JP3645539B2 - フラットケーブル用コネクタ - Google Patents
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- Coupling Device And Connection With Printed Circuit (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、フラットケーブルと配線基板との間の電気的接続を行うフラットケーブル用コネクタに関する。
【0002】
【従来の技術】
電子機器内部における電装部品相互間の電気的接続を行うにあたり、ケーブル用コネクタが実用に供されている。ケーブル用コネクタは、例えば、フラットケーブル(FFC)、または、フレキシブル配線基板(FPC;flexible printed circuit)を介してプリント配線基板に電装品を電気的に接続するものとされる。ケーブル用コネクタは、ケーブルの固定方法が互いに異なる例えば、ロータリ式あるいはスライド式が実用に供されている。
【0003】
スライド式のケーブル用コネクタは、例えば、図16(A)および図16(B)にも示されるように、プリント配線基板2上に配されケーブル収容部16を有するコネクタ本体部18と、コネクタ本体部18におけるケーブル収容部16に設けられプリント配線基板2の電極部とフレキシブル配線基板6の端子部6Eとを電気的に接続する複数のコンタクト端子20ai(i=1〜n,nは正の整数)と、コネクタ本体部18に対し摺動可能に支持されるストッパ部材22とを含んで構成されている。
【0004】
コネクタ本体部18は、接続されるべきフレキシブル配線基板6の端子部6Eが通過する挿入口24を一方の端部に有している。その挿入口24は、コネクタ本体部18の内部に形成されるケーブル収容部16に連通している。コネクタ本体部18のケーブル収容部16は、コネクタ本体部18の内壁により囲まれ形成されている。コネクタ本体部18のケーブル収容部16の上部を形成する部分の内側には、ストッパ部材22の両端部がそれぞれ摺動可能に支持される案内溝18gがフレキシブル配線基板6の着脱方向に沿って形成されている。フレキシブル配線基板6の端子部6Eのコンタクト端子20aiの可動端子部に対する着脱を行うとき、操作されるストッパ部材22は、フレキシブル配線基板6の裏板部6Bに摺接しつつ裏板部6Bを後述するコンタクト端子20aiの可動端子部に向けて押圧する押圧面部22aを、コンタクト端子20aiの可動端子部に対向する部分に有している。
【0005】
ストッパ部材22における押圧面部22aに対向する部分には、斜面部22sを有する案内面22bがその中間部に形成されている。
【0006】
複数のコンタクト端子20aiは、フレキシブル配線基板6の端子部6Eの配列に対応してケーブル収容部16内に配列されている。各コンタクト端子20aiは、プリント配線基板2の端子部に半田付固定される固定端子部20Sと、二股状に形成される案内片部20Bおよび可動端子部20Aと、固定端子部20Sと案内片部20Bおよび可動端子部20Aの合流部とを連結する連結部20Cとを含んで構成されている。
【0007】
各コンタクト端子20aiの案内片部20Bの先端は、ストッパ部材22の案内面22bに臨むように配置されている。可動端子部20Aは、先端にフレキシブル配線基板6の端子部6Eに電気的に接続される接点部を有している。
【0008】
連結部20Cは、その突起部がコネクタ本体部18のケーブル収容部16に隣接して形成されるスリットに圧入されることにより、コネクタ本体部18に固定されている。
【0009】
これにより、図16(A)に示されるように、ストッパ部材22の斜面部22sがケーブル収容部16および案内片部20Bに対し離隔状態となるとき、即ち、アンロック状態となるとき、案内片部20Bの斜面部22sは、案内片部20Bに対し離隔し非係合状態となる。従って、フレキシブル配線基板6の端子部6Eが挿入口24を通じてケーブル収容部16内に挿入可能とされる。
【0010】
かかる構成において、フレキシブル配線基板6の端子部6Eを各コンタクト端子20aiの接点部に電気的に接続するにあたっては、図16(A)に示されるように、ストッパ部材22の斜面部22sがケーブル収容部16に対し離隔状態となるとき、挿入口24を通じてフレキシブル配線基板6の端子部6Eがケーブル収容部16の後方側を形成する後部壁部18a近傍位置まで矢印Fの示す方向に沿って挿入された後、ストッパ部材22の先端が矢印Lの示す方向に沿って摺動される。従って、フレキシブル配線基板6の端子部6Eは、ストッパ部材22の押圧面部22aによりコンタクト端子20aiの可動端子部20Aの接点部に対し押圧され電気的に接続されることとなる。
