JP3648778B2 - 画像処理装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、ディスプレイやプリンタ等の画像出力装置に対して、フルカラー元画像の色情報を限定色化して出力する際に用いられるパレットに関し、詳しくはイメージスキャナ等で読み込んだカラー元画像(以下、元画像ともいう)の画素データに基づいてパレットを作成する画像処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ディスプレイやプリンタ等の画像出力装置においては、フルカラー表示が一般的となりつつある。フルカラー表示を行う場合、一画素を24ビットで表現すると、同時に約1670万色の表示が可能となるが、データ量は膨大なものとなる。そこで、一画素を8ビットで表現することにより、同時に使用できる色数を256色とし、この256色の色情報をパレットに登録して画像出力を行うことが多い。ただし、パレットには約1670万色から256色を選択して登録することになるので、画質などを考慮したうえで色を選択する必要がある。従来は、カラー元画像から元画像内の出現色とその頻度を調べ、頻度の高い出現色から順にパレットに登録する方法が一般的に用いられている。
【0003】
しかし、この方法では頻度の少ない色は登録されないことになるため、例えば大領域内に近似色の小領域が一点だけ存在するような場合には、小領域の色はパレットに登録されず、大領域と同じ色で表示されてしまうことがあり、出力結果の識別性が悪くなるという問題点があった。
【0004】
これを解決する手段として、特開平5−110882号公報には、カラー原稿の所定色を指定し、指定の所定色に対応する画像処理(輪郭強調、網掛けなど)を決めて実行するようにした画像処理装置が提案されている。この画像処理装置によれば、カラー原稿をモノクロ化する時に、色に応じた出力画像の変形が行われるため、出力結果として識別性の高いモノクロ画像を得ることができる。
【0005】
また、特開平5−35244号公報には、パレット256色のうち、196色は頻度上位の色を採用し、残る64色は色空間の64均等分割色空間の平均色を選ぶようにして、パレットの登録色を決めるようにした画像処理装置が提案されている。この画像処理装置によれば、頻度の少ない別系統の色も64均等分割色空間の平均色により補うことで再現できるので、原画像に近い色合いの出力結果が得られる。
【0006】
さらに、特開平4−257984号公報には、全色空間を幾つかの均等分割色空間に分け、各均等分割色空間に出現する色の頻度系を出し、その頻度系比率によりパレットに割り当てる分割色空間の色数を決め、各分割色空間内の色の頻度の上位のものから順に、割り当てられたパレット登録数分の色を割り当て、パレットを作成するようにした画像出力装置が提案されている。この画像出力装置によれば、微妙に変化する近似色や、走査時のノイズ等によるバラツキが発生した色が存在しても、原画像に対し近い色合いの出力結果が得られる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平5−110882号の画像処理装置は、カラー原稿をモノクロ化する際の技術である。色に応じて画像の変形を行うようにしているため、出力結果の識別性は高いものの、原画との違和感を生じるという欠点がある。また、色数の多いカラー原稿に対して適さない。
【0008】
特開平5−35244号の画像処理装置や、特開平4−257984号の画像出力装置では、隣接している近似色が同じ色に割り当てられる可能性があるため、オフィスドキュメントのように色合いよりも識別性が重視されるものでは、出力結果が見づらいものとなり、適さない。
【0009】
