JP3651313B2 - 真空誘導溶解炉を使用した回転急冷鋳造装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、真空誘導溶解炉で溶解した金属の溶湯を、急冷ロールに連れ回して回転させながら冷却させ、凝固鋳片として排出するための回転急冷鋳造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
回転急冷鋳造装置は、真空、或いはアルゴン、窒素等の不活性ガス雰囲気に保持された真空誘導溶解炉で金属を溶解し、その溶湯を、急冷ロールに連れ回して回転させながら冷却し、凝固鋳片として排出するための装置である。本発明に係る回転急冷鋳造装置では、急冷ロールとして水冷ロールを使用している。この水冷ロールは、金属より成る外周面を内側から冷却することによって、該外周面に接触する溶湯を間接水冷する構成のものである。図1ないし図3に示されるように、真空誘導溶解炉Bを構成する炉体1のるつぼ1aで溶解された溶湯Wは、該炉体1全体が傾動されることによってタンディッシュT内に連続的に注湯されて貯留される。このタンディッシュTの端部に設けられた溶湯流出口16は、僅かな隙間eを介して水冷ロール2の外周面2aに臨んでいて、溶湯Wと水冷ロール2の外周面2aとは常に接している。該水冷ロール2が所定方向に回転すると、前記溶湯Wにおいて水冷ロール2の外周面2aと接触する部分が、該水冷ロール2によってかき上げられ、連れ回されながら冷却され、凝固鋳片Vとなって排出される。
【0003】
ここで、凝固鋳片Vの品質を安定させるためには、タンディッシュTの溶湯Wの貯留量を一定にし、水冷ロール2の外周面2aに連れ回される溶湯Wの量を、常に一定にすることが必要である。ところが、るつぼ1aから供給される溶湯Wは、タンディッシュTの上方から落下する形態で注湯される。このため、溶湯WがタンディッシュTに注湯される際、既に貯留されている溶湯Wの湯面に衝突し、飛沫となって飛散したり、湯面における衝突部分を押し下げたりするため湯面が波立ち、溶湯レベルが不安定となる。このような場合、凝固鋳片Vの品質が不安定になるおそれがある。また、タンディッシュTの溶湯Wの貯留量を一定にするためには、るつぼ1aからの出湯量を一定にする必要がある。定量出湯するためには、炉体1を溶解炉の定量パターン(傾動角と出湯量の関係)で傾動させる。しかし、るつぼ1aの内部にノロ、カス等が付着し、完全なるつぼ1aの形状と異なるため、前記パターンを補正する必要がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記した不具合に鑑み、タンディッシュにおける溶湯レベルが常に一定になるようにすることを課題としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明は、炉体の傾動により溶湯を出湯させる真空誘導溶解炉と、平面視においてL字状に屈曲されていて、該屈曲部よりも僅かに上流側の部分に潜りせき構造のせき板が設けられ、前記溶解炉から出湯された溶湯を一時的に貯留状態にして流出させるためのタンディッシュと、該タンディッシュの一側面に開口した溶湯流出口の外周面が僅かの隙間を有して臨み、しかも、該溶湯流出口から流出された溶湯を連れ回して、その途中で急冷させるための急冷ロールとを備え、これらの設備が真空槽内に配設されて、前記炉体から連続出湯される溶湯を前記タンディッシュを通過させて、前記急冷ロールの外周面に供給して連続鋳造を行う回転急冷鋳造装置であって、前記せき板により二分されたタンディッシュの下流側の溶湯の湯面にグリーンレーザ光を照射させて、該下流側の溶湯レベルを検出するための溶湯レベル検出装置を備え、前記溶湯レベル検出装置の検出値を炉体の傾動装置にフィードバックさせて、その傾動速度を制御することにより、前記炉体からの出湯量を一定に保持することを特徴としている。
【0006】
タンディッシュの内側に、せき板が配置されていて、しかも、該せき板に潜りせきが設けられている。即ち、タンディッシュの内側が二室に分割されていて、しかも、両室が潜りせきによって連通されている。炉体から供給される溶湯がタンディッシュに供給される際に、該溶湯はせき板によって仕切られた上流側に注湯され、潜りせきを介して下流側へと流入する。下流側に貯留された溶湯レベルは、潜りせきから流入する溶湯の量によって基準値内で推移するものの、その湯面は常に安定状態であり、波立つことはない。前記下流側において、急冷ロールの外周面と接する部分は開口状態の溶湯流出口となっていて、該溶湯流出口において急冷ロールと接触する部分の溶湯が、急冷ロールの回転によってかき上げられ、該急冷ロールに連れ回されながら冷却し、凝固鋳片となって排出される。
