JP3649079B2 - 通信方法およびそれを用いた通信システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は携帯電話などに用いられる移動体通信システムに関するものであり、特に異なるセル間を移動局が移動する場合にダイバーシチハンドオーバを行う移動体通信システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
以下、セル、ハンドオーバおよびダイバーシチハンドオーバについて説明する。一般に、基地局(Base Transceiver Stations、以下BTSと称す)の電波の到達領域をセルと呼ぶ。セルは互いにその一部が若干重なるように配置されている。異なるセル間を移動する移動局(Mobile Station、以下MSと称す)は、このセルの重複領域において、交信基地局を移動元セルのBTSから移動先セルのBTSへ変更する。このような交信基地局の変更をハンドオーバと呼ぶ。
【0003】
ハンドオーバ時、MSの送信データは、複数のBTSにおいて受信される。各BTSはその受信データに、受信時電波強度など受信品質を示すデータを付加して同一の基地局制御装置(Radio Network Controller:以下RNCと称す)へ送信する。RNCは、それらの受信データの中から受信品質の最も良いものを選択し、移動体交換局(Mobile services Switching Center:以下MSCと称す)へ送信する。このように最も受信品質の良いデータを選択して行うハンドオーバをダイバーシチハンドオーバと呼び、たとえば第3世代移動体通信システムの無線区間アクセスであるCDMA(code division multiple access)方式において採用されている。
【0004】
図6は従来のダイバーシチハンドオーバの動作を例示する構成図である。図において、7はMS、4a,4bはBTS、8a,8bはそれぞれBTS4a,4bのセル、5aはRNC、6はMSCである。また、16a,16bは各BTS4a,4bとRNC5aとを接続する伝送路、9a,9bは各BTS4a,4bからRNC5aへ送信されるフレーム、15aはRNC5aとMSC6とを接続する伝送路である。また、RNC5aにはダイバーシチハンドオーバトランク(DHT)51aが設けられる。
【0005】
動作について説明する。MS7は、セル8aからセル8bへ移動するとき、図6に示すようにそれらの重複領域を通過する。このとき、各BTS4a,4bは、当該MS7からの受信データに各BTSにおける受信電波強度などを付加して、RNC5aへ送信する。すなわち、BTS4aは、MS7からの受信データ10aにその受信品質情報11aを付加してなるフレーム9aを、伝送路16aを介してRNC5aへ送信する。また同様に、BTS4bは、MS7からの受信データ10bに受信品質情報11bを付加してなるフレーム9bを、伝送路16bを介してRNC5aへ送信する。RNC5aに設けられたダイバーシチハンドオーバトランク51aは、これらBTS4a,4bからのフレーム9aと9bとを比較して受信品質の良い方のフレームを選択し、MSC6へ送信する。
【0006】
図7は、従来のダイバーシチハンドオーバの別の動作を例示する構成図である。図において、図6と同一又は相当部分には同一符号を付す。図7において、7はMS、4a〜4dはBTS、16a〜16dは伝送路、9a〜9dはフレーム、5a,5bはRNC、51a,51bはダイバーシチハンドオーバトランク、15a,15bは伝送路、6はMSC、17はRNC5aとRNC5bとを接続する伝送路である。
【0007】
いま、MS7の送信データが、各BTS4a〜4dにおいて受信されたとする。各BTS4a〜4dは、このMS7からの受信データに受信品質情報を付加したフレーム9a〜9dを生成し、そのフレームをBTS4a〜4cはRNC5aへ、BTS4dはRNC5bへ送信する。RNC5aのダイバーシチハンドオーバトランク51aは、受信したフレーム9a〜9cのうち最も受信品質の良いフレームを選択してRNC5bへ送信する。RNC5bのダイバーシチハンドオーバトランク51bは、BTS4dから受信するフレーム9dとRNC5aからのフレームとを比較し、受信品質の良い方のフレームをMSC6へ送信する。
【0008】
ところで、第3世代移動体通信システムでは、BTSとRNCとの間の通信に非同期転送モード(ATM:asynchronous transfer mode)方式を採用する。このATM方式においては、すべてのデータを固定長のデータ列に分割して送信する。すなわち、BTSは受信したフレームをさらに複数のフレーム(ATMセル)に分解してRNCへ送信する。あるいは、BTSはATMセルをさらに複数のフレーム(ショートセル)に分解してRNCへ送信する。そして、分割されたフレーム(ATMセルやショートセル)は、RNCまたはMSC側において再合成される。よって、そのフレーム再合成に時間を要する分、上述したRNCにおけるダイバーシチハンドオーバ処理を高速に行わなければならない。しかしながら、分割して送信された各フレームは遅延ゆらぎ等のため、時間差をもってRNCへ到着するため、ダイバーシチハンドオーバ処理、すなわちフレーム選択処理の高速化は容易ではない。