この発明は、近似色の隣接する画素が同色で出力される不具合をなくし、識別性の高いカラー出力画像を得ることができる画像処理装置を提供することを目的とする。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記課題を解決するため、この発明に係る画像形成装置は、カラー元画像の画素データから、出現色とその頻度を計数し、出現色ヒストグラムを作成する出現色ヒストグラム作成手段と、前記画素データから、対象画素と隣接する画素が該対象画素と近似するが同一ではない近似色である画素の色とその頻度を計数し、隣接近似色ヒストグラムを作成する隣接近似色ヒストグラム作成手段と、前記隣接近似色ヒストグラム作成手段で作成された隣接近似色ヒストグラムを元にして、当該隣接近似色ヒストグラムからパレットへ登録する優先登録色数nを決定する優先登録色数決定手段と、前記優先登録色数決定手段で決定された優先登録色数nに従って、前記隣接近似色ヒストグラムの頻度の上位にある色から順にパレットに登録するとともに、パレット登録可能色数から前記優先登録色数nを除いたパレットの未登録部分に、登録済みの色と重複しないように、前記出現色ヒストグラムの頻度の上位にある色から順に登録するパレット登録手段と、を具備することを特徴とする。
【0011】
【作用】
上述した画像処理装置によると、隣接近似色ヒストグラム作成手段では、入力された画素データの各画素について隣接する8画素の色を調べ、少なくともその一つが近似色であるときは、対象画素の色とその頻度を計数して隣接近似色ヒストグラムを作成する。優先登録色数決定手段では、優先登録色数決定手段で決められた優先登録色数nに従って、前記隣接近似色ヒストグラムの頻度上位にある色から順にパレットに登録するとともに、優先登録色数nを除く残りのパレットの未登録部分に、既に登録済みの色と重複しないように、出現色ヒストグラムの頻度上位にある色から順に登録してパレットを作成する。
【0012】
これによれば、パレットには頻度の高い出現色とともに、近似色として認められた画素の色が優先して登録されることになるため、パレット内には頻度が少なくても識別性を得るのに必要な画素の色が入ることになる。したがって、例えば大領域内に近似色の小領域が一点だけ存在するような場合でも、小領域の色が大領域と同じ色で表示されてしまう不具合がなくなり、特にオフィスドキュメントのように色合いよりも識別性が重視されるものでは、識別性の高いカラー出力画像を提供することができる。
【0013】
【実施例】
以下、この発明に係わる画像処理装置の一実施例を図面を参照しながら説明する。
【0014】
図1のブロック図は、本実施例における画像処理装置の機能的な構成を示している。この画像処理装置10は、出現色ヒストグラム作成手段11と、隣接近似色ヒストグラム作成手段12と、パレット登録色数決定手段13と、パレット登録手段14とから構成されている。
【0015】
出現色ヒストグラム作成手段11は、図示せぬイメージ入力手段を具え、このイメージ入力手段でカラー元画像を走査して全画素の画素データを入力するとともに、当該画素データから出現色とその頻度を登録またはカウントアップして、出現色ヒストグラムを作成する。
【0016】
隣接近似色ヒストグラム作成手段12は、前記出現色ヒストグラム作成手段11による画素データの入力と並行して、各画素を対象画素として、当該対象画素と隣接する8画素の色を順に調べ、前記対象画素の色と近い色が一つでもあれば、当該対象画素の色と頻度を隣接近似色ヒストグラムに登録またはカウントアップして、隣接近似色ヒストグラムを作成する。
【0017】
優先登録色数決定手段13は、前記隣接近似色ヒストグラム作成手段12で作成された隣接近似色ヒストグラムを元にして、隣接近似色ヒストグラムからパレットへ優先的に登録する優先登録色数nを決定する。
【0018】
優先登録色数nを決定する方法としては、各色の頻度格差などを考慮しながら隣接近似色ヒストグラムからパレットへ順に登録を行い、その登録数がパレット登録可能数の半分になったときの色数を優先登録色数nとする方法や、隣接近似色ヒストグラムにある色の種類RNと、出現色ヒストグラムにある色の種類SNの比率Kを求めるとともに、パレット登録可能色数L×比率Kから仮の色数Lnを求め、LnまたはSNのうちの小さい方を優先登録色数nとする方法などがある。
【0019】