【0011】
その際、フレキシブル配線基板6の端子部6Eは、ストッパ部材22の押圧面部22aと弾性変位した各コンタクト端子20aiの可動端子部20Aとにより挟持され、相互間の摩擦力により保持されることとなる。
【0012】
上述のようなケーブル用コネクタにおいては、比較的高周波数帯域の信号の伝送が行なわれる場合、波形の歪の一因となるクロストークあるいは信号の反射等を抑制する対策として電子機器およびコネクタ間のインピーダンス整合を図ることが、提案されている。
【0013】
また、ケーブル用コネクタにおいて比較的高周波数帯域の信号の伝送性能を高めるためにインピーダンス整合を図るとともに、図16(A)に示されるコンタクト端子20aiの可動端子部20Aにおける接点部とその基端部との間の長さLをより短くしインダクタンスを減少させることにより、比較的高周波数帯域の信号の伝送性能が高められることが知られている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
上述のようにコンタクト端子20aiの可動端子部20Aにおける接点部とその基端部との間の長さLをより短くしインダクタンスを減少させる場合、可動端子部20Aのばね定数の変更が必要となる。
【0015】
例えば、ばね定数の互いに異なる可動端子部20Aがそれぞれ弾性変位した場合、その接点部の変位δとその接点部に作用される荷重Pとの関係は、図17に示される直線LaおよびLbのように表される。図17は、縦軸に荷重Pをとり、横軸に変位δをとり、その接点部の変位δに対応した接点部に作用される荷重Pの変化をしめす。
【0016】
直線Laおよび直線Lbは、それぞれ、可動端子部20Aのばね定数が互いに異なる場合において、直線Laのばね定数が直線Lbのばね定数に比して小のときをあらわすこととなる。従って、上述の長さLがより短くなるようにばね定数が大に変更されるとき、許容される荷重Pの範囲がPa以上Pb以下、例えば、30g以上50g以下の範囲に設定されるとき、その範囲は変更されないので接点部の変位の許容範囲が、直線Laに従うδ3以上δ4以下の範囲(δA)、例えば、0.2mm以上0.3mm以内の範囲から、直線Lbに従うδ1以上δ2以下の範囲(δB)、即ち、より小さな値であってより狭い範囲に変更されることとなる。
【0017】
しかしながら、ストッパ部材22が射出成形され、かつ、コンタクト端子20aiがプレス加工により製作される場合、各構成部品の加工精度のばらつきを抑えることにも一定の限界があるので上述の接点部の変位の幅が直線Lbに従うδ1以上δ2以下の許容範囲(δB)に一致させることが容易でない場合がある。
【0018】
以上の問題点を考慮し、本発明は、フラットケーブルと配線基板との間の電気的接続を行うフラットケーブル用コネクタであって、コネクタ端子の可動端子部の接点部の接触圧力が所定の圧力とされるもとで、各構成部品の加工精度のばらつきに影響されることなく、可動端子部の長さをより短く設定することができ、従って、比較的高周波数帯域の信号の伝送性能が高めることができるフラットケーブル用コネクタを提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、本発明に係るフラットケーブル用コネクタは、フラットケーブルの接続部が収容される収容部に隣接して配され、接続部の電極部に対する電気的接続を行う可動接点部を有する可動側端子形成部と、可動側端子形成部の可動接点部に対し所定の圧力でフラットケーブルの電極部を付勢する付勢部とを含んでなる第1のコンタクト端子と、収容部に隣接して第1のコンタクト端子とともに配され、フラットケーブルの接続部の電極部に対する電気的接続を行う可動接点部を有する可動側端子形成部を有する第2のコンタクト端子と、第1のコンタクト端子および第2のコンタクト端子の可動側端子形成部の可動接点部がそれぞれ挿入される複数のスリットが形成される面を第1のコンタクト端子および第2のコンタクト端子の配列方向に沿って収容部に有し、接続部の電極部が複数のスリットが形成される面に当接されることにより、接続部の電極部の第1のコンタクト端子および第2のコンタクト端子における可動接点部に対する位置を位置決めするとともに、可動接点部の変位方向に沿った変位量を規制する位置決め部と、を備えて構成される。
【0020】
また、第1のコンタクト端子および第2のコンタクト端子の可動側端子形成部は、フラットケーブルの電極部に電気的に接続される可動接点部を有しC形またはS形に形成される可動側端子と、一端が可動側端子に電気的に接続される接続端子とを含んでなるものであってもよい。
