JP3243118B2 - 周波数選択光フィルタ - Google Patents

周波数選択光フィルタ

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JP3243118B2 JP11920794A JP11920794A JP3243118B2 JP 3243118 B2 JP3243118 B2 JP 3243118B2 JP 11920794 A JP11920794 A JP 11920794A JP 11920794 A JP11920794 A JP 11920794A JP 3243118 B2 JP3243118 B2 JP 3243118B2
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  • Use Of Switch Circuits For Exchanges And Methods Of Control Of Multiplex Exchanges (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は光周波数分割多重伝送方
式において、周波数多重された複数の光信号のうちから
希望の光周波数の光信号を選択して取り出す周波数選択
光フィルタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、周波数多重(波長多重と同義)さ
れた複数の光信号から希望の光周波数の光信号だけを選
択して取り出す周波数選択光フィルタとしては、ファブ
リーペロー干渉計もしくはマッハツェンダ干渉計の原理
を応用した光フィルタが用いられてきた。
【0003】この種の周波数選択光フィルタは、例え
ば、光ファイバを切断し両方の切断面を研摩して対向配
置することにより構成され、両切断面間で光が多重反射
するようになっている。この多重反射の際、ある特定の
波長(光周波数)の光だけが、多重反射光同士で位相が
一致して強め合い、光フィルタを透過することとなる。
ここで、透過される波長(光周波数)の値は、両切断面
間の距離によって連続的に変化する。したがって、この
距離を変化させることで、希望の波長(光周波数)の光
信号だけを選択することができる。
【0004】しかし、上述した周波数選択光フィルタで
は、透過する波長(光周波数)の値を連続(アナログ)
的にしか制御することができないために、周波数多重数
が多い場合に、高い精度でのアナログ制御が要求される
という本質的な欠点がある。この欠点を解決するため
に、アレイ導波路回折格子型光合分波器にループバック
光路と光スイッチを備えた回路が提案されるに至った。
このループバック光路付アレイ導波路回折格子型光合分
波器を用いた周波数選択光フィルタについて、図17〜
図20を用いて説明する。
【0005】なお、この従来例の詳細については特願平
5−233874(立川、河内・高橋・井上,「ループ
バック光路付アレイ導波路回折格子型光合分波器」平成
5年9月20日提出,特願平4−260222(平成4
年9月29日提出)に基づく優先権主張)に述べられて
いる。
【0006】図17に、従来の周波数選択光フィルタの
動作原理を示す。図中、1および2は光ファイバ伝送路
で、光ファイバ伝送路1中には光周波数がそれぞれ
1,f2,…,fn のn波の信号光が周波数多重されて
伝搬している。周波数選択光フィルタ3では、入射する
多重光信号をまず分波器4により光周波数(波長)の異
なるn個の信号光に分離し、対応する光ファイバ8a,
8b,…,8n中を伝搬させる。ここで、光ファイバ8
a,8b,…,8nの途中にはそれぞれ光スイッチ9
a,9b,…,9nが備えられており、選択する光周波
数fiに対応する光スイッチ9iのみをON状態にす
る。こうして選択された光周波数fiの信号光は、合波
器5を経て光ファイバ伝送路2中に出力される。
【0007】立川等は、上述した特許出願の中で、この
原理における分波器4と合波器5とを一つのアレイ導波
路回折格子型光合分波器で構成する技術を開示してい
る。この技術に基づき、図17に示した原理を実現する
ために使用される従来の周波数選択光フィルタを図18
に示す。図18において、21はアレイ導波路回折格子
型光合分波器であり、複数本の導波路23a〜23pか
らなる第1の入出力導波路群23、スラブ導波路24、
アレイ導波路回折格子26、スラブ導波路25、複数本
の導波路27a〜27pからなる第2の入出力導波路群
27が同一基板上に形成されてなるものである。また、
18は光ファイバ18a〜18pからなる光ファイバ
群、9は光スイッチ9a〜9pからなる光スイッチ群で
ある。図18においては、第1の入出力導波路群23の
各導波路を示す符号23a〜23pの後にI1〜I16
までの符号が括弧書きにて付記されているが、これらの
I1〜I16は、第1の入出力導波路群23内において
当該導波路が何番目の導波路であるかを示すインデック
スである。また、このインデックスI1〜I16と同様
な趣旨のインデックスJ1〜J16、K1〜K16、S
1〜S16が、導波路を示す符号27a〜27pの後、
光ファイバを示す符号18a〜18pの後、光スイッチ
を示す符号9a〜9pの後に各々括弧書きで付記されて
いる。以下では、説明の便宜上、例えば導波路23gを
特定する場合には導波路23g(I7)または23(I
3)というように、インデックスを用いた表記により導
波路を特定する。
【0008】上記の表記法に従って説明すると、各光フ
ァイバ18(Kj)は、第2の入出力導波路群27の各
導波路27(Jj)と第1の入出力導波路群23の各導
波路(Ij)との間を接続するものであり、導波路27
(Jj)から出力される信号光をこの導波路27(J
j)に対応する導波路23(Ij)に戻すループバック
光路としての役割を果すものである。また、各光ファイ
バ18(Kj)の途中にはそれぞれ光スイッチ9(S
j)が設けられている。光ファイバ伝送路1は、入力用
光路としての役割を果すものである。また、光ファイバ
伝送路2は、出力用光路としての役割を果すものであ
る。
【0009】一般にアレイ導波路回折格子型光合分波器
21の第1の入出力導波路群23,第2の入出力導波路
群27の各導波路数M,Nは任意であるが、ここでは簡
単のためM=N=16とし、光ファイバ伝送路1は16
個の第1の入出力導波路群23の各導波路23a(I
1),23b(I2),…,23p(I16)のうち導
波路23h(18)に接続され、同様に光ファイバ伝送
路2は16個の第2の入出力導波路群27の各導波路2
7a(J1),27b(J2),…,27p(J16)
のうち導波路27h(J8)に接続されている。
【0010】図18に示す従来例においては、光周波数
1,f2,…,f16の16波の周波数多重光信号は、光
ファイバ伝送路1中を伝搬した後にアレイ導波路回折格
子型光合分波器21の第1の入出力導波路群中のインデ
ックスI8に対応した導波路23hに入力される。スラ
ブ導波路24では、この周波数多重光信号が回折により
広がり、アレイ導波路回折格子26を構成する複数の導
波路に入力される。
【0011】周波数多重光信号は、このアレイ導波路回
折格子26を伝搬した後にスラブ導波路25により集光
されるが、アレイ導波路回折格子26を伝搬する間に生
じた位相差により収束光の収束位置が光周波数により異
なることとなる。図18に示すアレイ導波路回折格子型
光合分波器21は、この原理を応用したものであり、図
23に示すような周波数合分波特性を示すように設計さ
れている。
【0012】例えば、光周波数f1〜f16の光信号から
なる周波数多重光信号が第1の入出力導波路群23の導
波路23h(I8)に入力された場合、図23に示すよ
うに、光周波数f1の光信号は第2の入出力導波路群2
7中の導波路27a(J1)から、光周波数f2の光信
号は導波路27b(J2)から、…、光周波数f16の光
信号は導波路27p(J16)から、というように光周
波数fj(j=1,2,…,16)は対応した導波路2
7(Jj)から取り出される。
【0013】また、導波路23h(I8)よりもインデ
ックスが1だけ大きい導波路23i(I9)に周波数多
重光信号が入力された場合には、この周波数多重光信号
を構成する各光信号(光周波数f1〜f16)とこれらが
出力される第2の入出力導波路群27内の各導波路27
(Jj)との関係が図23に示すように導波路1本分だ
けシフトすることとなり、光周波数f2の光信号は導波
路27a(J1)から、…、光周波数f16の光信号は導
波路27o(J15)から取り出されることとなる。
【0014】また、アレイ導波路回折格子型光合分波器
21は、その構造が対称であるため、周波数合分波特性
も図23に示すように可逆性を呈する。すなわち、例え
ば、光周波数f1〜f16の光信号からなる周波数多重光
信号が第2の入出力導波路群27の導波路27h(J
8)に入力された場合、図23に示すように、光周波数
f2の光信号は導波路23b(I2)から、…、光周波
数f16の光信号は導波路23p(I16)から、という
ように光周波数fj(j=1,2,…,16)は対応し
た導波路23(Ij)から取り出される。
【0015】また、導波路27h(J8)よりもインデ
ックスが1だけ大きい導波路27i(J9)に周波数多
重光信号が入力された場合には、この周波数多重光信号
を構成する各光信号(光周波数f1〜f16)とこれらが
出力される第1の入出力導波路群23内の各導波路23
(Ij)との関係が図23に示すように導波路1本分だ
けシフトすることとなり、光周波数f2の光信号は導波
路23a(I1)から、…、光周波数f16の光信号は導
波路23o(I15)から取り出されることとなる。
【0016】さて、第2の入出力導波路群27の各導波
路27(Jj)から取り出された光周波数fjの信号光
は、それぞれ光ファイバ(ループバック光路)18(K
j)中を伝搬する。ここで、各光ファイバ(ループバッ
ク光路)18(Kj)の途中にそれぞれ設けられている
光スイッチ9(Sj)は、外部からの指令に基づき光を
透過させるON状態と遮断するOFF状態のいずれかの
状態をとる。そして、この光スイッチがON状態にある
ループバック光路を伝搬している光信号は、第1の入出
力導波路23からアレイ導波路回折格子型光合分波器2
1に再度入力される。
【0017】第1の入出力導波路群23にもどされた信
号光は、1度目と同様の作用により第2の入出力導波路
郡27に出力される。ここで重要なのは、j番目の光フ
ァイバ(ループバック光路)18(Kj)は第1の入出
力導波路群23中j番目の導波路23(Ij)に接続さ
れていることである。アレイ導波路回折格子型光合分波
器21は、ここでは図19に示すような周波数合分波特
性を示すように設計されているので、導波路23(I
