JP3645025B2 - 外壁パネルの取付構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、壁下地材の屋内側から取り付けるのに好適な外壁パネルの取付構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
住宅密集地では、隣接する家どうしが接近して建てられており、隣接する家屋の間に足場を組めないことがある。こうした場合には、壁下地材の屋内側に足場を組み、外壁パネルを屋内側から支えて壁下地材に取り付ける。例えば横張り型の外壁パネルの場合には、雄雌嵌合部の上縁のフランジ壁を屋内側へ切り起こし、切り起こされた取付片を壁下地材にビスや釘で締結している。
【0003】
特開平7−3999号公報には、外壁パネルの上縁側の嵌合部と係合して、外壁パネルの上方への遊動と、屋外側への傾動を阻止する取付具が開示されている(図56、図59参照)。この取付具は、壁下地のチャンネル材製の柱に係止できる横断面がコ字状の取付枠部と、外壁パネルの嵌合部に係合する係止部とを有し、取付枠部の前面下縁に係止部を一体に折り曲げ形成してなる。取付枠部を柱に係止し、係止部を外壁パネルの嵌合部に嵌め込んだ後、取付枠部をビスで柱に締結することにより、外壁パネルを柱に固定できる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、外壁パネルを取付具を介して柱に固定する取付構造によれば、作業現場において取付片を形成する必要がないので、外壁パネルを屋内側から容易に取り付けることができる。取付片を形成することによって、切り起こし部分の防水機能が低下する不利も避けられる。問題は、取付具による係合部位が外壁パネルの上縁側の嵌合部に限られ、取付具は外壁パネルを上方遊動不能に単に押え保持しているだけなので、外壁パネルを強固に固定できず、長期使用時に日射熱によってそり変形を生じ、外壁面に凹凸を生じ体裁が損なわれやすい。隣家の火災によって外壁パネルが加熱される場合には、表面板の膨張作用で外壁パネルが大きくそり変形し、その雄雌嵌合部が解離して、解離部分から屋内側へ火が回ることもある。
【0005】
本発明の目的は、隣家との隙間が小さく、外壁パネルを壁下地材の屋内側から取り付けざるを得ない状況下で、外壁パネルを屋内側から容易にしかも強固に取り付けることができる、外壁パネルの取付構造を提供することにある。
本発明の他の目的は、外壁パネルの表面板が熱により膨張して外壁パネルがそり変形することをよく防止して、長期使用時の外壁面の面不整を解消でき、しかも火災時の火の回り込みを阻止できる、外壁パネルの取付構造を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明のパネル取付構造は、図1に示すごとく一方向に長い外壁パネル1の一群が、長手方向縁部に設けた連結部Cを介して幅方向に隣接する状態で接続されており、各外壁パネル1が裏面側に設けた取付具3を介して壁下地材2に固定してある外壁パネルに適用する。外壁パネル1の長手方向に沿う両縁の裏面側に、一対の係合部9・10を長手方向に沿って連続して設ける。取付具3は、外壁パネル1の裏面において前記連結部Cを幅方向に横断するベース部14と、ベース部14から屋内側へ起立した締結片15とを有し、ベース部14には、連結部Cを間に挟んで隣接する係合部9・10に係合する係合片16・17を設ける。両係合片16・17を隣接する外壁パネル1・1の両係合部9・10に係合し、締結片15を締結具18で壁下地材2に固定して外壁パネル1を壁下地材2に取り付ける。
【0007】
具体的には、外壁パネル1の長手方向に沿う両縁に、互いに嵌係合し得る第1嵌合部7と第2嵌合部8とを設け、両嵌合部7・8に連続して一対の係合部9・10をパネル裏面に折り曲げ形成する。取付具3の係合片16・17間のベース部14の側縁に締結片15を設ける。
【0008】
【作用】
外壁パネル1を壁下地材2に取り付けた状態において、取付具3は、隣接する外壁パネル1・1の連結部Cの裏面を横断して、連結部Cに隣接する係合部9・10と係合している。従って、外壁パネル1の長手方向の両縁は、それぞれ壁下地材2に固定した取付具3で容易かつ強固に固定される。
【0009】
【実施例】
