JP3650119B2 - Mcm−49による接触分解 - Google Patents
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Description
本発明は、MCM−49並びにその合成及び使用について明細書中に開示し及び特許請求の範囲に記載した1993年8月17日付けの米国特許第5,236,575号に関連する。
発明の背景
1.発明の属する技術分野
本発明は、接触分解においてMCM−49を使用することに関する。
2.関連する技術の説明
多くの精油所では、原油フィード全体の大部分を高いオクタン価ガソリンに転化するために膨大なエネルギー及び操作コストを費やしている。原油を分留して、通常は改質に付される直留ナフサフラクション、並びに接触分解に付されて分解ナフサ及び軽質オレフィンを生成する軽油及び/又は減圧軽油フラクションを製造する。分解ナフサは製油所のガソリンブレンドプールに加えられ、一方、軽質オレフィンは通常はHF又は硫酸アルキル化によってガソリン沸点範囲物質に転化された後、ガソリンブレンドプールに加えられる。
流動接触分解(FCC)は、沸点のより高い石油フラクションを沸点のより低い生成物、特にガソリンに転化するために好ましい精製方法である。FCCにおいては、固体分解触媒により炭化水素分解反応が促進される。触媒は、微細に粉砕された形態であって、一般に20〜100μm、平均で約60〜70μmの粒子である。触媒は流体のような挙動を示し(従って流動接触分解と称されており)、分解ゾーンと離れた再生ゾーンとの間の閉じたサイクルの中を循環する。新しいフィードは、ライザー反応器の底部で再生器からの熱い触媒と接触する。分解生成物はライザー分解反応器から排出されて主カラムの中を通り、大量の軽質オレフィンを含む蒸気ストリーム及び種々の液体ストリームが生成する。蒸気ストリームは湿潤ガス圧縮機内で圧縮され、生成物精製用の不飽和ガスプラトンへ送られる。
接触分解方法についてのこれ以上の説明は、ピー・ビー・ヴェヌト(P.B.Venuto)及びイー・ティ・ハビブ(E.T.Habib)のモノグラフ、「フルード・キャタリティック・クラッキング・ウィズ・ゼオライト・キャタリスツ(Fluid Catalytic Cracking With Zeolite Catalysts)」、マーセル・デッカー(Marcel Dekker)、ニューヨーク、1978年に見出すことができる。
従前の方法、移動床分解方法又はサーモファア(Thermofor)接触分解(TCC)方法等をまだ使用している製油所もある。触媒は小さなビーズ状の形態であって、反応器及び再生器の中を移動床として通過する。フィード及び生成物の性質はほぼ同様であり得るが、TCC装置は通常、留出されたフィードしか分解できないのに対して、FCC装置は残渣物質を含むフィードを処理することができる。
FCCは、既に、重質のフィードをより軽質の生成物に転化するための有効な方法であるが、最近の法令の結果としてFCC触媒及びハードウェアには実質的な改善が要求されそうである。特に、ガソリンの芳香族化合物含量を低減し、ガソリンの酸素化物含量を増大するために、アルキル化用のC3及びC4オレフィン並びにメチル−tert−ブチルエーテル(MTBE)及びエチル−tert−ブチルエーテル(ETBE)用のC4及びC5オレフィンへの需要が増大するであろうと考えられている。予想される問題点は、ガソリンのオクタン価を維持すること及び酸素化物を製造するために十分な軽質オレフィンを製造することである。
軽質オレフィンの生成を増大するために、広く認められている多くの方法がある。例えば、広く受け入れられている方法の1つに、ベースの分解触媒中の希土類交換Yゼオライトを超安定Yゼオライトに置き換える方法がある。もう1つの方法は、ライザーの頂部温度を上昇させる方法である。3つ目の方法は、ライザーの長手方向のある部分において、2番目の又は「冷却用の」ストリームを用いる方法である。更にもう1つのの方法は、ゼオライトYをベースとする分解触媒にZSM−5を加える方法である。
軽質オレフィンの収率を向上させるそれぞれの方法に伴う問題点がある。希土類交換Yの代わりに希土類を含まない超安定Yゼオライトを用いると、安定性及び活性が低下した分解触媒が生成する。ライザーの頂部温度を高くすると、望ましくない軽質生成物、例えば、メタン及びエタンが生成すると共に、ガムの生成及び閉塞をもたらすジエンがガソリン中により多く生成する。冷却ストリームを導入すると、装置における新しいフィードの流量を流体力学的限界に近い値にまで制限するおそれがある。ZSM−5を添加すると、軽質オレフィンの収率は大きく向上するが、コストが上昇し、高い含有率で使用する場合には、「ベース」のY分解触媒を希釈化することになる。
軽質オレフィン収率を向上させるいくつかの接触的方法について検討する。
ゼオライトY+ZSM−5
ゼオライトYをベースとする触媒と組み合わせてZSM−5を使用することは、米国特許第3,758,403号;同第3,769,202号;同第3,781,226号;同第3,894,931号;同第3,894,933号;同第3,894,934号;同第3,926,782号;同第4,100,262号;同第4,309,280号;同第4,309,279号;同第4,375,458号に記載されている。
ゼオライトY+他のゼオライト
結晶質シリコアルミノホスフェート(SAPOs)を含む分子篩及び他のゼオライトとゼオライトYとの組合せによれば、ガソリン収率を犠牲にして、軽質オレフィンを増大し、オクタン価を向上させる可能性があることが見出されている。今日まで、ZSM−5以外の結晶質物質をオクタン分解触媒として工業的に適用することには限界があると考えられてきている。科学技術及び特許文献には、FCC添加物としての少なくとも4種の他の形状選択性アルミノシリケートゼオライトの評価について述べられている。それらは、オフレタイト(米国特許第4,992,400号)、ZSM−23、ZSM−35(米国特許第4,016,245号)及びZSM−57(米国特許第5,098,555号)である。非ゼオライト系分子篩の特許は、FCCにおいて、SAPO−5(米国特許第4,791,083号;欧州特許出願公告(B1)第0 202 304号)、SAPO−11(米国特許第4,791,083号)並びにSAPO−37(米国特許第4,842,714号;同第4,681,864号)を使用することを教示している。
ガソリンのオクタン価を向上し及び軽質オレフィンを製造するための手段として、ゼオライトY触媒と共にゼオライトベータを使用する文献がある。チェン(Chen)らは、米国特許第4,740,292号及び同第4,911,823号において、REYとゼオライトベータの組合せを使用して、C3/C4オレフィンの収率が向上する一方で、ガソリンのオクタン価が向上することを記載している。
上述の方法はいずれもFCCにおいてオレフィン収率の向上に寄与するものであったが、ガソリンの収率及びオクタン価を維持しながら軽質オレフィンを更に増産するという課題を十分に解決する手段を与えるものではなかった。あるものは、外部からの有機テンプレート(templates)から形成されるゼオライト添加物を用いる必要があり、及び/又は今日のFCC再生器内における苛酷な条件に耐える安定性を有さないことがあって、正確には水熱的失活剤(hydrothermal deactivators)と称され得るゼオライト添加物を用いることに依存するものもある。
