JP3649028B2 - 超音波流量計、及びその測定方法 - Google Patents

超音波流量計、及びその測定方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、超音波を利用して被測定流体の流速/流量を測定する超音波流量計に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えばプラントの配管、水道管、ガス管等の配管内を流れる流体(ガスも含む)の流量、流速等を測定する超音波流量計が知られている。
【0003】
超音波流量計は、例えば図7に示すように、流れに対して斜めに音波が伝搬するように、上流側と下流側とで一対の超音波深触子を置いている。
図7は、超音波流量計の設置状況の一例を示す図であり、(a)は側断面図、(b)は上流側からみた断面図である。尚、図7(a)においては流体は配管103内を図面上の左側から右側の方向に流れており(つまり左側が上流)、図6(b)においては図面上の手前から奥の方向に流れており、その流速は‘V’であるものとする。
【0004】
同図に示すように、直径Dの配管(水道管等)の上流側と下流側にそれぞれ超音波トランスデューサ(探触子)101、102を、角度θで互いに対向するように配置する。このような構成において、流速、流量を測定するには、上流側の超音波トランスデューサ101から下流側の超音波トランスデューサ102へ送信した場合の超音波パルス伝搬時間t1と、下流側の超音波トランスデューサ102から上流側の超音波トランスデューサ102へ送信した場合の超音波パルス伝搬時間t2との間に、流れによる時間差が生じることを利用する。
【0005】
すなわち、まず、上記t1、t2は、上記流速V、流体中の音速をCとすると以下の(1)式で求められる。
【0006】
【数1】
Figure 0003649028
【0007】
次に、t1とt2の時間差を求めるが、単純にt2−t1とした場合、音速Cが係数に残るので、t1、t2をそれぞれ逆数にして引き算する。つまり、以下の(2)式のようにする。
【0008】
【数2】
Figure 0003649028
【0009】
この(2)式において、上記配管の直径Dと角度θを与えることにより、流速Vを算出できる。
このように、伝搬時間を逆数にして引き算することにより、音速Cが係数に残らないので、流体の温度や組成等に依存しない測定が可能となる。
【0010】
図8は、上記流速/流量を測定する為の構成の一例を示す機能ブロック図であり、同図には、PLL(Phase Locked Loop )を応用したTLL方式の流量測定回路を一例として示している。
【0011】
同図に示す回路は、概略的に説明すると、2個のVCO107,108(電圧制御発振器;Voltage Controlled Oscillator )のそれぞれの周波数f1、f2 をN個カウントする時間と、液体中の伝搬時間t1 、t2とを一致させるように各VCOの周波数を制御する閉ループを構成している。
【0012】
すなわち、切替えスイッチ106、109、及び110を同図に示すような▲1▼側にしたときは、同期回路111は、連続発振しているVCO107(周波数f1 )に同期したスタートパルスを発生して、送信回路104及びNカウンタ112を起動する。これより、上流側の超音波トランスデューサ101から下流側の超音波トランスデューサ102へ超音波パルスが送信され、その伝搬時間t1 とNカウンタ112において周波数f1 がN回カウントされる時間(N/f1 )とが時間差検出部113により比較されて、両者が一致するようにVCO107が制御される。切替えスイッチ106、109、及び110を▲2▼側にしたときも、同様に、下流側の超音波トランスデューサ102から上流側の超音波トランスデューサ101への伝搬時間t2 とNカウンタ112のカウント時間(N/f2 )とが一致するように、VCO108が制御される。上記のいずれの場合も、制御ループが安定したとき、以下の(3)式が成立する。
【0013】
N/f1 =t1 、 N/f2 =t2 ・・・(3)
すなわち、
f1 =N/t1 、f2 =N/t2 ・・・(4)
となる。
【0014】
