JP3643508B2 - 可動フィルム型表示装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、可動フィルム型表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、大型のディスプレイ装置、または携帯可能なディスプレイ装置において、低消費電力化が求められている。
【0003】
この低消費電力化を実現するディスプレイ装置として、可動フィルムを静電力によって駆動する可動フィルムシャッター方式の、可動フィルム型表示装置がある。可動フィルム型表示装置の基本原理を図11〜図18を用いて示す。
【0004】
図11は可動フィルムシャッターを1つ取り出したものである。可動フィルムシャッターは、透光性の透明導光体111と、透明導光体111の湾曲した表面に設けられる遮光部のブラックマトリクス112、ブラックマトリクス112に囲まれる開口部113、透明導光体111の開口部113に対向して設けられる遮光性の可動フィルム114、透明導光体111を挟み可動フィルム114と対向して設けられる遮光板115からなる。遮光板115は反射板であっても良い。
【0005】
光は矢印の向きに透明導光体111中に入射し、透過する。複数の透明導光体111によって1画素を構成し、任意の数の可動フィルム114を撓ませ、開口部113を覆う面積を変化させることにより、開口部113から出射する光量を変化させ、階調表示を行なう。
【0006】
透明導光体111の表面には導電性が与えられており固定電極と呼ぶ。また、可動フィルム114にも導電性が与えられており、可動電極と呼ぶ。固定電極の表面には図示しない透光性の絶縁膜が形成され、可動電極と固定電極の短絡を防ぐ。
【0007】
可動フィルム114が変位する原理を示す。図12(a)に示すように、スイッチ121をON状態とし、電源122から2つの電極123、124の間に電圧を加えると静電力が生じる。図12(b)に示すように、この2つの電極を、図11の可動電極(可動フィルム)114と透明導光体表面の固定電極125とする。そして電圧を加えることにより、破線で示すように可動フィルム114が撓んで固定電極125を覆うと、可動フィルム114が遮光性である事から、電圧をかけない場合は光が透過し、電圧をかけ可動フィルム114が撓むと光が遮断される。
【0008】
電圧をかけ、可動フィルムが撓んだ際の、印加電圧と可動フィルム先端の変位量の関係を図12(c)に示す。図12(c)では、電圧を上げていくと、それに伴い可動フィルムの先端変位量が緩やかに増加する。変位量が臨界点に達すると急激に変位し、最大変位量に到達する。ここでは、可動フィルムが固定電極表面の絶縁膜に付着しているために、電圧を上げても変位量は増加しない。また、電圧を下げてもしばらく変位量は減少しない。これは電極間距離が狭まり、電極間の静電力が強まっているためであり、可動フィルムの弾性力が静電力に打ち勝つまで変位はない。いわば、ヒステリシス特性を持っていると言える。
【0009】
次に、このような特性を持った可動フィルムシャッターを用いた可動フィルム型表示装置について説明する。
【0010】
図13に示すように、1本の透明導光体固定電極部131に対し、複数枚の可動フィルム電極132a〜132eが対向配置されている。透明導光体固定電極部131に隣接して回路基板133が設けられ、回路基板133上に駆動用IC134が設置されている。可動フィルム電極132a〜132eは、配線135を介して駆動用IC134に接続されている。また、回路基板133にはコネクタ部136が設けられ、隣接するディスプレイユニットと情報交換を行なうことが出来る。
【0011】
そして、図14に示すように、このように列方向に配列された可動フィルムシャッターのユニット141を行方向に並べることにより、マトリクス状の可動フィルム型表示装置となる。図14では、蛍光灯142からの光が拡散板143で拡散され、透明導光体固定電極部131に入射し、可動フィルム電極132が撓んで開口部113を覆っていない場合に開口部113から出射し、図示しないカラーフィルタによって着色され出力される。
【0012】
次に、この可動フィルム型表示装置の駆動方法を、図15の配線図を用いて説明する。
【0013】