【0021】
第1のコンタクト端子における可動側端子形成部と付勢部とが一体に形成されてもよい。
【0022】
位置決め部により位置決めされたフラットケーブルの電極部が、第1のコンタクト端子における可動側端子形成部の可動接点部と付勢部との間に配されるものであってもよい。
【0023】
第1のコンタクト端子は、接地するために用いられる接地用コンタクト端子であり、第2のコンタクト端子は、信号を伝送するために用いられる信号用コンタクト端子であってもよい。
【0024】
【発明の実施の形態】
図3および図4は、それぞれ、本発明に係るフラットケーブル用コネクタの第1実施例における外観を示す。
【0025】
ケーブル用コネクタは、例えば、後述されるプリント配線基板42上に配されケーブル収容部48を有するコネクタ本体部30と、コネクタ本体部30におけるケーブル収容部48に設けられプリント配線基板42の電極部とフレキシブル配線基板32の端子部32Eにおける接地ラインとを電気的に接続する複数の接地用固定側端子36ai(i=1〜n,nは正の整数)および接地用可動側端子46と、コネクタ本体部30におけるケーブル収容部48に隣接して設けられプリント配線基板42の電極部とフレキシブル配線基板32の端子部32Eにおける信号ラインとを電気的に接続する複数の信号用固定側端子38ai(i=1〜n,nは正の整数)および信号用可動側端子44と、コネクタ本体部30に対し摺動可能に支持されるストッパ部材40とを含んで構成されている。
【0026】
フレキシブル配線基板32は、例えば、YFLEX(登録商標)と称され、保護層に覆われた複数の導電層が絶縁性基材上に形成された構成とされる。絶縁性基材は、例えば、厚さ50μm程度の液晶ポリエステル(LCP)、ガラスエポキシ樹脂、ポリイミド(PI)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、あるいは、ポリエーテルイミド(PEI)で成形されている。また、導電層は、例えば、銅合金の層で形成されている。保護層は、例えば、熱硬化型のレジスト層、あるいは、ポリイミドフィルムにより形成されている。
【0027】
フレキシブル配線基板32において接続される一端の一方の表面には、裏板34が設けられている。板状の裏板34は、例えば、ポリブチレンテレフタレート(PBT)で所定の厚さに作られている。
【0028】
フレキシブル配線基板32の一端の他方の表面には、図1および図2に示されるように、例えば、所定の幅の複数の電極により構成される端子部32Eが形成されている。信号用電極群および接地用電極群よりなる端子部32Eは、フレキシブル配線基板32の内部の導電層に電気的に接続されている。接地ラインに接続される二つの接地用電極は、例えば、信号ラインに接続される二つの信号用電極を挟むように離隔して所定の相互間隔で形成されている。
【0029】
フレキシブル配線基板32を選択的にコネクタ本体部30に対し保持するストッパ部材40は、フレキシブル配線基板32を囲むように切欠かれた切欠部44dを有しコネクタ本体部30の挿入口51の周縁の端面に載置される平坦部と、平坦部におけるコネクタ本体部30に対向する面から突出する押圧片部40pとを含んで構成されている。
【0030】
フレキシブル配線基板32の端子部32Eの信号用可動端子44および接地用可動側端子46に対する着脱を行うとき、操作されるストッパ部材40における押圧片部40pの押圧面部40psは、図1に二点鎖線で示されるように、フレキシブル配線基板32の裏板34に摺接しつつケーブル収容部48内に挿入される。押圧片部40pは、その先端に斜面部を有しており、また、押圧片部40pの押圧面部40psは、裏板34を、後述する位置決め部48wpに対し、また、後述する信号用可動端子44および接地用可動側端子46に向けて押圧するものとされる。
【0031】
コネクタ本体部30は、接続されるべきフレキシブル配線基板32の端子部32Eおよび裏板34が通過する挿入口51を一方の端部に有している。その挿入口51は、コネクタ本体部30の内部に形成されるケーブル収容部48に連通している。コネクタ本体部30のケーブル収容部48は、コネクタ本体部30の内壁により囲まれ形成されている。その内壁は、挿入されるストッパ部材40における押圧片部40pの斜面に連なる外面に対応して形成される部分48waと、フレキシブル配線基板32の端子部32Eの接続のとき、ストッパ部材40の押圧片部40pの先端が当接する部分48wb、および、端子部32Eが位置決めされる位置決め部48wpと、図1において紙面に対し略垂直方向にある両側面とにより形成されている。