パレット登録手段14は、前記優先登録色数決定手段13で決定された優先登録色数nに従って、前記隣接近似色ヒストグラムの頻度の上位にある色から順にパレットに登録する。そして、パレット登録可能色数から優先登録色数を除いた残りの未登録部分に、パレット登録済みの色と重複しないように、出現色ヒストグラムの頻度上位の色から順に登録してパレットを完成する。
【0020】
上述した画像処理装置10は、例えばワークステーションやパソコンなどのカラーディスプレイを具えたコンピュータシステム、またはカラープリントが可能なプリンタ装置などに適用される。
【0021】
図2は、図1に示した画像処理装置10を実現するための具体例を示したもので、例えば画像処理機能を有するワークステーションのハードウェア構成を示している。
【0022】
ディスプレイ21は、CRTからなるカラー表示装置であり、画面上に各種文書のほか、図形や表などの画像イメージを表示する。ディスプレイ21での表示は表示制御部22により制御されている。
【0023】
キーボード23は、コマンドや文字列などのデータ入力用の入力装置であり、マウス24から入力された選択指示内容は、キーボード/マウス制御部25を通じて後述のプロセッサ部30に送られる。
【0024】
ハードディスク26は、磁気ディスクなどの二次記憶装置で構成され、各種データをファイル形式で格納している。
【0025】
実メモリ27は、RAMなどのメモリ装置で構成されるバッファ記憶であり、各種プログラムのほか、キーボード23およびマウス24から入力された各種のデータや命令などを一時的に記憶する。
【0026】
画素データ記憶メモリ28は、ディスプレイ21へ表示される画素データが書き込まれるビットマップメモリであり、後述のイメージスキャナ29で読みとられたカラー元画像の画素データが蓄積される。
【0027】
イメージスキャナ29は、対象となるカラー元画像を走査して画素データに変換するイメージ入力手段である。
【0028】
プロセッサ部30は、CPUおよびその周辺回路により構成される中央処理装置であり、制御プログラムに従って上記各部の動作を制御/管理する。このプロセッサ部30は、所定の制御プログラムにより図1の出現色ヒストグラム作成手段11、隣接近似色ヒストグラム作成手段12、優先登録色数決定手段13、パレット登録手段14の機能を実現している。
【0029】
次に、上述した画像処理装置10におけるパレット作成処理の概要を図3のフローチャートを参照しながら説明する。
【0030】
まず、出現色ヒストグラム作成手段11において、カラー元画像を走査して全画素の画素データを入力し、対象画素の色の頻度を登録またはカウントアップして、出現色ヒストグラムを作成する。隣接近似色ヒストグラム作成手段12では、前記出現色ヒストグラム作成手段11による画素データの入力と並行して、対象画素と隣接する8画素の色を調べ、前記対象画素の色と近い色が一つでもあれば、当該画素の色の頻度を登録またはカウントアップして、隣接近似色ヒストグラムを作成する(ステップ101)。
【0031】
次に、優先登録色数決定手段13では、前記ステップ101で作成された隣接近似色ヒストグラムを元にして、隣接近似色ヒストグラムからパレットへ優先的に登録する優先登録色数nを決定する(ステップ102)。パレット登録手段14では、前記ステップ102で決定された優先登録色数nに従って、前記隣接近似色ヒストグラムの頻度の上位にある色から順にパレットに登録する(ステップ103)。パレット登録手段14では、前記ステップ103の処理で登録されなかったパレットの未登録部分に、パレット登録済みの色と重複しないように、出現色ヒストグラムの頻度上位の色から順に登録する(ステップ104)。
【0032】
ここで、従来方式により作成されたパレットを使ったときの出力結果と、上述したフローチャートに従って作成されたパレットを使ったときの出力結果の違いを具体例により説明する。なお説明を簡単にするため、パレットには4色が登録されるものとし、矩形枠とその中にある円が近似色とする。
【0033】
