JP3650537B2 - ディフューザ付スロットルボデー - Google Patents

ディフューザ付スロットルボデー Download PDF

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  • Control Of Throttle Valves Provided In The Intake System Or In The Exhaust System (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はディフューザ付スロットルボデーに関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関の吸気系に配置されるスロットルボデーとして、従来、図4に示すように、円筒状のスロットルボデー部101に、該部101の軸線X−Xと直交する方向にスロットルシャフト102を回転可能に貫設し、該スロットルシャフト102にスロットルバルブ103を固着し、更に、前記スロットルボデー部101の下流側に、下流側が拡開する内面104を有するディフューザ105を一連に形成したディフューザ付スロットルボデー106が例えば特開平5−141262号公報に開示されている。
【0003】
ところで、ディフューザ付スロットルボデー106は、そのディフューザ105の内面104を下流側に向って拡開させることにより、その内面104近くの気流の流線が内面104から押し出される剥離現象を抑制することによって、吸気エネルギーの損失を減少させて吸気損失を低減するものであるが、前記図4に示す従来構造のように、ディフューザ105の上流側にスロットルシャフト102が存在し、かつ該スロットルシャフト102の下流のディフューザ内面104が平滑面で拡開していると、そのスロットルシャフト102の存在により、その付根部の下流において気流の乱れと減速が生じ、これにより、図5(a)(b)の斜線で示すように、気流の剥離域Aがスロットルシャフト102の付根部を起点として下流へ末広がり状に発生し、広い範囲の剥離域Aが生じる。そのため、この広い範囲の剥離域Aにより圧力損失が多くなり、吸気損失が大きくなる。
【0004】
このような吸気損失の度合いをディフューザ性能におきかえるとディフューザの圧力回復効率で表すことができ、この圧力回復効率が小さいと圧力損失が多いといえる。
【0005】
この圧力回復効率の測定は、例えば図6に示すように擬似サージタンク108の上流側端に前記のディフューザ付スロットルボデー106を配置し、下流側端に真空ポンプ109を配置して、スロットルシャフト102付近の静圧P1 とディフューザ106の下流部の静圧P2 を測定してその値から次式により求めることができる。
【0006】
圧力回復効率η=(P2 −P1 )/P1
そして、前記従来構造のディフューザ付スロットルボデー106について、次の試験条件で前記の式により圧力回復効率ηを求めた結果、そのηの値は、図7のη1 に示すように37.1%であった。
【0007】
試験条件
吸気流量:3リッタ直列6気筒エンジンで、スロットルバルブを全開にして回転数を6000rpm相当にする吸気量を10.3m3 /min(入口流速60.75m/s)とした。
【0008】
スロットルバルブ開度:90°(全開)
脈動:無(定常流)
このことから、前記従来構造のものにおいては、圧力回復率η1 が低く、すなわち、吸気損失が多い問題があった。
【0009】
そこで本出願人は、前記の剥離域を減少させて前記の圧力回復効率ηを高め、吸気損失の低減を図るために、図2及び図3に示すようなディフューザ付スロットルボデーを特願平10−332113号で提案した。
【0010】
この図2及び図3に示すディフューザ付スロットルボデーについて説明する。
ディフューザ付スロットルボデー1を構成する円筒状のスロットルボデー部2には、該部2の軸線X−Xと直交する方向にスロットルシャフト3が回転可能に貫設され、該スロットルシャフト3には、スロットルボデー部2内に位置してスロットルバルブ4が固着されており、図示しないスロットル駆動手段によってスロットルシャフト3を正逆回転してスロットルバルブ4を開閉作動するようになっている。スロットルボデー部2の内面2aの横断面形状は、略真円に形成され、スロットルバルブ4は、そのスロットルシャフト3の軸方向の両端がスロットルボデー2の内面2aに近接する略真円状に形成されている。
【0011】
