JP3646491B2 - ステアリングホイールのホーンスイッチ構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明はステアリングホイールのホーンスイッチ構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のステアリングホイールのホーンスイッチ構造では、運転者に対面した斜め状態で設置されているステアリングホイールの中央部に、後面側に上側ピン部材と下側ピン部材が各々立設されたベース部を形成し、これら上側及び下側ピン部材にホーンプレートを前後摺動自在に取付けている。そして、この上側ピン部材と下側ピン部材に、ホーンプレートを後方側へ付勢する上側スプリングと下側スプリングをそれぞれ装着している。
【0003】
また、ベース部側には複数の固定接点が設けられ、ホーンプレート側には前記固定接点に対応する複数の可動接点が設けられ、これら固定接点と可動接点によりスイッチが構成されている。更に、ホーンプレートの上側ピン部材よりも上側に位置する上側支持座と、下側ピン部材よりも下側に位置する下側支持座によりセンターパッドが支持されている。このセンターパッドにより前記上側支持座及び下側支持座を介してホーンプレートが押し下げられた際に、前記可動接点の少なくともいずれか1つが固定接点に接触することで、ホーンが鳴動するようになっている(類似技術として、特開平6−329025号公報参照)。
【0004】
このように従来は、上側スプリングと下側スプリングが、それぞれ上側ピン部材と下側ピン部材に装着されており、センターパッドからの力の入力点である上側支持座と上側スプリングとの距離、および同じく力の入力点である下側支持座と下側スプリングとの距離が、上下で略等しいため、センターパッドの上側領域を押す場合も、下側領域を押す場合も、略等しい操作力を必要とする。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の技術にあっては、センターパッドの上側領域を押す場合も、下側領域を押す場合も、略等しい操作力を要する構造になっているが、本来、操作頻度の多いセンターパッドの上側領域の場合は、操作性の面から操作力は小さい方が好ましい。また、ステアリングホイールが運転者に対面した斜め状態で設置されているため、センターパッドの下側領域には、悪路走行時等においてセンターパッドの自重による振動で操作方向への力が加わるため、ホーンの誤作動を防止する面から操作力は大きい方が好ましい。
【0006】
この発明はこのような従来の技術に着目してなされたものであり、センターパッドの上側領域を押す場合は小さな操作力で済み、下側領域を押す場合は大きな操作力を要するステアリングホイールのホーンスイッチ構造を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、運転者に対面した斜め状態で設置されているステアリングホールの中央部に、後面側に上側ピン部材と下側ピン部材が各々立設されたベース部を形成し、これら上側及び下側ピン部材にホーンプレートを前後摺動自在に取付けると共に、ベース部とホーンプレートとの間にホーンプレートを後方側へ付勢する上側スプリングと下側スプリングとを設け、ベース部側に複数の固定接点を設けると共に、ホーンプレート側に前記固定接点に対応する複数の可動接点を設け、且つホーンプレートの上側ピン部材よりも上側に位置する上側支持座と、下側ピン部材よりも下側に位置する下側支持座とによりセンターパッドを支持し、該上側支持座と下側支持座を介してホーンプレートがセンターパッドにより押し下げられた際に、前記可動接点の少なくともいずれか1つが固定接点に接触することでホーンが鳴動するステアリングホイールのホーンスイッチ構造において、前記上側スプリングを上側ピン部材よりも下側に設け、且つ下側スプリングを下側ピン部材と同じ高さか又は下側ピン部材よりも下側に設けると共に、前記下側スプリングと前記下側支持座との上下方向における距離を0にしたものである。
【0008】
請求項1記載の発明によれば、上側スプリングが上側ピン部材よりも下側に設けられ、下側スプリングが下側ピン部材と同じ高さか又は下側ピン部材よりも下側に設けられているため、上側の入力点である上側支持座と、上側スプリングとの距離は長くなり、下側の入力点である下側支持座と、下側スプリングとの距離は短くなる。従って、センターパッドの上側領域を押した場合には、テコの原理により、上側スプリングを圧縮するための力が小さくなると共に、下側ピン部材を支点とした反力により、下側スプリングが下側ピン部材よりも下側に設けられる場合は、下側スプリングが伸びることになり、下側スプリングを下側ピン部材と同じ高さに設けた場合は、下側スプリングは反力を発生しないため、上側領域を押す場合の操作力は小さくて済む。操作頻度の多いセンターパッドの上側領域の操作力が小さくなることで、ホーンを鳴動させるための操作性が向上する。これとは逆に、センターパッドの下側領域を押した場合には、上側スプリングが上側ピン部材よりも下側に設けられているため、上側ピン部材を支点としたテコの原理により、下側スプリングを圧縮するための力が大きくなるため、下側領域を押す場合は大きな操作力を要する。従って、センターパッドの下側領域に、センターパッドの自重による振動で操作方向への力が加わっても、下側領域が容易に押し下げられることはなく、ホーンの誤作動を確実に防ぐことができる。