そして、制御ループが安定した状態でのVCO107の出力周波数f1 とVCO108の出力周波数f2 の差Δfが、周波数差検出部114により検出される。これは、上記(2)、(4)式から以下の(5)式によって求められる。
【0015】
【数3】
Figure 0003649028
【0016】
これより、流速Vに比例し、流体中の音速Cを含まない信号が得られる。
更に、f1 とf2 を比較すれば、流れの方向も検知できることになる。
上記構成の流量計の最小検出分解能は、上記(5)式から分かるように、f1 、f2 の測定分解能によって定まる。このf1 、f2 の測定分解能は、図8に示したVCO107、108の発振周波数を制御する系(制御ループ)によって決定される。すなわち、上記受信回路105は、受信音波を増幅し、この増幅した受信信号が図9(a)、(b)に示すような特定の閾値を横切る点で2値化する回路であるが、これには同図に示すようなノイズによる不確定性(不確定時間)が生じる場合がある。また、時間差検出部113においても内部ノイズ等に不確定性がある。上記f1 、f2 の測定分解能は、これら不確定性によって定まるのであるが、その影響は、平均化、スムージング等の演算処理によって軽減されており、伝搬時間t1 、t2 で0.1(nS)までの分解能が得られている実績がある。これを、口径:50(mm)、音波の打込み角度27度の液体用超音波流量計に適用すると、例えば図10に示すような「流速と伝搬時間差との関係」が得られる。この例では、0.1(nS)に相当する検出下限流速は0.06(m/S) となる。また、検出上限流速は、流速10(m/S) 以上では流体にキャビテーションが発生する為、通常は10(m/S) に設定する。
【0017】
この流速から流量を求めるにあたって、超音波の伝搬路はあくまでも図7に示すように流れに対して線状でしかなく、この伝搬路の平均流速が求められることになる。しかし、流体の流れは2次元分布をしており、屈曲部等の流れを乱す要素がない限り、通常、図11に示すような層流と乱流で表される。
【0018】
乱流の場合、管の中心が最大流速Vmax となり、この中心から距離rの位置の流速V(r)は以下の(6)式により求められる。
V(r) =Vmax ×{1−r/(D/2)}1/n ・・・(6)
{但し、n=2.1× Log Re −1.9
Re=Vave ×D/ν(Re;レイノルズ数)
ν=μ/ρ
Vave =2n2 /|(n+1)(2n+1)|
D;口径、ν;流体の動粘度、ρ;流体の密度、μ;流体の粘度 }
層流の場合、流速V(r)は以下の(7)式により求められる。
【0019】
V(r) =Vmax ×{1−r/(D/2)}1/2 ・・・(7)
これより、流量を求めるには、「流速×断面積×補正定数」の式で求める。尚、補正定数は、上記伝搬路での流速を2次元の流速分布に対応して換算する換算係数である。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
上述したようにして、流速より流量を算出するが、乱流の場合、平均流速、流体の種類(粘度、密度)によってレイノルズ数が異なり、流速分布が変化する。
【0021】
この為、1つの測線(伝搬路)での測定では、平均流速、流体の種類(粘度、密度)によって誤差が大きくなるという問題があった。
この誤差を軽減する手法として、従来では、超音波トランスデューサを例えば図12に示すように複数対(同図では4対)配置して、各々の超音波トランスデューサ対で流量を測定し、各超音波トランスデューサ対で測定した流量値を加算/平均する手法が用いられていた。
【0022】
しかしながら、この手法では、測線数分の超音波トランスデューサ対が必要となり、また、その分、配管に超音波トランスデューサを設置する為の加工作業が多くなり、コストが高くなるという問題があった。
【0023】
本発明の課題は、一対の超音波トランスデューサにより複数の測線を生成できる超音波流量計を提供することである。
【0024】
【課題を解決するための手段】
本発明による超音波流量計は、被測定流体の流れる管の上流側と下流側に配置される一対の超音波トランスデューサにより上流側から下流側への超音波伝搬時間と下流側から上流側への超音波伝搬時間を計測し、該計測結果に基づいて流速を求め、あるいは該流速から流量を算出する超音波流量計であって、前記超音波トランスデューサは管周方向に配列された複数の振動子のアレイより成り、前記振動子アレイの各々を個々に異なるタイミングで励振制御して複数の測線を生成する制御手段を有する。