将来の分解製油所には、より多くのオレフィン及びより高いオクタン価が必要とされるであろうと出願人は予測した。製油所には、既存の処理装置を廃棄したり、大きな資本の支出を伴ったりすることなく、将来のそのような燃料を製造する必要もあろう。
出願人は、極めて大量の軽質オレフィンを製造するために、常套のゼオライトYをベースとする分解触媒と組み合わせて又は単独で使用することができる新しい分解触媒を見出した。この新しい分解触媒、又は分解触媒添加物によれば、軽質オレフィン、例えば、プロピレン及びブチレンの収率が著しく向上し、イソブタンの収率が相当向上した。FCCガソリンの収率には多少の損失があるものの、それは軽質オレフィン及びイソブタンの収率の増大から見込まれる液体燃料の収率によって十分に相殺されるものであった。
発明者らは、分解触媒に用いる常套のゼオライトの置換物質として又は分解触媒添加物としてMCM−49を用いることによって、これらの利点を達成した。
発明の概要
従って、本発明は、通常は液体である炭化水素フィードを、水素を添加しない状態で接触分解する方法であって、分解反応器内において、触媒として有効な量のMCM−49を含む再生された平衡触媒のソースに分解条件で接触させることによって、液体フィードを分解することを含む方法を提供する。
もう1つの態様において、本発明は、炭化水素フィードをライザー接触分解反応器に供給すること;触媒再生器からの熱い流動化固体混合物をライザー反応器の底部に供給し、該混合物はマトリックス中にゼオライトY、ゼオライトベータ又はその両者を含むベースFCC触媒95〜50重量%及び非晶質担体中に触媒として有効な量のMCM−49を含むMCM−49触媒添加物5〜50重量%の物理的混合物を含んでなること;約925〜1100゜Fのライザー出口温度を含む触媒分解条件にて、上記フィードを接触分解して、C3及びC4オレフィンを含む触媒分解生成物及びあるオクタン価を有する接触分解ナフサフラクションを含む触媒分会生成物、並びに使用済みの分解触媒及びMCM−49添加物触媒を含む使用済み固体混合物を生成し、それらをライザー反応器の出口から排出すること;ライザー出口が含まれる容器内において、形状選択性添加物触媒及び使用済み分解触媒を含む使用済み固体混合物に富む相から、分解生成物に富む蒸気相を分離し、容器から取り出すこと;ストリップ手段内において、使用済み固体混合物をストリップ条件にてストリップしてストリップされた固体相を生成すること;触媒再生条件にて操作される触媒再生手段内で、ストリップされた固体混合物をデコーキング(脱コークス化)して熱い流動化固体混合物を形成し、熱い流動化固体混合物をライザー反応器の底部にリサイクルすること、並びに生成物分離手段内で分解生成物に富む蒸気相をフラクショネーションして、塔頂蒸気フラクション、少なくとも一種のC3及びC4オレフィンを含む液体フラクション及び接触分解ナフサフラクションを生成することを含んでなる炭化水素フィードの接触分解方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
図1は、ライザー反応器を備えた常套のFCC装置を示している。
好ましい態様の詳細な説明
図1(従来技術)は、1990年1月8日付のオイル・アンド・ガス・ジャーナル(oil & Gas Journal)中の「フルード・キャタリティック・クラッキング・リポート(Fluid Catalytic Cracking Report)」の第17図として示されるケロッグ・ウルトラ・オルトフロー・コンバーター・モデル・エフ(Kellogg Ultra Orthoflow converter Model F)と同様の従来技術のFCC装置の簡略化した模式図である。
軽油又は減圧軽油などの重質フィードが、フィード供給ノズル2を通ってライザー反応器6に添加される。分解反応はライザー反応器内で完了し、反応器は頂部においてエルボー10の部分で90゜曲がっている。ライザー反応器から排出される分解生成物及び使用済み触媒は、分解生成物から使用済み触媒の大部分を効率的に分解するライザー・サイクロン12の中を通過する。分解生成物は分離装置(disengager)14内に排出され、最終的には上部サイクロン16及び導管18を経て分留装置へ排出される。
使用済み触媒は、ライザー・サイクロン12のジップレッグから触媒ストリッパー8の中へ排出され、そこではライン19及び21を通って入るストリッピング水蒸気により、1段階、又は好ましくは2段階若しくはそれ以上の段階の水蒸気ストリッピングが行われる。ストリップされた炭化水素及びストリッピング水蒸気は分離装置14内に入り、分解生成物と共に上部サイクロン16の中を通過して取り出される。
ストリップされた触媒は、使用済み触媒スタンドパイプ26を取って触媒再生器24の中に排出される。触媒の流れは、使用済み触媒プラグ弁(栓弁)36によって制御される。
このストリッパーの構造は、寸法的に余裕があるので効率的である。大部分のライザー反応器FCCは、ライザー反応器の周囲に環状床として配されるストリッパーを有していて、触媒が流れるのに十分な断面積が設けられていない。
触媒は、図示しないエアライン及び空気グリッド分配器を通って供給される空気により、再生器24内で再生される。触媒冷却器28によって、再生器から熱を除去することができる。再生された触媒は、再生触媒プラグ弁アッセンブリ30を通って取り出され、ラテラル(側導管、lateral)32を通ってライザー反応器6の底部に送られ、上述のようにインクジェクター2を通って供給される新しいフィードと接触して分解を行う。煙道ガス、及び同伴する触媒は、再生器24の上側部分の希釈相領域の中に排出される。同伴する触媒は、複数段階のサイクロン4で煙道ガスから分離され、ライン22を経てフレアーへ排出するように出口8を通ってプレナム20内に送られる。
本発明の方法及び装置の概要を説明したが、本発明のFCCプロセス及び反応器の構造(両者は常套のものであってもよい)並びに触媒系について、以下、更に詳細に説明する。
フィード
常套のFCC又は移動床分離装置のいずれのフィードも使用することができる。FCC用のフィードは、典型的なもの、例えば、石油留出物又は残油部分、直留油又は部分精製油等から、典型的でないもの、例えば石炭油(coal oil)及びシェール油等までの範囲内で変化し得る。移動床分解装置は、通常は、残油を多く含むフィードを処理することができない。フィードには、リサイクル炭化水素、例えば、既に分解されている軽質及び重質サイクル油などがしばしば含まれる。フィードの大部分、通常は90重量%以上が343℃(650゜F)以上の沸点を有する。
反応器条件
常套の反応器条件を使用することができる。FCCプロセスにおいては、ライザー分解が好ましい。大部分のライザーFCC装置では、触媒/油重量比が1/1〜10/1であり、炭化水素滞留時間は1〜10秒である。大部分は、510〜565℃の反応器出口温度で操作される。反応器出口温度は好ましくは538℃以上、より好ましくは552〜593℃、最も好ましくは約580℃である。0.1〜1秒の短い接触時間及び538〜649℃の温度も用いられる。冷却(急冷)は便利でありが、必須のものではない。
