JP3648136B2 - 基板処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は,基板の処理方法と基板の処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体デバイスの製造工程においては,例えば,SOD(Spin on Dielectric)システムにより層間絶縁膜を形成している。このSODシステムでは,ゾル−ゲル方法,シルク方法,スピードフィルム方法,及びフォックス方法等により,半導体ウェハ上に塗布膜を形成し,化学処理又は加熱処理等を施して層間絶縁膜を形成している。
【0003】
このようなSODシステムにおいて,ゾル−ゲル方法により層間絶縁膜を形成する場合には,半導体ウェハがキャリアステーションから処理部に搬送され,処理部に設けられた塗布装置ユニットにおいて,半導体ウェハには例えばTEOS(テトラエトキシシラン)のコロイドを有機溶媒に分散させた塗布液が塗布される。その後,半導体ウェハはエージングユニットに搬送されてゲル化処理され,次いで,ソルベントイクスチェンジユニットに搬送されて溶媒の置換が行われる。その後,ホットプレートユニットにより適宜加熱処理される。このようにして,層間絶縁膜が完成した半導体ウェハはキャリアステーションに戻される。
【0004】
このSODシステムのうち,ホットプレートユニットでは,半導体ウェハが処理室内に搬送され昇降ピンに支持された後,蓋体が駆動機構によって下降し,この蓋体の下端部と加熱プレートの上面とが密着して一定容積の処理室が形成される。その後加熱処理前に,半導体ウェハの酸化を防ぐため,不活性ガスである窒素ガスが供給され,処理室内は低酸素濃度の雰囲気に置換される。さらに,処理中も一定の低酸素濃度の雰囲気内で加熱処理が行われるように,処理室には窒素ガスが絶えず導入されると共に,蓋体に設けられた排気管を介して排気されていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上述の従来技術では,供給する不活性ガスが,絶えず多量に必要となり経済的に好ましくなかった。また,複数の処理室で同時に処理が行われることがあるので,一つの処理装置に必要な不活性ガスが多くなると,それらを含むシステム全体では極めて多量に必要となり,一度に供給しきれない場合がでてくる。そこで処理室の容積を小さくすべく,蓋体を浅く設計することも考えられるが,半導体ウェハは,処理装置内が不活性ガスに置換される前に加熱され,酸化されないように加熱プレートから離しておく必要があるため,蓋体を浅くするにも限度があった。
【0006】
本発明の目的は,半導体ウェハの温度を上げずに処理室内の雰囲気を不活性ガスに置換し,低酸素濃度を維持しつつ,不活性ガスの供給量を軽減することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
参考例となる基板処理方法として,基板を載置する載置台と,前記載置台と共に処理室を形成する蓋体と,前記処理室内にガスを供給するガス供給手段と,前記処理室内の雰囲気を排気するための排気手段とを有する基板処理装置を用いて載置台上の基板に対して処理を施す方法であって,前記蓋体を載置台に対して下降させて,前記処理室の容積を減少させる工程を有する基板処理方法が提案できる。
【0008】
この基板処理方法によれば,基板処理装置内の蓋体を載置台に対して下降させて,前記処理室の容積を減少させるため,処理室内に供給するガスの供給量を減らすことができる。
【0009】
また上記基板処理方法は,蓋体の代わりに載置台を蓋体に対して下降させて,前記処理室の容積を減少させる工程を有していてもよく,処理装置内に供給するガスの供給量を減らすことができる。
【0010】
本発明は,基板を載置する載置台と,前記載置台と共に処理室を形成する下面側が開口した蓋体と,前記処理室内にガスを供給するガス供給手段と,前記処理室内の雰囲気を排気するための排気手段とを有する基板載置装置であって,前記蓋体と前記載置台とを相対的に上下動させる駆動機構を有し,さらに平面からみて前記載置台は前記蓋体の下端部よりも大きい形態を有し,前記載置台には,前記蓋体の下端部が挿入される溝が形成され,前記ガス供給手段は,前記処理室の周囲に配置され,供給する前記ガスを一旦蓄積して処理室の周囲に行き渡らせるためのバッファを有することを特徴とする基板処理装置を提供する。
【0011】
