JP3644891B2 - 炭化水素を蒸発及び/又は過熱するための装置 - Google Patents

炭化水素を蒸発及び/又は過熱するための装置 Download PDF

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Description

【0001】
本発明は、請求項1の前提部分においてより詳細に規定されたタイプの炭化水素を蒸発及び/又は過熱するための装置に関する。
【0002】
メタノール/水混合物の加熱の熱効率を増大するため、改質反応の前に、この混合物を直列配置された2つの熱交換器を介して通すことは、未登録のGB−A−2242562より既知である。これらの熱交換器は、各場合に、1つの触媒バーナーからの排出ガスによって熱せられる。熱交換器の1つは上流の熱交換器から流出する排出ガスによって追加的に熱せられる。
【0003】
EP0184814B1は燃料蒸発器を開示しており、そこには中央燃焼室の周りにらせん状に巻かれたラインが蒸発されるべき媒体のために設けられている。蒸発されるべき液体を含むこのコイルは、バーナーの炎に直接接触しており、結果として蒸発器の構成要素において高い熱的負荷となる。
【0004】
DE19639150C2はガス発生装置のための中央加熱装置を記載している。この装置では、熱エネルギーを供給するため、作動媒体が中央構成要素内で酸素含有ガスと一緒に触媒作用で酸化される。中央構成要素内で発生された熱エネルギーは熱伝達媒体を介してガス発生装置の後続の構成要素に送られる。熱伝達媒体により個別の構成要素に分配される熱エネルギーのために必要のため、対応するライン構成要素が必要とされ、それが中央バーナーを熱伝達媒体側の他の構成要素に接続する。かなりの熱損失がこれらの領域で発生し得るものであり、これは装置の全体効率において逆効果を有する。
【0005】
EP0729196A、US4,670,359、EP0798798A及びFR−A−1553361はそれぞれ、媒体を熱し又は蒸発させるための熱交換器が各場合に排出ガスにより熱せられる装置が開示されており、排出ガスは、熱交換器の上流に配置されるバーナーにより、直接又はタービン又はそれと同類の各種の介在構成要素を伴って、熱せられる。
【0006】
本発明の目的は、燃料電池装置のガス発生装置のための炭化水素又は炭化水素/水混合物を蒸発及び/又は過熱するための装置を提供することであり、そこでは熱交換器ができるだけ効率的に熱せられ、その熱交換器は高レベルの熱効率を与えられ、媒体側における負荷変化又は同類の変化状況に非常に速く反応することができる。
【0007】
本発明によれば、この目的は、請求項1の特徴部分に記載された特徴により達成される。
【0008】
燃焼により、熱エネルギーは非常に高効率で生成されることができる。この燃焼による排出ガスは一般的にはその燃焼の熱エネルギーの大部分を含むものであり、これが次に2つの熱交換器の熱伝達側領域を通過する場合、非常に高効率で熱交換器に熱エネルギーを供給することができ、同時に材料に直接作用する燃焼による炎の結果として熱交換器材料に負わせられる過大な熱的負荷および化学的負荷から熱交換機を保護することができる。従って、本発明による装置は、炭化水素または炭化水素/水混合物を非常に高効率で蒸発させることができる。
【0009】
熱伝達媒体を使用する装置とは異なり、本発明による装置は非常に良い動的応答性を有しており、それは燃焼中に発生する熱エネルギーが状態変化に非常に素早く適合されることができるからである。燃焼からの排出ガスだけが熱交換器を通って流れるという事実は、燃焼から熱交換器を通って流れる熱伝達媒体への熱エネルギーの伝達の結果として、そして一般には液体状である熱伝達媒体を介しての熱エネルギーの非常に緩慢な伝達のために、今まで発生してきた時間遅れが、回避されることを意味する。
【0010】
更なる利点は熱交換器の構造に由来し、それは、それを介して流れる2つの液体のために、比較的簡単な構造とすることができることである。材料上の負荷が炎または触媒バーナーで直接熱するよりも低いため、熱交換器は、この場合には、簡単な、例えばはんだ付けされた熱交換器または蒸発器として低コストで製造可能である。
【0011】