例えば米国特許第4,421,636号に開示されているような常套のライザー分解FCC装置はいずれのものも使用できる。
例えば米国特許第4,980,051号に一例が示されているもののような移動床分解装置においても、常套の条件を用いることができる。TCCの構造及び操作条件についてのこれ以上の詳細な説明は、アヴィダン(Avidan)及びシンナー(Shinnar)によって、デベロップメント・オブ・キャタリティック・クラッキング・テクノロジー(Development of Catalytic Cracking Technology)、「ア・レッスン・イン・ケミカル・リアクター・デザイン(A Lesson in Chemical Reactor Design)」、アイ・アンド・イーシー・リサーチ(I & EC RESEARCH)、1990、29においても報告されている。典型的なTCC分解条件には、1.5〜15、好ましくは4〜10の触媒:油重量比、及び450〜550℃、好ましくは約500〜530℃の反応器温度が含まれる。TCC用の触媒の処方はFCC装置において用いられるものと同様であってよいが、触媒は3〜5mmの球状形態となる。
FCCライザー反応器出口/触媒分離
反応器から排出される分解生成物から使用済み触媒を迅速に分離することは好ましいが、必須のものではない。サイクロン分離装置、又は他の慣性力分離装置を用いることにより、分解生成物からのコークス付着化触媒の分離が促進される。
効率的なフィード噴霧ノズルを使用することは好ましいが、必須のものではない。米国特許第5,306,418号に好適なノズルが開示されている。
分解生成物を反応容器から迅速に取り出す閉鎖式サイクロン、例えばエム・ダブリュ・ケロッグ・カンパニー(M.W.Kellogg Company)から入手できるようなものが好ましい。
触媒ストリッピング
常套のストリッピング技術を用いて、通常は1〜5重量%の水蒸気に接触させて、使用済み触媒からストリップ可能な炭化水素を分離することができる。
触媒再生
本発明の方法及び装置には常套のFCC再生装置を用いることができる。大部分のものは、触媒の濃厚相、沸騰流動床を有する1段の大規模な容器を使用する。上方に希釈相移送ライザーを有する速い流動床コーク燃焼器及び再生された触媒を集めるもう1つの流動床を有する高効率の再生器を使用することができる。種々の沸騰濃厚床再生器の代表例についてのより詳細な説明を以下に記載する。
渦巻式再生器は、チョウ(Chou)の米国特許第4,490,241号及びリーブ(Leib)及びサプレ(Sapre)の米国特許第4,994,424号に開示されている。
クロスフロー再生器は、リーブ及びサプレの米国特許第4,980,048号に開示されている。
積層式又はオルトフロー型FCC装置と組み合わされる再生器は、オーウェン(Owen)及びシッパー(Schipper)の米国特許第5,032,252号及び同第5,043,055号に開示されている。
TCC再生条件には、キルンと称されることもある再生器の中を移動床として触媒を通過させながら、600〜700℃の温度で触媒と空気とを接触させることも含まれる。
本発明の触媒系
本発明の触媒系には、触媒として有効な量のMCM−49を含む必要がある。その合成に関しては、米国特許第5,236,575号に開示されている。
合成された状態の物質は、通常はナトリウム型であり、接触分解に使用するためには水素型となっていることが好ましい。それには、この技術分野において周知の技術、例えば他のカチオンによるイオン交換を用いることができる。好ましい置換用カチオンには、金属イオン、水素イオン、水素前駆体、例えばアンモニウムのイオン及び混合物が含まれる。特に好ましいカチオンは、水素及び希土類金属並びに元素周期表の第II A族、第III A族、第IV A族、第I B族、第II B族、第III B族、第IV B族及び第VIII族の金属である。
MCM−49は本質的に純粋なものであると認められている。MCM−56に関連するが、それとは区別される。いくつかの関連する物質のX線回折パターンを表I(合成時の状態)及び表II(焼成したもの)に示す。これらの表において、強度は12.4Åの面間隔dのラインに対して定めた。
表I中のデータを得るために用いた物質は、層状MCM−56のウェット・ケーキ、焼成するとMCM−22に変態するものと同じ有機誘導剤(organic directing agent)を用いて合成された層状物質のウェット・ケーキ及び結晶質MCM−49のウェット・ケーキであった。表IIのデータのために用いた物質は、表Iに用いた物質を焼成したものであった。各物質の焼成は、空気中、540℃で2〜20時間行った。MCM−56とMCM−49との間の最初の差異を示す最も効果的な特徴は、8.8〜11.2Åの面間隔dの領域に観察される。
これら類似する物質を識別する他の特徴を以下の表IIIにまとめて示す。
1gの焼成MCM−56は、2,2−ジメチルブタン15mgを約20秒以内、例えば約15秒以内で収着する。
MCM−49は、常套の技術を用いてTCC又はFCCにおいて用いる触媒に形成することができる。触媒は、安定性の向上のためにリン又はリン化合物を含むことが好ましい。触媒を製造するいくつかの好適な方法について、更に詳細に説明する。
MCM−49触媒は、触媒組成物の0.5〜90重量%又はそれ以上を占めることができる。本発明においては、触媒インベントリー(inventory、保持量)中に5〜50重量%のMCM−49、より好ましくは7.5〜25重量%のMCM−49を存在させて操作するのが好ましい。
下限は、他の何よりも経済性によって設けられる。この新しい触媒によってもたらされる利益は好ましいものであり、何か局部的な拘束(例えば下流の生成物回収設備の制限)によってMCM−49の十分な添加が妨げられない限り、5又は10重量%以下で存在させるのは通常は望ましいというわけではない。融通性を最大にするために、常套のE−触媒(E−Cat)及びMCM−49添加物のブレンドを用いることができ、そのようなブレンドでは、MCM−49の含有率を、純粋なMCM−49基準で、触媒インベントリーの0.5〜5.0重量%の範囲へ更に低くすることができる。
MCM−49含有率の上限は、添加物中の場合であっても、又はベースとなる分解触媒に組込まれる場合であっても、他の何よりも製造及び強度を考慮して設定される。25〜50重量%のMCM−49を含む触媒を製造するのは容易であるが、含有率が約70重量%を越えるようになると一層困難になる。常套のマトリックス材料、例えばクレーの割合が低下したり、又はシリカ:アルミナ比が低下したりすると、圧潰強度がいくらか低下する。
循環触媒インベントリー中のMCM−49含量の一部又は全部が、ベースの分解触媒に含まれていてもよい。ベースの分解触媒は、MCM−49含量とは関係なく、非晶質であってもよいし、又は大孔ゼオライト、例えばX若しくはYのある形態のもの、好ましくはゼオライトYの脱アルミニウム化形態をベースとするものであってもよい。ベースの分解触媒は、何等かの形態のゼオライトベータを主ゼオライトとして有していてもよいし、又は含んでいてもよい。
分解触媒も添加物触媒も使用前に水蒸気処理する必要はないが、約5〜約100%水蒸気中、約300℃〜800℃で0.1〜200時間、水蒸気処理してもよい。発明者らは、通常、FCC装置内における通常のエージングをシミュレートするために、物質の試験前に水蒸気処理を行う。