【0007】
また、タンディッシュが、平面視においてL字状に屈曲していて、しかも、その屈曲部が、前記せき板よりも手前側に位置しているため、溶湯は手前側の屈曲部に衝突して、その流出方向を直角に変更させて流出される。この結果、溶湯に生ずる波立ちは、更に消波される。本発明においては、せき板により二分されたタンディッシュの下流側の溶湯の湯面にグリーンレーザ光を照射して、その溶湯レベルを検出するための溶湯レベル検出装置を備えているので、該装置の検出値を炉体の傾動装置にフィードバックさせて、その傾動速度を制御することができる。せき板により二分されたタンディッシュの下流側における溶湯の湯面は安定状態であるため、溶湯レベルの検出精度が高まる。このため、るつぼからの出湯量を一定に保持することができる。このレーザ光がグリーンレーザ光であるため、溶湯の湯面が赤熱状態を呈していても、溶湯に吸収されることがなく、その反射光を容易に検出することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。図1は本発明に係る真空誘導溶解炉Bを使用した回転急冷鋳造装置Aの側面図、図2は同じく平面図、図3は同じく一部を破断した正面図、図4はタンディッシュTの斜視図、図5は同じく拡大平面図、図6は図5のX−X線断面図である。図1ないし図3に示されるように、本発明に係る回転急冷鋳造装置Aは、傾動可能に配設された炉体1に、誘導加熱により金属を溶解させて出湯を行うためのるつぼ1aが取付けられた真空誘導溶解炉Bと、前記るつぼ1aから出湯された溶湯Wを一時的に貯留するためのタンディッシュTと、前記タンディッシュTから流出された溶湯Wを連れ回して、その途中で急冷させるための水冷ロール2とから構成されている。上記した各設備は、真空槽の内部に設置されている。本実施例の真空槽は、円筒状のベセル3と、その下部に設けられた方形状の処理室4とから成り、該ベセル3及び処理室4は、真空に排気された状態でアルゴン、窒素等が送り込まれていて、不活性ガス雰囲気に保持されている。
【0009】
最初に、真空誘導溶解炉Bについて説明する。図1及び図2に示されるように、真空誘導溶解炉Bを構成する炉体1は耐火物から成るもので、その内部に誘導コイル(図示せず)が設けられている。そして、該誘導コイルを加熱させることにより、るつぼ1aに投入された原料(金属)を溶解させる構成である。るつぼ1aの前部には、溶解された金属(溶湯W)を出湯させるための出湯口1bが設けられている。この炉体1は、傾動装置Cによって傾動可能である。即ち、炉体1の前部には、その幅方向に沿って一対の傾動軸5が突設されている。一対の傾動軸5は、炉体支持フレーム6の上面に設置された各軸受7に支承されており、該炉体1は、前記傾動軸5の軸心CLを中心にして傾動される。
【0010】
前記炉体1の後部(出湯口1bと反対の側)の下部には、鎖8が連結されている。この鎖8は、鎖歯車9に掛装されていて、しかも、その他端部に、前記鎖8に張力を付与するための重り11が取付けられている。この鎖歯車9は、モータMに連結されていて、図示しない制御装置により、その駆動が制御される。このため、モータMを制御させて駆動させることにより、炉体1の傾動速度を調整することができる。
【0011】
前記炉体1の前方には、るつぼ1aから出湯された溶湯Wを、タンディッシュTに注湯するための出湯樋12が配設されている。この出湯樋12の上部は解放されていて、しかも、平面視においてクランク状に屈曲されている。出湯樋12の上流側部分12aは、るつぼ1aの出湯口1bの直下に配置されている。そして、その下流側はいったん屈曲されており、その端部12bで更に前方に屈曲されていると共に、所定の角度で下方に傾斜されている。このように、出湯樋12を、平面視においてクランク状に形成したのは、溶湯Wをいったん出湯樋12の壁面に衝突させることにより、その流出速度を低下させて、スムーズに流出されるようにするためである。出湯樋12の下流側部分12cの直下には、タンディッシュTが配設されている。そして、前記下流側部分12cには、溶湯WをタンディッシュTに落下させるための貫通孔13が、高さ方向に沿って設けられている。図3に示されるように、タンディッシュTの下流側の側方には、該タンディッシュTから供給される溶湯Wを連れ回りさせながら冷却して、凝固鋳片Vとするための水冷ロール2が、僅かな隙間eを有して回転可能に配設されている。図2に示されるように、この水冷ロール2を回転させるための軸心は、炉体1の前後方向に沿って設けられている。
