JP3643263B2 - 落ち込み防止化粧料容器 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、繰り出し式で底充填方式の棒状化粧料容器において、充填された化粧料が落ち込む現象を防止するための容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
口紅、ファンデーション等の棒状化粧料容器の製造にあっては、大きく分けて、あらかじめ形成した化粧料を化粧料保持部材に差し込む方法と、化粧料容器保持部材の底を貫通状態にしておき、底より化粧料を充填して化粧料を形成する方法の2種類の方法があった。
この底充填方式の化粧料の場合、化粧料保持部材や螺旋嵌合摺動部材には、一般に容器底を形成するような底部材が設けられていないため、図6に示すように使用時の圧力により、次第に容器内部に化粧料が落ち込んだり、あるいはすっぽり抜けたりして使いずらく、また化粧料自体も無駄となっていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明は、上記問題点を解決すべく提案されたもので,駆動手段を用いて媒体設定部材を容器から出し入れする構成の棒状化粧料容器において、化粧料の落ち込みを防止するために、化粧料保持部材、螺旋嵌合摺動部材等の化粧料下部に上方へ移動可能な弁を設ける、あるいは第2設定部材の上底を開放可能とする等化粧料配置近傍の容器に何等かの化粧料の落ち込みを防止する機構を設けたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の落ち込み防止化粧料容器は、繰り出し式で底充填方式の棒状化粧料容器において、螺旋繰り出し用の突起を外周に設け、螺旋嵌合摺動部材を兼ねた底充填式化粧料保持部材の内周下部に、少なくとも1端を側壁に固定して、水平方向から90度上方への移動可能とした底部形成片を設け、該底部形成片下方の該化粧料保持部材の内壁厚みを厚くすることにより、該底部形成片が下方に傾くことを防止し、底充填のためのチューブの底部からの挿入に対して、該底部形成片の開放端が上方に押し上げられて、該チューブを挿入可能な開口が形成されるようにしたことを要旨とする。
【0005】
本発明の落ち込み防止化粧料容器は、繰り出し式で底充填方式の棒状化粧料容器において、螺旋繰り出し用の突起を外周に設け、螺旋嵌合摺動部材を兼ねた底充填式化粧料保持部材の内周下部に、少なくとも1端を側壁に固定して、水平方向から90度上方への移動可能とした底部形成片を設け、該底部形成片が水平方向より下方に傾くことを防止する手段を設け、該底部形成片は完全に該底充填式化粧料保持部材の底部を形成し、底充填のためのチューブの底部からの挿入に対して、該底部形成片の開放端が上方に押し上げられて、該チューブを挿入可能な開口が形成されるようにしたことを要旨とする。
【0006】
本発明の落ち込み防止化粧料容器は、繰り出し式で底充填方式の棒状化粧料容器であって、相対移動可能な第1・第2設定部材及び該第1設定部材に嵌合可能とした化粧料を直接保持する第3設定部材で形成され、軸方向への共動のためのストッパを第1・第2設定部材間及び第1・第3設定部材間にそれぞれ設け、繰り出しの回転動作を続けることにより、第1・第2設定部材間のストッパの嵌合を解除して一方の設定部材と他方の設定部材の動きを異ならせ、さらに第1・第3設定部材間のストッパの嵌合を解除して、第3設定部材を化粧料容器外に排出するようにした、第3設定部材を取替え可能な化粧料容器において、第3設定部材の先端部に水平方向から上方向へのみ移動可能な弁を設けたこと要旨とする。
【0007】
