JP3645547B2 - 試料検査装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、試料上のパターン欠陥を検査する試料検査装置に関し、特に半導体素子や液晶ディスプレイ(LCD)を製作するときに使用されるフォトマスク,ウェハ,或いは液晶基板などの極めて小さなパターンの欠陥を検査する試料検査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
1ギガビット級のダイナミックRAM(DRAM)に代表されるように、大規模集積回路(LSI)を構成するパターンは、サブミクロンからナノメータのオーダになろうとしている。このLSIの製造における歩留まりの低下の大きな原因の一つとして、半導体ウェハ上に超微細パターンをフォトリソグラフィ技術で露光,転写する際に使用されるフォトマスクのパターン欠陥があげられる。特に、半導体ウェハ上に形成されるLSIのパターン寸法の微細化に伴って、パターン欠陥として検出しなければならない寸法も極めて小さいものとなっている。このため、このような欠陥を検査する装置の開発が盛んに行われている。
【0003】
一方、マルチメディア化の進展に伴い、LCDは500mm×600mm、更にはこれ以上への液晶基板サイズの大型化と、液晶基板上に形成されるTFT等のパターンの微細化が進んでいる。従って、極めて小さいパターン欠陥を広範囲に検査することが要求されるようになってきている。このため、このような大面積LCDのパターン及び大面積LCDを製作する時に用いられるフォトマスクのパターン欠陥を短時間で、且つ効率的に検査する試料検査装置の開発も急務となってきている。
【0004】
従来のフォトマスクの欠陥検査装置には、ダイ比較検査の方式として、ダイ−デーベース検査方式(Die-to-database検査)とダイ−ダイ検査方式(Die-to-die検査)がある(例えば、特許文献1参照)。ダイ−データベース検査方式では、マスク上のパターンを検査光学系により測定し、この測定により得られた測定パターンデータと、マスクを作製する際に用いた設計データから得られる参照パターンデータとを適切なアルゴリズムに従って比較する。ダイ−ダイ検査方式では、フォトマスクに同じパターンが描画された複数の領域がある場合を前提とし、相互の測定パターンデータ同士を比較する。
【0005】
通常、ダイ比較検査を行う際には、被検査物のパターン画像を1倍〜高々100倍程度以下の倍率で撮像できる光学系機能から取得したデータより、オペレータがどのダイ同士を検査するかを予め指定し、更にそのダイの原点座標やサイズ等を教示しておく必要があった。この作業は多大な手間と熟練を要し、これが検査スループットを低下させる要因となっていた。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−139450
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このように従来、ダイ比較検査を行う際には、オペレータがどのダイ同士を検査するかを予め指定する必要があり、しかもダイの原点座標やサイズ等を教示しておく必要があり、オペレータに多大な負担を強いることになり、これが検査スループットを低下させる要因となっていた。
【0008】
本発明は、上記事情を考慮して成されたもので、その目的とするところは、オペレータがどのダイ同士を検査するかを指定しなくてもダイ比較検査を行うことができ、検査スループットの向上をはかり得る試料検査装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
(構成)
上記課題を解決するために本発明は、次のような構成を採用している。
【0010】
即ち本発明は、試料上のパターンを検査光学系により測定し、複数の繰り返し領域のうちの一つの繰り返し領域の測定パターンデータと他の繰り返し領域の測定パターンデータとを比較するダイ−ダイ検査方式、又は複数の繰り返し領域の各測定パターンデータを設計データから得られる参照パターンデータと比較するダイ−データベース検査方式とダイ−ダイ検査方式の両方の検査機能を持つ試料検査装置であって、以下の構成を特徴とする。
【0011】
(a)試料上の全パターン領域を、検査光学系よりも低い倍率で撮像する低倍率光学系と、低倍率光学系による撮像データを用いて試料上の全パターンに相当する画像データを作成する手段と、作成された画像データから繰り返し領域を抽出する手段とを具備してなること。
【0012】
