JP3643759B2 - 偏向ヨーク - Google Patents

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Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、陰極線管（ＣＲＴ）の電子ビームを偏向させる偏向ヨークに関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来、偏向ヨークにおいて、電子ビームのセンタリング調整は、図６に示すように、リング状のセンタリングマグネット(１)(１)を２つ組み合せて偏向ヨーク(２)のネック側に装着し、斯かる２つのセンタリングマグネット(１)(１)を各々回転調整することによって行っている。
【０００３】
このセンタリング調整用のセンタリングマグネット(１)(１)は２極マグネットであり、図６に示すように、回転調整つまみ部(１ａ)(１ｂ)の一方の側（図６では１ｂ側）に樹脂成型ゲート口を設けて磁性材料粉末を混入した樹脂を流し込んで成型した後、２極に着磁することによって形成される。
【０００４】
斯かるセンタリングマグネット(１)(１)の磁性材料には、アルニコ系、フェライト系、あるいは希土類系のものが用いられるが、磁力強度、温度特性及び価格、生産性の観点から、アルニコ系のものが一般的に用いられている。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
然るに、樹脂製のセンタリングマグネットに用いられるアルニコ系の磁性粉末では、フェライト系の磁性粉末に比べて粒子が大きいため、樹脂成型時にセンタリングマグネット内で磁性粉末の密度斑（偏り）が出来てしまうといった問題が生じる。
【０００６】
詳細には、図７に示すように、樹脂を流し込むゲート口側では磁性粉末の密度が低下し、ゲート口の反対側部分、即ち樹脂が流れ込む先端及び流れ込んだ樹脂が成型金型で２方向に分割された後に再度合流する部分に出来るウエルドラインで密度が高くなる。そして、このように密度斑が発生したセンタリングマグネットに磁力を着磁すると、密度斑に合わせた形で着磁斑が出来てしまい、図８の矢印にて示されるように、密度の低いゲート口側では極の強さが分散された形となり、密度の高い先端部分及びウエルドラインの部分では極の強さが集中した形となるとともに、その分極点が極間の中心から極の強さが集中している方へずれてしまう。
【０００７】
このように分極点がずれた２枚のセンタリングマグネットを組み合せてセンタリング調整に用いる場合、例えば調整磁力をゼロとするため、図９に示すように２枚のセンタリングマグネット(１)(１)を互いに異なる極同士で重ねても、合成される磁力線形状が対称でないため、図１０に示すような残留４極磁界が発生する。斯かる残留４極磁界は、図１１に示すように電子ビームの形状を歪ませてしまい、その結果、受像管に映し出される映像のフォーカス性能を劣化させ、映像の解像度を低下させる原因となる。
【０００８】
従って、本発明は、アルニコ系磁性材料のセンタリングマグネットを用いる場合でも、上記残留４極磁界の発生を防止し、電子ビームの形状劣化を発生することのない偏向ヨークを提供するものである。
【０００９】
【課題を解決するための手段】
本発明は、センタリング調整用のセンタリングマグネットを備えた偏向ヨークであって、上記課題を解決するため、前記センタリングマグネットは、樹脂成型ゲート口を当該センタリングマグネットに対して対称となるように偶数個設けて樹脂成型されると共に、前記センタリングマグネットのいずれかの対向するゲート口部分、あるいはいずれかの対向するウエルドライン部分に各極を着磁されていることを特徴とする。
【００１０】
【発明の実施の形態】
図１に本発明の偏向ヨークに用いるセンタリングマグネットの第１の実施例を示し、以下、図面を参照して本発明を説明する。
【００１１】
図１において、本発明のセンタリングマグネット(１)はアルニコ系の磁性材料粉末を混入した樹脂を成型してされるものであり、その形状は従来と同じリング状で、回転調整つまみ部(１ａ)(１ｂ)を有し、図６に示すように従来と同様に２枚を組み合せて偏向ヨークのネック側に装着される。本実施例の従来例と異なるところは、センタリングマグネット(１)を樹脂成型する際の樹脂成型ゲート口を、回転調整つまみ部(１ａ)(１ｂ)の２個所に設け、成型したところにある。
【００１２】