j)から入力した光周波数fjの信号光は、第2の入出
力導波路中の27(J8)から出力される。こうして、
光ファイバ(ループバック光路)18(Kj)(j=
1,2,…,16)を伝搬しON状態のスイッチ9(S
j)を経由して導波路23(Ij)に再度入力された光
周波数fjの信号光は、インデックスjの値によらず同
筋27(J8)から光ファイバ伝送路2へ送り出され
る。
【0018】一方、光スイッチ9(Sj)がOFF状態
にあるループバック光路を伝搬している光信号はアレイ
導波路回折格子型光合分波器21に再入力されないた
め、光ファイバ伝送路2へ送り出されることはない。
【0019】したがって、選択したい光周波数の光が伝
搬する光ファイバ(ループパック光路)18(Kj)に
設けられた光スイッチ9(Si)だけをON状態とし、
他の光スイッチ9をOFF状態とすれば、光ファイバ伝
送路1中を伝搬してきた周波数多重信号光のうち、希望
の光周波数の光だけが光ファイバ伝送路2中に出力され
る。図20は、アレイ導波路回折格子型光合分波器21
の周波数合分波特性が図23のように設計されている場
合の、ON状態にする光スイッチ9(Sj)と選択され
る光周波数fjとの関係を示している。
【0020】こうして、図18に示した従来の周波数選
択光フィルタでは、対応する光スイッチ9(Sj)のみ
をON状態にするというデジタル的な制御で希望の光周
波数の信号光を選択することが可能であり、かつ周波数
多重数が増えた場合でも高精度なアナログ制御を必要と
しない。
【0021】なお、光スイッチ9を例えば図21に示す
ように構成し、ループバック光路18を導波路で作成す
れば、図18に示した周波数選択光スイッチをすべて一
枚の導波路基板上に集積化することも可能である。ここ
で図21に示される2×2光スイッチ51は、石英導波
路基板512上に石英導波路によって3dBカプラ51
4,515を形成して2光束干渉系を構成している。こ
こでヒータ513に電流を流して導波路の特定部分の温
度を変化させ、温度変化に伴う屈折率変化によって入出
力光路517,519間でのON/OFFスイッチ動作
を実現する。
【0022】なお、図21において、入力出力光路51
7,519を2×2光スイッチ51の対角位置に接続し
ているのは、高い消光比のON/OFFスイッチ動作を
得るためである。この事実の詳細は、文献(小湊他、電
子情報通信学会論文誌C−I,vol.J73−C−
I,No.5,pp.354−359,1990年5
月)に記載されている。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】しかし、図18を用い
て説明した従来の周波数選択光フィルタは、次の問題点
を有していた。 <問題点1>特定の光周波数の光が常に出力されてしま
う。 <問題点2>漏れ込み(クロストーク)光が除去出来な
い。 <問題点3>周波数多重の数だけ光スイッチが必要であ
る。以下に上記各問題点について詳細に説明する。
【0024】<問題点1>「特定の光周波数の光が常に
出力されてしまう」に関して 図18に示した従来例において、光ファイバ伝送路1中
を伝搬してきた周波数多重光信号中に光周波数f8の光
が含まれた場合、この光周波数f8の光だけは光ファイ
バ(ループバック光路)18を通過せず、第1の入出力
導波路23中の23h(18)、アレイ導波路回折格子
2における第2の入出力導波路群27中の導波路27h
(J8)をそれぞれを経由して光ファイバ伝送路2中に
出力される(図19参照)。このため、光周波数f8の
光は、15個の光スイッチ9のいずれの状態にもよらず
常に光ファイバ伝送路2中に出力されてしまう。図22
は図18に示した従来の周波数選択光フィルタの透過特
性の測定例を示す図であって、図22(1)は光スイッ
チ9(Sj)を全てOFF状態にした場合である。
【0025】したがって、仮に光周波数f8の光が光フ
ァイバ伝送路1中に混入して伝送されてきた場合、希望
の光周波数fj(j≠8)を選択してもfjの信号光と
一緒にf8の光も出力されてしまう。特に、光周波数f
jの信号光はアレイ導波路回折格子型光合分波器21を
2回通過するのに対して光周波数f8の光は1回しか通
過しないため、妨害光となる光周波数f8の光の方が損
失が少ない。このため、希望の信号光のS/Nが著しく
劣化してしまう。図22(2)は、希望の光周波数f13
選択した場合のフィルタ特性の測定例である。妨害光と
なるf8での透過損失の方が7dBも小さい。
【0026】<問題点2>「漏れ込み(クロストーク)
光が除去出来ない」に関して 周波数多重信号光のなかから希望の光周波数の信号光だ
けを取り出す周波数選択光フィルタにおいては、選択さ
れない光周波数の光が出力に漏れ込んだ場合、クロスト
ーク光として雑音になり、希望の信号光のS/Nを劣化
させる要因となる。漏れ込み光の光パワーの合計が希望
の信号光の例えば0.4倍(−4dB)になると、受信
感度は3dBも劣化する(例えば、K.Oda and
H.Toba,IEEE Journal of Lig
htwave Technology,Vol.no 5
/6,1993,pp,809,Fig.10参照)。
これは、同じ符号誤り率を実現するためには2倍の光パ
ワーで信号を送らなければならないことに相当し、極め
て都合が悪い。
【0027】ところが、図18を用いて説明した従来の
周波数選択光フィルタに利用されているアレイ導波路回
折格子型光合分波器21の周波数合分波特性(図19参
照)は、アレイ導波路回折格子26の作成精度等により
実際のデバイスでは不完全にしか実現できない。このた
め、例えば第1の入出力導波路23中の23h(I8)
に入力された光周波数f1,f2,…,f16(ただしf8
は除く)の15波の周波数多重された信号光は、わずか
ではあるが、光ファイバ伝送路2の接続されている第2
の入出力導波路27中の27h(J8)に直接出力され
てしまう。
【0028】例えば図22(1)に示した測定例では、
光スイッチ9(Sj)はすべてOFF状態にあるので、
本来は、上述した第1の欠点で生じる光周波数f8の光
を透過する以外はまったく光を透過させないはずであ
る。しかし、実際にはf8以外の光でも−33〜−36
dB程度の透過率が観測されている。
【0029】したがって、例えば図22(2)に示した
ように光周波数f13の光を選択した場合に、ひとつの信
号光あたり−23dB程度のクロストークが生じる。ス
クロトークは選択された光周波数以外の全ての光周波数
の信号光によって生じうるので、クロストーク光(漏れ
込み光)の全光パワーは、この(N−2)倍(Nは周波
数多重数)になる。したがって、周波数多重数が増加し
て例えばN=100になれば、クロストーク光の全光パ
ワーは約−3dBとなり、上述したように受信感度が3
dB以上劣化してしまう。
【0030】加えて、選択された光周波数の信号光に関
しても、同様な仕組みによるクロストークが存在する。
例えば、図22(2)の場合、すなわち光周波数f13
信号光を選択している場合を考える。光ファイバ伝送路
1,導波路23h(I8)を経てアレイ導波路回折格子
型光合分波器21に入力される光周波数f13の信号光
は、本来、導波路27m(J13),光スイッチ9m
(S13),導波路23m(I13)を経由し、導波路
27h(J8)を経て光ファイバ伝送路2中に出力され
る。しかし、導波路23h(I8)から入力された光周
波数f13の信号光のごく一部は、直接、導波路27h
(J8)にクロストーク光として出力されてしまう。例
えば図22(1)を参照すれば、光周波数f13の信号光
のうち−36dBは、直接光ファイバ伝送路2中に出力
されてしまう。図22(2)に示されたように本来の経
路をへて出力される光周波数f13の信号光の強度は−1
3dBであるので、差引き−23dBのクロストークが
存在する。
【0031】そして、都合の悪いことに、このクロスト
ーク光は選択される信号光と同じ光周波数の光であるの
で、コヒーレントに干渉してしまう。すなわち、光強度
ではなく光電界が足し合わされる。このため、たとえば
僅か−23dB(0.005倍)のクロストークでも、
光強度にすれば、−11.5dBもの強度揺らぎを生じ
ることがあり、信号光のS/Nを著しく劣化させる要因
となり、はなはだ不都合である。
【0032】<問題点3>「周波数多重の数だけ光スイ
ッチが必要である」に関して 図18を用いて説明した従来の周波数選択光フィルタに
おいては、図20に示したように、選択する光周波数一
つに対して、対応するON/OFF型光スイッチ一つが
必要である。すなわち、周波数多重数Nの多重光から任
意の光信号を取り出せるように構成するには、N個の光
スイッチが必要となる。したがって、周波数多重数Nが
増加した場合には、きわめて多数の光スイッチを備える
必要があり、コストがかかる。さらに、信頼性低下の原
因にもなりうる。
【0033】本発明は、上記事情を鑑みてなさたもので
あって、不要な光出力がなくてクロストーク(漏れ込
み)光が少なく、さらに場合によっては制御に要する光
スイッチの個数が少なくてすむ周波数選択光フィルタを
提供することを目的とする。
【0034】
【課題を解決するための手段およびその作用】上記課題
を解決するために、本発明は、アレイ導波路回折格子型
光合分波器を利用した周波数選択光フィルタにおいて、
フィルタへの入力用光路と出力用光路とをアレイ導波路
回折格子型光合分波器の同一側の入出力導波路に接続
し、一方、アレイ導波路回折格子型光合分波器の逆側の
入出力導波路には光スイッチをそれぞれ備えた折り返し
光路を接続することを、そのもっとも主要な特徴とす
る。以下、上記課題を解決するための手段としての本願
各請求項に係る発明を順次説明する。
【0035】請求項1に係る周波数選択光フィルタは、
図13にその代表的な実施例が開示されたものである。
各構成要件に対し図13における対応箇所の符号を括弧
書きにて付記すると、本発明は次のように表すことがで
きる。N本(Nは整数)の導波路からなる第1の入出力
導波路群(23)とN本の導波路からなる第2の入出力
導波路群(27)とを有するアレイ導波路回折格子型光
合分波器(21)と、前記第1の入出力導波路群のv番
目(vは整数)の導波路に接続された第1の入力用光路
(1)と、前記第1の入出力導波路群のw番目(wは整
数)の導波路に接続された第1の出力用光路(32g)
と、前記第1の入出力導波路群のu番目(uは整数)の
導波路に接続された第2の出力用光路(32i)と、前
記第2の入出力導波路群のv’番目(v’は整数)の導
波路に接続された第2の入力用光路(1’)と、 前記第
2の入出力導波路群のw’番目(w’は整数)の導波路
に接続された第3の出力用光路(32g’)と、前記第
