JP3646697B2 - 写真フィルム現像処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、カラー写真フィルムを現像するための写真フィルム現像処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、写真フィルム現像処理装置や写真プリント装置の小型化及び低価格化に伴い、これらの装置を店頭に設置し、短時間にフィルムの現像及び印画紙へのプリントを行う、いわゆるミニラボ店が急増している。さらに、写真フィルムを使用するカメラに替わってディジタルカメラも急速に普及している。その結果、1つのミニラボ店で現像処理する写真フィルムの本数が減少する傾向にあり、この傾向は今後も続くと予想されている。
【0003】
従来の写真フィルム現像処理装置では、現像液、漂白液、定着液及び安定化液をそれぞれタンクに充填しておき、写真フィルムを各タンク中を順に搬送することにより現像処理していた。ところが、上記のように写真フィルムの現像処理本数が少なくなると、それに伴って、各処理液の交換の頻度も少なくなる。各処理液は、写真フィルムの現像処理本数の増加により劣化するが、それ以外にも、時間の経過に比例して水分の蒸発などにより処理性能が変化する。従って、現像処理本数の少ないミニラボ店では、時期により現像処理されたネガフィルムの画質にばらつきが生じる可能性が高い。
【0004】
さらに、現像処理本数の少ないミニラボ店では、使用頻度の低い写真フィルム現像処理装置に対する維持管理費用(装置の占めるスペースの家賃分を含む)が経済的な負担となり、経営を圧迫する要因ともなる。
【0005】
そこで、写真フィルムの乳剤面上に適量の各処理液を直接噴霧又は塗布することにより写真フィルムを現像する方法(以下、「直接塗布現像」とする)が提案されている(例えば、特開昭62-92957号公報参照)。この直接塗布現像によれば、写真フィルムの現像処理の都度未使用の処理液を用いるので、現像処理されたネガフィルムの画質を一定に維持することができる。また、処理液を充填したタンクが不要になるので、現像処理装置に対する維持管理が容易になると共に、写真フィルム現像処理装置全体を小型化することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
周知のように、写真フィルムの現像処理に関しては、処理液の温度と処理液との反応時間により各処理反応が制御される。そのため、季節に関係なく、各処理液は写真フィルムの乳剤面に塗布される段階で所定の温度(例えば38℃)に管理されている。ところが、一般的に、写真フィルムは現像処理される直前まで室温中に放置されているため、季節によりその温度が異なる。
【0007】
各処理液を充填したタンク中を写真フィルムを搬送する方式の従来の写真フィルム現像処理装置では、各処理液の熱容量が大きく、かつ各タンクに温度調節用のヒータが設けられているため、写真フィルムの温度に影響されることなく、一定品質の現像処理を行うことができる。
【0008】
しかしながら、上記直接塗布現像方式による写真フィルム現像処理装置では、処理液を使い捨てにするため、写真フィルムの乳剤面に塗布する処理液量をできるだけ少なくしているため、各処理液の熱容量が小さく、写真フィルムの温度による影響を受けやすく、季節により現像処理の品質がばらつくおそれがあるという問題点を有していた。また、あらかじめ現像処理前に写真フィルム全体が一定の温度になるように、現像処理温度雰囲気中に所定時間放置することも考えられるが、この加熱処理に時間を要するため、迅速処理が売り物のミニラボ店にとっては、他店との競争力を低下させる原因となる。
【0009】
