JP3650163B2 - コントロールケーブルのアウタケーシング端末固定装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、アウタケーシングにインナケーブルを摺動自由に挿通したコントロールケーブルのアウタケーシングの端末を取付板に位置調節可能に固定してインナケーブルの突出長さを調節するようにしたコントロールケーブルのアウタケーシング端末固定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、アウタケーシングの端末を取付板に位置調節可能に固定するには、アウタケーシングの端末に固着したケーシングキャップの外周にねじを切って螺合したダブルナットで取付板を締め付けるのが最も確実な方法であったが、ダブルナットにスパナをかけて回すスペースが無い場合には実施ができなかった。
【0003】
これに対し、ケーシングキャップに鋸歯列を形成し、これに爪を係止するようにしたオートアジャスタ機構はスペースがせまくても簡単に調節することができるが、プルタイプにしか適用することができず、プッシュプルタイプに適用するには三角山形の歯列を使用しなければならないため、爪に適正な荷重をかけるのに構造が複雑になる欠点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、アウタケーシングの端末を取付板に狭いスペースでも容易、かつ、確実に位置調節して固定することができ、プルタイプのコントロールケーブルにも適用することができる装置を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための手段として、請求項1の発明は、アウタケーシングに固着された筒状のケーシングキャップと、取付板に回転および軸方向の移動不能に固定されてケーシングキャップを収容する筒状のホルダとからなり、そのホルダの内周とケーシングキャップの外周には一定の角度範囲において互いに干渉せず、そのケーシングキャップの回転により互いに係合する少なくとも一方が軸方向に複数条並んだ円弧条が形成され、そのケーシングキャップの外周に長さ方向の案内溝が形成されているとともに、ホルダには、弾性片によりケーシングキャップの外周に押し付けられ、そのケーシングキャップの回転により円弧条同士が係合した状態において案内溝に弾力により嵌入してそのケーシングキャップの回転を阻止する係止体が形成されている構成とし、請求項2の発明は、請求項1の発明において、ホルダの外周と取付板の取付孔を非円形にして回転不能に嵌合し、かつ、ホルダの取付孔への挿入方向後端部の外周に鍔を形成するとともに、ホルダに、取付孔への挿入時にその取付孔の孔縁との係合により弾性変形してそのホルダの外周面内に退避する突起を鍔から取付板の厚さに相当する間隙をあけて設けた構成とし、請求項3の発明は、請求項1または請求項2の発明において弾性片の内面に、案内溝に挿入された係止解除棒により押されて係止体を弾力に抗してその案内溝から脱出させる斜面が形成されている構成とし、請求項4の発明は、請求項1または請求項2の発明において、弾性片の外面に突出部を形成し、その突出部を押して弾性片を外側に変形させることにより、係止片を案内溝から脱出させる構成とした。
【0006】
【発明の作用及び効果】
本発明は上記構成になり、請求項1の発明は、ケーシングキャップをその円弧条がホルダの円弧条に干渉しない角度でホルダに挿入し、インナケーブルの突出量が適正値になったところで回転させて円弧条同士を係合させると、係止体が案内溝に嵌入して回転不能となり、ケーシングキャップがホルダに確実に固定され、請求項2の発明は、ホルダを取付孔に整合させて押し込むと突起が弾性変形により外周面内に退避してホルダが鍔に当たるまで挿入され、それと同時に突起が弾力により外周面上に突出するのであり、ホルダを取付板にきわめて簡単に回動及び脱出不能に取り付けることができ、請求項3の発明は、係止解除棒により係止体を案内溝から外すことによってケーシングキャップを回して円弧条同士の係合を解除し、ケーシングキャップを移動させて再調節することができ、請求項4の発明は、突出部を押すことにより係止体を案内溝から外すことができ、ケーシングキャップの固定位置を容易に再調節することができる。
【0007】