(b)設計データから試料上の全パターンに相当する画像データを、検査光学系よりも低い光学倍率に相当する画素サイズで作成する手段と、作成された画像データから繰り返し領域を抽出する手段とを具備してなること。
【0013】
(c)試料上の全パターン領域を、検査光学系よりも低い倍率で撮像する低倍率光学系と、低倍率光学系による撮像データを用いて試料上の全パターンに相当する画像データを作成する手段と、作成された画像データと設計データから繰り返し領域を抽出する手段とを具備してなること。
【0014】
(d)設計データから試料上のパターンのレイアウトを解析する手段と、解析されたレイアウトから同一データ領域であるか否かを判定する手段と、同一データ領域と判定された場合に該領域を繰り返し領域として抽出する手段とを具備してなること。
【0015】
また、本発明の望ましい実施態様としては次のものが挙げられる。
【0016】
(1) 繰り返し領域を抽出する手段は、画像データに基づき繰り返し領域の候補があるか否かを検出し、繰り返し領域の候補がある場合には、検査領域サイズを測定し、測定した検査領域サイズで前記試料の画像データを再取得し、再取得した画像データに基づき繰り返し領域の一致度を判定し、一致していると判定した場合に繰り返し領域の候補を繰り返し領域として登録するものであること。
【0017】
(2) 試料の画像データを再取得する手段として、低倍率光学系による撮像データから画像データを作成すること。
【0018】
(3) 試料の画像データを再取得する手段として、設計データから画像データを作成すること。
【0019】
(4) 低倍率光学系は、少なくとも2段階の倍率でパターンを撮像する機能(第1の低倍画像取得部と第2の高倍画像取得部)を具備していること。
【0020】
(5) 抽出される繰り返し領域は矩形領域であること。
【0021】
(6) 抽出される繰り返し領域のサイズは1mm角以上であること。
【0022】
(7) 抽出される繰り返し領域のサイズが既知であること。
【0023】
(8) 抽出される繰り返し領域の個数が既知であること。
【0024】
(9) 試料はフォトマスクであること。
【0025】
(10)抽出される繰り返し領域における繰り返しパターンの周辺は設計上、遮光部ないしは透過部で均一なパターンであること。
【0026】
(11)抽出された繰り返し領域に関して、第2高倍画像取得部で画像を拡大して、パターンエッジを特定すること。
【0027】
(12)抽出された繰り返し領域に関して、実際の検査に用いる光学倍率で画像を取得し、パターンエッジを特定すること。
【0028】
(13)抽出された繰り返し領域に関して、実際に検査して検出した欠陥数ないしは欠陥部の面積により、最終的に繰り返しパターン領域であるかどうかを判定すること。
【0029】
(14)最終的に繰り返し領域と判定したことに関する記録を残すこと。
【0030】
(作用)
本発明によれば、低倍率光学系による撮像データ又は設計データに基づいて試料上の全パターン領域に相当する画像データを作成し、この画像データを基に繰り返し領域を自動的に抽出することができる。従って、ダイ比較検査を行う際の前工程としてのオペレータの煩雑な操作が不要となり、検査スループットを向上させることが可能となる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の詳細を図示の実施形態によって説明する。
【0032】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係わる試料検査装置のシステム構成を示す図である。
【0033】
この装置では、フォトマスク(試料)11に形成されたパターンの存在する被検査領域が、図2に示されるような幅Wの短冊状の検査ストライプに仮想的に分割され、更にその分割された検査ストライプが連続的に走査されるように、フォトマスク11を載置するテーブルの動作が制御されて検査が実行されることを前提としている。
【0034】
フォトマスク11は、水平方向及び回転方向に移動可能に設けられたXYθテーブル12上に載置され、フォトマスク11に形成されたパターンには適切な光源13によって光が照射される。フォトマスク11を透過した光は拡大光学系14を介して、フォトダイオードアレイ15に入射する。このとき、拡大光学系14が制御され、フォトダイオードアレイ15上には、図2に示されるような仮想的に分割されたパターンの短冊状領域の一部が拡大された光学像として結像される。
【0035】