本発明の落ち込み防止化粧料容器は、繰り出し式で底充填方式の棒状化粧料容器であって、螺旋溝を内壁に有する螺旋部材、前記螺旋部材に挿入され、螺旋部材に対し軸方向に移動不能で、且周方向に回動可能に取付けられ、周壁には軸方向に延びた溝を有する円筒部材、該円筒部材に昇降可能に挿入され、上下を開口された筒状をなし、前記円筒部材の溝に摺動可能に係合する突起を有し、完全引き込み状態から最大繰り出し状態まで該円筒部材に対して軸方向に相対移動する第1設定部材、及び該第1設定部材の下側に挿入連結され軸方向に相対移動可能で、前記第1設定部材の溝を挿通して前記螺旋部材の螺旋溝に摺動可能に係合する突起を有する上下貫通状態の第2設定部材、該第1設定部材に嵌合可能で、化粧料を直接保持する第3設定部材からなり、第1及び第2設定部材を一緒に縦方向に共動させるためのストッパー手段を有し、前記円筒部材が、第1設定部材が上動規制位置を超えて繰り出さないように第1設定部材の上方への動きを規制し、第2設定部材が、第3設定部材を上方へ動かして第3設定部材の容器外への排出を行い、第1及び第2設定部材が第1段階の回転動作で、前記ストッパー手段により、完全引き込み状態から上動規制位置まで共動し、第1段階の回転動作以上の力による第2段階の回転動作で、上動規制位置を超えて、第3設定部材を化粧料容器外に排出するようにした、第3設定部材を取替え可能な化粧料容器において、該第3設定部材内周下部に水平方向から上方へのみ移動可能とした底部形成片を設けたことを要旨とする。
【0008】
本発明の落ち込み防止化粧料容器は、繰り出し式で底充填方式の棒状化粧料容器であって、螺旋溝を内壁に有する螺旋部材、前記螺旋部材に挿入され、螺旋部材に対し軸方方向に移動不能で、且周方向に回動可能に取付けられ、周壁には軸方向に延びた溝を有する円筒部材、該円筒部材に昇降可能に挿入され、上下を開口された筒状をなし、前記円筒部材の溝に摺動可能に係合する突起を有し、完全引き込み状態から最大繰り出し状態まで該円筒部材に対して軸方向に相対移動する第1設定部材、及び該第1設定部材の下側に挿入連結され軸方向に相対移動可能で、前記第1設定部材の溝を挿通して前記回転部材の螺旋溝に摺動可能に係合する突起を有し、化粧料を保持する第2設定部材からなり、第1及び第2設定部材を一緒に縦方向に共動させるためのストッパー手段を有し、前記円筒部材が、第1設定部材が上動規制位置を超えて繰り出さないように第1設定部材の上方への動きを規制し、第1及び第2設定部材が第1段階の回転動作で、前記ストッパー手段により、完全引き込み状態から上動規制位置まで共動し、第1段階の回転動作以上の力による第2段階の回転動作で、第2設定部材が第1設定部材とは分離して完全繰り出し状態に繰り出される最後まで使用可能化粧料容器において、第2設定部材先端に水平方向から上方へのみ移動可能な弁を設けたことを要旨とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明における底部とは、底充填のためのチューブを挿入する必要のある底充填式化粧料保持部材、第2設定部材等にあっては、チューブの底部からの挿入に対して、挿入可能な開口が形成されるような移動可能な形成片を設けることが必要となる。一方、底充填により化粧料と一体となった化粧料容器保持部材を差し込んで使用する螺旋嵌合摺動部材等にあっては、底充填の必要がないため、空気穴以外完全に閉塞された状態の底部を形成しても良い。
該片は、少なくとも1端を容器側壁に固定されており、充填時に初期の位置よりも開放端が上方に押し上げられ、その状態で化粧料の充填が行われるため、化粧料の充填終了時には、図3(b)に示すように、該片が化粧料底部に刺さった状態となり、化粧料底部を支持するとともに、化粧料の崩れを防止する。また使用状態が進んでくると該片の角度がしだいに小さくなり、最後には充填する前の初期の状態(水平方向)となり、化粧料の落ち込み防止の効果がより発揮できる状態となる。
なお本明細書において、以下完全引き込み状態とは、部材が容器内に最も引き込んでいる状態、最大繰り出し状態とは、化粧料を繰り出して、最初に回転操作に圧力を感じる時点、すなわち一般に化粧料を最大繰り出した状態(第3設定部材が少し容器先端より見えている状態)、完全繰り出し状態とは、さらに化粧料を押し出して第3設定部材内の化粧料が繰り出された状態をそれぞれ表す。
【0010】