2の入出力導波路群のu’番目(u’は整数)の導波路
に接続された第4の出力用光路(32i’)とを有し、
さらに前記v、w、u及びv’、w’、u’が、 Mod〔w−v+N,N〕=Mod〔v−u+N,N〕
及びMod〔w’−v’+N,N〕=Mod〔v’−
u’+N,N〕 を満たす組合せであり、さらに、 Mod〔v’−v+N,N〕=Mod〔s−s’+N,
N〕を満たし、かつ、 Mod〔w−v+N,N〕 =Mod〔v−u+N,N〕 =Mod〔t−s+N,N〕または Mod〔w’−v’+N,N〕 =Mod〔v’−u’+N,N〕 =Mod〔t’−s’+N,N〕 を満たす整数s、tの各組合せおよび整数s’、t’の
各組合せに従って接続位置が決定された光路であって、
前記第2の入出力導波路群のs番目の導波路からt番目
の導波路へ光信号を伝送する第1の折り返し光路(2
8)と、前記第1の入出力導波路群のs’番目の導波路
からt’番目の導波路へ光信号を伝送する第2の折り返
し光路(28’)とを有し、さらに、前記第1の出力用
光路からの出力と前記第2の出力用光路からの出力との
少なくとも一方の出力を第5の出力用光路(2)に出力
する第1の光路接続手段(39)と,前記第3の出力用
光路からの出力と前記第4の出力用光路からの出力との
少なくとも一方の出力を第6の出力用光路(2’)に出
力する第2の光路接続手段(39’)とを有し、さら
に、前記第1の折り返し光路と前記第2の折り返し光路
との中で同じ光周波数の光信号が伝搬する光路同士を接
続する光スイッチ(29)を少なくとも1つ有する こと
を特徴とする。
【0036】本発明によれば、上記光スイッチ(29)
のON/OFF状態および光路接続手段(39)の接続
状態の組合せにより出力用光路(2)へ出力する光信号
を光周波数が決定される。従って、選択すべき光周波数
の種類が多い場合であっても、必要なスイッチの数が少
なくて済む。また、光分岐挿入回路としても利用できる
という作用効果が得られる。
【0037】以上説明した各発明を実施する際の好適な
態様として以下のものが考えられる。(1)請求項1に
記載の周波数選択光フィルタにおいて、前記光スイッチ
を、外部信号に応じて前記第1の折り返し光路と前記第
2の折り返し光路との接続状態をクロス状態又はバー状
態のいずれかを選択する2×2光スイッチとする(請求
項2)。 (2)請求項1記載の周波数選択光フィルタにおいて
は、前記光スイッチを第1〜第3のポートを有する1×
2光スイッチによって構成し、前記第1のポートを前記
第1の折り返し光路または前記第2の折り返し光路のど
ちらか一方に接続し、前記第2のポートと前記第3のポ
ートとを各々前記第1の折り返し光路と前記第2の折り
返し光路に接続する(請求項3)。
【0038】(3)請求項1、2、または3のいずれか
1の請求項に記載の周波数選択光フィルタにおいて、前
記第1の入出力導波路群に前記入力用光路と前記出力用
光路との組合せを複数組設け、前記第2の入出力導波路
群に前記入力用光路と前記出力用光路との組合せを複数
組設ける(請求項4)。
【0039】
【実施例および参考例】 以下、本発明に関わる周波数選
択光フィルタの実施例および各参考例について、図面に
基づき詳細に説明する。以下の実施例および参考例では
アレイ導波路回折格子型光合分波器の入出力導波路の本
数は等しいか、使用しない入出力導波路は削除してもか
まわない。ただし、導波路番号を数える際には削除した
導波路も存在するものとして考える。
【0040】(参考例1)図1は、周波数選択光フィル
タの第1の参考例を示す構成図である。この周波数選択
光フィルタは、図18を用いて説明した従来例と同様
に、第1の入出力導波路23群と第2の入出力導波路2
7群とがぞれぞれ16個の導波路からなる周波数多重数
16(N=16)のアレイ導波路回折格子型光合分波器
21を利用している。このアレイ導波路回折格子型光合
分波器21において、24,25はスラブ導波路、26
はアレイ導波路回折格子である。また、アレイ導波路回
折格子型光合分波器21は、従来例と同様に図23に示
す周波数合分波特性を示すように設計されているものと
する。
【0041】図1において、1,2はそれぞれ入力用光
路,出力用光路に相当する光ファイバ伝送路であり、第
1の入出力導波路群23のうちの導波路23h(I
8),23g(I7)にそれぞれ接続されている。
【0042】一方、第2の入出力導波路群27の各導波
路27(Jj(j=1,2…,16))には、折り返し
光路に相当する光ファイバ28(Fj(j=1,3…,
15))がそれぞれ次の様に接続されている。すなわ
ち、導波路27a(J1)と27b(J2)とに光ファ
イバ28a(F1)が接続され、以下同様に導波路27
c(J3)と27d(J4)とに光ファイバ28c(F
3)が、…、導波路27o(J15)と27p(J1
6)とに光ファイバ28o(F15)がそれぞれ接続さ
れている。
【0043】また光ファイバ28(Fj(j=1,3
…,15))の途中には、それぞれ光スイッチ9(Sj
(j=1,3,…,15))が設けられ、外部からの指
令に基づき光を透過させるON状態と遮断するOFF状
態いずれかの状態をとる。
【0044】次に、図1に示された参考例1の周波数選
択光フィルタの動作について、図23と図2を用いて説
明する。光周波数f1,f3,…,f15の8波の周波数多
重光信号は、光ファイバ伝送路1中を伝搬した後にアレ
イ導波路回折格子型光合分波器21の第1の入出力導波
路23中の23h(I8)に入力する。ここで、アレイ
導波路回折格子型光合分波器21は図23に示した周波
数合分波特性を示すため、光周波数f1の光信号は第2
の入出力導波路27中の27a(J1)を経て光ファイ
バ28a(F1)中を伝搬する。同様に、図23に従
い、光周波数f3の光信号は光ファイバ28c(F3)
中を、…、光周波数f15の光信号は光ファイバ28o
(F15)中をそれぞれ伝搬する。
【0045】ここで、8個の光スイッチ9a(S1),
9c(S3),…,9o(S15)が仮に全てON状態
にあるとすると、光ファイバFx(x=1,3,…,1
5)中を伝搬する光周波数fxの光は、第2の入出力導
波路27中のJ(x+1)にそれぞれ入力される。すな
わち、光周波数f1の光信号はは光ファイバF1,光ス
イッチS1を経てJ2へ入力され、同様に、光周波数f
3の光信号は光ファイバF3、光スイッチS3を経てJ
4へ、…、光周波数f15の光信号は光ファイバF15,
光スイッチS15を経てJ16へ入力される。ここで、
J(x+1)に入力された光周波数fxの光は、図23
にしたがい、xの値によらずに第1の入出力導波路群2
3中の導波路23g(I7)に出力される。すなわち、
J2に入力された光周波数f1の信号光と、J4に入力
された光周波数f3の光信号と、…、J16に入力され
た光周波数f15の光信号とは、すべて導波路23g(I
7)に出力され、この導波路23g(I7)に接続され
た光ファイバ伝送路2中に送り出される。
【0046】したがって、8個の光スイッチ9a,9
c,…,9oのうちの一つの光スイッチのみ、例えば光
スイッチ9a(S1)だけをON状態とし、他の光スイ
ッチをOFF状態とすれば、光周波数f1の信号光だけ
が光ファイバ伝送路2中に出力される。すなわち、光フ
ァイバ伝送路1中を伝搬してきた8波の周波数多重光の
うち、光周波数f1の光信号のみが選択されて光ファイ
バ伝送路2中に出力される。同様に光スイッチSx(た
だし、x=1,3,…,15)だけをON状態とすれ
ば、光周波数fxの光信号が選択される。この様子を、
図2に表として示した。
【0047】次に、図1に示した本参考例1による周波
数選択光フィルタの効果について、図3を用いて説明す
る。図3は、図に1示した参考例1の周波数選択光フィ
ルタを波長多重数16のアレイ導波路回折格子型光合分
波器を使用して実際に構成した場合の光フィルタ特性の
測定例である。実験に使用したアレイ導波路回折格子型
光合分波器は、図22に示した従来の周波数選択光フィ
ルタの特性を測定した際に使用したアレイ導波路回折格
子型光合分波器と同一の物である。
【0048】図3において、(1)は8個の光スイッチ
群9を全てOFF状態にした場合の透過特性であり、図
18に示した従来の周波数選択光フィルタの特性の測定
例である図22(1)に対応する。また、図3(2)
は、8個の光スイッチのうちの光スイッチ9(S13)
だけをON状態にした場合の測定例で、光周波数f13
光を選択した場合のフィルタ特性であり、図22(2)
に対応する。参考例1の周波数選択光フィルタでは、入
力用光路と出力用光路である光ファイバ伝送路1,2が
いずれもアレイ導波路回折格子型光合分波器の第1の入
出力導波路23群に接続されているために、従来例のよ
うに光周波数f8の光が低い損失でそのまま出力されて
しまうことはない。また非選択光が出力用光路2に達す
ることもないため、図22(1)と図3(1)を比較す
れば明らかなように、非選択光の漏れ込み(クロストー
ク)が減少している。従来のフィルタではもっとも強い
クロストーク光の透過率は−33dBであるが、参考
1のフィルタでは−40dBに改善されている。したが
って、同一のアレイ導波路回折格子型光合分波器を使い
ながら、従来例に比して少なくとも7dBもクロストー
クを改善することができ、周波数多重数を従来例の5倍
にしても従来例と同程度の受信感度劣化に抑えることが
できる。
【0049】なお、この−40dBのクロストークは、
アレイ導波路回折格子型光合分波器21の偏波依存性を
解消するためにアレイ導波路回折格子26の途中に挿入
されている複屈折媒質部分での残留反射成分である。
【0050】このように、本参考例1の周波数選択光フ
ィルタでは、フィルタへの入力用光路1と出力用光路2
とをアレイ導波路回折格子型光合分波器の同一側の入出
力導波路に接続し、一方、アレイ導波路回折格子型光合
分波器の逆側の入出力導波路には光スイッチをそれぞれ
備えた折り返し光路を接続する巧みな構成により、不要
な光出力がなくてクロストーク(漏れ込み)光が少ない
という優れた特性を実現している。
【0051】また、本参考例1および以下の実施例およ
び参考例においては、折り返し光路28および入出力光
路1,2等として光ファイバを利用したが、従来例と同
様、これらを導波路基板上の導波路として構成しても勿
論よい。
【0052】また、図1に示した参考例1においては、
第2の入出力導波路27の全ての導波路に折り返し光路
を接続してぞれぞれ光スイッチを備えたが、光周波数f
1,f3,…,f15の8波のうちで選択する必要のある光
周波数に対応する折り返し光路および光スイッチのみを
備えてもよい。例えば、選択する必要があるのは光周波
数f1,f3,f5のいずれか一つに限定される場合に