さらに、下側スプリングと下側支持座が同じ上下位置のため、センターパッドの下側領域を押す場合の操作力が特に大きくなり、ホーンの誤作動を更に確実に防ぐことができる。
【0011】
請求項記載の発明は、上側ピン部材が左右に一対設けられている。
【0012】
請求項記載の発明によれば、上側領域にある上側ピン部材を左右に一対設けたため、操作頻度の多いホーンプレート上部の支持状態が安定し、確実なスイッチ動作が得られる。
【0013】
請求項記載の発明は、固定接点と可動接点がそれぞれ上側スプリングと下側スプリングの内部に設けられている。
【0014】
請求項記載の発明によれば、固定接点及び可動接点を、それぞれ上側スプリング及び下側スプリングの内部に設けているため、各スプリングの外部に各接点を設ける場合に比べて、ホーンプレートの小型化を図ることができ、車体重量の軽減と、ホーンプレートの自重による誤作動の防止を更に図ることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の好適な一実施形態を図1及び図2に基づいて説明する。1はステアリングホイールで、図示せぬステアリングコラムの上端に設けられている。このステアリングホイール1は、運転者に対面した斜め状態になっており、このステアリングホイール1の中央部にはベース部2が設けられている。
【0016】
このベース部2の後面には、上側に左右2本の上側ピン部材3が立設され、その左右の上側ピン部材3の中央下側に1本の下側ピン部材4が立設されている。上側ピン部材3及び下側ピン部材4は、それぞれ大径の頭部を有する形状で、これら上側ピン部材3及び下側ピン部材4に対して、概略ハシゴ形のホーンプレート5が前後摺動自在に取付けられている。
【0017】
そして、ベース部2とホーンプレート5との間には、前記上側ピン部材3よりも下側にそれぞれ左右一対の上側スプリング6が設けられ、下側ピン部材4の下側に左右一対の下側スプリング7が設けられている。これらの上側スプリング6及び下側スプリング7により、ホーンプレート5は後側へ付勢された状態になっている。
【0018】
また、これら上側スプリング6及び下側スプリング7の内部に、それぞれベース部2側の固定接点S1 と、ホーンプレート5側の可動接点S2 が、所定間隔をおいて設けられている。この可動接点S2 のいずれか1つが、対応する固定接点S1 と接触した際に、図示せぬホーンが鳴動するスイッチ構造になっている。
【0019】
ホーンプレート5の後側は、センターパッド8により覆われている。このセンターパッド8はエアバッグモジュールから成っており、ある程度の重量がある。このセンターパッド8は、左右一対の上側支持座9と下側支持座10を介してホーンプレート5に支持されている。上側支持座9は上側ピン部材3よりも上側位置に設けられており、下側支持座10は下側ピン部材4よりも下側で、且つ下側スプリング7と同じ上下位置に設けられている。
【0020】
センターパッド8の中央部を所定の操作力で押すと、その操作力が上側支持座9と下側支持座10を介して、ホーンプレート5に伝達され、該ホーンプレート5を押し下げる。ホーンプレート5が押し下げられると、ホーンプレート5側の可動接点S2 が、ベース部2側の固定接点S1 に接触するため、ホーンが鳴動する。
【0021】
次に、センターパッド8の上側領域Aを押した場合の操作力と、下側領域Bを押した場合の操作力の違いを説明する。
【0022】
上側領域Aの例えば中央の操作点A1 を押した場合は、その操作力F1 が上側支持座9を介してホーンプレート5の上端に伝達され、該ホーンプレート5の上端を押し下げる。この際、上側スプリング6を上側ピン部材3よりも下側に設けたことにより、上側支持座9と上側スプリング6との距離Lが従来よりも長くなっているため(尚、従来は上側ピン部材3に上側スプリング6が装着されていた)、下側ピン部材4を支点とした、テコの原理により、該上側スプリング6を圧縮するための力が小さくて済む。
【0023】
また、下側スプリング7側では、下側ピン部材4を支点とした反力fが生じるため、下側スプリング7はこの反力fにより伸ばされることになり、下側スプリング7は圧縮されない。従って、センターパッド8の上側領域Aを押す場合の操作力F1 は小さくて済む。上側領域Aの左右両側の操作点A2 、A3 を押す場合も、同様に操作力F1 が小さくて済む。操作頻度の多いセンターパッド8の上側領域Aの操作力F1 が小さくなることで、ホーンを鳴動させるための操作性が向上する。尚、下側スプリング7が、下側ピン部材4と同じ高さに設けられている場合、操作点A1 を押したことに対して、下側スプリング7の下側ピン部材4を支点とした反力fは0となるが、本実施形態の効果を失うものではない。
【0024】
これとは逆に、センターパッド8の下側領域Bを押す場合は、大きな操作力F2 を要する。すなわち、下側スプリング7を下側ピン部材4よりも下側に設けたことにより、従来よりも下側スプリング7と下側支持座10との距離が短くなるため(尚、この実施形態では距離=0にしてある)、下側領域Bの例えば中央の操作点B1 を押す場合には大きな操作力F2 を要する。従って、センターパッド8の下側領域Bに、センターパッド8の自重による振動で操作方向への力が加わっても、下側領域Bが容易に押し下げられることはなく、ホーンが誤って鳴動することはない。
