JP3645705B2 - 木材用接着剤組成物 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は木材用メラミン・ホルムアルデヒド樹脂、ユリア・ホルムアルデヒド樹脂及びメラミン・ユリア・ホルムアルデヒド樹脂からなる接着剤(以下、MUF樹脂系接着剤という)に関し、詳しくは、ヘキサメチレンテトラミンの添加により、低ホルムアルデヒド化及び速硬化化されたMUF樹脂系接着剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、健康被害の問題から、合板あるいは木質系ボード等による室内のホルムアルデヒド汚染がクローズアップされており、合板においてはJASのホルムアルデヒド放散量(以下、F放散量という)規格におけるF1 規格(F放散量:0.5mg/l以下)、木質系ボードにおいてはJISのホルムアルデヒド放出量(以下、F放出量という)規格にてE0規格(F放出量;0.5mg/l以下)が要求されている。
【0003】
従来のMUF樹脂系接着剤においては、反応に使用するホルムアルデヒドとメラミン及び又はユリアのアミノ基の当量比(以下、F/−NH2 当量比という)を0.50〜0.60とすれば、南洋材合板においてはJASのF1 規格を満たすが、木質構造の相違から熱圧締時に余剰ホルムアルデヒドが放出されにくいと考えられる針葉樹合板ではF1 規格を満たすレベルには達していなかった。
木質系ボードにおいてもF/−NH2 当量比を0.50〜0.60とすれば、F放出量はJISのE1規格(F放出量:1.5mg/l以下)を満たすが、E0 規格を満たすレベルには達していなかった。
【0004】
ホルムアルデヒドキャッチャーとしてユリア、メラミンあるいはアンモニアなどを添加することによりF放散量及びF放出量は低減するが、ゲル化時間が長くなるため、接着性能、特に種々の耐久処理後の接着性能の低下が大きい。
MUF樹脂系接着剤のF/−NH2 当量比を 0.50より低くすればF放散量あるいはF放出量は低減するが、その当量比においては接着剤組成物のゲル化時間は長く、硬化性が充分でないため接着性能が低下し、また硬化不充分のためにF放散量もF1 規格を、またF放出量もE0 規格を満たすレベルまでには低減できなかった。
【0005】
パラホルムアルデヒドやホルマリン等を添加すれば、低F/−NH2 当量比のMUF樹脂系接着剤の硬化性及び接着性能は向上するが、F放散量及びF放出量が増加し、F1 規格及びE0 規格を満たすことはできなかった。
ヘキサメチレンテトラミン(以下、ヘキサミンという)は、従来F/−NH2 当量比が 0.6より高いMUF樹脂接着剤に硬化遅延剤として添加されており、硬化性の向上を目的としては添加されることはなかった。即ち、F/−NH2 当量比が 0.6より高い領域のMUF樹脂系接着剤にヘキサミンを添加すれば、ヘキサミンが分解して生成するアンモニアによりホルムアルデヒドが消費されることから調合糊液のゲル化時間は長くなり、硬化が遅延する傾向にあった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、従来のMUF樹脂系接着剤では、接着性能を低下させることなく、針葉樹合板のF1 規格を満たすこと、また木質系ボードにおいてはE0 規格を満たすことは困難であったが、本発明においては、これらの規格を満たし、かつ速硬化性であるMUF樹脂系接着剤を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、メラミン及び又はユリアとホルムアルデヒドとを反応させて得られるメラミン・ホルムアルデヒド樹脂、ユリア・ホルムアルデヒド樹脂又はメラミン・ユリア・ホルムアルデヒド樹脂において、反応するホルムアルデヒドとメラミン及び又はユリアのアミノ基との当量比0.40〜0.60であり、反応後ヘキサメチレンテトラミンを添加することを特徴とする木材用接着剤組成物、に関するものである。