この可動フィルム型表示装置では、透明導光体固定電極部131が走査線の役割を果たしている。信号源151から送られてきた映像情報は、一度駆動用IC134に蓄えられ、可動フィルム電極132に電位として伝えられる。この時、走査線駆動用IC152から透明導光体固定電極部131に走査電位が与えられていれば、可動フィルム電極132との間に電位差が生じ、可動フィルム電極132を透明導光体固定電極部131の方へ撓ませることが出来る。もし、可動フィルム電極132と透明導光体固定電極部131とが同電位ならば、可動フィルム電極132と透明導光体固定電極部131の間に引力は働かず、可動フィルム電極132の弾性力によって、可動フィルム電極132と透明導光体固定電極部131とは離れている。
【0014】
つぎに、可動フィルム型表示装置を用いて中間調を表示する従来の方法を説明する。
【0015】
図16は、複数の可動フィルムシャッターからなる1画素を示している。この例では、1画素は、3×2のマトリクスで配列された6つのサブ画素161〜166を有する。
【0016】
これら6つのサブ画素161〜166の光透過量は、全て異なるものにしてある。まず、サブ画素161とサブ画素164は可動フィルムシャッターが1つ、サブ画素162とサブ画素165は可動フィルムシャッターが2つ、サブ画素163とサブ画素166は可動フィルムシャッターが4つから構成されている。さらに、可動フィルムシャッターの幅方向は、図面に対し法線方向であり、図面に示していないが、図16においてはサブ画素161、162、163の開口部の幅(奥行き)は狭く、サブ画素164、165、166の開口部の幅(奥行き)は広い。
【0017】
この場合、1画素は、複数(この場合、6つ)のサブ画素によって中間調を表示することが出来る。すなわち、6つのサブ画素を選択的に開閉することによって、面積的に光透過量が変わり、中間調が表示される。この原理を以下に説明する。
【0018】
図16のように、各可動フィルムシャッターは、可動フィルム電極132が信号線につながり、V1〜V3の電位が印加される。また各透明導光体固定電極部131が走査線an、bn(n=1,2)につながり、それぞれ湾曲した側の面にVan(n=1,2)の電位、湾曲しない側の面にVbn(n=1,2)の電位が印加される。さらに、各サブ画素の湾曲した面の端には、Vbnが印加される平面電極が設けられている。ここでは、可動フィルム132はVanとVbnが印加される電極に挟まれ、両電極との静電力により変位する。
【0019】
このような構成での動作の一例を説明すると、1組の駆動したい走査線に、正負対称な電位を印加する。また、信号線には表示信号に応じて、Vn(n=1〜3)の電位を与える。この際、Vnが0であれば、可動フィルム電極132は撓まず、Vnが0でなければ、VanまたはVbnとの電位差の大きい方へ、可動フィルム電極132は撓む。そして、その1組の走査線をOFFとした後も、その変位が保持され、次の走査線の組を駆動して、それぞれの信号線に信号電位を与える、ということを繰り返すことにより、画素内の所望のサブ画素を開閉することが出来、面積階調表示が可能となる。よってこれらの信号線、走査線の電位設定によって、6つのサブ画素に個々の画像情報を送ることが出来る。
【0020】
図17は、可動フィルム型表示装置の、カラーフィルター側から画素を見た場合であり、171、172、173はそれぞれカラーフィルターのRGBを示す。図18は、図17のRGBのうちの1つ、例えばBをカラーフィルターをはずして見た図である。図18では、S1〜S128の8つのサブ画素があり、これらのサブ画素の面積比が、1:2:4:8:16:32:64:128となっており、駆動されるサブ画素の組合せによって、256階調を作ることが出来る。一般に256階調あれば、テレビ画像を表示することも出来る。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したような可動フィルム型表示装置で中間調を表示する場合は、1画素中の複数のサブ画素を選択的に開閉する際、多数の信号線、走査線が必要となる。従って、これら多数の信号線、走査線を駆動するための、多数の駆動用ICが必要となり、コストがかかるという問題があった。また、これら多数の駆動用ICを配置するために装置が大きくなるという問題もあった。