前記スロットルボデー部2の下流側には、図2(c)に示すように、内面5aを下流側に向って拡開するテーパ面に形成したディフューザ5が一連に一体形成されている。前記内面5aは、スロットルシャフト3における両付根部付近の下流部を除いて、軸線X−Xを中心とする裁頭円錐面に形成されている。また、該内面5aの上流側端5bは、スロットルシャフト3の軸芯から所定距離L1 だけ下流側にずれた位置に設定されている。更に、ディフューザ5の内面5aの前記軸線X−Xに対する傾斜(拡開)角α1 は気流の剥離が発生しにくい角度、例えば5〜15°程度に設定されている。図の例では約10°に設定されている。
【0012】
前記スロットルシャフト3の両付根部の下流側に位置するディフューザ5の内面5aには整流凸部6がディフューザ5の軸方向に沿って形成されており、計一対の整流凸部6,6が対向して配置されている。
【0013】
該整流凸部6を更に詳細に説明すると、該整流凸部6は、スロットルシャフト3の軸芯を通るディフューザ5の軸線X−Xを中心として所定の幅に形成され、かつその幅は図2(c)に示すように上流側が縮小し下流側が拡大する末広がり状に形成されており、その両側縁6a,6aの前記軸線X−Xに対する角度α2 は前記角度α1 と同程度の角度に設定されている。該角度α2 は図の例では約10°に設定されている。
【0014】
更にディフューザ5の軸線X−Xと直交する方向における前記整流凸部6の横断面形状は、図2(a)に示すように略円弧面で隆起するように形成され、かつ、その両側縁6a,6aがディフューザ5の内側を中心とする曲面でディフューザ5の内面5aに連続している。
【0015】
更に、整流凸部6,6の上流端6eとスロットルシャフト3との間L1 は、図2(b)に示すように、前記スロットルボデー部2の内面2aの軸方向延長線上、すなわち内面2aと面一の面6bとし、前記上流端6eの下流側の稜線をディフューザ5の軸芯側へ隆起させてスロットルバルブ4の下流側にスロットルバルブ4の外径より小径の狭さく部6cを形成し、更に該狭さく部6cの下流の稜線6dをディフューザ5の径方向の外側に向ってラッパ状に拡開させている。
【0016】
そして、スロットルボデー部2の内径Dは60mmに設定され、スロットルバルブ4の直径はスロットルボデー部2内に一ぱいに挿入できる径に設定され、狭さく部6c,6cの対向間距離L2 は50mmに設定され、スロットルシャフト3の軸芯から狭さく部6c間の距離L3 は略D/2の28mmに設定されている。
【0017】
前記図2に示すディフューザ付スロットルボデー1において、図2(b)(c)に示す矢印Bのように吸気されると、本来、前記図5の斜線で示すように、スロットルシャフト3の付根部から末広がり状の剥離域が生じるが、前記のように整流凸部6を形成することにより、前記の剥離域Aが整流凸部6で埋められてその剥離域は図3の点々で示す剥離域A1 となり、その剥離域A1 は前記図5に示す剥離域Aに比べて減少し、気流の乱れが抑制されて整流される。
【0018】
したがって、前記図4に示す従来構造に比べて気流の剥離に起因する圧力損失が減少し、ディフューザ5の圧力回復効率が向上する。
この第2及び図3に示す構造について、前記と同様の試験条件により圧力回復効率ηを測定した結果、図7のη2 に示す如く49.3%の値を得た。したがって、この圧力回復効率η2 は前記従来構造の圧力回復効率η1 37.1%に比べて約6.1ポイント向上し、圧力損失を減少させて吸気損失の低減を図り、エンジンの出力向上を図ることができる。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記のようなディフューザ付スロットルボデーの組み付け作業は、例えば図8に示すようにスロットルボデー部101に形成した貫通穴110に作業者が手でスロットルシャフト102を挿通し、次でスロットルバルブ103を作業者が手でスロットルボデー部101の下流側(図8(a)(b)の上側)から挿入してスロットルシャフト102に形成したスリット111に差し込み、次でそのスロットルバルブ103とスロットルシャフト102をビス112により結合し、そして、このように組み付けたディフューザ付スロットルボデー106を図8のように保持ユニット113に保持して芯出し等の次工程が行われる。
【0020】
