JP3649001B2 - ボウル洗浄機能付便座を有する便器 - Google Patents

ボウル洗浄機能付便座を有する便器 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、サイホンゼット式の式水洗便器に関し、特には、ボウル部を洗浄する機能を備えた便座を有する便器に関する。
【0002】
【従来の技術】
図9(A)は、従来の洋式の水洗便器の便器本体の一例を示す側面断面図、同図(B)は、その平面図である。
この便器本体1は、ボウル部10の後部に給・排水部16が配置された構成となっている。ボウル部10の内部には、溜水部Wの水面下に位置する溜水面11aと、この溜水面11aと連続して形成され、水面上に位置する乾燥面11bとで構成される汚物受け面11が形成されている。また、ボウル部10の上部開口の周縁にはリム部12が形成されている。リム部12は、内側周壁12aと、この内側周壁12aの内側に設けられたリム通水路12bと、このリム通水路12bの下部に汚物受け面11に向けて多数穿設された吐水孔13とで構成され、ほぼ一定の幅を有する。給・排水部16は、図示しない給水源に連通する給水孔16aと、この給水孔16aとリム通水路12bとを連通する導水路16bと、排水口16cに連通する排水路16dとが形成されている。
【0003】
このような構成の便器本体1のボウル部10の洗浄流路を説明すると、給水源から供給された洗浄水は、給水孔16aから導水路16bを通ってリム通水路12bへと流れた後、同図(B)の矢印で示すように、リム部12下面の吐水孔13から汚物受け面11に吐出されて汚物受け面11を洗浄する。そして、汚物受け面11を洗浄した洗浄水は、排水路16dを通って排水口16cから排出される。
以上のように、吐水孔13から吐出される洗浄水は、ボウル部10の外周部から内周部に向けて放射状に勢い良く流れるので、特に汚物受け面11の汚物を確実に洗い流すことができる。
【0004】
図10(A)は、従来の洋式の水洗便器の便器本体の別の一例を示す側面断面図、同図(B)は、その平面図である。
この便器本体2は、基本的には図9に示す便器本体1と同一構成であり、同一構成箇所は同一番号を付して説明を省略する。
この便器本体2は、汚物受け面11の内側から下部へ通じるゼット導水路14及びゼット吐水孔15が設けられている点で図9に示す便器本体1と異なる構成となっている。ゼット導水路14はリム通水路12bの一部から分岐されている。
【0005】
このような構成の便器本体2のボウル部10の洗浄流路を説明すると、給水源から供給された洗浄水は、給水孔16aから導水路16bを通ってリム通水路12b及びゼット導水路14へと流れた後、同図(B)の矢印で示すように、吐水孔13から汚物受け面11に吐出されて汚物受け面11を洗浄する。また洗浄水の一部は、ゼット吐水孔15から排水路16dに吐出される。そして、汚物受け面11を洗浄した洗浄水と排水路16dに吐出された洗浄水は、排水路16dを通って排水口16cから排出される。
【0006】
以上のように、吐水孔13から吐出される洗浄水は、ボウル部10の外周部から内周部に向けて放射状に勢い良く流れるので、特に汚物受け面11の汚物を確実に洗い流すことができるとともに、ゼット吐水孔15から吐出される洗浄水は、ボウル部10の底部から排水路16dに向けて直線状に勢い良く流れるので、溜水部Wに溜まっている汚物を確実に流すことができる。
上述した各便器本体1、2は、陶器で作成されており、その表面は粗面となっているので微量とはいえ吸水して不衛生となるため、陶器表面にガラス質の釉薬を塗布して表面仕上げを行い、吸水性を失わせて衛生性を確保している。
【0007】
ところが、上述した便器本体1、2の洗浄流路構造では、リム通水路12bと吐水孔13を設けた複雑な形状をしたリム部12を形成する必要がある。特にリム通水路12bは、下側面をボウル部10の内側に張り出させた複雑な形状をしている。したがって、リム部12の下側面には上記釉薬を塗布しにくいので、雑菌や汚れが付着し易く、臭気発生源となっており、さらに、リム部12の下側面は、使用者からは死角となる窪みとなるため、清掃が困難で衛生性を損なっている。
また、リム部12の下側面には、上述したように多数の吐水孔13等を形成しなければならないので、製造工程が煩雑となり、製造コスト高の要因となっている。