図4は、従来方式により作成されたパレットと、このパレットを使ったときの出力結果を示している。従来方式では、4種類の図形からなるカラー元画像31を走査して出現色ヒストグラム32を作成し、頻度の上位にある色から順に4色をパレット33に登録している。したがって、このパレット33を使って画像を出力すると出力結果34のようになる。従来方式では頻度の上位にある色から順にパレットに登録されるため、矩形枠35内の円36のように、大領域内に近似色の小領域が存在するような場合には、円36の色はパレットには登録されず、円36の色は矩形枠35と同色に表示されることになり、識別性が悪くなってしまう。
【0034】
一方、図5は上述したフローチャートに従って作成されたパレットと、このパレットを使ったときの出力結果を示している。この方式では、図4と同じカラー元画像41を走査して出現色ヒストグラム42と隣接近似色ヒストグラム43を作成するとともに、隣接近似色ヒストグラム43からパレット44へ優先的に登録する優先登録色数n(ここではn=2とする)を決定し、この優先登録色数nに従って出現色ヒストグラム42および隣接近似色ヒストグラム43からパレット44へ色を登録している。先に述べたように矩形枠35と円36は近似色であるが、隣接近似色ヒストグラム43からは円36の色が優先的にパレット44に登録され、未登録部分には出現色ヒストグラム42から3色が登録されている。したがって、このパレット44を使って画像を出力すると出力結果45のようになる。出力結果45では、矩形枠46とその中にある円47の色が元画像に忠実に表示されており、識別性の高い画像を得ることができる。
【0035】
なお、図5の例では三角枠48の色がパレットの登録からはずされるため、代わりに(同系色の)近似色で表示されることになるが、オフィスドキュメントのように色合いよりも識別性が重視されるものでは、実用上の影響は少ないものと考えられる。
【0036】
次に、上述したパレット作成処理の具体例を図6、図7のフローチャート、および各部の詳細フローチャート、説明図などを参照しながら、さらに詳細に説明する。
【0037】
図6は2種類のヒストグラムを作成し、優先登録色数を決定するまでの手順を示すフローチャートであり、図3のステップ101、ステップ102に相当している。
【0038】
ステップ201〜ステップ204は、出現色ヒストグラムと隣接近似色ヒストグラムを作成するときのループを示しており、このループを回しながら元画像の全画素を走査して2種類のヒストグラムを作成する。このステップ201〜ステップ204は図3のステップ101に相当している。ここでは、出現色ヒストグラム作成手段11で元画像の全画素を図8に示すような順に走査し、各対象画素の色とその頻度を登録またはカウントアップして出現色ヒストグラムを作成するとともに、これと平行して、隣接近似色ヒストグラム作成手段12により、図9に示すように、各画素を対象画素として、当該対象画素(中央の画素)に隣接する8画素「1」〜「8」の色を「1」〜「8」の順に調べ、近い色が一つでもあれば、対象画素の色の頻度を登録またはカウントアップして、隣接近似色ヒストグラムを作成する。
【0039】
まず、元画像の対象画素の色を調べ、既に出現色ヒストグラムに登録されている色であれば、その頻度を一つカウントアップし、登録されていない色であれば、その色を頻度を1として出現色ヒストグラムに登録する(ステップ201)。これと平行して、対象画素の隣接する8画素の色を調べ、近い色が一つでもあれば、対象画素の色の頻度を登録またはカウントアップして隣接近似色ヒストグラムを作成する(ステップ202)。
【0040】
ここで、上述のステップ202において、隣接近似色ヒストグラムを作成する処理の詳細な手順を図10に示すフローチャートにより説明する。このフローでは対象画素と隣接する8画素の一つ一つについて、対象画素との間の色空間距離を求め、この距離が基準値以下のときには、当該隣接する画素が近似色であると判定し、隣接近似色ヒストグラムに対象画素の色の頻度を登録またはカウントアップするようにしている。また、後述するように隣接画素と近似色であることが既に分かっている画素にフラグを付けることにより、近似色調査の効率化を図っている。
【0041】
