JP3650348B2 - 周波数選択光フィルタ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は光周波数分割多重伝送方式において、周波数多重された複数の光信号のうちから希望の光周波数の光信号を選択して取り出す周波数選択光フィルタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、周波数多重(波長多重と同義)された複数の光信号から希望の光周波数の光信号だけを選択して取り出す周波数選択光フィルタとしては、ファブリーペロー干渉計もしくはマッハツェンダ干渉計の原理を応用した光フィルタが用いられてきた。
【0003】
この種の周波数選択光フィルタは、例えば、光ファイバを切断し両方の切断面を研摩して対向配置することにより構成され、両切断面間で光が多重反射するようになっている。この多重反射の際、ある特定の波長(光周波数)の光だけが、多重反射光同士で位相が一致して強め合い、光フィルタを透過することとなる。ここで、透過される波長(光周波数)の値は、両切断面間の距離によって連続的に変化する。したがって、この距離を変化させることで、希望の波長(光周波数)の光信号だけを選択することができる。
【0004】
しかし、上述した周波数選択光フィルタでは、透過する波長(光周波数)の値を連続(アナログ)的にしか制御することができないために、周波数多重数が多い場合に、高い精度でのアナログ制御が要求されるという本質的な欠点がある。この欠点を解決するために、アレイ導波路回折格子型光合分波器にループバック光路と光スイッチを備えた回路が提案されるに至った。このループバック光路付アレイ導波路回折格子型光合分波器を用いた周波数選択光フィルタについて、図14〜図17を用いて説明する。
【0005】
なお、この従来例の詳細については特願平5−233874(立川、河内・高橋・井上,「ループバック光路付アレイ導波路回折格子型光合分波器」平成5年9月20日提出,特願平4−260222(平成4年9月29日提出)に基づく優先権主張)に述べられている。
【0006】
図14に、従来の周波数選択光フィルタの動作原理を示す。図中、1および2は光ファイバ伝送路で、光ファイバ伝送路1中には光周波数がそれぞれf1,f2,…,fn のn波の信号光が周波数多重されて伝搬している。周波数選択光フィルタ3では、入射する多重光信号をまず分波器4により光周波数(波長)の異なるn個の信号光に分離し、対応する光ファイバ8a,8b,…,8n中を伝搬させる。ここで、光ファイバ8a,8b,…,8nの途中にはそれぞれ光スイッチ9a,9b,…,9nが備えられており、選択する光周波数fiに対応する光スイッチ9iのみをON状態にする。こうして選択された光周波数fiの信号光は、合波器5を経て光ファイバ伝送路2中に出力される。
【0007】
立川等は、上述した特許出願の中で、この原理における分波器4と合波器5とを一つのアレイ導波路回折格子型光合分波器で構成する技術を開示している。この技術に基づき、図14に示した原理を実現するために使用される従来の周波数選択光フィルタを図15に示す。図15において、21はアレイ導波路回折格子型光合分波器であり、複数本の導波路23a〜23pからなる第1の入出力導波路群23、スラブ導波路24、アレイ導波路回折格子26、スラブ導波路25、複数本の導波路27a〜27pからなる第2の入出力導波路群27が同一基板上に形成されてなるものである。また、18は光ファイバ18a〜18pからなる光ファイバ群、9は光スイッチ9a〜9pからなる光スイッチ群である。図15においては、第1の入出力導波路群23の各導波路を示す符号23a〜23pの後にI1〜I16までの符号が括弧書きにて付記されているが、これらのI1〜I16は、第1の入出力導波路群23内において当該導波路が何番目の導波路であるかを示すインデックスである。また、このインデックスI1〜I16と同様な趣旨のインデックスJ1〜J16、K1〜K16、S1〜S16が、導波路を示す符号27a〜27pの後、光ファイバを示す符号18a〜18pの後、光スイッチを示す符号9a〜9pの後に各々括弧書きで付記されている。以下では、説明の便宜上、例えば導波路23gを特定する場合には導波路23g(I7)または23(I3)というように、インデックスを用いた表記により導波路を特定する。
【0008】
上記の表記法に従って説明すると、各光ファイバ18(Kj)は、第2の入出力導波路群27の各導波路27(Jj)と第1の入出力導波路群23の各導波路(Ij)との間を接続するものであり、導波路27(Jj)から出力される信号光をこの導波路27(Jj)に対応する導波路23(Ij)に戻すループバック光路としての役割を果すものである。また、各光ファイバ18(Kj)の途中にはそれぞれ光スイッチ9(Sj)が設けられている。光ファイバ伝送路1は、入力用光路としての役割を果すものである。また、光ファイバ伝送路2は、出力用光路としての役割を果すものである。
【0009】
一般にアレイ導波路回折格子型光合分波器21の第1の入出力導波路群23,第2の入出力導波路群27の各導波路数M,Nは任意であるが、ここでは簡単のためM=N=16とし、光ファイバ伝送路1は16個の第1の入出力導波路群23の各導波路23a(I1),23b(I2),…,23p(I16)のうち導波路23h(18)に接続され、同様に光ファイバ伝送路2は16個の第2の入出力導波路群27の各導波路27a(J1),27b(J2),…,27p(J16)のうち導波路27h(J8)に接続されている。
【0010】
図15に示す従来例においては、光周波数f1,f2,…,f16の16波の周波数多重光信号は、光ファイバ伝送路1中を伝搬した後にアレイ導波路回折格子型光合分波器21の第1の入出力導波路群中のインデックスI8に対応した導波路23hに入力される。スラブ導波路24では、この周波数多重光信号が回折により広がり、アレイ導波路回折格子26を構成する複数の導波路に入力される。
【0011】
周波数多重光信号は、このアレイ導波路回折格子26を伝搬した後にスラブ導波路25により集光されるが、アレイ導波路回折格子26を伝搬する間に生じた位相差により収束光の収束位置が光周波数により異なることとなる。図15に示すアレイ導波路回折格子型光合分波器21は、この原理を応用したものであり、図20に示すような周波数合分波特性を示すように設計されている。
【0012】
例えば、光周波数f1〜f16の光信号からなる周波数多重光信号が第1の入出力導波路群23の導波路23h(I8)に入力された場合、図20に示すように、光周波数f1の光信号は第2の入出力導波路群27中の導波路27a(J1)から、光周波数f2の光信号は導波路27b(J2)から、…、光周波数f16の光信号は導波路27p(J16)から、というように光周波数fj(j=1,2,…,16)は対応した導波路27(Jj)から取り出される。
【0013】
また、導波路23h(I8)よりもインデックスが1だけ大きい導波路23i(I9)に周波数多重光信号が入力された場合には、この周波数多重光信号を構成する各光信号(光周波数f1〜f16)とこれらが出力される第2の入出力導波路群27内の各導波路27(Jj)との関係が図20に示すように導波路1本分だけシフトすることとなり、光周波数f2の光信号は導波路27a(J1)から、…、光周波数f16の光信号は導波路27o(J15)から取り出されることとなる。
【0014】
また、アレイ導波路回折格子型光合分波器21は、その構造が対称であるため、周波数合分波特性も図20に示すように可逆性を呈する。すなわち、例えば、光周波数f1〜f16の光信号からなる周波数多重光信号が第2の入出力導波路群27の導波路27h(J8)に入力された場合、図20に示すように、光周波数f2の光信号は導波路23b(I2)から、…、光周波数f16の光信号は導波路23p(I16)から、というように光周波数fj(j=1,2,…,16)は対応した導波路23(Ij)から取り出される。
【0015】
また、導波路27h(J8)よりもインデックスが1だけ大きい導波路27i(J9)に周波数多重光信号が入力された場合には、この周波数多重光信号を構成する各光信号(光周波数f1〜f16)とこれらが出力される第1の入出力導波路群23内の各導波路23(Ij)との関係が図20に示すように導波路1本分だけシフトすることとなり、光周波数f2の光信号は導波路23a(I1)から、…、光周波数f16の光信号は導波路23o(I15)から取り出されることとなる。
【0016】
さて、第2の入出力導波路群27の各導波路27(Jj)から取り出された光周波数fjの信号光は、それぞれ光ファイバ(ループバック光路)18(Kj)中を伝搬する。ここで、各光ファイバ(ループバック光路)18(Kj)の途中にそれぞれ設けられている光スイッチ9(Sj)は、外部からの指令に基づき光を透過させるON状態と遮断するOFF状態のいずれかの状態をとる。そして、この光スイッチがON状態にあるループバック光路を伝搬している光信号は、第1の入出力導波路23からアレイ導波路回折格子型光合分波器21に再度入力される。
【0017】
第1の入出力導波路群23にもどされた信号光は、1度目と同様の作用により第2の入出力導波路郡27に出力される。ここで重要なのは、j番目の光ファイバ(ループバック光路)18(Kj)は第1の入出力導波路群23中j番目の導波路23(Ij)に接続されていることである。アレイ導波路回折格子型光合分波器21は、ここでは図16に示すような周波数合分波特性を示すように設計されているので、導波路23(Ij)から入力した光周波数fjの信号光は、第2の入出力導波路中の27(J8)から出力される。こうして、光ファイバ(ループバック光路)18(Kj)(j=1,2,…,16)を伝搬しON状態のスイッチ9(Sj)を経由して導波路23(Ij)に再度入力された光周波数fjの信号光は、インデックスjの値によらず同筋27(J8)から光ファイバ伝送路2へ送り出される。
【0018】
一方、光スイッチ9(Sj)がOFF状態にあるループバック光路を伝搬している光信号はアレイ導波路回折格子型光合分波器21に再入力されないため、光ファイバ伝送路2へ送り出されることはない。
【0019】