米国特許第4,072,600号及び同第4,350,614号に記載されているように、COのCO2への酸化を促進するのに有用な金属を含むこともできる。触媒は、例えば、0.01重量ppm〜100重量ppmの促進剤、通常は0.1〜5重量ppmの白金を含むことができる。触媒は、SOx捕捉添加剤、流動化添加剤などを含むこともできる。
実施例1:MCM−49の調製
オートクレーブ中において、2.24部の45%アルミン酸ナトリウムを、1.0部の50%NaOH溶液および43.0部のH2Oを含む溶液に加えた。8.57部の量のウルトラシル(Ultrasil)沈降シリカを撹拌しながら加え、次いで4.51部のヘキサメチレンイミン(HMI)を加えた。
反応混合物は以下の組成を有していた(モル比):
SiO2/Al2O3=23
OH-/SiO2=0.21
Na/SiO2=0.21
HMI/SiO2=0.35
H2O/SiO2=9.3
混合物を撹拌しながら150℃にて84時間で結晶化した。生成物はMCM−49と同定され、表IVに示すX線パターンを有していた。
生成物の化学組成は以下の通りであった(重量%):
N= 1.70
Na 0.70
Al2O3 7.3
SiO2 74.5
灰分 84.2
生成物のシリカ/アルミナモル比は17.3であった。
538℃で9時間焼成した後の収着能は以下の通りであった(重量%):
シクロヘキサン(40Torr) 10.0
n−ヘキサン(40Torr) 13.1
H2O(12Torr) 15.4
試料の一部を、空気中にて538℃で3時間焼成した。この物質は、表Vに示すX線回折パターンを示した。
実施例2:MCM−49流動触媒
シリカ−アルミナゲル/クレーマトリックス中に実施例1からのMCM−49生成物を40重量%含む水性スラリーを噴霧乾燥し、噴霧乾燥した触媒を焼成して、MCM−49流動触媒を調製した。焼成は、空気中、538℃で3時間行った。続いて、焼成した触媒を0psin、水蒸気45%/空気55%の雰囲気中、788℃にて10時間水蒸気処理した。水蒸気処理した触媒のアルファ値(Alpha Value)は6であった。
焼成後の触媒の組成は、40重量%のMCM−49、27.3重量%のシリカ、2.7重量%のアルミナ、及び30.0重量%のカオリンクレーであった。
実施例3:MCM−49流動触媒+リン
スラリーにリン酸を加えること以外は同様にして実施例2を繰り返した。焼成後の触媒の組成は、40重量%のMCM−49、27.3重量%のシリカ、2.7重量%のアルミナ、及び30.0重量%のカオリンクレーであった。触媒は、2.45重量%のリンを含んでいた。
実施例4:工業用E−触媒
この検討において用いる基本ケース触媒は、工業FCC装置から取り出した後、酸化的に再生したREUSY触媒であった。触媒特性を表VIにまとめて示す。
実施例5:MCM−49 + E−触媒
実施例2の触媒25重量%を実施例4のE−触媒75重量%と混合して触媒ブレンドを形成した。
実施例6:MCM−49 + E−触媒
実施例3の触媒25重量%を実施例4のE−触媒75重量%と混合して触媒ブレンドを形成した。
実施例7
実施例4、5及び6の触媒を、固定流動床(FFB(fixed−fluidized bed))装置において、表VIIに示す特性を有するサワー重質軽油(SHGO、Sour Heavy Gas Oil)を用いて、516℃で1.0分の触媒接触時間にて評価した。
触媒/油比を変化させることによって、転化の範囲を調べた。(70容量%の転化率で補間後)の固定流動床(FFB)の結果を表VIIIにまとめて示す。
表VIIIからの結果は、軽質オレフィン及びイソブタンの並外れは収率を示している。アルキレートフィードのみについて考えると、生成するプロピレン、C4=及びイソブタンの量については約25〜50%向上している。FCCガソリンについては多少の損失があるものの、利用可能性のあるアルキレート及びガソリンの収率は、MCM−49触媒を用いることによって向上している。このデータによって、オクタン価(RONCL、又は単味若しくは0.0g鉛添加のリサーチ法オクタン価)においてかなりの向上があることが示される。
常套のE触媒の代わりに、又はその添加物として、本発明の新しい触媒を用いることによって、製油所における触媒分解装置からアルキレート及び/又は酸素化物を大量に製造する方法が製油業者にもたらされる。C3=、C4=及びiC4と規定されるクリーン燃料前駆物質(clean fuel precursors)という用語で表現して、大量の接触分解ガソリンの製造を続けながら、実質的な量のクリーンな燃料前駆物質を製造することができる。
従来技術のFCCプロセスは大量のガソリンを製造したが、クリーンな燃料前駆物質はガソリンストリームの半分以下であった。本発明の方法によって、FCCナフサフラクションの50液体容量%(LV%)〜ナフサフラクションの65ないし70液体容量%の範囲の量で、クリーンな燃料前駆物質を製造する効率的な方法が、製油業者に提供された。FCC装置は、今や、クリーンな燃料の重要な製造装置であると考えることができる。
クリーンな燃料の製造の点から見ると、本発明の方法によって、製油業者は、製造する酸素化物及びアルキレートの量を約50%増大し、FCCガソリンの量をわずかに減少させるものの、オクタン価を向上させることができる。表VIIIから推定すると、常套のFCC装置によって100,000容量部のフィードを処理すると、55,500容量部の90.3RONCLガソリン及び19,300容量部のクリーン燃料前駆物質(又はアルキレートフィード)が製造される。本発明を用いる場合は、同じFCC装置によって、29,900容量部のクリーン燃料前駆物質を製造することができる。ガソリンの容量は44,900容量部に低下するが、オクタン価は93.0とかなり高い。このようにオクタン価が高いので、製油業者は、常套のFCCプロセスからのFCCガソリンの場合とほぼ同様のオクタン価を維持しながら、FCCガソリンの全体又は一部を水素処理(hydrotreat)して硫黄分を除くことができるようになる。それは、水素処理によって硫黄分が除かれるが、オクタン価も低下するためである。本発明の方法によれば、水素処理が可能となる十分なオクタン価の緩衝作用(cushion)又は保存作用(reserve)がもたらされる。
発明の背景
1.発明の属する技術分野
本発明は、接触分解においてMCM−49を使用することに関する。
2.関連する技術の説明
多くの精油所では、原油フィード全体の大部分を高いオクタン価ガソリンに転化するために膨大なエネルギー及び操作コストを費やしている。原油を分留して、通常は改質に付される直留ナフサフラクション、並びに接触分解に付されて分解ナフサ及び軽質オレフィンを生成する軽油及び/又は減圧軽油フラクションを製造する。分解ナフサは製油所のガソリンブレンドプールに加えられ、一方、軽質オレフィンは通常はHF又は硫酸アルキル化によってガソリン沸点範囲物質に転化された後、ガソリンブレンドプールに加えられる。