は、折り返し光路28(F7),28(F9),…,2
8(F15)及び光スイッチ9(S7),9(S9),
…,9(S15)を省略してもよい。折り返し光路およ
び光スイッチの一部を省略してもよいのは、以下の参考
例においても同様である。
【0053】また、本参考例1および以下の実施例およ
び参考例においては周波数多重数N=16のアレイ導波
路回折格子型光合分波器を利用しているが、異なる多重
数のアレイ導波路回折格子型光合分波器を利用しても勿
論よい。一般にアレイ導波路回折格子型光合分波器の周
波数多重数は任意に設計可能であるので、本参考例にお
いては例えばN=2M(Mは自然数)のアレイ導波路回
折格子型光合分波器を利用すれば、最大M波の周波数多
重光のうちから任意の1波を選択する周波数選択光フィ
ルタを構成することが出来る。
【0054】また、本参考例および以下の実施例および
参考例において、アレイ導波路回折格子型光合分波器に
は波長多重数の整数倍の周期性をもたせることが可能で
ある。すなわち、16×16アレイ導波路回折格子型光
合分波器は、例えば波長多重数16に等しい周期性をも
った図19に示すような周波数合分波特性を示すように
設計することもできる。このように設計したアレイ導波
路回折格子型光合分波器を用いれば、例えば光ファイバ
伝送路1中に、光周波数f1,f3,f15の8波に加え
て、光周波数f17,の光も同時に多重して伝送すれば、
光スイッチ9a(S1)をON状態にすることでf1
17を同時に選択出来る。
【0055】また、本参考例においては第1の入出力導
波路23のうち導波路23g(I7)に光ファイバ伝送
路2を接続したが、この代りに、光ファイバ伝送路1が
接続されている導波路23h(I8)をはさんで対称の
位置にある導波路23i(I9)に光ファイバ伝送路2
を接続してもよい。この場合、光スイッチSx(x=
1,3,…,15)をON状態にすることで、光周波数
fx+1の信号光が選択される。すなわち、光スイッチ9
a(S1)で光周波数f2,光スイッチ9c(S3)で
光周波数f4,…,光スイッチ9o(S15)で光周波
数f16の信号光が選択される。
【0056】また、本参考例においては第1の入出力導
波路23のうちの導波路23h(I8)に入力用光路で
ある光ファイバ伝送路1を接続したが、光ファイバ伝送
路1は第1の入出力導波路23のうちのどの導波路に接
続してもよい。例えば導波路Ii(iは1≦i≦Nの自
然数)に光ファイバ伝送路1を接続した場合には、光フ
ァイバ伝送路2は導波路I(i+1)または導波路I
(i−1)に接続すればよい。
【0057】また、本参考例においては入力用光路と出
力用光路とはそれぞれ光ファイバ伝送路1,2の一つづ
つであるが、複数の入力用光路もしくは出力用光路を設
けても勿論よい。例えば、図1の参考例において、導波
路23h(I8),23g(I7)にそれぞれ接続され
た光ファイバ伝送路1,2に加えて、導波路23f(I
6)に光ファイバ伝送路1’を接続して第2の入力用光
路として光周波数f0,f2,f4,…,f14の周波数多
重信号光を伝搬させれば、光スイッチSx(x=1,
3,…,15)をON状態にすることで光周波数fx,
fx-1の光信号が選択出来る。
【0058】同様に、図1の参考例において導波路23
h(I8),23g(I7)にそれぞれ接続された光フ
ァイバ伝送路1,2に加えて、例えば導波路23d(I
4),23c(I3)にそれぞれ光ファイバ伝送路
1’,2’を接続してそれぞれを第2の入力用光路,第
2の出力用光路とすれば、2系統の周波数選択光フィル
タが同時に構成される。この場合、例えば光スイッチS
1のみON状態にすれば、光ファイバ伝送路2からは光
ファイバ伝送路1を伝搬してきた周波数多重光信号のう
ちから光周波数f1の光信号が選択されて出力され、一
方、光ファイバ伝送路2’からは光ファイバ伝送路1’
を伝搬してきた周波数多重光信号のうちから光周波数f
-3の光信号が選択されて出力される。
【0059】なお、複数の入出力用光路を設けてもよい
のは以下の実施例および参考例においても同様である。
【0060】さらに、本参考例においては、第2の入出
力導波路27のうちで隣接する2つの導波路を折り返し
光路28で接続しているが、離れた二つの導波路を折り
返し光路で接続するように構成してもよい。この場合、
折り返し光路で接続する導波路の間隔を適当に選ぶこと
により、フィルタ透過特性の周波数依存性を低減するこ
とが出来るという効果も得られるので、参考例2として
以下に詳細に説明する。
【0061】(参考例2)図4は、周波数選択光フィル
タの第2の参考例を示す構成図である。本参考例2が前
掲図1を用いて説明した参考例1と異なるのは、アレイ
導波路回折格子型光合分波器21として波長多重数16
に等しい周期性をもった、図23に示すような周波数合
分波特性を示すように設計されたものを用い、さらに第
2の入出力導波路群27中の導波路対を結ぶ光ファイバ
(折り返し光路)28(Fx,ただしx=1,3,…,
15)が、非隣接導波路対(J5,J14),(J7,
J16),(J9,J2),(J11,J4),(J1
3,J6),(J15,J18),(J1,J10),
(J3,J12)にそれぞれ接続されている点である。
これに伴い、光ファイバ伝送路1,2が接続される第1
の入出力導波路23中の導波路も、それぞれ23k(I
11),23d(I4)に変更されている。
【0062】次に、本参考例2による動作を、前記参考
例1と異なる部分を中心に説明する。光周波数f1
3,…,f15の8波の周波数多重光信号は、光ファイ
バ伝送路1中を伝搬した後にアレイ導波路回折格子型光
合分波器21の第1の入出力導波路23中の23k(I
11)に入力する。ここで、アレイ導波路回折格子型光
合分波器21は図23に示した周波数合分波特性を示す
ため、光周波数f1の光信号は第2の入出力導波路27
中の27n(J14)を経て光ファイバ28a(F1)
中を伝搬する。同様に、光周波数f3の光信号は光ファ
イバ28c(F3)中を、…、光周波数f15の光信号は
光ファイバ28o(F15)中をそれぞれ伝搬する。
【0063】ここで、8個の光スイッチ9a(S1),
9c(S3),…,9o(S15)が仮に全てON状態
にあるとすると、光ファイバFx(x=1,3,…,1
5)中を伝搬する光周波数fxの光は、第2の入出力導
波路27中のJ(1+Mod〔x+3,16〕)にそれ
ぞれ入力される。ただし、Mod〔x,y〕はxをyで
割った時の余りを表す。すなわち、光周波数f1の光信
号は光ファイバF1,光スイッチS1を経てJ5へ入力
され、同様に、光周波数f3の光信号は光ファイバF
3,光スイッチS3を経てJ7ヘ、…、光周波数f15
光信号は光ファイバF15,光スイッチS15を経てJ
3へ入力される。ここで、J(1+Mod〔x+3,1
6〕)に入力された光周波数fxの光は、図19にした
がい、xの値によらずに第1の入出力導波路23中の2
3d(I4)に出力される。すなわち、J5に入力され
た光周波数f1の光信号と、J7に入力された光周波数
f3の光信号と、…、J3に入力された光周波数f15
光信号とは、すべて14に出力され、I4に接続された
光ファイバ伝送路2中に送り出される。
【0064】したがって、図1,図2を用いて説明した
参考例1と同様に、光スイッチSx(ただし、x=1,
3,…,15)だけをON状態とすれば、光周波数fx
の信号光を選択することが出来る。
【0065】こうして、本参考例2の周波数選択光フィ
ルタは図1を用いて説明した参考例1とまったく同様な
効果が得られる。加えて、折り返し光路28を非隣接導
波路対(Js,Jt)(1≦s,t≦16,ただし|s
−t|>1)の間に設けるという構成により、光周波数
によるフィルタ透過損失のばらつきが減少するという優
れた効果を併せ持つ。以下に、この新たな効果について
説明する。
【0066】一般に、アレイ導波路回折格子型光合分波
器21の第1,第2の入出力導波路23,27では、両
端付近の導波路、例えばI1,I16,J1,J16等
を経由する信号光が被る損失は中央付近の導波路、例え
ば18,19,J8,J9等を経由する信号光が被る損
失に比べて2〜3dB程度大きい。このため、図1を用
いて説明した参考例1では、例えば光周波数f1の信号
光が選択される場合と光周波数f7の信号光が選択され
る場合とでは、フィルタでの透過損失が4〜6dBも異
なってしまう。なぜなら、光周波数f1の信号光は損失
の大きな導波路J1,J2を通過するのに対して、光周
波数f7の信号光は損失の小さい導波路J7,J8を通
過するからである。
【0067】図5(1)に、図1の参考例1での測定例
を示す。もっとも損失の少ないf7,f9の光は選択して
いない状態だが、それでもまだ4dBもの損失差が光周
波数f5と光周波数f15との間で観測されている。
【0068】ところが、図4を用いて説明した本参考
2では、損失の大きい導波路J16を経由する光周波数
f3の信号光は、光ファイバ28c(F3),光スイッ
チ9c(S3)を経由した後には損失の小さい導波路J
7を経由する。他の光周波数の信号光についても同様で
ある。すなわち、折り返し光路を損失の大きい導波路と
小さい導波路との間に接続することで、透過損失の平均
化が図られる。図5(2)は、図4に示した参考例2で
の測定例を示しており、透過損失差は1.5dBにまで
減少している。図5(1)と比較すれば、参考例2によ
って得られる新たな効果は明らかである。
【0069】なお、本参考例においては光ファイバ伝送
路1,2を第1の入出力導波路23のうちの導波路23
k(I11),23d(I4)にそれぞれ接続したが、
一般にそれぞれ導波路Iv,Iw(1≦v,w≦N,た
だし、v,wはMod〔w−v+N,N〕=9を満た
す)に接続しても同様な効果が得られる。ここで、Nは
アレイ導波路回折格子型光合分波器21の周波数多重数
で、本参考例2においては16である。勿論光ファイバ
伝送路1,2をそれぞれIw,Ivに接続してもよい。
【0070】さらに、本参考例2では折り返し光路28
で接続する導波路対(Js,Jt)(1≦s,t≦N)
として、y=Mod〔t−s+N,N〕で定義される値
yが9となる導波路対を用いたが、1≦y≦N−1を満
たす自然数yであればなんでもよい。この場合、光ファ
イバ伝送路1,2が接続される導波路Iv,Iw(1≦
v,w≦N)はMod〔w−v+N,N〕=yもしくは
Mod〔v−w+N,N〕=yを満たすように選択すれ
ばよい。
【0071】以上をまとめると、入力導波路をIv,出
力導波路をIwとし、折り返し光路では光信号はJsか
らJtに進む場合では、Mod〔w−v+N,N〕=M
od〔v−w+N,N〕=Mod〔t−s+N,N〕を
満たすv、w、s、tを選べばよい。仮にIv、Iwが
