JP3647726B2 - 眼科用手術台 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は前室および準備室から手術室まで眼科用手術台を移送するためのストレッチャーにセットした状態においても、該手術台に取付けられている枕装置を所望の形態に変位できるようにした眼科用手術台に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より眼科用の手術台は、患者の頭部を固定する枕本体を平行に上下動したり、枕本体を患者の首を支点として上下方向に回動したり、さらに、枕本体を左右方向に回動したりできるような枕装置が取付けられていた。そして、このような枕装置は、手術室に設置されているコラムにセットした時に前記したような制御が行えるように構成されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、眼科手術において手術時間の短縮を図るために、患者を病室より準備室に移送した段階において、点滴、麻酔、消毒および患者の頭部を枕装置を制御して手術の際における適切な頭部位置にセットして、手術台をコラムにセットした後、直ちに、手術に掛かれるようにすることが望まれている。
【0004】
本発明は前記した問題点を解決せんとするもので、その目的とするところは、前室および準備室より手術室に移送するためのストレッチャーに手術台をセットした状態において、前記手術台の一部に設けられた制御回路によって枕装置を制御して、手術の際における適切な頭部位置に枕装置をセットできるようにし、これにより、手術への移行が迅速に行えるようにした眼科用手術台を提供せんとするにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の眼科用手術台は前記した目的を達成せんとするもので、その手段は、モータによって平行リンクを駆動することにより枕本体を水平状態で上下動可能となし、かつ、前記平行リンクの先端においてネジ駆動によって前記枕本体を患者の首部を支点として上下方向に回動できるように構成した枕装置を眼科用手術台に取付け、かつ、前記手術台に前記モータを駆動するための制御回路を内蔵し、該制御回路を操作するための操作面を手術台に設け、また、前記枕本体の基板に軸杆を固定し、該軸杆にスリ割りを有するロックメタルを回転自在に軸支し、該ロックメタルに形成されたガイド孔に直立軸が先端に固定されたガイド軸をスライド自在に取付け、さらに、前記直立軸に対して上端にリストレストが取付けられた上下動軸をスライド自在に取付け、前記ガイド軸の前記ロックメタルに対するスライドを阻止し、かつ前記スリ割りを狭めて前記軸杆に対するロックメタルの回動を阻止とを同時に行うネジをロックメタルに設けると共に、前記上下動軸の直立軸に対するスライドを阻止するネジを前記直立軸に設けたことを特徴とする。
【0006】
また、前記枕装置はストレッチャーに手術台をセットした状態において、前記制御回路および前記モータを電源に接続することで、前記操作面を操作して前記モータを駆動して前記枕本体を水平状態で上下動回動可能としたことを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る手術台装置の一実施の形態を図面と共に説明する。
図1において、Aは眼科用の手術台にして、長手方向の側面にはサイドレール1が取付けられ、また、裏面の略中央の長手方向と直交する位置には、後述するストレッチャーBおよびコラムCに対して着脱自在に取付けるための2個の突起2が固定されると共に電源に接続するためのコネクタ3が取付けられている。
【0009】
さらに、前端には後に詳述する患者の頭部を固定するための枕装置Dが取付けられ、また、後端の裏面には手術台Aを昇降動作させると共に、前記枕装置Dにおける枕本体15を水平状態で昇降させるための制御回路4が、操作面4aを後端に向けた状態で取付けられている。なお、前記制御回路4内には、手術台Aが眼科用の手術台Aであることの信号を後述するコラムCに送出する識別コード発信器が内蔵されている。
【0010】
ストレッチャーBの下桟にはブレーキ付きのキャスター5が取付けられ、また、上桟には前記手術台Aの裏面に取付けられている突起2が挿入される突起受け6が形成されている。なお、7は手押し用の把手である。
【0011】
コラムCは前記ストレッチャーBで前室あるいは準備室より移送された手術台Aを、該ストレッチャーBより外して前記突起2を利用して固定するもので、固定された手術台Aを図示のように縦横転の角度調整可能なように制御し、あるいは、手術台A全体を昇降させたりすることが可能である。すなわち、眼科専用のコラムおよび一般の外科用等の手術台用のコラムとしても利用できる機能を有するものであり、手術室内に固定されている。
【0012】
なお、前記手術台Aを縦横転の角度調整可能なように制御し、あるいは、手術台A全体を昇降させたりするための制御回路8が取付けられており、該制御回路8には図示しないハンドスイッチまたはフットスイッチが接続されている。なお、制御回路8は図面においてコラムCの側面に取付けたものを示しているが、コラムC内であればどのような位置であってもよい。
【0013】
次に、眼科用手術台Aの前面側に取付けられている枕装置Dの詳細を図6〜図12と共に説明する。