図1および図2に本発明の第1実施例を示しており、図1において符号1は外壁パネル、2壁下地材、3は取付具である。外壁パネル1は、図2に示すように表面板4と裏面板5と、両板4・5の間に充填した芯材6とで構成した左右横長の横張り型サンドイッチパネルからなる。外壁パネル1の上縁および下縁には、互いに嵌係合できる関係の第1嵌合部7と第2嵌合部8をそれぞれ設け、パネル裏面側に上下の係合部9・10を設ける。
【0010】
第1嵌合部7は、表面板4の主面壁4aの上縁に連続する段部7aと、上端が丸められた嵌合リブ7bと、嵌合リブ7bの裏面側の基端に連続する階段状の内段壁7cとで雄形に形成する。内段壁7cの裏面端から上向きに立ち上がる立壁を裏面側で反転して受壁11を形成し、受壁11の下端に連続して上方の係合部9を形成する。係合部9は屋内側へ向かって開口する断面C字状の溝からなる。
【0011】
第2嵌合部8は、表面板4の主面壁4aの下縁に連続して設けた断面凹字状の溝壁8aからなり、溝壁8aの内奥端にパッキン12を接着固定する。溝壁8aの裏面端に連続して立壁8bを設け、この立壁8bに連続して下方の係合部10を形成する。係合部10は屋内側へ向かって開口する断面C字状の溝からなり、その屈曲基端10aに取付具3を掛け止める。
【0012】
表面板4は、塗装鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板等の金属板材で形成し、裏面板5は表面板4と同じ金属板材で形成するか、紙、アルミニウムシート、あるいは両者を貼り合わせた複合シート等で形成する。芯材6はフェノールフォーム等の硬質プラスチックフォームで形成でき、必要に応じて無機質繊維を含んで形成する。
【0013】
図2において、取付具3は縦長四角形状のベース部14と、ベース部14の右側縁に沿って裏面側へ折り起こした締結片15と、ベース部14の上下端に設けた係合片16・17とを有するプレス成形品からなる。締結片15は四角形状の主面壁を有し、その板面中央に締結具18用の挿通孔19を貫通状に設けてある。
上方の係合片16は、ベース部14の主面壁の上端を逆U字状に折り曲げて形成し、ベース部14の前面側にU字壁が位置するよう設ける。下方の係合片17は、ベース部14の主面壁の下端から斜め下向きに突設してあり、その下縁を表面側へ折り返してある。
【0014】
壁下地材2はチャンネル材で組まれた図外の胴縁の外面に、木製の間柱2aを一定間隔おきに固定して形成する。この間柱2aの外面に外壁パネル1の一群を土台側から上方へ向かって順に取り付ける。詳しくは、既に固定した外壁パネル1の上段に新たな外壁パネル1を隣接配置し、下段の外壁パネル1の第1嵌合部7に上段の外壁パネル1の第2嵌合部8を嵌め込んで、上下の外壁パネル1・1を接続する。この状態を維持したままで、両嵌合部7・8の連結部Cの背面に取付具3を当てがい、その上方の係合片16を上段の外壁パネル1の裏面の下方の係合部10に掛け止めながら、下方の係合片17を下段の外壁パネル1の上方の係合部9に差し込み係合する。
【0015】
次に取付具3の全体をスライド操作して、締結片15を間柱2aの側面に接当させて密着させ、その挿通孔18に挿通した釘やビス等の締結具17を間柱2aに締結する。間柱2aが金属形材で形成してある場合には、セルフドリリングビス、スクリュービス、テクスビス等の締結具18を用いて締結片15を固定する。取付具3は外壁パネル1の長手方向の複数個所を支持する。以後同様の手順を繰り返して行って外壁を形成する。
【0016】
上記のパネル取り付け作業は、屋外側から行うこともできるが、とくに隣家との隙間が小さく、そこに足場を組めない場合に好適である。所定数の取付具3を外壁パネル1の裏面に順に取り付け、その締結片15を屋内側から間柱2aに対して締結固定することで、パネル取り付けを行えるからである。パネル取り付け状態においては、間柱2aに固定した取付具3の上下の係合片16・17が、外壁パネル1の上下の係合部9・10と係合しており、さらにベース部12が上下に隣接する外壁パネル1の連結部Cの裏面を上下に横断する状態で密着する。従って,外壁パネル1を上下遊動不能に固定できるのはもちろんのこと、パネル面が内外にそり変形するのを確実に防止して、長期使用時の外壁の面不整を解消できる。
【0017】
図3(a)〜(c)に外壁パネル1の係合部9・10と、取付具3の上下の係合片16・17の別実施例を示す。なお図3においては外壁パネルをシルエットで表しているが、上記の実施例と同様に構成する。
