JP3645266B2 - リードスイッチのスイッチギャップ調整方法 - Google Patents

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Description

本発明は、リードスイッチのガラス質容器内の、互いに重なり合う金属性のカンチレバー(片持ちばり)部材の相互間隔を調整する方法に関するものである。
リードスイッチでは、軽い2本の金属棒が細長中空ガラス管の長手軸線に対しほぼ平行に延在するように、これら金属棒がこのガラス管の両端を貫通してハーメチック封止されている。このガラス管内の各金属棒の一部は平坦化され、これらの平坦化された部分(“リード(舌片)”と称する)は、(1mmの何分の1かのような)狭いギャップを置いて互いに対向して且つ互いに重複して位置している。各金属棒はカンチレバーとして作用する。その理由は、各金属棒はその一端でガラス管の壁部に固定され、その平坦化された端部で自由となっている為である。各金属棒の一部がガラス管の壁部を通って外方に突出している為、ガラス管の内部に位置する部分との電気接触を容易に行なうことができる。
前記の金属棒、或いはこれらの平坦化した部分はNiFeのような軟磁性材料を有する。従って、平坦化された部分は、ガラス管を貫通しうる適切な外部磁界による影響の下で磁化されて互いに引きつけ合い、外部磁界が充分に強い場合互いに物理的に接触する。アセンブリはこのようにして磁気的にトリガされる電気スイッチとして作用しうる。更に、必要とする磁界がガラス管を囲む電気コイルにより発生される場合には、リードスイッチを電気継電器として用いることができる。
リードが互いに接触せしめられる外部磁界強度の値はリードスイッチのAW値と称される。“AW"は、電流が流れるコイルの長手軸線に沿って発生される磁界強度がこのコイル中の電流の大きさとコイルを巻装する形態(単位長さ当りの巻回数及び巻回半径)との双方によって決定されるという事実を考慮した“Ampere Winding"の略語である。リードスイッチのAW値は特に、平坦化部分間のギャップの大きさの感度関数となる。
リードスイッチは通常、所定の顧客の仕様書に応じてバッチ処理で製造され、特定の顧客が規定したAW値の許容範囲が一般に、各注文を満足する最も重要な品質制御ファクタとなる。しかし、最大の注意を払い最も正確に製造処理を実行するにもかかわらず、リードスイッチの特性のゆえに、所定のバッチ毎にギャップ値(従ってAW値)が所定値からずれるのが避けられない。その理由は、軽量で曲りやすい金属棒の、小さなガラス容器の壁部中への自動封入を、厳格に保った相互向き、重なり程度及び相互間隔が絶対的に保証されるように行なうのは殆ど期待できない為である。その結果、リードスイッチの代表的なバッチ処理により意図するギャップ値付近のギャップ値の(ガウス)分布を証明する。
このようなギャップ値の分布をとることは無駄であること明らかである。その理由は、得られた値のほんの一部分のみしか、特定の顧客にとって許容しうるAW値に一致しない為である。従って、製造者は一般に、各所定のバッチ処理をリードスイッチが対応の実際の注文量よりも多量となるように行なって、所定の仕様内の充分な量のリードスイッチを選択し、“除外された”残りのスイッチを、他の注文に応じるのに用いうるという期待をこめて分類し、ラベル付けし、貯蔵するようにする必要がある。このような方策は極めて不経済なものである。
本発明の目的は、リードスイッチのギャップ値をスイッチの製造者にとって後に正確に調整しうるようにする方法を提供せんとするにある。本発明の他の目的は、このような方法が自動化設定兼検査処理に役立つようにすることにある。本発明の更に他の目的は、得られる方法を価格競争の点で比較的迅速且つ廉価に達成しうるようにすることにある。
これらの及びその他の目的を達成する本発明は、リードスイッチのガラス質容器内の互いに重なり合う金属カンチレバー部材の相互間隔を調整する方法であって、前記容器を殆ど透過するパルスレーザビームを、制御期間の間前記容器を経て少なくとも1つのカンチレバー部材の局所領域上に向けて照射し、これによりこの照射領域を中心とする当該カンチレバー部材の熱による永久的な曲げを達成するようにする当該方法において、パルスレーザビームのパルス幅を0.1〜2.0msの範囲内にあるように選択し、1パルス当り生じる放射エネルギーは0.05〜1.0Jの範囲内にあるように選択することを特徴とする。