フォトダイオードアレイ15上に結像されたパターンの像は、フォトダイオードアレイ15によって光電変換され、更にセンサ回路16によってA/D変換される。これらの光源13,拡大光学系14,フォトダイオードアレイ15,センサ回路16から高倍率の検査光学系が構成されている。
【0036】
XYθテーブル12は、計算機20の制御の下にテーブル制御回路22により駆動される。そして、テーブル12の移動位置はレーザ測長システム18により測定され、位置回路27に供給されるものとなっている。また、テーブル12上のフォトマスク11は、オートローダ制御回路21により駆動されるオートローダ17から搬送されるものとなっている。
【0037】
センサ回路16から出力された測定パターンデータは、位置回路27から出力されたXYθテーブル12上におけるフォトマスク11の位置を示すデータとともに比較回路26に送られる。
【0038】
一方、フォトマスク11のパターン形成時に用いた設計データは、磁気ディスク31から制御計算機20を通して展開回路24に読み出される。展開回路24では、読み出された設計データが2値ないしは多値のイメージデータ(参照パターンデータ)に変換され、このイメージデータが参照回路25に送られる。参照回路25は、送られてきた図形のイメージデータに適切なフィルタ処理を施す。これは、センサ回路16から得られた測定パターンデータは、拡大光学系14の解像特性やフォトダイオードアレイ15のアパーチャ効果等によってフィルタが作用した状態にあるため、設計側のイメージデータにもフィルタ処理を施して、測定パターンデータに合わせるためである。そして、比較回路26は、測定パターンデータと適切なフィルタ処理の施された設計イメージデータとを適切なアルゴリズムに従って比較し(Die-to-database検査)、一致しない場合には欠陥有りと判定している。
【0039】
XYθテーブル12は、テーブル制御回路22により駆動され、パターン検査のための第1の位置とは別にダイ抽出のための第2の位置に移動される。この第2の位置の上方には、フォトマスク11に光を照射するための光源43が設けられ、下方には拡大光学系44及びCCD撮像素子等を備えた低分解能画像取り込み回路45が設けられている。これらの光源43,拡大光学系44及び画像取り込み回路45からなる低倍率光学系は、検査光学系よりも拡大倍率の低いものであり、ダイ比較を行うために、被検査物のパターン画像を1倍〜高々100倍程度以下の倍率で撮像するものである。
【0040】
ここで、低倍率光学系がある特定の倍率(1回ないしは、4(2×2)回の撮像で検査領域全体の画像データを生成可能)しか持っていなかったとすると、後述する繰り返し領域検出回路23でより小さい領域の検出は困難になる。そこで、段階的に高倍の撮像機能を合わせて持つようにする。そうすることによって、より小さい繰り返し領域を検出することも可能となる。
【0041】
また、低倍率光学系で得られるマスク1枚分の画像データは高々1000〜2000画素角程度の画像であるので、実際に描画されている細かいパターン形状などは判別不能であり、判別できるのはよほど大きなパターンか、その画像の階調(明るさ)からパターンの白黒のデューティ比が判る程度である。従って、まずはその画像から繰り返し領域の候補を探して(粗検出)、その後に高倍率で取得した画像データから繰り返し領域を判別する方式を採用するものとする。
【0042】
画像取り込み回路45で取り込まれた画像は、繰り返し領域検出回路23に供給される。繰り返し領域検出回路23では、後述するアルゴリズムにより、どのダイ同士を検査するかを決定するために繰り返し領域を検出するようになっている。
【0043】
この装置では、図3(a)に示すようにフォトマスク11に同じパターンが描画された複数の領域51がある場合を前提とし、お互いの測定パターン同士を比較する(ダイ−ダイ検査方式)。そして、図3(b)に示すように、領域51の一方に欠陥52があれば欠陥として検出することになる。また、2つの領域51の測定パターン同士の比較ではなく、設計データから得られる参照パターンデータと測定パターンデータを比較することも可能である。
【0044】
ダイ比較検査を行う際に、被検査物のパターン画像を1倍〜高々100倍程度以下の倍率で撮像できる低倍率光学系を使って、検査領域全体の画像データを作成する。これは1回の撮像で生成できるのであればそれでも構わないが、複数回に分けて撮像した画像から再合成して生成しても構わない。ここで生成された画像データより、共通の設計データから描画されたと推定される領域を抽出する機能(繰り返し領域検出回路23)がついていることが特徴となる。
【0045】
実際の作業の流れを、図4のフローチャートを参照して説明する。