図6〜図8において、9は前記手術台Aの前方下面に固定されたモータにして、該モータ9の出力軸9aにはネジ棒10が取付けられている。11は前記ネジ棒10の先端側に螺合されたナット11aが固定されているナットホルダーにして、該ナットホルダー11は一対の支持板12に軸支されている。
【0014】
13は一端が前記支持板12に対して軸支された平行リンク、14も同じ屈曲部14aが前記支持板12に対して軸支された平行リンクにして、基端部が前記ナットホルダー11aに軸支されている。15は枕本体にして、該枕本体15の基板15aには前記平行リンク13,14の他端が軸支されている。
【0015】
このように構成したことにより、モータ9を回転してネジ棒10を回転させると、ナットホルダー11が図6〜図8において左右方向に移動することとなるので、平行リンク13,14が変位して図7あるいは図8のように枕本体15を垂直方向に上下動する。
【0016】
図9、図10において、16は前記枕本体15の基板15a間に回転自在に取付けられたピッチング用ノブにして、中間部にスパイラルギア16aが固定されている。17は前記スパイラルギア16aに噛合され、該スパイラルギア16aの回転に伴って回転するスパイラルギア17aが取付けられているピッチング用ネジ、18は前記ピッチング用ネジ17が螺合されたナット18aを固定されたナットホルダーにして、前記枕本体15の基板15aに回転自在に軸支されている。19は前記ピッチング用ネジ17のネジが形成されていない軸部17bを回転方向には自由であるが、軸方向には拘束するように軸支した軸受部にして、前記枕本体15における基板15aに回転自在に軸支されている。
【0017】
このように構成したことにより、ピッチング用ノブ16を回転すると、スパイラルギア16aを介してスパイラルギア17aが回転されるので、ピッチング用ネジ17が回転される。これにより、該ピッチング用ネジ17はナット18aと螺合されていることから、該ピッチング用ネジ17は図9、図10において左右方向に移動する。
【0018】
この時、ピッチング用ネジ17の軸部17bは軸受部19に回転は可能だが軸方向には規制されているので、該軸受部19は枕本体15の基板15aを回転させることとなり、従って、枕本体15は平行リンク13と基板15aとの軸支点を支点として回動することとなる。すなわち、患者の首を支点として頭部を上下動させることになる。
【0019】
図11、図12において、20は前記枕本体15の基板15aにおける下面に固定された軸杆にして、ロックメタル21が回転自在に軸支されている。このロックメタル21の前記軸杆20の部分はスリ割り21aが形成され、このスリ割り21aの間隔が広がっている状態ではロックメタル21は軸杆20に対して回転自在であり、スリ割り21aの間隔が狭まると軸杆20に対して固定される。
【0020】
また、ロックメタル21には角状のガイド孔21bが形成されており、該ガイド孔21bには医師が手術を行う際に手首を支えるリストレスト22が取付けられている角柱状のガイド軸22aがスライド自在に取付けられている。なお、リストレスト22は前記ガイド軸22aに対して固定された直立軸22bと、該直立軸22bに対して上下動可能にネジ22cによって取付けられた上下動杆22dとより構成されている。
【0021】
さらに、前記ロックメタル21には軸21cによって回動自在なロックレバー21dと、前記ガイド軸22aを固定するためのネジ21eと、該ネジ21eに螺合され前記ロックレバー21dに固定されたナット21fとより構成されている。
【0022】
このように構成したことにより、ネジ21eを緩めるとガイド孔21bに挿入されているガイド軸22aがフリーな状態となるので、リストレスト22を枕本体15に対して前後方向にずらすことができる。また、この状態において、ロックメタル21のスリ割り21aの間隔が広くなっているので、軸杆20に対してロックメタル21を回転することが可能となり、従って、リストレスト22を回転することも可能となる。
【0023】
この状態において、ネジ21eを締め付けると、該ネジ21eの先端がガイド軸22aの側面に当接するので、該ガイド軸22aの移動を阻止する。また、ネジ21eを締め付けることにより、その反動によってナット21fが後退するので、該ナット21fが固定されているロックレバー21d軸21cを支点として図11において反時計方向に回動することとなる。この時、ロックレバー21dの先端がスリ割り21aの間隔を狭める方向に回動することから、スリ割り21aの間隔が狭まりメタルロック21は軸杆20に固定され、従って、リストレスト22の回転も阻止される。
【0024】
次に、前記した構成に基づいて全体の動作を説明する。
先ず、手術台AをストレッチャーBにセットした状態で前室および準備で、電源をコネクター3に接続した状態で手術時間の短縮を図るために点滴、麻酔、消毒および枕装置Dに載置されている患者の頭部を操作面4aを操作して患者の頭部を手術に適切な状態にセットする。
【0025】
すなわち、モータ9を駆動して枕本体15を垂直方向に上下動させて患者の頭部を上下動させ、また、ピッチング用ノブ16を回転して枕本体15を回転させて患者の頭部を首の部分を支点として回動させ、患者の頭部を所望の角度にセットする。手術室ではネジ21eを緩めてリストレスト22を前後方向に移動させると共にリストレスト22を左右方向に回動して施術者の所望の位置にセットされる。
