JP3645479B2 - データ転送方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、MPEG(Moving Picture Experts Group)2−TS(Transport Stream;トランスポートストリーム)を入力し、その中の特定のコードを検出しながら記録媒体に記録し、記録媒体中のストリームデータを、復号を行なう再生装置へ転送するデータ転送方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、MPEG1、MPEG2等のデジタル圧縮技術の標準化が進み、また、高性能なCPU、メモリ、蓄積媒体が低価格で入手できるようになってきている。そこで、映像データや音声データをデジタル化して蓄積し、蓄積されたデータを再生するマルチメディア機器が数多く商品化されつつある。
【0003】
このようなマルチメディア機器の場合、ストリームの途中から再生したり、追っかけ再生や、早速りなどの特殊再生を行なう必要があるが、MPEGを用いたシステムでは、フレーム内符号化されたフレームから転送したり、フレーム内符号化とフレーム間符号化の単位となるGOP(Group of Picture)を単位として転送したり、フレーム内符号化されたフレームだけを転送するなど、フレーム内符号化されたフレームや、GOPの起点となるシーケンスヘッダコード(以後、SHCと記す)、GOP開始コード(以後、GSCと記す)、ピクチャ開始コード(以後、PSCと記す)のいずれかをインデックシングして、その位置からのストリームを記録媒体から読み出し、復号を行なう装置へ転送することによって、再生を行なうことが多い。
【0004】
例えば、特開平10−285555号公報には、SHC(シーケンスヘッダコード)の先頭位置がセクタの先頭部に一致するよう記録する技術が開示されている。また、特開平7−170488号公報には、SHCの先頭位置からデータを読み出す技術が開示されている。
【0005】
これらの従来技術は、映像がエレメンタリストリーム(Elementary Stream;以後、ESと記す)で構成されているときには問題はないが、多重化されたストリームを扱うときには、対応できない場合が発生する。
【0006】
MPEG2では、ESのほかにも、ESを複数のパケットに分割したパケッタイズドエレメンタリストリーム(Packetized Elementary Stream;以後、PESと記す)や、PESを分割したトランスポートストリーム(Transport Stream;以後、TSと記す)や、複数のPESパケットをパック化した構成を持つプログラムストリーム(Program Stream;以後PS)という構成をとることがある。
【0007】
特に、TSは、映像、音声、データを多重化して扱えたり、固定長のパケット単位で転送することが出来るなどの理由から、デジタル放送などで利用されている。
【0008】
図8に、TSを構成するパケットの構造を示す。TSパケットは、4バイト固定長のパケットヘッダ、可変長のアダプテーションフィールド及びペイロードから構成される、188バイト固定長のパケットである。
【0009】
パケットヘッダは、同期バイト、PID、アダプテーションフィールド制御フラグ、巡回カウンタ、その他フラグによって構成される。同期バイトは、その位置がTSパケットの先頭であることを示すコードを含む1バイトデータである。PIDは、パケットの識別を行なうための13ビットで表された番号であり、映像や音声は、それぞれ異なるPIDを持つ複数のTSパケットのペイロード中に分割して伝送される。アダプテーション制御フラグは、そのパケット中にアダプテーションフィールドやペイロードが含まれているかを示す2ビットのフラグである。図8の(a)は、アダプテーションフィールドとペイロードが含まれている場合のパケット構造を示し、図8の(b)は、ペイロードのみが含まれている場合のパケット構造を示している。巡回カウンタは、同じPIDを持つTSパケット間で、0x00から0x0fまでの値を巡回するように設定された値を含む4ビットのデータである。その他のフラグには、ペイロード中に新たなPESパケットが開始されることを示すフラグ等がある。
【0010】
アダプテーションフィールドは、アダプテーションフィールド長、フラグ、オプショナルフィールド、スタッフィングバイトから構成される。アダプテーションフィールド長は、フラグ以降のアダプテーションフィールドの長さをバイト単位で表した1バイトデータである。オプショナルフィールドは、同期情報などが含まれる領域であり、フラグによって情報の有無が示された可変長の領域である。スタッフィングバイトは、ダミーのデータであり、アダプテーションフィールドの残り領域を満たす。