流動接触分解(FCC)は、沸点のより高い石油フラクションを沸点のより低い生成物、特にガソリンに転化するために好ましい精製方法である。FCCにおいては、固体分解触媒により炭化水素分解反応が促進される。触媒は、微細に粉砕された形態であって、一般に20〜100μm、平均で約60〜70μmの粒子である。触媒は流体のような挙動を示し(従って流動接触分解と称されており)、分解ゾーンと離れた再生ゾーンとの間の閉じたサイクルの中を循環する。新しいフィードは、ライザー反応器の底部で再生器からの熱い触媒と接触する。分解生成物はライザー分解反応器から排出されて主カラムの中を通り、大量の軽質オレフィンを含む蒸気ストリーム及び種々の液体ストリームが生成する。蒸気ストリームは湿潤ガス圧縮機内で圧縮され、生成物精製用の不飽和ガスプラトンへ送られる。
接触分解方法についてのこれ以上の説明は、ピー・ビー・ヴェヌト(P.B.Venuto)及びイー・ティ・ハビブ(E.T.Habib)のモノグラフ、「フルード・キャタリティック・クラッキング・ウィズ・ゼオライト・キャタリスツ(Fluid Catalytic Cracking With Zeolite Catalysts)」、マーセル・デッカー(Marcel Dekker)、ニューヨーク、1978年に見出すことができる。
従前の方法、移動床分解方法又はサーモファア(Thermofor)接触分解(TCC)方法等をまだ使用している製油所もある。触媒は小さなビーズ状の形態であって、反応器及び再生器の中を移動床として通過する。フィード及び生成物の性質はほぼ同様であり得るが、TCC装置は通常、留出されたフィードしか分解できないのに対して、FCC装置は残渣物質を含むフィードを処理することができる。
FCCは、既に、重質のフィードをより軽質の生成物に転化するための有効な方法であるが、最近の法令の結果としてFCC触媒及びハードウェアには実質的な改善が要求されそうである。特に、ガソリンの芳香族化合物含量を低減し、ガソリンの酸素化物含量を増大するために、アルキル化用のC3及びC4オレフィン並びにメチル−tert−ブチルエーテル(MTBE)及びエチル−tert−ブチルエーテル(ETBE)用のC4及びC5オレフィンへの需要が増大するであろうと考えられている。予想される問題点は、ガソリンのオクタン価を維持すること及び酸素化物を製造するために十分な軽質オレフィンを製造することである。
軽質オレフィンの生成を増大するために、広く認められている多くの方法がある。例えば、広く受け入れられている方法の1つに、ベースの分解触媒中の希土類交換Yゼオライトを超安定Yゼオライトに置き換える方法がある。もう1つの方法は、ライザーの頂部温度を上昇させる方法である。3つ目の方法は、ライザーの長手方向のある部分において、2番目の又は「冷却用の」ストリームを用いる方法である。更にもう1つのの方法は、ゼオライトYをベースとする分解触媒にZSM−5を加える方法である。
軽質オレフィンの収率を向上させるそれぞれの方法に伴う問題点がある。希土類交換Yの代わりに希土類を含まない超安定Yゼオライトを用いると、安定性及び活性が低下した分解触媒が生成する。ライザーの頂部温度を高くすると、望ましくない軽質生成物、例えば、メタン及びエタンが生成すると共に、ガムの生成及び閉塞をもたらすジエンがガソリン中により多く生成する。冷却ストリームを導入すると、装置における新しいフィードの流量を流体力学的限界に近い値にまで制限するおそれがある。ZSM−5を添加すると、軽質オレフィンの収率は大きく向上するが、コストが上昇し、高い含有率で使用する場合には、「ベース」のY分解触媒を希釈化することになる。
軽質オレフィン収率を向上させるいくつかの接触的方法について検討する。
ゼオライトY+ZSM−5
ゼオライトYをベースとする触媒と組み合わせてZSM−5を使用することは、米国特許第3,758,403号;同第3,769,202号;同第3,781,226号;同第3,894,931号;同第3,894,933号;同第3,894,934号;同第3,926,782号;同第4,100,262号;同第4,309,280号;同第4,309,279号;同第4,375,458号に記載されている。
ゼオライトY+他のゼオライト
結晶質シリコアルミノホスフェート(SAPOs)を含む分子篩及び他のゼオライトとゼオライトYとの組合せによれば、ガソリン収率を犠牲にして、軽質オレフィンを増大し、オクタン価を向上させる可能性があることが見出されている。今日まで、ZSM−5以外の結晶質物質をオクタン分解触媒として工業的に適用することには限界があると考えられてきている。科学技術及び特許文献には、FCC添加物としての少なくとも4種の他の形状選択性アルミノシリケートゼオライトの評価について述べられている。それらは、オフレタイト(米国特許第4,992,400号)、ZSM−23、ZSM−35(米国特許第4,016,245号)及びZSM−57(米国特許第5,098,555号)である。非ゼオライト系分子篩の特許は、FCCにおいて、SAPO−5(米国特許第4,791,083号;欧州特許出願公告(B1)第0 202 304号)、SAPO−11(米国特許第4,791,083号)並びにSAPO−37(米国特許第4,842,714号;同第4,681,864号)を使用することを教示している。
ガソリンのオクタン価を向上し及び軽質オレフィンを製造するための手段として、ゼオライトY触媒と共にゼオライトベータを使用する文献がある。チェン(Chen)らは、米国特許第4,740,292号及び同第4,911,823号において、REYとゼオライトベータの組合せを使用して、C3/C4オレフィンの収率が向上する一方で、ガソリンのオクタン価が向上することを記載している。
上述の方法はいずれもFCCにおいてオレフィン収率の向上に寄与するものであったが、ガソリンの収率及びオクタン価を維持しながら軽質オレフィンを更に増産するという課題を十分に解決する手段を与えるものではなかった。あるものは、外部からの有機テンプレート(templates)から形成されるゼオライト添加物を用いる必要があり、及び/又は今日のFCC再生器内における苛酷な条件に耐える安定性を有さないことがあって、正確には水熱的失活剤(hydrothermal deactivators)と称され得るゼオライト添加物を用いることに依存するものもある。
将来の分解製油所には、より多くのオレフィン及びより高いオクタン価が必要とされるであろうと出願人は予測した。製油所には、既存の処理装置を廃棄したり、大きな資本の支出を伴ったりすることなく、将来のそのような燃料を製造する必要もあろう。
出願人は、極めて大量の軽質オレフィンを製造するために、常套のゼオライトYをベースとする分解触媒と組み合わせて又は単独で使用することができる新しい分解触媒を見出した。この新しい分解触媒、又は分解触媒添加物によれば、軽質オレフィン、例えば、プロピレン及びブチレンの収率が著しく向上し、イソブタンの収率が相当向上した。FCCガソリンの収率には多少の損失があるものの、それは軽質オレフィン及びイソブタンの収率の増大から見込まれる液体燃料の収率によって十分に相殺されるものであった。
発明者らは、分解触媒に用いる常套のゼオライトの置換物質として又は分解触媒添加物としてMCM−49を用いることによって、これらの利点を達成した。
発明の概要
従って、本発明は、通常は液体である炭化水素フィードを、水素を添加しない状態で接触分解する方法であって、分解反応器内において、触媒として有効な量のMCM−49を含む再生された平衡触媒のソースに分解条件で接触させることによって、液体フィードを分解することを含む方法を提供する。