【0025】
上記超音波流量計によれば、複数の測線によって誤差が少なく精度の高い測定を行うことができる手法において、一対の超音波トランスデューサによって複数の測線を得ることができるようにしたので、低コストで精度の高い測定を行える超音波流量計を実現できる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
尚、本出願において、「音波」と「超音波」という言葉が混在しているが、これは(一般的に知られているように)通常「音波」と呼ばれる周波数帯を使用したとしても、超音波応用製品を実現できるものであれば、特に問題がないからであり、その意味で「音波」でも「超音波」でもどちらでも良いからである。
【0027】
図1は、超音波トランスデューサの構成を示す図である。
同図に示す超音波トランスデューサは、圧電振動子ブロック1、電極2、第1の音響整合層3、第2の音響整合層4、及び背面制動材5より構成される。
【0028】
同図に示す超音波トランスデューサは、複数の振動子(圧電振動子ブロック1)のアレイ構造となっており、各振動子(圧電振動子ブロック1)毎に個別に励磁制御される構成(すなわち、各ブロック毎に1つの電極2が接続されている)になっている。尚、各圧電振動子ブロック1が分割されている(同図では1−1〜1−4の4分割)のは、音波の出射方向を(全方向ではなく、ある程度方向性が決まるように)制限する為である。
【0029】
圧電振動子ブロック1の音波の出射方向には、流体と圧電振動子の間の音響インピーダンスの整合を行う為、すなわち所謂“反射”を防ぎ音波の透過率を良くする為に振動子から流体までの音響インピーダンスを順次変えていく為に、第1、第2の音響整合層3、4が設けられている。これは、特に、流体が都市ガス等の気体である場合に、有効となる構成である。
【0030】
上記音波の出射方向と逆方向には、振動系の機械的Qを低下させ、短パルスを生成するための背面制動材5が設けられている。尚、振動系の機械的Qとは、定性的には、振動系が振動するときの周波数の先鋭度(どれくらい単一周波数か)を示すものである。また、各圧電振動子ブロック1間は、音響的漏洩を防止する為、及び後述する配管の曲率にならうように配置する為に、例えば工業用カッター等にてダイシング(一定深さの切込み(溝)を形成する)を行っている。
【0031】
このような構成の超音波トランスデューサは、例えば後述する図5に示すように、配管に対して、配管の外周に密着させて配置する(上記圧電振動子のアレイの配列を配管の曲率にならうように配置する。すなわち、圧電振動子の音波出射面の曲率が、配管の外径と略一致するように構成する)。
【0032】
尚、図1において、左端の圧電振動子ブロック1上の第1、第2の音響整合層3、4、及び左から2番目のブロック1上の第2の音響整合層4がないのは、圧電振動子ブロック1、第1の音響整合層3の構成を明らかにする為に部分的に省略して示しているからであり、実際には存在する。
【0033】
図2は、本実施形態による超音波流量計の構成の一例を示す図である。
尚、同図には、本発明に係わる部分のみ示しており、超音波流量計の全ての構成を示すものではない。
【0034】
同図において、CPU11は、内蔵プログラムにより当該超音波流量計全体の動作シーケンスを制御する中央処理装置である。すなわち、後述する送信遅延部12に対し送信タイミングパルスPa を送ると共に各送信遅延部12−1〜12−nの各々に異なる送信遅延制御信号Pb を与える。また、各受信遅延16−1〜16−nの各々に異なる受信遅延制御信号Pc を与える。これらについての詳細は後述する。
【0035】
各送信遅延部12−1〜12−nは、各々、入力する送信タイミングパルスPa に対して上記送信遅延制御信号Pb に応じた所定の遅延を施して出力する遅延要素である。この送信遅延部12は、例えば、入力する送信タイミングパルスPa に遅延を施しながらその途中出力を得る為の複数のタップを備える電磁遅延線と、上記CPU11からの送信遅延制御信号Pb に応じて、どのタップの信号を出力するかを選択する選択器より構成される。