F放散量あるいはF放出量を低減させるためには、MUF樹脂系接着剤におけるF/−NH2 当量比の低減が必要である。本発明者らは、pHの低い領域にて反応させるとF/−NH2 当量比の低いMUF樹脂系接着剤のゲル化時間の短縮が可能であり、またヘキサミンがホルムアルデヒドとアンモニアに分解することに着目した。
【0008】
メラミン及び又はユリアとホルムアルデヒドとの反応を、F/−NH2 当量比が0.40〜0.60の範囲で、塩基性触媒あるいは酸性触媒によりpH 4.0〜9.0 に調整して実施し、MUF樹脂系接着剤を得る。これにヘキサミンを添加して、ヘキサミンが分解して生成するホルムアルデヒドと原料メラミン及び又はユリアのアミノ基との当量比を0.01〜0.10の範囲で高め、接着剤の硬化を促進する。そして、ことにより接着性能を維持しつつ、ヘキサミンから分解されるアンモニアが余剰のホルムアルデヒドを反応消費することにより、F1 規格を満たす針葉樹合板を、またE0 規格を満たす木質系ボードを得られる接着剤組成物を得るに至ったものである。
【0009】
またホルムアルデヒドと縮合させるメラミン及び又はユリアの割合を変えることにより、合板においてはJASの二類規格及び一類規格の合板が、木質系ボードにおいてはJISのUボード,Mボード及びPボードが得られる接着剤組成物を得ることができる。
すなわち本発明は、F/−NH2 当量比を0.40〜0.60として、好ましくはpH4.0〜9.0の領域において、MUF樹脂系接着剤を合成し、これにヘキサミンを添加して、ヘキサミンが分解して生成するホルムアルデヒドと原料メラミン及び又はユリアのアミノ基との当量比を0.01〜0.10だけ高めて、糊液を得ることにより、JASのホルムアルデヒド放散量規格におけるF1 規格合板を、またJISのホルムアルデヒド放出量規格におけるE0 規格木質系ボードを安定して得ることを目的としている。(この部分は、ダブっており不要か?)
【0010】
MUF樹脂系接着剤のF/−NH2 当量比を0.40〜0.60に調製する理由は、これが0.40未満ではMUF樹脂接着剤の貯蔵安定性が低下し、0.60を越えるとホルムアルデヒド放散量がF1 規格合板を、またホルムアルデヒド放出量がE0 規格を満足することができず、かつヘキサミンの添加により硬化が遅延される傾向にある。
【0011】
次に、MUF樹脂系接着剤の反応においてpHを4.0〜9.0の領域にすることが好ましいが、この理由は、pH 4.0未満においては反応速度が速く反応度合の制御が困難になり、pH 9.0を越えると接着剤に残存する塩基より硬化が遅延する。
次に、MUF樹脂系接着剤の反応後、ヘキサミンを添加して、ヘキサミンが分解して生成するホルムアルデヒドと原料メラミン及び又はユリアのアミノ基との当量比で0.01〜0.10だけ高める理由は、合板又は木質ボートからのホルムアルデヒド放散量の低下と、接着剤の速硬化を両立させることにあるが、0.01未満では分解して生成するホルムアルデヒドが少なく充分な接着性能が得られず、0.10を越えると同時に生成されるアンモニアの硬化阻害の効果がホルムアルデヒドによる硬化促進効果を上まわり、やはり充分な接着性能が得られない。
【0012】
本発明におけるMUF樹脂系接着剤はメラミン及び又はユリアとホルムアルデヒドを反応させたものであるが、その貯蔵安定性の向上を目的として、ポリビニルアルコール,ポリビニルブチラール,エチレングリコール,ジエチレングリコールなどで変性した変性樹脂であってもよい。このような変性により、合板製造における糊液の塗布性,冷圧締後熱圧締工程前における仮の接着性(以下、仮接着性という),塗布機等の洗浄性を向上させ、乾きによる糊液転写不良を防止することができ、木質系ボード製造における糊液吹き付けチップマットの成形性及び形状維持性などを向上させることができる。
【0013】