【0008】
そこで、例えば特開平8−140896号公報に記載の図11に示すような洋式の水洗便器が提案されている。
この水洗便器3は、便器本体20のボウル部21を洗浄する機能を有する便座30が、便器本体20の上部に配置された構成となっている。便器本体20のボウル部21の上部開口の周縁には、図9や図10の便器本体1、2に設けられていたようなリム部12が設けられておらず、ボウル部21の上部開口縁部は、内壁22と外壁23の間の比較的薄い板状の構造物にすぎない。
【0009】
便座30は、便座本体31、便座基部33、局部洗浄ノズル34から大略構成されている。便座本体31は、ボウル部21の上部開口縁部と略同形の環状に形成されており、便座本体31の下面部がボウル部21の上部開口縁部に載置される。便座本体31の上縁部は使用者の着座する着座部となっている。そして、便座本体31の背部が便座基部33に設けられている軸着部に回動自在に軸着されており、便座本体31は、この軸着部分で回動することにより起倒自在となっている。さらに、便座本体31の内部には便座基部33内の給水路に連通する中空部(図示されず)が形成されており、便座本体31の下部には中空部に連通する多数の吐水孔32が穿設されている。局部洗浄ノズル34は、人体の局部を洗浄水により洗浄する機能を有し、便座基部33内の給水路に連通され、ボウル部21内に出入可能に配設されている。
【0010】
このような構成の便器本体20の洗浄流路を説明すると、給水源から供給された洗浄水は、便座基部33内の給水路を通って便座本体31の中空部へと流れた後、吐水孔32からボウル部21の汚物受け面に吐出されて汚物受け面を洗浄する。そして、汚物受け面を洗浄した洗浄水は、排水路を通って排水口から排出される。
以上のように、洗浄水は、便座本体31に設けられている吐水孔32から吐出されるので、図9や図10の便器本体1、2に設けられていたリム部12を設ける必要がなくなる。従って、ボウル部21の上部開口縁部は単純な形状となるので上記釉薬を塗布し易くなり、雑菌や汚れの付着を防止することができると共に、清掃が容易となり、衛生性を確保することができる。さらに、製造工程が簡易となり、製造コストを低減させることができる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図11に示す従来の水洗便器3の構造では、洗浄水を便座本体31の吐水孔32からボウル部21内へ吐出した後に、その洗浄水の一部が吐水孔32の近傍に残留している場合がある。そのような状態で便座本体31を回動させて起こすと、残留していた洗浄水が吐水孔32から便座本体31の下面や便器本体20の外壁23に垂れて付着するので、衛生面で好ましくなく、また余計な清掃の手間が増えるという欠点がある。
【0012】
本発明は、洋式水洗便器のボウル部を洗浄する機能を備えた便座を有する便器であって、洗浄水の液垂れによる汚染を防止することができるボウル洗浄機能付便座を有する便器を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明に関連するボウル洗浄機能付便座は、 洋式便器における回動起倒式の便座であって、 回動中心の近辺に、便器本体のボウル部を洗浄するスプレッダーを設けたことを特徴とする。
また、上記課題を解決するため、本発明に関連するボウル洗浄機能付便座を有する便器は、 回動起倒式の便座を有する洋式便器であって、 回動中心の近辺に便器本体のボウル部を洗浄するスプレッダーを設けたことを特徴とする。
本発明のボウル洗浄機能付便座を有する便器は、便器本体、及び、該本体の上部に載置される回動起倒式の便座を有する洋式便器であって、前記便器本体のボウル部の上部開口縁部には、ボウル部を洗浄するための通水路及び吐水孔が設けられておらず、前記便器本体のボウル部の底部には、ゼット吐水孔、並びに、排水口及びそれに連通する排水路が形成されており、前記便座の回動中心の近辺に前記便器本体のボウル部を洗浄するスプレッダーが設けられており、該スプレッダーには、給水源からの洗浄水を前記ボウル部の上部開口の内周曲面に沿うように水平に吐出するための水平吐出孔、及び、洗浄水を前記ボウル部の下部の内周曲面に沿うように下方に吐出するための下方吐出孔が設けられており、さらに、前記給水源と前記ゼット吐水孔とを連通する給水管が設けられており、ボウル洗浄レバーあるいはボタンを操作すると、前記スプレッダーの水平吐出孔から吐出される洗浄水は、前記ボウル部の上部開口の内周両側から旋回して流れ、前記下方吐出孔から吐出される洗浄水は、前記ボウル部の下部の内周曲面に沿って落下しながら流れ、前記ゼット吐水孔に供給された洗浄水は、前記ボウル部の底部から排水路に向けて直線状に流れ、前記水平吐出孔及び前記下方吐出孔から吐出された洗浄水は、汚物等と一緒にゼット吐水孔から吐出された洗浄水により排水路を通って排水口から排出されることを特徴とする。