【0046】
まず、低倍カメラ(低倍率光学系)でマスク全面画像を取得する(ステップS1)。生成するマスク1枚分の画像データは高々1000〜2000画素角程度の画像であり、実際に描画されている細かいパターン形状などは判別不能で構わない。
【0047】
次に、この画像データを用いて繰り返し領域と判断できる領域の粗い抽出(ラフサーチ)を行う(ステップS3)。この際、画像データを多値のまま処理しても構わないが、2値化するなどすると(ステップS3)、抽出の簡素化が可能である。
【0048】
ラフサーチでは、例えば3×3画素程度のウィンドウを用いて画像データを全面的に検索することになる。これにより、繰り返し領域の1次的な候補が抽出される(ステップS4)。マスク画像データの1画素のサイズを粗くすれば総画素数が減るため、検出時間の短縮につながるが、逆に粗すぎると比較的小さい繰り返し領域は検出不能になってしまうので、画素サイズは検出すべき繰り返し領域の大きさに合わせて設定する必要がある。1画素のサイズを粗くしなくても検出する繰り返し領域にある程度の制限を加えれば検出時間の短縮が可能となる。例えば、繰り返し領域は1mm角以上の領域であることが多いので、繰り返し領域検出回路23が検出するサイズの下限を設定しておけば検出時間の短縮につながる。
【0049】
なお、ラフサーチの別のやり方として、上のように2次元的にパターンが存在する個所を全面検索する代わりに、マスク画像データからX,Yの1次元方向の断面形状を使って推定する方法もある。
【0050】
続いて、検査領域のサイズ測定を行う(ステップS5)。このとき、予めしきい値を設けておき、サイズがあまりにも小さいものはここで排除することも実用的である。ここまできて、おおよそ繰り返し領域と推定される領域に対しては、もう一度、高倍率で画像データを取り直す(ステップS6)。これは、検査開始位置や終了位置を特定できる程度のものが望ましい。場合によっては、検査用の光学系機能を活用しても構わない。
【0051】
続いて、再取り込みした画像データを基に、検査開始位置及び終了位置を詳細にサーチする(ステップS7)。そして、領域の一致度を判定する(ステップS8)。この判定により一致していると判定されたら(ステップS9)、繰り返し領域の候補を繰り返し領域としてメモリ等に登録する(ステップS10)。
【0052】
ここで、光学的に撮像された画像から繰り返し領域を推定するので、画像が完全に一致することはありえない。領域一致度判定処理では、パターン領域の周期やサイズ,その一致度から評価することになる。しかし、マスク全面に対して光学的に一様な照射ができておらず、画像取得条件が異なる画像の比較を行わなければならないこともある。そこで、評価する一致度のしきい値を設定可変にしておき、装置毎に調整できるようにしておくことが必要である。また、照射条件に再現性があるのであれば、そのデータを考慮に入れて画像処理したデータを繰り返し領域検出回路23に入れるようにすべきである。
【0053】
抽出された領域についてダイ比較検査を行うことは従来と同じである。即ち、上記のようにして登録された繰り返し領域の情報を基に、検査光学系により繰り返し領域のパターンを測定し、一つの繰り返し領域の測定パターンデータと他の繰り返し領域の測定パターンデータとを比較し(ステップS11)。検査結果を登録する(ステップS12)。そして、未検査領域があるか否かを判定し(ステップS13)、全ての検査領域の検査を行う。
【0054】
例えば、図5に示すように「A領域」と「B領域」が存在するようなフォトマスク11では、A領域同士、B領域同士を比較するように登録作業が行われる。そして、それぞれの検査が行われその検査結果を登録する。しかし、不幸にして領域一致度判定処理で「A領域」と「B領域」を同一データで描画された領域と判断してしまった場合には欠陥多発となることになるが、このような場合には、その検査は中止し、しかもその後どの領域同士を比較するかを再構築する必要が生じることになるので、そのような場合にも対応できるようにしておくべきである。また、繰り返し領域検出器では繰り返し領域と一度は判断したが、実際に検査してみて繰り返し領域ではないと判定を覆した場合にもその履歴を残すようにすべきである。
【0055】
ここで、繰り返し領域検出回路23で検出された領域に対してダイ比較検査を行う際には、各ダイの位置を数画素程度以下の精度で合わせなければならない。しかし、被検査物のパターン画像を1倍〜高々100倍程度以下の倍率で撮像できる光学系機能がある低い倍率(1回ないしは、4(2×2)回の撮像で検査領域全体の画像データを生成可能)しか持っていなかったとすると、この位置合わせが困難になる。そこで、低倍率光学系は、低倍の撮像機能と高倍の撮像機能を合わせて持つようにする。そうすることによって、繰り返し領域を検出することと検査開始位置をほぼ特定することの両方が可能となる。