まず、調査すべき対象画素についてフラグが立っているかどうかを判断する(ステップ301)。フラグは前回の画素調査の結果、現在の対象画素の隣接画素に近似色があることが既に分かっている場合に立てられる識別子である。例えば、図9の中央の画素を前回の対象画素とした場合に、隣接画素「1」が近似色であるときはフラグが立てられる。これによると、図11に示すように、対象画素aに対してbが近似色であれば、bに隣接するaが近似色であることは分かっているのでフラグが立てられる。このため、対象画素がbに移行したときにフラグが立っていれば、bの隣接画素を調べる必要はなく、対象画素bを隣接近似色ヒストグラムに登録またはカウントアップすることができる。これにより、対象画素が次に移った時の近似色判断を早めることができる。
【0042】
さて、ステップ301でフラグが立っているときは(ステップ301:Y)、フラグをクリアし(ステップ302)、隣接近似色ヒストグラムに対象画素の色の頻度を登録またはカウントアップして(ステップ303)、図6のフローチャートに戻る。また、ステップ301でフラグが立っていないときは(ステップ301:N)、ステップ304〜ステップ307のループを回り、8つの隣接画素を「1」〜「8」の順に調べていく。まず、対象画素と隣接画素の色空間距離rを求める(ステップ304)。色空間距離rは、2つの画素を対象画素(R0、G0、B0)
隣接画素(R 、G 、B )
とすると、r=√{(R-R0)2 +(G-G0)2 +(B-B0)2 }で求められる。
【0043】
次に、この距離rが基準値x以下であるかどうかを判断する(ステップ305)。ここで、距離rが基準値x以下であるときは(ステップ305:Y)、今回調査の対象となった隣接画素が「1」であるかどうかを判断し(ステップ307)、「1」以外であるときはフラグを立てて(ステップ308)、「1」であるときには、隣接近似色ヒストグラムに対象画素の色の頻度を登録またはカウントアップする(ステップ303)。
【0044】
また、ステップ305で距離rが基準値x以下でないときは(ステップ305:N)、隣接画素「8」であるかどうかを判断する(ステップ306)。ここで、隣接画素「8」でなければ次の隣接画素に移り(ステップ307)、ステップ304〜ステップ307のループを回る。そして、隣接画素「8」になるまでループを回った後、図6のフローチャートに戻る。
【0045】
さて、図6のフローチャートに戻ると、対象画素の終了かどうかを判断し(ステップ203)、終了していなければ次の画素を対象画素として(ステップ204)、ステップ201に戻る。そして、ステップ203で対象画素の終了となるまでループを回り、2種類のヒストグラムを作成する。
【0046】
ステップ203で対象画素の終了となったときは(ステップ203:Y)、出現色ヒストグラムに登録された色数、すなわち全出現色数SNがパレット登録可能色数L以下かどうかを判断する(ステップ205)。ここで、全出現色数SN≦パレット登録可能色数Lであるときは(ステップ205:Y)、全出現色数SNがパレットに登録可能であり、後述する隣接近似色ヒストグラムからの登録を優先してパレットを作成する必要がないので、全出現色数すべてをパレットに登録して終了する。また、全出現色数SN>パレット登録可能色数Lであるときは(ステップ205:N)、ステップ206以降の隣接近似色ヒストグラムからの登録を優先してパレットを作成するステップへ進む。
【0047】
隣接近似色ヒストグラムを優先したパレット作成を行うにあたって、優先登録色数決定手段13は、隣接近似色ヒストグラムからパレットへ優先的に登録する優先登録色数nを決定する(ステップ206)。
【0048】
ここで、優先登録色数nを決定する方法を説明する。ここでは、2つの具体例について、それぞれ処理手順を示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0049】
最初に、各色の頻度格差などを考慮し、隣接近似色ヒストグラムからパレットへの登録数がパレット登録可能数の半分になったときの色数を優先登録色数nとする方法を、その処理手順を示す図12のフローチャートを用いて説明する。
【0050】