【0014】
ボウル部を洗浄するスプレッダーを便座の回動中心の近辺に配置しているので、スプレッダーの使用後に便座本体を起立させたとき、スプレッダーから洗浄水がたとえ垂れてもボウル部内に確実に収容され、ボウル部外への洗浄水の液垂れによる汚染を防止することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】

本発明の実施形態のボウル洗浄機能付便座を有する便器は、 便器本体のボウル部の上部に載置される便座本体と、 便器本体の奥部に載置され、便座本体を回動可能に保持する保持部を有する便座基部と、 を備える便座を有する洋式便器であって、 便座基部にボウル洗浄スプレッダーが設けられていることを特徴とする。
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の1実施例に係る洋式のボウル洗浄機能付便座を有する便器を示す斜視図、図2(A)及び(B)は、その構造を示す側面断面図及び平面図である。
この実施例の水洗便器100は、ボウル部111及び給・排水部116を備えた便器本体110の上部に、便座本体121、便座基部122、ボウル洗浄スプレッダー123及び局部洗浄ノズル124等を備えた着脱可能な便座120が配置された構成となっている。
【0017】
ボウル部111の上部開口の周縁には、図9や図10の便器本体1、2に設けられていたリム部12が設けられておらず、ボウル部111の上部開口縁部は、内壁112と外壁113との間に比較的薄い板状の構造物にすぎない。ボウル部111の内部には、溜水部Wの水面下に位置する溜水面114aと、この溜水面114aと連続して形成され、水面上に位置する乾燥面114bとで構成される汚物受け面114が形成されている。そして、ボウル部111の底部には、ゼット吐水孔115が形成されている。給・排水部116には、図示しない給水源とゼット吐水孔115を連通する給水管117が配管され、また排水口118に連通する排水路119が形成されている。
【0018】
便座本体121は、ボウル部111の上部開口縁部と略同形の環状に形成されており、便座本体121の下面がボウル部111の上部開口縁部に載置される。便座本体121の上縁部は、使用者の着座する着座部である。そして、便座本体121の背部が便座基部122に設けられている保持部に回動自在に保持されており、便座本体121は、この保持部で回動することにより起倒自在となっている。便座基部122には、人体の局部を洗浄する局部洗浄装置や、給水源とボウル洗浄スプレッダー123及び局部洗浄装置の局部洗浄ノズル124と連通する給水路等が内蔵されている。ボウル洗浄スプレッダー123は、ボウル部111を洗浄水により洗浄する機能を有し、便座基部122内の給水路に連通している。スプレッダー123は、便座本体121の回動中心の下方の便座基部122の両側2か所に、ボウル部111内に突き出るように配設されている。局部洗浄ノズル124は、人体の局部を洗浄水により洗浄する機能を有し、便座基部122内の給水路に連通されている。ノズル124は、2か所のボウル洗浄スプレッダー123の間において、ボウル部111内に出入可能に配設されている。
【0019】
このような構成により、ボウル部111の上部開口縁部は、従来のような死角となるような窪みにはならず、単純な形状となる。したがって、ボウル部111の各部に、釉薬を塗布し易く、雑菌や汚れの付着を防止することができ、さらに、清掃が容易で衛生性を確保することができる。また、ボウル洗浄スプレッダー123を設けているので、従来のような多数の吐水孔13等を形成する必要がなく、製造工程が簡易となり、製造コストを低減させることができる。
【0020】