図3(a)に示す外壁パネル1は、上方の係合部9を外壁パネル1の裏面上方に屋内側へ向かって開口する断面逆U字状の溝として形成し、溝の屈曲端9aに取付具3の下方係合片17を裏面下方から掛け止めるようにした。さらに下方の係合部10は、外壁パネル1の裏面下方に内凹み状の逆U字溝しとて形成した。他は上記の実施例と同じである。取付具3は上記の実施例の取付具3を上下に反転して使用する。
【0018】
図3(b)に示す外壁パネル1は、上下の係合部9・10を表面板4とは異なる金属板で形成したした。このように、係合部9・10は表面板4と異なる板材で形成できる。
【0019】
図3(c)に示す取付具3は、ベース部14の一側上下に2個の締結片15をそれぞれ折り起こし形成した点が先の実施例と異なる。
【0020】
上記の外壁パネル1の上下の係合部9・10、および取付具3の上下の係合片16・17は、それぞれ組み合わせ相手を変更して実施することができ、上記の組み合わせ形態に限定されない。また、第1嵌合部7と第2嵌合部8の断面形状も実施例には限られず、例えば第2嵌合部8を多段溝状に形成し、あるいは前後に隣接する複数の溝で形成するなど、既存の外壁パネルの嵌合部構造をそのまま踏襲できる。本発明のパネル取付構造は、縦張り型の外壁パネルの取り付けにも適用できる。外壁パネル1はサンドイッチパネルである必要はなく、金属板を所定形状に折り曲げた棚板状のパネル体や、その裏面側に芯材6を貼り付けたパネル体を含むものとする。
【0021】
【発明の効果】
本発明では、上下に隣接する外壁パネル1・1の連結部Cの背面に取付具3を装着し、連結部Cに隣接する係合部9・10を取付具3で係合固定することにより、屋内側から外壁パネル1を取り付ける場合であっても、その施工を容易にしかも確実に行って、外壁パネル1を壁下地材2に強固に固定でき、屋外側からパネル取り付けを行う場合と同等の壁強度と耐久性を得ることができる。外壁パネル1のそり変形を防止できるので、長期使用時の壁面の面不整をよく防止でき、とくにパネル内に膨張あるいは収縮しやすい芯材6が設けてある場合であっても、外壁を長期にわたって面一状に維持して、その体裁を施工時と同じ状態に持続できる。隣家の火災等によってパネル面がそり変形し、隣接するパネルの連結部Cの間に隙間を生じ、そこから火が屋内へ回り込むことも確実に防止でき、外壁の耐火性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】外壁パネルの取付構造を示す縦断側面図である。
【図2】外壁パネルおよび取付具の分解斜視図である。
【図3】取付具と外壁パネルの係合部の構造の別実施例を示す側面図である。
【符号の説明】
1 外壁パネル
2 壁下地材
3 取付具
7 第1嵌合部
8 第2嵌合部
9・10 係合部
14 ベース部
15 締結片
16・17 係合片
18 締結具
C 連結部
Claims (2)
- 左右横長の外壁パネル1の一群が、上下に隣接する状態で接続されており、各外壁パネル1が裏面側に設けた取付具3を介して壁下地材2に固定してある外壁パネルの取付構造であって、
外壁パネル1の上縁および下縁に、互いに嵌係合し得る第1嵌合部7と第2嵌合部8とが設けられており、
外壁パネル1の上下両縁の裏面側に、一対の係合部9・10が長手方向に沿って連続して設けられており、
取付具3は、ベース部14と、ベース部14から屋内側へ起立した締結片15と、ベース部14の上下端に設けた係合片16・17とを有し、
上下に隣接する外壁パネル1・1は、下段の外壁パネル1の第1嵌合部7に上段の外壁パネルの第2嵌合部8を嵌め込んで接続されており、
上下に隣接する外壁パネル1・1の両嵌合部7・8の連結部Cの背面において、取付具3の両係合片16・17を上下の外壁パネル1・1の両係合部9・10に係合し、取付具3の全体をスライド操作することにより、締結片15を締結具18で壁下地材2の間柱2aの側面に締結できるようにした外壁パネルの取付構造。 - 外壁パネル1には、両嵌合部7・8に連続して一対の係合部9・10がパネル裏面に折り曲げ形成されており、
係合片16・17間のベース部14の側縁に締結片15が裏面側に折り起こしてある請求項1記載の外壁パネルの取付構造。
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