まず、隣接近似色ヒストグラムを調べるためのインデックスGK、nGKを初期設定する。ここでは、隣接近似色ヒストグラムの最高頻度の色をGKとし、このGKの次に頻度が高い色をnGKとする(ステップ401)。そして、隣接近似色ヒストグラムからのパレット登録数nをカウントするためのインデックスiの初期設定として「i←1」とする(ステップ402)。次に、iがパレット登録可能色数Lの半分になったかどうかを判断し(ステップ403)、i=L/2であれば(ステップ403:Y)、優先登録色数n=L/2として(ステップ404)、終了する。なお、優先登録色数nを決める際の目安をL/2としているのは、隣接近似色は実際にはあまり多くは存在しないと考えられるためである。ただし、使用するアプリケーションに応じて適切な値を選択することができる。ステップ403でi=L/2でなければ(ステップ403:N)、nGKの頻度がGKの頻度の1/5以下であるかどうかを判断する(ステップ405)。これは、頻度格差が大きくなったかどうかを調べるステップであり、現在の色GKの頻度が、次に頻度の高い色nGKの頻度の5倍以上であれば、格差があると判断し、その時のiの値をnとして終了する。一方、ステップ405で頻度格差が1/5以下でなければ(ステップ405:N)、nGKの頻度が1か0であるかを判断する(ステップ406)。ここでは、頻度「1」(または0)の画素というのは意味がないため、nGKの頻度が「1」以下になったときは、その時のiの値をnとして終了する。また、ステップ406でnGKの頻度が「1」を越えるときは、iをインクリメントし(ステップ407)、GK、nGKを隣接近似色ヒストグラムの次の色にそれぞれ変更して(ステップ408)、ステップ403に戻る。
【0051】
以上の処理により、隣接近似色ヒストグラムからパレットへ優先的に登録する優先登録色数nを決定することができる。ただし、ここで用いた判断基準「L/2」、「1/5」、「1または0」は一実施例を示したものであり、実際には使用する環境に応じた適切値を選択するものであることはいうまでもない。
【0052】
次に、隣接近似色ヒストグラムと出現色ヒストグラムの色の種類の比率から優先登録色数nを決定する方法を、その処理手順を示す図13のフローチャートを用いて説明する。
【0053】
まず、隣接近似色ヒストグラムにある色の種類RNと、出現色ヒストグラムにある色の種類SNの比率Kを求める(ステップ501)。次に、パレット登録可能色数Lに、その比率Kを掛け、結果を四捨五入した整数値で、隣接近似色ヒストグラムからパレットに登録する仮の色数Lnを求める(ステップ502)。そして、LnまたはSNのうちの小さい方を優先登録色数nとする(ステップ503)。
【0054】
先に説明した図12の方法に比べると、図13の方法では元画像が隣接近似色をどのくらい持っているかが考慮されるため、対象となる元画像の特徴に応じた優先登録色数nの決定が可能となる。
【0055】
さて、図6のステップ206で、上述した方法により優先登録色数nを決定した後は、図7のフローチャートに処理を移行する。図7は先に決定した優先登録色数nに従ってパレットに色を登録するまでの手順を示すフローチャートであり、図3のステップ103、ステップ104に相当している。
【0056】
ステップ207〜ステップ210は、ステップ206で決定した優先登録色数n個分の色を、隣接近似色ヒストグラムの頻度上位にある色から順にパレットへ登録するときのループを示している。このステップ207〜ステップ210は図3のステップ103に相当している。
【0057】
まず、パレット登録手段14では、隣接近似色ヒストグラムからのパレット登録を実現するためのインデックスiの初期設定として「i←1」とする(ステップ207)。次に、隣接近似色ヒストグラムの中の頻度上位から数えてi番目の色をパレットに登録する(ステップ208)。そして、隣接近似色ヒストグラムからのパレット登録の工程が終了したかどうかを判断する(ステップ209)。ここで、i≠nであれば(ステップ209:N)、iをインクリメントして(ステップ210)、ステップ208に戻り、ステップ209でi=nとなるまでループを繰り返す。また、ステップ209でi=nであれば(ステップ209:Y)、隣接近似色ヒストグラムからのパレット登録が終了したことになるので、ステップ211以降のパレット未登録部分へ色を補充するステップへ進む。
