JP3646507B2 - カーボンブラック分散体 - Google Patents
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Description
本発明は、良好な分散体が得られるカーボンブラック分散体に関する。
【従来の技術】
カーボンブラックは、着色顔料や遮光材料として印刷インキ、塗料、プラスチック形成材料などの分野で広く使用されている。これらの製品において着色性、光吸収性能を向上させるためにはカーボンブラックを溶剤や樹脂中に均一に分散させなければならないが、カーボンブラックは分散性が良くないため均一分散を得るためには工程面で多大のエネルギーが必要となる。このような問題を緩和する手段として各種の分散剤を添加する方法が一般に行われている。しかしながら、この方法を用いても、十分満足する分散性が得られ難いばかりでなく、分散剤と樹脂成分との相溶性が悪い場合には、インキや塗料の性能低下を招くこともあり、分散剤に合わせて樹脂成分を選択したり、または樹脂成分に合わせて分散剤を選択したりしなければならず、汎用性に欠けるという問題があった。
一般に、分散させるカーボンブラックの表面状態と樹脂との関係は、塩基性表面(エレクトロンドナー性)を有するカーボンブラックは酸性官能基をもつ高分子と強く吸着し、酸性表面(エレクトロンアクセプター性)を有するカーボンブラックには塩基性官能基をもつ高分子が吸着されやすい傾向がある。したがって、混合するカーボンブラックと樹脂との電荷極性が相違している場合には良好な分散安定性が得られることになる。このような性質を利用して、分散剤を用いずにカーボンブラックの分散性を高めるために粒子表面の極性を改質する方法が古くから提案されている。しかしながら、表面電荷の異なる多様な顔料や添加剤を使用するインキ・塗料工業にあっては、全塗料の表面電荷を制御することが困難なこともあって、十分な分散安定性を得るには、未だ到っていない。
これらの問題を解決するため、カーボンブラック表面を、各種の界面活性剤や樹脂で被覆して、固体状又は液状の基材との親和力を高めることにより、カーボンブラックを均一に混合又は分散する方法が数多く検討されている。しかしながら、これまでの方法で得られた表面が被覆してなるカーボンブラックは、他の物質との親和性が期待した程には改良されず、必ずしも満足する結果は得られていないのが現状である。
またカーボンブラック表面を酸化処理して酸性官能基を導入することにより、カーボンブラックの分散性を改善する試みがなされている。酸化処理方法としてはオゾン処理、プラズマ処理などの気相酸化法と硝酸や過酸化水素水、過塩素酸ソーダなどを用いる液相酸化法が考案されている。一般的な酸化処理条件を比較すると気相酸化より液相酸化の方が効果が高く、液相酸化では過酸化水素水より硝酸の方が表面酸性度が増加し、分散性が向上することが知られている。しかしながら、液相酸化では処理後の精製が困難であることや、特に硝酸酸化で得られたカーボンブラックについては変異原生の問題が指摘されている。また、気相酸化においては、精製工程が必要ないという利点があるが、先述の通り酸性度が低いために十分な分散性が得られないという欠点を持つ。
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、その目的は均一な分散性が得られるカーボンブラック分散体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、カーボンブラック、樹脂、溶剤および下記一般式(1)で示されるアミン群から選ばれた少なくとも1種を含むことを特徴とするカーボンブラック分散体である。
H2N−(CH2)n−NR1R2 (1)
〔式中、R1,R2は、それぞれ独立に炭素数1〜18の直鎖状ないし分岐鎖状の置換基を有してもよいアルキル基(R1とR2が一体となって新たな窒素原子または酸素原子を含んでもよく、更なる置換基を有してもよい5員環又は6員環を形成してもよい。)、nは1〜18の整数を表す。〕
更に本発明は、カーボンブラックの全表面官能基量が0.2ミリ当量/g以上であることを特徴とする上記記載のカーボンブラック分散体である。
更に本発明は、一般式(1)中のnが1〜4であり、R1、R2がそれぞれ独立に炭素原子数1〜4のアルキル基であることを特徴とする上記いずれか記載のカーボンブラック分散体である。
更に本発明は、樹脂が酸性官能基を有することを特徴とする上記いずれか記載のカーボンブラック分散体である。
【発明の実施の形態】
以下本発明について詳細に説明する。