【0009】
特開平10−42337号公報に記載の従来のフレーム選択方法では、このような遅延ゆらぎの影響を低減する。図8はこの従来のフレーム選択方法を例示する構成図である。図において4a,4bは異なるBTSから受信されたフレームを分割して得たショートセルであり、各ショートセルには品質情報が付加されている。これらのショートセルはATMセル化遅延ゆらぎなどの影響で時間差をもって到着するが、ゆらぎ吸収バッファ12により時間差が吸収されタイミングがそろえられる。タイミングのそろったショートセル4a、4bはフレーム選択手段13に入力され、そこで品質情報の良い方のフレームが選択され出力される。ここで、もし一方のショートセル4bが所定時間内に到着せず、ショートセル4aのみしかバッファに到着しなかった場合には、到着しているショートセル4aが所定の品質を満たすかどうか検査を行い、満たしている場合にはショートセル4aを出力する。そして、ショートセル4bの到着を待たずして選択処理を終了する(即ち、以降の待ち合わせを行わない)。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この特開平10−42337号公報に記載のフレーム選択方法では、RNCでのフレーム選択を行った後により良い品質のフレームが到着しても、これを選択できなくなるという問題があった。また、選択処理を短い時間で終わらせるためには、ゆらぎ吸収バッファ12でのバッファリング時間を小さくする必要があり、結果として許容できる遅延ゆらぎ幅が小さくなるという問題があった。
【0011】
また、図7に示したようにダイバーシチハンドオーバ処理が複数のRNCに渡っており、多段のフレーム選択を行わなければならない場合、最終的なフレーム選択を終えるまでの処理遅延をシステム全体で許容できる処理遅延内に押さえなければならない。
【0012】
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、遅延が少なく、より良い品質のフレームを選択することができる通信方法および通信システムを提供する。特に、多段のRNCを経由して行われるダイバーシチハンドオーバにおいて、遅延を少なくし、より良い品質のフレーム選択を可能とする通信方法および通信システムを提供する。
【0013】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る通信方法においては、前段の装置は、異なる複数の基地局から第1の待ち時間内に受信した同一移動局のデータから、データ品質に基づいて少なくとも一つのデータを選択し、第1のデータとして後段の装置へ送信するとともに、第1の待ち時間経過後の第2の待ち時間内に、前記基地局とは異なる基地局より前記移動局のデータを受信した場合に、第2のデータとして前記後段の装置へ送信し、後段の装置は、第3の待ち時間内に受信された第1,第2のデータを含む複数のデータから、データ品質に基づいて少なくとも一つのデータを選択する。
【0014】
また、この発明に係る通信方法においては、前記後段の装置は、第3の待ち時間内に第2のデータが受信されない場合であっても、該時間内に受信されたデータの中からデータを選択する。
【0015】
また、この発明に係る通信方法においては、前記前段の装置は、第1のデータと第2のデータとの品質比較結果に基づいて、第2のデータを前記後段の装置へ送信するか否か決定する。
【0016】
また、この発明に係る通信方法においては、前記前段の装置は、受信期待される全方路からのデータを受信して第1のデータを選択した場合に、第2のデータ送信を行わない旨の通知を後段の装置へ送信し、前記後段の装置は、前記通知に基づいて、第3の待ち時間内であってもデータ選択を開始する。
【0017】
さらにまた、この発明に係る通信システムにおいては、同一移動局からのデータを、異なる複数の基地局から受信する受信手段と、前記受信手段により第1の待ち時間内に受信されたデータから、データ品質に基づいて少なくとも一つのデータを選択し、後段の装置へ送信する選択手段と、前記受信手段により第1の待ち時間経過後の第2の待ち時間内に、前記基地局とは異なる基地局より前記移動局からの前記データを受信した場合に、前記後段の装置へ送信する送信手段とを備える。