【0058】
ステップ211〜ステップ218は、パレット未登録部分への色の補充を行うときのループを示しており、図3のステップ104に相当している。
【0059】
パレット登録手段14では、パレット用のインデックスkをn+1にセットする(ステップ211)。ここで、n+1は先にパレットに登録された優先登録色数nの次、すなわちパレットの未登録部分の先頭を示している。この値はn+1からパレット登録可能数Lまで変化する。次に、出現色ヒストグラムの頻度上位の色から順に調べるためのインデックスjをスタート値の「1」にセットする
(ステップ212)。この値は1から全出現色数SNまで変化する。さらに、優先登録色数nまで登録済みのパレットを調べるためのインデックスiをスタート値の「1」にセットする(ステップ213)。この値は1からnまで変化する。そして、調査対象となる出現色ヒストグラムのj番目の色がパレットのi番目の色と一致するかどうか判断する(ステップ214)。ここで、色が一致するときは(ステップ214:N)、パレットに同色を登録する必要はないので、jをインクリメントして(ステップ215)、ステップ213に戻り、出現色ヒストグラムの次の色を対象としたループの処理を行う。また、ステップ214で色が一致しないときは、i=nかどうか判断する(ステップ216)。これは、既に登録されているn色を全て調査したかどうかをチェックするためのステップである。ここで、i≠nのときは(ステップ216:N)、出現色ヒストグラムのj番目の色と一致するかどうかの調査対象、すなわちパレットに登録されているn色の別の色がまだ残っているため、iをインクリメントして(ステップ217)、ステップ214に戻る。また、ステップ216でi=nのときは(ステップ216:Y)、パレットに登録されているn色には出現色ヒストグラムj番目の色を一致するものがないので、ステップ218以降の出現色ヒストグラムj番目の色をパレットの未登録部分へ補充するステップへ進む。
【0060】
まず、出現色ヒストグラムj番目の色をパレットの未登録部分へ登録し(ステップ218)、k=Lかどうかを判断する(ステップ219)。これは、パレットへの色の補充が終了したかどうかをチェックするステップである。ここで、k≠Lのときは(ステップ219:N)、パレットへの色の補充が終了していないため、続いて、出現色ヒストグラムの全ての色について調査したかどうかを判断する(ステップ220)。ここで、j≠SNであるときは(ステップ220:N)、パレット用のインデックスkをインクリメントとし(ステップ221)、さらにjをインクリメントして(ステップ215)、ステップ213に戻り出現色ヒストグラムの次の色をパレットの未登録部分へ補充する作業を継続する。また、ステップ220でj=SNであるときは(ステップ220:Y)、作業を終了することになる。ただし、このケースはパレットに未登録部分があるにもかかわらず、出現色ヒストグラムの調査対象が尽きてしまったこととなり、通常はありえない。通常はステップ219でk=Lのときに(ステップ219:Y)、作業を終了する。
【0061】
図14は、上述した図7のステップ207〜ステップ220において、隣接近似色ヒストグラムからn色を優先的にパレットへ登録し、さらに登録済みのn色と重複しないように、出現色ヒストグラムからパレット未登録部分へ色を補充する処理の具体例を示したものである。まず、(a)に示すように、隣接近似色ヒストグラムからn色(この例では4色)を登録する。ここでは、隣接近似色ヒストグラムの頻度の上位にあるa、b、e、lの4色が優先的に登録される。これは、図7のステップ207〜ステップ210のループの処理で実行される。次に、パレット登録済みのn色と重複しないように、出現色ヒストグラムの頻度の上位にある色から順にパレットの未登録部分へ色を補充する。ここでは、先にa、b、e、lの4色(斜線で示す色)がパレットに登録済みであるため、これらの色の登録は行われず、c、d、f…などの色が登録される。これは、図7のステップ211以降の処理で実行される。
【0062】