この発明によれば,前記蓋体が前記駆動機構によって前記載置台に対し下降するか,もしくは,前記載置台が前記蓋体に対して上昇するかして,前記蓋体の下端部が,前記載置台の前記溝に挿入される。その結果,前記蓋体と前記載置台とで形成される処理室の容積が小さくなり,一定の低酸素濃度を保つために必要なガスの供給量が少なくてすむ。また処理室の容積が小さくなるので,処理室内のガス濃度分布を一定に保つことが容易であり,ガス濃度分布が安定するため,基板を均一に処理することができる。
【0012】
別の観点による本発明は,基板を載置する載置台と,前記載置台と共に処理室を形成する下面側が開口した蓋体と,前記処理室内にガスを供給するガス供給手段と,前記処理室内の雰囲気を排気するための排気手段とを有する基板処理装置であって,前記蓋体と前記載置台とを相対的に上下動させる駆動機構を有し,さらに前記蓋体の内周は載置台に外周よりも大きい形態を有し,前記ガス供給手段は,前記処理室の周囲に配置され,供給する前記ガスを一旦蓄積して処理室の周囲に行き渡らせるためのバッファを有することを特徴とする基板処理装置を提供する。
【0013】
本発明によれば,前記蓋体が前記載置台に対して下降するか,前記載置台が前記蓋体に対して上昇するかして,前記蓋体の下端部が前記載置台を包囲するため,前記蓋体と前記載置台で形成された処理室の容積が減少し,一定の低酸素濃度を保つために必要なガスの供給量が少なくてすむ。また前記処理室が狭くなるので,処理室内のガス濃度分布が一定に保たれ,その結果,基板を均一に処理することができる。
【0014】
上記発明においては,前記載置台上面から出没自在で前記基板を支持可能な昇降支持部材を有していても良い。
【0015】
このように,前記昇降支持部材を有することで,前記蓋体と前記載置台が処理室を形成し,例えば,前記昇降支持部材上に基板を支持した状態で前記処理室内の雰囲気を所定のガスによって置換することができ,該置換後に前記昇降支持部材を下降させて前記基板を前記載置台上に載置するというプロセスを実行することができる。
【0016】
本発明は,蓋体と載置台との間を気密にするシール部材を有することを特徴とする基板載置装置を提供する。
【0017】
この発明によれば,蓋体と載置台との間を気密にするシール部材を有するため,処理室内のガスが,前記処理室に設けられているガスの排気手段以外から流出することを防止できる。そのため,その分ガスの供給量を減らすことができると共に,処理室内のガス濃度を一定に保つことが容易である。さらにガスの流れが乱れないため,ガス濃度分布に斑ができないので,基板を均一に処理することができる。
【0018】
本発明は,蓋体と載置台との接近を規制するストッパー部材を有し,前記シール部材は,当該ストッパー部材に設けられていることを特徴とする基板処理装置を提供する。
【0019】
この発明によれば,蓋体と載置台が接近したときに,前記ストッパー部材によって接近を規制するため,前記蓋体が基板に接触すること又は前記蓋体が前記載置台に接触することを防止できる。また前記シール部材が当該ストッパーに設けられているので,接近の規制と共に気密性を保つことができる。
【0020】
参考例の基板処理方法として,基板を載置する載置台と,前記載置台と共に処理室を形成する蓋体と,前記処理室内にガスを供給するガス供給手段と,前記処理室内の雰囲気を排気するための排気手段とを有する基板処理装置を用いて載置台上の基板に対して処理を施す基板処理方法において,前記載置台と前記蓋体との間で処理室を形成する工程と,前記形成された処理室の容積を減少させる工程とを有する基板処理方法が提案される。
【0021】
このように,蓋体と載置台とで形成された処理室の容積を減少させる工程を有することにより,前記処理室内の前記ガス濃度所定のものに維持するのに必要な前記ガスの量を減少させることができる。
【0022】
別の観点よる本発明によれば,基板処理装置において,基板を載置する載置台と,前記載置台と共に処理室を形成する下面側が開口した蓋体と,前記処理室内にガスを供給するガス供給手段と,前記処理室内の雰囲気を排気するための排気手段と,前記蓋体と前記載置台とを相対的に上下動させる駆動機構と,前記駆動機構により前記蓋体と前記載置台とを相対的に上下動させることで,前記基板が載置された載置台と前記蓋体との間で形成された処理室の容積を制御する手段とを有し,前記基板が載置された載置台と前記蓋体との間に隙間が形成されていることを特徴とする基板処理装置が提供される。
【0023】
このように,前記蓋体と前記載置台とが相対的に上下動し,前記蓋体と前記載置台とで形成される処理室の容積を減少させることによって,前記処理室内を一定の低酸素濃度を保つために必要な前記ガスの供給量を減少させることができる。また,処理室の容積が小さくなるので,処理室内のガス濃度分布を一定に保つことが容易であり,ガス濃度分布が安定するため,基板を均一に処理することができる。また,隙間を形成することにより,例えばこの隙間から処理室内の雰囲気を排気し,処理室の排気を好適に行うことができる。
