JP3643526B2 - 逆止弁における弁体構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、製鉄所等において、デスケーリング、水処理ライン等に設置される逆止弁における弁体構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、製鉄所等の排水処理ライン等においては、通常、図3に示すように、タービンポンプ30等の後流側に、逆流を防止するための逆止弁31が、その下流側にはモータ駆動式のオン・オフ弁32が設けられている。
【0003】
この逆止弁31は、例えば、図4に示すように、上流側流路101aと下流側流路101bの間に、ディスクガイド105を内嵌する弁体室部101cを有するケーシング100と、このディスクガイド105に摺動自在に内嵌された弁体であるディスク104と、このディスク104を上流側流路101aの閉塞位置へ付勢するコイルスプリング110と、弁体室部101cの図中上側開口端を密閉するカバー107とを備えた構成である。ディスク104が同図に示す位置にある時は、上流側流路101aの水流を完全に閉塞する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の上記逆止弁31においては、ディスク104は、上流側流路101aの水圧が、ディスク104の重力にコイルスプリング110の付勢力を加えた力より大きくなると、ディスクガイド105内で上昇して上流側流路101aと下流側流路101bを連通させたり、逆の場合には、同図に示すように、ディスクガイド105内を下降して上流側流路101aを閉塞したりして往復摺動するが、長時間運転するに連れて、水アカや微小なゴミ等の固形分がディスク104外周面とディスクガイド105内周面との間に介在し易くなって、摺動摩擦が増大し、ディスク104の動きの滑らかさが失われたり、ディスク104が動かなくなってしまうという問題点があった。また、ディスク104の摺動摩擦によってディスクガイド105の内周面が摩耗し、その耐久性が低下して使用寿命が短くなるという問題点もあった。
また、前記問題点に加えて、ディスク(弁体)の加工が容易であることも望まれていた。
【0005】
本発明は、かかる従来例の有する不都合を改善し、長時間運転しても、ディスクガイドに対するディスクの摺動の滑らかさが保持され、ディスクガイドの使用寿命を延ばすことができる簡単な構成、特に、ディスク(弁体)の加工が容易である弁体構造を提供することを課題としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記した課題を達成するために、請求項1の発明は、上流側流路と下流側流路を閉塞又は連通するための6角柱状〜12角柱状の弁体と、前記上流側流路、前記下流側流路、及びそれらの間に、前記弁体をその高さ方向に摺動自在に内嵌する弁体室を有するケーシングと、前記上流側流路の水圧が所定値を越えるまで前記弁体を閉塞位置へ付勢する付勢手段と、を備えた逆止弁における弁体構造であって、前記弁体は、その高さ方向の各角辺に沿って角取り面が形成されており、且つ、前記弁体が前記弁体室内を摺動する際に前記高さ方向の軸中心を軸として回転させるべく、各角取り面が弁体外周面上の垂直線に対して所定角度をなすように、前記弁体の下底をその上底に対してねじられた形状であり、加えられたねじりに伴って前記各角取り面が曲線形状または直線状に形成されていることを特徴としている。
【0007】
以上の構成において、弁体が弁体室内を摺動する際に、いくらか回転することにより、角取り面と弁体室内壁間に介在するゴミや水アカ等の固形分の付着防止や固形分を分散させる作用が発生し、長時間運転しても弁体の駆動が滑らかな状態に保たれると共に、弁体室内壁の摩耗度が均等化され、その使用寿命が延長される。
また、6〜12角形の多角柱の形状をした弁体は、寸法との関係で加工しやすい。さらに、この多角柱における角取り面は、弁体の下底と上底の間のねじれに伴う曲線形状または直線状の何れでもよく、(製造上の制約条件が少ない分だけ)加工が容易である。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の実施形態の逆止弁を示す断面構成図、図2は図1の弁体を示す上面図(a)と側面図(b)である。
【0009】
本発明の逆止弁は、図1に示すように、上流側流路1aと下流側流路1bの間に、弁体室19を持つ弁体室部1cを有するケーシング1、この弁体室19に摺動自在に内嵌された弁体であるディスク4、弁体室部1cの図中上側開口端(以後、上下表現において「図中」を省略する)を密閉するカバー7、等から構成されている。このカバー7は、スタッドボルト9とナット8及びアイボルト12によりケーシング1に締め付け固定されている。
【0010】
弁体室19は筒状のディスクガイド5の内周面によって形成されている。このディスクガイド5は、ケーシング1の弁体室部1c内にボンネット6とシートリング3に挟持された形で配置・固定されており、その下端部には水流用の開口部5aが設けられている。ボンネット6は弁体室部1cの上端側開口部に、シートリング3は弁体室部1cの下端側開口部(上流側流路1aへの連通部)にそれぞれ密閉された形で内嵌固定されている。ボンネット6とシートリング3には、それぞれバックアップ付きのOリング2が装着されている。
【0011】
ディスクガイド5の弁体室19内には、上述の如く、ディスク4が、その内周面に対して矢印B方向に摺動自在に内嵌されており、ディスク4の外周面と弁体室19の内周面間には微小な隙間dが配され、その隙間dはディスクガイド5の内径に対して0.5〜1.0mmに設定されている。そして、ディスク4が矢印B方向に移動して、上流側流路1aと下流側流路1bの閉塞位置(同図に示す位置)あるいは連通位置(破線で示す)へと変移する。
【0012】