本発明に用いるカーボンブラックとしては、特に種類や製造履歴に制約されることはなく、市販のオイルファーネスブラック、ガスファーネスブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラックなど各種のものを用いることができる。また、通常行われているオゾン処理、プラズマ処理、液相酸化処理されたカーボンブラックを用いてもよい。一般にカーボンブラックは、生成過程で粒子表面にカルボキシル基(−COOH)、フェノール性水酸基(−OH)、キノン基(>C=O)といった官能基が生成される。これらカーボンブラックの官能基の定量は、カルボキシル基(−COOH)量およびフェノール性水酸基(−OH)量については滴定法、キノン基(>C=O)量については水素化硼素ナトリウムの水素吸収法によりそれぞれ測定することができる。
本発明に用いるカーボンブラックは、これらの表面官能基の全量、つまり全表面官能基量が好ましくは0.2〜8.0ミリ当量/gであり、特に好ましくは1.0〜6.0ミリ当量/gである。全表面官能基量が0.2ミリ当量より少ないと、分散剤の吸着あるいは反応点が少なく、十分な分散効果を得ることができない。一方、全官能基量が8.0ミリ当量/gより多いカーボンブラックを用いても特に問題はないが、分散効果に顕著な向上は認められない。また各官能基の比率については特に制限はないが、カルボキシル基の割合が多い方が好ましい。本発明に用いるカーボンブラックの粒径は通常のインキや塗料に用いるカーボンブラックの粒径範囲と同じであるが、好ましくは0.01〜10μm、特に好ましくは0.01〜0.5μmである。ただしここで言う粒径とは、一般にカーボンブラックの物理特性を示すのに用いられる電子顕微鏡などで測定された平均一次粒径を表す。
本発明における分散剤は一般式(1)で示される。
一般式(1)
H2N−(CH2)n−NR1R2 (1)
〔式中、R1,R2は、それぞれ独立に炭素数1〜18の直鎖状ないし分岐鎖状の置換基を有してもよいアルキル基(R1とR2が一体となって新たな窒素原子または酸素原子を含んでもよく、更なる置換基を有してもよい5員環又は6員環を形成してもよい。)、nは1〜18の整数を表す。〕
一般式(1)で示される本発明に用いられる分散剤は1級アミノ基を有するアミノ化合物であり、これらアミノ基はカーボンブラックの表面官能基のうち酸性を示すカルボキシル基およびフェノール性水酸基に対して酸−塩基相互作用により吸着する、また、特に1級アミノ基については酸−塩基相互作用以外にキノン基とシッフ塩基(>C=N−)を形成することが知られており、このような作用によって高い分散効果が得られる。
本発明の分散剤に使用される、前記一般式(1)中のR1,R2はそれぞれ独立に炭素数1〜18の直鎖状ないし分岐鎖状のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、ステアリル基、及びその他類似の置換基が挙げられる。R1,R2が一体となった複素環基の例として、例えば、ピロリジニル基、ピペリジノ基、モルホリノ基が挙げられる。これらアルキル基、及び複素環基は炭素原子数1〜4のアルキル基(例えばメチル基またはエチル基)、炭素原子数1〜4のアルコキシ基(例えばメトキシ基)、ヒドロキシ基、スルホ基、カルボキシ基から成る群から選ばれる置換基で置換されていても良い。
また前記一般式(1)において、−(CH2)n−の基は、特に炭素原子数nが1〜4であるのが良く、更にR1,R2は1〜4個の炭素原子を有するアルキル置換基であるのが良い。
本発明で用いる表面処理剤の具体例としては、一般式(1)に示す構造に該当する化合物であれば特に限定はないが、例えば、N,N−ジメチルアミノエチルアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、N,N−ジメチルアミノブチルアミン、N,N−ジエチルアミノエチルアミン、N,N−ジエチルアミノプロピルアミン、N,N−ジエチルアミノブチルアミン、N,N−ジプロピルアミノブチルアミン、N,N−ジイソプロピルアミノプロピルアミン、N,N−ジブチルアミノエチルアミン、N,N−ジブチルアミノプロピルアミン、N,N−ジブチルアミノブチルアミン、N,N−ジイソブチルアミノプロピルアミン、N,N−ジエチルアミノヘキシルアミン、N,N−メチル−ラウリルアミノプロピルアミン、N,N−ジオクチルアミノエチルアミン、N,N−ジステアリルアミノブチルアミン、或いは以下のNo.1〜11に示す化合物が挙げられ、これらを単独使用又は併用しても良い。
【化1】
【化2】