本発明は、上記従来例の問題点を解決するためになされたものであり、写真フィルムの乳剤面に直接処理液を塗布して現像処理を行う写真フィルム現像処理装置において、現像処理中の写真フィルム及び処理液の温度を一定に維持管理することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の写真フィルム現像処理装置は、所定速度で搬送される写真フィルムの表面に処理液を噴霧又は塗布することにより前記写真フィルムを現像処理する写真フィルム現像処理装置であって、前記写真フィルムの非乳剤面側では写真フィルムの幅方向の全ての部分において当接し、乳剤面側では外周面の段差によって写真フィルムの両側部の非露光部分にのみ当接する一対のローラから成り、処理液塗布ヘッドからの処理液の量を調整する塗布量調節ローラと、前記塗布量調節ローラの下流側に設けられ、1組の駆動プーリ及び従動プーリの間に張架され、前記写真フィルムの非乳剤面に当接することにより前記写真フィルムを所定方向に搬送する搬送ベルトと、前記搬送ベルトのループの内側に設けられ、前記搬送ベルトの前記写真フィルムの非乳剤面との当接面を所定温度に加熱するヒータとを具備することを特徴とする。
【0011】
上記構成において、前記搬送ベルトは、上流側の搬送ベルトと下流側の搬送ベルトとを備えており、上流側の搬送ベルトは、第1処理液塗布ヘッドからの処理液の量を調整する第1塗布量調節ローラと第2処理液塗布ヘッドとの間で、1組の駆動プーリ及び従動プーリの間に張架されてなり、下流側の搬送ベルトは、第2処理液塗布ヘッドからの処理液の量を調整する第2塗布量調節ローラとスクイズローラとの間で、1組の駆動プーリ及び従動プーリの間に張架されてなり、前記ヒータは、前記上流側の搬送ベルト及び下流側の搬送ベルトの各ループの内側にそれぞれ設けられていることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、各図において、写真フィルムのパーフォレーションを省略する。
【0013】
本実施形態に係る写真フィルム現像処理装置の概略構成を図1に示す。本実施形態に係る写真フィルム現像処理装置は、カートリッジ(パトローネ)10から引き出された写真フィルム1は、搬送ローラ21及び搬送ベルト22などで構成されたフィルム搬送機構20により、所定の方向(例えば図中右側)に一定速度で搬送される。なお、搬送ローラ21や搬送ベルト22の数及び位置は、図示した例に限定されず、適宜変更することができる。搬送ローラ21及び搬送ベルト22の詳細については後述する。
【0014】
写真フィルム1の種類が135タイプである場合、カートリッジ10の近傍には、写真フィルム1の終端を切断するための第1カッタ11が設けられている。また、フィルム搬送機構20の最終端近傍にも、現像処理された写真フィルム1を所定の長さに切断するための第2カッタ12が設けられている。なお、写真フィルム1の種類がAPSタイプである場合、写真フィルム1を切断せずに元のカートリッジに収納するため、第1カッタ11及び第2カッタ12は不要である。
【0015】
写真フィルム1の搬送方向で、かつ第1カッタ11の下流側には、写真フィルム1の乳剤面1aに現像液を直接噴霧又は塗布するための第1処理液塗布ヘッド30、現像液を貯蔵するための第1貯蔵タンク31、現像液の量を調節するための第1バルブ32、乳剤面1a上に塗布された現像液の厚み(量)を一定に調節するための第1塗布量調節ローラ33及び34などが設けられている。
【0016】
第1塗布量調節ローラ33及び34の下流側には、写真フィルム1の乳剤面1aに現像液以外の処理液、例えば漂白液や定着液などを直接噴霧又は塗布するための第2処理液塗布ヘッド40、処理液を貯蔵するための第2貯蔵タンク41、処理液の量を調節するための第2バルブ42、乳剤面1a上に塗布された処理液の厚み(量)を一定に調節するための第2塗布量調節ローラ43及び44などが設けられている。
【0017】
第2塗布量調節ローラ43及び44の下流側には、写真フィルム1の乳剤面1a上の処理液を拭除するための処理液拭除装置50(一対のスクイズローラ51及び52)が設けられている。また、処理液拭除装置50の下流側には、写真フィルム1上に現像された画像を読み取り、画像データを出力するための画像読み取り装置60の各構成要素が収納されている。