【0022】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明の第1は、可動フィルムを駆動する可動フィルムシャッターを用いて画素毎に光の透過、遮光を制御して階調表示を行う可動フィルム型表示装置において、可動フィルムシャッターは、同電位の第1及び第2固定電極と、第1固定電極と対を成し、固定された固定端及び変位可能な変位端を有し、第1固定電極との間の第1電位差で臨界点に達して撓む可撓性第1可動フィルム電極と、第2固定電極と対を成し、固定された固定端及び変位可能な変位端を有し、第2固定電極との間の前記第1電位差とは異なる第2電位差で臨界点に達して撓む可撓性第2可動フィルム電極とを具備し、第1固定電極と前記第1可動フィルム電極の間、及び第2固定電極と第2可動フィルム電極の間とに等しい電圧が印加され、印加されるこの電圧を変化させることにより階調を制御することを特徴とする可動フィルム型表示装置を提供する
【0023】
本発明の第1では、第1可動フィルム電極の固定端と変位端との間の長さが、第2可動フィルム電極の固定端と変位端との間の長さと異なっても良い。
【0024】
また本発明の第1では、第1可動フィルム電極の厚さが、第2可動フィルム電極の厚さと異なっても良い。
【0025】
また本発明の第1では、第1固定電極と第1可動フィルム電極の固定端との距離が、第2固定電極と第2可動フィルム電極の固定端との距離と異なっても良い。
【0026】
さらに本発明の第1では、1画素内に、第1及び第2固定電極と第1及び第2可動フィルム電極の対を有しても良い。
【0027】
また、本発明の第1では、異なる特性を有する固定電極と可撓性可動フィルム電極の組は、複数種類あればよく、その数は限定されるものではない。
【0028】
本発明の第2は、可動フィルムを駆動する可動フィルムシャッターを用いて画素毎に光の透過、遮光を制御して階調表示を行う可動フィルム型表示装置において、可動フィルムシャッターは、1画素内に一端から長さが異なる絶縁された複数の導体層を積層してなる固定電極と、固定電極の前記一端側に固定された固定端及び変位可能な変位端を有する可撓性可動フィルム電極と、固定電極の前記複数の導体層にそれぞれ異なる電位を与える電位供給手段とを具備することを特徴とする可動フィルム型表示装置を提供する。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施形態を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
【0030】
本発明の可動フィルム型表示装置は、図12と同様の原理で変位する、図11と同様の可動フィルムシャッターを有する。これらの可動フィルムシャッターは図13で示すように配置され、これら列方向に配列された可動フィルムシャッターを、図14のように行方向に配置させることにより、マトリクス状の可動フィルム型表示装置を得る。また、この可動フィルム型表示装置の配線は、図15と同様に行われる。
【0031】
(第1の実施形態)
まず本発明の第1の実施形態を説明する。本発明の第1の実施形態の可動フィルム型表示装置の1画素を図1に示す。
【0032】
本実施形態の可動フィルム型表示装置は、少なくとも2種類以上の長さを有する可動フィルムシャッターを用いて1画素を形成する。
【0033】
本実施形態では、長さの異なる可動フィルムシャッターを3種類用意する。即ち、各可動フィルムシャッターは、異なる長さの可動フィルムと、それに対応する長さの透明導光体固定電極部を備える。各透明導光体固定電極部131a〜131cは接地されており、各透明導光体固定電極部131a〜131cに対応した長さの各可動フィルム電極132a〜132cには、可変電圧電源11によって電圧を印加する。また、蛍光灯を光源12として用い、この光源12からの光は透明導光体13a〜13cを透過し、矢印の方向に出射する。
【0034】
なお、可動フィルム電極132a〜132cは、厚さ約12μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムからなり、両面にアルミニウムが約10〜約100nm蒸着されている。これをカッターやレーザー光を用いて所望の大きさに形成すれば良い。その他、可動フィルム電極132a〜132cのフィルムの材料としては、ポリイミド、アラミド、ポリエチレン、ポリカーボネーとなどを用いても良く、これらの材料は限定されない。
【0035】