もう1つの態様において、本発明は、炭化水素フィードをライザー接触分解反応器に供給すること;触媒再生器からの熱い流動化固体混合物をライザー反応器の底部に供給し、該混合物はマトリックス中にゼオライトY、ゼオライトベータ又はその両者を含むベースFCC触媒95〜50重量%及び非晶質担体中に触媒として有効な量のMCM−49を含むMCM−49触媒添加物5〜50重量%の物理的混合物を含んでなること;約925〜1100゜Fのライザー出口温度を含む触媒分解条件にて、上記フィードを接触分解して、C3及びC4オレフィンを含む触媒分解生成物及びあるオクタン価を有する接触分解ナフサフラクションを含む触媒分会生成物、並びに使用済みの分解触媒及びMCM−49添加物触媒を含む使用済み固体混合物を生成し、それらをライザー反応器の出口から排出すること;ライザー出口が含まれる容器内において、形状選択性添加物触媒及び使用済み分解触媒を含む使用済み固体混合物に富む相から、分解生成物に富む蒸気相を分離し、容器から取り出すこと;ストリップ手段内において、使用済み固体混合物をストリップ条件にてストリップしてストリップされた固体相を生成すること;触媒再生条件にて操作される触媒再生手段内で、ストリップされた固体混合物をデコーキング(脱コークス化)して熱い流動化固体混合物を形成し、熱い流動化固体混合物をライザー反応器の底部にリサイクルすること、並びに生成物分離手段内で分解生成物に富む蒸気相をフラクショネーションして、塔頂蒸気フラクション、少なくとも一種のC3及びC4オレフィンを含む液体フラクション及び接触分解ナフサフラクションを生成することを含んでなる炭化水素フィードの接触分解方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
図1は、ライザー反応器を備えた常套のFCC装置を示している。
好ましい態様の詳細な説明
図1(従来技術)は、1990年1月8日付のオイル・アンド・ガス・ジャーナル(oil & Gas Journal)中の「フルード・キャタリティック・クラッキング・リポート(Fluid Catalytic Cracking Report)」の第17図として示されるケロッグ・ウルトラ・オルトフロー・コンバーター・モデル・エフ(Kellogg Ultra Orthoflow converter Model F)と同様の従来技術のFCC装置の簡略化した模式図である。
軽油又は減圧軽油などの重質フィードが、フィード供給ノズル2を通ってライザー反応器6に添加される。分解反応はライザー反応器内で完了し、反応器は頂部においてエルボー10の部分で90゜曲がっている。ライザー反応器から排出される分解生成物及び使用済み触媒は、分解生成物から使用済み触媒の大部分を効率的に分解するライザー・サイクロン12の中を通過する。分解生成物は分離装置(disengager)14内に排出され、最終的には上部サイクロン16及び導管18を経て分留装置へ排出される。
使用済み触媒は、ライザー・サイクロン12のジップレッグから触媒ストリッパー8の中へ排出され、そこではライン19及び21を通って入るストリッピング水蒸気により、1段階、又は好ましくは2段階若しくはそれ以上の段階の水蒸気ストリッピングが行われる。ストリップされた炭化水素及びストリッピング水蒸気は分離装置14内に入り、分解生成物と共に上部サイクロン16の中を通過して取り出される。
ストリップされた触媒は、使用済み触媒スタンドパイプ26を取って触媒再生器24の中に排出される。触媒の流れは、使用済み触媒プラグ弁(栓弁)36によって制御される。
このストリッパーの構造は、寸法的に余裕があるので効率的である。大部分のライザー反応器FCCは、ライザー反応器の周囲に環状床として配されるストリッパーを有していて、触媒が流れるのに十分な断面積が設けられていない。
触媒は、図示しないエアライン及び空気グリッド分配器を通って供給される空気により、再生器24内で再生される。触媒冷却器28によって、再生器から熱を除去することができる。再生された触媒は、再生触媒プラグ弁アッセンブリ30を通って取り出され、ラテラル(側導管、lateral)32を通ってライザー反応器6の底部に送られ、上述のようにインクジェクター2を通って供給される新しいフィードと接触して分解を行う。煙道ガス、及び同伴する触媒は、再生器24の上側部分の希釈相領域の中に排出される。同伴する触媒は、複数段階のサイクロン4で煙道ガスから分離され、ライン22を経てフレアーへ排出するように出口8を通ってプレナム20内に送られる。
本発明の方法及び装置の概要を説明したが、本発明のFCCプロセス及び反応器の構造(両者は常套のものであってもよい)並びに触媒系について、以下、更に詳細に説明する。
フィード
常套のFCC又は移動床分離装置のいずれのフィードも使用することができる。FCC用のフィードは、典型的なもの、例えば、石油留出物又は残油部分、直留油又は部分精製油等から、典型的でないもの、例えば石炭油(coal oil)及びシェール油等までの範囲内で変化し得る。移動床分解装置は、通常は、残油を多く含むフィードを処理することができない。フィードには、リサイクル炭化水素、例えば、既に分解されている軽質及び重質サイクル油などがしばしば含まれる。フィードの大部分、通常は90重量%以上が343℃(650゜F)以上の沸点を有する。
反応器条件
常套の反応器条件を使用することができる。FCCプロセスにおいては、ライザー分解が好ましい。大部分のライザーFCC装置では、触媒/油重量比が1/1〜10/1であり、炭化水素滞留時間は1〜10秒である。大部分は、510〜565℃の反応器出口温度で操作される。反応器出口温度は好ましくは538℃以上、より好ましくは552〜593℃、最も好ましくは約580℃である。0.1〜1秒の短い接触時間及び538〜649℃の温度も用いられる。冷却(急冷)は便利でありが、必須のものではない。
例えば米国特許第4,421,636号に開示されているような常套のライザー分解FCC装置はいずれのものも使用できる。
例えば米国特許第4,980,051号に一例が示されているもののような移動床分解装置においても、常套の条件を用いることができる。TCCの構造及び操作条件についてのこれ以上の詳細な説明は、アヴィダン(Avidan)及びシンナー(Shinnar)によって、デベロップメント・オブ・キャタリティック・クラッキング・テクノロジー(Development of Catalytic Cracking Technology)、「ア・レッスン・イン・ケミカル・リアクター・デザイン(A Lesson in Chemical Reactor Design)」、アイ・アンド・イーシー・リサーチ(I & EC RESEARCH)、1990、29においても報告されている。典型的なTCC分解条件には、1.5〜15、好ましくは4〜10の触媒:油重量比、及び450〜550℃、好ましくは約500〜530℃の反応器温度が含まれる。TCC用の触媒の処方はFCC装置において用いられるものと同様であってよいが、触媒は3〜5mmの球状形態となる。
FCCライザー反応器出口/触媒分離
反応器から排出される分解生成物から使用済み触媒を迅速に分離することは好ましいが、必須のものではない。サイクロン分離装置、又は他の慣性力分離装置を用いることにより、分解生成物からのコークス付着化触媒の分離が促進される。