【0018】
第1処理液塗布ヘッド30と第2処理液塗布ヘッド40の間は、上記一定速度で写真フィルム1を搬送したとして、現像に必要な時間(例えば1分)を要するだけの距離に設定されている。また、第2処理液塗布ヘッド40と処理液拭除装置50との間も同様に、処理液による反応に必要な時間を要するだけの距離に設定されている。
【0019】
処理液拭除装置50の下流側に設けられた画像読み取り装置60は、写真フィルム1を非乳剤面1b側から照明するためのハロゲンランプなどの線状光源61及び反射板62と、写真フィルム1の乳剤面1a側に設けられた写真フィルム1上に現像された画像を撮像するためのラインCCDなどの撮像素子63と、写真フィルム1上の画像を撮像素子63の受光面に結像するための撮像レンズ64などで構成されている。
【0020】
画像読み取り装置60の下流側には、処理液で濡れた写真フィルム1を乾燥させるための乾燥装置15が設けられ、さらにその下流に上記第2カッタ12が設けられている。
【0021】
なお、写真フィルム1を搬送するための各ベルト22の内部又は近傍には、処理中の写真フィルム1の温度(より厳密には、写真フィルム1の乳剤層に染み込んだ現像液などの処理液の温度)を一定に保つためのヒータ23が設けられている。また、写真フィルム1の搬送速度と画像読み取り装置60による画像の読み取り速度が同期していることは言うまでもない。
【0022】
ここで、第1実施形態における写真フィルム1の現像方法について説明する(以下の実施形態においても同様である)。第1実施形態では、写真フィルム1の乳剤面1aに直接処理液を噴霧又は塗布する直接塗布現像、特に、現像、漂白、定着、安定化処理の各処理工程のうち、現像工程を除く他の工程の安定化処理と他の少なくとも1つを省略する簡易迅速現像を採用している。すなわち、現像処理のみ、現像処理と漂白処理、現像処理と定着処理の3通りのいずれかである。現像処理のみの場合、第2処理液塗布ヘッド40、第2貯蔵タンク41、第2バルブ42、第2塗布量調節ローラ43及び44などは不要である。また、本発明はこの実施形態に限定されず、現像処理、漂白処理及び定着処理の3つの処理を行うように構成しても良いし、現像、漂白、定着、安定化処理の各処理を全て実行するように構成しても良い。それらの場合、処理工程数に応じて処理液塗布ヘッドなどをさらに設ければ良い。なお、現像液などの各処理液は、従来のタンク式の写真フィルム現像装置において使用する処理液よりも粘度の高いもの(例えばゲル状のもの)を使用する。
【0023】
ここで、ネガカラータイプの写真フィルムについて簡単に説明する。ネガカラータイプの写真フィルムでは、銀を触媒として色素を発色させている。未露光の乳剤層にはハロゲン化銀の状態で銀が含まれており、露光されることによりハロゲン化銀が金属銀に変質する。露光された写真フィルムを現像液と反応させると、金属銀に変質した部分の色素が発色し、ハロゲン化銀のままの部分の色素は発色しない。現像処理された写真フィルムを、漂白液及び定着液に順に反応させると、金属銀及びハロゲン化銀の両方が除去される(脱銀処理)と共に、未発色の色素も除去される。この後、安定化処理を施すことにより標準現像がなされ、一般的なネガフィルムが得られる。なお、写真フィルムの非乳剤面1b側のハレーション防止層(例えば背面の褐色の層)は、漂白処理により若干除去され、定着処理により完全に除去される。
【0024】