【0018】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は、本実施の形態1におけるダイバーシチハンドオーバトランクを例示する構成図である。51はダイバーシチハンドオーバトランク、9a〜9cは各BTS4a〜4cの出力フレーム、3a〜3cはフレーム9a〜9cを格納するバッファ、2は各バッファ3a〜3cのフレーム出力タイミングを制御するタイミング制御手段である。1はバッファ3a〜3cの出力フレームから最も品質の良いフレームを選択する出力方路選択手段であり、受信方路チェック手段1aと、品質情報比較手段1bと、品質情報保持手段1cと、受信方路情報付加手段1dとにより構成される。
【0019】
動作の概略を説明する。第1の待ち時間において、BTS4a〜4cから各バッファ3a〜3cへ、遅延ゆらぎを有したフレーム9a〜9cがそれぞれ入力される。タイミング制御手段2は、第1の待ち時間経過後、バッファ3a〜3cに対してフレーム出力を指示する。バッファ3a〜3cの出力フレームは、受信方路チェック手段1aへ入力され、受信期待される全方路からフレームが受信されているか否かチェックされる。そして、チェック後のフレーム9a〜9cは品質情報比較手段1bへ、チェック結果は、品質情報比較手段1b、タイミング制御手段2および受信方路情報付加手段1dへ出力される。品質情報比較手段1bは、受信方路チェック手段1aからのフレーム9a〜9cにそれぞれ含まれる品質情報に基づいて、最も品質の良いフレームを選択する。受信方路情報付加手段1dは、選択されたフレームに受信方路情報付加手段1dからのチェック結果を含め、後段のRNCへ出力する。
【0020】
第1の待ち時間内に、全方路からフレーム受信されなかった場合、品質情報比較手段1bは上記選択したフレームの品質情報を品質情報保持手段1cに記憶し、タイミング制御手段2は、第1の待ち時間経過時点を始点とする第2の待ち時間を設定する。タイミング制御手段2は、第2の待ち時間経過後、各バッファ3a〜3cに対してフレーム出力を指示する。このバッファ3a〜3cからのフレームは受信方路チェック手段1aを介して品質情報比較手段1bへ入力される。品質情報比較手段1bは、このバッファ3a〜3cからのフレームに、品質情報保持手段1cの記憶する品質よりも良い品質のものが含まれる場合には、そのフレームを、受信方路情報付加手段1dを介して後段のRNCへ出力する。
【0021】
なお、受信方路とは、たとえばフレームを受信したBTSのことである。また、フレーム受信を期待できる方路は、BTS位置に基づきRNCが適宜に判断する。あるいは、期待できる方路の組み合わせを複数記憶するテーブルをRNCに備えてもよい。また、品質情報としては、受信時の電波強度やCRC(Cyclic Redundancy Check)などが利用できる。
【0022】
以下、図2および図3を用いてRNCが多段である場合の動作について詳細に説明する。図2はRNCが多段である場合の動作を例示する説明図である。図2において、4a〜4dはBTS、5a,5bはそれぞれ前段側,後段側のRNC、9a〜9dは品質情報を含んだフレームである。BTS4dの出力フレーム9dはRNC5bへ入力され、BTS4a〜4cの出力フレーム9a〜9cはRNC5aへ入力される。RNC5aは図1に示したダイバーシチハンドオーバトランク51を備える。なお、フレーム4a、4b、4cの順で品質がよいものとする。
【0023】
以下、第1の待ち時間中に、RNC5aがBTS4a〜4cの全てからフレーム9a〜9cを受信した場合について説明する。BTS4a〜4cからのフレーム9a〜9cは、図1に示した各バッファ3a〜3cにそれぞれ保持される。第1の待ち時間経過後、タイミング制御手段2は各バッファ3a〜3cに対して保持フレームの出力を指示する。各バッファ3a〜3cの出力フレームは、出力方路選択手段1の受信方路チェック手段1aを経て品質情報比較手段1bへ入力される。受信方路チェック手段1aは、期待される全方路からフレーム受信されたか否かをチェックし、チェック結果をタイミング制御手段2、品質情報比較手段1bおよび受信方路情報付加手段1dへ通知する。品質情報比較手段1bは、各フレーム9a〜9cの中から最も品質の良いフレーム9cを選択し、受信方路情報付加手段1dを介して図2に示した後段のRNC5bへ送信する。
【0024】
ここでは期待される全方路からフレームが受信されているため、図1のタイミング制御手段2は、遅れて受信されるフレームはないものとして第2の待ち時間を設定しない。また、品質情報比較手段1bは、選択したフレームの品質情報を品質情報保持手段1cにおいて保持しない。後段のRNC5bは、先述したRNC5aからのフレーム9cと、BTS4dからのフレーム9dとを比較して、品質の良い方のフレームを選択して出力する。
【0025】