本発明では、螺旋部材、それに係合する突起を有する第2設定部材、上方への動きを規制されている第1設定部材を使用する。なお、化粧料を直接保持する第3設定部材は使用する場合と使用しない場合がある。またそれぞれの進退を規制する方法として、突起と軸方向溝を有した円筒部材を使用する場合、環状突起とそれより小さい径の筒部材を使用する場合、その他、ばねを使用するもの等あらゆる規制方法が採用可能である。また軸方向溝を有した円筒部材においても各設定部材に設けられた係合突起ごとに溝を設けても良いし、1本の溝内に複数の設定部材の係合突起を係合させて両者の規制を可能とする工夫をしても良いし、もちろん2本の溝で行っても良い。規制方法はあらゆるものが採用可能である。
さらに、第3設定部材容器排出機構としても突起での押し上げのみに限らず、第2設定部材全体で第3設定部材の底を押し上げても良いし、その他第3設定部材を上方へ動かす機構であれば、どのような機構を用いても良い。
なお各実施例では、本発明の駆動操作を中心に説明し、各部材間の抜け落ち防止用のストッパーや駆動操作におけるストッパーを補助する補助ストッパー、遊びの調整のような細部にわたる微調整手段(例えば部材端部をやや肉圧にする、切り込み溝に変形を設ける、摺動通路の径に変化を持たせる等あらゆる方法が可能である)は当然のこととして、説明を省略している。
【0011】
【実施例】
〔実施例1〕 以下に、本発明の落ち込み防止化粧料容器の第1実施例(口紅)について図1・図2を参照して、詳述する。
【0012】
図1は、本発明の第1実施例の部材構成を示す説明図、図2は前者両部材を嵌合した図。図6は従来の化粧料の落ち込み状態を示す説明図である。図において、(1)は化粧料保持部材、(2)は螺旋嵌合摺動部材である。一般に化粧料繰り出し容器はさらに図示しない最外部のケース、繰り出しを制御する溝を設けた円筒部材、螺旋溝を設けた螺旋部材からなる。化粧料保持部材(1)は底充填のため、上下開放で、螺旋嵌合摺動部材(2)との嵌合のため、1段の絞りを設けた円筒形状である。螺旋嵌合摺動部材(2)は化粧料落ち込み防止のため、底部(3)を設けている。化粧料製造にあたっては、先ず、化粧料保持部材(1)に口紅の形状を形作るキャップ(図示せず)を嵌め、化粧料保持部材の底部より化粧料を充填する。そして、図2に示すように化粧料と一体となった化粧料保持部材を螺旋嵌合摺動部材(2)に上部より嵌め込む。この時螺旋嵌合摺動部材(2)には底部(3)が設けられているため、この底部(3)が化粧料の使用中の落ち込みを防止し、口紅の使用勝手を向上させ、口紅の無駄を省くことができる。 〔実施例2〕 本実施例は、化粧料保持部材そのものに螺旋嵌合用の突起を設けている中皿に、底部形成片を設けた場合について図3に基づいて説明する。図において、(5)は螺旋嵌合用突起(4)を外壁に設けた円筒形状の化粧料保持部材としての中皿である。底充填を可能とするため、本実施例では、水平方向以上の上方に移動可能な弁状の底部形成片(6)を中皿(5)の底部近傍の内周壁に設けており、この形成片は種々の形態が可能である(図4(a)〜(d))。 図3(a)で示す、底部形成片(6)は1/4円の形状の底部片(6)と支持部(6a)からなり、支持部(6a)は底部形成片(6)に設けられ、底部形成片(6)は中皿(5)の内部側壁(7)に一部接合されている。 このような構造であれば、底部より化粧料充填用のチューブ(A)を挿入するときは、図3(b)に示すように、底部形成片(6)は上方に必要な角度開くことにより、充填用のスペースを作り出すことができる。そして、化粧料の充填により、化粧料(B)は充填ノズルの先端近傍まで充填されて、図3(b)に示すように底部形成片(6)先端が化粧料に取り込まれ、刺さった状態で化粧料が固まることとなる。従って、本実施例の中皿を使用すると、化粧料充填時に化粧料底部の内部にまで片が入りこんで、支持することとなる。したがって、この底部形成片(6)の作用により、使用中、化粧料の落ち込みが防止できると共に、化粧料が減ってくると次第にこの底部形成片(6)の傾斜角度も小さくなり、初期の状態(図3(a))に近づき、底部形成片(6)は化粧料に対して完全に容器底部の働きをなすようになる。 なお、以上は底部形成片(6)側に水平方向より下方に変化しないための支持部(6a)を片側に設けた例を示したが、図3(c)に示すように中皿の内壁の厚みを厚くし(7a )、底部片の下方へのストッパーに役立てても良い。 〔実施例3〕 本実施例は、取替え可能な化粧料容器について、底充填を可能とした実施例に関するものである。 