【0011】
ペイロードには、伝送すべきデータが含まれる。
【0012】
PESは、TSやPSを構成する基本要素であり、両ストリーム間の変換を可能とするための中間ストリームである。図9に、PESを構成するパケットの構造を示す。
【0013】
先頭開始コードは、その位置がPESパケットの先頭であることを示す固定値を含む3バイトデータである。ストリームIDは、PESパケット中に含まれるESの種別(映像、音声など)を識別するための番号を含む1バイトデータである。パケット長は、PESパケット中のバイト数を規定する値を含む2バイトデータである。PESパケット中のデータが映像ESの場合のみ、パケット長が規定されない値0を設定することが出来る。PESヘッダ長は、コンディショナルコーディング領域のバイト数を規定する1バイトデータである。コンディショナルコーディングは、14ビットのフラグによって情報の有無が示された可変長の領域である。パケットデータは、伝送すべきESデータが含まれる。
【0014】
映像ストリームは、ESストリームをPESパケットに分割して、さらにTSパケットに分割された形式で伝送される。図10に、TSパケットとPESパケットとESの関係を示す。
【0015】
映像ストリームは、フレーム内符号化されたフレームを表すピクチャデータと、フレーム間符号化されたフレームを表すピクチャデータで構成され、各データは、PSC(ピクチャ開始コード)で始まる領域に格納される。また、ストリーム中には、GOP(グループオブピクチャ)を表すためのGSC(GOP開始コード)やSHC(シーケンスヘッダコード)が挿入されている。このストリームを分割したものがPESパケットであり、さらにTSパケットに分割される。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、ストリームの途中から再生するために、GOPの起点となるSHCからのデータを転送する場合、SHCがPESパケットやTSパケット内でどのように格納されているかが問題となる。図10に示した例では、SHCは、TSパケットではTS2とTS8に、PESパケットではPES1とPES3に格納されている。
【0017】
SHCから再生するためにSHC以降のデータを転送すると、TSパケットの途中から再生することになり、TSパケットのデータが188バイト毎のバウンダリに対してずれてしまう。
【0018】
また、SHCを含むTSパケットの開始位置から再生しようとした場合には、その基本要素であるPESパケットが途中で切れてしまうため、異常な状態で転送されてしまう。
【0019】
早送りのためにピクチャ単位でデータを転送する場合も、同様である。PSCからデータを転送した場合は、TSパケットを途中から再生することになり、また、PSCを含むTSパケットの開始位置から再生しようとしても、PESパケットが途中で切れてしまうため、異常な状態で転送されてしまう。
【0020】
再生を停止するために、次のSHCが現れるまでのデータを転送する場合にも、同様な事態が発生する。
【0021】
このような構造が異常なストリームを、復号を行なう装置へ転送すると、復号できない、もしくは異常な動作をすることが予想される。従って、従来技術のように、SHCからのデータを読み出したり、SHCを含むTSパケットから読み出すのでは、このようなストリームを再生することが出来ない。
【0022】
本発明は、このような問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、映像データや音声データをデジタル化したストリームを蓄積し、その中に含まれるデータのSHC、GSC、PSCなどの位置をインデックシングし、インデックスデータを利用して、ストリームの途中から、もしくは途中までを再生するようなマルチメディア機器において、扱うストリームがTSストリームであった場合においても、TSやPESの構造を破壊せず、正しく復号を行なうことが出来るようにすることにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】
本発明では、上記した目的を達成するため、記録媒体からストリームデータを読み出す際に、転送すべきSHCが含まれるTSパケットを加工する。
【0024】
例えば、再生などの場合で、SHC以降のデータが必要な場合、そのTSパケットからSHC以前のデータを削除すればよい。この場合には、SHCを含むPESの構造が崩れてしまうが、PESパケットのヘッダを追加することにより、新たなPESを作成することによって対処する。PESパケットのヘッダは、図9で示しているように9バイトで構成される。PESヘッダの挿入位置としては、シーケンスヘッダを含むTSに挿入する場合と、SHCを含むTSの前に、PESヘッダで構成されるTSを含む場合が考えられる。