したがって、選択したい光周波数の光が伝搬する光ファイバ(ループパック光路)18(Kj)に設けられた光スイッチ9(Si)だけをON状態とし、他の光スイッチ9をOFF状態とすれば、光ファイバ伝送路1中を伝搬してきた周波数多重信号光のうち、希望の光周波数の光だけが光ファイバ伝送路2中に出力される。図17は、アレイ導波路回折格子型光合分波器21の周波数合分波特性が図20のように設計されている場合の、ON状態にする光スイッチ9(Sj)と選択される光周波数fjとの関係を示している。
【0020】
こうして、図15に示した従来の周波数選択光フィルタでは、対応する光スイッチ9(Sj)のみをON状態にするというデジタル的な制御で希望の光周波数の信号光を選択することが可能であり、かつ周波数多重数が増えた場合でも高精度なアナログ制御を必要としない。
【0021】
なお、光スイッチ9を例えば図18に示すように構成し、ループバック光路18を導波路で作成すれば、図15に示した周波数選択光スイッチをすべて一枚の導波路基板上に集積化することも可能である。ここで図18に示される2×2光スイッチ51は、石英導波路基板512上に石英導波路によって3dBカプラ514,515を形成して2光束干渉系を構成している。ここでヒータ513に電流を流して導波路の特定部分の温度を変化させ、温度変化に伴う屈折率変化によって入出力光路517,519間でのON/OFFスイッチ動作を実現する。
【0022】
なお、図18において、入力出力光路517,519を2×2光スイッチ51の対角位置に接続しているのは、高い消光比のON/OFFスイッチ動作を得るためである。この事実の詳細は、文献(小湊他、電子情報通信学会論文誌C−I,vol.J73−C−I,No.5,pp.354−359,1990年5月)に記載されている。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、図15を用いて説明した従来の周波数選択光フィルタは、次の問題点を有していた。<問題点1>特定の光周波数の光が常に出力されてしまう。<問題点2>漏れ込み(クロストーク)光が除去出来ない。<問題点3>周波数多重の数だけ光スイッチが必要である。以下に上記各問題点について詳細に説明する。
【0024】
<問題点1>「特定の光周波数の光が常に出力されてしまう」に関して図15に示した従来例において、光ファイバ伝送路1中を伝搬してきた周波数多重光信号中に光周波数f8の光が含まれた場合、この光周波数f8の光だけは光ファイバ(ループバック光路)18を通過せず、第1の入出力導波路23中の23h(18)、アレイ導波路回折格子2における第2の入出力導波路群27中の導波路27h(J8)をそれぞれを経由して光ファイバ伝送路2中に出力される(図16参照)。このため、光周波数f8の光は、15個の光スイッチ9のいずれの状態にもよらず常に光ファイバ伝送路2中に出力されてしまう。図19は図15に示した従来の周波数選択光フィルタの透過特性の測定例を示す図であって、図19(1)は光スイッチ9(Sj)を全てOFF状態にした場合である。
【0025】
したがって、仮に光周波数f8の光が光ファイバ伝送路1中に混入して伝送されてきた場合、希望の光周波数fj(j≠8)を選択してもfjの信号光と一緒にf8の光も出力されてしまう。特に、光周波数fjの信号光はアレイ導波路回折格子型光合分波器21を2回通過するのに対して光周波数f8の光は1回しか通過しないため、妨害光となる光周波数f8の光の方が損失が少ない。このため、希望の信号光のS/Nが著しく劣化してしまう。図19(2)は、希望の光周波数f13選択した場合のフィルタ特性の測定例である。妨害光となるf8での透過損失の方が7dBも小さい。
【0026】
<問題点2>「漏れ込み(クロストーク)光が除去出来ない」に関して周波数多重信号光のなかから希望の光周波数の信号光だけを取り出す周波数選択光フィルタにおいては、選択されない光周波数の光が出力に漏れ込んだ場合、クロストーク光として雑音になり、希望の信号光のS/Nを劣化させる要因となる。漏れ込み光の光パワーの合計が希望の信号光の例えば0.4倍(−4dB)になると、受信感度は3dBも劣化する(例えば、K.Oda and H.Toba,IEEE Journal of Lightwave Technology,Vol.no 5/6,1993,pp,809,Fig.10参照)。これは、同じ符号誤り率を実現するためには2倍の光パワーで信号を送らなければならないことに相当し、極めて都合が悪い。
【0027】
ところが、図15を用いて説明した従来の周波数選択光フィルタに利用されているアレイ導波路回折格子型光合分波器21の周波数合分波特性(図16参照)は、アレイ導波路回折格子26の作成精度等により実際のデバイスでは不完全にしか実現できない。このため、例えば第1の入出力導波路23中の23h(I8)に入力された光周波数f1,f2,…,f16(ただしf8は除く)の15波の周波数多重された信号光は、わずかではあるが、光ファイバ伝送路2の接続されている第2の入出力導波路27中の27h(J8)に直接出力されてしまう。
【0028】
例えば図19(1)に示した測定例では、光スイッチ9(Sj)はすべてOFF状態にあるので、本来は、上述した第1の欠点で生じる光周波数f8の光を透過する以外はまったく光を透過させないはずである。しかし、実際にはf8以外の光でも−33〜−36dB程度の透過率が観測されている。
【0029】
したがって、例えば図19(2)に示したように光周波数f13の光を選択した場合に、ひとつの信号光あたり−23dB程度のクロストークが生じる。スクロトークは選択された光周波数以外の全ての光周波数の信号光によって生じうるので、クロストーク光(漏れ込み光)の全光パワーは、この(N−2)倍(Nは周波数多重数)になる。したがって、周波数多重数が増加して例えばN=100になれば、クロストーク光の全光パワーは約−3dBとなり、上述したように受信感度が3dB以上劣化してしまう。
【0030】
加えて、選択された光周波数の信号光に関しても、同様な仕組みによるクロストークが存在する。例えば、図19(2)の場合、すなわち光周波数f13の信号光を選択している場合を考える。光ファイバ伝送路1,導波路23h(I8)を経てアレイ導波路回折格子型光合分波器21に入力される光周波数f13の信号光は、本来、導波路27m(J13),光スイッチ9m(S13),導波路23m(I13)を経由し、導波路27h(J8)を経て光ファイバ伝送路2中に出力される。しかし、導波路23h(I8)から入力された光周波数f13の信号光のごく一部は、直接、導波路27h(J8)にクロストーク光として出力されてしまう。例えば図19(1)を参照すれば、光周波数f13の信号光のうち−36dBは、直接光ファイバ伝送路2中に出力されてしまう。図19(2)に示されたように本来の経路をへて出力される光周波数f13の信号光の強度は−13dBであるので、差引き−23dBのクロストークが存在する。
【0031】
そして、都合の悪いことに、このクロストーク光は選択される信号光と同じ光周波数の光であるので、コヒーレントに干渉してしまう。すなわち、光強度ではなく光電界が足し合わされる。このため、たとえば僅か−23dB(0.005倍)のクロストークでも、光強度にすれば、−11.5dBもの強度揺らぎを生じることがあり、信号光のS/Nを著しく劣化させる要因となり、はなはだ不都合である。
【0032】
<問題点3>「周波数多重の数だけ光スイッチが必要である」に関して図15を用いて説明した従来の周波数選択光フィルタにおいては、図17に示したように、選択する光周波数一つに対して、対応するON/OFF型光スイッチ一つが必要である。すなわち、周波数多重数Nの多重光から任意の光信号を取り出せるように構成するには、N個の光スイッチが必要となる。したがって、周波数多重数Nが増加した場合には、きわめて多数の光スイッチを備える必要があり、コストがかかる。さらに、信頼性低下の原因にもなりうる。
【0033】
本発明は、上記事情を鑑みてなさたものであって、不要な光出力がなくてクロストーク(漏れ込み)光が少なく、さらに場合によっては制御に要する光スイッチの個数が少なくてすむ周波数選択光フィルタを提供することを目的とする。
【0034】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、アレイ導波路回折格子型光合分波器を利用した周波数選択光フィルタにおいて、フィルタへの入力用光路と出力用光路とをアレイ導波路回折格子型光合分波器の同一側の入出力導波路に接続し、一方、アレイ導波路回折格子型光合分波器の逆側の入出力導波路には光スイッチをそれぞれ備えた折り返し光路を接続することを、そのもっとも主要な特徴とする。以下、上記課題を解決するための手段としての本願各請求項に係る発明を順次説明する。
【0035】
まず、本発明は、図1にその代表的な構成例が開示されたものである。各構成要件に対し図1における対応箇所の符号を括弧書きにて付記すると、本発明は次のように表すことができる。N本(Nは整数)の導波路からなる第1の入出力導波路群(23)とN本の導波路からなる第2の入出力導波路群(27)とを有するアレイ導波路回折格子型光合分波器(21)と、前記第1の入出力導波路群の導波路に接続された少なくとも1本の入力用光路(1)と、各々、前記入力用光路が接続された導波路に隣接する導波路に接続された少なくとも1本の出力用光路(2)と、各々、前記第2の入出力導波路群(27)において相互に隣接した2本の導波路からなり、重複した導波路を含まない少なくとも1対の導波路対の2本の導波路間を接続する少なくとも1本の折り返し光路(28)と、前記少なくとも1本の折り返し光路の途中に配置された光スイッチ(9)とを有することを特徴とする周波数選択光フィルタ。
【0036】
本発明によれば、フィルタへの入力用光路と出力用光路とをアレイ導波路回折格子型光合分波器の同一側の入出力導波路群に接続しているために、入力用光路から出力用光路に直接出力される光は、原理的には存在しない。このため、入力用光路と出力用光路とが異なる側の入出力導波路に接続されている従来例とは異なり、特定の周波数の光が光スイッチのON/OFF状態に係わらず常に出力されてしまうような事態は回避される。同時に、アレイ導波路回折格子型光合分波器の作成精度上の不完全性により不可避であるクロストーク光も、入力用光路から出力用光路に直接結合する成分は存在しない。こうして、アレイ導波路回折格子型光合分波器の逆側の入出力導波路にそれぞれ光スイッチを備えた折り返し光路を複数備えることにより、本発明の目的である、不要な光出力がなくてクロストーク(漏れ込み)光が少ない周波数選択光フィルタを構成することが出来るようになる。