一般に取替え可能な化粧料容器にあって、第3設定部材先端に上方への移動のみを可能とする弁を設けた場合を図5に基づいて説明する。 図において、(9)は第1設定部材で、この設定部材(9)下端近傍には、嵌合用溝(9a)が形成されている。また第1設定部材(9)は第3設定部材(8)を保持するとともに、第2設定部材(10)とともに繰り出し動作を行う繰り出し用部材であり、側面長手方向に溝(9a)及び突起(9b)を有し、内壁に第3設定部材(8)の嵌合用溝(8a)に合致する突起(図示せず)及び次に述べる第2設定部材(10)のストッパー用溝(10a)に対応する突起(図示せず)、さらには、各部材をセットした状態で、底充填方式で化粧料の充填が可能な様に、内壁下部に上方へのみ移動可能な底部形成片(8b)を有する。第2設定部材(10)は第3設定部材押し出し用の上縁部(10b)を有した上部開放の円筒状部材で、第1設定部材(9)の溝(9a)に係合する突起(10’)を有し、該突起は、螺旋部材と係合する回転突起(10d)と第3設定部材排出用の排出突起(10c)が径を違えて、同一位置に2つ設けられている。さらに、円筒部材(図5C)には、軸方向に前後2本、計4本の溝が設けられている。このうち1つは第1設定部材規制溝、他は第2設定部材規制溝となる。 このような部材を用いて、本発明の実施例3の取替え可能化粧料容器の製造及び動作について図5を参照して説明する。
【0013】
まず、第1〜第3設定部材をセットし(図5B)、第3設定部材(8)に口紅成形用のキャップ(図示せず)を嵌め、図5(B)に示すように第2設定部材(10)の開口底部より紅を充填して、紅を製造する。次にそれらのセットされた紅付部材を、回転及び排出突起(10d)(10c)が第1設定部材の溝(9a)に係合するように、また第1設定部材の突起(9b)を第1部材規制溝(4a)に、第2設定部材の突起(10c・10d)を第2部材規制溝(4b)に、係合するように嵌め、さらに螺旋部材(4c)と最外ケースをセットする。 そして回転動作を行い、そして、逆回転動作により紅を引き戻すことで、容器内に紅は収納され、最大繰り出し位置までの自由位置での紅の保持が可能であるとともに、第3設定部材ごと紅の交換あるいは、使用終了により紅の差し替えをしたい場合には、さらに繰り出しの回転動作を続けることにより、第2設定部材の排出突起(10c)が第3設定部材(8)の底部を押し上げることで、第3設定部材ごと紅を容器外に排出することが可能となる。なおこの時の操作に必要な力は、第2設定部材のストッパー用溝(10a)と第1設定部材内壁の突起の嵌合を解除し、さらに第3設定部材の溝と第1設定部材の突起とが嵌合している状態を解除する程度のものが必要となる。なおこの場合の第3設定部材は、底部に第3設定部材排出用の突起(図示せず)を設けて、該突起を第2設定部材が押し上げることで、第3設定部材を排出しても良いことはもちろんである。
【0014】
このような容器を用いれば、底充填方式で以下のことが可能となる。
口紅製造の最終段階で不良品が発見されても、第3設定部材ごと紅を取替えるだけで、容器本体は再度利用することができ、資源の節約が可能である。また、紅の差し替えが可能となるため、1つの容器にいろいろな色の紅を差し替えて使用でき、その日の服装にあわせた、紅を気に入った容器に挿入して使用することが可能となる。さらに口紅の容器は全体の価格に対して多くの部分を占めており、紅を使い終わった後にも、新たな紅を差しかえることで、容器を再利用することができ、ひいては価格の低下を可能とした。また、本発明の底部形成片(8b)が紅の底部を支えるため、従来頻繁に起こっていた紅の容器内への落ち込みが無くなり、使用上の問題が無くなった。
【0015】
〔実施例4〕
次に、実施例4として、化粧料を最後まで使用可能で、しかも底充填が可能な落ち込み防止化粧料容器(ファンデーション)について図7・8をもとに説明する。
