JP3644163B2 - スプレー冷却式炉蓋 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属或いは廃棄物等を溶融するのに使用されるアーク炉，取鍋等の炉体に被るスプレー冷却式炉蓋に関し、さらに詳しくはその排水がスムースに行なわれるようにするものである。
【０００２】
【従来の技術】
金属の溶融や精錬、或いはゴミ焼却灰等の廃棄物の溶解に使用されているアーク炉等の電気炉では、その炉体の上端開口に従来からスプレー冷却式炉蓋を被着している。該スプレー冷却式炉蓋は、例えば特公平３−２２５５９号公報に示されたように、鋼板により中空状に形成され、その内部空間にスプレーパイプを配設し、冷却水等の冷却媒体をスプレーすることにより、該炉蓋を冷却し、炉蓋を炉内の高熱から防禦している。また特開平７−２６０３６７号公報により開示されたスプレー冷却式炉蓋は、炉蓋の外周下側面に一連の環状の排水樋（排水ボックス）を形成し、内部空間にスプレーされた冷却水を該排水樋に流下させ、その排水が真空ポンプを使用することなく自重により自然と排出されるようにしたものである。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながらこのように排水を自然流下方式により排出させていたのでは、排出がスムースに高速で行なわれないために排水樋中の水位が上昇しその部分の冷却効率が極端に低下し、炉蓋の短寿命化につながるおそれがあった。従って真空ポンプのような排水を吸引し強制的に排出する手段を設ける必要があるが、真空ポンプは高額であり、しかも排水樋に所定間隔を空けて複数の排水口を設けたものではその各排水管ごとに高額な真空ポンプを設けねばならなかったので、全体としての設備費が非常に高額になるという問題がある。
【０００４】
【課題を解決するための手段】
本発明のスプレー冷却式炉蓋は上記課題を解決しようとするもので、冷却水をスプレーするスプレーパイプを炉蓋の内部空間に設けると共に、該炉蓋の外周下側面に環状の排水樋を形成してなるスプレー冷却式炉蓋において、排水樋中にミキシングエダクタを設けることにより該排水樋中の排水を排出口に向けて強制的に流動させるようにしたことを特徴とする。
【０００５】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を、図１に示したスプレー冷却式炉蓋の縦断面図、および、図２に示したそのＡーＡ線断面図と共に説明する。この実施形態は三相交流アーク炉の上端開口に被るスプレー冷却式炉蓋を示し、１はその炉体、２は炉蓋である。炉蓋２は内側の耐熱鋼板３と外側の鋼板４とで内部空間５が形成され、該内部空間５に、環状の給水ヘッダ６と、該給水ヘッダ６の外周より放射状に延びる複数本のスプレーパイプ７が配設されている。８は該給水ヘッダ６に冷却水を供給する給水管、９ａ，９ｂ，９ｃは、該炉蓋２の中央部１０に開設された電極挿入口である。該中央部１０は周縁部１１より高くなるように前記耐熱鋼板３および鋼板４が傾斜状に配設されている。そして該炉蓋２の外周下側面に一連に環状の排水樋１２が形成されている。
【０００６】
１３ａ〜１３ｄは該排水樋１２の周囲に９０度宛間隔を空けて開設された排出口、１４ａ〜１４ｄは該各排出口１３ａ〜１３ｄより外へ連なる排水管である。なお１５は該各排水管１４ａ〜１４ｄの途中に設けられた伸縮自在継手で、その伸縮により炉蓋２を上下動可能にしている。
【０００７】
しかして、１６ａ〜１６ｄは排水樋１２中に夫々排出口１３ａ〜１３ｄに向けて設けられたミキシングエダクタである。該ミキシングエダクタ１６ａ〜１６ｄは、前記スプレーパイプ７の先端部より垂下させた給水パイプ２０にエルボ２１を介してノズル１７を横向に固着し、該ノズル１７の先方にフレーム１８によってベンチュリー管１９を支持し、該給水パイプ２０を通って圧送された来た冷却水を該ノズル１７からベンチュリー管１９内に高速で噴出させることにより、該排水樋１２中の排水が矢印で示したようにフレーム１８の間を通ってベンチュリー管１９中に吸引されその噴出流とともにベンチュリー管１９より吹き出し排出口１３ａ〜１３ｄに向けて強制的に流動させられるようにしたものである。このミキシングエダクタでは排水樋１２中の排水をノズル１７より噴出させる冷却水の量の４倍以上流動させることができる。なお、この種のミキシングエダクタは簡単な構造であるので比較的低価格で市販されており入手も容易である。
【０００８】
このように構成したスプレー冷却式炉蓋では、給水管８より給水ヘッダ６を介して各スプレーパイプ７に冷却水を供給し、該各スプレーパイプ７のノズル孔より冷却水を内部空間５の内面にスプレーすることにより該炉蓋２を冷却し、その水は耐熱鋼板３の傾斜によって外周の排水樋１２に流下させると共に、ミキシングエダクタ１６ａ〜１６ｄの作動により該排水樋１２中に溜った排水を排出口１３ａ〜１３ｄに向けて流動させ、排水管１４ａ〜１４ｄより排出させることができる。このため冷却水を多量にスプレーしても排水樋１２中に排水が滞ることなく常にスムースに排出を行うことができるので、所期の冷却能力を維持することができる。
【０００９】
【発明の効果】