【実施例】
以下、本発明の一実施例を添付図面に基づいて説明する。
【0008】
図において、1は可撓性を有するアウタケーシング2に、先端に端末金具30を固着したインナケーブル3を摺動自由に挿通したコントロールケーブルであって、アウタケーシング2の端末には、図1に示すように、円筒形のケーシングキャップ4がインサート成形またはかしめ付けにより、一体的に固着されている。ケーシングキャップ4の外周には、図7に示すように、平行2面5、5が形成され、その平行2面5、5の中央部には全長にわたって案内溝6、6が形成されており、基端部には縮径部7、7が形成されて突条8、8が構成されており、基端部寄りの円弧部分には多数の三角山形の円弧状10が一定間隔で形成されている。
【0009】
図7において、11は取付板12に形成された取付孔13に嵌着されるホルダであって、基端に鍔15が形成されてされているとともに、鍔15に接続して取付孔13に緊密に嵌合する大径部16が形成されており、また、基端から先端近くまで取付孔13の上部に形成された凹部14に緊密に嵌合する突部17が形成され、その先がテーパー部18となっている。
【0010】
さらに、ホルダ11の突部17と90°をなす2位置には鍔15との間に取付板12の厚さにほぼ一致する幅の窓孔19が形成されてその両端から先端近くまで細い溝20、20が形成され、窓孔19を介して鍔15に対応する突起21が形成されているとともに、突起21の先端側には斜面22が形成されて突起21の先端側には長コ字形の溝24が形成されることにより突起21が半径方向に弾性変形する弾性片28、28が構成されるとともに、その弾性片28、28の間に突起21を基端とする弾性片23が構成され、図1に示すように、その先端の内面に係止体25とこれに続く斜面26が形成され、また、ホルダ11の内周面の係止体25と90°をなす位置には、図10に示すように、三角山形の多数の円弧条27が形成されており、鍔15の突部17の裏側には突面29が形成されている。
【0011】
次に、本実施例の組み付け方法について説明すると、まず、ホルダ11の突部17を取付板12の凹部14に整合させて取付孔13に嵌入すると、図10に示すように、斜面22が取付孔13の孔縁に当たり、突起21、21が孔縁にはまるまで弾性片28、28が弾性変形し、突起21、21が取付孔13を通過すると、突起21、21が弾力により復元して鍔15との間で取付板12を挟んで凹部14と突部17との嵌合により回転および軸方向の移動不能にホルダ11が取付板12に固定される。
【0012】
次に、ケーシングキャップ4を、その案内溝6をホルダ11の鍔15の突面29に合わせてホルダ11内に挿入すると、図3に示すように、平行2面5、5がホルダ11の円弧条27、27に対応してケーシングキャップ4の円弧条10、10と干渉しないため、ケーシングキャップ4をホルダ11内に任意の深さまで挿入することができ、このとき、図1、図2に示すように、係止体25は弾性片23の変形によりケーシングキャップ4の外周に押し付けられている。
【0013】
任意の挿入深さにおいて、突条8に指を掛けてケーシングキャップ4を90°回転させるとホルダ11の円弧条27にケーシングキャップ4の円弧条10がかみ合い、図5に示すように、係止体25、25が案内溝6、6、内に嵌入してケーシングキャップ4がホルダ11に回転不能に固定され、軸方向の移動も不能となる。
【0014】
ホルダ11の円弧条27とケーシングキャップ4の円弧条10の端縁は互いに干渉しないように、図8に示すように、面取りがなされている。
【0015】
インナケーブル3の突出量を再調節する場合には、図11に示すように、U字形の係止解除棒31をケーシングキャップ4の案内溝6、6内に挿入すると、その先端が弾性片23の斜面26を押して係止体25、25が案内溝6、6から脱出し、回転自由になるため、ケーシングキャップ4を少し回して係止体25、25をケーシングキャップ4の外周に当てた後、係止解除棒31を抜き出し、さらに回転させて円弧条10をホルダ11の円弧条27から外し、ケーシングキャップ4を軸方向に移動させ、任意の位置で上記と同様の操作を行いケーシングキャップ4をホルダ11に固定する。
【0016】
図12、13に本発明の他の実施例を示す。
【0017】