【0037】
次に、本発明は、図4にその代表的な構成例が開示されたものである。各構成要件に対し図4における対応箇所の符号を括弧書きにて付記すると、本発明は次のように表すことができる。N本(Nは整数)の導波路からなる第1の入出力導波路群(23)とN本の導波路からなる第2の入出力導波路群(27)とを有するアレイ導波路回折格子型光合分波器(21)と、前記第1の入出力導波路群のv番目(vは整数)の導波路に接続された入力用光路(1)と、前記第1の入出力導波路群のw番目(wは整数)の導波路に接続された出力用光路(2)と、各々、Mod〔w−v+N,N〕=Mod〔t−s+N,N〕またはMod〔v−w+N,N〕=Mod〔t−s+N,N〕を満たす整数s、tの組合せの中から選ばれた少なくとも1組のs、tに対応した折り返し光路であって、各々、前記第2の入出力導波路群のs番目の導波路からt番目の導波路へ光信号を伝送する少なくとも1本の折り返し光路(28)と、前記少なくとも1本の折り返し光路の途中に配置された光スイッチ(9)とを有することを特徴とする周波数選択光スイッチ。
【0038】
前述した発明では、折り返し光路を第2の入出力導波路群における隣接した2本の導波路に接続すると共に入力用光路および出力用光路を第1の入出力導波路群内の隣接した2本の導波路に接続したが、この発明では、この「隣接した2本の導波路」という限定を外し、第2の入出力導波路群内の導波路1本分以上離れた2本の導波路を折り返し光路によって接続し、これに伴って、第1の入出力導波路群における入力用光路および出力用光路を接続する導波路を変更したものである。この発明によれば、前述した発明と同様な作用が得られる他、光周波数毎の伝送損失を一様化することができる。何故ならば、本発明によれば、周波数多重信号における、ある光周波数の光信号が入力用光路から第1の入出力導波路群および第2の入出力導波路群を介して折り返し光路に至るまでの経路が伝送損失の大きな経路であったとしても、この光信号が該折り返し光路によって折り返された後、第2の入出力導波路群および第1の入出力導波路群を介して出力用光路へ戻る際には伝送損失の小さな経路を辿るようにすることができるからである。
【0039】
次に、本発明は、図6にその代表的な構成例が開示されたものであり、前述した構成において、前記t−sの絶対値を特にN/2に限定したことを特徴とするものである。
【0040】
本発明によれば、上記t−sについての限定を行うことにより、この限定を行わない場合に比し、入力用光路から入力する周波数多重光信号の光周波数間隔を1/2にすることができる。
【0041】
本発明に係る周波数選択光フィルタは、図8にその代表的な構成例が開示されたものである。各構成要件に対し図8における対応箇所の符号を括弧書きにて付記すると、本発明は次のように表すことができる。N本(Nは整数)の導波路からなる第1の入出力導波路群(23)とN本の導波路からなる第2の入出力導波路群(27)とを有するアレイ導波路回折格子型光合分波器(21)を有し、さらに、各々Mod〔w−v+N,N〕=Mod〔v−u+N,N〕を満たす各整数v、w、uに従って接続位置が決定された光路であって、前記第1の入出力導波路群のv番目の導波路に接続された入力用光路(1)と、前記第1の入出力導波路群のw番目の導波路に接続された第1の出力用光路(32g)と、前記第1の入出力導波路群のu番目の導波路に接続された第2の出力用光路(32i)とを有し、さらに、Mod〔w−v+N,N〕=Mod〔v−u+N,N〕=Mod〔t−s+N,N〕を満たす整数s、tの各組合せに従って接続位置が決定された光路であって、前記第2の入出力導波路群のs番目の導波路からt番目の導波路へ光信号を伝送する少なくとも1本の折り返し光路(28)を有し、さらに、前記少なくとも1本の折り返し光路の途中に配置された光スイッチ(9)と、前記第1の出力用光路からの出力と前記第2の出力用光路からの出力との少なくとも一方の出力を第3の出力用光路に出力する光路接続手段(39)とを有することを特徴とする周波数選択光スイッチ。
【0042】
本発明によれば、上記光スイッチ(9)のON/OFF状態および光路接続手段(39)の接続状態の組合せにより出力用光路(2)へ出力する光信号を光周波数が決定される。従って、選択すべき光周波数の種類が多い場合であっても、必要なスイッチの数が少なくて済む。
【0043】
本発明に係る周波数選択光フィルタは、図11にその代表的な構成例が開示されたものである。各構成要件に対し図11における対応箇所の符号を括弧書きにて付記すると、本発明は次のように表すことができる。N本(Nは整数)の導波路からなる第1の入出力導波路群(23)とN本の導波路からなる第2の入出力導波路群(27)とを有するアレイ導波路回折格子型光合分波器(21)と、前記第1の入出力導波路群のv1番目(v1は整数)の導波路に接続された第1の入力用光路(31d)と、前記第1の入出力導波路群のw1番目(w1は整数)の導波路に接続された第1の出力用光路(31c)と、前記第1の入出力導波路群のu1番目(u1は整数)の導波路に接続された第2の出力用光路(31m)と、前記第1の入出力導波路群のv2番目(v2は整数)の導波路に接続された第2の入力用光路(31l)と、前記第1の入出力導波路群のw2番目(w2は整数)の導波路に接続された第3の出力用光路(32e)と、前記第1の入出力導波路群のu3番目(u3は整数)の導波路に接続された第4の出力用光路(32k)とを備え、前記v1−v2の絶対値はN/2であり、前記v1、w1、u1、v2、w2、u2はMod〔w1−v1+N,N〕=Mod〔v1−u1+N,N〕=Mod〔w2−v2+N,N〕=Mod〔v2−u2+N,N〕を満たす組合せであり、さらに、Mod〔w1−v1+N,N〕=Mod〔v1−u1+N,N〕=Mod〔w2−v2+N,N〕=Mod〔v2−u2+N,N〕=Mod〔t−s+N,N〕を満たす整数s、tの各組合せに従って接続位置が決定された光路であって、前記第2の入出力導波路群のs番目の導波路からt番目の導波路へ光信号を伝送する折り返し光路(28)を有し、さらに、少なくとも1本の前記折り返し光路の途中に配置された光スイッチ(9)と、第3の入力用光路(1)の出力を前記第1の入力用光路(31d)と前記第2の入力用光路(31l)の少なくとも一方に配分する第1の光路接続手段(39a)と、前記第1ないし第4の出力用光路(32c、32m、32e、32k)からの出力の少なくとも一つの出力を第5の出力用光路(2)に出力する第2の光路接続手段(39b)とを有することを特徴としている。
【0044】
本発明によれば、前述した発明よりもさらにスイッチの数を減らすことができる。
【0045】
以上説明した各発明を実施する際の好適な態様として以下のものが考えられる。
【0046】
前述した周波数選択光フィルタにおいて、前記光路接続手段を1×2光スイッチによって構成する。
【0047】
前述した周波数選択光フィルタにおいて、前記第1の光路接続手段を1×2光スイッチによって構成する。前述した周波数選択光フィルタにおいて、前記第2の光路接続手段を1×4光スイッチによって構成する。
【0048】
前述した周波数選択光フィルタにおいて、第1の1×2光路接続手段と第2の1×2光路接続手段とを並列に配置し、前記第1及び第2の1×2光路接続手段の出力を第3の1×2光路接続手段に入力することにより前記第2の光路接続手段を構成する。前述した周波数選択光フィルタにおいて、前記第1ないし第3の光路接続手段のうち少なくとも1つを1×2光スイッチによって構成する。
【0049】
前述した周波数選択光フィルタにおいて、前記第1の入出力導波路に前記入力用光路と前記出力用光路との組合せを複数組設ける。前述した周波数選択光フィルタにおいて、前記入力用光路、前記出力用光路及び前記折り返し光路の少なくとも1本を光ファイバ伝送路とする。前述した周波数選択光フィルタにおいて、前記入力用光路、前記出力用光路及び前記折り返し光路の少なくとも1本を基板上に作成された光導波路とする。前述した周波数選択光フィルタにおいて、前記アレイ導波路回折格子型光合分波器に代えて、前記第1および第2の導波路群が前記入力用光路、前記出力用光路または前記折り返し光路に接続される導波路のみによって構成されたアレイ導波路回折格子型光合分波器を使用する。
【0050】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に関わる周波数選択光フィルタの各実施例について、図面に基づき詳細に説明する。以下の実施例ではアレイ導波路回折格子型光合分波器の入出力導波路の本数は等しいか、使用しない入出力導波路は削除してもかまわない。ただし、導波路番号を数える際には削除した導波路も存在するものとして考える。
【0051】
(実施例1)図1は、本発明による周波数選択光フィルタの第1の実施例を示す構成図である。この周波数選択光フィルタは、図15を用いて説明した従来例と同様に、第1の入出力導波路23群と第2の入出力導波路27群とがぞれぞれ16個の導波路からなる周波数多重数16(N=16)のアレイ導波路回折格子型光合分波器21を利用している。このアレイ導波路回折格子型光合分波器21において、24,25はスラブ導波路、26はアレイ導波路回折格子である。また、アレイ導波路回折格子型光合分波器21は、従来例と同様に図20に示す周波数合分波特性を示すように設計されているものとする。
【0052】
図1において、1,2はそれぞれ入力用光路,出力用光路に相当する光ファイバ伝送路であり、第1の入出力導波路群23のうちの導波路23h(I8),23g(I7)にそれぞれ接続されている。
【0053】
一方、第2の入出力導波路群27の各導波路27(Jj(j=1,2…,16))には、折り返し光路に相当する光ファイバ28(Fj(j=1,3…,15))がそれぞれ次の様に接続されている。すなわち、導波路27a(J1)と27b(J2)とに光ファイバ28a(F1)が接続され、以下同様に導波路27c(J3)と27d(J4)とに光ファイバ28c(F3)が、…、導波路27o(J15)と27p(J16)とに光ファイバ28o(F15)がそれぞれ接続されている。