このように本発明に係るスプレー冷却式炉蓋は、排水樋にミキシングエダクタを設けることにより排水を排出口に向けて積極的に流動させるものであるので、真空ポンプほどの設備費を要さずに排水を強制排出でき、常にスムースに排水が行なわれるようになるので炉蓋を効率よくスプレー冷却できるようにする有益な効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施の形態を示したスプレー冷却式炉蓋の縦断面図。
【図２】図１のＡ−Ａ線断面図。
【図３】ミキシングエダクタの拡大縦断面図。
【符号の説明】
１ 炉体
２ 炉蓋
５ 内部空間
７ スプレーパイプ
１２ 排水樋
１３ａ〜１３ｄ 排出口
１４ａ〜１４ｄ 排水管
１６ａ〜１６ｄ ミキシングエダクタ
２０ 給水パイプ
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属或いは廃棄物等を溶融するのに使用されるアーク炉，取鍋等の炉体に被るスプレー冷却式炉蓋に関し、さらに詳しくはその排水がスムースに行なわれるようにするものである。
【０００２】
【従来の技術】
金属の溶融や精錬、或いはゴミ焼却灰等の廃棄物の溶解に使用されているアーク炉等の電気炉では、その炉体の上端開口に従来からスプレー冷却式炉蓋を被着している。該スプレー冷却式炉蓋は、例えば特公平３−２２５５９号公報に示されたように、鋼板により中空状に形成され、その内部空間にスプレーパイプを配設し、冷却水等の冷却媒体をスプレーすることにより、該炉蓋を冷却し、炉蓋を炉内の高熱から防禦している。また特開平７−２６０３６７号公報により開示されたスプレー冷却式炉蓋は、炉蓋の外周下側面に一連の環状の排水樋（排水ボックス）を形成し、内部空間にスプレーされた冷却水を該排水樋に流下させ、その排水が真空ポンプを使用することなく自重により自然と排出されるようにしたものである。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながらこのように排水を自然流下方式により排出させていたのでは、排出がスムースに高速で行なわれないために排水樋中の水位が上昇しその部分の冷却効率が極端に低下し、炉蓋の短寿命化につながるおそれがあった。従って真空ポンプのような排水を吸引し強制的に排出する手段を設ける必要があるが、真空ポンプは高額であり、しかも排水樋に所定間隔を空けて複数の排水口を設けたものではその各排水管ごとに高額な真空ポンプを設けねばならなかったので、全体としての設備費が非常に高額になるという問題がある。
【０００４】
【課題を解決するための手段】
本発明のスプレー冷却式炉蓋は上記課題を解決しようとするもので、冷却水をスプレーするスプレーパイプを炉蓋の内部空間に設けると共に、該炉蓋の外周下側面に環状の排水樋を形成してなるスプレー冷却式炉蓋において、排水樋中にミキシングエダクタを設けることにより該排水樋中の排水を排出口に向けて強制的に流動させるようにしたことを特徴とする。
【０００５】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を、図１に示したスプレー冷却式炉蓋の縦断面図、および、図２に示したそのＡーＡ線断面図と共に説明する。この実施形態は三相交流アーク炉の上端開口に被るスプレー冷却式炉蓋を示し、１はその炉体、２は炉蓋である。炉蓋２は内側の耐熱鋼板３と外側の鋼板４とで内部空間５が形成され、該内部空間５に、環状の給水ヘッダ６と、該給水ヘッダ６の外周より放射状に延びる複数本のスプレーパイプ７が配設されている。８は該給水ヘッダ６に冷却水を供給する給水管、９ａ，９ｂ，９ｃは、該炉蓋２の中央部１０に開設された電極挿入口である。該中央部１０は周縁部１１より高くなるように前記耐熱鋼板３および鋼板４が傾斜状に配設されている。そして該炉蓋２の外周下側面に一連に環状の排水樋１２が形成されている。
【０００６】
１３ａ〜１３ｄは該排水樋１２の周囲に９０度宛間隔を空けて開設された排出口、１４ａ〜１４ｄは該各排出口１３ａ〜１３ｄより外へ連なる排水管である。なお１５は該各排水管１４ａ〜１４ｄの途中に設けられた伸縮自在継手で、その伸縮により炉蓋２を上下動可能にしている。
【０００７】
しかして、１６ａ〜１６ｄは排水樋１２中に夫々排出口１３ａ〜１３ｄに向けて設けられたミキシングエダクタである。該ミキシングエダクタ１６ａ〜１６ｄは、前記スプレーパイプ７の先端部より垂下させた給水パイプ２０にエルボ２１を介してノズル１７を横向に固着し、該ノズル１７の先方にフレーム１８によってベンチュリー管１９を支持し、該給水パイプ２０を通って圧送された来た冷却水を該ノズル１７からベンチュリー管１９内に高速で噴出させることにより、該排水樋１２中の排水が矢印で示したようにフレーム１８の間を通ってベンチュリー管１９中に吸引されその噴出流とともにベンチュリー管１９より吹き出し排出口１３ａ〜１３ｄに向けて強制的に流動させられるようにしたものである。このミキシングエダクタでは排水樋１２中の排水をノズル１７より噴出させる冷却水の量の４倍以上流動させることができる。なお、この種のミキシングエダクタは簡単な構造であるので比較的低価格で市販されており入手も容易である。
【０００８】