【0025】
また、この実施形態では、上側領域Aにある上側ピン部材3を左右に一対設けたため、操作頻度の多いホーンプレート5の上部における支持状態が安定し、確実なスイッチ動作が得られる。更に、固定接点S1 及び可動接点S2 を、前述のように、上側スプリング6と下側スプリング7の内部に設けているため、各スプリング6、7の外部に設ける場合に比べて、ホーンプレート5の小型化を図ることができ、車体重量の軽減と、ホーンプレートの自重による誤作動の防止を更に図ることができる。
【0026】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、上側スプリングが上側ピン部材よりも下側に設けられ、下側スプリングが下側ピン部材と同じ高さか又は下側ピン部材よりも下側に設けられているため、上側の入力点である上側支持座と、上側スプリングとの距離は長くなり、下側の入力点である下側支持座と、下側スプリングとの距離は短くなる。従って、センターパッドの上側領域を押した場合には、テコの原理により、上側スプリングを圧縮するための力が小さくなると共に、下側ピン部材を支点とした反力により、下側スプリングが下側ピン部材よりも下側に設けられる場合は、下側スプリングが伸びることになり、下側スプリングを下側ピン部材と同じ高さに設けた場合は、下側スプリングは反力を発生しないため、上側領域を押す場合の操作力は小さくて済む。操作頻度の多いセンターパッドの上側領域の操作力が小さくなることで、ホーンを鳴動させるための操作性が向上する。これとは逆に、センターパッドの下側領域を押した場合には、上側スプリングが上側ピン部材よりも下側に設けられているため、上側ピン部材を支点としたテコの原理により、下側スプリングを圧縮するための力が大きくなるため、下側領域を押す場合は大きな操作力を要する。従って、センターパッドの下側領域に、センターパッドの自重による振動で操作方向への力が加わっても、下側領域が容易に押し下げられることはなく、ホーンの誤作動を確実に防ぐことができる。
さらに、下側スプリングと下側支持座が同じ上下位置のため、センターパッドの下側領域を押す場合の操作力が特に大きくなり、ホーンの誤作動を更に確実に防ぐことができる。
【0028】
請求項記載の発明によれば、上側領域にある上側ピン部材を左右に一対設けたため、操作頻度の多いホーンプレート上部の支持状態が安定し、確実なスイッチ動作が得られる。
【0029】
請求項記載の発明によれば、固定接点及び可動接点を、それぞれ上側スプリング及び下側スプリングの内部に設けているため、各スプリングの外部に各接点を設ける場合に比べて、ホーンプレートの小型化を図ることができ、車体重量の軽減と、ホーンプレートの自重による誤作動の防止を更に図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態に係るホーンスイッチ構造を示すステアリングホイールの側面図。
【図2】図1中矢示SA−SA線に沿う断面図。
【符号の説明】
1 ステアリングホイール
2 ベース部
3 上側ピン部材
4 下側ピン部材
5 ホーンプレート
6 上側スプリング
7 下側スプリング
8 センターパッド
9 上側支持座
10 下側支持座
A 上側領域
B 下側領域
1 固定接点
2 可動接点
1 、F2 操作力
L 距離

Claims (3)

  1. 運転者に対面した斜め状態で設置されているステアリングホールの中央部に、後面側に上側ピン部材と下側ピン部材が各々立設されたベース部を形成し、これら上側及び下側ピン部材にホーンプレートを前後摺動自在に取付けると共に、ベース部とホーンプレートとの間にホーンプレートを後方側へ付勢する上側スプリングと下側スプリングとを設け、
    ベース部側に複数の固定接点を設けると共に、ホーンプレート側に前記固定接点に対応する複数の可動接点を設け、且つホーンプレートの上側ピン部材よりも上側に位置する上側支持座と、下側ピン部材よりも下側に位置する下側支持座とによりセンターパッドを支持し、該上側支持座と下側支持座を介してホーンプレートがセンターパッドにより押し下げられた際に、前記可動接点の少なくともいずれか1つが固定接点に接触することでホーンが鳴動するステアリングホイールのホーンスイッチ構造において、
    前記上側スプリングを上側ピン部材よりも下側に設け、且つ下側スプリングを下側ピン部材と同じ高さか又は下側ピン部材よりも下側に設けると共に、
    前記下側スプリングと前記下側支持座との上下方向における距離を0にしたことを特徴とするステアリングホイールのホーンスイッチ構造。
  2. 前記上側ピン部材が左右に一対設けられていることを特徴とする請求項1記載のステアリングホイールのホーンスイッチ構造。
  3. 前記固定接点と前記可動接点とが、それぞれ上側スプリング及び下側スプリングの内部に設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のステアリングホイールのホーンスイッチ構造。
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