【0054】
また光ファイバ28(Fj(j=1,3…,15))の途中には、それぞれ光スイッチ9(Sj(j=1,3,…,15))が設けられ、外部からの指令に基づき光を透過させるON状態と遮断するOFF状態いずれかの状態をとる。
【0055】
次に、図1に示された実施例1の周波数選択光フィルタの動作について、図20と図2を用いて説明する。光周波数f1,f3,…,f15の8波の周波数多重光信号は、光ファイバ伝送路1中を伝搬した後にアレイ導波路回折格子型光合分波器21の第1の入出力導波路23中の23h(I8)に入力する。ここで、アレイ導波路回折格子型光合分波器21は図20に示した周波数合分波特性を示すため、光周波数f1の光信号は第2の入出力導波路27中の27a(J1)を経て光ファイバ28a(F1)中を伝搬する。同様に、図20に従い、光周波数f3の光信号は光ファイバ28c(F3)中を、…、光周波数f15の光信号は光ファイバ28o(F15)中をそれぞれ伝搬する。
【0056】
ここで、8個の光スイッチ9a(S1),9c(S3),…,9o(S15)が仮に全てON状態にあるとすると、光ファイバFx(x=1,3,…,15)中を伝搬する光周波数fxの光は、第2の入出力導波路27中のJ(x+1)にそれぞれ入力される。すなわち、光周波数f1の光信号はは光ファイバF1,光スイッチS1を経てJ2へ入力され、同様に、光周波数f3の光信号は光ファイバF3、光スイッチS3を経てJ4へ、…、光周波数f15の光信号は光ファイバF15,光スイッチS15を経てJ16へ入力される。ここで、J(x+1)に入力された光周波数fxの光は、図20にしたがい、xの値によらずに第1の入出力導波路群23中の導波路23g(I7)に出力される。すなわち、J2に入力された光周波数f1の信号光と、J4に入力された光周波数f3の光信号と、…、J16に入力された光周波数f15の光信号とは、すべて導波路23g(I7)に出力され、この導波路23g(I7)に接続された光ファイバ伝送路2中に送り出される。
【0057】
したがって、8個の光スイッチ9a,9c,…,9oのうちの一つの光スイッチのみ、例えば光スイッチ9a(S1)だけをON状態とし、他の光スイッチをOFF状態とすれば、光周波数f1の信号光だけが光ファイバ伝送路2中に出力される。すなわち、光ファイバ伝送路1中を伝搬してきた8波の周波数多重光のうち、光周波数f1の光信号のみが選択されて光ファイバ伝送路2中に出力される。同様に光スイッチSx(ただし、x=1,3,…,15)だけをON状態とすれば、光周波数fxの光信号が選択される。この様子を、図2に表として示した。
【0058】
次に、図1に示した本実施例1による周波数選択光フィルタの効果について、図3を用いて説明する。図3は、図に1示した実施例1の周波数選択光フィルタを波長多重数16のアレイ導波路回折格子型光合分波器を使用して実際に構成した場合の光フィルタ特性の測定例である。実験に使用したアレイ導波路回折格子型光合分波器は、図19に示した従来の周波数選択光フィルタの特性を測定した際に使用したアレイ導波路回折格子型光合分波器と同一の物である。
【0059】
図3において、(1)は8個の光スイッチ群9を全てOFF状態にした場合の透過特性であり、図15に示した従来の周波数選択光フィルタの特性の測定例である図19(1)に対応する。また、図3(2)は、8個の光スイッチのうちの光スイッチ9(S13)だけをON状態にした場合の測定例で、光周波数f13の光を選択した場合のフィルタ特性であり、図19(2)に対応する。実施例1の周波数選択光フィルタでは、入力用光路と出力用光路である光ファイバ伝送路1,2がいずれもアレイ導波路回折格子型光合分波器の第1の入出力導波路23群に接続されているために、従来例のように光周波数f8の光が低い損失でそのまま出力されてしまうことはない。また非選択光が出力用光路2に達することもないため、図19(1)と図3(1)を比較すれば明らかなように、非選択光の漏れ込み(クロストーク)が減少している。従来のフィルタではもっとも強いクロストーク光の透過率は−33dBであるが、実施例1のフィルタでは−40dBに改善されている。したがって、同一のアレイ導波路回折格子型光合分波器を使いながら、従来例に比して少なくとも7dBもクロストークを改善することができ、周波数多重数を従来例の5倍にしても従来例と同程度の受信感度劣化に抑えることができる。
【0060】
なお、この−40dBのクロストークは、アレイ導波路回折格子型光合分波器21の偏波依存性を解消するためにアレイ導波路回折格子26の途中に挿入されている複屈折媒質部分での残留反射成分である。
【0061】
このように、本実施例1の周波数選択光フィルタでは、フィルタへの入力用光路1と出力用光路2とをアレイ導波路回折格子型光合分波器の同一側の入出力導波路に接続し、一方、アレイ導波路回折格子型光合分波器の逆側の入出力導波路には光スイッチをそれぞれ備えた折り返し光路を接続する巧みな構成により、不要な光出力がなくてクロストーク(漏れ込み)光が少ないという優れた特性を実現している。
【0062】
また、本実施例1および以下の実施例においては、折り返し光路28および入出力光路1,2等として光ファイバを利用したが、従来例と同様、これらを導波路基板上の導波路として構成しても勿論よい。
【0063】
また、図1に示した実施例1においては、第2の入出力導波路27の全ての導波路に折り返し光路を接続してぞれぞれ光スイッチを備えたが、光周波数f1,f3,…,f15の8波のうちで選択する必要のある光周波数に対応する折り返し光路および光スイッチのみを備えてもよい。例えば、選択する必要があるのは光周波数f1,f3,f5のいずれか一つに限定される場合には、折り返し光路28(F7),28(F9),…,28(F15)及び光スイッチ9(S7),9(S9),…,9(S15)を省略してもよい。折り返し光路および光スイッチの一部を省略してもよいのは、以下の実施例においても同様である。
【0064】
また、本実施例1および以下の実施例においては周波数多重数N=16のアレイ導波路回折格子型光合分波器を利用しているが、異なる多重数のアレイ導波路回折格子型光合分波器を利用しても勿論よい。一般にアレイ導波路回折格子型光合分波器の周波数多重数は任意に設計可能であるので、本実施例においては例えばN=2M(Mは自然数)のアレイ導波路回折格子型光合分波器を利用すれば、最大M波の周波数多重光のうちから任意の1波を選択する周波数選択光フィルタを構成することが出来る。
【0065】
また、本実施例および以下の実施例において、アレイ導波路回折格子型光合分波器には波長多重数の整数倍の周期性をもたせることが可能である。すなわち、16×16アレイ導波路回折格子型光合分波器は、例えば波長多重数16に等しい周期性をもった図16に示すような周波数合分波特性を示すように設計することもできる。このように設計したアレイ導波路回折格子型光合分波器を用いれば、例えば光ファイバ伝送路1中に、光周波数f1,f3,f15の8波に加えて、光周波数f17,の光も同時に多重して伝送すれば、光スイッチ9a(S1)をON状態にすることでf1とf17を同時に選択出来る。
【0066】
また、本実施例においては第1の入出力導波路23のうち導波路23g(I7)に光ファイバ伝送路2を接続したが、この代りに、光ファイバ伝送路1が接続されている導波路23h(I8)をはさんで対称の位置にある導波路23i(I9)に光ファイバ伝送路2を接続してもよい。この場合、光スイッチSx(x=1,3,…,15)をON状態にすることで、光周波数fx+1の信号光が選択される。すなわち、光スイッチ9a(S1)で光周波数f2,光スイッチ9c(S3)で光周波数f4,…,光スイッチ9o(S15)で光周波数f16の信号光が選択される。
【0067】
また、本実施例においては第1の入出力導波路23のうちの導波路23h(I8)に入力用光路である光ファイバ伝送路1を接続したが、光ファイバ伝送路1は第1の入出力導波路23のうちのどの導波路に接続してもよい。例えば導波路Ii(iは1≦i≦Nの自然数)に光ファイバ伝送路1を接続した場合には、光ファイバ伝送路2は導波路I(i+1)または導波路I(i−1)に接続すればよい。
【0068】
また、本実施例においては入力用光路と出力用光路とはそれぞれ光ファイバ伝送路1,2の一つづつであるが、複数の入力用光路もしくは出力用光路を設けても勿論よい。例えば、図1の実施例において、導波路23h(I8),23g(I7)にそれぞれ接続された光ファイバ伝送路1,2に加えて、導波路23f(I6)に光ファイバ伝送路1’を接続して第2の入力用光路として光周波数f0,f2,f4,…,f14の周波数多重信号光を伝搬させれば、光スイッチSx(x=1,3,…,15)をON状態にすることで光周波数fx,fx-1の光信号が選択出来る。
【0069】
同様に、図1の実施例において導波路23h(I8),23g(I7)にそれぞれ接続された光ファイバ伝送路1,2に加えて、例えば導波路23d(I4),23c(I3)にそれぞれ光ファイバ伝送路1’,2’を接続してそれぞれを第2の入力用光路,第2の出力用光路とすれば、2系統の周波数選択光フィルタが同時に構成される。この場合、例えば光スイッチS1のみON状態にすれば、光ファイバ伝送路2からは光ファイバ伝送路1を伝搬してきた周波数多重光信号のうちから光周波数f1の光信号が選択されて出力され、一方、光ファイバ伝送路2’からは光ファイバ伝送路1’を伝搬してきた周波数多重光信号のうちから光周波数f-3の光信号が選択されて出力される。
【0070】
なお、複数の入出力用光路を設けてもよいのは以下の実施例においても同様である。
【0071】
さらに、本実施例においては、第2の入出力導波路27のうちで隣接する2つの導波路を折り返し光路28で接続しているが、離れた二つの導波路を折り返し光路で接続するように構成してもよい。この場合、折り返し光路で接続する導波路の間隔を適当に選ぶことにより、フィルタ透過特性の周波数依存性を低減することが出来るという効果も得られるので、実施例2として以下に詳細に説明する。
【0072】