【0025】
また、再生停止などの場合で、SHC以前のデータが必要な場合、そのTSパケットからSHC以降のデータを削除すればよい。削除では、ペイロードのデータをずらして、アダプテーションフィールドの長さを長くし、その領域をスタッフィングバイトで埋めれば良い。
【0026】
また、早送りなど特定のピクチャだけを抽出したいような場合は、そのピクチャの次に位置するピクチャのPSC以前のデータが必要となる。この場合は、該当するPSCを含むTSから、PSC以降のデータを削除すればよい。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面を用いて説明する。
【0028】
<第1実施形態>
本実施形態は、特定コードからのデータを転送したい場合に、特定コードを含むTSパケットを加工し、特定コード以前のデータを削除して、データを転送するようにした、データ転送方法の適用例である。なお、本実施形態では、特定コードとしてSHCを用いるが、GSCやPSCなどに対して行なってもよい。
【0029】
図4は、本実施形態によるパケット加工の例を示す図である。図4中で上に位置するTSパケットは、その中にSHCを含むパケットを表している。SHC以降に位置する斜線領域は、SHCと共に転送したいデータが含まれた領域であり、SHC以前の点模様の領域は、SHC以前のGOPに含まれているデータである。このデータを転送すると、TSを復号するデコーダが異常を発生する場合があるため、TSパケットからSHC以前の点模様の領域のデータを削除する。ただし、そのまま削除してしまうと、該TSに属するPESパケットは、ヘッダのないパケットとなってしまうため、PESパケットのヘッダを挿入する必要が有る。
【0030】
本実施形態では、この領域を削除するために、アタプテーションフィールドのスタッフィングバイトの機能を利用する。データを削除する代わりに、オプショナルフィールドを持たないアダプテーションフィールドを作成し、削除データの領域をスタッフィングバイトで埋めて、新たなPESヘッダをSHCの前に挿入し、該TSパケットがPESパケットの開始であることを示すフラグをONにすることによって、目的のTSパケットを得ることが出来る。
【0031】
図4中で下に位置するTSパケットが、加工後のTSパケットである。オプショナルフィールドのないアダプテーションフィールドを作成するために、アダプテーションフィールド長とアダプテーションフィールド内のフラグを表す領域を設け、フラグには、オプショナルフィールドがないことを示す値を設定し(図中OFF)、アダプテーションフィールド長を削除したデータよりも10バイト少ない値に設定する。これは、新たなPESパケットヘッダの9バイトを挿入するためと、アダプテーションフィールド長の領域はカウントされないためである。アダプテーションフィールドの残りの領域には、スタッフィングバイトを挿入する。
【0032】
図1は、本実施形態による、SHCを含むTSパケットを加工し、SHC以前のデータを削除する処理を示すフローチャートである。
【0033】
まず、SHCを含むパケットに注目し、該当TS先頭からのオフセットバイト数を求める(ステップS101)。以降、この値をXとして表す。フラグ領域内の、該当TSが新たなPESパケットの開始であることを表すビットを、ONにする(ステップS102)。アダプテーションフィールド制御フラグをONにし、該当TSにアダプテーションフィールドが存在することを表す(ステップS103)。
【0034】
次に、アダプテーションフィールド長の値として、X−14を設定し(ステップS104)、アダプテーションフィールド内のフラグ領域の値として全てのフラグをOFFにした値を設定する(ステップS105)。これによって、このTS内にオプショナルフィールドがないことが表される。
【0035】
続いて、パケット先頭から7バイト目の位置から、X−15バイトのスタッフィングバイトを挿入し(ステップS106)、次のバイト位置からPESヘッダを挿入する(ステップS107)。
【0036】
このフローチャートの処理によって、該当するTSは、新たなPESパケットから開始され、かつ、その中に含まれるESもSHCから開始される。
【0037】