かかる発明において,前記隙間を介して前記処理室内を排気する排気機構を更に有するようにしてよい。このように,前記隙間を介して前記処理室内を排気する排気機構を設けることにより,前記隙間から積極的に処理室内の雰囲気を排気し,処理室外の気体が処理室内に流入することが防止できる。したがって,処理室内が所定の低酸素雰囲気に維持される。
別の観点による本発明によれば,基板処理装置において,基板を載置する載置台と,前記載置台と共に処理室を形成する下面側が開口した蓋体と,前記処理室内にガスを供給するガス供給手段と,前記処理室内の雰囲気を排気するための排気手段と,前記蓋体と前記載置台とを相対的に上下動させる駆動機構と,前記駆動機構により前記蓋体と前記載置台とを相対的に上下動させることで,前記基板が載置された載置台と前記蓋体との間で形成された処理室の容積を制御する手段とを有し,前記ガス供給手段は,前記処理室の周囲に配置され,供給する前記ガスを一旦蓄積して処理室の周囲に行き渡らせるためのバッファを有することを特徴とする基板処理装置が提供される。
この発明によれば,前記バッファは前記処理室の周囲に配置されるため,処理室内に供給される前のガスを前記処理室の熱により,予め暖めておくことができる。したがって,前記ガスが処理室内に供給されたときにも,そのガスの温度によって処理室内の温度を変動させることが抑制される。また,前記ガスが処理室の周囲から供給可能となるため,処理室内部の周辺部にも前記ガスが行き渡り,処理室内のガス濃度を均一にすることができる。
【0024】
上記発明において,前記蓋体と前記載置台との間を気密にするシール部材と,前記シール部材を冷却する冷却機構とを有するようにしてもよい。このように,シール部材を設けることにより,処理室内のガスが前記処理室に設けられているガスの排気手段以外から流出することを防止できる。また,シール部材を冷却する冷却機構を設けることによって,シール部材が熱によって破損したり,シール部材としての機能を喪失したりすることが防止される。
【0027】
上述した各基板処理装置において,前記ガス供給手段により前記処理室内に供給されるガスの量を,前記処理室の容積に応じて制御する手段を更に有するようにしてもよい。このように,供給ガスの量を処理室の容積に応じて制御する手段をもうけることにより,処理室内を所定の酸素濃度以下に維持する場合に必要最小限のガスを供給し,過剰のガスを供給することが防止できる。したがって,ガスの消費量を減少させることができる。
【0028】
上述した各基板処理装置において,前記処理室内の酸素濃度をモニタするモニタリング手段と,前記モニタされた酸素濃度に応じて,前記ガス供給手段により前記処理室内に供給されるガスの量を制御する手段とを有するようにしてもよい。このように,前記モニタリング手段とそのモニタ結果に基づいて前記ガスの供給量を制御する手段とを備えることにより,処理室内の酸素濃度をモニタし,そのモニタによって測定された酸素濃度に応じてガスの供給量を変更することができる。したがって,より細かくガスの供給量を制御することができるため,必要量以上のガスの供給を防止し,従来に比べてガスの供給量を減少させることができる。
【0029】
上述した各基板処理装置において,前記処理室内が陽圧となるように,前記ガス供給手段により前記処理室内に供給されるガスの量及び前記排気手段により前記処理室内から排気される雰囲気の量を制御する手段を更に有するようにしてもよい。このように,処理室内から排気される雰囲気の量を処理室内が陽圧になるように制御する手段を備えることにより,処理室外の空気等の気体が処理室内に流入することが防止できる。したがって,処理室内を所定の低酸素雰囲気に維持することができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下,添付図面を参照して,本発明の好ましい実施の形態について説明する。
【0032】
図1は,本実施の形態にかかる基板処理装置が組み込まれたSODシステムの上段の平面図であり,図2は,そのSODシステムの下段の平面図であり,図3は,図1に示したSODシステムの側面図であり,図4は,図1に示したSODシステム内に装着された2つの処理ユニット群16,17の側面図である。
【0033】
このSODシステムは,概略的に,処理部1と,薬液部であるサイドキャビネット2と,キャリアステーション(CSB)3とを有している。
【0034】