更に、熱交換器内で生成されるガス混合物は非爆発性であり、それは、この場合、既に起こった燃焼からの排出ガスだけが熱交換器の熱伝達側領域を介して流れるためである。従って、熱交換器は、安全上の理由から、爆発の場合に発生し得るこれらの非常に高い圧力に耐えるように設計される必要はなく、熱交換器の製造に関して更なる単純化を与え、そのうえ、熱交換器を非常に小さい質量で構成させる。小さい質量は、順番に、より小さな熱容量のため、熱交換器は、燃料電池における負荷要求の変化に対して、それゆえ排出ガスから炭化水素又は炭化水素/水混合物への熱エネルギーの伝達に関する要求の変化に対して、非常に素早い動的応答性を示す。
【0012】
それゆえ、本発明による装置は、高効率という利点を提供し、同時に、要求の変化、例えば燃料電池装置の燃料電池から要求される電力の変化に対して非常に素早く反応するという可能性を提供する。
【0013】
異なる質量及び結合される異なる熱容量を有する2つの熱交換器を設計することにより、本発明による装置の改善されたダイナミクスを特に有利に達成することができる。これらの改善されたダイナミクスは、装置の非常によい冷間始動特性と関連する。本発明によれば、これは、第1熱交換器の質量及びそれゆえ熱容量が第2熱交換器の質量よりもかなり小さいことから、結果として生ずるものである。
【0014】
本発明の有利な配置および改良は、従属請求項および図面を参照して以下に原則として概説される例示的具体例から明らかになるであろう。
【0015】
炭化水素又は炭化水素/水混合物を蒸発及び/又は過熱するための装置の基本構造が図1に示されている。この構造では、炭化水素又は炭化水素/水混合物は、熱交換器1を通ってその媒体側領域1aを流れる。ここに図示されている例示的具体例では、この媒体は特にメタノールと水の混合物(CHOH+HO)とすることができる。メタノール/水混合物は、計量装置2を介して液体状態で熱交換器1の媒体側領域1aに送られる。メタノール/水混合物は、熱交換器1の媒体側領域1aを通って流れた後、熱せられて蒸発及び/又は過熱された混合物の形態で熱交換器1の媒体側領域1aから出てくる。通常は、目下、ガスの形態であるメタノール/水混合物は、続いて、同様に全体的には図示されない燃料電池装置の更に詳細には図示されないガス発生装置の構成要素に送られることができる。
【0016】
同時に、バーナー3で起こる燃焼からの高温の排出ガスは、熱交換器1の熱伝達側領域1bを通って流れる。この高温の排出ガスとメタノール/水混合物は、熱交換器1を介して向流で送られる。このことは、結果として、向流モードで用いられる熱交換器の効率の良いレベル、及び排出ガスが熱交換器1の熱伝達側領域1bを出るときに非常に低い温度を生じる。そういうわけで、この排出ガスは、事実上いかなる他の冷却なしで環境に放出することができる。従って、それゆえ、排出ガス流に圧力損失を生じさせ及び燃料電池装置のコストを上昇させる更なる構成要素を排除することができる。更に、熱交換器1の下流の低い排出ガス温度は、結果として非常に良いシステム効率をもらすが、それは、排出ガス中に含まれる熱エネルギーの少なくともほとんど大部分が熱交換器1中で利用されるからである。
【0017】
燃料電池からのアノード及びカソード排出ガスは燃焼バーナー3に送られる。この目的のため、図1に略述される混合装置4は、流れの方向で見て、バーナー3の上流に示されている。混合装置4は、燃料電池のアノード領域及びカソード領域から排出ガスを供給される。燃料電池からのカソード排出ガスは比較的高い残留酸素含有量を有しており、それは、残留水素、メタノール、及び適当ならば、アノード排出ガス中に含まれる一酸化炭素とともにバーナー3で燃やすことができる。装置の設計は燃料電池のアノード又はカソード領域から発生するガスがどんな場合でもある圧力のもとにあることを意味するので、上記ガスを供給するためのいかなる他の伝達装置も必要としない。
【0018】