本実施例では、ファンデーションを最後まで、使用可能とするため、第2設定部材には、ストッパー用溝(12a)を4段設けており、それに対応して、第1設定部材の軸方向長さも長く設定し、ストッパー用溝に対応して、第1設定部材内壁には、嵌合突起が形成されている。本実施例においては、実施例3における第3設定部材をなくしており、以下に述べるように、第2設定部材先端部に上方にのみ移動可能な弁(16)を設けてファンデーションの底充填を可能とするとともに、ファンデーションの落ち込みを防止している。
【0016】
このような部材を使用した取替え可能化粧料容器の動作説明を図7・8を参照して行う。
図7に示すように、本実施例においても、ファンデーションを容器の回転操作により、最大引き込み位置から最大繰り出し位置まで、自在に操作可能である。また、ファンデーションをほぼ使い残りがわずかの部分となったような場合には、さらに回転動作を続けることで、図8bに示すようにファンデーションのほとんど底部まで、押し上げることが可能となっている。これは、最大繰り出し位置で、第1設定部材(11)は規制されるが、その後の回転操作により、第2設定部材のみが上昇を続けるため、ファンデーションが図8(b)に示すように第2設定部材の上面に完全に押し上げられる。
この時、ファンデーション押し出しのために必要とされる力は、第2設定部材のストッパー用溝の内、最下段の溝と第1設定部材内壁のストッパー用突起との嵌合を解除する程度のものである。
【0017】
このような落ち込み防止化粧料容器を使用すると、実施例1〜3の効果に加えて、ファンデーションを最後まで使用することが可能となり、しかも化粧料の繰り出し、引き戻し、化粧料の最後までの使用について、いずれも回転操作という同一の操作の一連の流れで可能となるため、使用する側にとり、簡単で、使いやすい落ち込み防止化粧料容器の提供が可能となる。
【0018】
なお以上説明した実施例は、いずれも典型的な場合の一部について述べたものであり、本発明は、種々の態様の化粧料容器に適用可能である。
共通していえることは、水平方向以下には移動不可とされた片あるいは弁を化粧料底部近傍に使用して、化粧料の落ち込みを防止するとともに化粧料の底充填を可能としているものである。
従って、本発明は、化粧料保持部材が、分離されるものであっても、一体型のものであっても、あるいは取替え可能とするための化粧料保持部材を使用するものであっても、直接第1・第2設定部材で化粧料を保持する形態のものであっても、応用が可能である。
また図8(c)に示すように、第3設定部材(23)ごと容器外への排出が可能な取替え可能化粧料容器(細型口紅)で第1設定部材・第2設定部材の軸方向の規制を第1設定部材(22)に設けた環状突起(22a)と円筒部材(23)に設けた筒内径の絞り(23a)で行い、第2設定部材の突起と円筒部材の軸方向溝1本との係止で可能とした場合についても応用は可能であることは言うまでもない。
【0019】
実施例1〜4の構成の場合にも、円筒部材の溝を1本とすることで、第1・第2設定部材の両方の突起をこの溝に係止させることでも両設定部材の規制が可能となる。この場合「円筒部材に設けられた溝全体の長さ−第1設定部材の全長」が第1設定部材の移動可能範囲となる。また第2設定部材の移動可能範囲は、溝全体の長さ+第1設定部材の嵌合溝長さ」となる。
このような構成の取替え可能化粧料容器を使用すると、細型化粧料容器にも本発明が応用可能となり、また太いタイプの口紅については円筒部材の形成がシンプルとなり、強度も保つことができる。
【0020】
【発明の効果】
本発明に係る落ち込み防止化粧料容器は、従来底充填方式の化粧料容器で、頻繁に発生していた、化粧料の落ち込みを防止することが可能となったばかりではなく、その底部形成片や弁は、充填時に化粧料底部に刺さった状態で化粧料を保持し、化粧料の使用による上部よりの加圧により、柔軟にその位置を変化させ、最終的に水平状態を維持し、それより下方に底部形成片、弁が傾くことを防止することで、化粧料の落ち込みを完全に防止するものである。
しかも、取替え可能や、最後まで使用可能な化粧料容器にも応用可能なため、あらゆる種類の化粧料容器に適用でき、応用範囲が幅広いものである。従って、製造工程においても、使用状態においても容器や化粧料を無駄にすることなく便利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明第1実施例の分離型化粧料保持部材を示す説明斜視図。