処理部1は,図1および図3に示すように,その手前側の上段に設けられた,ソルベントイクスチェンジユニット(DSE)11と,高粘度用の塗布処理ユニット(SCT)12とを有し,さらに,図2及び図3に示すように,その手前側の下段に設けられた,ゾル−ゲル法に適用される低粘度用の塗布処理ユニット(SCT)13と,薬品等を内蔵したケミカル室14とを有している。
【0035】
処理部1の中央部には,図1および図2に示すように,複数の処理ユニットを多段に積層してなる処理ユニット群16,17が設けられている。処理ユニット群16,17の間には,昇降してウェハWを搬送するための搬送ユニット18が配置されている。図4に示すように,処理ユニット群16は,その上面から,順に低温用ホットプレート(LHP)19と,2個のDCC(Dielectric Cure and Cooling−off)処理ユニット20と,2個のエージングユニット(DAC)21とが積層されて構成されている。また,右側の処理ユニット群17は,その上側から順に,本実施の形態にかかる2個の高温用のホットプレート(OHP)22と,低温用のホットプレート(LHP)23と,2個のクーリングプレート(CPL)24と,受け渡し部(TRS)25と,クーリングプレート(CPL)26とが積層されて構成されている。なお,受け渡し部(TRS)25はクーリングプレートの機能を兼ね備えることも可能である。
【0036】
サイドキャビネット2は,処理部1に隣接して設けられており,そのサイドキャビネット2の上段には,図1に示すように各ユニットに薬液を供給するためのバブラー27と,気液混合流を気液分離して排気ガスを排出するためのミストとラップ(TRAP)28とが設けられている。またサイドキャビネット2の下段には,図2に示すように電力供給源29と,HMDSやアンモニア等の薬液を貯留するための薬液室30と,排液を排出するためのドレイン31が設けられている。
【0037】
以下,本実施の形態にかかる基板処理装置としてのホットプレート(OHP)22の構成について詳しく説明する。
【0038】
ホットプレート(OHP)22は,図5又は図6に示すように,厚みがある円盤状の載置台40と,この載置台40と共に,処理室Sを形成する下面側が開口した略筒状の蓋体41とを有している。載置台40の外形は,蓋体41の外形よりも大きく,周辺部には,蓋体41の蓋体下端部41aが挿入自在な形態の環状の溝42が形成されている。また,溝42の底面には,吸引用の孔42aが多数設けられている。吸引装置42bは吸引用の孔42aを介して蓋体41の底部を吸引する。これにより,蓋体41aが溝42の底面まで下降した場合に,処理室S内の密閉性を向上させることができる。
【0039】
載置台40内には,ウェハWを加熱するためのヒータ43が内蔵されており,電源(図示せず)からの給電によって発熱し,載置台40上のウェハWを所定温度にまで加熱するようになっている。また載置台40には,3つの貫通孔45が形成されており,この貫通孔45内を昇降ピン44が垂直方向に移動自在である。この昇降ピン44は,昇降ピン駆動装置51によって昇降され,かつ任意の位置に停止自在である。
【0040】
貫通孔45の外周であって,かつウェハWが載置される位置の外側には,吹き出し口47が同心円上に複数配置されており,供給路46から供給される窒素ガスその他の不活性ガスを処理室内に供給することが可能になっている。また,この供給路46から供給される窒素ガスの量は,ガス供給制御手段46aによって制御されている。このガス供給制御手段46aは,処理室S内の容積に応じて窒素ガスの供給量を変更し,処理室S内の雰囲気が所定の酸素濃度以下になるように制御している。またガス供給制御手段46aは,必要以上に低酸素雰囲気にならないように窒素ガスの供給量を調節可能に構成されている。
【0041】
前記蓋体41は,蓋体駆動装置50によって上下自在であり,また任意の位置に停止自在である。またこの蓋体41の側壁内周には,環状のストッパー49が設けられている。そして前記環状の溝42の内周側で,このストッパー49と対応する位置にシール部材用の溝48が形成され,シール部材としてのOリング53が設けられている。
【0042】
前記構成により,蓋体駆動装置50によって蓋体41を下降させると,前記蓋体下端部41aが溝42内に入り込んだ後も,ストッパー49が載置台40の表面に突き当たるまで下降することができ,またストッパー49がそのように載置台40の表面に突き当たった際には,ストッパー49とシール部材53とが密着するので,処理室Sは,気密状態になる。
【0043】
蓋体41の上部中央には,排気手段(図示せず)に通ずる排気口54が形成されており,処理室S内の雰囲気を排気するようになっている。本実施の形態においては,ウェハWの外周に環状に配置された吹き出し口47から供給された不活性ガスを周辺部から中央部へと径方向に沿って均一に排気することが可能になっている。