【0032】
ケーブル収容部48に隣接した一方側には、図2に示されるように、第1のコンタクト端子としての各接地用固定側端子36aiの押圧片部36Aがそれぞれ挿入されるスリット30s1が複数形成されている。各スリット30s1は、ケーブル収容部48内に連通している。隣接するスリット30s1相互間は、それぞれ、隔壁30wsにより仕切られている。また、ケーブル収容部48に隣接した他方側には、各接地用固定側端子36aiの接続端子部36Bが圧入されるスリット30s3がスリット30s1に対向して共通の平面上に形成されている。スリット30s1とスリット30s3とは、コネクタ本体部30におけるプリント配線基板42に固定される側の端部に形成されるスリットs2により連結されている。スリット30s1および30s3は、ケーブル収容部48を挟んで互いに略平行にプリント配線基板42の被接続面に対し略垂直に形成されている。また、後述する連結部36Cが挿入されるスリット30s2は、プリント配線基板42の被接続面に対し略平行に形成されている。
【0033】
複数の接地用固定側端子36aiは、図2に示されるように、薄板状の金属片、例えば、りん青銅または、ベリリューム銅等により作られ、フレキシブル配線基板32の端子部32Eの接地電極の配列に対応してケーブル収容部48内に配列されている。各接地用固定側端子36aiは、プリント配線基板42の端子部に半田付固定される固定端子部36Gと、二股状に互いに略平行に形成される接続端子部36Bおよび押圧片部36Aと、固定端子部36Gと接続端子部36Bおよび押圧片部36Aの合流部とを連結する連結部36Cとを含んで構成されている。
【0034】
各接地用固定側端子36aiの押圧片部36Aの湾曲部は、挿入されるストッパ部材40の押圧片部40pに臨むように配置されている。ストッパ部材40の押圧片部40pが挿入されていないとき、図1の二点鎖線で示されるように、押圧片部36Aの湾曲部は、ケーブル収容部48内に侵入するものとされ、また、ストッパ部材40の押圧片部40pが挿入されるとき、押圧片部36Aの湾曲部は、図1および図2に実線で示されるように、押圧片部40pによりケーブル収容部48から離隔する方向に押圧される。従って、付勢部としての押圧片部36Aは、挿入されるストッパ部材40の押圧片部40pをケーブル収容部48における位置決め部48wpに向けて所定の圧力で押圧することとなる。
【0035】
コネクタ本体部30におけるスリット30s3とケーブル収容部48との間の部分には、スリット30s3に交叉するようにスリット30s4が形成されている。スリット30s4の形状は、図6に拡大されて示されるように、二つの異径断面形状とされ、小径部30sbと、大径部30saとから構成されている。小径部30sbの一方の端部は、位置決め部48wpの表面に開口し、小径部30sbの他方の端部は、大径部30saに開口している。大径部30saの一方の端部は、スリット30s3に対し開口している。スリット30s4内には、接地用可動側端子46が設けられている。
【0036】
接地用可動側端子46は、図6に示されるように、例えば、りん青銅または、ベリリューム銅等により作られ、端子部32Eの接地電極に電気的に接続される可動接点部46eを有するC形の可動部46Cと、可動部46Cの一端に連結され、接続端子部36Bに電気的に接続される接点部46fを有する固定部46Fとを含んで構成されている。固定部46Fは、大径部30saに挿入され、また、可動部46Cは、小径部30sbに挿入されている。従って、固定部46Fと可動部46Cとの間の結合部は、小径部30sbと大径部30saとの間の段差部に係合することにより、小径部30sb側への移動が規制されることとなる。
【0037】
可動部46Cの可動接点部46eは、フレキシブル配線基板32の端子部32Eが挿入されていない場合、図6に示されるように、スリット30s4を通じてケーブル収容部48内に侵入し、一方、フレキシブル配線基板32の端子部32Eが挿入されるとき、端子部32Eによりその可動部46Cの弾性力に抗してスリット30s4内に押圧される。
【0038】
組み付けにあたっては、接地用可動側端子46が、接地用固定側端子36aiが挿入される以前にスリット30s4に連通するスリット30s5を通じてスリット30s4内に挿入される。
【0039】
なお、接地用可動側端子46の形状は、斯かる例に限られることなく、例えば、図7に拡大されて示されるように、接地用可動側端子50は、例えば、りん青銅または、ベリリューム銅等により作られ、端子部32Eの接地電極に電気的に接続される可動接点部50eを有するS形の可動部50Sと、可動部50Sの一端に連結され、接続端子部36Bに電気的に接続される接点部50fを有する固定部50Fとを含んで構成されている。固定部50Fは、大径部30saに挿入され、また、可動部50Sは、小径部30sbに挿入されている。