また、透明導光体13a〜13cとしては、ポリアセタール、ポリスチレン、液晶ポリマー等からなれば良く、これらを射出成形やプレス成形することにより成形する。また、透明導光体13a〜13c表面には透明導光体固定電極部131a〜131cとして、アルミニウム、金、銅、銀などの金属が、約10〜約100nm程度蒸着されている。透明導光体固定電極部131a〜131c表面には、図示しないが電着などにより厚さ約1〜約10μm程度の絶縁膜が形成されており、この絶縁膜の外周部にブラックマトリクスが設けられ、それ以外の部分が開口部となり、そこから光が出射する。
【0036】
本実施形態では、各可動フィルム電極132a〜132cの長さをそれぞれ、約3.5mm、約2.5mm、約1.5mmとして、これらに対応した長さの透明導光体13a〜13cを形成する。
【0037】
本実施形態の動作を説明する。3種類の可動フィルム電極132a〜132cに、等しい電圧を徐々に印加することにより、図2に示すように臨界点に達するとそれぞれ急激に変位するが、本実施形態では、黒丸で示される臨界点となる電圧A、B、Cがそれぞれ、約50V、約70V、約100Vとなり、それぞれ異なる。これは、各可動フィルム電極132a〜132cと透明導光体固定電極部131a〜131cの組の固定端と変位端間の長さが異なることから、弾性力と静電力の兼ね合いも異なり、これらの各可動フィルム電極132a〜132cは、異なる電位差で急激に変位するのである。本実施形態では、長さの長い可動フィルム電極132aが、最も小さい電位差で臨界点に達する。図示しないが、可動フィルム電極132a〜132cを挟んで透明導光体固定電極部131a〜131cの反対側に平面電極を設け、可動フィルム電極132a〜132cの変位をより安定させる事が出来る。
【0038】
本実施形態の可動フィルム表示装置では、1画素に印加する電圧を変化させるのみで、選択的に開閉する可動フィルムの数を変化させることが出来、多数の信号線、走査線を用いて中間調を表示する必要がなくなる。この事により、多数の信号線、走査線を駆動するための多数の駆動用ICを使用する必要がなくなり、低コスト化を図ることが出来る。また、多数の駆動用ICを配置する必要がなくなるために装置サイズを小型化することも出来る。
【0039】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態を説明する。本発明の第2の実施形態の可動フィルム型表示装置の1画素を図3に示し、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0040】
本実施形態の可動フィルム型表示装置は、1画素中に複数の可動フィルムシャッターを設ける点は第1の実施形態と同様であるが、少なくとも2種類以上の厚さの可動フィルム電極を有する可動フィルムシャッターを用いて1画素を形成する点が、第1の実施形態とは異なる。
【0041】
図3に示すように、本実施形態の可動フィルム型表示装置では、透明導光体固定電極部131a〜131c、透明導光体13a〜13c、可動フィルム電極132a〜132cは第1の実施形態と同様に配線されている。また、これらは第1の実施形態と同様の材料を用いて同様に形成すれば良い。
【0042】
しかし、本実施形態の可動フィルム型表示装置の可動フィルムシャッターの長さは全て等しく、可動フィルム電極132a〜132cの長さを全て約2.5mmとする。そして、可動フィルム電極132a〜132cの厚さをそれぞれ、約6μm、約12μm、約18μmとする。
【0043】
そして、3種類の可動フィルム電極132a〜132cに、等しい電圧を徐々に印加すると、臨界点に達した可動フィルム電極から急激に変位するが、本実施形態では、図2と同様に黒丸で示される臨界点となる電圧A、B、Cがそれぞれ、約25V、約70V、約160Vとなり、それぞれ異なる。これは、各可動フィルム電極132a〜132cの厚さが異なることから、弾性力と静電力の兼ね合いも異なり、これらの可動フィルム電極132a〜132cは、異なる電位差で急激に変位するのである。図示しないが、可動フィルム電極132a〜132cを挟んで透明導光体固定電極部131a〜131cの反対側に平面電極を設け、可動フィルム電極132a〜132cの変位をより安定させる事が出来る。
【0044】