【0036】
励振回路13−1〜13−nは、各々に接続されている振動子14−1〜14−n(図1の圧電振動子ブロック1)を励振して超音波を発信させる送信回路である。各励振回路13−1〜13−nは、基本的に全て同一の構成であるが、各々に接続されている送信遅延部12によって遅延された送信タイミングパルスPa によって励振するので、各振動子14−1〜14−nをそれぞれ異なるタイミングで励振することになる。
【0037】
本実施形態の超音波トランスデューサは、このように複数の振動子14に対してそれぞれ所定の遅延を施すことで、(詳しくは後述するが)任意の方向に走査させ、また任意の点(配管の内壁における任意の点)に焦点を結ばせることができ、これより例えば後述する図5に示すような超音波ビーム(測線)を得ることができるものである。また、これを順次実行していけば、例えば後述する図6に示すように複数の測線が得られることになる。このような遅延制御の詳細については、後に図3、4等を参照して詳述する。
【0038】
スイッチ15は、送信側として動作するときはスイッチ15−1、15−2のように励振回路13側に切換えられ、受信側として動作するときにはスイッチ15−n−1、15−nのように受信回路16側に切換えられる。このスイッチ15の切換え制御は、特に図示していないが、例えばCPU11により行われる。
【0039】
受信側として動作する場合は、上記のようにスイッチ15が受信回路16側に切換えられ、各振動子14−1〜14−nで受信した超音波信号が各々に接続されている受信回路16に入力する。各受信回路16−1〜16−nは、それぞれ、受信遅延部17−1〜17−nに接続されており、送信遅延の場合と略同様に、CPU11からの受信遅延制御信号Pc に応じて、上記受信信号に各々異なる遅延を施して、加算回路18に出力する。加算回路18では、上記受信遅延部17から出力される受信信号を加算し、この加算信号Pd を2値化回路19に出力する。2値化回路19にはCPU11より2値化レベルVL (閾値)が入力されており、受信信号(加算信号Pd )が閾値を横切る点で2値化して、この2値化パルスPe を時間測定回路20に出力する。
【0040】
その後は、時間測定回路20により伝搬時間th が測定/出力される。この時間測定回路20は、例えば、従来技術の図8に示す構成において送信回路104及び受信回路105を除いた構成とほぼ同じである。
【0041】
次に、上述した超音波ビームの走査、集束の制御方法について、以下に図3、図4を参照して説明する。
図3は、超音波ビームの走査の制御方法を説明する為の図である。
【0042】
尚、同図には、図2に示す超音波トランスデューサを必要な部分だけ概略的に示してある。また、尚、図3(及び図4)と図2とでは、送信回路(励振回路)及び受信回路の配置位置が異なるが、動作上は(原理的には)ほぼ同じであり、どちらでもよい。また、図3(及び図4)に示すように、遅延要素を、送信側と受信側とで共通化してもよい。
【0043】
同図において、送信側として動作する場合、送信回路21からN個の遅延要素23(送信遅延部12)に対して送信タイミングパルスPa が送られると、各遅延要素23(τ1 〜τN )には上記送信遅延制御信号Pb によって各々所定の遅延量が設定されており、各振動子ブロック24からは各々に接続されている遅延要素23の遅延量分だけ遅れたタイミングで超音波が出射される。
【0044】
同図に示すように各振動子ブロック24のピッチ(=幅)をd、走査角をθ、流体中の音速をC、各振動子の番号をiとすると、上記各遅延要素23(τ1 〜τN )に設定される遅延量は、以下の(8)式で表される。
【0045】
τi =(i−1)d sinθ/C ・・・(8)
このようにすると、各振動子ブロック24から出射される音波の波面が、走査方向θで位相が揃うようになり、各振動子ブロック24からの音波の位相が合致する部分は強め合い、それ以外のところは位相が不一致となり弱め合うことになる。
【0046】