【図2】本発明第2実施例の化粧料保持部材を示す説明斜視図。
【図3】(a)本発明第2実施例の底部形成片の一構成を示す説明図。
(b)本発明第2実施例の底部形成片の底充填時の移動状態を示す説明図。
(c)本発明第2実施例の底部形成片の他の構成を示す説明図。
【図4】本発明の底部形成片及び弁の変形形態を示す説明図。
【図5】本発明第3実施例の部材を示す説明図。
【図6】従来の化粧料の落ち込みを示す説明図。
【図7】本発明第4実施例の部材を示す説明図。
【図8】(a)〜(b)本発明第4実施例の動作状態を示す説明図。
(c)細型化粧料容器の部材構成を示す説明図。
【符号の説明】
1 化粧料保持部材
2 螺旋嵌合摺動部材
3 底部
4 螺旋嵌合用突起
4a 第1設定部材規制溝
4b 第2設定部材規制溝
5 一体型化粧料保持部材(中皿)
6 底部形成片
6a 支持部
7 内部側壁
8 第3設定部材
8a、9a 嵌合用溝
9 第1設定部材
9b 突起
10 第2設定部材
10a ストッパー用溝
10b 上縁部
10’ 突起
10c 排出突起
10d 回転突起
16 弁
A チューブ
B 化粧料
【産業上の利用分野】
本発明は、繰り出し式で底充填方式の棒状化粧料容器において、充填された化粧料が落ち込む現象を防止するための容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
口紅、ファンデーション等の棒状化粧料容器の製造にあっては、大きく分けて、あらかじめ形成した化粧料を化粧料保持部材に差し込む方法と、化粧料容器保持部材の底を貫通状態にしておき、底より化粧料を充填して化粧料を形成する方法の2種類の方法があった。
この底充填方式の化粧料の場合、化粧料保持部材や螺旋嵌合摺動部材には、一般に容器底を形成するような底部材が設けられていないため、図6に示すように使用時の圧力により、次第に容器内部に化粧料が落ち込んだり、あるいはすっぽり抜けたりして使いずらく、また化粧料自体も無駄となっていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明は、上記問題点を解決すべく提案されたもので,駆動手段を用いて媒体設定部材を容器から出し入れする構成の棒状化粧料容器において、化粧料の落ち込みを防止するために、化粧料保持部材、螺旋嵌合摺動部材等の化粧料下部に上方へ移動可能な弁を設ける、あるいは第2設定部材の上底を開放可能とする等化粧料配置近傍の容器に何等かの化粧料の落ち込みを防止する機構を設けたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の落ち込み防止化粧料容器は、繰り出し式で底充填方式の棒状化粧料容器において、螺旋繰り出し用の突起を外周に設け、螺旋嵌合摺動部材を兼ねた底充填式化粧料保持部材の内周下部に、少なくとも1端を側壁に固定して、水平方向から90度上方への移動可能とした底部形成片を設け、該底部形成片下方の該化粧料保持部材の内壁厚みを厚くすることにより、該底部形成片が下方に傾くことを防止し、底充填のためのチューブの底部からの挿入に対して、該底部形成片の開放端が上方に押し上げられて、該チューブを挿入可能な開口が形成されるようにしたことを要旨とする。
【0005】
本発明の落ち込み防止化粧料容器は、繰り出し式で底充填方式の棒状化粧料容器において、螺旋繰り出し用の突起を外周に設け、螺旋嵌合摺動部材を兼ねた底充填式化粧料保持部材の内周下部に、少なくとも1端を側壁に固定して、水平方向から90度上方への移動可能とした底部形成片を設け、該底部形成片が水平方向より下方に傾くことを防止する手段を設け、該底部形成片は完全に該底充填式化粧料保持部材の底部を形成し、底充填のためのチューブの底部からの挿入に対して、該底部形成片の開放端が上方に押し上げられて、該チューブを挿入可能な開口が形成されるようにしたことを要旨とする。
【0006】