【0056】
また、本実施形態における検査光学系は一つであることから、ダイ比較のためには、検査光学系で得られる測定パターンデータの一方を保存できるメモリを比較回路26に搭載しておけばよい。また、検査光学系を2系統設け、一方の検査光学系で左側のパターンの画像を取得し、他方の検査光学系で右側のパターンの画像を取得し、これらの両者を比較することも可能である。
【0057】
このように本実施形態によれば、従来はオペレータが介在して、ダイ比較検査のための繰り返し領域を指定していたものが、自動で判別されるようになる。このため、利便性が格段に向上すると共に、検査スループットの格段の向上をはかることができる。
【0058】
(第2の実施形態)
図6は、本発明の第2の実施形態に係わる試料検査装置を説明するためのもので、設計データを用いた繰り返し領域の検出のフローチャートである。
【0059】
図6が図4と異なるのは、S1,S2の代わりに低画素サイズでの全画面像を取得すること(ステップS21)、S6の代わりに高画素サイズで画像を再取得することである(ステップS26)。また、図6では、領域登録(S10)以降のステップは図4と同じであり省略している。
【0060】
図4の例では、被検査物のパターン画像を撮像できる低倍率光学系を使って、検査領域全体の画像データを作成したが、設計データが存在している場合には、設計データからこれに相当する画像データを生成することも可能である(ステップS21)。この際、計算機20上で画像データを生成しても良いが、展開回路24で展開する画素サイズを大きくして生成させるなどしても構わない。また、画像再取得の際も同様に、設計データからこれに相当する画像データを生成することが可能である(ステップS26)。マスク1枚分の画像データを生成した後は、図4と同様の処理を行うことになる。
【0061】
光学的に撮像した画像には、厳密な意味での再現性はないが、設計データから生成した画像には再現性があるため、より的確に繰り返し領域を抽出しやすく、またステージ上に試料を載せる前にオフラインでの抽出作業も可能というメリットもある。
【0062】
(第3の実施形態)
図7は、本発明の第3の実施形態に係わる試料検査装置を説明するためのもので、設計データを用いた繰り返し領域の検出のフローチャートである。
【0063】
本実施形態では、第2の実施形態のように設計データからマスク画像データを生成するのではなく、設計データに含まれるパターンのレイアウト情報を活用する。具体的には、設計データからパターンのレイアウトを解析し(ステップS31)、同一データ領域であるか否かを判定し(ステップS32)、同一データ領域であれば繰り返し領域として登録する(S10)。これにより、同一ファイルから生成されていることが明らかであれば間違いなく、繰り返し領域と断定できる。
【0064】
このように本実施形態によれば、先の第1の実施形態と同様の効果が得られるのは勿論のこと、ダイ比較のための繰り返し領域をより簡単に抽出することができる。
【0065】
(第4の実施形態)
第1〜第3の実施形態では、光学像から生成した画像、設計データから生成した画像を単独で使用していたが、この両者を使うことも可能である。設計データは再現性がありある意味では正確であるが、実際の試料のパターンは、設計値から若干のずれは持っている。これを光学像から生成した画像を使って修正することが可能となる。
【0066】
図8は、本発明の第4の実施形態に係わる試料検査装置を説明するためのもので、繰り返し領域の検出のフローチャートである。
【0067】
本実施形態は、図4と図6を融合させた繰り返し領域検出フローである。これまでのものと違いは、ラフサーチは設計データを用いて行い(S21)、詳細サーチは低分解能カメラを使う(S6)ことである。
【0068】
このように詳細サーチで低分解能カメラを用いたとしても、実際の検査でさらにより厳密に1画素以内程度の精度で位置合わせを行うためには、適当な検査ストライプで一度検査してみて位置ずれ量を算出して位置合わせを行ってもよい。また、検査するまでもなく、該当ストライプの測定データをメモリ上に取り込んでしまい、そのデータから位置ずれ量を算出するという方法もある。
【0069】