【0012】
次に、タンディッシュTについて説明する。図4ないし図7に示されるように、このタンディッシュTは、長方形状の底板14の周縁部に周壁板15が立設された箱状であり、その上部が開口されている。そして、前記周壁板15において、水冷ロール2の外周面2aと相対向する部分は開口されていて、溶湯Wを流出させるための溶湯流出口16が形成されている。この溶湯流出口16の部分の両側(水冷ロール2のロール厚方向)には、前記周壁板15と水冷ロール2の外周面2aとの間に形成された隙間を埋めて、この部分から溶湯Wが落下しないようにするための一対の落下防止部17が突設されている。一対の落下防止部17において、水冷ロール2の外周面2aと相対向する曲面部分17aの曲率半径は、水冷ロール2の曲率半径よりも僅かに大きい。即ち、水冷ロール2の外周面2aと一対の落下防止部17の曲面部分17aとの間には、僅かな隙間eが設けられている。この隙間eは、水冷ロール2が回転する際に、該水冷ロール2とタンディッシュTが干渉しないようにするためのものであり、当該隙間eから溶湯Wが落下しない寸法(例えば、約0.3mm)に設定されている。
【0013】
そして、本実施例のタンディッシュTの場合、前記溶湯流出口16の近傍には、溶湯Wの流れをせき止める形態(溶湯Wの流出方向Pと直交する形態)でせき板18が取付けられている。このせき板18の高さは、タンディッシュTの周壁板15の高さと同一である。このため、タンディッシュTの内部は、該せき板18によって、出湯樋12から溶湯Wが注湯される注湯室R1 と、溶湯Wを貯留して、水冷ロール2の外周面2aに接触させるための下流側の供給室R2 とに分割されている。更に、せき板18の下端部には、前記注湯室R1 と供給室R2 とを連通させるための潜りせき(連通孔)19が設けられている。このため、両室R1,R2 における溶湯レベル(タンディッシュTにおける溶湯Wの湯面Fの位置)は、ほぼ同一である。
【0014】
図4及び図7に示されるように、前記タンディッシュTの注湯室R1 は、出湯樋12の下流側部分12cに設けられた貫通孔13の直下に配置されている。このため、炉体1から出湯され、前記出湯樋12を流下した溶湯Wは、タンディッシュTの上方から落下する形態で注湯室R1 に注湯される。その際、溶湯WがタンディッシュTの底板14に衝突し、その飛沫を周辺に飛散させる。或いは、注湯される溶湯Wが、予め、貯留されていた溶湯Wにおける落下部分を押し下げることによって、その湯面を波立たせる。しかし、注湯室R1 と供給室R2 との間にせき板18が設けられていて、潜りせき19の部分を除いて両室R1,R2 の間の大部分が遮断されている。このため、注湯室R1 における波立ちが、供給室R2 の溶湯Wに及ぶことはない。注湯室R1 に注湯された溶湯Wは、前記潜りせき19の部分から、供給室R2 における溶湯Wの湯面Fを下方から徐々に押し上げる形態で流出されるため、前記湯面Fは常に安定した状態で推移する。
【0015】
図5に示されるように、本実施例のタンディッシュTは、平面視において略L字状に屈曲されている。そして、その屈曲部(タンディッシュTにおける手前側の周壁板15)は、前記せき板18よりも手前側に位置している。このため、出湯樋12から注湯室R1 に注湯された溶湯Wは、潜りせき19から供給室R2 に流出され、手前側の周壁板15に衝突して、その流出方向Pを直角に変更させて流出される。この結果、供給室R2 の溶湯Wに生ずる波立ちは、更に消波される。
【0016】