前記図4に示す従来構造においては、ディフューザ105が全内周面がスロットルバルブ103の外径よりも大径であるため、前記のようにスロットルバルブ103を下流側から挿入できるが、前記図2に示すように、ディフューザ5の内面に整流凸部6,6を設けてその対向間距離L2 をスロットルバルブ4の外径より短くしたものにおいては、下流側(ディフューザ側)からスロットルバルブ4を挿入することができない。
【0021】
そのため、この図2に示す構造のものを図8に示すようにスロットルバルブを組み付ける場合には、ディフューザ付スロットルボデーを一旦保持ユニット113から外してその上下を逆向きにし、スロットルボデー部側からスロットルバルブを挿入して組み付け、その後再びそのディフューザ付スロットルボデーを保持ユニット113へ定着させなければならない。
【0022】
したがって、その組み付け作業が面倒であり、また、組み付け設備の変更を要したり工程数が増す問題がある。
そこで本発明は、前記図2に示すような整流凸部6,6を有するものにおいても、スロットルバルブを、そのディフューザ付スロットルボデーの上流側のみならず下流側からも挿入して組み付けできるようにして前記の問題を解決できるディフューザ付スロットルボデーを提供することを目的とするものである。
【0023】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記の課題を解決するために、請求項1記載の第1の発明は、スロットルボデー部内にスロットルシャフトを回転可能に貫設して該スロットルシャフトにスロットルバルブを固着し、前記スロットルボデー部の下流にディフューザを一連に設けたものにおいて、前記ディフューザの内面に、スロットルボデーの内面よりディフューザの軸芯側へ突出する整流凸部を、スロットルシャフトの両側付根部付近から下流に向って設け、該整流凸部に、スロットルバルブをディフューザ側から挿通できるバルブ挿通用溝を形成したことを特徴とするものである。
【0024】
請求項2記載の第2の発明は、スロットルボデー部内にスロットルシャフトを回転可能に貫設して該スロットルシャフトにスロットルバルブを固着し、前記スロットルボデー部の下流にディフューザを一連に設けたものにおいて、前記ディフューザの内面に、スロットルボデーの内面よりディフューザの軸芯側へ突出する整流凸部を、スロットルシャフトの両側付根部付近から下流に向って設け、該整流凸部に、スロットルシャフトの両側付根部からディフューザの軸線方向に沿ってバルブ挿通溝を形成し、該バルブ挿通用溝の底面をスロットルボデーの内面と同一面に形成したことを特徴とするものである。
【0025】
本願発明においては、前記のようにディフューザの内面に整流凸部を形成しても、該整流凸部にバルブ挿通用溝を形成したので、組み付け作業時において、スロットルバルブをディフューザ側(下流側)から前記バルブ挿通用溝を通じてバルブシャフトへ取り付けできる。また、スロットルバルブは通常通りスロットルボデー側(上流側)からも挿入してバルブシャフトに取り付けできる。
【0026】
【発明の実施の形態】
図1に示す実施例に基づいて本発明の実施の形態について説明する。
本実施例は、前記図2に示すディフューザ5の内面に前記図2と同形状の整流凸部6,6を形成し、該整流凸部6,6にバルブ挿通用溝20を形成したものである。該バルブ挿通用溝20は、整流凸部6,6の稜線位置においてディフューザ付スロットルボデー1の軸線方向に形成されている。更に、対向するバルブ挿通用溝20の底面20a,20a間の距離L4 は、スロットルバルブ4が挿通できるようにスロットルバルブ4の外径と略同長に形成されており、具体的には、図1(b)に示すように、底面20a,20aがスロットルボデー2における内面2aの軸方向の延長線上に位置している。更に、該バルブ挿通用溝20,20の溝幅は、スロットルバルブ4を挿通できるように、スロットルバルブ4の板厚と略同程度、具体的には、スロットルバルブ4の板厚より+0.5mm程度としている。
【0027】
また、前記バルブ挿通用溝20,20の深さHは最大5mmが望ましい。図1の例ではスロットルボデー部2の内径Dが60mmで、狭さく部6c,6cの対向間距離L2 が50mmに設定され、バルブ挿通用溝20,20の深さHは5mmに設定されている。
【0028】
また、前記スロットルシャフト3にはスロットルバルブ4を挿入できるスリット3aが形成されており、該スリット3aは、図1(c)に示すように前記バルブ挿通用溝20,20の延長線上に位置するようになっている。
【0029】
その他の構造は前記図2に示す構造と同様であるため、図2と同一部分には同一符号を付してその説明は省略する。