【0040】
可動部50Sの可動接点部50eは、フレキシブル配線基板32の端子部32Eが挿入されていない場合、図7に示されるように、スリット30s4を通じてケーブル収容部48内に侵入し、一方、フレキシブル配線基板32の端子部32Eが挿入されるとき、端子部32Eによりその可動部50Sの弾性力に抗してスリット30s4内に押圧される。
【0041】
コネクタ本体部30における隣接するスリット30s3相互間には、信号用固定側端子38aiがそれぞれ挿入される二つのスリット30s5が所定の間隔でスリット30s3の配列の共通直線と同一の直線上となるように形成されている。各スリット30s5は、互いに平行に相対向して形成されている。スリット30s5は、コネクタ本体部30におけるプリント配線基板42側の端部に形成されるスリット30s8に連結されている。
【0042】
第2のコンタクト端子としての信号用固定側端子38aiは、図1に示されるように、スリット30s5に挿入される接続端子38Bと、接続端子38Bに連結されプリント配線基板42の端子部に半田付け固定される固定端子部38Sとを含んで構成される。固定端子部38Sは、スリット30s8に挿入されている。
【0043】
コネクタ本体部30におけるスリット30s5とケーブル収容部48との間の部分には、スリット30s5に交叉するようにスリット30s6が形成されている。スリット30s6の形状は、図6に拡大されて示されるものと同様に、二つの異径断面形状とされ、小径部と、大径部とから構成されている。小径部の一方の端部は、位置決め部48wpの表面に開口し、小径部の他方の端部は、大径部に開口している。大径部の一方の端部は、スリット30s5に対し開口している。スリット30s6内には、信号用可動側端子44が設けられている。
【0044】
信号用可動側端子44は、図1に示されるように、例えば、りん青銅または、ベリリューム銅等により作られ、端子部32Eの接地電極に電気的に接続される可動接点部44eを有するC形の可動部44Cと、可動部44Cの一端に連結され、接続端子部38Bに電気的に接続される接点部44fを有する固定部44Fとを含んで構成されている。固定部44Fは、スリット30s6の大径部に挿入され、また、可動部44Cは、小径部に挿入されている。従って、固定部44Fと可動部44Cとの結合部は、小径部と大径部との間の段差部に係合されることにより、小径部側への移動が規制されることとなる。
【0045】
可動部44Cの可動接点部44eは、フレキシブル配線基板32の端子部32Eが挿入されていない場合、スリット30s6を通じてケーブル収容部48内に侵入し、一方、フレキシブル配線基板32の端子部32Eが挿入されるとき、端子部32Eによりその可動部44Cの弾性力に抗してスリット30s6内に押圧される。
【0046】
組み付けにあたっては、信号用可動側端子44が、信号用固定側端子38aiが挿入される以前にスリット30s6に連通するスリット30s7を通じてスリット30s6内に挿入される。
【0047】
なお、信号用可動側端子44の形状は、斯かる例に限られることなく、例えば、図7に拡大されて示されるような、S形であってもよい。
【0048】
斯かる構成により、図1に二点鎖線で示されるように、ストッパ部材40の押圧片部40pがケーブル収容部48および押圧片部36Aに対し離隔状態となるとき、即ち、アンロック状態となるとき、押圧片部40pは、押圧片部36Aに対し離隔し非係合状態となる。従って、フレキシブル配線基板32の端子部32Eが挿入口51を通じてケーブル収容部48内に挿入可能とされる。
【0049】
また、フレキシブル配線基板32の端子部32Eを接地用固定側端子36aiおよび信号用固定側端子38aiに電気的に接続するにあたっては、図1に実線で示されるように、挿入口51を通じてフレキシブル配線基板32の端子部32Eがケーブル収容部48の部分48wb近傍位置まで挿入された後、ストッパ部材40の押圧片部40pが摺動されケーブル収容部48に挿入される。
【0050】
従って、フレキシブル配線基板32の端子部32Eおよび裏板34は、ストッパ部材40の押圧面部40psにより、信号用可動側端子44および接地用可動側端子46の可動接点部46eおよび44eに対し押圧され電気的に接続されることとなる。
【0051】
従って、端子部32Eは、ストッパ部材40の押圧面部40psと弾性変位した可動部44Cおよび46Cとにより挟持され、相互間の摩擦力により保持されることとなる。