ここで、ボウル洗浄スプレッダー123の詳細構造を図3を参照して説明する。このボウル洗浄スプレッダー123は、一端部が略90度に折れ曲がった略直方体に形成されている。スプレッダー123のボウル開口に向いた面には、洗浄水をボウル部111の上部開口の内周曲面に沿うように水平に吐出するための水平吐出孔123aが設けられている。また、ボウルの底部に向いた面には、洗浄水をボウル部111の下部の内周曲面に沿うように下方に吐出するための下方吐出孔123bが設けられている。下方吐出孔123bは下端面に横長に延びるように設けられている。さらにスプレッダー123の便座基部122に接合される面の略中央には、便座基部122内の給水路に連通する給水孔123cが設けられている。
【0021】
そして、ボウル洗浄スプレッダー123の内部には、水平吐出孔123a及び下方吐出孔123bと給水孔123cとを連通する給水路123d、123eが設けられている。この図に示すボウル洗浄スプレッダー123はボウル部111の前面から見て左側に配置されるものであり、右側に配置されるボウル洗浄スプレッダー123は水平吐出孔123aが図3とは反対側の一端側に設けられる。このように、水平吐出孔123aが上記側面の一端側に設けられる。給水孔123cは上記端面の略中央に設けられているので、洗浄水は給水孔123cから給水路123dを通る際に水平方向に所定の角度が付けられて、水平吐出孔123aからボウル部111の上部開口の内周面に吐出される。従って、洗浄水は、図2の矢印bに示すように、ボウル部111の上部開口の内周曲面に沿って流れることになる。
【0022】
図4は、本実施例の水洗便器100の水路の系統例を示す図である。同図(A)に示す例では、給水源130から供給される洗浄水を分岐栓140を介して、水洗便器100の近傍、例えば便座基部122の上部後方に配置されているロータンク150に一旦貯水する。このロータンク150に貯留されている洗浄水を、ゼット吐水孔115、ボウル洗浄スプレッダー123及び局部洗浄ノズル124へそれぞれ振り分けて供給する。
このような構成によれば、例えばロータンク150に洗浄水を加熱する手段を設けておけば、ロータンク150に一旦貯水した洗浄水を温めて温水として供給することができる。そのため、ボウル111の洗浄作用をさらに高めることができると共に、人体の局部を洗浄する際の快適性を高めることができる。
【0023】
また、同図(B)に示す例では、給水源130から供給される洗浄水を分岐栓140を介して、ロータンク150、ボウル洗浄スプレッダー123及び局部洗浄ノズル124へそれぞれ振り分けて供給する。そして、ロータンク150に貯留されている洗浄水をゼット吐水孔115へ供給する。
このような構成によれば、例えば分岐栓140の切り替えを使用者が操作可能に構成することができるので、ゼット吐水孔115、ボウル洗浄スプレッダー123及び局部洗浄ノズル124への洗浄水の供給をそれぞれ単独で行うことができ、節水効果を高めることができる。
【0024】
以上のような構成の水洗便器100の洗浄作用について以下に説明する。
給水源130から供給される洗浄水は、分岐栓140を介してロータンク150に一旦貯水されている。使用者が使用後に例えば便座基部122に備えられているボウル洗浄レバーあるいはボウル洗浄押しボタン等を操作すると、ロータンク150に貯留されている洗浄水は、便座基部122内の給水路を通ってボウル洗浄スプレッダー123へ流れる。それとともに、ロータンク150内の水は、便座基部122内の給水路から給水管117を通ってゼット吐水孔115へ流れる。ボウル洗浄スプレッダー123に供給された洗浄水は、給水孔123cから各給水路123d、123eに振り分けられた後、水平吐出孔123aからほぼ水平に吐出される。水平に吐出された水は、図2の矢印bに示すように、ボウル部111の上部開口の内周曲面に沿って両側から旋回しながら流れて汚物受け面114を洗浄する。その後、溜水部Wに水平方向の旋回流を発生させて浮遊する汚物等を溜水部Wの略中心部へ押し込む。
【0025】
ほぼ同時に、洗浄水は、下方吐出孔123bから垂直に吐出され、図2の矢印cに示すように、ボウル部111の下部の内周曲面に沿って落下しながら流れてボウル洗浄スプレッダー123の陰となる下面を洗浄すると共に、溜水部Wに垂直方向の対流を発生させて浮遊する汚物等を溜水部Wの底部へ押し込む。一方、ゼット吐水孔115に供給された洗浄水は、ボウル部111の底部から排水路119に向けて直線状に流れる。従って、水平吐出孔123aから吐出された汚物受け面114等を洗浄した洗浄水と、下方吐出孔123bから吐出されたボウル洗浄スプレッダー123の陰となる下面を洗浄した洗浄水は、汚物等と一緒にゼット吐水孔115から吐出された洗浄水により排水路119を通って排水口118から排出される。