これに対して、簡易迅速現像のうち定着処理を省略した場合、写真フィルムの背面のハレーション防止層が残ると共に、乳剤層の金属銀、ハロゲン化銀及び未発色の色素が残るので、ネガフィルムのような透明感はない。このような未定着処理の写真フィルムに対して再度露光すると、本来未露光でありハロゲン化銀の状態で残っていた部分のハロゲン化銀が金属銀に変質する。しかしながら、再度現像液と反応させない限り、金属銀に変質した部分の色素は発色しない。従って、未定着処理の写真フィルムに対して、後から定着処理及び安定化処理を施すことにより、標準現像されたネガフィルムが得られる。換言すれば、標準現像から定着処理などを省略した写真フィルムに対して、画像読み取り装置60で画像を読み取る際に照明したり、あるいは写真フィルムの乾燥後に所定の長さに切断して顧客に返却したとしても、特に問題はない。
【0025】
次に、本実施形態に係る写真フィルム現像処理装置の主要部の詳細な構成を図2に示す。
【0026】
図2に示すように、第1塗布量調節ローラ33及び34と第2塗布量調節ローラ43及び44のうち、写真フィルム1の非乳剤面1b側(ハレーション防止膜側)のローラ34及び44は、写真フィルム1の幅方向の全ての部分において、写真フィルム1の非乳剤面1bに当接する。一方、写真フィルム1の乳剤面1a側のローラ33及び43は、写真フィルム1の両側部の画像が露光されていない部分(例えば135タイプの場合、両側のパーフォレーション部分)にのみ当接し、画像が露光されている部分には当接しない。すなわち、ローラ33及び43の外周面には段差(例えば0.5〜1.0mm程度)が設けられている。このとき、写真フィルム1の両側部近傍がローラ33と34により所定の圧力で挟持されるので、写真フィルム1の幅方向の反りが矯正され、写真フィルム1の乳剤面1aはほぼ平坦に維持されている。
【0027】
第1処理液塗布ヘッド30又は第2処理液塗布ヘッド40から写真フィルム1の乳剤面1aに噴霧又は塗布された現像液3又はその他の処理液4は、ローラ33又は43に当接し、上記段差部分のみを通過することができる。そのため、第1塗布量調節ローラ33及び34と第2塗布量調節ローラ43及び44の下流側では、写真フィルム1の乳剤面1a上に塗布された現像液3又はその他の処理液4の膜厚(液量)がほぼ一定となるように管理される。
【0028】
第1塗布量調節ローラ33及び34と第2塗布量調節ローラ43及び44の下流側で、かつ処理液拭除装置50を構成する一対のスクイズローラ51と52の間には、写真フィルム1の非乳剤面1b側に当接し、写真フィルム1を所定速度で搬送するための搬送ベルト22が設けられている。搬送ベルト22は、1組の駆動プーリ24及び従動プーリ25の間に張架されており、そのループの内側にヒータ23が設けられている。ヒータ23は、例えばニクロム線のような発熱導体であっても良いし、ハロゲンランプのような発熱発光体であっても良い。搬送ベルト22は、例えばポリイミドなどの熱硬化性樹脂で形成されており、ヒータ23からの熱を受け、所定の温度(例えば38℃)に加熱され、さらに写真フィルム1の非乳剤面1bと直接接触することにより、写真フィルム1の温度を所定の温度に加熱し、維持する。搬送ベルト22の熱容量を大きくすることにより、写真フィルム1との温度差にかかわらず、写真フィルム1の乳剤面1aに塗布された現像液3又はその他の処理液4の温度の低下を防止することができる。
【0029】
なお、搬送ベルト22の代わりに複数の搬送ローラを用い、各搬送ローラの内側にヒータを設けることも考えられる。しかしながら、写真フィルム1の非乳剤面1bの特定部分について着目すると、各搬送ローラと短時間の接触状態と長時間の非接触状態を繰り返す。そのため、微視的には、現像処理中における上記特定部分の温度変化が大きく、現像むらを生じる可能性が高い。現像むらを生じさせにくいという点では、現像処理中、常時写真フィルム1の非乳剤面1と搬送ベルト22を接触させる方が好ましい。
【0030】
写真フィルム1の乳剤面1a上に塗布された現像液3又はその他の処理液4は、処理液拭除装置50を構成する一対のスクイズローラ51と52の間に挟持されることにより、乳剤面1a上からほぼ完全に拭除される。
【0031】