これらの化合物の中でも、N,N−ジメチルアミノエチルアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、N,N−ジメチルアミノブチルアミン、N,N−ジエチルアミノエチルアミン、N,N−ジエチルアミノプロピルアミン、N,N−ジエチルアミノブチルアミン、N,N−ジプロピルアミノブチルアミン、N,N−ジイソプロピルアミノプロピルアミン、N,N−ジブチルアミノエチルアミン、N,N−ジブチルアミノプロピルアミン、N,N−ジブチルアミノブチルアミン、N,N−ジイソブチルアミノプロピルアミンは分散性が優れているため、本発明の分散剤には特に好ましく用いることができる。
本発明の分散剤の添加量はカーボンブラックに対し、0.01〜10.0ミリモル/gであることが好ましい。分散剤の添加量が0.01ミリモル/gより少ないと、カーボンブラックの分散効果が小さく好ましくない。また分散剤の添加量が10.0ミリモル/gより多くても、分散効果の顕著な向上が認められない。
本発明のカーボンブラック分散体の製造工程において用いる溶媒としては、水、有機溶媒およびそれらの混合液を指し、分散剤を溶解するものであれば特に制限はないが、ケトン系溶剤は分散剤中のアミノ基とシッフ塩基(>C=N−)を形成し、カーボンブラック表面のキノン基と分散剤中のアミノ基の反応を阻害するため好ましくない。
本発明におけるカーボンブラック分散体を得る際に使用されるポリマーの種類としては、ポリオキシアルキレン樹脂、ポリシロキサン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアリル樹脂、アクリル樹脂、ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、繊維素系樹脂、ポリエステル樹脂、アミノ樹脂等が使用でき、これらを単独あるいは2種以上混合して用いることができる。また酸性官能基としてはカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、ホウ酸基等が例示できる。これら酸性官能基は、分散剤が吸着または反応したカーボンブラックとの親和性を高めることができ、カーボンブラックの分散性を向上させることができると考えられる。また、分散安定性等を更に向上させるため、既知の界面活性剤等を併用しても良く、潤滑剤、レベリング剤、消泡剤、防腐剤等を添加しても良い。
本発明におけるカーボンブラック分散体は、カーボンブラックと上記のような分散剤および媒体とを混合撹拌することによって得られる。同工程における混合撹拌の方法に特に制限はないが、分散剤を含む溶体中で、カーボンブラックを粉砕機または分散機によるせん断応力、またはメディアによる衝撃力によって微分散させながら分散を行うことが好ましい。同工程において用いる粉砕機または分散機としては、せん断応力によりカーボンブラック粒子を微分散させる3本ロールミルや2本ロールミル、ガラスビーズやジルコニアビーズなどのメディアの衝撃力によりカーボンブラック粒子を微分散させるボールミル、アトライター、サンドミル、コボールミル、バスケットミル、振動ミル、ペイントコンディショナーなどや、せん断応力、キャビテーション、衝突力、ポテンシャルコアなどを発生させるような回転羽根によって微分散させるディスパー、ホモジナイザー、クレアミックス(R)などや、カーボンブラック粒子同士またはカーボンブラック粒子とビヒクルや分散機壁面の衝突力やせん断力によって微分散させるニーダー、エクストルーダー、ジェットミルなどや、超音波により微分散させる超音波分散機などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
さらに同工程中またはその前後に加熱処理を行っても良い。加熱処理の温度は使用する媒体、分散剤により異なるが、40℃〜200℃で行うことが望ましい。加熱処理温度が40℃より低い場合は、カーボンブラック粒子表面への分散剤の吸着あるいは反応が十分進行せず、満足な分散効果が得られない。また、加熱処理温度を200℃より高くしても分散効果の向上が認められないばかりか、分散剤や媒体の変質、工程への投与エネルギーが増大し、実用上好ましくない。本発明のカーボンブラック分散体は、粉砕機や分散機により微分散された状態で、カーボンブラック粒子表面のカルボキシル基やフェノール性水酸基に、分散剤のアミノ基が酸−塩基相互作用により吸着したり、キノン基とシッフ塩基を形成することによって、分散剤のアミノ基がカーボンブラック粒子表面に配位し、このため媒体との親和性が向上し、カーボンブラックの分散性を高めることができるものと考えられる。