本発明の接着剤組成物には、合板製造における仮接着性の向上、また合板及び木質系ボード製造における硬化性の促進を目的として、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI),レゾルシノール樹脂,あるいは酸、酸性塩等を添加調合してもよい。
本発明の接着剤組成物には、前記の添加剤の他に充填剤,増量剤,水などを必要に応じて添加調合することも可能である。
【0014】
【実施例】
次に、本発明を実施例に基づき説明する。
【0015】
接着剤製造例1
ユリア30重量部と37%ホルマリン210重量部を混合(F/−NH2 当量比= 2.6)して30%苛性ソーダをpHが約 5.4となるように添加し、還流条件下において30分間反応した後75℃まで冷却し、メラミン140重量部を添加(F/−NH2 当量比=0.60)し、30%苛性ソーダにてpHを約8.2に調整して更に還流条件下で30分間反応させた。しかる後に、約75℃に冷却してユリア42重量部を添加(F/−NH2当量比=0.45)し、約75℃にて、樹脂接着剤と水の比率6/9の混合液が約40℃にて白濁する時点まで反応した後冷却した。
【0016】
接着剤製造例2
ユリア40重量部と37%ホルマリン245重量部を混合(F/−NH2 当量比=2.3)して30%苛性ソーダをpHが約7.4となるように添加して還流条件下で30分間反応した後冷却し、メラミン140重量部を添加(F/−NH2 当量比=0.65)し、30%苛性ソーダにてpHを約11.0に調整して更に還流条件下で30分間反応させた。しかる後に、約75℃に冷却してユリア25重量部を添加(F/−NH2 当量比= 0.55)し、約75℃にて、樹脂接着剤と水の比率6/9の混合液が約40℃にて白濁する時点まで反応した後冷却した。
【0017】
前記各接着剤製造例において得られた樹脂接着剤の不揮発分は約52%となるように調製している
【0018】
実施例1
接着剤製造例1で得られたMUF樹脂接着剤(A)100重量部にヘキサミンを1.0重量部添加し、更に小麦粉15重量部と塩化アンモニウム1重量部を添加攪拌して糊液を得た。
この糊液を用いて1.8mm厚のカラマツ単板を用いて5プライ合板を試作した。合板の試作は、塗布量28g/尺2,冷圧締30分/10Kgf/cm2・室温,熱圧締180秒/10Kgf/cm2・125℃にて実施した。
【0019】
比較例1
接着剤製造例1で得られたMUF樹脂接着剤(A)を用いて、ヘキサミンを無添加とした以外は実施例1と全く同様にして合板を試作した。
【0020】
比較例2
接着剤製造例2で得られたMUF樹脂接着剤(B)を用いて、ヘキサミンを無添加とする以外は実施例1と全く同様にして合板を試作した。
【0021】
糊液を調製するための調合割合を表1にまとめた。
【表1】
【0022】
得られた試作合板について、JAS規格に基づき常態接着力試験、煮沸繰返し接着力試験及びホルムアルデヒド放散量試験を実施した。その結果は表2の通りであった。
【表2】
【0023】
接着剤製造例3
メラミン70重量部と37%ホルマリン135重量部を混合(F/−NH2 当量比=1.0)してリン酸2ソーダをpHが約8.0となるように添加し、還流条件下において30分間反応した後75℃まで冷却し、メラミン47重量部を添加(F/−NH2 当量比= 0.60)し、還流条件下で更に30分間反応させた。しかる後に約75℃に冷却してユリア15重量部を添加(F/−NH2 当量比=0.51)し、約75℃にて、樹脂接着剤と水の比率6/9の混合液が約30℃にて白濁する時点まで反応した後冷却し、更にユリアを20重量部添加(F/−NH2 当量比= 0.42)し溶解させた。
【0024】
接着剤製造例4