効率的なフィード噴霧ノズルを使用することは好ましいが、必須のものではない。米国特許第5,306,418号に好適なノズルが開示されている。
分解生成物を反応容器から迅速に取り出す閉鎖式サイクロン、例えばエム・ダブリュ・ケロッグ・カンパニー(M.W.Kellogg Company)から入手できるようなものが好ましい。
触媒ストリッピング
常套のストリッピング技術を用いて、通常は1〜5重量%の水蒸気に接触させて、使用済み触媒からストリップ可能な炭化水素を分離することができる。
触媒再生
本発明の方法及び装置には常套のFCC再生装置を用いることができる。大部分のものは、触媒の濃厚相、沸騰流動床を有する1段の大規模な容器を使用する。上方に希釈相移送ライザーを有する速い流動床コーク燃焼器及び再生された触媒を集めるもう1つの流動床を有する高効率の再生器を使用することができる。種々の沸騰濃厚床再生器の代表例についてのより詳細な説明を以下に記載する。
渦巻式再生器は、チョウ(Chou)の米国特許第4,490,241号及びリーブ(Leib)及びサプレ(Sapre)の米国特許第4,994,424号に開示されている。
クロスフロー再生器は、リーブ及びサプレの米国特許第4,980,048号に開示されている。
積層式又はオルトフロー型FCC装置と組み合わされる再生器は、オーウェン(Owen)及びシッパー(Schipper)の米国特許第5,032,252号及び同第5,043,055号に開示されている。
TCC再生条件には、キルンと称されることもある再生器の中を移動床として触媒を通過させながら、600〜700℃の温度で触媒と空気とを接触させることも含まれる。
本発明の触媒系
本発明の触媒系には、触媒として有効な量のMCM−49を含む必要がある。その合成に関しては、米国特許第5,236,575号に開示されている。
合成された状態の物質は、通常はナトリウム型であり、接触分解に使用するためには水素型となっていることが好ましい。それには、この技術分野において周知の技術、例えば他のカチオンによるイオン交換を用いることができる。好ましい置換用カチオンには、金属イオン、水素イオン、水素前駆体、例えばアンモニウムのイオン及び混合物が含まれる。特に好ましいカチオンは、水素及び希土類金属並びに元素周期表の第II A族、第III A族、第IV A族、第I B族、第II B族、第III B族、第IV B族及び第VIII族の金属である。
MCM−49は本質的に純粋なものであると認められている。MCM−56に関連するが、それとは区別される。いくつかの関連する物質のX線回折パターンを表I(合成時の状態)及び表II(焼成したもの)に示す。これらの表において、強度は12.4Åの面間隔dのラインに対して定めた。
表I中のデータを得るために用いた物質は、層状MCM−56のウェット・ケーキ、焼成するとMCM−22に変態するものと同じ有機誘導剤(organic directing agent)を用いて合成された層状物質のウェット・ケーキ及び結晶質MCM−49のウェット・ケーキであった。表IIのデータのために用いた物質は、表Iに用いた物質を焼成したものであった。各物質の焼成は、空気中、540℃で2〜20時間行った。MCM−56とMCM−49との間の最初の差異を示す最も効果的な特徴は、8.8〜11.2Åの面間隔dの領域に観察される。
これら類似する物質を識別する他の特徴を以下の表IIIにまとめて示す。
1gの焼成MCM−56は、2,2−ジメチルブタン15mgを約20秒以内、例えば約15秒以内で収着する。
MCM−49は、常套の技術を用いてTCC又はFCCにおいて用いる触媒に形成することができる。触媒は、安定性の向上のためにリン又はリン化合物を含むことが好ましい。触媒を製造するいくつかの好適な方法について、更に詳細に説明する。
MCM−49触媒は、触媒組成物の0.5〜90重量%又はそれ以上を占めることができる。本発明においては、触媒インベントリー(inventory、保持量)中に5〜50重量%のMCM−49、より好ましくは7.5〜25重量%のMCM−49を存在させて操作するのが好ましい。
下限は、他の何よりも経済性によって設けられる。この新しい触媒によってもたらされる利益は好ましいものであり、何か局部的な拘束(例えば下流の生成物回収設備の制限)によってMCM−49の十分な添加が妨げられない限り、5又は10重量%以下で存在させるのは通常は望ましいというわけではない。融通性を最大にするために、常套のE−触媒(E−Cat)及びMCM−49添加物のブレンドを用いることができ、そのようなブレンドでは、MCM−49の含有率を、純粋なMCM−49基準で、触媒インベントリーの0.5〜5.0重量%の範囲へ更に低くすることができる。
MCM−49含有率の上限は、添加物中の場合であっても、又はベースとなる分解触媒に組込まれる場合であっても、他の何よりも製造及び強度を考慮して設定される。25〜50重量%のMCM−49を含む触媒を製造するのは容易であるが、含有率が約70重量%を越えるようになると一層困難になる。常套のマトリックス材料、例えばクレーの割合が低下したり、又はシリカ:アルミナ比が低下したりすると、圧潰強度がいくらか低下する。
循環触媒インベントリー中のMCM−49含量の一部又は全部が、ベースの分解触媒に含まれていてもよい。ベースの分解触媒は、MCM−49含量とは関係なく、非晶質であってもよいし、又は大孔ゼオライト、例えばX若しくはYのある形態のもの、好ましくはゼオライトYの脱アルミニウム化形態をベースとするものであってもよい。ベースの分解触媒は、何等かの形態のゼオライトベータを主ゼオライトとして有していてもよいし、又は含んでいてもよい。
分解触媒も添加物触媒も使用前に水蒸気処理する必要はないが、約5〜約100%水蒸気中、約300℃〜800℃で0.1〜200時間、水蒸気処理してもよい。発明者らは、通常、FCC装置内における通常のエージングをシミュレートするために、物質の試験前に水蒸気処理を行う。
米国特許第4,072,600号及び同第4,350,614号に記載されているように、COのCO2への酸化を促進するのに有用な金属を含むこともできる。触媒は、例えば、0.01重量ppm〜100重量ppmの促進剤、通常は0.1〜5重量ppmの白金を含むことができる。触媒は、SOx捕捉添加剤、流動化添加剤などを含むこともできる。
実施例1:MCM−49の調製
オートクレーブ中において、2.24部の45%アルミン酸ナトリウムを、1.0部の50%NaOH溶液および43.0部のH2Oを含む溶液に加えた。8.57部の量のウルトラシル(Ultrasil)沈降シリカを撹拌しながら加え、次いで4.51部のヘキサメチレンイミン(HMI)を加えた。
反応混合物は以下の組成を有していた(モル比):
SiO2/Al2O3=23
OH-/SiO2=0.21
Na/SiO2=0.21
HMI/SiO2=0.35
H2O/SiO2=9.3
混合物を撹拌しながら150℃にて84時間で結晶化した。生成物はMCM−49と同定され、表IVに示すX線パターンを有していた。
生成物の化学組成は以下の通りであった(重量%):
N= 1.70
Na 0.70
Al2O3 7.3
SiO2 74.5
灰分 84.2
生成物のシリカ/アルミナモル比は17.3であった。