【0026】
そして、前記準備が終了した状態で、手術台AをストレッチャーBから外してコラムCにセットする。この時、手術台Aにセットされている制御回路4よりコラムCにセットされている制御回路8に対して眼科用の手術台Aである旨の識別コードを送信することにより、コラムCは眼科用の手術台Aであることを認識して、例えば、図5に示す縦転動作の最大動作角度が一般的な手術における1/2となるように演算を実施し、動作角度を制限すると共に横転動作を禁止するような動作を行う。
【0027】
なお、一般の手術台にも前記眼科用の手術台Aとは異なる識別コードを持たせてもよく、あるいは、前記したように眼科用の手術台Aのみに識別コードを持たせて、該識別コードを読み取ったときのみ眼科用の手術台Aであると判断するようにしてもよい。
【0028】
また、前記コラムCには前もって電源が接続されているが、前記手術台Aにも電源が接続されているので、手術台AをコラムCにセットした状態ではコラムC自体の電源と手術台Aの電源が接続されることになる。
【0029】
このように2つの電源がコラムCに接続されると、手術台Aの電源とコラムCの電源がぶつかり合って不都合が生じる。そこで、本発明にあっては、図13に示す回路を構成した。すなわち、手術台A側の電源部にリレーRを接続し、該電源部が電源と接続された場合には、リレーRが動作してその接点rが図示の状態に切り換えられてコラムC側の電源によって手術台Aの制御回路4およびモータ9等を動作するようにした。もちろん、コラムCに内蔵されたモータ等もコラム側の電源によって駆動されることとなる。
【0030】
【発明の効果】
本発明は前記したように、モータによって平行リンクを駆動することにより枕本体を水平方向に上下動可能となし、かつ、前記枕本体を患者の首部を支点として上下方向に回動できるように構成した枕装置を眼科用手術台に取付け、かつ、前記手術台に前記モータを駆動するための制御回路を内蔵し、該制御回路を操作するための操作面を手術台の側面に露出して設けたので、例えば、ストレッチャーにセットした状態で準備室において、点滴、麻酔、消毒および患者の頭部を枕装置を制御して手術の際における適切な頭部位置にセットすることが可能となり、従って、手術への移行がスムーズに行えるものである。
【0031】
また、枕本体に医師の手首を支えるためのリストレストを取付けたことにより、施術が行いやすく、しかも、リストレストの伸長と枕本体の水平方向の回動のロックおよび解除を1つのネジによって行えるので、機構のコンパクト化が図れる等の効果を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る手術台装置における手術台の平面図である。
【図2】手術台をストレッチャーにセットした状態の平面図である。
【図3】同上の側面図である。
【図4】同上の正面図である。
【図5】手術台の縦転運動を示す側面図である。
【図6】枕装置における枕本体を平行移動させる機構の平面図である。
【図7】同上の側面図である。
【図8】同上における枕本体が上昇した状態の平面図である。
【図9】枕本体を上下方向に回動するための装置の側面図であり、枕本体が上方に回動した状態を示す。
【図10】同上の枕本体が下方に回動した状態の側面図である。
【図11】枕本体を回転するための装置の平面図である。
【図12】同上の側面図である。
【図13】手術台とコラムとの回路図である。
【符号の説明】
A 手術台
B ストレッチャー
C コラム
D 枕装置
4 手術台の制御回路
4a 操作面
8 コラムの制御回路
13,14 平行リンク
15 枕本体
21e ロック用ネジ
22 リストレスト

Claims (2)

  1. モータによって平行リンクを駆動することにより枕本体を水平状態で上下動可能となし、かつ、前記平行リンクの先端においてネジ駆動によって前記枕本体を患者の首部を支点として上下方向に回動できるように構成した枕装置を眼科用手術台に取付け、かつ、前記手術台に前記モータを駆動するための制御回路を内蔵し、該制御回路を操作するための操作面を手術台に設け、また、前記枕本体の基板に軸杆を固定し、該軸杆にスリ割りを有するロックメタルを回転自在に軸支し、該ロックメタルに形成されたガイド孔に直立軸が先端に固定されたガイド軸をスライド自在に取付け、さらに、前記直立軸に対して上端にリストレストが取付けられた上下動軸をスライド自在に取付け、前記ガイド軸の前記ロックメタルに対するスライドを阻止し、かつ前記スリ割りを狭めて前記軸杆に対するロックメタルの回動を阻止とを同時に行うネジをロックメタルに設けると共に、前記上下動軸の直立軸に対するスライドを阻止するネジを前記直立軸に設けたことを特徴とする眼科用手術台。
  2. 前記枕装置はストレッチャーに手術台をセットした状態において、前記制御回路および前記モータを電源に接続することで、前記操作面を操作して前記モータを駆動して前記枕本体を水平状態で上下動回動可能としたことを特徴とする請求項1記載の眼科用手術台。
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