最適な金属蒸気放電灯を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明は、石英ガラス製の発光管の両端に封着部を形成し該封着部にモリブデン箔を介して接続した電極と外部導入線とを埋設し、該発光管の内部に水銀、希ガス、ハロゲンと共にガリウムを封入してなり、前記モリブデン箔に酸化イットリウムをドープすることを特徴とする。
ここで、ドープするとはモリブデン箔に酸化イットリウムを化学的に添加することをいう。
【0010】
本発明のように、モリブデンに酸化イットリウムをドープして製造したモリブデン箔を用いることにより、ガリウムとモリブデンとの反応が生じないようにすることができる。
すなわち、酸化イットリウムをドープしたモリブデン箔はモリブデンの結晶粒の粒界に酸化イットリウムが存在する。なお、酸化イットリウムは製造の際の圧粉・焼結工程で高温高圧をかけられることにより、粒界に浸透する。このため、ガリウムが接触しても粒界に侵入できないのでモリブデンの溶解が起こりにくい。又、表面相の結晶粒が侵されたとしても、深層の結晶粒は酸化イットリウムに保護されているので腐食が進行しにくい。
更に、酸化イットリウムはガリウムに対して耐蝕性が極めて強く、粒界に存在する酸化イットリウムは腐蝕されることはない。
従って、前記したランプの不点やクラックという問題が生じず、諸特性が安定した長寿命の金属蒸気放電灯を得ることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面に基づき説明する。
図1は本発明に係る金属蒸気放電灯の一実施例を示す側面図であり、図2は要部拡大図である。
本発明に係る金属蒸気放電灯は、石英ガラス製の発光管1の両端に封着部2を形成し該封着部2にモリブデン箔3が埋設され、該モリブデン箔3の一端にタングステン等の高融点金属からなる電極4が接続され、かつ他端に外部導入線5が接続されている。又、発光管1内には水銀と希ガスと共にハロゲンとガリウムが封入されている。
そして、発光管の外部から電力が供給されると両端の電極間で放電が発生し、水銀およびガリウムのハロゲン化物の蒸気が電子によって励起し、主に350nm〜450nmの光を放射するようになっている。
【0012】
図2は発光管の電極部及び封着部付近の拡大図である。
発光管内に添加物を封入する前に、電極芯棒4aとモリブデン箔3及び外部導入線5とよりなる電極マウントは石英ガラスを溶かして外圧をかけることにより、封着されるが、溶融した石英ガラスの粘性のため接続部付近には図示するように、空隙6が形成されている。
その後、発光管は真空排気装置に接続して管内のガスを排気した後、添加物と所定の圧力の希ガスが封入される。
【0013】
次に、発光管及び電極マウントの具体的な構造について説明する。
発光管の寸法は内径19mm、電極間距離232mmであり、管内に100mgの水銀と18mgのヨウ化水銀及び5mgのガリウムと共に40,000Paのキセノンガスが封入されている。
電極は直径2mmのトリエーテッドタングステン製の電極心棒に直径0.8mmのタングステンワイヤーが巻き付けられている。
モリブデン箔は幅5mm、長さ20mm、厚さ35マイクロメートルのほぼ長方形で、端部がナイフエッジ加工されたガラス封着用の箔である。
【0014】
ここで、酸化イットリウムをドープしたモリブデン箔の製造方法を説明する。まず、選鉱した鉱石(MoS2 、PbMoO4 )を500〜600℃で培焼して酸化モリブデンとして、これを水素炉中で1000〜1100℃で還元して金属モリブデンを得る。
次に、モリブデン粉末を均一な粒径とし、あらかじめ用意した酸化イットリウムの粉末を重量比で0.5%加えてよく混合し、圧縮成形して板状にする。
この後、2000〜2200℃の水素炉中で焼結する。焼結後の板を圧延して、35ミクロンの箔を製作する。
これを5mm幅にカットしてリボン状とし、両側の縁をエッチング処理して石英ガラス封着用のモリブデン箔が得られる。
【0015】
そして、発光管製造の際、一端に電極芯棒を接続したモリブデン箔の他端には直径2mmのタングステン製の外部導入線が接続される。この両端の外部導入線には電気的に電力を供給するための安定器が接続され、ランプの安定点灯時には、ランプ電力6kW、ランプ電圧400V、ランプ電流16Aで点灯する。
【0016】
そして、放電灯を点灯すると、封入している水銀やガリウムはハロゲン化物の蒸気となり放電プラズマ中で解離し、励起して水銀やガリウム固有のスペクトルの光を放射する。一方、余剰の添加物は発光管の最冷部に溜り、次第に電極芯棒とモリブデン箔との接続部付近の空隙に溜まるが、モリブデン箔に酸化イットリウムがドープされているので、ガリウムはモリブデン箔と反応しない。このため、ランプの不点やクラックといった不具合は生じない。
これにより、寿命期間を通して良好な紫外線放射強度を維持できる。
【0017】
一般に、製版用光源の場合、1回の点灯(焼き付けに要する時間)が20秒から30秒で、消灯が約40秒のサイクルによる繰り返し点灯という点滅頻度の高い条件で使用される。
本発明に係る放電灯の寿命特性を確認するために、酸化イットリウムをドープしたモリブデン箔を使用した改善品と、酸化イットリウムをドープしないモリブデン箔を使用した従来品とをそれぞれ10本試作し、20秒点灯、30秒消灯のサイクルによる点灯試験を行なったが、その残存率特性を図3に示す。
なお、図3は点滅回数に対するランプの残存率で寿命特性を測定している。
ここで、残存率は(試験本数−クラック、不点の発生した本数)/試験本数×100)で表わす。
図中、実線は本発明に関わる放電灯の残存率曲線、破線は従来の放電灯の残存率曲線を示す。
図3から明らかなように、本発明に係る放電灯は点滅回数1000×103 回(約5,000時間)でも発光管のクラックあるいはランプ不点が発生した放電灯は認められなかった。
【0018】
【発明の効果】
以上、実施例に基づいて説明したように、本発明は、発光管の封着部に用いるモリブデン箔に酸化イットリウムをドープしたので、添加物としてのガリウムとモリブデンとの反応が生じず、発光管封着部のモリブデン箔の断線や石英ガラスのクラックが発生することがなく、紫外線放射特性が優れかつ安定した寿命特性を有する金属蒸気放電灯が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である金属蒸気放電灯の発光管を示す側面図である。
【図2】同じく、要部拡大図である。
【図3】本発明に係る放電灯と、従来の放電灯の点滅の繰り返しに伴なう残存率の変化を示す特性図である。
【符号の説明】
1 発光管
2 封着部
3 モリブデン箔
4 電極
4a 電極芯棒
5 外部導入線
6 空隙
Claims (1)
- 石英ガラス製の発光管の両端に封着部を形成し、該封着部にモリブデン箔を介して接続した電極と外部導入線とを埋設し、該発光管の内部に水銀、希ガス、ハロゲンと共にガリウムを封入してなる金属蒸気放電灯において、前記モリブデン箔に酸化イットリウムをドープすることを特徴とする金属蒸気放電灯。
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JP12470697A JP3651535B2 (ja) | 1997-04-30 | 1997-04-30 | 金属蒸気放電灯 |
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JPH10302722A JPH10302722A (ja) | 1998-11-13 |
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JP12470697A Expired - Fee Related JP3651535B2 (ja) | 1997-04-30 | 1997-04-30 | 金属蒸気放電灯 |
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JP (1) | JP3651535B2 (ja) |
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1997
- 1997-04-30 JP JP12470697A patent/JP3651535B2/ja not_active Expired - Fee Related
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