本実施形態では、厚さが薄い可動フィルム電極132aが、最も小さい電位差で臨界点に達する。よって、本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、1画素に印加する電圧を変化させるのみで、選択的に開閉する可動フィルムの数を変化させることが出来、多数の信号線、走査線を用いて中間調を表示する必要がなくなる。
【0045】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態を説明する。本発明の第3の実施形態の可動フィルム型表示装置の1画素を図4に示し、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0046】
本実施形態の可動フィルム型表示装置は、1画素中に複数の可動フィルムシャッターを設ける点は第1の実施形態と同様であるが、透明導光体固定電極部と可動フィルム電極の一端の間の距離を、少なくとも2種類以上とする可動フィルムシャッターを用いて1画素を形成する点が、第1の実施形態とは異なる。
【0047】
図4に示すように、本実施形態の可動フィルム型表示装置では、透明導光体固定電極部131a〜131c、透明導光体13a〜13cは第1の実施形態と同様に配線されている。また、これらは第1の実施形態と同様の材料を用いて同様に形成すれば良い。
【0048】
しかし、本実施形態の可動フィルム型表示装置の可動フィルムシャッターの長さは全て等しく、可動フィルム電極132a〜132cの長さを全て約2.5mmである。
【0049】
そして、透明導光体固定電極部131a〜131cと可動フィルム電極132a〜132cの固定端との間の各距離を、それぞれ約100μm、約50μm、約0μmとする点が、第1の実施形態とは異なる。これらの距離は、透明導光体固定電極部131a〜131cと可動フィルム電極132a〜132cの一端とを、テープなどのスペーサーを介在させて貼り付ける等すれば良い。
【0050】
そして、3種類の可動フィルム電極132a〜132cに、等しい電圧を徐々に印加することにより、臨界点に達した可動フィルム電極から急激に変位するが、本実施形態では、図2と同様に黒丸で示される臨界点となる電圧C、B、Aがそれぞれ、約180V、約110V、約70Vとなり、それぞれ異なる。これは、透明導光体固定電極部131a〜131cと可動フィルム電極132a〜132cの固定端との間の各距離が異なることから、弾性力と静電力の兼ね合いも異なり、可動フィルム電極132a〜132cは、異なる電位差で急激に変位するのである。本実施形態では、この距離が小さい132cが、最も小さい電位差で臨界点に達する。図示しないが、可動フィルム電極132a〜132cを挟んで透明導光体固定電極部131a〜131cの反対側に平面電極を設け、可動フィルム電極132a〜132cの変位をより安定させる事が出来る。
【0051】
よって、本実施形態においても、第1の実施形態と同様に1画素に印加する電圧を変化させるのみで、選択的に開閉する可動フィルムの数を変化させることが出来、多数の信号線、走査線を用いて中間調を表示する必要がなくなる。
【0052】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態を説明する。本発明の第4の実施形態の可動フィルム型表示装置の1つの可動フィルムシャッターを図5、図6に示す。
【0053】
本実施形態では、透明導光体表面に透明導光体固定電極部が形成されるのではなく、図5(a)に示すように、可動フィルム電極132と固定電極51の2つの平行平板電極を用いて、可動フィルムシャッターを形成する。
【0054】
図5(a)に示すように、可動フィルム電極132と固定電極51の間の一端には、光を透過する穴の形成された支持体52が設けられている。両電極間に電圧をかけない場合は、光源53から出た光は、図5(a)のように支持体52の穴を通過し、外へ放出される。両電極間に電圧をかけた場合は、図5(b)のように可動フィルム電極132が撓むために、光を遮断する。ここで、可動フィルム電極132の固定電極51と対向する側の面と、支持体52の内面は、光を吸収させるために、黒色とすることが好ましい。
【0055】
本実施形態の可動フィルムシャッターは、さらに具体的には、図6に示すように、第1の実施形態と同様の材料で同様に形成される可動フィルム電極132と、可動フィルム電極132と対向して設けられ、ステンレス等の硬度の大きな金属、またはポリエステル、ポリイミド等のプラスチックからなる固定電極51、これら両電極間に設けられ、光の透過できる穴を有し、ポリエステル、ポリイミド等のプラスチックや、セラミックスからなる支持体52からなる。