既知とすると、上記とは逆の手順でy=Mod〔w−v
+N,N〕とおきs=Mod〔t+y,n〕により
(s、t)の組を求めることもできる。
【0072】ここで、y=N/2と設定した場合には、
以上説明した本参考例2での効果に加えて周波数多重間
隔を半分に出来るという利点を得られ、かつアレイ導波
路回折格子型光合分波器21は必ずしも周期性は必要と
しないという利点があるので、以下に参考例3として詳
細に説明する。
【0073】(参考例3)図6は、周波数選択光フィル
タの第3の参考例を示す構成図である。本参考例3が図
4を用いて説明した参考例2と異なるのは、折り返し光
路28でお互いに接続する第2の入出力導波路のなかの
導波路対(Js,Jt)(1≦s,t≦N)として|t
−s|=N/2となる導波路対を用いている点である。
ここでは、N=16なので導波路対(J1,J9),
(J2,J10),…,(J8,J16)にそれぞれ折
り返し光路F6,F7,F8,F1,F2,…,F5が
接続されている。これに伴い、光ファイバ伝送路1,2
がそれぞれ導波路23m(I13),23e(I5)に
変更されている。次に、本参考例3による動作を、前記
参考例2と異なる部分を中心に説明する。
【0074】光周波数f1,f2,…,f8の8波の周波
数多重光信号は、光ファイバ伝送路1中を伝搬した後に
アレイ導波路回折格子型光合分波器21の第1の入出力
導波路23中の23m(I13)に入力する。ここで、
アレイ導波路回折格子型光合分波器21は図19に示し
た周波数合分波特性を示すため、光周波数f1の光信号
は第2の入出力導波路27中の27l(J12)を経て
光ファイバ28a(F1)中を伝搬する。同様に、光周
波数f2の光信号は光ファイバ28b(F2)中を、
…、光周波数f8の光信号は光ファイバ28h(F8)
中をそれぞれ伝搬する。
【0075】ここで、8個の光スイッチ9a(S1),
9b(S2),…,9h(S8)が仮に全てON状態に
あるとすると、光ファイバFy(y=1,2,…,8)
中を伝搬する光周波数fyの光は、第2の入出力導波路
27中のJ(1+Mod〔y+2,16〕)にそれぞれ
入力される。すなわち、光周波数f1のの光信号は光フ
ァイバF1,光スイッチS1を経てJ4へ入力され、同
様に、光周波数f2の光信号は光ファイバF2,光スイ
ッチS2を経てJ5 へ、…、光周波数f8の光信号は光
ファイバF8,光スイッチS8を経てJ11へ入力され
る。ここで、J(1+Mod〔y+2,16〕)に入力
された光周波数fyの光は、図19にしたがい、yの値
によらずに第1の入出力導波路23中の23e(I5)
に出力され、光ファイバ伝送路2中を伝搬する。
【0076】したがって、光スイッチSy(ただし、y
=1,2,…,8)だけをON状態とすれば、光周波数
fyの信号光をを選択することが出来る。光スイッチの
状態と選択される光信号の光周波数の関係を、図7に表
として示した。こうして、本参考例3の周波数選択光フ
ィルタは図4を用いて説明した参考例2と同様な効果が
得られる。特に、折り返し光路28は|t−s|=N/
2なる導波路対(Js,Jt)に接続されているため、
もっとも損失の大きい導波路J1,J16を通過する信
号光は折り返されてもっとも損失の小さい導波路J9,
J8を通過する。この結果、参考例2で説明した損失平
均化の効果をもっとも顕著に受けることが出来る。
【0077】さらに、この折り返し光路28を導波路対
(Js,Jt)(1≦s,t≦16,ただし|t−s|
=N/2)に設けるという巧みな構成により、周波数多
重間隔が参考例2の半分に設計出来るという利点もあ
る。これは、光周波数領域での周波数利用効率を高める
ことが出来、例えば同一多重数のシステムを構築する場
合に揃えるべきレーザ光源の光周波数範囲を狭めること
が可能になるなど、その効果は極めて大きい。
【0078】なお、本参考例においては光ファイバ伝送
路1,2を第1の入出力導波路23のうちの導波路23
l(I12),23e(I5)にそれぞれ接続したが、
一般にはそれぞれ導波路Iv,Iw(1≦v,w≦N
ただし|v−w|=N/2を満たす)に接続しても同様
な効果が得られる。ここで、Nはアレイ導波路回折格子
型光合分波器21の周波数多重数で、本参考例2におい
ては16である。
【0079】(参考例4)図8は、周波数選択光フィル
タの第4の参考例を示す構成図である。本参考例4が図
1を用いて説明した参考例1と異なるのは、折り返し光
路を第1の入出力導波路23側にも設け、ON/OFF
光スイッチ9の代わりに2つの折り返し光路間で経路の
入れ換えが可能な2×2光スイッチ29を設けることに
より、アレイ導波路回折格子型光合分波器21の第1,
第2の入出力導波路いずれの側にも入出力用光路を接続
出来るように構成されている点である。
【0080】図8において、1’,2’はそれぞれ第2
の入力用光路,第2の出力用光路に相当する光ファイバ
伝送路であり、それぞれ第2の入出力導波路27のうち
の27h(J8),27g(J7)に接続されている。
このため、図1に示した参考例1とは異なり、折り返し
光路F7は構成しない。
【0081】一方、第1の入出力導波路23(Ii(i
=1,2,…,16))のうちで光ファイバ伝送路1,
2が接続されていない導波路には、折り返し光路に相当
する光ファイバ28’(F’i(i=1,3,…,1
5))が次の様に接続されている。すなわち、導波路2
3a(I1)と23b(I2)とに光ファイバ28’a
(F’1)が接続され、以下同様に導波路23c(I
3)と23d(I4)とに光ファイバ28’c(F’
3)が、…、導波路23o(I15)と23p(I1
6)とに光ファイバ28’o(F’15)がそれぞれ接
続されている。また光ファイバ(折り返し光路)Fj,
F’j(j=1,3,…,15)の途中には、それぞれ
2×2光スイッチ29(Tj(j=1,3,…,1
5))が設けられ、外部からの指令に基づき折り返し光
路FjとF’jとを透過状態にするバー状態とFjと
F’jとを入れ換えるクロス状態いずれかの状態をと
る。
【0082】次に、本参考例4による動作を、前記参考
例1と異なる部分を中心に説明する。光ファイバ伝送路
1中を伝搬してきた光周波数f1,f3,f5,f9
11,f13,f15の7波の周波数多重光信号のうち、光
周波数f1の光信号は第2の入出力導波路27中の27
a(J1)を経て光ファイバ28a(F1)中を伝搬す
る。同様に、図23に従い、光周波数f3の光信号は光
ファイバ28c(F3)中を、…、光周波数f15の光信
号は光ファイバ28o(F15)中をそれぞれ伝搬す
る。
【0083】ここで、7個の2×2光スイッチ29a
(T1),29c(T3),…,29o(T15)が仮
に全てバー状態にあるとすると、光ファイバFx(x=
1,3,…,15)中を伝搬する光周波数fxの光は、
第2の入出力導波路27中のJ(x+1)にそれぞれ入
力される。すなわち、光周波数f1の光信号は光ファイ
バF1,光スイッチT1を経てJ2へ入力され、同様
に、光周波数f3の光信号は光ファイバF3,光スイッ
チT3を経てJ4へ、…、光周波数f15の光信号は光フ
ァイバF15,光スイッチT15を経てJ16へ入力さ
れる。こうして、図1を用いて説明した参考例1と同様
に、すべての光周波数の信号光はI7に接続された光フ
ァイバ伝送路2中に送り出される。
【0084】一方、7個の2×2光スイッチ29a(T
1),29c(T3),…,29o(T15)が仮に全
てクロス状態にあるとすると、光ファイバFx(x=
1,3…,15)中を伝搬する光周波数fxの光は、第
1の入出力導波路23中のI(x+1)それぞれ入力さ
れる。すなわち、光周波数f1の光信号は光スイッチT
1を経てI2へ入力され、同様に、光周波数f3の光信
号は光スイッチT3を経てI4へ、…、光周波数f15
光信号は光スイッチT15を経て116へ入力される。
こうして、すべての光周波数の信号光はJ7に接続され
た光ファイバ伝送路2’中に送り出される。
【0085】したがって、7個の2×2光スイッチ29
a,29c,…,29oのうちの一つの光スイッチの
み、例えば29a(T1)だけをバー状態とし、他の光
スイッチをクロス状態とすれば、光ファイバ伝送路1中
を伝搬してきた7波の周波数多重光のうちで光周波数f
1の信号光だけが光ファイバ伝送路2中に出力され、残
りの信号光は光ファイバ伝送路2’中に出力される。同
様に、光スイッチTx(ただし、x=1,3,…,1
5)だけをバー状態とすれば、光周波数fXの信号光が
選択される。
【0086】また、光ファイバ伝送路1’中を伝搬して
きた光周波数f1,f3,f5,f9,f11,f13,f15
7波の周波数多重光信号についても、対称性からまった
く同様に機能する。すなわち、光スイッチTx(ただ
し、x=1,3,…,15)だけをバー状態とすれば、
光ファイバ伝送路1’中を伝搬してきた7波の周波数多
重光のうちで光周波数fの信号光だけが光ファイバ伝送
路2’中に出力され、残りの信号光は光ファイバ伝送路
2中に出力される。
【0087】こうして、光ファイバ伝送路1,1’いず
れを伝搬してくる周波数多重光信号に対しても、図1を
用いて説明した参考例1と同様な効果を有する周波数選
択光フィルタを構成することができる。ただし、折り返
し光路F7,F7’は構成されていないので、光周波数
f7の信号光については選択出来ない。なお、クロスト
ークに関しては、例えば、光ファイバ伝送路1から入力
して光ファイバ伝送路2から出力する信号光については
参考例と同様のレベルまで低減できるが光ファイバ伝送
路2’から出力する信号光については従来技術程度のレ
ベルである。
【0088】また、図8に示した本参考例4は、光分岐
挿入回路としても機能するという利点を併せ持つ。すな
わち、図8において、光ファイバ伝送路1から光ファイ
バ伝送路2へのパスを主伝送路とし、光ファイバ伝送路
2’を分岐出力、光ファイバ伝送路1’を挿入入力とす
ればよい。すなわち、2×2光スイッチ29のうちでバ
ー状態にある光スイッチに対応する光周波数の信号光は
主伝送路をそのまま伝搬し、一方、クロス状態にある光
スイッチに対応する光周波数の信号光波主伝送路から分
岐されて分岐出力に出力されるとともに挿入入力から入
力された同じ光周波数の信号光が主伝送路に合流され
る。
【0089】そして、図8に示した本参考例を応用した
光分岐挿入回路は、参考例1で詳述した通り、主伝送路
を伝搬する光に対しては不要な光出力がなくクロストー
ク(漏れ込み)光が少ないという優れた特性を実現する
ことが出来る。
【0090】なお、本参考例4においても、参考例2と
同様に、アレイ導波路回折格子型光合分波器21に前述
した周期性を示すものを使用して光ファイバ伝送路1,
2および光ファイバ伝送路1’,2’を接続する入出力
導波路を変更することが可能である。つまり、入出力導