本発明に達するまでの実験では、本発明者はレーザ放射の細く集束させた制御バーストをリードスイッチのガラス容器を経てこのガラス容器内の一方のリードの“背面”上、すなわち平坦部分の、対向リード側とは反対側の表面上に指向した。これにより、著しく局所化された照明領域の金属材料が急激に加熱されて膨張され、これによりリードの背面が照射ビーム側とは反対側に一時的に湾曲する。しかし、後に冷却されると、リードの背面はその元の位置を通り越して曲げ戻り、元の放射ビーム側に向けて永久的に曲った状態になる。この曲り方向の変化は、照射領域内で金属材料中に塑性変形が生じ、これにより、照射された材料が冷却するとこの材料が正味の収縮を受けるようになることにより生じたことを前提とする。
このように、一方のリードの背面を他方のリードの背面に対して曲げることにより、平坦化部分の分離間隔、すなわちアセンブリのスイッチギャップを直接増大させる。この増大は実際には一般的に数ミクロン程度であるが、元のスイッチギャップは1ミリメートルの数分の1程度にすぎない為、この増大は元のスイッチギャップの数パーセント(一般には15〜20%又はそれ以上)になりうる。
一方のリードの背面上の代わりに、その“前面”上に(すなわち対向するリードの方向に向いた平坦化部分の面上に)照射ビームを向けることにより、上述したのと同じ方法をスイッチギャップの減少を得るのにも良好に用いうること勿論である。このことは、平坦化部分が(一般に)僅かな範囲で重り合っているにすぎず、各平坦化部分の比較的大きな部分をあらゆる方向からアクセスしうるという事実により可能となるものである。
ギャップ値の得られる変化分Δgは多数のパラメータを適切に選択することにより設定しうる。これらのパラメータには
−用いた照射ビームのエネルギーEiと、
−照射ビームの波長と、
−照射ビームがリード面上に集束される程度によって決定される、リード上の局所照射領域の面積Ai(この面積は単位面積当りの発生エネルギーに影響を及ぼす)と、
−平坦化部分の平面内で、リードの自由先端から局所照射領域までの長手方向距離xiと、
−平坦化部分の平面内で、リードの長手軸線からの局所照射領域の横方向距離yiと、
−照射時間Ti
が含まれる。本発明者は一般に以下の(1)及び(2)のことを確かめた。
(1)xiの値が大きくなればなる程、Δgの値が大きくなる。長手軸線から離れる方向に曲げられる角度αは一般に、xiに依存せず、Δgは関係式Δg≒αxiでxiにほぼ比例する(この関係式は、αが比較的小さい(約10゜よりも小さい)場合及びxiの値がリードの長手方向の重なり量を可成り超える(約10倍以上)場合に高精度となる)。このような条件は一般に容易に満足されうる。
(2)αとEiとの間にはあるしきい値まで実質的に直線関係がある。
本発明の特定例では、放射エネルギーのビームをパルスレーザビームとする。ビームをパルス化することにより、そのエネルギー量を順次の短いバーストに集中でき、従って発生エネルギーを連続的なエネルギー出力により著しく高くしうる。このことは上述の点(2)の観点で有利なことである。この目的のための特に適したパルス化は例えばフラッシュ源を有する採用したレーザ装置の光学的ポンピングにより達成しうる。
この関係で、あまりにも高いレーザエネルギーを用いることにより本発明の調整処理の質に悪影響を及ぼすおそれがあるということに注意すべきである。例えば、過大なレーザエネルギーをリード面に与えることにより照射領域及びその付近の金属材料を著しく発散させるおそれがあるということを最適化試験で確かめた。この発散した材料が後にリード接点面上に沈積することにより極めて不所望な“点接触”を接点面上に形成し、スイッチの閉成中に弧絡を生じるおそれを伴なう。しかし一方、レーザエネルギーをあまりにも低くすると、効果が所望通りにならない。その理由は、所望の局所的塑性変形を生ぜしめるのに充分な加熱をリードに与えることができない為である。
パルスレーザビームで照射を行なう本発明の方法では、前述したように、採用するレーザ放射(パルスレーザビーム)のパルス幅を0.1〜2.0ms(ミリ秒)の範囲にあるように選択し、1パルス当り発生される放射エネルギーを0.05〜1.0J(ジュール)内にあるように選択する。これらの値をこれらの範囲内にすることにより代表的に、Δg調整量が(0.5〜4.5mmの範囲内のxiに対し)放射の単発撃ち(ショット)当り10〜20%程度となり、金属材料の発散量は無視しうる。この寸法のΔg調整は完全に実際的なものである。その理由は、より小さな調整値(例えば5%)は一般に顧客が言う公差内に入る為である。