【0044】
次に主要部が以上のように構成されているホットプレート(OHP)22の作用について,SODシステムで行われる層間絶縁膜を形成するプロセスと共に説明する。
【0045】
先ず,キャリアステーション(CBS)3から取り出されたウェハWは受け渡し部(TRS)25に搬送され,そこから搬送機構18によって温度管理が行われるクーリングプレート24,26に搬送される。そして,低粘度用塗布処理ユニット(SCT)13に搬送されウェハWに塗布液が塗布される。そして,塗布液が塗布されたウェハWは,即座にエージングユニット(DAC)21に搬送され,ゲル化処理される。それから,即座に溶媒の置換を行うためのソルベントイクスチェンジユニット(DSE)11に搬送され処理される。
【0046】
その後,ウェハWは,低温用のホットプレート(LPH)19に搬送され,溶媒を蒸発させる。そして,さらに沸点の高い溶媒を蒸発させるために,高温用のホットプレート(OHP)22に搬送される。
【0047】
ここで,本発明の実施の形態にかかる基板処理装置である高温用のホットプレート(OHP)22の作用について詳しく説明する。
【0048】
先ず,前記処理工程を終了したウェハWは,搬送体18によって,ホットプレート(OHP)22に搬送される。この時,蓋体41は上方に移動しており,また昇降ピン44も上昇して所定の位置に待機している。そして搬送体18が,蓋体41と載置台40の間であって,載置台40の上方まで来たところで停止し,図8に示すように,ウェハWが,そこで予め待機していた昇降ピン44に受け渡される。この時,ウェハWが昇降ピン44の上に支持されたことをトリガとして,窒素ガスが処理室S内に供給路46を介して噴出口47から供給される。その後,図9に示すように蓋体41が蓋体駆動装置50によって下降し,蓋体41の下端部が載置台40の表面まで達し,載置台40との間に処理室Sが形成されたところで一旦停止する。ここで処理室Sの酸素濃度が所定の数値以下になるまで,継続して供給されている窒素ガスによって処理室Sの雰囲気が置換される。置換後,ガスの供給量は減少して供給される。なお供給された窒素ガスは,蓋体41に設けられている排気路54から排気されている。
【0049】
次に,図10に示すように,所定の時間一旦停止していた蓋体41は,蓋体駆動装置50によって再び下降し,蓋体41のストッパー49が,載置台40に接触したところで止まる。この際,前述したように,昇降ピン44は蓋体41と同期して下降し,昇降ピン44に支持されていたウェハWも下降し,載置台40上に載置される。その後,ウェハWは予め所定温度にまで加熱されている載置台40によって加熱処理される。
【0050】
次に,加熱が終わると,蓋体41と昇降ピン44が再び上昇し,昇降ピン44は,搬送体18にウェハWを受け渡すことのできる位置で停止する。その後,ウェハWを搬送体18に受け渡したら,そのまま待機して,次に処理に付されるウェハWの受け渡しを待っている。
【0051】
以上のように,本発明にかかる基板処理装置であるホットプレート(OHP)22は,処理時においては蓋体下端部41aが載置台40に入り込むため,処理室Sの容積を減少させることができる。その結果,処理室内の酸素濃度を所定の値以下に抑えるために供給される窒素ガスの量を従来よりも少なくすることができる。また加熱処理中,処理室容積が小さくなっているので,処理室Sの酸素濃度の分布の偏りが小さくなり,ウェハWを均一に処理できる。
【0052】
以上の加熱処理が終了した後,ウェハWは,キャリアステーション(CSB)3に戻されて,所定の一連の層間絶縁膜が形成されていく。
【0053】
また,上述の実施の形態では,蓋体41が下降し,処理室Sの容積を小さくしたが,これに代えて,載置台40に載置台40を上下動させる駆動装置を取り付けるなどして,載置台40を上昇させて処理室Sの容積を減少させても良い。この場合,蓋体41が載置台40と共に処理室Sを形成し,処理室Sの雰囲気が窒素ガスに置換された後は,蓋体41は,再び下降する必要がないので,昇降ピン44だけが下降し,ウェハWが載置台40に載置される。その後,載置台40に取り付けられた駆動装置によって上昇して,処理室容積の減少が図られる。
【0054】
次に第2の実施の形態として,蓋体の外形が載置台の外形より大きく形成されており,蓋体が下降すると,載置台を包囲するようになっているタイプのホットプレート(OHP)60について説明する。
【0055】