【0052】
その際、フレキシブル配線基板32の端子部32Eの相対位置は、ストッパ部材40により、位置決め部48wpに対し押圧され位置決めされるのでストッパ部材40の加工精度のばらつきに影響されることなく可動部44Cおよび46Cの弾性変位量が所定範囲内とされる。これにより、可動接点の接触圧力が適正な値に設定されるもとで、図1において信号用固定側端子38aiの信号用固定側端子38aiの長さLは、図16(A)および(B)に示される従来のものに比べてより短く設定することが可能とされる。その結果、インダクタンスが減少することにより、比較的高周波数帯域の信号の伝送性能が高められることとなる。
【0053】
図8および図9は、本発明に係るフラットケーブル用コネクタの第2実施例における外観を示す。
【0054】
なお、図8および図9においては、図1および図2に示される例において、同一とされる構成要素については同一の符号を付して示し、その重複説明を省略する。
【0055】
ケーブル用コネクタは、例えば、プリント配線基板42上に配されケーブル収容部70を有するコネクタ本体部60と、コネクタ本体部60におけるケーブル収容部70に設けられプリント配線基板42の電極部とフレキシブル配線基板32の端子部32Eにおける接地ラインとを電気的に接続する複数の接地用固定側収容部70に隣接して設けられプリント配線基板42の電極部とフレキシブル配線基板32の端子部32Eにおける信号ラインとを電気的に接続する複数の信号用固定側端子64ai(i=1〜n,nは正の整数)と、コネクタ本体部端子62ai(i=1〜n,nは正の整数)と、コネクタ本体部60におけるコネクタ本体部60に対し摺動可能に支持されるストッパ部材40とを含んで構成されている。
【0056】
コネクタ本体部60は、接続されるべきフレキシブル配線基板32の端子部32Eおよび裏板34が通過する挿入口72を一方の端部に有している。その挿入口72は、コネクタ本体部60の内部に形成されるケーブル収容部70に連通している。コネクタ本体部60のケーブル収容部70は、コネクタ本体部60の内壁により囲まれ形成されている。その内壁は、挿入されるストッパ部材40における押圧片部40pの斜面に連なる外面に対応して形成される部分70waと、フレキシブル配線基板32の端子部32Eの接続のとき、ストッパ部材40の押圧片部40pの先端が当接する部分70wb、および、端子部32Eが位置決めされる位置決め部70wpと、図10において紙面に対し略垂直方向にある両側面とにより形成されている。
【0057】
ケーブル収容部70に隣接した一方側には、図8および図10に示されるように、各接地用固定側端子62aiの押圧片部62Aがそれぞれ挿入されるスリット60s1が複数形成されている。各スリット60s1は、ケーブル収容部70内に連通している。隣接するスリット60s1相互間は、それぞれ、隔壁60wsにより仕切られている。また、ケーブル収容部70に隣接した他方側には、各接地用固定側端子62aiの可動側端子68が圧入されるスリット60s3がスリット60s1に対向して共通の平面上に形成されている。隣接するスリット60s3相互間は、隔壁により仕切られている。スリット60s1とスリット60s3とは、コネクタ本体部60におけるプリント配線基板42に固定される側の端部に形成されるスリット60s2により連結されている。スリット60s1および60s3は、ケーブル収容部70を挟んで互いに略平行にプリント配線基板42の被接続面に対し略垂直に形成されている。また、後述する連結部62Cが挿入されるスリット60s2は、プリント配線基板42の被接続面に対し略平行に形成されている。
【0058】
第1のコンタクト端子としての複数の接地用固定側端子62aiは、図10および図11に示されるように、薄板状の金属片、例えば、りん青銅または、ベリリューム銅等により作られ、フレキシブル配線基板32の端子部32Eの接地電極の配列に対応してケーブル収容部70に対向して配列されている。各接地用固定側端子62aiは、プリント配線基板42の端子部に半田付固定される固定端子部62Gと、二股状に互いに略平行に形成される可動側端子部68および押圧片部62Aと、固定端子部62Gと可動側端子部68および押圧片部62Aの基端部とを連結する連結部62Cとを含んで構成されている。
【0059】