以上の構造により、スロットルバルブ4は、上流側であるスロットルボデー2側からも挿入できるとともに、バルブ挿通用溝20,20を通じて下流側であるディフューザ5側からも挿入できる。
【0030】
そのため、前記図8に示すような組み立てにおいて、そのディフューザ付スロットルボデー1のスロットルボデー2側を保持ユニット113に定着した状態のままディフューザ5側からスロットルバルブ4を挿入してスロットルシャフト3に固着することができる。
【0031】
したがって、前記図2のもののように、組み付け時において、ディフューザ付スロットルボデーを一旦保持ユニットから外して向きを変える工程が不要になる。
【0032】
なお、前記のような整流凸部6,6にバルブ挿通用溝20,20を形成したものにおける圧力回復効率ηを前記と同一条件で測定した結果、その圧力回復効率は図7に示すη3 の値を示した。このようにバルブ挿通用溝20,20を形成してもその圧力回復効率η3 は、このバルブ挿通用溝20,20を形成しない前記図2の構造の圧力回復効率η2 とほとんど変わらず、前記図2のものと同様に吸入空気量の低減を少なくし、エンジンの出力向上を図ることができる。
【0033】
【発明の効果】
以上のようであるから、本願の発明によれば、整流凸部を設けたことにより、前記従来の同径のディフューザ付スロットルボデーと比較して、ディフューザの圧力回復効率を高め、吸入空気量の低減を少なくし、エンジンの出力向上を図ることができる。
【0034】
しかも前記のように整流凸部を設けてもこれにバルブ挿通用溝を形成したことにより、スロットルバルブをディフューザ付スロットルボデーの上流側のみならず下流側からも組み付けでき、下流側から挿入して組み付けできない前記図2の構造のようにディフューザ付スロットルボデーを一旦逆向きにしてスロットルバルブを組み付ける工程が不要になり、従来の設備を利用し、かつ工程を増すことなく組み付けが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示すもので、(a)は下流側から見た図、(b)は図1のY−Y線断面図、(c)は図1のZ−Z線断面図。
【図2】出願人の先の出願に係る発明を示すもので、(a)は下流側から見た図、(b)は(a)のY−Y線断面図、(c)は図(a)のZ−Z線断面図。
【図3】図2における気流の剥離域を示す図。
【図4】従来構造を示すもので、(a)は下流側から見た図、(b)は(a)のZ−Z線断面図。
【図5】図4における気流の剥離域を示す図。
【図6】ディフューザ付スロットルボデーの圧力回復効率を測定する装置の概略を示す図。
【図7】本発明と、先の出願の発明と、従来構造の圧力回復効率(圧力損失)を示す図。
【図8】ディフューザ付スロットルボデーに対するスロットルバルブの組み付け状態を説明する図で、(a)は縦断面図、(b)は(a)におけるC−C線断面図。
【符号の説明】
1 ディフューザ付スロットルボデー
2 スロットルボデー部
2a スロットルボデー部の内面
3 スロットルシャフト
4 スロットルバルブ
5 ディフューザ
5a ディフューザの内面
6 整流凸部
20 バルブ挿通用溝
20a 溝の底面

Claims (2)

  1. スロットルボデー部内にスロットルシャフトを回転可能に貫設して該スロットルシャフトにスロットルバルブを固着し、前記スロットルボデー部の下流にディフューザを一連に設けたものにおいて、前記ディフューザの内面に、スロットルボデーの内面よりディフューザの軸芯側へ突出する整流凸部を、スロットルシャフトの両側付根部付近から下流に向って設け、該整流凸部に、スロットルバルブをディフューザ側から挿通できるバルブ挿通用溝を形成したことを特徴とするディフューザ付スロットルボデー。
  2. スロットルボデー部内にスロットルシャフトを回転可能に貫設して該スロットルシャフトにスロットルバルブを固着し、前記スロットルボデー部の下流にディフューザを一連に設けたものにおいて、前記ディフューザの内面に、スロットルボデーの内面よりディフューザの軸芯側へ突出する整流凸部を、スロットルシャフトの両側付根部付近から下流に向って設け、該整流凸部に、スロットルシャフトの両側付根部からディフューザの軸線方向に沿ってバルブ挿通溝を形成し、該バルブ挿通用溝の底面をスロットルボデーの内面と同一面に形成したことを特徴とするディフューザ付スロットルボデー。
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