次に、前記タンディッシュTの溶湯レベルを検出するための装置について説明する。図3に示されるように、ベセル3の上部には、レーザ光照射部21が取付けられている。このレーザ光照射部21から照射されるレーザ光はグリーンレーザ光であり、タンディッシュTの供給室R2 における溶湯Wの湯面Fに照射される。そして、ベセル3の上部で、前記レーザ光照射部21に対して所定の角度θを成す位置には、溶湯Wの湯面Fで反射されたグリーンレーザ光を検出するための監視カメラ部22が取付けられている。上記したように、本実施例のレーザ光は、グリーンレーザ光である。もし、このレーザ光が通常の赤レーザ光である場合、該レーザ光は赤熱状態の溶湯Wに吸収されてしまい、反射光を検出することは極めて困難である。しかし、グリーンレーザ光は、赤レーザ光よりも比視感度が格段に優れている。このため、赤熱状態の溶湯Wであっても、監視カメラ部22によってその反射光を検出することができる。そして、図8に示されるように、溶湯Wの湯面Fに照射し、三角測量方式で監視カメラ部22から溶湯Wの湯面Fまでの距離を測定する。こうすることによって、溶湯レベルの変化を常に監視することができる。なお、この技術は公知のものである。
【0017】
上記したように、レーザ光照射部21から溶湯Wの湯面Fにグリーンレーザ光を照射し、その反射光を監視カメラ部22によって検出することにより、タンディッシュTの供給室R2 における溶湯レベルが検出される。注湯室R1 の溶湯Wの波立ちが、せき板18により消波されるため、供給室R2 における溶湯Wの湯面Fは安定状態であり、その溶湯レベルの検出が可能である。この検出結果は、炉体1を傾動させるためのモータM(図1参照)にフィードバックされ、その駆動が制御される。即ち、予め、溶湯レベルの上限と下限とを設定しておく。炉体1は、所定の傾動速度をもって連続的に傾動されている。そして、るつぼ1aの出湯口1bにノロ、カス等が付着して、その出湯量が減少し、タンディッシュTの供給室R2 における溶湯レベルが、予め設定された下限よりも少なくなった場合、炉体1の傾動速度を速くして、溶湯Wの出湯量を多くさせる。このようにして、タンディッシュTの供給室R2 における溶湯レベルを、常に一定にすることができる。
【0018】
本発明に係る回転急冷鋳造装置Aの作用について説明する。図7に示されるように、るつぼ1a内で溶解された金属は、炉体1が傾動されることにより、溶湯Wとなって出湯樋12に注湯される。この溶湯Wは、クランク状に屈曲された出湯樋12を、そのクランク形状に沿って流下される。そして、出湯樋12における下流側部分12cまで流下されると、当該部分に設けられた貫通孔13から、タンディッシュTの注湯室R1 に注湯される。タンディッシュTの注湯室R1 と供給室R2 とは、せき板18によって仕切られており、更に前記せき板18の下端部に設けられた潜りせき19によって連通されている。このため、注湯室R1 における溶湯レベルと供給室R2 における溶湯レベルは、ほぼ同一である。
【0019】
注湯室R1 に注湯される溶湯Wは、上方から落下する形態で注湯されるため、その湯面が波立ち、不安定である。しかし、供給室R2 は、前記せき板18によって注湯室R1 と遮断されているため、注湯室R1 における溶湯Wの波立ちが供給室R2 における溶湯Wの湯面Fに及ぶことは殆どない。即ち、供給室R2 の溶湯Wの湯面は、常に安定状態を呈している。そして、注湯室R1 に溶湯Wが注湯されると、該溶湯Wは潜りせき19の部分から供給室R2 に流出し、その湯面Fを下方から押し上げる。このため、該湯面Fは、安定状態のまま推移する。
【0020】
上記した供給室R2 の溶湯Wの湯面Fに、レーザ光照射部21からグリーンレーザ光が照射される。溶湯Wが赤熱状態を呈していても、レーザ光が緑色なので、溶湯Wに吸収されることがない。また、タンディッシュTの供給室R2 における溶湯Wの湯面Fが安定しているため、溶湯レベルの想定が容易である。そして、この反射光が監視カメラ部22に検出されることにより、溶湯レベルが検出される。
【0021】
ここで、溶湯レベルが、予め設定された基準値から外れている場合、その検出結果が、炉体1の傾動軸5に連結されているモータMに伝達される。そして、炉体1の傾動速度を変更させることによって、るつぼ1aから出湯される溶湯Wの量を調整する。このため、タンディッシュTの供給室R2 の溶湯レベルが基準値内に保持される。上記したプログラムを作成することにより、るつぼ1aの内部にノロ、カス等が付着して、その形状が変化するような場合に対しても、溶湯Wを定量的に出湯させることができる。この結果、タンディッシュTの供給室R2 から流出される溶湯Wの量が一定になり、しかも、前記供給室R2 における溶湯Wの湯面Fが安定していることと相まって、水冷ロール2にかき上げられる溶湯Wの量が、常に一定になる。