GSCやPSCに対して処理する場合は、フローチャート中のSHCをGSCやPSCに置き換えて実行すればよい。GSCやPSCを持つパケットに対して処理を行なった場合は、該当するTSは、新たなPESパケットから開始され、かつ、その中に含まれるESもGSCやPSCから開始されるようになる。
【0038】
<第2実施形態>
本実施形態は、特定コードからのデータを転送したい場合に、特定コードを含むTSパケットを加工し、特定コード以前のデータを削除して、加工するTSパケットの前に新たなPESヘッダを含むTSパケットを配置して、データを転送する、データ転送方法の適用例である。本実施形態でも、特定コードとしてSHCを用いるが、GSCやPSCなどに対して行なってもよい。
【0039】
図5は、本実施形態によるパケット加工の例を示す図である。図5中で上に位置するTSパケットは、その中にSHCを含むパケットを表している。第1実施形態と同様に、SHC以降に位置する斜線領域は、SHCと共に転送したいデータが含まれた領域であり、SHC以前の点模様の領域は、SHC以前のGOPに含まれているデータである。従って、TSパケットから、この点模様の領域のデータを削除すればよい。ただし、そのまま削除してしまうと、該TSに属するPESパケットは、ヘッダのないパケットとなってしまうため、PESパケットのヘッダを挿入する必要が有る。
【0040】
本実施形態では、該当TSの前に位置するTSパケットを作成し、PESパケットのヘッダとSHCをその中に含ませる。このパケットは、PESパケットヘッダとSHCコードのみをデータとして持つパケットである。PIDやフラグ、カウンタは必要な値に設定する。
【0041】
また、該当TSから点模様の領域とSHCを削除するために、アダプテーションフィールドのスタッフィングバイトの機能を利用する。データを削除する代わりに、オプショナルフィールドを持たないアダプテーションフィールドを作成し、削除データの領域をスタッフィングバイトで埋めることで、目的のTSパケットを得ることが出来る。
【0042】
図5中で下に位置するTSパケットが、加工後のTSパケットである。同図中の右下に位置するパケットは、SHCを含んでいたパケットであり、オプショナルフィールドのないアダプテーションフィールドを作成するために、アダプテーションフィールド長とアダプテーションフィールド内のフラグを表す領域を設け、フラグには、オプショナルフィールドがないことを示す値を設定し(図中OFF)、アダプテーションフィールド長の値として、削除したデータよりも1バイト少ない値に設定する。アダプテーションフィールドの残りの領域には、スタッフィングバイトを挿入する。
【0043】
図5中の左下に位置するパケットは、SHCを含んでいたTSパケットの前に挿入するTSパケットであり、ペイロード中にPESパケットヘッダとSHCを含んでいる。ペイロード領域を短くするために、オプショナルフィールドのないアダプテーションフィールドを作成している。アダプテーションフィールド長とアダプテーションフィールド内のフラグを表す領域を設け、フラグには、オプショナルフィールドがないことを示す値を設定し(図中OFF)、アダプテーションフィールド長を、値170に設定する。この値は、スタッフィングバイトとアダプテーション内のフラグを合せた領域数を示す。TSヘッダ内のPIDには、図中の右下に位置するパケットと同一の値を設定し、該TSパケットがPESパケットの開始であることを示すフラグをONにする。また、カウンタの値は、図中右下に位置するパケットの値よりも1つ小さい値を設定する。アダプテーション制御フラグには、アダプテーションが含まれていることを示す値を設定する。
【0044】
図2は、本実施形態による、SHCを含むTSパケットを加工し、SHC以前のデータを削除する処理のフローチャートである。
【0045】
まず、SHCを含むパケットに対して処理を行なう。SHCを含むパケットに注目し、該当TS先頭からのオフセットバイト数を求める(ステップS201)。以降、この値をXとして表す。アダプテーションフィールド制御フラグをONにし、該当TSにアダプテーションフィールドが存在することを表す(ステップS202)。
【0046】
次に、アダプテーションフィールド長の値としてX−1を設定する(ステップS203)。アダプテーションフィールド内のフラグ領域の値として全てのフラグをOFFにした値を設定する(ステップS204)。これによって、このTS内にオプショナルフィールドがないことが表される。
【0047】
次に、パケット先頭から7バイト目の位置から、X−2バイトのスタッフィングバイトを挿入する(ステップS205)。
【0048】