各接地用固定側端子62aiの押圧片部62Aの湾曲部は、挿入されるストッパ部材40の押圧片部40pに臨むように配置されている。ストッパ部材40の押圧片部40pが挿入されていないとき、押圧片部62Aの湾曲部は、ケーブル収容部70内に侵入するものとされ、また、ストッパ部材40の押圧片部40pが挿入されるとき、押圧片部62Aの湾曲部は、押圧片部40pによりケーブル収容部70から離隔する方向に押圧される。従って、付勢部としての押圧片部62Aは、挿入されるストッパ部材40の押圧片部40pをケーブル収容部70における位置決め部70wpに向けて所定の圧力で押圧することとなる。
【0060】
スリット60s3内に配される可動側端子68は、可動接点部68aを有する湾曲部68Aを備えている。湾曲部68Aは、押圧片部62Aに対し略平行に延びた後、端子部32Eに向ってU字状に湾曲するものとされる。可動接点部68aは、ストッパ部材40の押圧片部40pが挿入されていないとき、スリット60s3からケーブル収容部70内に所定量侵入するものとされる。一方、ストッパ部材40の押圧片部40pが挿入されるとき、可動接点部68aは、スリット60s3内に押圧され押し込まれる。
【0061】
コネクタ本体部60における隣接するスリット60s3相互間には、図13および図14に示されるように、信号用固定側端子64aiがそれぞれ挿入される二つのスリット60s4が所定の間隔でスリット60s3の配列の共通直線と同一の直線上となるように形成されている。各スリット60s4は、互いに平行に相対向して形成されている。スリット60s4は、コネクタ本体部60におけるプリント配線基板42側の端部に形成されるスリット60s5に連結されている。
【0062】
第2のコンタクト端子としての信号用固定側端子64aiは、図11および図13に示されるように、例えば、りん青銅または、ベリリューム銅等により作られ、スリット30s4に挿入される可動側端子部66と、可動側端子部66の基端部に連結される連結部64Bと、連結部64Bに連結されプリント配線基板42の端子部に半田付け固定される固定端子部64Sとを含んで構成される。固定端子部64Sは、スリット60s5に挿入されている。可動側端子部66は、端子部32Eとの電気的接続を行う可動接点部66aを湾曲部の一端に有している。
【0063】
可動接点部66aは、フレキシブル配線基板32の端子部32Eが挿入されていない場合、スリット60s4を通じてケーブル収容部70内に侵入し、一方、フレキシブル配線基板32の端子部32Eが挿入されるとき、端子部32Eによりその湾曲部の弾性力に抗してスリット60s4内に押圧され押し込まれる。
【0064】
斯かる構成により、ストッパ部材40の押圧片部40pがケーブル収容部70および押圧片部62Aに対し離隔状態となるとき、即ち、アンロック状態となるとき、押圧片部40pは、押圧片部62Aに対し離隔し非係合状態となる。従って、フレキシブル配線基板32の端子部32Eが挿入口72を通じてケーブル収容部70内に挿入可能とされる。
【0065】
また、フレキシブル配線基板32の端子部32Eを接地用固定側端子62aiおよび信号用固定側端子64aiに電気的に接続するにあたっては、挿入口72を通じてフレキシブル配線基板32の端子部32Eがケーブル収容部70の部分70wb近傍位置まで挿入された後、ストッパ部材40の押圧片部40pが摺動されケーブル収容部70に挿入される。
【0066】
従って、フレキシブル配線基板32の端子部32Eおよび裏板34は、ストッパ部材40の押圧面部40psにより、可動側端子68および可動側端子66の可動接点部68aおよび66aに対し押圧され電気的に接続されることとなる。
【0067】
従って、端子部32Eは、ストッパ部材40の押圧面部40psと弾性変位した可動側端子66および68とにより挟持され、相互間の摩擦力により保持されることとなる。
【0068】
その際、フレキシブル配線基板32の端子部32Eの相対位置は、ストッパ部材40により、位置決め部70wpに対し押圧され位置決めされるのでストッパ部材40の加工精度のばらつきに影響されることなく可動側端子66および68の可動接点部66aおよび68aの弾性変位量が所定範囲内とされる。これにより、可動接点の接触圧力が適正な値に設定されるもとで、図15において信号用固定側端子64aiの可動側端子部66の長さLは、図16(A)および(B)に示される従来のものに比べてより短く設定することが可能とされる。その結果、インダクタンスが減少することにより、比較的高周波数帯域の信号の伝送性能が高められることとなる。