受信側として動作する場合も、送信側として動作する場合と略同様の考えでよく、所定の走査方向からの受信波の位相が合致するように、各遅延要素23の遅延量を設定する。これは図2のCPU11が制御する。その後は、上記図2において説明したように、各々遅延された受信信号が加算回路18で加算され、これを2値化回路19で2値化して、これより時間測定回路20において伝搬時間th が測定される。
【0047】
尚、時々刻々、走査角θに応じた遅延量を設定すれば、音波の走査方向をリアルタイムで掃引することもできる。
図4は、超音波ビームの集束の制御方法を説明する為の図である。
【0048】
集束の制御において、送信側では、各振動子ブロック24から出射される音波の波面が焦点距離F(中心の振動子から焦点までの距離;曲率半径)で位相が揃うように、各遅延要素の遅延量を設定/制御する。すなわち、各振動子からの音波の位相が合致する部分は強め合い、それ以外のところは位相が不一致となり弱め合うことになるので、上記の様にすると焦点の音波が最も強くなる。このようにする為の各遅延要素の遅延量の設定/制御方法は、同図に示すように各振動子ブロック24のピッチ(=幅)をd、流体中の音速をC、各振動子の番号をi、焦点距離をFとすると、上記各遅延要素23に設定される遅延量(τ1 〜τN )は、以下の(9)式で表される。
【0049】
τi =(i−1)2 2 /(8CF) ・・・(9)
受信側として動作する場合も、所定の位置からの受信波の位相が合致するように、各遅延要素23の各々の遅延量を設定する。これは、図2で説明したように、CPU11の制御により行う。
【0050】
以下、上述したように各遅延要素23の遅延量を電子的に変更して走査させることを電子走査と言い、集束させることを電子集束というものとする。
本実施形態の超音波流量計は、この電子走査と電子集束とを組合せた制御を行うことによって、1対の超音波トランスデューサで複数の測線が得られるものである。すなわち、電子走査により超音波ビームの出射方向を決定すると共に電子集束により配管の内面と交差する点に焦点を結ばせるように制御する。
【0051】
この制御の遅延量設定は、以下の(10)式で表される。
τi =(i−1)d sinθ/C+(i−1)2 2 /(8CF)・・・(10)オペレータ等は、例えば上記(10)式を用いて、予め、必要とする各測線を得る為の遅延量を求めておき、CPU11の内蔵メモリ等にテーブル形式で記憶させておく。そして、測定時には、CPU11は、上記の様に記憶されたデータを用いて各送信遅延部12/受信遅延部17を遅延制御する。このようにすることで、例えば図5に示すような測線が得られる。
【0052】
図5は、本実施形態の一対の超音波トランスデューサによって得られる測線の一例を示す図である。
同図では、上流側の超音波トランスデューサ30から、所定の走査方向に向けて、管50の内面上の焦点fで集束する超音波ビームが出射され、この超音波ビームが管50内面で反射して、下流側の超音波トランスデューサ40に届くように、上記(10)式に従って各遅延要素23の遅延量が制御されている。
【0053】
本実施形態の超音波流量計は、各遅延要素23の遅延量を上記(10)式に従って設定して送受信し、これを順次複数回実行することにより、一対の超音波トランスデューサで任意の方向の複数の測線が得られる。例えば、図6に示すように、(1)〜(11)までの11種類の測線を生成することができ、これによって、各測線で得られた流速を加算平均することにより平均流速が得られるので、屈曲部等の流れを乱す要素があっても比較的高精度で測定できるようになる。尚、図6の各測線は、図5に示すような測線の中心線(最も強い部分)のみを示している。
【0054】
尚、一様に測線を作ることが出来ず、各測線で測定できる領域が異なる(粗/密がある)場合には、各測線毎に求められた流速に対して上記領域の面積の逆数を掛け合わせる等して補正してもよい。
【0055】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、複数の振動子アレイより成る超音波トランスデューサを用いて、各振動子アレイが各々異なるタイミングで超音波出射するように遅延制御する構成において電子走査と電子集束とを組合せ制御することによって、1対の超音波トランスデューサで複数の測線が得られるようになるので、超音波トランスデューサを複数対設置/加工する必要なく、複数の測線による精度の高い測定ができる。例えば、屈曲部等の流れを乱す要素があっても低コストで比較的高精度で測定できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】超音波トランスデューサの構成を示す図である。