(実施例2)図4は、本発明による周波数選択光フィルタの第2の実施例を示す構成図である。本実施例2が前掲図1を用いて説明した実施例1と異なるのは、アレイ導波路回折格子型光合分波器21として波長多重数16に等しい周期性をもった、図20に示すような周波数合分波特性を示すように設計されたものを用い、さらに第2の入出力導波路群27中の導波路対を結ぶ光ファイバ(折り返し光路)28(Fx,ただしx=1,3,…,15)が、非隣接導波路対(J5,J14),(J7,J16),(J9,J2),(J11,J4),(J13,J6),(J15,J18),(J1,J10),(J3,J12)にそれぞれ接続されている点である。これに伴い、光ファイバ伝送路1,2が接続される第1の入出力導波路23中の導波路も、それぞれ23k(I11),23d(I4)に変更されている。
【0073】
次に、本実施例2による動作を、前記実施例1と異なる部分を中心に説明する。光周波数f1,f3,…,f15の8波の周波数多重光信号は、光ファイバ伝送路1中を伝搬した後にアレイ導波路回折格子型光合分波器21の第1の入出力導波路23中の23k(I11)に入力する。ここで、アレイ導波路回折格子型光合分波器21は図20に示した周波数合分波特性を示すため、光周波数f1の光信号は第2の入出力導波路27中の27n(J14)を経て光ファイバ28a(F1)中を伝搬する。同様に、光周波数f3の光信号は光ファイバ28c(F3)中を、…、光周波数f15の光信号は光ファイバ28o(F15)中をそれぞれ伝搬する。
【0074】
ここで、8個の光スイッチ9a(S1),9c(S3),…,9o(S15)が仮に全てON状態にあるとすると、光ファイバFx(x=1,3,…,15)中を伝搬する光周波数fxの光は、第2の入出力導波路27中のJ(1+Mod〔x+3,16〕)にそれぞれ入力される。ただし、Mod〔x,y〕はxをyで割った時の余りを表す。すなわち、光周波数f1の光信号は光ファイバF1,光スイッチS1を経てJ5へ入力され、同様に、光周波数f3の光信号は光ファイバF3,光スイッチS3を経てJ7ヘ、…、光周波数f15の光信号は光ファイバF15,光スイッチS15を経てJ3へ入力される。ここで、J(1+Mod〔x+3,16〕)に入力された光周波数fxの光は、図16にしたがい、xの値によらずに第1の入出力導波路23中の23d(I4)に出力される。すなわち、J5に入力された光周波数f1の光信号と、J7に入力された光周波数f3の光信号と、…、J3に入力された光周波数f15の光信号とは、すべて14に出力され、I4に接続された光ファイバ伝送路2中に送り出される。
【0075】
したがって、図1,図2を用いて説明した実施例1と同様に、光スイッチSx(ただし、x=1,3,…,15)だけをON状態とすれば、光周波数fxの信号光を選択することが出来る。
【0076】
こうして、本実施例2の周波数選択光フィルタは図1を用いて説明した実施例1とまったく同様な効果が得られる。加えて、折り返し光路28を非隣接導波路対(Js,Jt)(1≦s,t≦16,ただし|s−t|>1)の間に設けるという構成により、光周波数によるフィルタ透過損失のばらつきが減少するという優れた効果を併せ持つ。以下に、この新たな効果について説明する。
【0077】
一般に、アレイ導波路回折格子型光合分波器21の第1,第2の入出力導波路23,27では、両端付近の導波路、例えばI1,I16,J1,J16等を経由する信号光が被る損失は中央付近の導波路、例えば18,19,J8,J9等を経由する信号光が被る損失に比べて2〜3dB程度大きい。このため、図1を用いて説明した実施例1では、例えば光周波数f1の信号光が選択される場合と光周波数f7の信号光が選択される場合とでは、フィルタでの透過損失が4〜6dBも異なってしまう。なぜなら、光周波数f1の信号光は損失の大きな導波路J1,J2を通過するのに対して、光周波数f7の信号光は損失の小さい導波路J7,J8を通過するからである。
【0078】
図5(1)に、図1の実施例1での測定例を示す。もっとも損失の少ないf7,f9の光は選択していない状態だが、それでもまだ4dBもの損失差が光周波数f5と光周波数f15との間で観測されている。
【0079】
ところが、図4を用いて説明した本実施例2では、損失の大きい導波路J16を経由する光周波数f3の信号光は、光ファイバ28c(F3),光スイッチ9c(S3)を経由した後には損失の小さい導波路J7を経由する。他の光周波数の信号光についても同様である。すなわち、折り返し光路を損失の大きい導波路と小さい導波路との間に接続することで、透過損失の平均化が図られる。図5(2)は、図4に示した実施例2での測定例を示しており、透過損失差は1.5dBにまで減少している。図5(1)と比較すれば、実施例2によって得られる新たな効果は明らかである。
【0080】
なお、本実施例においては光ファイバ伝送路1,2を第1の入出力導波路23のうちの導波路23k(I11),23d(I4)にそれぞれ接続したが、一般にそれぞれ導波路Iv,Iw(1≦v,w=≦N,ただし、v,wはMod〔w−v+N,N〕=9を満たす)に接続しても同様な効果が得られる。ここで、Nはアレイ導波路回折格子型光合分波器21の周波数多重数で、本実施例2においては16である。勿論光ファイバ伝送路1,2をそれぞれIw,Ivに接続してもよい。
【0081】
さらに、本実施例2では折り返し光路28で接続する導波路対(Js,Jt)(1≦s,t≦N)として、y=Mod〔t−s+N,N〕で定義される値yが9となる導波路対を用いたが、1≦y≦N−1を満たす自然数yであればなんでもよい。この場合、光ファイバ伝送路1,2が接続される導波路Iv,Iw(1≦v,w≦N)はMod〔w−v+N,N〕=yもしくはMod〔v−w+N,N〕=yを満たすように選択すればよい。
【0082】
以上をまとめると、入力導波路をIv,出力導波路をIwとし、折り返し光路では光信号はJsからJtに進む場合では、Mod〔w−v+N,N〕=Mod〔v−w+N,N〕=Mod〔t−s+N,N〕を満たすv、w、s、tを選べばよい。仮にIv、Iwが既知とすると、上記とは逆の手順でy=Mod〔w−v+N,N〕とおきs=Mod〔t+y,n〕により(s、t)の組を求めることもできる。
【0083】
ここで、y=N/2と設定した場合には、以上説明した本実施例2での効果に加えて周波数多重間隔を半分に出来るという利点を得られ、かつアレイ導波路回折格子型光合分波器21は必ずしも周期性は必要としないという利点があるので、以下に実施例3として詳細に説明する。
【0084】
(実施例3)図6は、本発明の周波数選択光フィルタの第3の実施例を示す構成図である。本実施例3が図4を用いて説明した実施例2と異なるのは、折り返し光路28でお互いに接続する第2の入出力導波路のなかの導波路対(Js,Jt)(1≦s,t≦N)として|t−s|=N/2となる導波路対を用いている点である。ここでは、N=16なので導波路対(J1,J9),(J2,J10),…,(J8,J16)にそれぞれ折り返し光路F6,F7,F8,F1,F2,…,F5が接続されている。これに伴い、光ファイバ伝送路1,2がそれぞれ導波路23m(I13),23e(I5)に変更されている。次に、本実施例3による動作を、前記実施例2と異なる部分を中心に説明する。
【0085】
光周波数f1,f2,…,F8の8波の周波数多重光信号は、光ファイバ伝送路1中を伝搬した後にアレイ導波路回折格子型光合分波器21の第1の入出力導波路23中の23m(I13)に入力する。ここで、アレイ導波路回折格子型光合分波器21は図16に示した周波数合分波特性を示すため、光周波数f1の光信号は第2の入出力導波路27中の27l(J12)を経て光ファイバ28a(F1)中を伝搬する。同様に、光周波数f2の光信号は光ファイバ28b(F2)中を、…、光周波数f8の光信号は光ファイバ28h(F8)中をそれぞれ伝搬する。
【0086】
ここで、8個の光スイッチ9a(S1),9b(S2),…,9h(S8)が仮に全てON状態にあるとすると、光ファイバFy(y=1,2,…,8)中を伝搬する光周波数fyの光は、第2の入出力導波路27中のJ(1+Mod〔y+2,16〕)にそれぞれ入力される。すなわち、光周波数f1のの光信号は光ファイバF1,光スイッチS1を経てJ4へ入力され、同様に、光周波数f2の光信号は光ファイバF2,光スイッチS2を経てJ5 へ、…、光周波数f8の光信号は光ファイバF8,光スイッチS8を経てJ11へ入力される。ここで、J(1+Mod〔y+2,16〕)に入力された光周波数fyの光は、図16にしたがい、yの値によらずに第1の入出力導波路23中の23e(I5)に出力され、光ファイバ伝送路2中を伝搬する。
【0087】
したがって、光スイッチSy(ただし、y=1,2,…,8)だけをON状態とすれば、光周波数fyの信号光をを選択することが出来る。光スイッチの状態と選択される光信号の光周波数の関係を、図7に表として示した。こうして、本実施例3の周波数選択光フィルタは図4を用いて説明した実施例2と同様な効果が得られる。特に、折り返し光路28は|t−s|=N/2なる導波路対(Js,Jt)に接続されているため、もっとも損失の大きい導波路J1,J16を通過する信号光は折り返されてもっとも損失の小さい導波路J9,J8を通過する。この結果、実施例2で説明した損失平均化の効果をもっとも顕著に受けることが出来る。
【0088】
さらに、この折り返し光路28を導波路対(Js,Jt)(1≦s,t≦16,ただし|t−s|=N/2)に設けるという巧みな構成により、周波数多重間隔が実施例2の半分に設計出来るという利点もある。これは、光周波数領域での周波数利用効率を高めることが出来、例えば同一多重数のシステムを構築する場合に揃えるべきレーザ光源の光周波数範囲を狭めることが可能になるなど、その効果は極めて大きい。
【0089】
なお、本実施例においては光ファイバ伝送路1,2を第1の入出力導波路23のうちの導波路23l(I12),23e(I5)にそれぞれ接続したが、一般にはそれぞれ導波路Iv,Iw(1≦v,w≦N ただし|v−w|=N/2を満たす)に接続しても同様な効果が得られる。ここで、Nはアレイ導波路回折格子型光合分波器21の周波数多重数で、本実施例2においては16である。
【0090】
(実施例4)図8は、実施例を示す構成図である。本実施例が図1を用いて説明した実施例1と異なるのは、複数の出力用光路である光ファイバ伝送路32g,32iがそれぞれアレイ導波路回折格子型光合分波器21の第1の入出力導波路のなかの23g(I7),23i(I9)に接続され、光ファイバ伝送路32g,32iに接続された1×2光スイッチ39でいずれか一方を実際に使用する出力用光路として選択するように構成されている点である。