次に、1つ前のTSパケットを処理するために、1つ前のTSの先頭位置に移動する(ステップS206)。まず、当該TSのヘッダを設定する(ステップS207)。ヘッダには、同期バイト、フラグ領域、カウンタ、PIDが含まれる。カウンタは、ステップS201〜S205で処理したTSパケットの値よりも1つ少ない値を設定し、PIDは同一の値を設定する。また、フラグでは、当該TSからPESパケットが開始されることを示すフラグとアダプテーションフィールドを含むことを示すフラグを設定する。
【0049】
次に、アダプテーションフィールド長を格納する領域に、固定値170を設定し(ステップS208)、アダプテーションフィールド内のフラグを、オプショナルフィールドを含まないことを示す値に設定する(ステップS209)。
【0050】
次に、パケット先頭7バイト目から、169バイトのスタッフィングバイトを挿入し(ステップS210)、最後に、PESパケットのヘッダと、SHCを挿入する(ステップS211、ステップS212)。
【0051】
このフローチャートの処理によって、TSは、新たなPESパケットから開始され、かつ、その中に含まれるESも、SHCから開始される。
【0052】
GSCやPSCに対して処理する場合は、フローチャート中のSHCをGSCやPSCに置き換えて実行すればよい。GSCやPSCを持つパケットに対して処理を行なった場合は、該当するTSは、新たなPESパケットから開始され、かつ、その中に含まれるESも、GSCやPSCから開始されるようになる。
【0053】
本実施形態では、SHCを含むTSからデータを削除した後に、PESパケットヘッダを含むTSを作成したが、逆の順番で行なっても構わない。また、本実施形態では、SHCを前に位置するTSパケットに挿入する方法を示したが、SHCを該当TSに残し、前のTSパケットにはPESパケットヘッダのみを含ませる方法も考えられる。
【0054】
<第3実施形態>
本実施形態は、SHCまでのデータを転送する場合に、SHCを含むTSパケットを加工し、SHCを含むそれ以降のデータを削除して、データを転送する、データ転送方法の適用例である。
【0055】
図6は、本実施形態によるパケット加工の例を示す図である。図6中で左に位置するTSパケットは、元となるTSパケット中にアダプテーションフィールドがない場合の加工前と加工後のTSパケットをそれぞれ表し、図6中で右に位置するTSパケットは、元となるTSパケット中にアダプテーションフィールドがある場合の加工前と加工後のTSパケットをそれぞれ表している。
【0056】
まず、アダプテーションフィールドが存在する場合について説明する。図6中の右上のTSパケット内のSHC以前に位置する斜線領域は、転送したいデータが含まれた領域であり、SHCとSHCの後に続く点模様の領域は、次のGOPに含まれているデータである。転送するデータを区切りの良いものとするためには、このSHCと点模様のデータを削除すればよい。この場合は、削除するデータの代わりに、アダプテーションフィールド中のスタッフィングバイト数を増加させることによって対処することが出来る。図6中の右下のTSパケットが、SHCと点模様のデータを削除した後のTSパケットである。
【0057】
次に、アダプテーションフィールドが存在しない場合について説明する。図6中の左上のTSパケット内のSHC以前に位置する斜線領域は、転送したいデータが含まれた領域であり、SHCとSHCの後に続く点模様の領域は、次のGOPに含まれているデータである。転送するデータを区切りの良いものとするためには、アダプテーションフィールドが存在する場合と同様に、このSHCと点模様のデータを削除すればよい。この場合は、アダプテーションフィールドを作成し、削除するデータの代わりにアダプテーションフィールド中をスタッフィングバイトで満たすことによって、対処することが出来る。
【0058】
図6中の左下のTSパケットが、SHCと点模様のデータを削除した後のTSパケットである。アダプテーションフィールドを作成するために、アダプテーションフィールド長を格納する領域とアダプテーションフィールド内のフラグを用意し、残りをスタッフィングバイトとしている。アダプテーションフィールド長には、削除するデータ量から1を引いた値を、フラグには、オプショナルフィールドが含まれないことを示す値を設定する。また、このTSには、アダプテーションフィールドが含まれていることを示す値を、アダプテーションフィールド制御フラグに設定する。
【0059】
図3は、本実施形態による、SHCを含むTSパケットを加工し、SHC以降のデータを削除する処理のフローチャートである。
【0060】
まず、SHCを含むパケットに注目し、該当TS先頭からのオフセットバイト数を求める(ステップS301)。以降、この値をXとして表す。
【0061】