図3はRNCが多段である場合の別の動作を例示する説明図である。図において、図2と同一又は相当部分には同一符号を付して説明を省略する。ここでは、伝送路上での処理遅延,ゆらぎ等により、前段のRNC5aが第1の待ち時間内にフレーム9cを受信できなかった場合について説明する。すなわち、RNC5aが第1の待ち時間内に、BTS4a,4bそれぞれからフレーム9a,9bのみを受信した場合について説明する。
【0026】
RNC5aの受信するフレーム9a,9bは、それぞれ図1のバッファ3a,3bに保持される。図2と同様、タイミング制御手段2は第1の待ち時間の経過後、各バッファ3a〜3cに対して保持フレームの出力を指示する。受信方路チェック手段1aは、このバッファ3a,3bからのフレーム9a,9bの方路をチェックして、品質情報比較手段1bへ送信する。品質情報比較手段1bは、この受信フレームの品質情報を比較し、品質の良いフレーム9bを選択し、受信方路情報付加手段1dを介して図3に示した後段のRNC5aへ送信する。
【0027】
ここでは、BTS4cからのフレーム受信が期待されているにも係らず、第1の待ち時間中に受信されていない。よって、受信方路チェック手段1aは、そのBTS4cからの受信を待つべく、タイミング制御手段2に第2の待ち時間設定を指示する。また、品質情報保持手段1cは選択フレーム9dの品質情報を保持し、以降の受信フレームの品質評価に備える。
【0028】
ここで、第2の待ち時間中に、BTS4cからRNC5aにフレーム9cが到着したとする。到着したフレームはバッファ3cに一旦保持され、第2の待ち時間経過後、タイミング制御手段2からの指示により、受信方路チェック手段1aへ送信される。受信方路チェック手段1aは、方路のチェック後、このフレームを品質情報比較手段1bへ送信する。品質情報比較手段1bは、品質情報保持手段1cに保持されている以前の選択フレーム9bとの比較で、フレーム9cの方が品質が良い場合、このフレーム9cを受信方路情報付加手段1dを介して後段RNC5bへ送信する。
【0029】
後段のRNC5bは、許容待ち時間内に受信されるフレームをバッファリングし、その中で最も品質の良いフレームをさらに後段のRNCまたはMSCへ出力する。さらに詳しくは、許容待ち時間内に、BTS4aからのフレーム9dと、第1のRNC5aからのフレーム9bとが受信された場合には、それら二つのフレームのうち品質の良い方のフレームを出力する。RNC5aからのフレーム9cが許容待ち時間内に到着した場合は、それも含めたフレーム9b,9c,9dの3フレームの中から最も品質の良いフレームを選択して出力する。
【0030】
図4は、前段RNCにおける第1,第2の待ち時間と、後段RNCにおける許容待ち時間との関係を例示した説明図である。図において、Tw1は後段RNCにおける許容待ち時間、Tw2,Tw3はそれぞれ前段RNCにおける第1,第2の待ち時間である。また、Td1は前段から後段RNCへフレームを送信するのに要する時間(前段RNCのフレーム送信後、当該フレームが後段RNCに受信されるまでの時間)であり、ゆらぎTd2を有している。すなわち、Td1はゆらぎTd2を有した送信所要時間の平均的な値である。Td3は当該送信所要時間の最大値である。本実施の形態1では、以下の二条件を同時に満たすように設定する。
条件1:Tw1≧Tw2+Td3
条件2:Tw1≧Tw2+Tw3+Td1
【0031】
すなわち、第1の待ち時間Tw2は、最大のゆらぎ遅延が生じた場合であっても必ず後段RNCに許容待ち時間Tw1以内にフレームが到着するよう設定する。また、第2の待ち時間Tw3は、少なくとも許容待ち時間Tw1以内に後段RNCに到着する可能性がある範囲内で設定する。なお、この第1、および第2の待ち時間Tw2,Tw3の長さをそれぞれ長くすると、前段RNCと後段RNC間のデータ送信の信頼性を向上させることができる。一方、これらの長さを短くすると、送信遅延の低減を図ることが可能となる。また、後段RNCにおける許容待ち時間Tw1は、送受信データの種別毎に設定すればよく、例えば音声ではCodec処理時間も考慮してユーザが不自然と感じない程度に設定すればよい。
【0032】
以上のように本実施の形態1では、前段RNCが、第1の待ち時間内に受信されたフレームの中で最も品質のよいものを後段RNCへ送信するとともに、第2の待ち時間内にさらに品質のよいものが受信された場合にそれを後段RNCへ送信するので、複数のRNCに渡るダイバーシチハンドオーバにおいて、RNC間で送受されるデータ量の低減を図り、また、データ転送の遅延の低減、品質の向上を図ることができる。
【0033】
なお、ここでは前段RNC5aが図1に示したダイバーシチハンドオーバトランク51を備えたが、前段RNC5aと後段RNC5bの双方が備えてもよく、その場合、後段RNC5bの許容待ち時間は、上述の第1の待ち時間(Tw2)、または第1の待ち時間と第2の待ち時間との和(Tw2+Tw3)とすることができる。
【0034】
実施の形態2.