【0056】
これらの可動フィルムシャッターは例えば図7のように6つ並べられ、1つの画素を形成する。図7では6種類の長さを有する可動フィルム電極132a〜132fを有し、これらは第1の実施形態と同様に図示しない可変電圧電源によって電圧を印加される。また固定電極51は接地し、下方から光を照射すれば良い。
【0057】
本実施形態では、各可動フィルム電極132a〜132fの長さをそれぞれ、約6.5mm、約5.5mm、約4.5mm、約3.5mm、約2.5mm、約1.5mmとして、これらの可動フィルム電極132a〜132fに、等しい電圧を徐々に印加することにより、臨界点に達した可動フィルム電極から急激に変位する。本実施形態では、臨界点となる電圧は、それぞれ約52V、約55V、約60V、約70V、約90V、約120Vとなる。これは、第1の実施形態と同様に、可動フィルム電極132a〜132fの長さが異なることから、弾性力と静電力の兼ね合いも異なり、これらの可動フィルム電極132a〜132cは、異なる電位差で急激に変位するのである。本実施形態では、長さが長い可動フィルム電極132aが、最も小さい電位差で臨界点に達する。図示しないが、可動フィルム電極132a〜132fを挟んで固定電極51の反対側に平面電極を設け、可動フィルム電極132a〜132fの変位をより安定させる事が出来る。
【0058】
よって、本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、1画素に印加する電圧を変化させるのみで、選択的に開閉する可動フィルムの数を変化させることが出来、多数の信号線、走査線を用いて中間調を表示する必要がなくなる。
【0059】
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態を説明する。本発明の第5の実施形態の可動フィルム型表示装置の1画素を図8に示す。
【0060】
本実施形態では、可動フィルム電極と固定電極の平行平板電極を用いて、可動フィルムシャッターを形成する点は第4の実施形態と同様であるが、長さが等しく、少なくとも2種類以上の厚さの可動フィルム電極を用いて1画素を形成する点が、第4の実施形態とは異なる。
【0061】
本実施形態では、固定電極51、支持体52、可動フィルム電極132a〜132cは、第4の実施形態と同様な材料、方法で形成し、配線すれば良い。
【0062】
しかし、本実施形態の可動フィルム型表示装置の可動フィルム電極132a〜132cの長さは全て等しく、全て約2.5mmとし、厚さはそれぞれ、約18μm、約12μm、約6μmとする。
【0063】
そして、3種類の可動フィルム電極132a〜132cに、等しい電圧を徐々に印加することにより、臨界点に達した可動フィルム電極から急激に変位するが、本実施形態では、図2と同様に黒丸で示される臨界点となる電圧C、B、Aがそれぞれ、約180V、約90V、約45Vとなり、それぞれ異なる。これは、各可動フィルム電極132a〜132cの厚さが異なることから、弾性力と静電力の兼ね合いも異なり、これらの可動フィルム電極132a〜132cは、異なる電位差で急激に変位するものである。本実施形態では、厚さの薄い可動フィルム電極132cが、最も小さい電位差で臨界点に達する。図示しないが、可動フィルム電極132a〜132cを挟んで固定電極51の反対側に平面電極を設け、可動フィルム電極132a〜132cの変位をより安定させる事が出来る。
【0064】
よって、本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、1画素に印加する電圧を変化させるのみで、選択的に開閉する可動フィルムの数を変化させることが出来、多数の信号線、走査線を用いて中間調を表示する必要がなくなる。
【0065】
(第6の実施形態)
次に、本発明の第6の実施形態を説明する。本発明の第6の実施形態の可動フィルム型表示装置の1画素を図9に示す。
【0066】
本実施形態では、可動フィルム電極と固定電極の平行平板電極を用いて、可動フィルムシャッターを形成する点は第4の実施形態と同様であるが、固定電極と可動フィルム電極の固定端の間の距離を、少なくとも2種類以上とする可動フィルムシャッターを用いて1画素を形成する点が、第4の実施形態とは異なる。