本実施例のセンタリングマグネット(１)では、図１の矢印で示すように樹脂が流れ、ゲート口である回転調整つまみ部(１ａ)(１ｂ)間の略中央に磁気材料粉末の密度の高いウエルドラインが発生する。一方、ゲート口側である回転調整つまみ部(１ａ)(１ｂ)の磁気材料粉末の密度はいずれも低くなる。また、本実施例では、回転調整つまみ部(１ａ)(１ｂ)が極になるように着磁する。
【００１３】
斯かる本実施例のセンタリングマグネット(１)(１)における磁力線形状を図２に示す。即ち、本実施例では各極がいずれも密度の低い部分に着磁され、且つセンタリングマグネット(１)内の磁気材料粉末の密度分布が各極間の中央線に対して対称になるため、分極点は各極の中間に形成される。この結果、磁力線は、図２に示されるように、各極の中央線に対して対称に発生する。
【００１４】
斯かる２枚のセンタリングマグネット(１)(１)を互いに異なる極同士で重ねると、合成される磁力線は図３の如く対称的に一致し、結果、図４に示すようにキャンセルされ、従来のような残留４極磁界は発生しない。
【００１５】
図５は、本発明の偏向ヨークに用いるセンタリングマグネットの第２の実施例を示す。本実施例では、樹脂成型のゲート口を、センタリングマグネット(１)の回転調整つまみ部(１ａ)(１ｂ)間の中央の対向位置に夫々設けたものである。この場合、密度の高いウエルドラインは、各ゲート口の中間になる回転調整つまみ部(１ａ)(１ｂ)にできることとなる。ここで、図５に示すように、回転調整つまみ部(１ａ)(１ｂ)が各極になるように着磁すると、センタリングマグネット(１)内の磁気材料粉末の密度分布が各極間の中央線に対して対称になるため、分極点は各極の中間に形成され、第１の実施例と同様の効果が得られる。
【００１６】
以上、第１、第２の実施例では、回転調整つまみ部(１ａ)(１ｂ)に各極を形成したが、回転調整つまみ部(１ａ)(１ｂ)の中間の対向位置に各極を形成しても同様の効果が得られる。また、ゲート口は２つに限ることなく、センタリングマグネット(１)に対して対称となるように偶数個設け、いずれかの対向するゲート口部分、あるいはいずれかの対向するウエルドライン部分に各極を着磁すれば、同様の効果が得られる。
【００１７】
【発明の効果】
本発明によれば、センタリングマグネットの磁力線が各極の中央線に対して対称に発生するため、２枚のセンタリングマグネットを互いに異なる極同士で重ねた祭に４極磁界が発生することなく、理想的に磁力線がキャンセルされるので、電子ビームの形状劣化を防止可能である。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の偏向ヨークに用いられるセンタリングマグネットの第1実施例を示す図。
【図２】本発明の第1実施例における磁力線を示す図。
【図３】本発明の第1実施例における合成される磁力線を示す図。
【図４】本発明の第1実施例における磁力線の合成結果を示す図。
【図５】本発明の偏向ヨークに用いられるセンタリングマグネットの第２の実施例を示す図。
【図６】センタリングマグネットを用いた偏向ヨークを示す図。
【図７】従来のセンタリングマグネットを示す図。
【図８】従来例における磁力線を示す図。
【図９】従来例における合成される磁力線を示す図。
【図１０】従来例における磁力線の合成結果を示す図。
【図１１】従来例における電子ビームの変形を示す図。
【符号の説明】
１．センタリングマグネット
１ａ，１ｂ．回転調整つまみ部
２．偏向ヨーク

Claims (3)

  1. ２枚を１対として使用するセンタリング調整用のセンタリングマグネットを備えた偏向ヨークにおいて、前記センタリングマグネットは、樹脂成型ゲート口を当該センタリングマグネットに対して対称となるように偶数個設けて樹脂成型されると共に、前記センタリングマグネットのいずれかの対向するゲート口部分が磁力線の中心となるように各極に着磁されていることを特徴とする偏向ヨーク。
  2. ２枚を１対として使用するセンタリング調整用のセンタリングマグネットを備えた偏向ヨークにおいて、前記センタリングマグネットは、樹脂成型ゲート口を当該センタリングマグネットに対して対称となるように偶数個設けて樹脂成型されると共に、前記センタリングマグネットのいずれかの対向するウエルドライン部分が磁力線の中心となるように各極が着磁されていることを特徴とする偏向ヨーク。
  3. 前記センタリングマグネットはアルニコ系磁性材料を用いて構成されていることを特徴とする請求項１または２記載の偏向ヨーク。
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