このように、パレットには頻度の高い出現色(a、b、eなど)に加えて、近似色として認められた画素の色(l)も登録されることになるため、大領域内に近似色の小領域が一点だけ存在するような場合でも、小領域の色は元画像に忠実に再現される。したがって、オフィスドキュメントのように色合いよりも識別性が重視されるものでは、識別性の高い出力結果を得ることができる。
【0063】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明に係わる画像処理装置においては、隣接近似色ヒストグラムの上位にある色からn色を優先的にパレットに登録するとともに、残りのパレット未登録部分に、登録済みの色と重複しないように、出現色ヒストグラムの上位にある色から順にパレットに登録するようにしたため、パレットには頻度の高い通常の出現色だけでなく、頻度の高い近似色も登録されることになる。
【0064】
これによれば、例えば大領域内に近似色の小領域が存在するような場合でも、小領域の色が大領域と同じ色で表示されてしまう不具合がなくなり、オフィスドキュメントのように色合いよりも識別性が重視されるものでは、利用者に識別性の高いカラー出力画像を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例における画像処理装置の機能的な構成を示すブロック図。
【図2】画像処理装置を実現するための具体例を示すブロック図。
【図3】パレット作成処理の概要を示すフローチャート。
【図4】従来方式によるパレットを使ったときの出力結果を示す説明図。
【図5】実施例のフローチャートに従って作成されたパレットを使ったときの出力結果を示す説明図。
【図6】パレット作成処理の具体例を示す詳細なフローチャート。
【図7】パレット作成処理の具体例を示す詳細なフローチャート。
【図8】元画像の走査順を示す説明図。
【図9】対象画素と隣接画素の関係を示す説明図。
【図10】隣接近似色ヒストグラムを作成する処理の詳細な手順を示すフローチャート。
【図11】隣接画素を調査するときのフラグの役割を示す説明図。
【図12】優先登録色数nを決定する手順を示すフローチャート。
【図13】優先登録色数nを決定する手順を示すフローチャート。
【図14】パレットへの登録手順を示す説明図。
【符号の説明】
11…出現色ヒストグラム作成手段、12…隣接近似色ヒストグラム作成手段、13…優先登録色数決定手段、14…パレット登録手段
Claims (1)
- カラー元画像の画素データから、出現色とその頻度を計数し、出現色ヒストグラムを作成する出現色ヒストグラム作成手段と、
前記画素データから、対象画素と隣接する画素が該対象画素と近似するが同一ではない近似色である画素の色とその頻度を計数し、隣接近似色ヒストグラムを作成する隣接近似色ヒストグラム作成手段と、
前記隣接近似色ヒストグラム作成手段で作成された隣接近似色ヒストグラムを元にして、当該隣接近似色ヒストグラムからパレットへ登録する優先登録色数nを決定する優先登録色数決定手段と、
前記優先登録色数決定手段で決定された優先登録色数nに従って、前記隣接近似色ヒストグラムの頻度の上位にある色から順にパレットに登録するとともに、パレット登録可能色数から前記優先登録色数nを除いたパレットの未登録部分に、登録済みの色と重複しないように、前記出現色ヒストグラムの頻度の上位にある色から順に登録するパレット登録手段と、
を具備することを特徴とする画像処理装置。
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Family Applications (1)
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-
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- 1995-01-23 JP JP00836595A patent/JP3648778B2/ja not_active Expired - Fee Related
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