【0022】
前記タンディッシュTの供給室R2 における溶湯流出口16は開口されていて、しかも、溶湯Wが落下しない程度の隙間eを介して、水冷ロール2の外周面2aと相対向されている。水冷ロール2は一定の速度で回転しているため、供給室R2 の溶湯Wは、水冷ロール2の外周面2aにかき上げられて、該水冷ロール2に連れ回される。該溶湯Wは、水冷ロール2に連れ回される間に徐々に冷却され、その表面にひび割れが生じ、凝固鋳片Vとなって落下する。
【0023】
【発明の効果】
本発明に係る真空誘導溶解炉を使用した回転急冷鋳造装置は、潜りせき構造のせき板により二分されたタンディッシュの下流側の溶湯の湯面にグリーンレーザ光を照射させて、該下流側の溶湯レベルを検出するための溶湯レベル検出装置を備え、前記溶湯レベル検出装置の検出値を炉体の傾動装置にフィードバックさせて、その傾動速度を制御することにより、前記炉体からの出湯量を一定に保持する構成であるので、せき板により二分された タンディッシュの下流側の溶湯の湯面は消波されて安定しており、この安定した湯面にグリーンレーザ光を照射しているため、溶湯レベルの検出制度が高まる。
【0024】
この結果、高精度で検出されたタンディッシュの下流側の溶湯レベルの検出値を炉体の傾動装置にフィードバックさせて、その傾動速度を制御することができるので、るつぼからの出湯量を一定に保持することができて、タンディッシュの下流側の部分における溶湯レベルを、常に一定のものにすることができる。このため、凝固鋳片の厚さむらがなくなる等して、その品質が向上する。また、前記レーザ光がグリーンレーザ光であるため、溶湯の湯面が赤熱状態を呈していても、溶湯に吸収されることがなく、その反射光を確実に検出することができ、誤動作のおそれがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る真空誘導溶解炉Bを使用した回転急冷鋳造装置Aの側面図である。
【図2】 同じく平面図である。
【図3】 同じく一部を破断した正面図である。
【図4】 タンディッシュTの斜視図である。
【図5】 同じく拡大平面図である。
【図6】 図5のX−X線断面図である。
【図7】 回転急冷鋳造装置Aの作用説明図である。
【図8】 グリーンレーザ光で溶湯Wの湯面Fを検出する状態を示す図である。
【符号の説明】
A:回転急冷鋳造装置
B:真空誘導溶解炉
C:傾動装置
e:隙間
F:湯面
R1 :注湯室(タンディッシュ)
R2 :供給室(下流側部分)
T:タンディッシュ
W:溶湯
1:炉体
2:水冷ロール(急冷ロール)
2a:外周面
3:ベセル(真空槽)
4:処理室(真空槽)
15:周壁板(屈曲部)
16:溶湯流出口
17a:曲面部分(外周面)
18:せき板
19:潜りせき
21:レーザ光照射部(溶湯レベル検出装置)
22:監視カメラ部(溶湯レベル検出装置)
Claims (1)
- 炉体の傾動により溶湯を出湯させる真空誘導溶解炉と、平面視においてL字状に屈曲されていて、該屈曲部よりも僅かに上流側の部分に潜りせき構造のせき板が設けられ、前記溶解炉から出湯された溶湯を一時的に貯留状態にして流出させるためのタンディッシュと、該タンディッシュの一側面に開口した溶湯流出口の外周面が僅かの隙間を有して臨み、しかも、該溶湯流出口から流出された溶湯を連れ回して、その途中で急冷させるための急冷ロールとを備え、
これらの設備が真空槽内に配設されて、前記炉体から連続出湯される溶湯を前記タンディッシュを通過させて、前記急冷ロールの外周面に供給して連続鋳造を行う回転急冷鋳造装置であって、
前記せき板により二分されたタンディッシュの下流側の溶湯の湯面にグリーンレーザ光を照射させて、該下流側の溶湯レベルを検出するための溶湯レベル検出装置を備え、
該溶湯レベル検出装置の検出値を炉体の傾動装置にフィードバックさせて、その傾動速度を制御することにより、前記炉体からの出湯量を一定に保持することを特徴とする真空誘導溶解炉を使用した回転急冷鋳造装置。
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