波路23側の入出力導波路をIv、出力導波路をIwと
し、これらに対応する入出力導波路27の折り返し光路
では光信号はJsからJtに進む場合では、Mod〔w
−v+N,N〕=Mod〔v−w+N,N〕=Mod
〔t−s+N,N〕を満たすv、w、s、tを選べばよ
い。同様に入出力導波路27側の入力導波路をJv’、
出力導波路をJw’とし、これらに対する入出力導波路
23の折り返し光路では光信号はIs’からIt’に進
む場合では、Mod〔w’−v’+N,N〕=Mod
〔v’−w’+N,N〕=Mod〔t’−s’+N,
N〕を満たすv’、w’、s’、t’を選べばよい。本
参考例では、導波路対(Js、Jt)を接続する折り返
し光路Fiと、導波路対(Is’、It’)を接続する
折り返し光路Fi’との間に光スイッチTiを設ける
が、FiとFi’とには同じ光周波数の光信号が伝搬し
ていなければならないので、Mod〔v’−v+N,
N〕=Mod〔s−s’+N,N〕を満たしている必要
がある。
【0091】また、2×2光スイッチに代えて1×2光
スイッチを使うことにより光分岐専用回路又は光挿入専
用回路にすることもできる。例えば図8で、2×2光ス
イッチ29a(T1)の代わりに27a(J1)から2
3b(I2)又は27b(J2)のいずれかへ接続する
1×2光スイッチを置き換えたとすると、光周波数F1
の光信号が1×2光スイッチの切替えによって光ファイ
バ伝送路2又は2’のいずれかに出力される光分岐回路
ができる。この場合、たとえ23aから光信号が出力し
ても行き場がないので23aを省略しても問題はない。
さらに、全ての2×2光スイッチ29を上記のような1
×2光スイッチに置き換えると、図8に示した回路は光
分岐専用回路となる。この場合には光ファイバ伝送路
1’も省略できる。2×2光スイッチを23a(I1)
又は27a(J1)のいずれかから27b(J2)へ接
続する1×2光スイッチに置き換えると、27b(J
2)に出力する光信号の入力ポートを23a(I1)又
は27a(J1)即ち光ファイバ伝送路1又は1’を選
択できる光挿入回路ができる。この場合も使用しない導
波路23b(I2)を省略できる。さらに、全ての2×
2光スイッチ29を上記のような1×2光スイッチに置
き換えると、図8に示した回路は光挿入専用回路とな
る。この場合には光ファイバ伝送路2’も省略できる。
【0092】さらに、参考例2に対して参考例3によっ
て新たな効果がえられたのと同様、本参考例4に参考
3で説明した巧みな構成を組み合わせることにより、光
分岐挿入回路にも利用可能な周波数選択光フィルタとし
てきわめて有効な回路を得ることができる。その構成例
を、参考例5として以下に説明する。
【0093】(参考例5)図9は、第5の参考例を示す
構成図である。本参考例5が図8を用いて説明した参考
例4と異なるのは、折り返し光路28,28’によって
接続される導波路対(Js,Jt),(Is,It)
が、隣接導波路対ではなく参考例3で説明した関係(|
t−s|=N/2)を満たすように設計されている点で
ある(y=1,3,4,5,6,7,8)。
【0094】以下、本参考例5による動作を、前記参考
例4と異なる部分を中心に説明する。 光ファイバ伝送
路1中を伝搬してきた光周波数f1,f3,f4,f5,f
6,f7,f8の7波の周波数多重光信号のうち、光周波
数f1の光信号は導波路27〓(J12)を経て光ファ
イバ28a(F1)中を伝搬する。同様に、光周波数f
y(y=1,3,4,5,6,7,,8)の光信号は光
ファイバFy中をそれぞれ伝搬する。
【0095】ここで、7個の2×2光スイッチT1,T
3,T4…、T8が仮に全てバー状態にあるとすると、
光ファイバFy(y=1,3,4,…,8)中を伝搬す
る光周波数fyの光は導波路J(1+Mod〔y+2,
16〕)にそれぞれ入力され、yの値によらずに導波路
23e(I5)を経て光ファイバ伝送路2中に出力され
る。
【0096】また、7個の2×2光スイッチT1,T
3,T4,…,T8が全てクロス状態にある場合には、
同様にして光ファイバ伝送路1中を伝搬してきた光周波
数f1,f3,f4,f5,f6,f7,f8の7波の周波数
多重光信号がすべて光ファイバ伝送路2’中に送り出さ
れる。
【0097】したがって、7個の2×2光スイッチT
1,T3,T4…、T8のうち一つの光スイッチのみ、
例えばT1だけをバー状態とし、他の光スイッチをクロ
ス状態とすれば、光ファイバ伝送路1中を伝搬してきた
7波の周波数多重光のうちで光周波数f1の信号光だけ
が光ファイバ伝送路2中に出力され、残りの信号光は光
ファイバ伝送路2’中に出力される。同様に光スイッチ
Ty(y=1,3,4,…,8)だけをバー状態とすれ
ば、光周波数fyの信号光が選択される。また、光ファ
イバ伝送路1’中を伝搬してきた光周波数f1,f3,f
4,f5,f6,f7,f8の7波の周波数多重光信号につ
いても、対称性からまったく同様に機能する。
【0098】以上説明した本参考例5では、参考例4で
説明した種々の利点に加えて、参考例3で詳述した利点
をさらに併せ持つ。
【0099】(参考例6)図10は、第6の参考例を示
す構成図である。本参考例が図1を用いて説明した参考
例1と異なるのは、複数の出力用光路である光ファイバ
伝送路32g,32iがそれぞれアレイ導波路回折格子
型光合分波器21の第1の入出力導波路のなかの23g
(I7),23i(I9)に接続され、光ファイバ伝送
路32g,32iに接続された1×2光スイッチ39で
いずれか一方を実際に使用する出力用光路として選択す
るように構成されている点である。
【0100】次に、図10に示した本参考例による動作
を、前記参考例1と異なる部分について図23および図
11を参照して説明する。光周波数f1,f2,f16の1
6波の周波数多重光信号は、光ファイバ伝送路1中を伝
搬した後にアレイ導波路回折格子型光合分波器21の第
1の入出力導波路23中の23h(18)に入力する。
ここで、アレイ導波路回折格子型光合分波器21は図2
3に示した周波数合分波特性を示すため、光周波数f1
の光信号は第2の入出力導波路27中の27a(J1)
を経て光ファイバ28a(F1)中を伝搬し、一方、光
周波数f2の光信号は第2の入出力導波路27中の27
b(J2)を経て光ファイバ28a(F1)中を逆方向
に伝搬する。同様に、光周波数f3,f4の光信号は光フ
ァイバ28c(F3)中をお互いに逆方向に伝搬し、
…、光周波数f15,f16の光信号は光ファイバ28o
(F15)中をおたがい逆方向にそれぞれ伝搬する。
【0101】ここで、8個の光スイッチ9a(S1),
9c(S3)、…、9o(S15)が仮に全てON状態
にあるとすると、光ファイバFx(x=1,3,15)
中を伝搬する光周波数fx+1の光は、第2の入出力導
波路27中のJ(x+1),Jxにそれぞれ入力され
る。すなわち、光周波数f1,f2の光信号はともに光ス
イッチS1を経てそれぞれJ2,J1へ入力され、同様
に、光周波数f3,f4の光信号は光スイッチS3を経て
J4,J3へ、…、光周波数f15,f16の光信号は光ス
イッチS15を経てJ16,J15へそれぞれ入力され
る。ここで、図23を参照すれば、J(x+1)に入力
された光周波数fxの光はxの値によらずに第1の入出
力導波路23中の23g(I7)に出力され、一方、J
xに入力された光周波数fx+1の光はxの値によらずに
23i(I9)に出力される。すなわち、J2に入力さ
れた光周波数f1の光信号と、J4に入力された光周波
数f3の光信号と、…、J16に入力された光周波数f
15の光信号とは、すべて17に出力されて光ファイバ伝
送路32g中に送り出される。一方、J1に入力された
光周波数f2の光信号と、J3に入力された光周波数f4
の光信号と、…、J15に入力された光周波数f16の光
信号とは、すべてI9に出力され、光ファイバ伝送路3
2i中に送り出される。
【0102】したがって、8個のスイッチ9a,9c,
…,9oのうちの一つの光スイッチのみ、例えば9a
(S1)だけをON状態とし、他の光スイッチをOFF
状態とすれば、光周波数f1の信号光だけが光ファイバ
伝送路32g中に出力され、同時に光周波数f2の信号
光だけが光ファイバ伝送路32i中に出力される。この
とき、1×2光スイッチ39で光ファイバ伝送路32g
を選択すれば、光ファイバ伝送路1中を伝搬してきた1
6波の周波数多重光のうち、光周波数f1の光信号のみ
が選択されて光ファイバ伝送路2中に出力される。光周
波数f2の光信号のみを選択する場合には、1×2光ス
イッチ39で光ファイバ伝送路32i側を選択すればよ
い。同様に、光スイッチSx(ただし、x=1,3,
…,15)だけをON状態とし、光スイッチ39を32
g側もしくは32i側とすれば、ぞれぞれ光周波数f
x,fx+1の信号光が選択される。光スイッチの状態に
対して選択される光信号の光周波数を、図11に表とし
てまとめた。
【0103】次に、図10に示した本参考例の周波数選
択光フィルタの効果について説明する。まず、以上詳述
した本参考例の動作から、図1を用いて説明した参考
1の有する効果、すなわち不要な光出力がなくてクロス
トーク(漏れ込み)光が少ないという優れた特性を示す
ことは明らかである。
【0104】加えて、図1に示した参考例1に比べて2
倍の多重数の周波数多重光を扱うことが出来る。すなわ
ち、例えば図10のように多重数16のアレイ導波路回
折格子型光合分波器を用いれば、16波の周波数多重光
の中から任意の1ないし複数の信号光を選択可能であ
る。これは、図18を用いて説明した従来例が15波で
あったのに比べて、1波分だけ改善されている。さら
に、本参考例では、16波の周波数多重光の中から任意
の1波の信号光を選択するのに必要な光スイッチの個数
は、ON/OFF光スイッチ8個と1×光スイッチ1個
の合計9個だけである。これは、従来例では多重光の数
だけON/OFF光スイッチが必要であったのに比べ
て、約半分で済む。その分、部品点数が減ってコストが
削減されるのみならず、信頼性の向上、制御回路規模の
縮小などその効果は著しい。
【0105】すなわち、本参考例は、参考例1で説明し
た諸効果に加えて、光スイッチ9を逆方向に伝搬する光
に対しても利用するという巧みな構成により制御に要す
る光スイッチの個数をおよそ半分に減らせるという大き
な効果が得られる。
【0106】なお、図10中の1×2光スイッチ39と
しては、例えば、メカニカル光スイッチを用いればよ
い。また、図21に示した2×2光スイッチ51を用い
ればアレイ導波路回折格子型光合分波器21と同一基板
上に集積化することが可能となる。さらにON/OFF
光スイッチ2台と光カプラもしくはマッハ・ツェンダ干
渉計を組み合わせ構成することで、集積可能でかつ消光