ディスク4には、その上端側が開口したスプリング穴4dが形成されている。このスプリング穴4dの底面には、付勢手段であるコイルスプリング10の一端部が取り付けられ、その他端部はボンネット6側に固定されている。
【0013】
このディスク4は、図2(a)に示すように、その横断面形状が6角形の6角柱状であって、同図(b)に示すように、その下端部には円柱状のシール弁部4aが形成されている。このシール弁部4aの下端外周肩部4cが前記シートリング3の上端内周肩部3a(図1参照)に隙間なく当接することにより、上流側流路1aの水流を完全に閉塞する。このディスク4の外周面の6つの角辺は所定幅nの角取り面4bとされており、この6つの角取り面4bは、同図(b)に示すように、各角取り面4bがディスク4の外周面上の垂直線に対して所定角度αをなすように、ディスク4の下底をその上底に対して所定角度ねじったような形に形成されている。このディスク4の各角取り面4bがディスクガイド5の内周面を摺動することにより、シール弁部4aのシートリング3に対する開閉・開放、ひいては水流のオン・オフが制御される。
【0014】
上記構成の逆止弁において、ディスク4はコイルスプリング10の弾性限度内でディスクガイド5内を矢印B方向に自由に移動可能とされている。このため、上流側流路1aの水圧が所定値を越えると、この水圧が、ディスク4の重力にコイルスプリング10の付勢力を加えた力に抗してシール弁部4aを押し上げて連通位置(図1の破線で示す)に移動させるため、水が開口部5aを介して下流側流路1bへと流れて行く。一方、上流側流路1aの水圧が弱まって前記所定値より下がるとコイルスプリング10の付勢力とディスク4の重力の方が勝ってディスク4が閉塞位置まで下降し、シール弁部4aとシートリング3との間が閉塞されるので、下流側流路1bの方から開口部5aを介して上流側流路1aへ水流が逆流することはない。
【0015】
そして、上記の如く、ディスク4がディスクガイド5内周面を摺動する際には、図2(b)に示すように、角取り面4bが斜めに形成されているので、摺動の際の摩擦の関係で、ディスク4が上昇すれば矢印C方向に、下降すれば矢印D方向にそれぞれいくらか回転することになる。この動作により、角取り面4bがディスク4の中心軸方向に形成されている場合のように、ディスク4の角取り面4bにより、ディスクガイド5内周面の直線的な一部分のみが摺動されるということがなく、角取り面4bがディスクガイド5内周面のより広い範囲を摺動することになるため、ディスクガイド5内周面の摺動による摩耗度がより均一になり、ディスクガイド5の使用寿命を延ばすことができる。
【0016】
また、ディスク4がディスクガイド5内周面を摺動する際に、ディスク4がいくらか回転することにより、その微小なゴミや水アカ等の固形分の付着を防止したり固形分を分散させたりする作用が生じるため、長時間運転しても、ディスク4の動きを滑らかな状態に保つことができる。
【0017】
尚、この実施形態では、ディスク4を6角柱形状としたが、これに限らず、8角形や10角形等、6〜12角形の多角柱の内、最適なものを用いることができる。6〜12角形の多角柱が寸法との関係で加工しやすいので好ましい。また、ディスク4はコイルスプリング10に対して回転可能に取り付けられている必要があるが、コイルスプリング10の他端部がボンネット6側に回転可能に取り付けられた構成でも良い。さらに、この実施形態では、ディスク4の角取り面4bを直線状としたが、これに限らず、ねじれに伴う自然な曲線形状であっても良い。
【0018】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、弁体は、その多角柱の断面が6〜12角形であって、その高さ方向の角辺に沿って角取り面が形成されており、且つ、前記弁体が前記弁体室内を摺動する際に前記高さ方向の軸中心を軸として回転させるべく、当該角取り面が弁体の外周面上の垂直線に対して所定角度をなすように、前記弁体の下底をその上底に対して所定角度ねじったような形状としたので、弁体室内壁の摩耗度が均等化されることになって、弁体室の構成部材の使用寿命を延ばすことができる。また、弁体が回転摺動する時に、ゴミや水アカ等の固形分の付着を防止したり固形分を分散させたりすることができるため、弁体の駆動を滑らかな状態に保持することができる。
また、6〜12角形の多角柱の形状をした弁体は、寸法との関係で加工しやすい。さらに、この多角柱における角取り面は、弁体の下底と上底の間のねじれに伴う曲線形状または直線状の何れでもよく、加工が容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す逆止弁の断面図である。
【図2】図1の弁体を示す上面図(a)と側面図(b)である。
【図3】従来のオン・オフ弁と逆止弁の配置を示すブロック図である。
【図4】従来の逆止弁を示す断面図である。
【符号の説明】
1 ケーシング
1a 上流側流路
1b 下流側流路
4 弁体(ディスク)
5 ディスクガイド
10 付勢手段(コイルスプリング)
19 弁体室

Claims (1)

  1. 上流側流路と下流側流路を閉塞又は連通するための6角柱状〜12角柱状の弁体と、
    前記上流側流路、前記下流側流路、及びそれらの間に、前記弁体をその高さ方向に摺動自在に内嵌する弁体室を有するケーシングと、
    前記上流側流路の水圧が所定値を越えるまで前記弁体を閉塞位置へ付勢する付勢手段と、を備えた逆止弁における弁体構造であって
    前記弁体は、その高さ方向の各角辺に沿って角取り面が形成されており、
    且つ、前記弁体が前記弁体室内を摺動する際に前記高さ方向の軸中心を軸として回転させるべく、各角取り面が弁体外周面上の垂直線に対して所定角度をなすように、前記弁体の下底をその上底に対してねじられた形状とし、加えられたねじりに伴って前記各角取り面が曲線形状または直線状に形成されていることを特徴とする逆止弁における弁体構造
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