【0026】
以上のように、水平吐出孔123aから吐出される洗浄水は、ボウル部111の上部開口の内周両側から旋回して勢い良く流れるので、特に汚物受け面114に付着した汚物を確実に洗い流すことができる。一方、下方吐出孔123bから吐出される洗浄水は、水平吐出孔123aから吐出される洗浄水では洗浄しづらい面に付着した汚物を確実に洗い流すことができる。さらに、ゼット吐水孔115から吐出される洗浄水は、ボウル部111の底部で直線状に勢い良く流れるので、溜水部Wに溜まっている汚物を確実に流すことができる。
【0027】
図5は、本実施例の水洗便器100に使用可能な別のボウル洗浄スプレッダーの詳細構造を示す斜視図である。このボウル洗浄スプレッダー125は、一端部が略90度に折れ曲がった略直方体に形成されており、折れ曲がり部を形成する一側面125cには、洗浄水をボウル部111の上部開口の内周面に対して水平やや下側に吐出するための第1水平吐出孔125aが設けられている。一方、折れ曲がり部正面125dの下端には、水平方向に複数の第2水平吐出孔125bが設けられている。これらの第2水平吐出孔125bは、第1水平吐出孔125aに近い側から順に、洗浄水をボウル部111の上部開口の内周曲面に沿うように水平に吐出する孔、洗浄水をボウル部111の上部開口の内周曲面に沿うように水平やや下側に吐出する孔、洗浄水をボウル部111の汚物受け面114に吐出する孔、洗浄水をボウル部111の汚物受け面114よりやや下側に吐出する孔というように、吐出角度や方向を変えて形成されている。
【0028】
そして、図示していないが、図3のボウル洗浄スプレッダー123と同様に、折れ曲がり部の端面、即ち便座基部122に接合される面の略中央には便座基部122内の給水路に連通する給水孔が設けられている。また、ボウル洗浄スプレッダー125の内部には、第1水平吐出孔125a及び第2水平吐出孔125bと給水孔とを連通する給水路が設けられている。この図に示すボウル洗浄スプレッダー125はボウル部111の前面から見て左側に配置されるものであり、右側に配置されるボウル洗浄スプレッダー125は第1水平吐出孔125aが図5とは反対側の側面に設けられる。このような構成によれば、第2水平吐出孔125bにより図3のボウル洗浄スプレッダー123と同様の作用効果が得られると共に、第1水平吐出孔125aによりボウル洗浄スプレッダー125の陰となるボウル洗浄スプレッダー125横のボウル部111の上部開口の内周面も確実に洗浄することができる。
【0029】
図6は、本実施例の水洗便器100に使用可能なさらに別のボウル洗浄スプレッダーの詳細構造を示す斜視図である。このボウル洗浄スプレッダー126は、両端部が略90度に逆方向に折れ曲がった略直方体に形成されている。折れ曲がり部の下端面には、3つの水平吐出孔126a、126b及び126cが設けられている。水平吐出孔126aは、洗浄水をボウル部111の上部開口の内周曲面に沿うように水平に吐出する。水平吐出126bは、洗浄水をボウル部111の汚物受け面114に吐出する。水平吐出孔126c、洗浄水をボウル部111の汚物受け面114よりやや下側に吐出する。すなわち、各吐出孔は、吐出角度や方向を変えて水平方向に複数形成されている。
【0030】
そして、図示していないが、図3のボウル洗浄スプレッダー123と同様に、他方の折れ曲がり部の端面、即ち便座基部122に接合される面の略中央には便座基部122内の給水路に連通する給水孔が設けられている。また、ボウル洗浄スプレッダー126の内部には、各水平吐出孔126a〜126cと給水孔とを連通する給水路が設けられている。この図に示すボウル洗浄スプレッダー126はボウル部111の前面から見て左側に配置されるものであり、右側に配置されるボウル洗浄スプレッダー126は水平吐出孔126aが図5の水平吐出孔126c側の位置に設けられる。このような構成によれば、水平吐出孔126aにより図3のボウル洗浄スプレッダー123と同様の作用効果が得られると共に、各水平吐出孔126a〜126cが一端面に集中形成されているので、コンパクトにすることができ、特に小型の水洗便器に有効である。