メラミン70重量部と37%ホルマリン135重量部を混合(F/−NH2 当量比=1.0)してリン酸2ソーダをpHが約8.0となるように添加し、還流条件下において30分間反応した後75℃まで冷却し、メラミン37重量部を添加(F/−NH2 当量比= 0.65)し、約90℃にて、樹脂接着剤と水の比率6/9の混合液が約25℃にて白濁する時点まで反応した後冷却し、更にユリアを18重量部添加(F/−NH2 当量比= 0.53)し溶解させた。
【0025】
前記各接着剤製造例において得られた樹脂接着剤の不揮発分は約65%となるように調製している
【0026】
実施例2
接着剤製造例3で得られたMUF樹脂接着剤(C)100重量部にヘキサミンを3.0重量部添加し、更に塩化アンモニウム1重量部と水15重量部を添加攪拌して糊液を得た。
この糊液を用いて15.0mm厚,設定密度0.75のパーティクルボードを試作した。パーティクルボードの試作は、樹脂含脂率10%(対絶乾チップ重量),熱圧締240秒/35Kgf/cm2・180℃にて実施した。
【0027】
比較例3
接着剤製造例3で得られたMUF樹脂接着剤(C)を用いて、ヘキサミンを無添加とした以外は実施例2と全く同様にして合板を試作した。
【0028】
比較例4
接着剤製造例4で得られたMUF樹脂接着剤(D)を用いて、ヘキサミンを無添加とする以外は実施例2と全く同様にして合板を試作した。
【0029】
糊液を調製するための調合割合を表3にまとめた。
【表3】
【0030】
得られた試作パーティクルボードについて、JIS規格に基づき、はく離強さ試験,曲げ強さ試験,湿潤時曲げ強さ試験(B)及びホルムアルデヒド放出量試験を実施した。その結果は表4の通りであった。
【表4】
【0031】
【発明の効果】
従来のアミノ系樹脂接着剤では、合板に関するJASのホルムアルデヒド放散量規格におけるF1 規格を満たす針葉樹合板を、また木質ボードに関するJISのホルムアルデヒド放出量規格におけるE0 規格を満たす木質ボードを得ることができなかったが、本発明の木材用接着剤組成物を用いることにより、これらの規格を満たす合板あるいは木質ボードを得ることができる。さらには、速硬化性の向上をも達成することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は木材用メラミン・ホルムアルデヒド樹脂、ユリア・ホルムアルデヒド樹脂及びメラミン・ユリア・ホルムアルデヒド樹脂からなる接着剤(以下、MUF樹脂系接着剤という)に関し、詳しくは、ヘキサメチレンテトラミンの添加により、低ホルムアルデヒド化及び速硬化化されたMUF樹脂系接着剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、健康被害の問題から、合板あるいは木質系ボード等による室内のホルムアルデヒド汚染がクローズアップされており、合板においてはJASのホルムアルデヒド放散量(以下、F放散量という)規格におけるF1 規格(F放散量:0.5mg/l以下)、木質系ボードにおいてはJISのホルムアルデヒド放出量(以下、F放出量という)規格にてE0規格(F放出量;0.5mg/l以下)が要求されている。
【0003】
従来のMUF樹脂系接着剤においては、反応に使用するホルムアルデヒドとメラミン及び又はユリアのアミノ基の当量比(以下、F/−NH2 当量比という)を0.50〜0.60とすれば、南洋材合板においてはJASのF1 規格を満たすが、木質構造の相違から熱圧締時に余剰ホルムアルデヒドが放出されにくいと考えられる針葉樹合板ではF1 規格を満たすレベルには達していなかった。
木質系ボードにおいてもF/−NH2 当量比を0.50〜0.60とすれば、F放出量はJISのE1規格(F放出量:1.5mg/l以下)を満たすが、E0 規格を満たすレベルには達していなかった。
【0004】
ホルムアルデヒドキャッチャーとしてユリア、メラミンあるいはアンモニアなどを添加することによりF放散量及びF放出量は低減するが、ゲル化時間が長くなるため、接着性能、特に種々の耐久処理後の接着性能の低下が大きい。