本発明の落ち込み防止化粧料容器は、繰り出し式で底充填方式の棒状化粧料容器であって、相対移動可能な第1・第2設定部材及び該第1設定部材に嵌合可能とした化粧料を直接保持する第3設定部材で形成され、軸方向への共動のためのストッパを第1・第2設定部材間及び第1・第3設定部材間にそれぞれ設け、繰り出しの回転動作を続けることにより、第1・第2設定部材間のストッパの嵌合を解除して一方の設定部材と他方の設定部材の動きを異ならせ、さらに第1・第3設定部材間のストッパの嵌合を解除して、第3設定部材を化粧料容器外に排出するようにした、第3設定部材を取替え可能な化粧料容器において、第3設定部材の先端部に水平方向から上方向へのみ移動可能な弁を設けたこと要旨とする。
【0007】
本発明の落ち込み防止化粧料容器は、繰り出し式で底充填方式の棒状化粧料容器であって、螺旋溝を内壁に有する螺旋部材、前記螺旋部材に挿入され、螺旋部材に対し軸方向に移動不能で、且周方向に回動可能に取付けられ、周壁には軸方向に延びた溝を有する円筒部材、該円筒部材に昇降可能に挿入され、上下を開口された筒状をなし、前記円筒部材の溝に摺動可能に係合する突起を有し、完全引き込み状態から最大繰り出し状態まで該円筒部材に対して軸方向に相対移動する第1設定部材、及び該第1設定部材の下側に挿入連結され軸方向に相対移動可能で、前記第1設定部材の溝を挿通して前記螺旋部材の螺旋溝に摺動可能に係合する突起を有する上下貫通状態の第2設定部材、該第1設定部材に嵌合可能で、化粧料を直接保持する第3設定部材からなり、第1及び第2設定部材を一緒に縦方向に共動させるためのストッパー手段を有し、前記円筒部材が、第1設定部材が上動規制位置を超えて繰り出さないように第1設定部材の上方への動きを規制し、第2設定部材が、第3設定部材を上方へ動かして第3設定部材の容器外への排出を行い、第1及び第2設定部材が第1段階の回転動作で、前記ストッパー手段により、完全引き込み状態から上動規制位置まで共動し、第1段階の回転動作以上の力による第2段階の回転動作で、上動規制位置を超えて、第3設定部材を化粧料容器外に排出するようにした、第3設定部材を取替え可能な化粧料容器において、該第3設定部材内周下部に水平方向から上方へのみ移動可能とした底部形成片を設けたことを要旨とする。
【0008】
本発明の落ち込み防止化粧料容器は、繰り出し式で底充填方式の棒状化粧料容器であって、螺旋溝を内壁に有する螺旋部材、前記螺旋部材に挿入され、螺旋部材に対し軸方方向に移動不能で、且周方向に回動可能に取付けられ、周壁には軸方向に延びた溝を有する円筒部材、該円筒部材に昇降可能に挿入され、上下を開口された筒状をなし、前記円筒部材の溝に摺動可能に係合する突起を有し、完全引き込み状態から最大繰り出し状態まで該円筒部材に対して軸方向に相対移動する第1設定部材、及び該第1設定部材の下側に挿入連結され軸方向に相対移動可能で、前記第1設定部材の溝を挿通して前記回転部材の螺旋溝に摺動可能に係合する突起を有し、化粧料を保持する第2設定部材からなり、第1及び第2設定部材を一緒に縦方向に共動させるためのストッパー手段を有し、前記円筒部材が、第1設定部材が上動規制位置を超えて繰り出さないように第1設定部材の上方への動きを規制し、第1及び第2設定部材が第1段階の回転動作で、前記ストッパー手段により、完全引き込み状態から上動規制位置まで共動し、第1段階の回転動作以上の力による第2段階の回転動作で、第2設定部材が第1設定部材とは分離して完全繰り出し状態に繰り出される最後まで使用可能化粧料容器において、第2設定部材先端に水平方向から上方へのみ移動可能な弁を設けたことを要旨とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明における底部とは、底充填のためのチューブを挿入する必要のある底充填式化粧料保持部材、第2設定部材等にあっては、チューブの底部からの挿入に対して、挿入可能な開口が形成されるような移動可能な形成片を設けることが必要となる。一方、底充填により化粧料と一体となった化粧料容器保持部材を差し込んで使用する螺旋嵌合摺動部材等にあっては、底充填の必要がないため、空気穴以外完全に閉塞された状態の底部を形成しても良い。