比の優れた1×2光スイッチを実現してもよい。この構
成例を、図12を用いて説明する。
【0107】図12は、1×2光スイッチ39の構成例
を説明する図であって、91,92はON/OFF光ス
イッチ、514,515は光カプラ、60は合波器(マ
ッハツェンダ干渉計)である。ここで、ON/OFF光
スイッチ91,92を、例えば図21に示した導波路型
2×2光スイッチの対向端子を利用した構成とし、光ス
イッチ91,92を相捕的に動作させれば、同一の導波
路基板上に集積化可能でかつ消光比の優れた1×2光ス
イッチを構成することが出来る。図12(1)の構成で
は、光カプラ515において原理的に3dBの損失を生
じる。しかし、図12(2)の構成とし、マッハツェン
ダ干渉計60を適当に設計してその合波特性の周期を周
波数多重間隔の2倍と一致させることにより、原理的に
は損失のない1×2光スイッチ39が実現可能である。
【0108】なお、図10に示した本参考例において、
光ファイバ伝送路2から周波数多重信号光を入力し、光
ファイバ伝送路1から選択された信号光を取り出すよう
に構成してもよい。
【0109】また、本参考例においては第1の入出力導
波路23のうち導波路23h(I8)に入力用光路であ
る光ファイバ伝送路1を接続したが、光ファイバ伝送路
1は第1の入出力導波路23のうちのどの導波路に接続
してもよい。例えば導波路Ii(iは1≦i≦16の自
然数)に光ファイバ伝送路1を接続した場合には、光フ
ァイバ伝送路32g,32iは導波路23(I(i−
1)),導波路23(I(i+1))に接続すればよ
い。
【0110】また、参考例1で説明したように、複数の
入力用光路を設けて複数系統の周波数選択光フィルタを
同時に構成しても勿論よい。
【0111】さらに、参考例2で説明したように、アレ
イ導波路回折格子型光合分波器21に前述した周期性を
示すものを使用すれば、折り返し光路28で接続する導
波路対27(Js,Jt)(1≦s,t≦N)として、
y=Mod〔t−s+N,N〕で定義される値yが2≦
y≦N−2(ただしy≠N/2)を満たす自然数である
ような導波路対を選んでも、勿論よい。この場合、光フ
ァイバ伝送路1,32g,32iが接続される導波路2
3(Iv,Iw,Iu)(1≦v,w,u,≦N)はM
od〔w−v+N,N〕=y,Mod〔v−u+N,
N〕=yを満たすように選択すればよい。例えばN=1
6,y=9,v=11の場合には光ファイバ伝送路32
g,32iはそれぞれ導波路23(I4),23(I
2)に接続すればよく、この場合、図4を用いて参考
2で説明したように光周波数による損失のばらつきが抑
えられるという効果も得ることが出来る。
【0112】また、図8を用いて参考例4で説明したよ
うに、本参考例による周波数選択光フィルタにおいて
も、第1および第2の入出力導波路23,27の両方に
折り返し光路を設け、対応する折り返し光路間に2×2
光スイッチ29を設置した構成で、参考例および参考
4の効果を併せ持つフィルタを構成することが可能であ
る。その実施例を、図13に示した。
【0113】(参考例7)図14は、参考例7を示す構
成図である。本参考例が図10を用いて説明した参考
と異なるのは、複数の入力用光路である光ファイバ伝送
路31d,31lがそれぞれ導波路23d(I4),2
3l (I12)に接続されて、光ファイバ伝送路31
d,31l に接続された1×2光スイッチ39aでいず
れか一方を実際に使用する入力用光路として選択するよ
うに構成されている点である。これに伴い、光ファイバ
伝送路31dに対応した出力用光路である光ファイバ伝
送路32c,32eがそれぞれ導波路23c(I3),
23(I5)に接続され、一方、光ファイバ伝送路31
l に対応した出力用光路である光ファイバ伝送路32
k,32mがそれぞれ導波路23k(I11),23m
(I13)に接続されている。さらに、光ファイバ伝送
路32c,32mおよび32e,32kがそれぞれ接続
された光カプラ41a,41bを備え、前記光カブラ4
1a,41bの合波出力のうちいずれか一方を1×2光
スイッチ39bで選択して光ファイバ伝送路2中に出力
する。また、図10に示した参考例4に備えられていた
折り返し光路Fxおよび光スイッチSx(x=1,3,
…15)のうち、x=1,3,13,15の部分が取り
除かれている。
【0114】次に、図14に示した本参考例7による動
作が前記参考例と異なる部分について、図23及び図1
5を参照して説明する。光周波数f1,f2,…,f16
16波の周波数多重光信号は、光ファイバ伝送路1中を
伝搬した後に1×2光スイッチ39aに入力し、外部か
らの制御信号に従って光ファイバ伝送路31dもしくは
31l のいずれか一方を経て導波路23d(I4)もし
くは23l(I12)に入力する。
【0115】ここで、アレイ導波路回折格子型光合分波
器21は図23に示した周波数合分波特性を示すため、
もし光スイッチ39aがd側に接続されている場合に
は、光周波数f1の光信号は導波路27e(J5)を経
て光スイッチ28e(F5)中を伝搬し、一方、光周波
数f2の光信号は導波路27f(J6)を経て光ファイ
バ28e(F5)中を逆方向に伝搬する。同様に、光周
波数f3,f4の光信号は光ファイバ28g(F7)中を
お互いに逆方向に伝搬し、光周波数f7,f8の光信号は
光ファイバ28k(F11)中をおたがい逆方向にそれ
ぞれ伝搬する。
【0116】一方、もし光スイッチ39aが31l側に
接続されている場合には、光周波数f9の光信号が導波
路27e(J5)を経て光ファイバ28e(F5)中を
伝搬し、一方、光周波数f10の光信号は導波路27f
(J6)を経て光ファイバ28e(F5)中を逆方向に
伝搬する。同様に、光周波数f11,f12の光信号は光フ
ァイバ28g(F7)中をお互い逆方向に伝搬し、…、
光周波数f15,f16の光信号は光ファイバ28k(F1
1)中をおたがい逆方向にそれぞれ伝搬する。
【0117】ここで、4個の光スイッチ9e(S5),
9g(S7),9i(S9),9k(S11)が仮に全
てON状態にあると仮定する。このとき、光ファイバF
x(x=5,7,9,11)中を伝搬する光周波数fx-
4,fx-3の光は、第2の入出力導波路27中のJ(x+
1),Jxにそれぞれ入力される。すなわち、光周波数
1,f2の光信号はいずれも光スイッチS5を経てそれ
ぞれJ6,J5へ入力され、同様に、光周波数f3,f4
の光信号は光スイッチS7を経てJ8,J7へ、光周波
数f5、f6の光信号は光スイッチS9を経てJ10,J
9へ、光周波数f7,f8の光信号は光スイッチS11を
経てJ12,J11へそれぞれ入力される。ここで、図
23を参照すれば、J(x+1)に入力された光周波数
fX-4の光はxの値によらずに導波路23c(I3)に
出力され、一方、Jxに入力された光周波数fX-3 の光
はxの値によらずに23e(I5)に出力される。
【0118】同様に、光ファイバ28(Fx)(x=
5,7,9,11)中を伝搬する光周波数fX+4,fX+5
の光は、導波路J(x+1),Jxにそれぞれ入力さ
れる。ここで、J(x+1)に入力された光周波数fX+
4 の光はxの値によらずに導波路23k(I11)に出
力され、一方、Jxに入力された光周波数fX+5 の光は
xの値によらずに23m(I13)に出力される。
【0119】したがって、4個の光スイッチ9e(S
5),9g(S7),9i(S9),9k(S11)の
うちの一つの光スイッチのみ、例えば9e(S5)だけ
をON状態とし、かつ光スイッチ39aでd側を選択し
ていれば、光周波数f1の信号光だけが光ファイバ伝送
路32c中に出力され、同時に光周波数f2の信号光だ
けが光ファイバ伝送路32e中に出力される。ここで、
上記光周波数f1,f2の信号光はそれぞれ光カプラ41
b,41aを経て1×2光スイッチ39bに到達するの
で、例えば光スイッチ39bが32c&m側を選択して
いれば光ファイバ伝送路2中には光周波数f1の信号光
だけが出力される。
【0120】種々の光スイッチの状態の組合せと、選択
される光周波数の対応を、図15に表としてまとめた。
例えば、光周波数f8の光信号を選択したい場合には、
1×2光スイッチ39a,39bでそれぞれ31d側、
32e&k側を選択、かつON/OFF光スイッチ9の
うち9k(S11)だけをON状態とすればよい。な
お、図14に示した本参考例7では光カプラ41aで光
ファイバ伝送路32e,32k中の光信号を合波し、一
方光カプラ41bで光ファイバ伝送路32c,32m中
の光信号を合波しているが、これは光カプラ41aで光
ファイバ伝送路32e,32m中の光信号を合波し、光
カプラ41bで光ファイバ伝送路32c,32e中の光
信号を合波している。
【0121】なお、図14に示した本参考例7等、合波
器として光カプラを用いた場合は原理的に3dBの損失
が生じるが、図12(2)中に示したマッハツェンダ干
渉計を利用した合波器60を適当に設計して用いれば原
理的には無損失にすることが可能である。なぜならば、
例えば図14において光ファイバ伝送路32c中を伝搬
する可能性があるのは光周波数f1,f3,f5,f7の信
号光であり、一方、光ファイバ伝送路32m中を伝搬す
る可能性があるのは光周波数f10,f12,f14,f16
信号光である。したがって、例えば周波数多重間隔が1
00GHzとすれば、周期200GHzのマッハツェン
ダ干渉計を用いることにより無損失の合波特性を得るこ
とが可能である。
【0122】さらに、合波器として用いられている光カ
プラ41a、41bの代わりにそれぞれ1×2光スイッ
チを備え、選択する光周波数にしたがって切り換えるよ
うに構成すると、損失の少ない合波手段を構成すること
ができる。また、光カプラ41a、41b及び光スイッ
チ39bの代わりに1×4光スイッチで光ファイバ伝送
路32c、32e、32k、32mのうちから一つを選
択して光ファイバ伝送路2に接続するように構成して
も、もちろんよい。
【0123】次に、図14に示した本参考例7の周波数
選択光フィルタの効果について説明する。まず、以上詳
述した本参考例7の動作から、図1を用いて説明した
例1の有する効果、すなわち不要な光出力がなくてク
ロストーク(漏れ込み)光が少ないという優れた特性を
示すことは明らかである。
【0124】さらに、本参考例7では、16波の周波数
多重光の中から任意の1波の信号光を選択するのに必要
な光スイッチの個数はON/OFF光スイッチ4個と1
×2光スイッチ2個の合計6個だけである。これは、図
18を用いて説明した従来例では多重光の数だけON/
OFF光スイッチが必要であったのに比べて、約1/4
で済む。種々の周波数多重数のアレイ導波路回折格子型
光合分波器を用いて同様な周波数選択光フィルタを構成