本実施例はホルダ11の弾性片23、23の先端部外周に突出部32、32が形成されているとともに、取付板12の取付孔13の両横には突出部32、32の通過を許容する逃げ溝33、33が形成されており、インナケーブル3の突出量を再調節する場合には、図13に示すように、突出部33、33を押すと弾性片23、23が弾性変形して係止体25、25が案内溝6、6から脱出し、回転自由になるため、ケーシングキャップ4を少し回して突出部33、33の押圧を解除することにより係止体25、25をケーシングキャップ4の外周に当てた後、さらに回転させて円弧条10をホルダ11の円弧条27から外してケーシングキャップ4を軸方向に移動させ、任意の位置で上記と同様の操作を行いケーシングキャップ4をホルダ11に固定する。
【0018】
その他の構成は上記実施例と同一である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例のケーシングキャップ4をホルダ11に嵌入する途中の平断面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】図1のB−B断面図である。
【図4】ケーシングキャップ4をホルダ11に嵌着した状態の側断面図である。
【図5】図4のC−C断面図である。
【図6】図4のD−D断面図である。
【図7】分解斜視図である。
【図8】円弧条10、27のかみ合い前の拡大断面図である。
【図9】ケーシングキャップ4をホルダ11に嵌着した状態の一部切欠斜視図である。
【図10】ホルダ11を取付板12を取り付ける状態の平断面図である。
【図11】ケーシングキャップ4をホルダ11から外す状態の一部切欠斜視図である。
【図12】本発明の他の実施例の分解斜視図である。
【図13】その縦断面図である。
【符号の説明】
1:コントロールケーブル
2:アウタケーシング
3:インナケーブル
4:ケーシングキャップ
6:案内溝
10:円弧条
11:ホルダ
12:取付板
15:鍔
21:突起
22:斜面
23:弾性片
25:係止体
26:斜面
27:円弧条
28:弾性片
31:係止解除棒
32:突出部
Claims (4)
- アウタケーシングにインナケーブルを摺動自由に挿通したコントロールケーブルの前記アウタケーシングを取付板に位置調節可能に固定する装置であって、前記アウタケーシングに固着された筒状のケーシングキャップと、前記取付板に回転および軸方向の移動不能に固定されて前記ケーシングキャップを収容する筒状のホルダとからなり、該ホルダの内周と前記ケーシングキャップの外周には一定の角度範囲において互いに干渉せず、該ケーシングキャップの回転により互いに係合する少なくとも一方が軸方向に複数条並んだ円弧条が形成され、該ケーシングキャップの外周に長さ方向の案内溝が形成されているとともに、前記ホルダには、弾性片により前記ケーシングキャップの外周に押し付けられ、該ケーシングキャップの回転により前記円弧条同士が係合した状態において前記案内溝に弾力により嵌入して該ケーシングキャップの回転を阻止する係止体が形成されていることを特徴とするコントロールケーブルのアウタケーシング端末固定装置。
- 前記ホルダの外周と前記取付板の取付孔を非円形にして回転不能に嵌合し、かつ、前記ホルダの前記取付孔への挿入方向後端部の外周に鍔を形成するとともに、前記ホルダに、前記取付孔への挿入時に該取付孔の孔縁との係合により弾性変形して該ホルダの外周面内に退避する突起を前記鍔から前記取付板の厚さに相当する間隙をあけて設けたことを特徴とする請求項1記載のコントロールケーブルのアウタケーシング端末固定装置。
- 前記弾性片の内面に、前記案内溝に挿入された係止解除棒により押されて前記係止体を弾力に抗して該案内溝から脱出させる斜面が形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載のコントロールケーブルのアウタケーシング端末固定装置。
- 前記弾性片の外面に突出部を形成し、該突出部を押して前記弾性片を外側に変形させることにより、前記係止片を前記案内溝から脱出させる構成としたことを特徴とする請求項1または請求項2記載のコントロールケーブルのアウタケーシング端末固定装置。
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