図11に示すように,ホットプレート(OHP)60は,蓋体62の内周は載置台61の外周よりも大きく形成されている。前記蓋体62には,第1の実施に形態の蓋体22と同様にストッパー49が環状に設けられており,前記ストッパー49の下面には,シール部材用の溝63が環状に掘られている。前記蓋体62の排気管54,蓋体駆動装置50,前記載置台40のガスの供給口46,昇降ピン44等のその他の構成は第1の実施の形態のホットプレート(OHP)22と同一である。
【0056】
先に説明した第1の実施の形態と同様にして,ウェハWが昇降ピン44に支持され,窒素ガスが供給され始めると,蓋体駆動装置50によって蓋体62が下降し,蓋体62の下端部が載置台表面に達し,載置台61との間に処理室Sが形成されたところで停止する。その状態で,窒素ガスを供給し続け,処理室S内の雰囲気が所定の酸素濃度まで低下したところで供給ガスの供給量を減らす。その後,蓋体62は再度下降し始め,それと同期してウェハWも下降する。ウェハWが載置台61上に載置され,蓋体62のストッパ49が載置台61で止まったときに下降が停止する。この時,載置台61とOリング53が密着するので,処理室Sは,気密状態になる。
【0057】
その後,ウェハWは載置台61に内蔵されたヒータ43によって加熱され加熱処理される。加熱処理が終わると先に説明した第1の実施の形態と同様にして,蓋体62とウェハWが上昇し,搬送体18に受け渡される。
【0058】
この第2の実施の形態によれば,蓋体62の下降によって処理室容積を減少させることができるので,窒素ガスの供給量を削減し,低コストで処理が行われる。また処理室容積が減少することで,窒素ガスの流れが安定し,処理室S内の酸素濃度分布が一定するため,ウェハWを均一に処理することができる。
【0059】
上記のホットプレート60では,蓋体62が下降して処理室Sの容積を減少させたが,載置台61を上昇させて,処理室Sの容積を減少させても良い。この場合,載置台61が上昇するので,蓋体62と昇降ピン44を同期して下降させる駆動機構の機能はなくても良い。
【0060】
次に,本発明の更に別の実施の形態を説明する。図12は,この実施の形態に係るホットプレートの構成を示す断面図である。図12に示すように,このホットプレート71では,窒素ガスを処理室S内に供給するための噴出口72が蓋体73の内周部74に沿って複数,例えば36個或いは72個設けられている。また,蓋体73の上部中央には,排気手段(図示せず)に通じるシャワー状の排気口75が設けられている。このような構成の噴出口72及び排気口75を設けたことで,処理室Sにおける気流の流れが均一となり,処理室S内における温度分布が均一になる。
【0061】
また,蓋体73の側壁内部には,処理室Sの周囲を囲むように,噴出口72から噴出される窒素ガスを一旦蓄積し,処理室Sの周囲に行き渡らせるためのバッファ76が設けられている。このバッファ76内には,窒素ガスが蛇行して流れるように迂回させるための案内部材77が設けられており,バッファ76内に供給された窒素ガスはバッファ76内を通路に従って蛇行して流れ,蓋体73の内周部74に設けられた前記噴出口72から噴出されるようになっている。これにより窒素ガスを処理室Sの周囲から均一に処理室S内に供給可能となり,また窒素ガスを処理室Sの熱を利用して均一にプレ加熱することが可能になる。
【0062】
蓋体73の外周底部の載置台78との接触部分には,処理室Sの密閉性を維持するためのOリング79が配置されている。一方,載置台78のOリング79と接触する位置には,Oリング79を冷却するための冷却機構80が設けられている。この冷却機構80は,例えば冷却水が循環する冷却パイプを配管することによって構成することができる。
【0063】
なお,このように蓋体73と載置台78との接触部を密閉するのではなく,図13に示すように,載置台78と蓋体73との間に隙間81を敢えて設けるようにしてもよい。そして,窒素ガスの供給や排気を制御して処理室Sを陽圧とすることで,処理室S内への空気の進入を防止することができる。その場合,隙間81を介して処理室S内を排気する排気機構82を設けることで,より効果的に処理室S内への空気の進入を防止することができる。
【0064】
上述した実施の形態では,処理室Sの容積に応じて窒素ガスの供給量を制御していたが,図14に示すように,処理室S内の酸素濃度をモニタするモニタリング装置85を設け,制御部86がモニタされた酸素濃度に応じて,処理室S内に供給されるガスの量を制御するようにしてもよい。これにより,より細やかに窒素ガスの供給量を制御することが可能となる。
【0065】
また,図15に示すように,密閉構造のボックス91内にホットプレート(OHP)を多段に配置するようにしてもよい。この図15のボックス91には,不活性気体,例えば窒素ガスを供給するガス供給口92と,ボックス91内の雰囲気を排気するための排気口93とが設けられており,ボックス91内を低酸素状態,例えば窒素ガス雰囲気にすることができるようになっている。かかる構成により,各ホットプレート(OHP)の処理室S内におけるウェハWの酸化をより効果的に防止することが可能となる。