した場合に必要な光スイッチの個数を、図16に表とし
てまとめた。例えば周波数多重数64のアレイ導波路回
折格子型光合分波器を用いて63ないし64波の多重光
から1波を選択する光フィルタを構成する場合、従来例
では63個の光スイッチが必要であったのが本参考例7
の構成ではわずか18個で済む。図10を用いて説明し
参考例でも33個の光スイッチが必要であり、コスト
の削減や信頼性の向上、制御回路規模の縮小などの効果
は極めて著しい。
【0125】加えて、図14に示した本参考例7では第
1および第2の入出力導波路23,27のうち、中央付
近の導波路のみを利用しており、I1,I16,J1,
J16といった両端付近の導波路は使用していない。一
般にアレイ導波路回折格子型光合分波器の両端付近の入
出力導波路は中央付近の導波路に比べて損失および導波
路間での損失差が大きい。したがって、本参考例7は、
損失ならびに光周波数による損失差のばらつきが改善さ
れるという効果も併せ持っている。
【0126】以上まとめると、本参考例7は、参考例で
説明した諸効果に加えて、入力用光路と出力用光路をと
もに複数のうちから一つ選択出来るように構成すること
で、光スイッチ9を双方向に伝搬するそれぞれ2種類の
光周波数の異なる光に対して利用するという巧みな構成
により、制御に要する光スイッチの個数をさらに減らせ
るとともに損失および損失差の少ない周波数選択光フィ
ルタを構成出来るという複合的で極めて著しい効果を得
ることができる。
【0127】なお、図14に示した光回路においても光
ファイバ伝送路2から周波数多重信号光を入力し、光フ
ァイバ伝送路1から選択された信号光を取り出すように
構成してもよい。また、図14に示した本参考例7にお
いては折り返し光路Fx、光スイッチSxとしてx=
5,7,9,11なる4つの光路及び光スイッチを備え
ているが、この代わりに例えば図1に示された折り返し
光路Fxおよび光スイッチSxのうちx=1,3,1
3,15なる4つの光路及び光スイッチを備えても、同
様な機能を有する光ファイバを構成することが可能であ
る。
【0128】また、本参考例7においては導波路23d
(I4),23l (I12)に入力用光路である光ファ
イバ伝送路31d,31lを接続したが、第1の入出力
導波路23のうち他の導波路に接続してもよい。例え
ば、光ファイバ伝送路31d,31lをそれぞれ導波路
Ii,I(i+(N/2))(iは1≦i≦N/2の自
然数、Nは周波数多重数)に接続して、光ファイバ伝送
路32c,32d,32k,32mを第1の入出力導波
路23のうちの対応した導波路にそれぞれ接続すること
により、同様な機能を有する周波数選択光フィルタを構
成することが可能である。
【0129】また、参考例1で説明したように、複数系
統の周波数選択光フィルタを同時に構成しても勿論よ
い。さらに、参考例2で説明したように、折り返し光路
28で接続する導波路対(Js,Jt)(1≦s,t≦
N)として、y=Mod〔t−s+N,N}で定義され
る値yが1≦y≦N−1を満たす自然数であるような導
波路対を選んでも、勿論よい。
【0130】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
フィルタへの入力用光路と出力用光路とをアレイ導波路
回折格子型光合分波器の同一側の入出力導波路に接続
し、一方、アレイ導波路回折格子型光合分波器の逆側の
入出力導波路には光スイッチをそれぞれ備えた折り返し
光路を接続する構成により、不要な光出力がなくクロス
トーク(漏れ込み)光が少ないという優れた特性を実現
している。また、本願発明のうち、折り返し光路及び光
スイッチを逆方向に伝搬する光に対しても利用するよう
にした各発明によれば、このような2重化した光スイッ
チの利用形態をとったことにより、制御に要する光スイ
ッチの個数を少なくすることができるという大きな効果
が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の参考例1の周波数選択光フィルタを示
す構成図である。
【図2】本発明の参考例1における周波数選択動作を説
明する図である。
【図3】本発明の参考例1のフィルタ特性の測定例であ
る。
【図4】本発明の参考例2の周波数選択光フィルタを示
す構成図である。
【図5】本発明の参考例2のフィルタ特性の測定例であ
る。
【図6】本発明の参考例3の周波数選択光フィルタを示
す構成図である。
【図7】本発明の参考例3における周波数選択動作を説
明する図である。
【図8】本発明の参考例4の周波数選択光フィルタを示
す構成図である。
【図9】本発明の参考例5の周波数選択光フィルタを示
す構成図である。
【図10】本発明の参考例の周波数選択光フィルタを示
す構成図である。
【図11】本発明の参考例における周波数選択動作を説
明する図である。
【図12】本発明の参考例に用いられる1×2光スイッ
チの構成を説明する図である。
【図13】本発明の実施例の周波数選択光フィルタを示
す構成図である。
【図14】本発明の参考例7の周波数選択光フィルタを
示す構成図である。
【図15】本発明の参考例7における周波数選択動作を
説明する図である。
【図16】本発明の参考例及び参考例7で得られる光ス
イッチの個数低減効果を説明する図である。
【図17】従来の周波数選択光フィルタの原理を説明す
る図である。
【図18】従来の周波数選択光フィルタを示す構成図で
ある。
【図19】周波数多重数16のアレイ導波路回折格子型
光合分波器の周波数合分波特性を示す図である。
【図20】従来の周波数選択光フィルタにおける周波数
選択動作を説明する図である。
【図21】導波路型光スイッチの構成例を説明する図で
ある。
【図22】従来の周波数選択光フィルタの特性の測定例
である。
【図23】16×16のアレイ導波路回折格子型光合分
波器の周波数合分波特性を示す図である。
【符号の説明】
1,2,1’,2’ 光ファイバ伝送路9a〜9p 光ス
イッチ29a〜29p2×2光スイッチ21 アレイ導
波路回折格子型光合分波器23a〜23p 第1の入出
力導波路24,25 スラブ導波路26 アレイ導波路回
折格子27a〜27p 出力導波路18a〜18p 光フ
ァイバ(ループバック光路)28a〜28p,28’a
〜28’p 光ファイバ(折り返し光路)31d,31
l,32c,32e,32g,32i,32k,32
m,光ファイバ伝送路39,39a,39b 1×2光
スイッチ41a,41b光カプラ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H04Q 3/52 (72)発明者 井上 靖之 東京都千代田区内幸町一丁目1番6号 日本電信電話株式会社内 (56)参考文献 特開 平6−3556(JP,A) 特開 平7−270640(JP,A) 特開 平5−30557(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H04B 10/00 - 10/28 H04J 14/00 - 14/08 G02B 6/12 G02B 6/122 H04Q 3/52

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 N本(Nは整数)の導波路からなる第1
    の入出力導波路群とN本の導波路からなる第2の入出力
    導波路群とを有するアレイ導波路回折格子型光合分波器
    と、 前記第1の入出力導波路群のv番目(vは整数)の導波
    路に接続された第1の入力用光路と、 前記第1の入出力導波路群のw番目(wは整数)の導波
    路に接続された第1の出力用光路と、 前記第1の入出力導波路群のu番目(uは整数)の導波
    路に接続された第2の出力用光路と、 前記第2の入出力導波路群のv’番目(v’は整数)の
    導波路に接続された第2の入力用光路と、 前記第2の入出力導波路群のw’番目(w’は整数)の
    導波路に接続された第3の出力用光路と、 前記第2の入出力導波路群のu’番目(u’は整数)の
    導波路に接続された第4の出力用光路とを有し、さらに
    前記v、w、u及びv’、w’、u’が、 Mod〔w−v+N,N〕=Mod〔v−u+N,N〕
    及びMod〔w’−v’+N,N〕=Mod〔v’−
    u’+N,N〕 を満たす組合せであり、さらに、 Mod〔v’−v+N,N〕=Mod〔s−s’+N,
    N〕 を満たし、かつ、 を満たす整数s、tの各組合せおよび整数s’、t’の
    各組合せに従って接続位置が決定された光路であって、 前記第2の入出力導波路群のs番目の導波路からt番目
    の導波路へ光信号を伝送する第1の折り返し光路と、 前記第1の入出力導波路群のs’番目の導波路からt’
    番目の導波路へ光信号を伝送する第2の折り返し光路と
    を有し、さらに、 前記第1の出力用光路からの出力と前記第2の出力用光
    路からの出力との少なくとも一方の出力を第5の出力用
    光路に出力する第1の光路接続手段と前記第3の出力用
    光路からの出力と前記第4の出力用光路からの出力との
    少なくとも一方の出力を第6の出力用光路に出力する第
    2の光路接続手段とを有し、 前記第1の折り返し光路と前記第2の折り返し光路との
    中で同じ光周波数の光信号が伝搬する光路同士を接続す
    る光スイッチを少なくとも1つ有することを特徴とする
    周波数選択光フィルタ。
  2. 【請求項2】 前記光スイッチが、外部信号に応じて前
    記第1の折り返し光路と前記第2の折り返し光路との接
    続状態をクロス状態又はバー状態のいずれかを選択する
    2×2光スイッチであることを特徴とする請求項に記
    載の周波数選択光フィルタ。
  3. 【請求項3】 前記光スイッチが、第1のポートと第2
    のポートまたは第3のポートを接続する1×2光スイッ
    チであり、前記第1のポートが前記第1の折り返し光路
    と前記第2の折り返し光路のどちらか一方と接続し、前
    記第2のポートと前記第3のポートとがそれぞれ前記第
    1の折り返し光路と前記第2の折り返し光路に接続する
    1×2光スイッチであることを特徴とする請求項に記
    載の周波数選択光フィルタ。
  4. 【請求項4】 前記第1の入出力導波路群に前記入力用
    光路と前記出力用光路との組合せを複数組有し、前記第
    2の入出力導波路群に前記入力用光路と前記出力用光路
    との組合せを複数組有することを特徴とする請求項1、
    2、または3のいずれか1の請求項に記載の周波数選択
    光フィルタ。
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