燃料電池の始動段階においては、燃料電池はまだ排出ガスの充分な量を供給していない。しかしながら、この時点では、特に燃料電池のカソード領域がすでに空気にさらされているので、実質上まだ使用されていない空気が「カソード排出ガス」として混合装置4に進む。これらの作動状態に対して、混合装置4は、また随意に他の作動媒体を供給されることができ、これは、好適には、もちろん、すでに装置内に存在する炭化水素であり、この場合、特にメタノール(CHOH)である。もちろん、メタノールの随意的供給も可能であり、これは燃料電池装置のある一定の負荷状態のため、例えば、電力の突然の増大の始まり時点で、アノード排出ガス中に存在する可燃性の残留物が、バーナー3内で必要とされる熱エネルギーを発生するために一時的に不十分であるときに行われる。
【0019】
バーナー3内で起こり得る高温のため、排出ガス中に存在する全ての物質が少なくともほとんど完全に燃焼され、それにより他のタイプの装置に比較して汚染物質の放出がずっと低くなる。
【0020】
好適な具体例では、バーナー3は単純なサーマルバーナーとして設計され、それは、触媒材料を用いたコーティングを必要とする触媒バーナーと比較して、熱効率の高いレベルと単純で安い製造を許すものである。
【0021】
排出ガスは熱交換器1を介して流れた後、次に第2熱交換器5の熱伝達側領域5bへ進む。この場合、水とメタノールの混合物が計量装置2’を介して熱交換器5の媒体側領域5aに供給され、熱交換機5の媒体側領域5a内で同様に熱せられ、蒸発及び/又は過熱される。排出ガス中に熱交換器5で利用可能な熱エネルギーの充分な量をなお所有する目的で、ここに図示される例示的具体例では、熱交換器1は並流型熱交換器として作動される。熱交換器5は向流モードで作動され、これにより熱交換機5の熱伝達側領域5bを出る排出ガスの特に低い温度を確実にする。全体的な結果は、もう一度、効率の非常によいレベルであり、それは排出ガス中に存在する熱エネルギーの少なくともほぼ大部分が、媒体を熱し、蒸発及び/又は過熱するために、熱交換器1及び5中に放出されているからである。
【0022】
全体的に見て、図1に示される構成は、2つの熱交換機1,5の材料における比較的低い熱負荷に帰するものであるが、一方、同時に、改善されたダイナミクスを達成するものである。これは、特に熱交換器1によって可能とされ、それは短期間のあいだ非常に高温で、即ち、非常に高い蒸発器運転で作動することができ、それにより排出ガスがその中に残る残存温度を熱交換機1の下流の熱交換器5へまだ有効に放散することができるからである。改善されたダイナミクスは、図1において、その装置の非常に良い冷間始動運転と共同して、熱交換器1の質量及びそれゆえその熱容量が、熱交換器5の質量よりもかなり低いという事実にまた由来するものである。従って、熱交換器1は、より首尾よく且つより迅速に熱せられることができ、改善されたダイナミクスを有する。それゆえ、本来、蒸発器1は低い蒸発容量の伝達だけが可能であるが、これは熱交換器5の使用によって報償されるので、全体システムが高い蒸発容量を提供することは相変わらず可能である。
【0023】
原則として、図1に示される構成において、熱交換器5の媒体側領域5aに対して第2計量装置2’を不要にすることも可能であり、熱交換器5は、例えば、熱交換器1内で蒸発される媒体の過熱のために、第2段階として使用される。
【0024】
図2はその装置の設計を示す図であり、その基本原理は、既に上述した構成と同様である。
【0025】
媒体側領域1aと熱伝達側領域1bを有する熱交換器1は、既に上述した方法で機能する。この場合、熱交換器1は、図3に示すような並流モードと同様に、向流モードで作動されることができる。熱交換器1の下流で他の混合装置4’では、バーナー3により発生され熱交換器1の熱伝達側領域1bを介して流れる排出ガスに、アノード排出ガスおよび適当であるならばメタノールがもう一度送られる。続いて、アノード排出ガスとバーナー3からの排出ガスの混合物は、他のバーナー3’へ進む。バーナー3’で起こる燃焼による排出ガスは、再燃焼として考えることもできるものであるが、次に第2熱交換器5の熱伝達側領域5bに進む。第2熱交換器5の媒体側領域5aでは、熱交換器1の媒体側領域1aのそれと同様なプロセスが起こる。全体装置における2つのバーナー3,3’の使用は、燃料電池のアノード及びカソード排出ガスからの少なくともほぼ全ての可燃性残留物を反応させることができるので、汚染物質の放出は非常に少なくなり、そして更に、そこに含まれるエネルギー供給物質の大部分の利用のおかげで全体装置の効率は向上する。
【0026】