スクイズローラ51及び52により現像液3又は他の処理液4がほぼ完全に拭除されると、画像読み取り装置60により写真フィルム1上の画像を読み取ることにより、歪みの少ない良好な画像を撮像することができる。写真フィルム1の現像処理と並行して、画像読み取り装置60の撮像装置63から出力される画像データは、所定の画像処理を受けた後、公知のディジタル写真プリント装置(図示せず)に出力されると共に、CD−Rなどの記録媒体に記録される。ディジタル写真プリント装置では、入力された画像データを用いて、印画紙上に写真をプリントする。上記第2カッタ12により所定長さに切断された写真フィルムは、CD−R及びプリントされた写真と共に顧客に返却される。また、顧客の希望に応じて、後から省略された処理を施して標準現像を行うようにしても良い。
【0032】
なお、上記実施形態の説明では、搬送ベルト22のループの内側にヒータ23を設けた例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、搬送ベルト22を、ガラス繊維入りのシリコンゴムの間に発熱体を挟んだラバーヒータ(日本ヒータ株式会社製品)などを用いて形成しても良い。その場合、搬送ベルト22がヒータ23を兼ねるので、熱伝導率の小さい空気層を介さずに、搬送ベルト22の表面を直接加熱することができ、熱効率を高くすることができる。
【0033】
また、上記実施形態の説明では、写真フィルムの乳剤面に直接処理液を噴霧又は塗布する直接塗布現像、特に、現像、漂白、定着、安定化処理の各処理工程のうち、現像工程を除く他の工程の少なくとも1つを省略する簡易迅速現像について説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、各処理液が充填されたタンク中を順に写真フィルムを搬送することにより現像する従来の写真フィルム現像装置にも適用することができる。その場合、現像処理されたネガフィルムの乾燥処理と並行して、現像処理中に写真フィルムから読み取った画像データを用いて写真を印画紙上にプリントすることができ、写真プリント処理時間を大幅に短縮することができる。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の発明によれば、所定速度で搬送される写真フィルムの表面に処理液を噴霧又は塗布することにより前記写真フィルムを現像処理する写真フィルム現像処理装置であって、前記写真フィルムの非乳剤面側では写真フィルムの幅方向の全ての部分において当接し、乳剤面側では外周面の段差によって写真フィルムの両側部の非露光部分にのみ当接する一対のローラから成り、処理液塗布ヘッドからの処理液の量を調整する塗布量調節ローラと、前記塗布量調節ローラの下流側に設けられ、1組の駆動プーリ及び従動プーリの間に張架され、前記写真フィルムの非乳剤面に当接することにより前記写真フィルムを所定方向に搬送する搬送ベルトと、前記搬送ベルトのループの内側に設けられ、前記搬送ベルトの前記写真フィルムの非乳剤面との当接面を所定温度に加熱するヒータとを具備するので、写真フィルムの現像処理中、写真フィルムの非乳剤面側から搬送ベルトを介してヒータにより加熱され、写真フィルム全体及び写真フィルムの乳剤面上に噴霧又は塗布された処理液の温度をほぼ一定に維持することができる。
【0035】
特に、搬送ベルトの材質を適宜選択することにより、搬送ベルトの熱容量を写真フィルムの熱容量よりも大きくすることができるので、季節により写真フィルムの初期温度にばらつきがあっても、現像処理中の写真フィルム及び処理液の温度のばらつきを小さくすることができ、季節によらず一定の現像処理品質を維持することができる。
【0036】