このように構成したスプレー冷却式炉蓋では、給水管８より給水ヘッダ６を介して各スプレーパイプ７に冷却水を供給し、該各スプレーパイプ７のノズル孔より冷却水を内部空間５の内面にスプレーすることにより該炉蓋２を冷却し、その水は耐熱鋼板３の傾斜によって外周の排水樋１２に流下させると共に、ミキシングエダクタ１６ａ〜１６ｄの作動により該排水樋１２中に溜った排水を排出口１３ａ〜１３ｄに向けて流動させ、排水管１４ａ〜１４ｄより排出させることができる。このため冷却水を多量にスプレーしても排水樋１２中に排水が滞ることなく常にスムースに排出を行うことができるので、所期の冷却能力を維持することができる。
【０００９】
【発明の効果】
このように本発明に係るスプレー冷却式炉蓋は、排水樋にミキシングエダクタを設けることにより排水を排出口に向けて積極的に流動させるものであるので、真空ポンプほどの設備費を要さずに排水を強制排出でき、常にスムースに排水が行なわれるようになるので炉蓋を効率よくスプレー冷却できるようにする有益な効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施の形態を示したスプレー冷却式炉蓋の縦断面図。
【図２】図１のＡ−Ａ線断面図。
【図３】ミキシングエダクタの拡大縦断面図。
【符号の説明】
１ 炉体
２ 炉蓋
５ 内部空間
７ スプレーパイプ
１２ 排水樋
１３ａ〜１３ｄ 排出口
１４ａ〜１４ｄ 排水管
１６ａ〜１６ｄ ミキシングエダクタ
２０ 給水パイプ
Claims (1)
- 冷却水をスプレーするスプレーパイプを炉蓋の内部空間に設けると共に、該炉蓋の外周下側面に環状の排水樋を形成してなるスプレー冷却式炉蓋において、排水樋中にミキシングエダクタを設けることにより該排水樋中の排水を排出口に向けて強制的に流動させるようにしたことを特徴とするスプレー冷却式炉蓋。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP33047196A JP3644163B2 (ja) | 1996-11-25 | 1996-11-25 | スプレー冷却式炉蓋 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP33047196A JP3644163B2 (ja) | 1996-11-25 | 1996-11-25 | スプレー冷却式炉蓋 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH10160357A JPH10160357A (ja) | 1998-06-19 |
| JP3644163B2 true JP3644163B2 (ja) | 2005-04-27 |
Family
ID=18233002
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP33047196A Expired - Lifetime JP3644163B2 (ja) | 1996-11-25 | 1996-11-25 | スプレー冷却式炉蓋 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3644163B2 (ja) |
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| KR101941104B1 (ko) * | 2018-09-05 | 2019-01-22 | 강성진 | 냉각수 배수 구조를 포함하는 전기로 |
| KR101958871B1 (ko) * | 2018-09-05 | 2019-03-15 | 강성진 | 냉각수 배수 구조를 포함하는 전기로 |
Families Citing this family (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| DE102017201611B4 (de) * | 2017-02-01 | 2018-08-09 | Schott Ag | Vorrichtung und Verfahren zur Kühlung eines eine Glasschmelze berührenden Bauteils |
| US10598436B2 (en) * | 2017-04-18 | 2020-03-24 | Systems Spray-Cooled, Inc. | Cooling system for a surface of a metallurgical furnace |
-
1996
- 1996-11-25 JP JP33047196A patent/JP3644163B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| KR101941104B1 (ko) * | 2018-09-05 | 2019-01-22 | 강성진 | 냉각수 배수 구조를 포함하는 전기로 |
| KR101958871B1 (ko) * | 2018-09-05 | 2019-03-15 | 강성진 | 냉각수 배수 구조를 포함하는 전기로 |
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH10160357A (ja) | 1998-06-19 |
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Legal Events
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