次に、該当TSのアダプテーション制御フラグを確認し、アダプテーションフィールドが存在するかをチェックする(ステップS302)。
【0062】
ステップS302において、アダプテーションフィールドが存在することが確認された場合、そのアダプテーションフィールド長を獲得する(ステップS303)。以降、この値をYとして表す。
【0063】
次に、SHCより前に位置するデータX−Y−5バイトを、該当TSパケットの末尾にコピーし(ステップS304)、パケット先頭からY+6バイト目、パケット末尾から数えてX−Y−4バイト目の188−Xバイトの間をスタッフィングバイトで埋める(ステップS305)。最後に、アダプテーションフィールド長を、Y+188−Xで示される値に設定する(ステップS306)。
【0064】
一方、ステップS302において、アダプテーションフィールドが存在しないことが確認された場合、SHCより前に位置するデータX−4バイトを、該当TSパケットの末尾にコピーし(ステップS307)、パケット先頭から7バイト目、パケット末尾から数えてX−3バイト目の186−Xバイトの間をスタッフィングバイトで埋める(ステップS308)。
【0065】
次に、アダプテーションフィールド長を格納する領域に、187−Xで示される値を設定し(ステップS309)、アダプテーションフィールド内のフラグに、オプショナルフィールドが含まれないことを示す値を設定する(ステップS310)。最後に、TSヘッダ内のアダプテーション制御フラグに、該当TSにはアダプテーションフィールドが含まれることを示す値に設定する(ステップS311)。
【0066】
このフローチャートの処理によって、TSは、GOP単位で区切りのよい、目的となるデータまでを含むストリームとなる。
【0067】
<第4実施形態>
本実施形態は、PSCまでのデータを転送する場合に、PSCを含むTSパケットを加工し、PSCを含むそれ以降のデータを削除して、データを転送する、データ転送方法の適用例である。
【0068】
図7は、本実施形態によるパケット加工の例を示す図である。図7中で左に位置するTSパケットは、元となるTSパケット中にアダプテーションフィールドがない場合の加工前と加工後のTSパケットをそれぞれ表し、図7中で右に位置するTSパケットは、元となるTSパケット中にアダプテーションフィールドがある場合の加工前と加工後のTSパケットをそれぞれ表している。
【0069】
まず、アダプテーションフィールドが存在する場合について説明する。図7中の右上のTSパケット内のPSC以前に位置する斜線領域は、転送したいデータが含まれた領域であり、PSCとPSCの後に続く点模様の領域は、次のピクチャに含まれているデータである。転送するデータを区切りの良いものとするためには、このPSCと点模様のデータを削除すればよい。この場合は、削除するデータの代わりに、アダプテーションフィールド中のスタッフィングバイト数を増加させることによって、対処することが出来る。図7中の右下のTSパケットが、PSCと点模様のデータを削除した後のTSパケットである。
【0070】
次に、アダプテーションフィールドが存在しない場合について説明する。図7中の左上のTSパケット内のPSC以前に位置する斜線領域は、転送したいデータが含まれた領域であり、PSCとPSCの後に続く点模様の領域は、次のピクチャに含まれているデータである。転送するデータを区切りの良いものとするためには、アダプテーションフィールドが存在する場合と同様に、このPSCと点模様のデータを削除すればよい。この場合は、アダプテーションフィールドを作成し、削除するデータの代わりにアダプテーションフィールド中をスタッフィングバイトで満たすことによって、対処することが出来る。
【0071】
図7中の左下のTSパケットが、PSCと点模様のデータを削除した後のTSパケットである。アダプテーションフィールドを作成するために、アダプテーションフィールド長を格納する領域とアダプテーション内のフラグを用意し、残りをスタッフィングバイトとしている。アダプテーションフィールド長には、削除するデータ量から1を引いた値を、フラグには、オプショナルフィールドが含まれないことを示す値を設定する。また、このTSには、アダプテーションフィールドが含まれていることを示す値を、アダプテーションフィールド制御フラグに設定する。
【0072】
本実施形態の処理は、図3で示したフローチャートで、SHCをPSCに置き換えて実行することによって達成される。
【0073】
このフローチャートの処理によって、TSは、ピクチャ単位で区切りのよい、目的となるデータまでを含むストリームとなる。
【0074】
【発明の効果】