【0066】
前記ボックス91内に収容するホットプレート(OHP)は,処理室Sの容積を変更自在な,本実施の形態にかかる基板処理装置22であってもよく,また一部をそのように本実施の形態にかかる基板処理装置22とし,他の一部を例えば低温用ホットプレート(LHP)19のように,処理室の容積が一定の処理装置としてもよい。またいずれの場合であっても,ボックス91内の各段毎に仕切を設け,OHP,LHPの周囲を不活性ガス雰囲気にしてもよい。さらにそのような仕切を設けず,各段毎に,各処理装置(OHPやLHP)の周囲に不活性ガスを吐出するノズルを設け,当該ノズルからの吹出しによって,各段の処理装置の周囲を不活性ガス雰囲気にしてもよい。
【0067】
以上で説明した基板処理装置は,SODシステム内の高温用のホットプレート(OHP)についてであったが,SODシステム内のガス供給が必要な基板処理装置や,リソグラフィー処理を行う現像塗布処理システム内でガス供給が必要な基板処理装置においても本発明は応用できる。また基板についても,ウェハのような円盤状のもののみならず,LCD基板のような方形の基板に対しても適用できる。
【0068】
【発明の効果】
本発明によれば,処理室の容積を減少させて基板を処理できるようになる。従って,ガスの供給量を減らすことができるので,ガスのコストを低減させることができる。また,一つの処理装置に必要なガス量が少なくて済むので,同時にシステム内のより多くの処理装置にガスを供給することが可能となる。また,ガスの流れが安定し,処理室内の雰囲気に斑がなくなるため,基板が均一に処理され,歩留まりの向上が図られる。
【0069】
本発明によれば,処理室の雰囲気が十分不活性ガスに置換された後,昇降支持部材によって,基板を載置台に載置することができる。従って,不活性雰囲気になって初めて基板の処理が開始され,基板が余計な反応をしないため歩留まりの向上が図られる。
【0070】
本発明によれば,蓋体と載置台との間にシール部材を設けているため,蓋体と載置台の接触部から,ガスが漏れることが無くなるので,処理室のガスの流れが乱されることなく保たれる。その結果,安定した雰囲気の中で,基板が均一に処理され,歩留まりの向上が図られる。
【0071】
本発明によれば,蓋体にストッパー部材が設けられているので,蓋体下端部と載置台の溝底部もしくは蓋体と基板が衝突することが防止される。また,ストッパー部材にシール部材が設けられているため,ストッパー部材が載置台に接触したときに,シール部材と載置台も接触し処理室が気密になるので,処理室のガスの流れが乱されることなく保たれる。その結果,安定した雰囲気の中で基板が均一に処理され,歩留まりの向上が図られる。
【0072】
本発明によれば,処理室内の酸素濃度をモニタリングし,そのモニタされた酸素濃度に応じてガスの供給量を制御するため,より細かくガスの供給量を調節することができ,必要最小限のガスの量で処理室内を低酸素濃度に維持することができる。したがって,ガスの消費量が低減され,コストダウンが図られる。
【0073】
また,本発明によれば,処理室内を陽圧に維持できるため,処理室外からの酸素等の流入が抑制され,より効果的に処理室内を低酸素雰囲気に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態にかかるSODシステムの上段の平面図である。
【図2】本発明の実施の形態にかかるSODシステムの下段の平面図である。
【図3】図1に示したSODシステムの側面図である。
【図4】図1に示したSODシステム内に装着された,複数の処理ユニットを多段に積層してなる2つの処理ユニット群を示す側面図である。
【図5】第1の実施の形態にかかる基板処理装置である高温用のホットプレートの縦断面の説明図である。
【図6】図5のホットプレートに設けられた載置台の平面図である。
【図7】図5のホットプレートに設けられたシール部材周辺の拡大図である。
【図8】図5のホットプレートの昇降ピンに基板が支持れた時の状態図である。
【図9】図5のホットプレートの蓋体と載置台によって処理室が形成されたときの状態図である。
【図10】図5のホットプレートの蓋体が閉まり,基板が載置台に載置されたときの状態図である。
【図11】第2の実施の形態にかかる基板処理装置であるホットプレートの縦断面の説明図である。
【図12】本発明の他の実施の形態に係るホットプレートの縦断面の説明図である。
【図13】載置台と蓋体との間に隙間を設けた場合のその隙間部分の拡大図である。