【0091】
次に、図8に示した本実施例4による動作を、前記実施例1と異なる部分について図20および図9を参照して説明する。光周波数f1,f2,f16の16波の周波数多重光信号は、光ファイバ伝送路1中を伝搬した後にアレイ導波路回折格子型光合分波器21の第1の入出力導波路23中の23h(18)に入力する。ここで、アレイ導波路回折格子型光合分波器21は図20に示した周波数合分波特性を示すため、光周波数f1の光信号は第2の入出力導波路27中の27a(J1)を経て光ファイバ28a(F1)中を伝搬し、一方、光周波数f2の光信号は第2の入出力導波路27中の27b(J2)を経て光ファイバ28a(F1)中を逆方向に伝搬する。同様に、光周波数f3,f4の光信号は光ファイバ28c(F3)中をお互いに逆方向に伝搬し、…、光周波数f15,f16の光信号は光ファイバ28o(F15)中をおたがい逆方向にそれぞれ伝搬する。
【0092】
ここで、8個の光スイッチ9a(S1),9c(S3)、…、9o(S15)が仮に全てON状態にあるとすると、光ファイバFx(x=1,3,15)中を伝搬する光周波数fx+1の光は、第2の入出力導波路27中のJ(x+1),Jxにそれぞれ入力される。すなわち、光周波数f1,f2の光信号はともに光スイッチS1を経てそれぞれJ2,J1へ入力され、同様に、光周波数f3,f4の光信号は光スイッチS3を経てJ4,J3へ、…、光周波数f15,f16の光信号は光スイッチS15を経てJ16,J15へそれぞれ入力される。ここで、図20を参照すれば、J(x+1)に入力された光周波数fxの光はxの値によらずに第1の入出力導波路23中の23g(I7)に出力され、一方、Jxに入力された光周波数fx+1の光はxの値によらずに23i(I9)に出力される。すなわち、J2に入力された光周波数f1の光信号と、J4に入力された光周波数f3の光信号と、…、J16に入力された光周波数f15の光信号とは、すべて17に出力されて光ファイバ伝送路32g中に送り出される。一方、J1に入力された光周波数f2の光信号と、J3に入力された光周波数f4の光信号と、…、J15に入力された光周波数f16の光信号とは、すべてI9に出力され、光ファイバ伝送路32i中に送り出される。
【0093】
したがって、8個のスイッチ9a,9c,…,9oのうちの一つの光スイッチのみ、例えば9a(S1)だけをON状態とし、他の光スイッチをOFF状態とすれば、光周波数f1の信号光だけが光ファイバ伝送路32g中に出力され、同時に光周波数f2の信号光だけが光ファイバ伝送路32i中に出力される。このとき、1×2光スイッチ39で光ファイバ伝送路32gを選択すれば、光ファイバ伝送路1中を伝搬してきた16波の周波数多重光のうち、光周波数f1の光信号のみが選択されて光ファイバ伝送路2中に出力される。光周波数f2の光信号のみを選択する場合には、1×2光スイッチ39で光ファイバ伝送路32i側を選択すればよい。同様に、光スイッチSx(ただし、x=1,3,…,15)だけをON状態とし、光スイッチ39を32g側もしくは32i側とすれば、ぞれぞれ光周波数fx,fx+1の信号光が選択される。光スイッチの状態に対して選択される光信号の光周波数を、図9に表としてまとめた。
【0094】
次に、図8に示した本実施例4の周波数選択光フィルタの効果について説明する。まず、以上詳述した本実施例4の動作から、図1を用いて説明した実施例1の有する効果、すなわち不要な光出力がなくてクロストーク(漏れ込み)光が少ないという優れた特性を示すことは明らかである。
【0095】
加えて、図1に示した実施例1に比べて2倍の多重数の周波数多重光を扱うことが出来る。すなわち、例えば図8のように多重数16のアレイ導波路回折格子型光合分波器を用いれば、16波の周波数多重光の中から任意の1ないし複数の信号光を選択可能である。これは、図15を用いて説明した従来例が15波であったのに比べて、1波分だけ改善されている。さらに、本実施例4では、16波の周波数多重光の中から任意の1波の信号光を選択するのに必要な光スイッチの個数は、ON/OFF光スイッチ8個と1×光スイッチ1個の合計9個だけである。これは、従来例では多重光の数だけON/OFF光スイッチが必要であったのに比べて、約半分で済む。その分、部品点数が減ってコストが削減されるのみならず、信頼性の向上、制御回路規模の縮小などその効果は著しい。
【0096】
すなわち、本実施例4は、実施例1で説明した諸効果に加えて、光スイッチ9を逆方向に伝搬する光に対しても利用するという巧みな構成により制御に要する光スイッチの個数をおよそ半分に減らせるという大きな効果が得られる。
【0097】
なお、図8中の1×2光スイッチ39としては、例えば、メカニカル光スイッチを用いればよい。また、図18に示した2×2光スイッチ51を用いればアレイ導波路回折格子型光合分波器21と同一基板上に集積化することが可能となる。さらにON/OFF光スイッチ2台と光カプラもしくはマッハ・ツェンダ干渉計を組み合わせ構成することで、集積可能でかつ消光比の優れた1×2光スイッチを実現してもよい。この構成例を、図10を用いて説明する。
【0098】
図10は、1×2光スイッチ39の構成例を説明する図であって、91,92はON/OFF光スイッチ、514,515は光カプラ、60は合波器(マッハツェンダ干渉計)である。ここで、ON/OFF光スイッチ91,92を、例えば図18に示した導波路型2×2光スイッチの対向端子を利用した構成とし、光スイッチ91,92を相捕的に動作させれば、同一の導波路基板上に集積化可能でかつ消光比の優れた1×2光スイッチを構成することが出来る。図10(1)の構成では、光カプラ515において原理的に3dBの損失を生じる。しかし、図10(2)の構成とし、マッハツェンダ干渉計60を適当に設計してその合波特性の周期を周波数多重間隔の2倍と一致させることにより、原理的には損失のない1×2光スイッチ39が実現可能である。
【0099】
なお、図8に示した本実施例4において、光ファイバ伝送路2から周波数多重信号光を入力し、光ファイバ伝送路1から選択された信号光を取り出すように構成してもよい。
【0100】
また、本実施例においては第1の入出力導波路23のうち導波路23h(I8)に入力用光路である光ファイバ伝送路1を接続したが、光ファイバ伝送路1は第1の入出力導波路23のうちのどの導波路に接続してもよい。例えば導波路Ii(iは1≦i≦16の自然数)に光ファイバ伝送路1を接続した場合には、光ファイバ伝送路32g,32iは導波路23(I(i−1)),導波路23(I(i+1))に接続すればよい。
【0101】
また、実施例1で説明したように、複数の入力用光路を設けて複数系統の周波数選択光フィルタを同時に構成しても勿論よい。
【0102】
さらに、実施例2で説明したように、アレイ導波路回折格子型光合分波器21に前述した周期性を示すものを使用すれば、折り返し光路28で接続する導波路対27(Js,Jt)(1≦s,t≦N)として、y=Mod〔t−s+N,N〕で定義される値yが2≦y≦N−2(ただしy≠N/2)を満たす自然数であるような導波路対を選んでも、勿論よい。この場合、光ファイバ伝送路1,32g,32iが接続される導波路23(Iv,Iw,Iu)(1≦v,w,u,≦N)はMod〔w−v+N,N〕=y,Mod〔v−u+N,N〕=yを満たすように選択すればよい。例えばN=16,y=9,v=11の場合には光ファイバ伝送路32g,32iはそれぞれ導波路23(I4),23(I2)に接続すればよく、この場合、図4を用いて実施例2で説明したように光周波数による損失のばらつきが抑えられるという効果も得ることが出来る。
【0103】
(実施例5)図11は、実施例5を示す構成図である。本実施例が図8を用いて説明した実施例4と異なるのは、複数の入力用光路である光ファイバ伝送路31d,31lがそれぞれ導波路23d(I4),23l (I12)に接続されて、光ファイバ伝送路31d,31l に接続された1×2光スイッチ39aでいずれか一方を実際に使用する入力用光路として選択するように構成されている点である。これに伴い、光ファイバ伝送路31dに対応した出力用光路である光ファイバ伝送路32c,32eがそれぞれ導波路23c(I3),23(I5)に接続され、一方、光ファイバ伝送路31l に対応した出力用光路である光ファイバ伝送路32k,32mがそれぞれ導波路23k(I11),23m(I13)に接続されている。さらに、光ファイバ伝送路32c,32mおよび32e,32kがそれぞれ接続された光カプラ41a,41bを備え、前記光カブラ41a,41bの合波出力のうちいずれか一方を1×2光スイッチ39bで選択して光ファイバ伝送路2中に出力する。また、図8に示した実施例4に備えられていた折り返し光路Fxおよび光スイッチSx(x=1,3,…15)のうち、x=1,3,13,15の部分が取り除かれている。
【0104】
次に、図11に示した本実施例5による動作が前記実施例4と異なる部分について、図20及び図12を参照して説明する。光周波数f1,f2,…,f16の16波の周波数多重光信号は、光ファイバ伝送路1中を伝搬した後に1×2光スイッチ39aに入力し、外部からの制御信号に従って光ファイバ伝送路31dもしくは31l のいずれか一方を経て導波路23d(I4)もしくは23l(I12)に入力する。
【0105】
ここで、アレイ導波路回折格子型光合分波器21は図20に示した周波数合分波特性を示すため、もし光スイッチ39aがd側に接続されている場合には、光周波数f1の光信号は導波路27e(J5)を経て光スイッチ28e(F5)中を伝搬し、一方、光周波数f2の光信号は導波路27f(J6)を経て光ファイバ28e(F5)中を逆方向に伝搬する。同様に、光周波数f3,f4の光信号は光ファイバ28g(F7)中をお互いに逆方向に伝搬し、光周波数f7,f8の光信号は光ファイバ28k(F11)中をおたがい逆方向にそれぞれ伝搬する。
【0106】