放射による影響の下でのリードの曲り方は特にyiの関係となる。yiが零の場合(すなわち、リードがその長手磁線に沿うある点で照射される場合)、リードの曲り運動は平坦化部分の平面に対しほぼ垂直な方向で直線状に生じる。しかし、yiが零以外の値を有する場合(すなわち、リードがその長手軸線の一方の側の点で照射される場合)、リードの曲り運動は長手軸線を中心とするある程度のねじれを追加的に含むようになる。このようなねじれはスイッチギャップの均一性を低減させる。その理由は、これにより、照射された平坦化部分の一方の縁部を対向リードに向う方向にねじり、反対側の縁部を対向リードから離れる方向にねじる為である。しかし、この影響は、リードがその長手軸線に対し対称的に照射されるようにすることにより、例えば長手軸線に対して互いに鏡像関係にある2点でリードを順次に(又は同時に)照射することにより無くすことができる。
スイッチギャップにおける変化分Δgの均一性は、リード面上の照射領域を(リードの長手軸線に対しほぼ直角に測った)リードの幅全体に亘って延在させることにより一層改善される。このような照射を達成する一方法は、細く集束させたレーザビームをリードの幅にまたがって迅速に走査させ、これにより点状の焼けの代りに“線マーク”を生ぜしめるようにすることである。この目的のためには、リード面にまたがるレーザの、代表的に適した走査速度が一般に20〜600mm/sの範囲内にあることを実験により確かめた。
代表的なリードスイッチの製造処理では、赤外線ランプからの熱を用いて金属カンチレバー部材のガラス容器中への封止を達成する。従って、赤外線波長での吸収係数を最大にするために容器のガラス質材料を一般に緑色とする。このようなリードスイッチの場合には、本発明方法の例では、用いるレーザ放射の波長を、一般に用いられている緑色ガラスに対し透過性の高い525〜540nmの範囲内とするのが有利である。この波長で充分な強度の放射は例えば(パルス化した)周波数2倍Nd:YAGレーザから取出すのが便利である。
前述したように、スイッチギャップの導入する変化分Δgはリード上の局所照射領域の幾何学的配置、特にパラメータxi及びyiに依存する。調整精度を最大にし、しかも、フィードバック測定に基づいて可変的に調整する機会及び融通性を最適にするために、本発明者は、リードスイッチを照射ビームに対して正確に位置決めする装置を開発した。この装置は、リードスイッチの向きを決め且つそのAW値を決定する電磁コイルを用いており、又テレビジョンカメラを用いて照射ビームをリードの自由先端に対して正確に位置決めするようにする(これによりxiを、最終的にαを決定するようにする)。Eiに対するαの実質的に直線的な依存性や、Δg≒αxiであるという事実や、Δgに対する(測定した)AW値の最終的な依存性を利用するために、所望のAW値を生じるのに必要なレーザの単発(又は複数)撃ちのエネルギー及び位置を(自動的に)計算し、次にこの単発又は複数撃ちの実際の結果をフィードバック測定により予想値と比較し、次に何らかの必要な補足撃ちを行なうようにすることができる。この全処理により高速自動化を達成しうる。
本発明及びその利点を更に実施例及び添付図面につき説明する。図面は均一な寸法で描いていない。
実施例1
図1〜4は、スイッチギャップを本発明方法により調整したリードスイッチを種々の状態で示す。これらの図で対応する部分には同じ符号を付した。これらの図は実際のものに正比例して描いておらず、本発明の方法の種々の特徴を容易に明瞭に示すようにしている。
図1は、スイッチギャップを本発明による方法を用いて調整するリードスイッチ1を示す正面図である。このスイッチ1は細長の(実際には10mm程度の長さの)緑色ガラス容器3を有し、このガラス容器3の対向する両端で2つのカンチレバー部材5,7がこのガラス容器内に封入されている。これらのカンチレバー部材5,7は軟磁性NiFe合金(バーマロイ)を有する。これらカンチレバー部材はほぼ平行であり、領域17で重り合う平坦化部分9,11を有する。これらカンチレバー部材5,7のそれぞれの長手軸線13,15をも示してある。図2は同じリードスイッチ1の平面図を示す。
図3は図1の中央領域を詳細に示す。ここに示すように、スイッチは、平坦化部分9,11間のギャップが開いたままの開放状態にある。これらの部分9,11の各々は“背”面9a,11aと“前”面9b,11bとを有する。これらの面の1つの(局部的)平面に対し垂直に測った、前面9b及び11bの最小分離距離がスイッチギャップの大きさ(値)を規定する。