【0067】
本実施形態では、固定電極51、支持体52a〜52c、可動フィルム電極132a〜132cは、第4の実施形態と同様な材料、方法で形成し、配線すれば良い。
【0068】
しかし、本実施形態の可動フィルム型表示装置の可動フィルム電極132a〜132cの長さは全て等しく、全て約2.5mmとし、支持体52a〜52cの厚さ、つまり、固定電極51と可動フィルム電極132a〜132cの間の距離をそれぞれ、約150μm、約100μm、約50μmとする。
【0069】
そして、3種類の可動フィルム電極132a〜132cに、等しい電圧を徐々に印加することにより、臨界点に達した可動フィルムから急激に変位するが、本実施形態では、図2と同様に黒丸で示される臨界点となる電圧C、B、Aがそれぞれ、約210V、約130V、約90Vとなり、異なる。これは、固定電極51と可動フィルム電極132a〜132cの各距離が異なるため、弾性力と静電力の兼ね合いも異なり、これらの可動フィルム電極132a〜132cは、異なる電位差で急激に変位するのである。本実施形態では、この距離が小さい可動フィルム電極132cが、最も小さい電位差で臨界点に達する。図示しないが、可動フィルム電極132a〜132cを挟んで固定電極51の反対側に平面電極を設け、可動フィルム電極132a〜132cの変位をより安定させる事が出来る。
【0070】
よって、本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、1画素に印加する電圧を変化させるのみで、選択的に開閉する可動フィルムの数を変化させることが出来、多数の信号線、走査線を用いて中間調を表示する必要がなくなる。
【0071】
(第7の実施形態)
次に、本発明の第7の実施形態を説明する。本発明の第7の実施形態の可動フィルム型表示装置の1画素を図10に示す。
【0072】
本実施形態では、1つの可動フィルムシャッターの、各固定電極101a〜101dにそれぞれ異なる電圧を印加し、可動フィルム電極132の撓み量を変化させ、光透過量を変化させることにより中間調を表示する。よって1つの可動フィルムシャッターで中間調の表示の可能な1画素を形成する事が出来る。
【0073】
まず、可動フィルム電極132を第1の実施形態と同様な材料、方法で形成する。次に、固定電極101a〜101dをそれぞれ、例えば厚さ約10〜約100nmの金、銅またはアルミニウムなどの導体で形成し、可動フィルム電極132に対向する側の表面を、ポリイミド、ポリエステル、ナイロンまたはポリカーボネート等の樹脂等で約10μm被覆する。固定電極101a〜101dは撓ませた形状で固定しても良いし、図10の破線で示すように、透明導光体を第1の実施形態と同様に形成して、その表面に形成しても良い。
【0074】
そして、可動フィルム電極132を接地し、固定電極101a〜101dにはそれぞれ表示信号に応じて、Va、Vb、Vc、Vdを与えることとする。これらそれぞれの電極に、電位を与えることにより、可動フィルム電極132の、撓み量によって、光透過量が異なり、中間調が表示される。光は図10の下方から上方に向かって照射すれば良い。さらに、図示しないが、可動フィルム電極132を挟む固定電極101a〜101dの反対側にも電極を設け、電位V0を与えて、可動フィルム電極132の変位をより安定させる事が出来る。
【0075】
本実施形態では、1画素で中間調を表示できるため、これまでの実施形態と同様に、多数の走査線、信号線を用いることなく中間調を表示することが可能となる。
【0076】
【発明の効果】
上述したように、本発明によって、可動フィルム型表示装置で、多数の信号線、走査線を必要とせずに中間調を表示できる。従って、多数の信号線、走査線を駆動するための、多数の駆動用ICが必要となくなり、コストの低減が可能となる。また、これら多数の駆動用ICを配置する必要がないために、装置を小さくすることも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態の可動フィルム型表示装置の1画素を説明する図。
【図2】 可動フィルムシャッターに印加する電圧と可動フィルム電極の先端変位量の関係を示す図。
【図3】 本発明の第2の実施形態の可動フィルム型表示装置の1画素を説明する図。