538℃で9時間焼成した後の収着能は以下の通りであった(重量%):
シクロヘキサン(40Torr) 10.0
n−ヘキサン(40Torr) 13.1
H2O(12Torr) 15.4
試料の一部を、空気中にて538℃で3時間焼成した。この物質は、表Vに示すX線回折パターンを示した。
実施例2:MCM−49流動触媒
シリカ−アルミナゲル/クレーマトリックス中に実施例1からのMCM−49生成物を40重量%含む水性スラリーを噴霧乾燥し、噴霧乾燥した触媒を焼成して、MCM−49流動触媒を調製した。焼成は、空気中、538℃で3時間行った。続いて、焼成した触媒を0psin、水蒸気45%/空気55%の雰囲気中、788℃にて10時間水蒸気処理した。水蒸気処理した触媒のアルファ値(Alpha Value)は6であった。
焼成後の触媒の組成は、40重量%のMCM−49、27.3重量%のシリカ、2.7重量%のアルミナ、及び30.0重量%のカオリンクレーであった。
実施例3:MCM−49流動触媒+リン
スラリーにリン酸を加えること以外は同様にして実施例2を繰り返した。焼成後の触媒の組成は、40重量%のMCM−49、27.3重量%のシリカ、2.7重量%のアルミナ、及び30.0重量%のカオリンクレーであった。触媒は、2.45重量%のリンを含んでいた。
実施例4:工業用E−触媒
この検討において用いる基本ケース触媒は、工業FCC装置から取り出した後、酸化的に再生したREUSY触媒であった。触媒特性を表VIにまとめて示す。
実施例5:MCM−49 + E−触媒
実施例2の触媒25重量%を実施例4のE−触媒75重量%と混合して触媒ブレンドを形成した。
実施例6:MCM−49 + E−触媒
実施例3の触媒25重量%を実施例4のE−触媒75重量%と混合して触媒ブレンドを形成した。
実施例7
実施例4、5及び6の触媒を、固定流動床(FFB(fixed−fluidized bed))装置において、表VIIに示す特性を有するサワー重質軽油(SHGO、Sour Heavy Gas Oil)を用いて、516℃で1.0分の触媒接触時間にて評価した。
触媒/油比を変化させることによって、転化の範囲を調べた。(70容量%の転化率で補間後)の固定流動床(FFB)の結果を表VIIIにまとめて示す。
表VIIIからの結果は、軽質オレフィン及びイソブタンの並外れは収率を示している。アルキレートフィードのみについて考えると、生成するプロピレン、C4=及びイソブタンの量については約25〜50%向上している。FCCガソリンについては多少の損失があるものの、利用可能性のあるアルキレート及びガソリンの収率は、MCM−49触媒を用いることによって向上している。このデータによって、オクタン価(RONCL、又は単味若しくは0.0g鉛添加のリサーチ法オクタン価)においてかなりの向上があることが示される。
常套のE触媒の代わりに、又はその添加物として、本発明の新しい触媒を用いることによって、製油所における触媒分解装置からアルキレート及び/又は酸素化物を大量に製造する方法が製油業者にもたらされる。C3=、C4=及びiC4と規定されるクリーン燃料前駆物質(clean fuel precursors)という用語で表現して、大量の接触分解ガソリンの製造を続けながら、実質的な量のクリーンな燃料前駆物質を製造することができる。
従来技術のFCCプロセスは大量のガソリンを製造したが、クリーンな燃料前駆物質はガソリンストリームの半分以下であった。本発明の方法によって、FCCナフサフラクションの50液体容量%(LV%)〜ナフサフラクションの65ないし70液体容量%の範囲の量で、クリーンな燃料前駆物質を製造する効率的な方法が、製油業者に提供された。FCC装置は、今や、クリーンな燃料の重要な製造装置であると考えることができる。
クリーンな燃料の製造の点から見ると、本発明の方法によって、製油業者は、製造する酸素化物及びアルキレートの量を約50%増大し、FCCガソリンの量をわずかに減少させるものの、オクタン価を向上させることができる。表VIIIから推定すると、常套のFCC装置によって100,000容量部のフィードを処理すると、55,500容量部の90.3RONCLガソリン及び19,300容量部のクリーン燃料前駆物質(又はアルキレートフィード)が製造される。本発明を用いる場合は、同じFCC装置によって、29,900容量部のクリーン燃料前駆物質を製造することができる。ガソリンの容量は44,900容量部に低下するが、オクタン価は93.0とかなり高い。このようにオクタン価が高いので、製油業者は、常套のFCCプロセスからのFCCガソリンの場合とほぼ同様のオクタン価を維持しながら、FCCガソリンの全体又は一部を水素処理(hydrotreat)して硫黄分を除くことができるようになる。それは、水素処理によって硫黄分が除かれるが、オクタン価も低下するためである。本発明の方法によれば、水素処理が可能となる十分なオクタン価の緩衝作用(cushion)又は保存作用(reserve)がもたらされる。
Claims (10)
- 343℃以上で沸騰する炭化水素を含み、通常は液体である炭化水素フィードを、水素を添加しない状態で接触分解する方法であって、分解反応器内において、触媒として有効な量のMCM−49を含む再生された平衡触媒ソースに分解条件で接触させることによって、液体フィードを分解することを含んでなる方法。
- 分解条件が流動接触分解条件を含み、平衡触媒が1〜10重量%のMCM−49を含む請求の範囲1記載の方法。
- 平衡触媒が、マトリックス中にゼオライトYを含む常套の分解触媒50〜99重量%及び非晶質マトリックス中に5〜80重量%のMCM−49を含む添加物触媒1〜49重量%の物理的混合物からなる請求の範囲1記載の方法。
- MCM−49を、リンにより安定化されたマトリックス中に組み込む請求の範囲1記載の方法。
- 添加物が、0.5〜5.0重量%のリンを含んでなる請求の範囲3記載の方法。
- 炭化水素フィードが、軽油、減圧軽油、残油、減圧残油及びこれらの混合物の群から選ばれ、フィードを接触分解して、炭化水素フィードの少なくとも40液体容量%に相当するC5−221℃ガソリンフラクション;並びに生成物ガソリンフラクションの少なくとも50液体容量%に相当するプロピレン、ブチレン及びイソブタンフラクションを生成させる請求の範囲1記載の方法。
- 炭化水素フィードを接触分解して、フィードの少なくとも40〜50液体容量%に相当するC5−221℃ガソリンフラクション;並びに生成物ガソリンフラクションの少なくとも55液体容量%に相当するプロピレン、ブチレン及びイソブタンフラクションを生成させる請求の範囲6記載の方法。
- ガソリンフラクションが、MCM−49添加物を存在させずに、同様の分解条件及び転化率にて同様のフィードを処理する同様のFCC装置からの同様のフラクションよりも、少なくとも1.0高いオクタン価を有する請求の範囲6記載の方法。
- ガソリンフラクションが少なくとも2.0高いオクタン価を有する請求の範囲8記載の方法。
- 再生触媒が、マトリックス中にゼオライトYを含む常套の分解触媒50〜99重量%及び非晶質マトリックス中に5〜80重量%のMCM−49を含む添加物触媒1〜49重量%の物理的混合物からなる請求の範囲1記載の方法。
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