本実施の形態2では、図1の受信方路情報付加手段1dが付加する「全方路からフレームが受信されたか否かを示す情報」について詳細に説明する。図5は、前段RNCと後段RNCとの間で送受されるフレームを例示する構成図である。図において、10はMSが送信するデータ部、11はBTSがMSからデータを受信した際の受信品質を示す品質情報、14は図1の受信方路情報付加手段1dにより付加され、全方路からフレームが受信されたか否かを示す受信方路情報である。
【0035】
図2で例示したように、前段RNC5aが第1段階の待ち時間内に全ての方路からフレームを受信してフレーム9cを選択した場合、図1に示した受信方路情報付加手段1dは「全ての方路からフレーム受信した」旨の受信方路情報14をフレーム9cに付与して後段RNC5bへ送信する。これにより、後段RNC5bは、前段RNC5aから更なるフレーム送信がないことを知り、それに基づき、許容待ち時間であっても受信フレームの品質比較を開始する。すなわち、上述の例では、前段RNC5aからのフレーム9cと、BTS4dからのフレーム9dを受信した段階で、後段RNC5bは期待する全てのフレームが受信されたと判断し、これらのフレームの品質比較を開始する。
【0036】
また、図3で示したように、前段RNC5aが第1の待ち時間にフレーム9a、9bからのフレームを受信して、フレーム9bを選択した時、前段RNC5aは「BTS4a,4bの2つの方路からフレームを受信した」旨、あるいは「受信していない方路が存在する」旨の受信方路情報14をフレームに付与して後段RNC5bへ送信する。後段RNC5bは、この受信方路情報14により、今後より良いフレームを前段RNC5aから受信する可能性があると認識し、許容待ち時間最大までフレームの受信を待つ。そして、許容待ち時間の経過後、受信フレームの品質比較を開始する。
【0037】
本実施の形態1では以上のように、前段RNCにおける選択処理においてフレームを受信した方路の情報を付与することにより、後段RNCで更にフレームを待つか否かの判断が可能になり、遅延時間の低減が可能となる。
【0038】
【発明の効果】
この発明は以上説明したように構成されているので、以下に示すような効果を奏する。この発明に係る通信方法においては、前段の装置は、異なる複数の基地局から第1の待ち時間内に受信した同一移動局のデータから、データ品質に基づいて少なくとも一つのデータを選択し、第1のデータとして後段の装置へ送信するとともに、第1の待ち時間経過後の第2の待ち時間内に、前記基地局とは異なる基地局より前記移動局のデータを受信した場合に、第2のデータとして前記後段の装置へ送信し、後段の装置は、第3の待ち時間内に受信された第1,第2のデータを含む複数のデータから、データ品質に基づいて少なくとも一つのデータを選択するので、遅延を低減させ、後段装置において品質の良いデータを得ることができる。
【0039】
また、この発明に係る通信方法においては、前記後段の装置は、第3の待ち時間内に第2のデータが受信されない場合であっても、該時間内に受信されたデータの中からデータを選択するので、遅延を低減させ、後段装置において品質の良いデータを得ることができる。
【0040】
また、この発明に係る通信方法においては、前記前段の装置は、第1のデータと第2のデータとの品質比較結果に基づいて、第2のデータを前記後段の装置へ送信するか否か決定するので、RNC間でのデータ伝送量を低減することができる。
【0041】
また、この発明に係る通信方法においては、前記前段の装置は、受信期待される全方路からのデータを受信して第1のデータを選択した場合に、第2のデータ送信を行わない旨の通知を後段の装置へ送信し、前記後段の装置は、前記通知に基づいて、第3の待ち時間内であってもデータ選択を開始するので、特に遅延を低減させることができる。
【0042】