図3に示すように、部分9,11は寸法gの元のスイッチギャップを有するが、その後このスイッチギャップは本発明の方法を用いて量Δgだけ増大されている。この目的のために、平坦化部分11の自由先端19から距離xiにある位置pで背面11aの局所領域を短時間照射し、これにより部分11の自由端を、対向部分9から離れる方向で点pを中心に長手軸線15に対し角度αに亘ってわずかに曲げる。照射ビーム21を破線の外形線で線図的に示す。
部分11の前面11bの局所領域を照射することもでき、この場合この部分11の自由端を対向部分9の方向に曲げるようにすることができる。
図4は図3に示す平坦化部分9,11の(部分的)平面図である。特に、照射ビーム21により形成されたマーク23を線図的に示している。本例では、マーク23がリードの背面11aの幅全体に亘り軸線25に沿って延在し、このマーク23は、(細く集束させた)照射ビーム21を表面11a上で軸線25に沿って急速に描くことにより形成した。
線マーク23の代りに、リードの背面11aを軸線25に沿った1つ以上の個別の点で照射するようにすることもできる。この場合、これらの点は、例えば軸線15及び25の交点における1つの点で照射することにより、或いは軸線15に対し互いに鏡像関係の軸線25上の2つの点で照射することにより、或いは以下同様にして長手軸線15に対し対称的に配置するのが好ましい。
実施例2
フィリップス エレクトロニクス社により市販されている型番RI−23のリードスイッチにおいては、ガラス管3は約14mmの長さ及び約2.5mmの直径を有する。平坦化部分9,11の各々は約4.5mmの長さ、1.2mmの幅及び0.15mmの厚さを有する。長手方向の重なり量17は約0.2mmであり、ギャップ値gは(所定のバッチ処理の正確な仕様に応じて)約30μmである。
1回のバッチ処理により形成した上述したリードスイッチの組に本発明方法を適用するに際し、本発明者は波長が532nmで、パルス幅が0.5ms(ミリ秒)である周波数2倍Nd:YAGレーザからのビーム21を用いて各平坦化部分11の背面11aを照射した。このビーム21を約200μmの直径に集束させ、各リードスイッチにその長手軸線15に沿うある点で単発撃ちを行なった。
単発撃ち当りの放出放射エネルギーEに対する得られる曲り角αをプロットすることにより、問題にしているリードスイッチの特定のバッチ処理に対し、
α≒(29.3×E)−2.4 (1)
が得られることが分った。ここに、αはミリラジアンで表わされ、Eはジュール(J)で表わされる。この場合、特定のギャップの増分Δgを得るのに必要とするxiの値は式
xi≒Δg/α (2)
を用いて計算することができる。ここにxi及びΔgは双方共(例えば)mmで表わす。
例えばE=0.25Jの場合、式(1)によれば対応するαの値は約4.9ミリラジアンである。例えばgを50%増大させるには、式(2)によれば、自由先端19からの長手方向距離xi≒3.1mmの位置で照射を行なう必要がある。この場合、得られるギャップの増分Δgは4.9ミリラジアン×3.1μm=15.2μmであり、これは(所望とするように)30μmの約50%である。
【図面の簡単な説明】
図1は、スイッチギャップを本発明による方法を用いて調整するリードスイッチを示す正面図を示し、
図2は、図1のリードスイッチの平面図を示し、
図3は、図1の細部を示し、
図4は、図3の平面図を示す。」

Claims (3)

  1. リードスイッチのガラス質容器内の互いに重なり合う金属カンチレバー部材の相互間隔を調整する方法であって、前記容器を殆ど透過するパルスレーザビームを、制御期間の間前記容器を経て少なくとも1つのカンチレバー部材の局所領域上に向けて照射し、これによりこの照射領域を中心とする当該カンチレバー部材の熱による永久的な曲げを達成するようにする当該方法において、パルスレーザビームのパルス幅を0.1〜2.0msの範囲内にあるように選択し、1パルス当り生じる放射エネルギーは0.05〜1.0Jの範囲内にあるように選択することを特徴とする方法。
  2. ガラス質容器が緑色である請求の範囲1に記載の方法において、パルスレーザビームの波長を525〜540nmの範囲内とし、このパルスレーザビームを周波数2倍Nd:YAGレーザから取出すことを特徴とする方法。
  3. スイッチギャップが請求の範囲1又は2による方法を用いて調整されるようになっていることを特徴とするリードスイッチ。
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