また、ヒータを搬送ベルトのループの内側に設けることにより、ヒータの設置スペースを小さくすることができ、結果的に写真フィルム現像処理装置全体を小型化することができる。さらにまた、塗布量調節ローラを前記写真フィルムの非乳剤面側では写真フィルムの幅方向の全ての部分において当接し、乳剤面側では外周面の段差によって写真フィルムの両側部の非露光部分にのみ当接する一対のローラとすることで、写真フィルムの両側部近傍がローラにより所定の圧力で挟持されるので、写真フィルムの幅方向の反りが矯正され、写真フィルムの乳剤面はほぼ平坦に維持されるとともに、処理液は乳剤面側のローラによる段差部分のみを通過して膜厚(液量)がほぼ一定となるように管理される。
【0037】
また、請求項2記載の発明によれば、前記搬送ベルトが、上流側の搬送ベルトと下流側の搬送ベルトとを備えており、上流側の搬送ベルトが、第1処理液塗布ヘッドからの処理液の量を調整する第1塗布量調節ローラと第2処理液塗布ヘッドとの間で、1組の駆動プーリ及び従動プーリの間に張架されてなり、下流側の搬送ベルトが、第2処理液塗布ヘッドからの処理液の量を調整する第2塗布量調節ローラとスクイズローラとの間で、1組の駆動プーリ及び従動プーリの間に張架されてなり、前記ヒータが、前記上流側の搬送ベルト及び下流側の搬送ベルトの各ループの内側にそれぞれ設けられている構成としたので、それぞれ噴霧又は塗布された処理液の温度をほぼ一定に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係る写真フィルム現像処理装置の概略構成を示す図である。
【図2】 図1に示す写真フィルム現像処理装置の主要部の詳細な構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1 :写真フィルム
1a:乳剤面
11 :第1カッタ
12 :第2カッタ
15 :乾燥装置
20 :フィルム搬送機構
21 :搬送ローラ
22 :搬送ベルト
23 :ヒータ
30 :第1処理液塗布ヘッド
31 :第1貯蔵タンク
32 :第1バルブ
33 :第1塗布量調節ローラ
34 :第1塗布量調節ローラ
40 :第2処理液塗布ヘッド
41 :第2貯蔵タンク
42 :第2バルブ
43 :第2塗布量調節ローラ
44 :第2塗布量調節ローラ
50 :処理液拭除装置
51 :スクイズローラ
52 :スクイズローラ
60 :画像読み取り装置
61 :光源
62 :反射板
63 :撮像装置
64 :撮像レンズ
Claims (2)
- 所定速度で搬送される写真フィルムの表面に処理液を噴霧又は塗布することにより前記写真フィルムを現像処理する写真フィルム現像処理装置であって、
前記写真フィルムの非乳剤面側では写真フィルムの幅方向の全ての部分において当接し、乳剤面側では外周面の段差によって写真フィルムの両側部の非露光部分にのみ当接する一対のローラから成り、処理液塗布ヘッドからの処理液の量を調整する塗布量調節ローラと、
前記塗布量調節ローラの下流側に設けられ、1組の駆動プーリ及び従動プーリの間に張架され、前記写真フィルムの非乳剤面に当接することにより前記写真フィルムを所定方向に搬送する搬送ベルトと、
前記搬送ベルトのループの内側に設けられ、前記搬送ベルトの前記写真フィルムの非乳剤面との当接面を所定温度に加熱するヒータとを具備する写真フィルム現像処理装置。 - 前記搬送ベルトは、上流側の搬送ベルトと下流側の搬送ベルトとを備えており、上流側の搬送ベルトは、第1処理液塗布ヘッドからの処理液の量を調整する第1塗布量調節ローラと第2処理液塗布ヘッドとの間で、1組の駆動プーリ及び従動プーリの間に張架されてなり、下流側の搬送ベルトは、第2処理液塗布ヘッドからの処理液の量を調整する第2塗布量調節ローラとスクイズローラとの間で、1組の駆動プーリ及び従動プーリの間に張架されてなり、前記ヒータは、前記上流側の搬送ベルト及び下流側の搬送ベルトの各ループの内側にそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項1記載の写真フィルム現像処理装置。
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