請求項1に係る発明では、ストリームを構成するパケット内に含まれる余分なデータを削除して転送することが出来るため、ストリームの途中から再生を開始するような場合において、TSパケットを単位とした転送を行なっても、余分なデータを含まないデータを転送することが出来る。
【0075】
請求項2に係る発明では、SHCから始まるデータを含むTSを転送することが出来るため、GOPを単位としてデータを転送するような場合においても、TSパケットを単位とした、余分なデータを含まないデータを転送することが出来る。
【0076】
請求項3に係る発明では、SHCがPESパケットの途中から開始していても、新たなPESパケットヘッダを含むPESパケットとして正しいデータを送付することが出来るため、SHCを含むTSパケットから転送を行なっても、復号を行なう装置が正しく動作できるストリームを送出することが出来る。
【0077】
請求項4に係る発明では、新たに追加するパケットは、固定長のパケットであり、また、SHCを含むパケットに対しては、余分なデータを削除するだけで済むので、余分なデータを削除して、PESヘッダを追加する仕組みを簡素化することが出来る。
【0078】
請求項5に係る発明では、ストリームを構成するパケットの末尾に位置する余分なデータを削除して転送することが出来る。
【0079】
請求項6に係る発明では、GOPの末尾までを含むストリームを転送することが出来るため、再生停止などの場合においても、復号を行なう装置が正しく動作できるストリームを送出することが出来る。
【0080】
請求項7に係る発明では、ピクチャの末尾までを含むストリームを転送することが出来るため、早送りなどでピクチャ単位で転送を行なっても、復号を行なう装置が正しく動作できるストリームを送出することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態による処理フローを示すフローチャート図である。
【図2】本発明の第2実施形態による処理フローを示すフローチャート図である。
【図3】本発明の第3実施形態による処理フローを示すフローチャート図である。
【図4】本発明の第1実施形態によるパケット加工の例を示す説明図である。
【図5】本発明の第2実施形態によるパケット加工の例を示す説明図である。
【図6】本発明の第3実施形態によるパケット加工の例を示す説明図である。
【図7】本発明の第4実施形態によるパケット加工の例を示す説明図である。
【図8】TSパケットの構成を示す説明図である。
【図9】PESパケットの構成を示す説明図である。
【図10】TSパケットとPESパケットとESの関係を示す説明図である。
Claims (7)
- MPEG2−TS(トランスポートストリーム)を入力し、その中の特定のコードを検出しながら記録媒体に記録し、記録媒体中のストリームデータを、復号を行なう再生装置へ転送するデータ転送方法において、
特定コードからのストリームデータを転送したい場合、特定コードを含むTSパケットを加工し、TSやPES(パケッタイズドエレメンタリストリーム)の構造を破壊しないように特定コード以前の余分なデータを削除してデータを転送することを特徴とするデータ転送方法。 - 請求項1記載において、
前記特定コードは、ストリーム中に含まれるシーケンスヘッダコードであることを特徴とするデータ転送方法。 - 請求項1または2記載において、
前記TSパケットの加工では、該TSパケット中の特定コードの前に、新たなPES(パケッタイズドエレメンタリーストリーム)パケットのヘッダを含ませることを特徴とするデータ転送方法。 - 請求項1または2記載において、
前記TSパケットの加工では、特定コードを含むTSパケットの前に、新たなPESパケットのヘッダを含むTSパケットを配置することを特徴とするデータ転送方法。 - MPEG2−TSを入力し、その中の特定のコードを検出しながら記録媒体に記録し、記録媒体中のストリームデータを、復号を行なう再生装置へ転送するデータ転送方法において、
特定コードまでのストリームデータを転送する場合、特定コードを含むTSパケットを加工し、TSやPESの構造を破壊しないように特定コードを含む以降の余分なデータを削除してデータを転送することを特徴とするデータ転送方法。 - 請求項5記載において、
前記特定コードは、ストリーム中に含まれるシーケンスヘッダコードであることを特徴とするデータ転送方法。 - 請求項5記載において、
前記特定コードは、ストリーム中に含まれるピクチャ開始コードであることを特徴とするデータ転送方法。
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