【図4】 本発明の第3の実施形態の可動フィルム型表示装置の1画素を説明する図。
【図5】 本発明の第4の実施形態の可動フィルムシャッターの動作原理を説明する図。
【図6】 本発明の第4の実施形態の1つの可動フィルムシャッターを説明する図。
【図7】 本発明の第4の実施形態の可動フィルム型表示装置の1画素を説明する図。
【図8】 本発明の第5の実施形態の可動フィルム型表示装置の1画素を説明する図。
【図9】 本発明の第6の実施形態の可動フィルム型表示装置の1画素を説明する図。
【図10】 本発明の第7の実施形態の可動フィルム型表示装置の1画素を説明する図。
【図11】 1つの可動フィルムシャッターを説明する図。
【図12】 (a)、(b)、(c)とも可動フィルムシャッターの動作原理を説明する図。
【図13】 可動フィルム型表示装置について説明する図。
【図14】 可動フィルム型表示装置について説明する図。
【図15】 可動フィルム型表示装置について説明する図。
【図16】 従来の可動フィルム型表示装置における中間調の表示を説明する図。
【図17】 従来の可動フィルム型表示装置における中間調の表示を説明する図。
【図18】 従来の可動フィルム型表示装置における中間調の表示を説明する図。
【符号の説明】
11…可変電圧電源
12…光源
13…透明導光体
51…固定電極
52…支持体
53…光源
101…固定電極
111…透明導光体
112…ブラックマトリクス
113…開口部
114…可動フィルム
115…遮光板
121…スイッチ
122…電源
123,124…電極
125…固定電極
131…透明導光体固定電極部
132…可動フィルム電極
133…回路基板
134…駆動用IC
135…配線
136…コネクタ部
141…ユニット
142…蛍光灯
143…拡散板
151…信号源
152…走査線駆動用IC
161,162,163,164,165,166…サブ画素
171…RED
172…GREEN
173…BLUE

Claims (6)

  1. 可動フィルムを駆動する可動フィルムシャッターを用いて画素毎に光の透過、遮光を制御して階調表示を行う可動フィルム型表示装置において、
    前記可動フィルムシャッターは、
    同電位の第1及び第2固定電極と、
    前記第1固定電極と対を成し、固定された固定端及び変位可能な変位端を有し、前記第1固定電極との間の第1電位差で臨界点に達して撓む可撓性第1可動フィルム電極と、
    前記第2固定電極と対を成し、固定された固定端及び変位可能な変位端を有し、前記第2固定電極との間の前記第1電位差とは異なる第2電位差で臨界点に達して撓む可撓性第2可動フィルム電極とを具備し、
    前記第1固定電極と前記第1可動フィルム電極の間、及び前記第2固定電極と第2可動フィルム電極の間とに等しい電圧が印加され、印加される当該電圧を変化させることにより階調を制御することを特徴とする可動フィルム型表示装置。
  2. 前記第1可動フィルム電極の前記固定端と前記変位端との間の長さが、前記第2可動フィルム電極の前記固定端と前記変位端との間の長さと異なることを特徴とする請求項1記載の可動フィルム型表示装置。
  3. 前記第1可動フィルム電極の厚さが、前記第2可動フィルム電極の厚さと異なることを特徴とする請求項1記載の可動フィルム型表示装置。
  4. 前記第1固定電極と前記第1可動フィルム電極の前記固定端との距離が、前記第2固定電極と前記第2可動フィルム電極の前記固定端との距離と異なることを特徴とする請求項1記載の可動フィルム型表示装置。
  5. 1画素内に、前記第1及び第2固定電極と前記第1及び第2可動フィルム電極の対を有することを特徴とする請求項1記載の可動フィルム型表示装置。
  6. 可動フィルムを駆動する可動フィルムシャッターを用いて画素毎に光の透過、遮光を制御して階調表示を行う可動フィルム型表示装置において、
    前記可動フィルムシャッターは、1画素内に
    一端から長さが異なる絶縁された複数の導体層を積層してなる固定電極と、
    前記固定電極の前記一端側に固定された固定端及び変位可能な変位端を有する可撓性可動フィルム電極と、
    前記固定電極の前記複数の導体層にそれぞれ異なる電位を与える電位供給手段と
    を具備することを特徴とする可動フィルム型表示装置。
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