本発明におけるカーボンブラック分散体の利用分野としては、特に限定はないが、遮光性、導電性、耐久性、漆黒性等が要求される分野、例えば、グラビアインキ、オフセットインキ、磁気記録媒体用バックコート、静電トナー、インクジェット、自動車用塗料、繊維・プラスチック形成材料等において、安定かつ均一な分散体を提供し得るものである。
【実施例】
本発明を実施例に基づいて説明する。例中、「部」は、「重量部」である。
実施例に用いたカーボンブラックA、Bの表面の各官能基を以下のようにして測定し、それを合計して全表面官能基量を求めた。
(1)カルボキシル基(−COOH)量の測定
乾燥カーボンブラック1gを1mg単位で秤量し、0.1規定の炭酸水素ナトリウム水溶液50mlを4時間振盪して反応させたのち、濾過し、濾液の上澄み液20mlを採取して0.01規定の塩酸水溶液で滴定する。カルボキシル基量は、カーボンブラック1g中のミリ当量(meq./g)として下式によって求める。
カルボキシル基量=(50/20×0.01×( 滴定量−空滴定量) )/カーボンブラック試料重量
(2)水酸基(−OH)量の測定
乾燥カーボンブラック1gを1mg単位で秤量し、0.1規定の水酸化ナトリウム水溶液50mlを4時間振盪して反応させたのち、濾過し、濾液の上澄み液20mlを採取して0.01規定の塩酸水溶液で滴定する。これより、水酸基量とカルボキシル基量の合計量を、カーボンブラック1g中のミリ当量(meq./g)として下式によって求めた。
( カルボキシル基+水酸基) 量=(50/20×0.01×( 滴定量−空滴定量) )/カーボンブラック試料重量
この合計量から先に求めたカルボキシル基量を差し引いて、水酸基量を求めた。
(3)キノン基(>C=O)量の測定
乾燥カーボンブラック3gを1mg単位で秤量し、水素化ホウ素ナトリウム100mgを0.1規定の水酸化ナトリウム水溶液に溶解した溶液を50mlと2時間反応させたのち、6規定の硫酸水溶液を加えたときに発生する水素ガス量を測定する。空試験も行い発生する水素ガス量を求める。キノン量は、カーボンブラック1g中のミリ当量(meq./g)として次式で求められる。
キノン量=反応した水素化ホウ素ナトリウム量/カーボンブラック試料重量
実施例1
下記の原料(アクリル樹脂は、酸価16mgKOH/g、重量平均分子量60000、固形分50%のものを用いた。以下の例中のアクリル樹脂も全て同じもの。)の混合物にスチールビーズを加え、ペイントシェーカー(レッドデビル社製)を用いて90分間分散し、カーボンブラック分散体濃縮液を作成した。
カーボンブラックA 10.3部
N,N−ジメチルアミノプロピルアミン 2.1部
アクリル樹脂 20.9部
トルエン 33.3部
酢酸エチル 13.4部
ソルベッソ100 20.0部
次いで上記分散体濃縮液と下記の原料(ユーバン20SE60は、三井サイテック社製のメラミン樹脂)を混合し、アクリル樹脂/メラミン樹脂系塗料を得た。
上記分散体濃縮液 35.4部
アクリル樹脂 49.9部
n−ブタノール 2.5部
ユーバン20SE60 12.2部
実施例2
下記の原料の混合物にスチールビーズを加え、ペイントシェーカー(レッドデビル社製)を用いて90分間分散し、カーボンブラック分散体濃縮液を作成した。
カーボンブラックA 10.3部
N,N−ジエチルアミノプロピルアミン 2.7部
アクリル樹脂 19.7部
トルエン 33.6部
酢酸エチル 13.5部
ソルベッソ100 20.2部
その後、実施例1と同じ処方で塗料化を行い、アクリル樹脂/メラミン樹脂系塗料を得た。
実施例3
下記の原料の混合物にスチールビーズを加え、ペイントシェーカー(レッドデビル社製)を用いて90分間分散し、カーボンブラック分散体濃縮液を作成した。
カーボンブラックA 10.3部
N,N−ジブチルアミノプロピルアミン 3.8部
アクリル樹脂 17.4部
トルエン 34.3部
酢酸エチル 13.7部
ソルベッソ100 20.5部
その後、実施例1と同じ処方で塗料化を行い、アクリル樹脂/メラミン樹脂系塗料を得た。
実施例4
下記の原料の混合物にスチールビーズを加え、ペイントシェーカー(レッドデビル社製)を用いて90分間分散し、カーボンブラック分散体濃縮液を作成した。
カーボンブラックB 10.3部
N,N−ジエチルアミノプロピルアミン 3.8部
アクリル樹脂 17.4部
トルエン 34.3部
酢酸エチル 13.7部
ソルベッソ100 20.5部
その後、実施例1と同じ処方で塗料化を行い、アクリル樹脂/メラミン樹脂系塗料を得た。
比較例1