【0069】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明に係るフラットケーブル用コネクタによれば、位置決め部は、フラットケーブルの接続部の電極部が複数のスリットが形成される面に当接されることにより、接続部の電極部の第1のコンタクト端子および第2のコンタクト端子における可動接点部に対する位置を位置決めするとともに、可動接点部の変位方向に沿った変位量を規制するので各構成部品の加工精度のばらつきに影響されることなく、可動接点部の接触圧力を適正値に設定でき、しかも、可動側端子形成部の長さをより短く設定することができる。従って、比較的高周波数帯域の信号の伝送性能を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るフラットケーブル用コネクタの第1実施例における要部を示す部分断面図である。
【図2】本発明に係るフラットケーブル用コネクタの第1実施例における要部を示す部分断面図である。
【図3】本発明に係るフラットケーブル用コネクタの第1実施例における外観を示す斜視図である。
【図4】本発明に係るフラットケーブル用コネクタの第1実施例において一部を破断して外観を示す斜視図である。
【図5】図4に示される例における一部を示す平面図である。
【図6】図1に示される例における可動側端子を示す部分断面図である。
【図7】可動側端子における他の例を示す部分断面図である。
【図8】本発明に係るフラットケーブル用コネクタの第2実施例において一部を破断して外観を示す斜視図である。
【図9】本発明に係るフラットケーブル用コネクタの第2実施例において一部を破断して外観を示す斜視図である。
【図10】図8に示される例における要部を示す部分断面図である。
【図11】図8に示される例における端子群の配列を示す斜視図である。
【図12】図11に示される例における平面図である。
【図13】本発明に係るフラットケーブル用コネクタの第2実施例において一部を破断して外観を示す斜視図である。
【図14】本発明に係るフラットケーブル用コネクタの第2実施例において一部を破断して外観を示す斜視図である。
【図15】図13に示される例における要部を示す部分断面図である。
【図16】(A)および(B)は、それぞれ、従来のケーブル用コネクタの構成を示す部分断面図である。
【図17】従来のケーブル用コネクタの構成についての説明に供される特性図である。
【符号の説明】
30、60 コネクタ本体部
32 フレキシブル配線基板
36ai,62ai 接地用固定側端子
38ai,64ai 信号用固定側端子
44 信号用可動側端子
46 接地用可動側端子
48、70 ケーブル収容部
48wp、70wp 位置決め部
Claims (5)
- フラットケーブルの接続部が収容される収容部に隣接して配され、該接続部の電極部に対する電気的接続を行う可動接点部を有する可動側端子形成部と、該可動側端子形成部の可動接点部に対し所定の圧力で該フラットケーブルの電極部を付勢する付勢部とを含んでなる第1のコンタクト端子と、
前記収容部に隣接して前記第1のコンタクト端子とともに配され、前記フラットケーブルの接続部の電極部に対する電気的接続を行う可動接点部を有する可動側端子形成部を有する第2のコンタクト端子と、
前記第1のコンタクト端子および第2のコンタクト端子の可動側端子形成部の可動接点部がそれぞれ挿入される複数のスリットが形成される面を前記第1のコンタクト端子および第2のコンタクト端子の配列方向に沿って前記収容部に有し、前記接続部の電極部が該複数のスリットが形成される面に当接されることにより、前記接続部の電極部の前記第1のコンタクト端子および前記第2のコンタクト端子における可動接点部に対する位置を位置決めするとともに、該可動接点部の変位方向に沿った変位量を規制する位置決め部と、
を具備して構成されるフラットケーブル用コネクタ。 - 前記第1のコンタクト端子および前記第2のコンタクト端子の可動側端子形成部は、前記フラットケーブルの電極部に電気的に接続される可動接点部を有しC形またはS形に形成される可動側端子と、一端が該可動側端子に電気的に接続される接続端子とを含んでなることを特徴とする請求項1記載のフラットケーブル用コネクタ。
- 前記第1のコンタクト端子における可動側端子形成部と前記付勢部とが一体に形成されることを特徴とする請求項1記載のフラットケーブル用コネクタ。
- 前記位置決め部により位置決めされた前記フラットケーブルの電極部が、前記第1のコンタクト端子における可動側端子形成部の可動接点部と前記付勢部との間に配されることを特徴とする請求項1記載のフラットケーブル用コネクタ。
- 前記第1のコンタクト端子は、接地するために用いられる接地用コンタクト端子であり、前記第2のコンタクト端子は、信号を伝送するために用いられる信号用コンタクト端子であることを特徴とする請求項1記載のフラットケーブル用コネクタ。
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