一方、もし光スイッチ39aが31l側に接続されている場合には、光周波数f9の光信号が導波路27e(J5)を経て光ファイバ28e(F5)中を伝搬し、一方、光周波数f10の光信号は導波路27f(J6)を経て光ファイバ28e(F5)中を逆方向に伝搬する。同様に、光周波数f11,f12の光信号は光ファイバ28g(F7)中をお互い逆方向に伝搬し、…、光周波数f15,f16の光信号は光ファイバ28k(F11)中をおたがい逆方向にそれぞれ伝搬する。
【0107】
ここで、4個の光スイッチ9e(S5),9g(S7),9i(S9),9k(S11)が仮に全てON状態にあると仮定する。このとき、光ファイバFx(x=5,7,9,11)中を伝搬する光周波数fx-4,fx-3の光は、第2の入出力導波路27中のJ(x+1),Jxにそれぞれ入力される。すなわち、光周波数f1,f2の光信号はいずれも光スイッチS5を経てそれぞれJ6,J5へ入力され、同様に、光周波数f3,f4の光信号は光スイッチS7を経てJ8,J7へ、光周波数f5、f6の光信号は光スイッチS9を経てJ10,J9へ、光周波数f7,f8の光信号は光スイッチS11を経てJ12,J11へそれぞれ入力される。ここで、図20を参照すれば、J(x+1)に入力された光周波数fX-4の光はxの値によらずに導波路23c(I3)に出力され、一方、Jxに入力された光周波数fX-3 の光はxの値によらずに23e(I5)に出力される。
【0108】
同様に、光ファイバ28(Fx)(x=5,7,9,11)中を伝搬する光周波数fX+4,fX+5 の光は、導波路J(x+1),Jxにそれぞれ入力される。ここで、J(x+1)に入力された光周波数fX+4 の光はxの値によらずに導波路23k(I11)に出力され、一方、Jxに入力された光周波数fX+5 の光はxの値によらずに23m(I13)に出力される。
【0109】
したがって、4個の光スイッチ9e(S5),9g(S7),9i(S9),9k(S11)のうちの一つの光スイッチのみ、例えば9e(S5)だけをON状態とし、かつ光スイッチ39aでd側を選択していれば、光周波数f1の信号光だけが光ファイバ伝送路32c中に出力され、同時に光周波数f2の信号光だけが光ファイバ伝送路32e中に出力される。ここで、上記光周波数f1,f2の信号光はそれぞれ光カプラ41b,41aを経て1×2光スイッチ39bに到達するので、例えば光スイッチ39bが32c&m側を選択していれば光ファイバ伝送路2中には光周波数f1の信号光だけが出力される。
【0110】
種々の光スイッチの状態の組合せと、選択される光周波数の対応を、図12に表としてまとめた。例えば、光周波数f8の光信号を選択したい場合には、1×2光スイッチ39a,39bでそれぞれ31d側、32e&k側を選択、かつON/OFF光スイッチ9のうち9k(S11)だけをON状態とすればよい。なお、図11に示した本実施例5では光カプラ41aで光ファイバ伝送路32e,32k中の光信号を合波し、一方光カプラ41bで光ファイバ伝送路32c,32m中の光信号を合波しているが、これは光カプラ41aで光ファイバ伝送路32e,32m中の光信号を合波し、光カプラ41bで光ファイバ伝送路32c,32e中の光信号を合波している。
【0111】
なお、図11に示した本実施例5等、合波器として光カプラを用いた場合は原理的に3dBの損失が生じるが、図10(2)中に示したマッハツェンダ干渉計を利用した合波器60を適当に設計して用いれば原理的には無損失にすることが可能である。なぜならば、例えば図11において光ファイバ伝送路32c中を伝搬する可能性があるのは光周波数f1,f3,f5,f7の信号光であり、一方、光ファイバ伝送路32m中を伝搬する可能性があるのは光周波数f10,f12,f14,f16の信号光である。したがって、例えば周波数多重間隔が100GHzとすれば、周期200GHzのマッハツェンダ干渉計を用いることにより無損失の合波特性を得ることが可能である。
【0112】
さらに、合波器として用いられている光カプラ41a、41bの代わりにそれぞれ1×2光スイッチを備え、選択する光周波数にしたがって切り換えるように構成すると、損失の少ない合波手段を構成することができる。また、光カプラ41a、41b及び光スイッチ39bの代わりに1×4光スイッチで光ファイバ伝送路32c、32e、32k、32mのうちから一つを選択して光ファイバ伝送路2に接続するように構成しても、もちろんよい。
【0113】
次に、図11に示した本実施例5の周波数選択光フィルタの効果について説明する。まず、以上詳述した本実施例5の動作から、図1を用いて説明した実施例1の有する効果、すなわち不要な光出力がなくてクロストーク(漏れ込み)光が少ないという優れた特性を示すことは明らかである。
【0114】
さらに、本実施例5では、16波の周波数多重光の中から任意の1波の信号光を選択するのに必要な光スイッチの個数はON/OFF光スイッチ4個と1×2光スイッチ2個の合計6個だけである。これは、図15を用いて説明した従来例では多重光の数だけON/OFF光スイッチが必要であったのに比べて、約1/4で済む。種々の周波数多重数のアレイ導波路回折格子型光合分波器を用いて同様な周波数選択光フィルタを構成した場合に必要な光スイッチの個数を、図13に表としてまとめた。例えば周波数多重数64のアレイ導波路回折格子型光合分波器を用いて63ないし64波の多重光から1波を選択する光フィルタを構成する場合、従来例では63個の光スイッチが必要であったのが本実施例5の構成ではわずか18個で済む。図8を用いて説明した実施例4でも33個の光スイッチが必要であり、コストの削減や信頼性の向上、制御回路規模の縮小などの効果は極めて著しい。
【0115】
加えて、図11に示した本実施例5では第1および第2の入出力導波路23,27のうち、中央付近の導波路のみを利用しており、I1,I16,J1,J16といった両端付近の導波路は使用していない。一般にアレイ導波路回折格子型光合分波器の両端付近の入出力導波路は中央付近の導波路に比べて損失および導波路間での損失差が大きい。したがって、本実施例5は、損失ならびに光周波数による損失差のばらつきが改善されるという効果も併せ持っている。
【0116】
以上まとめると、本実施例5は、実施例4で説明した諸効果に加えて、入力用光路と出力用光路をともに複数のうちから一つ選択出来るように構成することで、光スイッチ9を双方向に伝搬するそれぞれ2種類の光周波数の異なる光に対して利用するという巧みな構成により、制御に要する光スイッチの個数をさらに減らせるとともに損失および損失差の少ない周波数選択光フィルタを構成出来るという複合的で極めて著しい効果を得ることができる。
【0117】
なお、図11に示した光回路においても光ファイバ伝送路2から周波数多重信号光を入力し、光ファイバ伝送路1から選択された信号光を取り出すように構成してもよい。また、図11に示した本実施例5においては折り返し光路Fx、光スイッチSxとしてx=5,7,9,11なる4つの光路及び光スイッチを備えているが、この代わりに例えば図1に示された折り返し光路Fxおよび光スイッチSxのうちx=1,3,13,15なる4つの光路及び光スイッチを備えても、同様な機能を有する光ファイバを構成することが可能である。
【0118】
また、本実施例5においては導波路23d(I4),23l (I12)に入力用光路である光ファイバ伝送路31d,31lを接続したが、第1の入出力導波路23のうち他の導波路に接続してもよい。例えば、光ファイバ伝送路31d,31lをそれぞれ導波路Ii,I(i+(N/2))(iは1≦i≦N/2の自然数、Nは周波数多重数)に接続して、光ファイバ伝送路32c,32d,32k,32mを第1の入出力導波路23のうちの対応した導波路にそれぞれ接続することにより、同様な機能を有する周波数選択光フィルタを構成することが可能である。
【0119】
また、実施例1で説明したように、複数系統の周波数選択光フィルタを同時に構成しても勿論よい。さらに、実施例2で説明したように、折り返し光路28で接続する導波路対(Js,Jt)(1≦s,t≦N)として、y=Mod〔t−s+N,N}で定義される値yが1≦y≦N−1を満たす自然数であるような導波路対を選んでも、勿論よい。
【0120】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、フィルタへの入力用光路と出力用光路とをアレイ導波路回折格子型光合分波器の同一側の入出力導波路に接続し、一方、アレイ導波路回折格子型光合分波器の逆側の入出力導波路には光スイッチをそれぞれ備えた折り返し光路を接続する構成により、不要な光出力がなくクロストーク(漏れ込み)光が少ないという優れた特性を実現している。また、本願発明のうち、折り返し光路及び光スイッチを逆方向に伝搬する光に対しても利用するようにした各発明によれば、このような2重化した光スイッチの利用形態をとったことにより、制御に要する光スイッチの個数を少なくすることができるという大きな効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の周波数選択光フィルタを示す構成図である。
【図2】本発明の実施例1における周波数選択動作を説明する図である。
【図3】本発明の実施例1のフィルタ特性の測定例である。
【図4】本発明の実施例2の周波数選択光フィルタを示す構成図である。
【図5】本発明の実施例2のフィルタ特性の測定例である。
【図6】本発明の実施例3の周波数選択光フィルタを示す構成図である。
【図7】本発明の実施例3における周波数選択動作を説明する図である。
【図8】本発明の実施例4の周波数選択光フィルタを示す構成図である。
【図9】本発明の実施例4における周波数選択動作を説明する図である。
【図10】本発明の実施例4に用いられる1×2光スイッチの構成を説明する図である。
【図11】本発明の実施例5の周波数選択光フィルタを示す構成図である。
【図12】本発明の実施例5における周波数選択動作を説明する図である。
【図13】本発明の実施例4及び実施例5で得られる光スイッチの個数低減効果を説明する図である。
【図14】従来の周波数選択光フィルタの原理を説明する図である。
【図15】従来の周波数選択光フィルタを示す構成図である。
【図16】周波数多重数16のアレイ導波路回折格子型光合分波器の周波数合分波特性を示す図である。
【図17】従来の周波数選択光フィルタにおける周波数選択動作を説明する図である。
【図18】導波路型光スイッチの構成例を説明する図である。
【図19】従来の周波数選択光フィルタの特性の測定例である。