下記の原料の混合物にスチールビーズを加え、ペイントシェーカー(レッドデビル社製)を用いて90分間分散し、カーボンブラック分散体濃縮液を作成した。
カーボンブラックA 10.3部
アクリル樹脂 25.1部
トルエン 32.3部
酢酸エチル 12.9部
ソルベッソ100 19.4部
その後、実施例1と同じ処方で塗料化を行い、アクリル樹脂/メラミン樹脂系塗料を得た。
比較例2
下記の原料の混合物にスチールビーズを加え、ペイントシェーカー(レッドデビル社製)を用いて90分間分散し、カーボンブラック分散体濃縮液を作成した。
カーボンブラックB 10.3部
アクリル樹脂 25.1部
トルエン 32.3部
酢酸エチル 12.9部
ソルベッソ100 19.4部
その後、実施例1と同じ処方で塗料化を行い、アクリル樹脂/メラミン樹脂系塗料を得た。
比較例3
下記の原料の混合物にスチールビーズを加え、ペイントシェーカー(レッドデビル社製)を用いて90分間分散し、カーボンブラック分散体濃縮液を作成した。
カーボンブラックA 10.3部
1,3−ジアミノプロパン 1.5部
アクリル樹脂 22.0部
トルエン 33.1部
酢酸エチル 13.2部
ソルベッソ100 19.9部
その後、実施例1と同じ処方で塗料化を行い、アクリル樹脂/メラミン樹脂系塗料を得た。
比較例4
下記の原料の混合物にスチールビーズを加え、ペイントシェーカー(レッドデビル社製)を用いて90分間分散し、カーボンブラック分散体濃縮液を作成した。
カーボンブラックA 10.3部
メチルアミノプロピルアミン 1.8部
アクリル樹脂 21.5部
トルエン 33.2部
酢酸エチル 13.3部
ソルベッソ100 19.9部
その後、実施例1と同じ処方で塗料化を行い、アクリル樹脂/メラミン樹脂系塗料を得た。
以上の実施例1〜4、比較例1〜4で作成した塗料の評価は次のようにして行った。
塗料をPETフィルム上に乾燥塗膜の厚さが約30μmとなるようにバーコーターで塗装し、30分静置した後、140℃30分焼き付けて塗膜を作成し、光沢(60°鏡面反射率)、漆黒性を評価した。また塗料を酸化チタンのベース塗料で、カーボンブラックと酸化チタンの比率が1/10になるようにカットし、淡色塗料を調整し、6ミルのフィルムアプリケーターで白色紙上に展色、30分静置した後、140℃で30分間焼き付けて塗膜を作成し、着色力を評価した。
なお、各種の試験方法は次のとおりである。
[光沢(60゜鏡面反射率)]:光沢計[スガ試験機(株):デジタル変角光沢計UGV−5D]により塗膜の60゜−60゜反射率を測定した。
[漆黒性]:目視により塗膜の黒さを評価した。
○:非常に良好
△:やや良好
×:不良
[着色力]:測色計[スガ試験機(株)SMカラーコンピューター SM−7]にて比較例4との明度指数差 Lを測定し、次式より着色力を求めた。この数値が大きい程、分散性は良好である。
着色力=100−( L×10)
これらの試験結果を下記に示した。
これからわかるように、本発明の分散剤を用いることにより、カーボンブラックの分散性を大幅に改良することができる。
結果は下記のとおりであった。
光沢(%)60°G 漆黒性 着色力
実施例1: 90 ○ 155
実施例2: 89 ○ 153
実施例3: 85 137
実施例4: 86
比較例1: 78 100
比較例2: 73 88
比較例3:
比較例4:
これより、本発明より得られる表面処理カーボンブラックを用いた塗料は、分散性が著しく向上しているのがわかる。
Claims (4)
- カーボンブラック、樹脂、溶剤および下記一般式(1)で示されるアミン群から選ばれた少なくとも1種を含むことを特徴とするカーボンブラック分散体。
H2N−(CH2)n−NR1R2 (1)
〔式中、R1,R2は、それぞれ独立に炭素数1〜18の直鎖状ないし分岐鎖状の置換基を有してもよいアルキル基(R1とR2が一体となって新たな窒素原子または酸素原子を含んでもよく、更なる置換基を有してもよい5員環又は6員環を形成してもよい。)、nは1〜18の整数を表す。〕 - カーボンブラックの全表面官能基量が0.2ミリ当量/g以上であることを特徴とする請求項1記載のカーボンブラック分散体。
- 一般式(1)中のnが1〜4であり、R1、R2がそれぞれ独立に炭素原子数1〜4のアルキル基であることを特徴とする請求項1ないし請求項2いずれか記載のカーボンブラック分散体。
- 樹脂が酸性官能基を有することを特徴とする請求項1ないし請求項3いずれか記載のカーボンブラック分散体。
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