MUF樹脂系接着剤のF/−NH2 当量比を 0.50より低くすればF放散量あるいはF放出量は低減するが、その当量比においては接着剤組成物のゲル化時間は長く、硬化性が充分でないため接着性能が低下し、また硬化不充分のためにF放散量もF1 規格を、またF放出量もE0 規格を満たすレベルまでには低減できなかった。
【0005】
パラホルムアルデヒドやホルマリン等を添加すれば、低F/−NH2 当量比のMUF樹脂系接着剤の硬化性及び接着性能は向上するが、F放散量及びF放出量が増加し、F1 規格及びE0 規格を満たすことはできなかった。
ヘキサメチレンテトラミン(以下、ヘキサミンという)は、従来F/−NH2 当量比が 0.6より高いMUF樹脂接着剤に硬化遅延剤として添加されており、硬化性の向上を目的としては添加されることはなかった。即ち、F/−NH2 当量比が 0.6より高い領域のMUF樹脂系接着剤にヘキサミンを添加すれば、ヘキサミンが分解して生成するアンモニアによりホルムアルデヒドが消費されることから調合糊液のゲル化時間は長くなり、硬化が遅延する傾向にあった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、従来のMUF樹脂系接着剤では、接着性能を低下させることなく、針葉樹合板のF1 規格を満たすこと、また木質系ボードにおいてはE0 規格を満たすことは困難であったが、本発明においては、これらの規格を満たし、かつ速硬化性であるMUF樹脂系接着剤を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、メラミン及び又はユリアとホルムアルデヒドとを反応させて得られるメラミン・ホルムアルデヒド樹脂、ユリア・ホルムアルデヒド樹脂又はメラミン・ユリア・ホルムアルデヒド樹脂において、反応するホルムアルデヒドとメラミン及び又はユリアのアミノ基との当量比0.40〜0.60であり、反応後ヘキサメチレンテトラミンを添加することを特徴とする木材用接着剤組成物、に関するものである。
F放散量あるいはF放出量を低減させるためには、MUF樹脂系接着剤におけるF/−NH2 当量比の低減が必要である。本発明者らは、pHの低い領域にて反応させるとF/−NH2 当量比の低いMUF樹脂系接着剤のゲル化時間の短縮が可能であり、またヘキサミンがホルムアルデヒドとアンモニアに分解することに着目した。
【0008】
メラミン及び又はユリアとホルムアルデヒドとの反応を、F/−NH2 当量比が0.40〜0.60の範囲で、塩基性触媒あるいは酸性触媒によりpH 4.0〜9.0 に調整して実施し、MUF樹脂系接着剤を得る。これにヘキサミンを添加して、ヘキサミンが分解して生成するホルムアルデヒドと原料メラミン及び又はユリアのアミノ基との当量比を0.01〜0.10の範囲で高め、接着剤の硬化を促進する。そして、ことにより接着性能を維持しつつ、ヘキサミンから分解されるアンモニアが余剰のホルムアルデヒドを反応消費することにより、F1 規格を満たす針葉樹合板を、またE0 規格を満たす木質系ボードを得られる接着剤組成物を得るに至ったものである。
【0009】
またホルムアルデヒドと縮合させるメラミン及び又はユリアの割合を変えることにより、合板においてはJASの二類規格及び一類規格の合板が、木質系ボードにおいてはJISのUボード,Mボード及びPボードが得られる接着剤組成物を得ることができる。
すなわち本発明は、F/−NH2 当量比を0.40〜0.60として、好ましくはpH4.0〜9.0の領域において、MUF樹脂系接着剤を合成し、これにヘキサミンを添加して、ヘキサミンが分解して生成するホルムアルデヒドと原料メラミン及び又はユリアのアミノ基との当量比を0.01〜0.10だけ高めて、糊液を得ることにより、JASのホルムアルデヒド放散量規格におけるF1 規格合板を、またJISのホルムアルデヒド放出量規格におけるE0 規格木質系ボードを安定して得ることを目的としている。(この部分は、ダブっており不要か?)