原則として、両熱交換器1,5は向流モードで作動可能であり、それにより、この場合、熱交換効率もまた非常に高くなる。しかしながら、全体装置の効率を改善するためには、装置を出る排出ガスを最低可能温度まで冷却する目的で、熱交換器5が向流モードで作動されることで足りる。従って、所望の作動により、熱交換器1は並流または向流モードのどちらかを選択することができる。
【0027】
この装置においてもまた、図1に関して、即ち軽量かつ簡易な構造に関して既に概説されている熱交換器1の構造が、改善されたダイナミクス又は改善された冷間始動運転のために適用される。更に、例示的具体例に示されるように、熱交換器1及び5は、2段階熱交換器として、互いに独立に又は示されていないが二者択一的に作動されることができ、例えば、熱交換器1は予備的蒸発器として利用され、熱交換器5は過熱器として利用される。
【0028】
図2に示される装置において、熱交換器1内で少しばかり高い水含有量を有するメタノール/水混合物を蒸発させ、一方純粋なメタノールは熱交換器5で蒸発させることによって、効率の追加的改善が達成され得る。熱交換器1,5から出る媒体の2つの流れがそのあと混合されるのであれば、この場合、メタノールに対する水の所望の比率を達成することが可能である。しかしながら、メタノールの低い沸点のために、熱交換器5を出る排出ガスは、メタノールと水の混合物が熱交換器5内で蒸発された場合よりも低い温度となろう。その結果は装置効率の更なる向上であり、それは熱交換器5の熱伝達側領域5bを出る排出ガスが、水とメタノールの混合物が熱交換器5内で蒸発された場合よりも同等に低い温度だからである。
【0029】
もちろん、他の構造も考えられ、この場合、それらは、所望の数の熱交換器1,5を同様の数又はより少ない数のバーナー3,3’と結合することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による装置の構成の概略を示す図である。
【図2】 2つの熱交換器および2つのバーナーを有する構成で本発明による装置の可能な更なる構成を示す図である。

Claims (8)

  1. 第1熱交換器(1)の熱伝達側領域と熱的伝導伝達を行う第1熱交換器(1)の媒体側領域を介して炭化水素又は炭化水素混合物が流れ、流れの方向で見て第1熱交換器(1)の熱伝達側領域の上流にバーナー(3)が配置され、バーナー(3)内の燃焼からの排出ガスが第1熱交換器(1)の熱伝達側領域を介して流れ、排出ガス容積流が第1熱交換器(1)を介して流れたのち第1熱交換器(1)と同様な方法で作動する少なくとも1つの第2熱交換器(5)を介して流れる、燃料電池装置のガス発生装置のための炭化水素又は炭化水素混合物を蒸発及び/又は過熱するための装置であって、少なくとも1つの第2熱交換器(5)が第1熱交換器(1)よりも大きな質量を有することを特徴とする前記装置。
  2. 燃料電池装置からのアノード排出ガス及びカソード排出ガスが燃焼のためにバーナー(3)に送られ得ることを特徴とする請求項1記載の装置。
  3. アノード排出ガス及びカソード排出ガスに加えて、燃料が燃焼のためにバーナー(3)に送られ得ることを特徴とする請求項2記載の装置。
  4. 少なくともほぼ完全な酸化がバーナー(3)内で起こることを特徴とする請求項1、2又は3記載の装置。
  5. 排出ガス容積流及び炭化水素又は炭化水素容積流が向流で第1熱交換器(1)を介して流れることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の装置。
  6. 1熱交換器(1)と少なくとも1つの第2熱交換器(5)との間に他のバーナー(3’)が配置され、燃料電池からのアノード排出ガス及び/又は燃料をバーナー(3’)に送ることができることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の装置。
  7. 炭化水素が燃料として使用され得ることを特徴とする請求項3〜6のいずれかに記載の装置。
  8. メタノールが炭化水素として使用され得ることを特徴とする請求項3〜7のいずれかに記載の装置。
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