【図14】本発明の更に別の実施の形態に係るホットプレートの縦断面の説明図である。
【図15】複数のホットプレートが収容されたボックスの縦断面の説明図である。
【符号の説明】
1 処理部
2 サイドキャビネット
3 キャリアステーション
22 ホットプレート
40,61 載置台
41,62 蓋体
41a 蓋体下端部
42 溝
44 昇降ピン
47 噴出口
49 ストッパー
50 蓋体駆動装置
51 昇降ピン駆動装置
W ウェハ
S 処理室
Claims (12)
- 基板を載置する載置台と,前記載置台と共に処理室を形成する下面側が開口した蓋体と,前記処理室内にガスを供給するガス供給手段と,前記処理室内の雰囲気を排気するための排気手段とを有する基板処理装置であって,
前記蓋体と前記載置台とを相対的に上下動させる駆動機構を有し,
さらに平面からみて前記載置台は前記蓋体の下端部よりも大きい形態を有し,
前記載置台には,前記蓋体の下端部が挿入される溝が形成され,
前記ガス供給手段は,前記処理室の周囲に配置され,供給する前記ガスを一旦蓄積して処理室の周囲に行き渡らせるためのバッファを有することを特徴とする,基板処理装置。 - 基板を載置する載置台と,前記載置台と共に処理室を形成する下面側が開口した蓋体と,前記処理室内にガスを供給するガス供給手段と,前記処理室内の雰囲気を排気するための排気手段とを有する基板処理装置であって,
前記蓋体と前記載置台とを相対的に上下動させる駆動機構を有し,
さらに前記蓋体の内周は載置台の外周よりも大きい形態を有し,
前記ガス供給手段は,前記処理室の周囲に配置され,供給する前記ガスを一旦蓄積して処理室の周囲に行き渡らせるためのバッファを有することを特徴とする,基板処理装置。 - 前記載置台上面から出没自在で基板を支持可能な昇降支持部材を有することを特徴とする,請求項1又は2のいずれかに記載の基板処理装置。
- 蓋体と載置台との間を気密にするシール部材を有することを特徴とする,請求項1,2又は3のいずれかに記載の基板処理装置。
- 蓋体と載置台との接近を規制するストッパー部材を有し,前記シール部材は,当該ストッパー部材に設けられていることを特徴とする,請求項4に記載の基板処理装置。
- 基板処理装置において,
基板を載置する載置台と,
前記載置台と共に処理室を形成する下面側が開口した蓋体と,
前記処理室内にガスを供給するガス供給手段と,
前記処理室内の雰囲気を排気するための排気手段と,
前記蓋体と前記載置台とを相対的に上下動させる駆動機構と,
前記駆動機構により前記蓋体と前記載置台とを相対的に上下動させることで,前記基板が載置された載置台と前記蓋体との間で形成された処理室の容積を制御する手段とを有し,
前記基板が載置された載置台と前記蓋体との間に隙間が形成されていることを特徴とする,基板処理装置。 - 前記隙間を介して前記処理室内を排気する排気機構を更に有することを特徴とする,請求項6に記載の基板処理装置。
- 基板処理装置において,
基板を載置する載置台と,
前記載置台と共に処理室を形成する下面側が開口した蓋体と,
前記処理室内にガスを供給するガス供給手段と,
前記処理室内の雰囲気を排気するための排気手段と,
前記蓋体と前記載置台とを相対的に上下動させる駆動機構と,
前記駆動機構により前記蓋体と前記載置台とを相対的に上下動させることで,前記基板が載置された載置台と前記蓋体との間で形成された処理室の容積を制御する手段とを有し,
前記ガス供給手段は,前記処理室の周囲に配置され,供給する前記ガスを一旦蓄積して処理室の周囲に行き渡らせるためのバッファを有することを特徴とする,基板処理装置。 - 前記蓋体と前記載置台との間を気密にするシール部材と,
前記シール部材を冷却する冷却機構とを有することを特徴とする,請求項6,7又は8のいずれかに記載の基板処理装置。 - 前記ガス供給手段により前記処理室内に供給されるガスの量を,前記処理室の容積に応じて制御する手段を更に有することを特徴とする,請求項1〜9のいずれかに記載の基板処理装置。
- 前記処理室内の酸素濃度をモニタするモニタリング手段と,
前記モニタされた酸素濃度に応じて,前記ガス供給手段により前記処理室内に供給されるガスの量を制御する手段とを有することを特徴とする,請求項1〜9のいずれかに記載の基板処理装置。 - 前記処理室内が陽圧となるように,前記ガス供給手段により前記処理室内に供給されるガスの量及び前記排気手段により前記処理室内から排気される雰囲気の量を制御する手段を更に有することを特徴とする,請求項1〜11のいずれかに記載の基板処理装置。
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