【0010】
MUF樹脂系接着剤のF/−NH2 当量比を0.40〜0.60に調製する理由は、これが0.40未満ではMUF樹脂接着剤の貯蔵安定性が低下し、0.60を越えるとホルムアルデヒド放散量がF1 規格合板を、またホルムアルデヒド放出量がE0 規格を満足することができず、かつヘキサミンの添加により硬化が遅延される傾向にある。
【0011】
次に、MUF樹脂系接着剤の反応においてpHを4.0〜9.0の領域にすることが好ましいが、この理由は、pH 4.0未満においては反応速度が速く反応度合の制御が困難になり、pH 9.0を越えると接着剤に残存する塩基より硬化が遅延する。
次に、MUF樹脂系接着剤の反応後、ヘキサミンを添加して、ヘキサミンが分解して生成するホルムアルデヒドと原料メラミン及び又はユリアのアミノ基との当量比で0.01〜0.10だけ高める理由は、合板又は木質ボートからのホルムアルデヒド放散量の低下と、接着剤の速硬化を両立させることにあるが、0.01未満では分解して生成するホルムアルデヒドが少なく充分な接着性能が得られず、0.10を越えると同時に生成されるアンモニアの硬化阻害の効果がホルムアルデヒドによる硬化促進効果を上まわり、やはり充分な接着性能が得られない。
【0012】
本発明におけるMUF樹脂系接着剤はメラミン及び又はユリアとホルムアルデヒドを反応させたものであるが、その貯蔵安定性の向上を目的として、ポリビニルアルコール,ポリビニルブチラール,エチレングリコール,ジエチレングリコールなどで変性した変性樹脂であってもよい。このような変性により、合板製造における糊液の塗布性,冷圧締後熱圧締工程前における仮の接着性(以下、仮接着性という),塗布機等の洗浄性を向上させ、乾きによる糊液転写不良を防止することができ、木質系ボード製造における糊液吹き付けチップマットの成形性及び形状維持性などを向上させることができる。
【0013】
本発明の接着剤組成物には、合板製造における仮接着性の向上、また合板及び木質系ボード製造における硬化性の促進を目的として、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI),レゾルシノール樹脂,あるいは酸、酸性塩等を添加調合してもよい。
本発明の接着剤組成物には、前記の添加剤の他に充填剤,増量剤,水などを必要に応じて添加調合することも可能である。
【0014】
【実施例】
次に、本発明を実施例に基づき説明する。
【0015】
接着剤製造例1
ユリア30重量部と37%ホルマリン210重量部を混合(F/−NH2 当量比= 2.6)して30%苛性ソーダをpHが約 5.4となるように添加し、還流条件下において30分間反応した後75℃まで冷却し、メラミン140重量部を添加(F/−NH2 当量比=0.60)し、30%苛性ソーダにてpHを約8.2に調整して更に還流条件下で30分間反応させた。しかる後に、約75℃に冷却してユリア42重量部を添加(F/−NH2当量比=0.45)し、約75℃にて、樹脂接着剤と水の比率6/9の混合液が約40℃にて白濁する時点まで反応した後冷却した。
【0016】
接着剤製造例2
ユリア40重量部と37%ホルマリン245重量部を混合(F/−NH2 当量比=2.3)して30%苛性ソーダをpHが約7.4となるように添加して還流条件下で30分間反応した後冷却し、メラミン140重量部を添加(F/−NH2 当量比=0.65)し、30%苛性ソーダにてpHを約11.0に調整して更に還流条件下で30分間反応させた。しかる後に、約75℃に冷却してユリア25重量部を添加(F/−NH2 当量比= 0.55)し、約75℃にて、樹脂接着剤と水の比率6/9の混合液が約40℃にて白濁する時点まで反応した後冷却した。
【0017】
前記各接着剤製造例において得られた樹脂接着剤の不揮発分は約52%となるように調製している
【0018】
実施例1
接着剤製造例1で得られたMUF樹脂接着剤(A)100重量部にヘキサミンを1.0重量部添加し、更に小麦粉15重量部と塩化アンモニウム1重量部を添加攪拌して糊液を得た。
この糊液を用いて1.8mm厚のカラマツ単板を用いて5プライ合板を試作した。合板の試作は、塗布量28g/尺2,冷圧締30分/10Kgf/cm2・室温,熱圧締180秒/10Kgf/cm2・125℃にて実施した。
【0019】
比較例1
接着剤製造例1で得られたMUF樹脂接着剤(A)を用いて、ヘキサミンを無添加とした以外は実施例1と全く同様にして合板を試作した。