データを取り込むストライプであるが、単純に、検出した繰り返し領域の中心付近を選択することも可能であるが、そこが偶然パターンの密度が低いストライプであると好ましくないため、マスク画像データの明るさからパターンの疎密を判定して比較的パターン密度が高いと推定されるストライプを選択することが好ましい。また、運悪くX方向のラインやY方向のラインばかりであるような場合にX,Yどちらかの位置合わせができない場合も想定される。その際には、さらに別のストライプで再度位置合わせのためのデータ取り込みを行う必要があることは言うまでもない。
【0070】
繰り返し領域検出器で同じ設計データから生成された領域と判断されたとしても、実際には異なる設計データから生成されている可能性はある。その際には、検査すれば欠陥多発となることは容易に想像できる。そこで、少なくとも1ストライプ検査してみて、繰り返し領域と判断を行うようにする。位置ずれ等により欠陥多発となる可能性もあるので、その際には再度位置合わせを行った後に検査するか、それでも欠陥多発になる場合には該当部分の検査を途中で止めるようにするべきである。
【0071】
(第5の実施形態)
ダイ−ダイ検査方式は、実際には前記図3に示すように矩形領域に対して行われることが多い。そこで、繰り返し領域検出回路23は、矩形領域のみを検出するようにすれば簡略化可能である。一方、検査領域に検査したいダイ以外にデータがないという条件をつけると繰り返し領域の検出が非常に簡素化できる。もし、あったとしても、予めパターン形状やサイズの分かっているものであるとすればそれを逆に目印にすることも可能となる。
【0072】
また、図9に示すように繰り返し領域のサイズないしは周期が既知だという条件を付加して検出アルゴリズムの簡素化をはかることも実用的である(ステップS51)。このような情報が分かっていれば、1次元の断面形状から容易に繰り返し領域を検出可能である。その際、フィルタ処理等を入れるとパターンの平滑化ができるので検出しやすくなる。
【0073】
一方、図10に示すように繰り返し領域の場所が判らなくても、例えばX方向に何個でY方向に何個あるというようにダイの個数が既知であれば、これを入力することにより(ステップS52)、周期を推定することが容易になる。
【0074】
(変形例)
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではない。実施形態では被検査試料としてフォトマスクの例を説明したが、これに限らず半導体ウェハや液晶基板のパターン欠陥検査に適用することができる。また、低倍率光学系の構成や倍率等の条件は、仕様に応じて適宜変更可能である。さらに、繰り返し領域を抽出するためのアルゴリズムは、必ずしも図4,6〜9に示すフローチャートに限定されるものではなく、仕様に応じて適宜変更可能である。
【0075】
その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々変形して実施することができる。
【0076】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、低倍率光学系による撮像データや設計データに基づいて試料上の全パターンに相当する画像データを作成し、この画像データからパターンの繰り返し領域を抽出することができる。従って、オペレータがどのダイ同士を検査するかを指定しなくてもダイ比較検査を行うことができ、検査スループットの向上をはかることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態に係わる試料検査装置のシステム構成を示す図。
【図2】フォトマスクの検査ストライプを示す説明図。
【図3】2つの繰り返し領域が存在するフォトマスクの例を示す図。
【図4】第1の実施形態における繰り返し領域検出の動作を示すフローチャート。
【図5】フォトマスクのパターン領域配置例を示す図。
【図6】第2の実施形態における繰り返し領域検出の動作を説明するためのもので、設計データを用いて同一領域候補を抽出する場合のフローチャート。
【図7】第3の実施形態における繰り返し領域検出の動作を説明するためのもので、設計データから同一領域を抽出する場合のフローチャート。
【図8】第4の実施形態における繰り返し領域検出の動作を説明するためのもので、設計データ及び低分解能画像から同一領域を抽出する場合のフローチャート。
【図9】第5の実施形態における繰り返し領域検出の動作を説明するためのもので、繰り返し領域の周期から同一領域候補を抽出する場合のフローチャート。
【図10】第5の実施形態における繰り返し領域検出の動作を説明するためのもので、繰り返し領域の個数から同一領域候補を抽出する場合のフローチャート。