【図2】超音波流量計の構成の一例を示す図である。
【図3】超音波ビームの走査の制御方法を説明する為の図である。
【図4】超音波ビームの集束の制御方法を説明する為の図である。
【図5】超音波トランスデューサによって得られる測線の一例を示す図である。
【図6】一対の超音波トランスデューサによって得られる複数の測線の例を示す図である。
【図7】超音波流量計の設置状況の一例を示す図であり、(a)は側断面図、(b)は上流側からみた断面図である。
【図8】流速/流量を測定する為の構成の一例を示す機能ブロック図である。
【図9】ノイズによる不確定性を説明する為の図である。
【図10】流速と伝搬時間差との関係の一例を示す図である。
【図11】層流と乱流を示す概念図である。
【図12】従来の、複数の測線を得る為に超音波トランスデューサを複数対配置した図である。
【符号の説明】
1 圧電振動子ブロック
2 電極
3 第1の音響整合層
4 第2の音響整合層
5 背面制動材
11 CPU
12 送信遅延部
13 励振回路
14 振動子
15 スイッチ
16 受信回路
17 受信遅延
18 加算回路
19 2値化回路
20 時間測定回路
21 送信回路
22 受信回路
23 遅延要素
24 振動子ブロック
30 上流側の超音波トランスデューサ
40 下流側の超音波トランスデューサ
50 管

Claims (6)

  1. 被測定流体の流れる管の上流側と下流側に配置される一対の超音波トランスデューサにより上流側から下流側への超音波伝搬時間と下流側から上流側への超音波伝搬時間を計測し、該計測結果に基づいて流速を求め、あるいは該流速から流量を算出する超音波流量計であって、
    前記超音波トランスデューサは管周方向に配列された複数の振動子のアレイより成り、
    前記振動子アレイの各々を個々に異なるタイミングで励振制御して複数の測線を生成する制御手段を有することを特徴とする超音波流量計。
  2. 前記制御手段は、
    送信側において、前記振動子アレイの個々に異なる励振タイミングを、前記振動子アレイの各振動子に個別に接続される可変遅延素子の各遅延量を変更/制御して生成させることにより、超音波トランスデューサから出射される音波の走査方向及び集束点が異なる複数の測線を生成し、
    受信側において、各振動子アレイで受信する超音波の受信信号に対して個々に異なる遅延を施して加算した値に基づいて前記超音波伝搬時間を算出することを特徴とする請求項1記載の超音波流量計。
  3. 前記音波の走査方向及び集束点を決定する可変遅延素子の各遅延量τi は、
    τi =(i−1)d sinθ/C+(i−1)22/(8CF)
    (i;各振動子の番号、d;振動子間のピッチ、θ;走査角、C;流体中の音速、F;焦点距離)
    の算出式により決定することを特徴とする請求項2記載の超音波流量計。
  4. 前記集束点は前記管の内面上にあり、前記送信側では、該管内面の集束点で反射して受信側に到達する経路の音波の測線を、時系列的に順次前記音波の走査方向及び集束点を変更することにより複数生成することを特徴とする請求項3記載の超音波流量計。
  5. 前記受信側において各測線毎に算出される超音波伝搬時間に基づいて求められる各流速値に対して、特定の重み値を掛け合わせた値の平均値から流量を求めることを特徴とする請求項2、3、あるいは4記載の超音波流量計。
  6. 振動子アレイの各振動子を個々に異なるタイミングで励振して、出射する音波の走査方向及び集束点を位相制御することで測線を生成し、
    走査方向及び集束点が異なる位相制御を複数回実行することにより複数の測線を生成し、
    該複数の測線毎に得られる超音波伝搬時間に基づいて流速を求め、あるいは該流速から流量を算出することを特徴とする管内を流れる流体の流速/流量の測定方法。
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