【0031】
図7は、本実施例の水洗便器100の便座基部122と別体に構成されるボウル洗浄スプレッダーの詳細構造を示す斜視図である。このボウル洗浄スプレッダー127は、便器本体110と便座基部122との間に配置されて取り付けられる取付け板127aに、図3に示す構成のボウル洗浄スプレッダー123と同様のスプレッダー127bが一体形成された構成となっている。即ち、スプレッダー127は、一端部が略90度に折れ曲がった略直方体に形成されている。取付け板127aの上面には便座基部122内の給水路あるいは局部洗浄装置に連通する給水孔127cが設けられている。ボウル部111の内周面に向いた面には、洗浄水をボウル部111の上部開口の内周曲面に沿うように水平に吐出するための水平吐出孔127dが設けられている。また、ボウル部111の底部に向いた下端面の略全面には、洗浄水をボウル部111の下部の内周曲面に沿うように下方に吐出するための下方吐出孔127eが設けられている。そして、取付け板127aからスプレッダー127bにかけての内部には、給水孔127cと水平吐出孔127d及び垂直吐出孔127eとを連通する給水路127f、127gが設けられている。また、取付け板127aには、便器本体110と便座基部122とを固定するためのボルトを通す取付け孔127hが設けられている。このような構成によれば、既設の局部洗浄装置付水洗便器に対しても対応可能となり、使用者の無駄な出費を抑えることができる。
【0032】
上述した各実施例で説明したボウル洗浄スプレッダー123、125、126、127から吐出される洗浄水は、ボウル部111を洗浄することに使用されるが、その洗浄水を温水として吐出することにより、便座本体121を温めることにも使用することができる。即ち、ボウル洗浄スプレッダー123、125、126、127から吐出される洗浄水は、便座本体121近傍のボウル部111の上部開口の内周に沿って流れるので、そのときの輻射熱等を利用して便座本体121を温めるようにする。但し、通常は使用者が使用後にボウル洗浄スプレッダー123、125、126、127から洗浄水を吐出させるため、そのときに便座本体121を温めてもその使用者には恩恵が無く、また使用中に使用者がボウル洗浄スプレッダー123、125、126、127から洗浄水を吐出させるのも煩わしい。
【0033】
そこで、便座本体121に使用者の着座状態を検知する静電容量式や赤外線式等で構成される着座検出センサを設けると共に、ボウル洗浄スプレッダー123、125、126、127に着座検出センサからの検知信号が入力されたときに給水を一定時間オンする電磁バルブ等のスプレッダースイッチを設けておく。これにより、使用者は特に意識することなく、使用直前に自動的にボウル洗浄スプレッダー123、125、126、127から洗浄水が吐出されて便座本体121を温めることができると共に、この使用直前の吐出によりボウル部111の内壁に水の膜ができるので、汚物等の付着を防止する効果も生じる。さらに、上記センサ等を設けたことにより、使用後にも自動的にボウル洗浄スプレッダー123、125、126、127から洗浄水を吐出させるようにして、使用者の手間をさらに軽減させることもできる。
【0034】
図8は着座検出センサとスプレッダースイッチの動作例を示すタイムチャートであり、時点t1で使用者が便座本体121に着座したと同時に、着座検出センサがオンになると共にスプレッダースイッチもオンとなる。そして、時点t2までボウル洗浄スプレッダー123、125、126、127から洗浄水が吐出され、便座本体121が温められる。次に、時点t3で使用者が便座本体121から離れると同時に、着座検出センサがオフになると共にスプレッダースイッチがオンとなり、時点t4までボウル洗浄スプレッダー123、125、126、127から洗浄水が吐出され、ボウル部111が洗浄される。このとき、ゼット吐水孔115からも自動的に洗浄水が吐出されるように構成しても良い。尚、使用者の着座状態を検知する着座検出センサの代わりに、使用者がトイレ内に入ったことを検知するセンサを設けても良い。また、便座本体121内に循環水路を設けておき、洗浄水をボウル洗浄スプレッダー123、125、126、127から吐出させる前に上記循環水路内に一旦通すように構成することにより、便座本体121をさらに効率良く温めることができる。