【符号の説明】
11…フォトマスク(被検査試料)
12…XYθテーブル
13,43…用光源
14,44…拡大光学系
15…フォトダイオードアレイ
16…センサ回路
17…オートローダ
18…レーザ測長システム
20…計算機
21…オートローダ制御回路
22テーブル制御回路
23…繰り返し領域検出回路
24…展開回路
25…参照回路
26…比較回路
27…位置回路
31…磁気ディスク装置
51…繰り返し領域
52…欠陥
Claims (10)
- 試料上のパターンを検査光学系により測定し、複数の繰り返し領域のうちの一つの繰り返し領域の測定パターンデータと他の繰り返し領域の測定パターンデータとを比較するダイ−ダイ検査方式の検査機能を持つ試料検査装置であって、
前記試料上の全パターン領域を、前記検査光学系よりも低い倍率で撮像する低倍率光学系と、前記低倍率光学系による撮像データを用いて前記試料上の全パターンに相当する画像データを作成する手段と、前記作成された画像データから前記繰り返し領域を抽出する手段と、を具備してなることを特徴とする試料検査装置。 - 試料上のパターンを検査光学系により測定し、複数の繰り返し領域のうちの一つの繰り返し領域の測定パターンデータと他の繰り返し領域の測定パターンデータとを比較するダイ−ダイ検査方式、複数の繰り返し領域の各測定パターンデータを設計データから得られる参照パターンデータと比較するダイ−データベース検査方式の両方の検査機能を持つ試料検査装置であって、
前記設計データから前記試料上の全パターンに相当する画像データを、前記検査光学系よりも低い光学倍率に相当する画素サイズで作成する手段と、前記作成された画像データから前記繰り返し領域を抽出する手段と、を具備してなることを特徴とする試料検査装置。 - 試料上のパターンを検査光学系により測定し、複数の繰り返し領域のうちの一つの繰り返し領域の測定パターンデータと他の繰り返し領域の測定パターンデータとを比較するダイ−ダイ検査方式の検査機能を持つ試料検査装置であって、
前記試料上の全パターン領域を、前記検査光学系よりも低い倍率で撮像する低倍率光学系と、前記低倍率光学系による撮像データを用いて前記試料上の全パターンに相当する画像データを作成する手段と、前記作成された画像データと前記設計データから前記繰り返し領域を抽出する手段とを具備してなることを特徴とする試料検査装置。 - 試料上のパターンを検査光学系により測定し、複数の繰り返し領域のうちの一つの繰り返し領域の測定パターンデータと他の繰り返し領域の測定パターンデータとを比較するダイ−ダイ検査方式、複数の繰り返し領域の各測定パターンデータを設計データから得られる参照パターンデータと比較するダイ−データベース検査方式の両方の検査機能を持つ試料検査装置であって、
前記設計データから前記試料上のパターンのレイアウトを解析する手段と、前記解析されたレイアウトから同一データ領域であるか否かを判定する手段と、同一データ領域と判定された場合に該領域を繰り返し領域として抽出する手段とを具備してなることを特徴とする試料検査装置。 - 前記繰り返し領域を抽出する手段は、前記画像データに基づき繰り返し領域の候補があるか否かを検出し、繰り返し領域の候補がある場合には、検査領域サイズを測定し、測定した検査領域サイズで前記試料の画像データを再取得し、再取得した画像データに基づき繰り返し領域の一致度を判定し、一致していると判定した場合に前記繰り返し領域の候補を繰り返し領域として登録するものであることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の試料検査装置。
- 前記試料の画像データを再取得する手段として、前記低倍率光学系による撮像データ又は前記設計データから画像データを作成することを特徴とする請求項5記載の試料検査装置。
- 前記低倍率光学系は、少なくとも2段階の倍率でパターンを撮像するものであることを特徴とする請求項1,3又は5記載の試料検査装置。
- 前記抽出される繰り返し領域は、矩形領域であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の試料検査装置。
- 前記抽出される繰り返し領域のサイズは、1mm角以上であることを特徴とする請求項8に記載の試料検査装置。
- 前記抽出される繰り返し領域のサイズ又は個数が既知であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の試料検査装置。
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