【図20】16×16のアレイ導波路回折格子型光合分波器の周波数合分波特性を示す図である。
【符号の説明】
1,2,1’,2’ 光ファイバ伝送路9a〜9p 光スイッチ29a〜29p 2×2光スイッチ21 アレイ導波路回折格子型光合分波器23a〜23p 第1の入出力導波路24,25 スラブ導波路26 アレイ導波路回折格子27a〜27p 出力導波路18a〜18p 光ファイバ(ループバック光路)28a〜28p,28’a〜28’p 光ファイバ(折り返し光路)31d,31l,32c,32e,32g,32i,32k,32m, 光ファイバ伝送路39,39a,39b 1×2光スイッチ41a,41b 光カプラ

Claims (13)

  1. 各々の光周波数がf1,f3,…,f(2N−1)近傍であるN/2波の周波数多重された光信号から希望の光周波数の光信号だけを選択して取り出す周波数選択光フィルタであって、
    N本(Nは正の偶数)の導波路Ii(1≦i≦N)からなる第1の入出力導波路群とN本の導波路Jj(1≦j≦N)からなる第2の入出力導波路群とを有し前記導波路Iiから前記導波路Jjには光周波数fk近傍(ただしk=i+j−v)の光信号を選択的に透過するアレイ導波路回折格子型光合分波器と、
    前記第1の入出力導波路群のv番目(vは整数)の導波路Ivに接続された入力用光路と、
    前記第1の入出力導波路群のw番目(wは整数)の導波路Iwに接続された出力用光路と、
    各々、Mod〔w−v+N,N〕=Mod〔t−s+N,N〕または
    Mod〔v−w+N,N〕=Mod〔t−s+N,N〕
    を満たす整数s、tの組合せの中から選ばれた複数のs、tに対応した折り返し光路であって、各々、前記第2の入出力導波路群のs番目の導波路Jsからt番目の導波路Jtへ光信号を伝送するN/2本の折り返し光路と、
    前記複数の折り返し光路の途中に配置されたN/2個の光スイッチから構成される光スイッチ群とを有し、
    該光スイッチ群は、選択された光周波数の透過する折り返し光路の途中に配置された1つの光スイッチだけをON状態とし、他の前記光スイッチをOFF状態とした光スイッチ群であることを特徴とする周波数選択光フィルタ。
  2. 各々の光周波数がf1,f2,…,f(N/2)近傍であるN/2波の周波数多重された光信号から希望の光周波数の光信号だけを選択して取り出す周波数選択光フィルタであって、
    N本(Nは正の偶数)の導波路Ii(1≦i≦N)からなる第1の入出力導波路群とN本の導波路Jj(1≦j≦N)からなる第2の入出力導波路群とを有し前記導波路Iiから前記導波路Jjには光周波数fk近傍(ただしk=i+j−v)の光信号を選択的に透過するアレイ導波路回折格子型光合分波器と、
    前記第1の入出力導波路群のv番目(vは整数)の導波路Ivに接続された入力用光路と、
    前記第1の入出力導波路群のw番目(wは整数)の導波路Iwに接続された出力用光路と、
    各々、Mod〔w−v+N,N〕=Mod〔t−s+N,N〕または
    Mod〔v−w+N,N〕=Mod〔t−s+N,N〕を満たし、かつ、t−sの絶対値がN/2である整数s、tの組合せの中から選ばれた複数のs、tに対応した折り返し光路であって、
    各々、前記第2の入出力導波路群のs番目の導波路Jsからt番目の導波路Jtへ光信号を伝送するN/2本の折り返し光路と、
    前記複数の折り返し光路の途中に配置されたN/2個の光スイッチから構成される光スイッチ群とを有し、
    該光スイッチ群は、選択された光周波数の透過する折り返し光路の途中に配置された1つの光スイッチだけをON状態とし、他の前記光スイッチをOFF状態とした光スイッチ群であることを特徴とする周波数選択光フィルタ。
  3. 各々の光周波数がf1,f2,…,fN近傍であるN波の周波数多重された光信号から希望の光周波数の光信号だけを選択して取り出す周波数選択光フィルタであって、
    N本(Nは正の偶数)の導波路Ii(1≦i≦N)からなる第1の入出力導波路群とN本の導波路Jj(1≦j≦N)からなる第2の入出力導波路群とを有し前記導波路Iiから前記導波路Jjには光周波数fk近傍(ただしk=i+j−v)の光信号を選択的に透過するアレイ導波路回折格子型光合分波器を有し、
    さらに、各々Mod〔w−v+N,N〕=Mod〔v−u+N,N〕を満たす各整数v、w、uに従って接続位置が決定された光路であって、
    前記第1の入出力導波路群のv番目の導波路Ivに接続された入力用光路と、前記第1の入出力導波路群のw番目の導波路Iwに接続された第1の出力用光路と、
    前記第1の入出力導波路群のu番目の導波路Iuに接続された第2の出力用光路とを有し、
    さらに、Mod〔w−v+N,N〕
    =Mod〔v−u+N,N〕
    =Mod〔t−s+N,N〕
    を満たす整数s、tの各組合せに従って接続位置が決定された光路であって、
    前記第2の入出力導波路群のs番目の導波路Jsからt番目の導波路Jtへ光信号を伝送するN/2本の折り返し光路を有し、
    さらに、前記N/2本の折り返し光路の途中に配置された光スイッチから構成される光スイッチ群と、
    前記第1の出力用光路からの出力と前記第2の出力用光路からの出力との一方の出力を第3の出力用光路に出力する光路接続手段とを有し、
    該光スイッチ群は、選択された光周波数の透過する折り返し光路の途中に配置された1つの光スイッチだけをON状態とし、他の前記光スイッチをOFF状態とした光スイッチ群であることを特徴とする周波数選択光フィルタ。
  4. 各々の光周波数がf1,f2,…,fN近傍であるN波の周波数多重された光信号から希望の光周波数の光信号だけを選択して取り出す周波数選択光フィルタであって、
    N本(Nは4の倍数)の導波路Ii(1≦i≦N)からなる第1の入出力導波路群とN本の導波路Jj(1≦j≦N)からなる第2の入出力導波路群とを有し前記導波路Iiから前記導波路Jjには光周波数fk近傍(ただしk=i+j−v)の光信号を選択的に透過するアレイ導波路回折格子型光合分波器と、
    前記第1の入出力導波路群のv1番目(v1は整数)の導波路Iv1に接続された第1の入力用光路と、
    前記第1の入出力導波路群のw1番目(w1は整数)の導波路Iw1に接続された第1の出力用光路と、
    前記第1の入出力導波路群のu1番目(u1は整数)の導波路Iu1に接続された第2の出力用光路と、
    前記第1の入出力導波路群のv2番目(v2は整数)の導波路Iv2に接続された第2の入力用光路と、
    前記第1の入出力導波路群のw2番目(w2は整数)の導波路Iw2に接続された第3の出力用光路と、
    前記第1の入出力導波路群のu2番目(u2は整数)の導波路Iu2に接続された第4の出力用光路とを備え、
    前記v1−v2の絶対値はN/2であり、
    前記v1、w1、u1、v2、w2、u2は
    Mod〔w1−v1+N,N〕
    =Mod〔v1−u1+N,N〕
    =Mod〔w2−v2+N,N〕
    =Mod〔v2−u2+N,N〕
    を満たす組合せであり、さらに、
    Mod〔w1−v1+N,N〕
    =Mod〔v1−u1+N,N〕
    =Mod〔w2−v2+N,N〕
    =Mod〔v2−u2+N,N〕
    =Mod〔t−s+N,N〕
    を満たす整数s、tの各組合せに従って接続位置が決定された光路であって、前記第2の入出力導波路群のs番目の導波路Jsからt番目の導波路Jtへ光信号を伝送するN/4本の折り返し光路を有し、さらに、
    複数の前記折り返し光路の途中に配置された光スイッチから構成される光スイッチ群と、
    第3の入力用光路の出力を前記第1の入力用光路と前期第2の入力用光路の一方に配分する第1の光路接続手段と
    前記第1ないし第4の出力用光路からのいずれか一の出力を第5の出力用光路に出力する第2の光路接続手段とを有し、
    該光スイッチ群は、選択された光周波数の透過する折り返し光路の途中に配置された1つの光スイッチだけをON状態とし、他の前記光スイッチをOFF状態とした光スイッチ群である
    ことを特徴とする周波数選択光フィルタ。
  5. 前記光路接続手段が1×2光スイッチであることを特徴とする請求項3に記載の周波数選択光フィルタ。
  6. 前記第1の光路接続手段が1×2光スイッチであることを特徴とする請求項4に記載の周波数選択光フィルタ。
  7. 前記第2の光路接続手段が1×4光スイッチであることを特徴とする請求項5に記載の周波数選択光フィルタ。
  8. 前記第2の光路接続手段が第1の1×2光路接続手段と第2の1×2光路接続手段を並列に配置し、前記第1及び第2の1×2光路接続手段の出力を第3の1×2光路接続手段に入力することを特徴とする請求項4に記載の周波数選択光フィルタ。
  9. 前記第1ないし第3の光路接続手段のうち少なくとも1つが1×2光スイッチであることを特徴とする請求項8に記載の周波数選択光フィルタ。
  10. 前記第1の入出力導波路に前記入力用光路と前記出力用光路との組合せを複数組有することを特徴とする請求項1、2または3のいずれか1の請求項に記載の周波数選択光フィルタ。
  11. 前記入力用光路、前記出力用光路及び前記折り返し光路の少なくとも1本が光ファイバ伝送路であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1の請求項に記載の周波数選択光フィルタ。
  12. 前記入力用光路、前記出力用光路及び前記折り返し光路の少なくとも1本が基板上に作成された光導波路であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1の請求項に記載の周波数選択光フィルタ。
  13. 前記アレイ導波路回折格子型光合分波器に代えて、前記第1および第2の導波路群が前記入力用光路、前記出力用光路または前記折り返し光路に接続される導波路のみによって構成されたアレイ導波路回折格子型光合分波器を有することを特徴とする請求項1〜12のいずれか1の請求項に記載の周波数選択光フィルタ。
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