【0035】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、ボウル部の上部開口縁部は、従来のような死角となるような窪みにはならず、単純な形状となるので、釉薬を塗布し易く、雑菌や汚れの付着を防止することができ、さらに、清掃が容易で衛生性を確保することができる。また、従来のような多数の吐水孔等を形成する必要がないので、製造工程が簡易となり、製造コストを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施例に係る洋式のボウル洗浄機能付便座を有する便器を示す斜視図である。
【図2】図1のボウル洗浄機能付便座を有する便器の構造を示す側面断面図及び平面図である。
【図3】図1のボウル洗浄機能付便座を有する便器のボウル洗浄スプレッダーの詳細構造を示す3面図である。
【図4】本実施例の水洗便器の水路例を示す図である。
【図5】本実施例の水洗便器に使用可能な別のボウル洗浄スプレッダーの詳細構造を示す斜視図である。
【図6】本実施例の水洗便器に使用可能なさらに別のボウル洗浄スプレッダーの詳細構造を示す斜視図である。
【図7】本実施例の水洗便器の便座基部と別体に構成されるボウル洗浄スプレッダーの詳細構造を示す斜視図である。
【図8】本実施例の水洗便器の着座検出センサとスプレッダースイッチの動作例を示すタイムチャートである。
【図9】従来の洋式の水洗便器の便器本体の一例を示す側面断面図及びその平面図である。
【図10】従来の洋式の水洗便器の便器本体の別の一例を示す側面断面図及びその平面図である。
【図11】従来の洋式の水洗便器の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
100 水洗便器 110 便器本体
111 ボウル部 112 内壁
113 外壁 114a 溜水面
114b 乾燥面 114 汚物受け面
115 ゼット吐水孔 116 給・排水部
117 給水管 118 排水口
119 排水路 120 便座
121 便座本体 122 便座基部
123、125、126、127 ボウル洗浄スプレッダー
124 局部洗浄ノズル 123a 水平吐出孔
123b 垂直吐出孔 123c 給水孔
123d,123e 給水路 130 給水源
140 分岐栓 150 ロータンク

Claims (2)

  1. 便器本体、及び、該本体の上部に載置される回動起倒式の便座を有する洋式便器であって、
    前記便器本体のボウル部の上部開口縁部には、ボウル部を洗浄するための通水路及び吐水孔が設けられておらず、
    前記便器本体のボウル部の底部には、ゼット吐水孔、並びに、排水口及びそれに連通する排水路が形成されており、
    前記便座の回動中心の近辺に前記便器本体のボウル部を洗浄するスプレッダーが設けられており、
    該スプレッダーには、給水源からの洗浄水を前記ボウル部の上部開口の内周曲面に沿うように水平に吐出するための水平吐出孔、及び、洗浄水を前記ボウル部の下部の内周曲面に沿うように下方に吐出するための下方吐出孔が設けられており、
    さらに、前記給水源と前記ゼット吐水孔とを連通する給水管が設けられており、
    ボウル洗浄レバーあるいはボタンを操作すると、
    前記スプレッダーの水平吐出孔から吐出される洗浄水は、前記ボウル部の上部開口の内周両側から旋回して流れ、
    前記下方吐出孔から吐出される洗浄水は、前記ボウル部の下部の内周曲面に沿って落下しながら流れ、
    前記ゼット吐水孔に供給された洗浄水は、前記ボウル部の底部から排水路に向けて直線状に流れ、
    前記水平吐出孔及び前記下方吐出孔から吐出された洗浄水は、汚物等と一緒にゼット吐水孔から吐出された洗浄水により排水路を通って排水口から排出されることを特徴とするボウル洗浄機能付便座を有する便器。
  2. さらに、前記便器本体の奥部に載置され、前記便座本体を回動可能に保持する保持部を有する便座基部を有し、
    該便座基部に前記ボウル洗浄スプレッダーが設けられていることを特徴とする請求項1に記載のボウル洗浄機能付便座を有する便器。
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