【0020】
比較例2
接着剤製造例2で得られたMUF樹脂接着剤(B)を用いて、ヘキサミンを無添加とする以外は実施例1と全く同様にして合板を試作した。
【0021】
糊液を調製するための調合割合を表1にまとめた。
【表1】
【0022】
得られた試作合板について、JAS規格に基づき常態接着力試験、煮沸繰返し接着力試験及びホルムアルデヒド放散量試験を実施した。その結果は表2の通りであった。
【表2】
【0023】
接着剤製造例3
メラミン70重量部と37%ホルマリン135重量部を混合(F/−NH2 当量比=1.0)してリン酸2ソーダをpHが約8.0となるように添加し、還流条件下において30分間反応した後75℃まで冷却し、メラミン47重量部を添加(F/−NH2 当量比= 0.60)し、還流条件下で更に30分間反応させた。しかる後に約75℃に冷却してユリア15重量部を添加(F/−NH2 当量比=0.51)し、約75℃にて、樹脂接着剤と水の比率6/9の混合液が約30℃にて白濁する時点まで反応した後冷却し、更にユリアを20重量部添加(F/−NH2 当量比= 0.42)し溶解させた。
【0024】
接着剤製造例4
メラミン70重量部と37%ホルマリン135重量部を混合(F/−NH2 当量比=1.0)してリン酸2ソーダをpHが約8.0となるように添加し、還流条件下において30分間反応した後75℃まで冷却し、メラミン37重量部を添加(F/−NH2 当量比= 0.65)し、約90℃にて、樹脂接着剤と水の比率6/9の混合液が約25℃にて白濁する時点まで反応した後冷却し、更にユリアを18重量部添加(F/−NH2 当量比= 0.53)し溶解させた。
【0025】
前記各接着剤製造例において得られた樹脂接着剤の不揮発分は約65%となるように調製している
【0026】
実施例2
接着剤製造例3で得られたMUF樹脂接着剤(C)100重量部にヘキサミンを3.0重量部添加し、更に塩化アンモニウム1重量部と水15重量部を添加攪拌して糊液を得た。
この糊液を用いて15.0mm厚,設定密度0.75のパーティクルボードを試作した。パーティクルボードの試作は、樹脂含脂率10%(対絶乾チップ重量),熱圧締240秒/35Kgf/cm2・180℃にて実施した。
【0027】
比較例3
接着剤製造例3で得られたMUF樹脂接着剤(C)を用いて、ヘキサミンを無添加とした以外は実施例2と全く同様にして合板を試作した。
【0028】
比較例4
接着剤製造例4で得られたMUF樹脂接着剤(D)を用いて、ヘキサミンを無添加とする以外は実施例2と全く同様にして合板を試作した。
【0029】
糊液を調製するための調合割合を表3にまとめた。
【表3】
【0030】
得られた試作パーティクルボードについて、JIS規格に基づき、はく離強さ試験,曲げ強さ試験,湿潤時曲げ強さ試験(B)及びホルムアルデヒド放出量試験を実施した。その結果は表4の通りであった。
【表4】
【0031】
【発明の効果】
従来のアミノ系樹脂接着剤では、合板に関するJASのホルムアルデヒド放散量規格におけるF1 規格を満たす針葉樹合板を、また木質ボードに関するJISのホルムアルデヒド放出量規格におけるE0 規格を満たす木質ボードを得ることができなかったが、本発明の木材用接着剤組成物を用いることにより、これらの規格を満たす合板あるいは木質ボードを得ることができる。さらには、速硬化性の向上をも達成することができる。
Claims (3)
- メラミン及び又はユリアとホルムアルデヒドとを反応させて得られるメラミン・ホルムアルデヒド樹脂、ユリア・ホルムアルデヒド樹脂又はメラミン・ユリア・ホルムアルデヒド樹脂において、反応するホルムアルデヒドとメラミン及び又はユリアのアミノ基との当量比0.40〜0.60であり、反応後ヘキサメチレンテトラミンを添加することを特徴とする木材用接着剤組成物。
- メラミン・ホルムアルデヒド樹脂、ユリア・ホルムアルデヒド樹脂又はメラミン・ユリア・ホルムアルデヒド樹脂に添加するヘキサメチレンテトラミンの量が、このヘキサメチレンテトラミンの分解により生じるホルムアルデヒドとメラミン及び又はユリアのアミノ基との当量比に換算して、0.01〜0.10である請求項1記載の木材用接着剤組成物。
- メラミン及び又はユリアとホルムアルデヒドとを反応する際の反応液のpHが4.0〜9.0である請求項1又は2記載の木材用接着剤組成物。
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