さらにまた、この発明に係る通信システムにおいては、同一移動局からのデータを、異なる複数の基地局から受信する受信手段と、前記受信手段により第1の待ち時間内に受信されたデータから、データ品質に基づいて少なくとも一つのデータを選択し、後段の装置へ送信する選択手段と、前記受信手段により第1の待ち時間経過後の第2の待ち時間内に、前記基地局とは異なる基地局より前記移動局からの前記データを受信した場合に、前記後段の装置へ送信する送信手段とを備えたので、遅延を低減させ、後段装置において品質の良いデータを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施の形態1におけるダイバーシチハンドオーバトランクを例示する構成図である。
【図2】 本実施の形態1におけるRNCが多段である場合の動作を例示する説明図である。
【図3】 本実施の形態1におけるRNCが多段である場合の別の動作を例示する説明図である。
【図4】 本実施の形態1における第1,第2の待ち時間および許容待ち時間を例示する説明図である。
【図5】 本実施の形態2における前段RNCと後段RNCとの間で送受されるフレームを例示する構成図である。
【図6】 従来のダイバーシチハンドオーバの動作を例示する構成図である。
【図7】 従来のダイバーシチハンドオーバの別の動作を例示する構成図である。
【図8】 従来のフレーム選択方法を例示する構成図である。
【符号の説明】
1a 受信方路チェック手段 1b 品質情報比較手段 1c 品質情報保持手段 1d 受信方路情報付加手段 2 タイミング制御手段 3a〜3c バッファ 4a〜4d BTS 5a,5b RNC 6 MSC 7 MS 8a,8b セル 9a〜9d フレーム 10a,10b 受信データ 11a,11b 受信品質情報 14 受信方路情報 15a,15b,16a〜16d 伝送路 51,51a,51b ダイバーシチハンドオーバトランク
Claims (5)
- 前段の装置は、異なる複数の基地局から第1の待ち時間内に受信した同一移動局のデータから、データ品質に基づいて少なくとも一つのデータを選択し、第1のデータとして後段の装置へ送信するとともに、第1の待ち時間経過後の第2の待ち時間内に、前記基地局とは異なる基地局より前記移動局のデータを受信した場合に、第2のデータとして前記後段の装置へ送信し、
後段の装置は、第3の待ち時間内に受信された第1,第2のデータを含む複数のデータから、データ品質に基づいて少なくとも一つのデータを選択することを特徴とする通信方法。 - 前記後段の装置は、第3の待ち時間内に第2のデータが受信されない場合であっても、該時間内に受信されたデータの中からデータを選択することを特徴とする請求項1に記載の通信方法。
- 前記前段の装置は、第1のデータと第2のデータとの品質比較結果に基づいて、第2のデータを前記後段の装置へ送信するか否か決定することを特徴とする請求項1に記載の通信方法。
- 前記前段の装置は、受信期待される全方路からのデータを受信して第1のデータを選択した場合に、第2のデータ送信を行わない旨の通知を後段の装置へ送信し、
前記後段の装置は、前記通知に基づいて、第3の待ち時間内であってもデータ選択を開始することを特徴とする請求項1に記載の通信方法。 - 同一移動局からのデータを、異なる複数の基地局から受信する受信手段と、
前記受信手段により第1の待ち時間内に受信されたデータから、データ品質に基づいて少なくとも一つのデータを選択し、後段の装置へ送信する選択手段と、前記受信手段により第1の待ち時間経過後の第2の待ち時間内に、前記基地局とは異なる基地局より前記移動局からの前記データを受信した場合に、前記後段の装置へ送信する送信手段とを備えたことを特徴とする通信システム。
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JP2001285912A (ja) | 2001-10-12 |
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