該片は、少なくとも1端を容器側壁に固定されており、充填時に初期の位置よりも開放端が上方に押し上げられ、その状態で化粧料の充填が行われるため、化粧料の充填終了時には、図3(b)に示すように、該片が化粧料底部に刺さった状態となり、化粧料底部を支持するとともに、化粧料の崩れを防止する。また使用状態が進んでくると該片の角度がしだいに小さくなり、最後には充填する前の初期の状態(水平方向)となり、化粧料の落ち込み防止の効果がより発揮できる状態となる。
なお本明細書において、以下完全引き込み状態とは、部材が容器内に最も引き込んでいる状態、最大繰り出し状態とは、化粧料を繰り出して、最初に回転操作に圧力を感じる時点、すなわち一般に化粧料を最大繰り出した状態(第3設定部材が少し容器先端より見えている状態)、完全繰り出し状態とは、さらに化粧料を押し出して第3設定部材内の化粧料が繰り出された状態をそれぞれ表す。
【0010】
本発明では、螺旋部材、それに係合する突起を有する第2設定部材、上方への動きを規制されている第1設定部材を使用する。なお、化粧料を直接保持する第3設定部材は使用する場合と使用しない場合がある。またそれぞれの進退を規制する方法として、突起と軸方向溝を有した円筒部材を使用する場合、環状突起とそれより小さい径の筒部材を使用する場合、その他、ばねを使用するもの等あらゆる規制方法が採用可能である。また軸方向溝を有した円筒部材においても各設定部材に設けられた係合突起ごとに溝を設けても良いし、1本の溝内に複数の設定部材の係合突起を係合させて両者の規制を可能とする工夫をしても良いし、もちろん2本の溝で行っても良い。規制方法はあらゆるものが採用可能である。
さらに、第3設定部材容器排出機構としても突起での押し上げのみに限らず、第2設定部材全体で第3設定部材の底を押し上げても良いし、その他第3設定部材を上方へ動かす機構であれば、どのような機構を用いても良い。
なお各実施例では、本発明の駆動操作を中心に説明し、各部材間の抜け落ち防止用のストッパーや駆動操作におけるストッパーを補助する補助ストッパー、遊びの調整のような細部にわたる微調整手段(例えば部材端部をやや肉圧にする、切り込み溝に変形を設ける、摺動通路の径に変化を持たせる等あらゆる方法が可能である)は当然のこととして、説明を省略している。
【0011】
【実施例】
〔実施例1〕 以下に、本発明の落ち込み防止化粧料容器の第1実施例(口紅)について図1・図2を参照して、詳述する。
【0012】
図1は、本発明の第1実施例の部材構成を示す説明図、図2は前者両部材を嵌合した図。図6は従来の化粧料の落ち込み状態を示す説明図である。図において、(1)は化粧料保持部材、(2)は螺旋嵌合摺動部材である。一般に化粧料繰り出し容器はさらに図示しない最外部のケース、繰り出しを制御する溝を設けた円筒部材、螺旋溝を設けた螺旋部材からなる。化粧料保持部材(1)は底充填のため、上下開放で、螺旋嵌合摺動部材(2)との嵌合のため、1段の絞りを設けた円筒形状である。螺旋嵌合摺動部材(2)は化粧料落ち込み防止のため、底部(3)を設けている。化粧料製造にあたっては、先ず、化粧料保持部材(1)に口紅の形状を形作るキャップ(図示せず)を嵌め、化粧料保持部材の底部より化粧料を充填する。そして、図2に示すように化粧料と一体となった化粧料保持部材を螺旋嵌合摺動部材(2)に上部より嵌め込む。この時螺旋嵌合摺動部材(2)には底部(3)が設けられているため、この底部(3)が化粧料の使用中の落ち込みを防止し、口紅の使用勝手を向上させ、口紅の無駄を省くことができる。 〔実施例2〕 本実施例は、化粧料保持部材そのものに螺旋嵌合用の突起を設けている中皿に、底部形成片を設けた場合について図3に基づいて説明する。図において、(5)は螺旋嵌合用突起(4)を外壁に設けた円筒形状の化粧料保持部材としての中皿である。底充填を可能とするため、本実施例では、水平方向以上の上方に移動可能な弁状の底部形成片(6)を中皿(5)の底部近傍の内周壁に設けており、この形成片は種々の形態が可能である(図4(a)〜(d))。 図3(a)で示す、底部形成片(6)は1/4円の形状の底部片(6)と支持部(6a)からなり、支持部(6a)は底部形成片(6)に設けられ、底部形成片(6)は中皿(5)の内部側壁(7)に一部接合されている。 このような構造であれば、底部より化粧料充填用のチューブ(A)を挿入するときは、図3(b)に示すように、底部形成片(6)は上方に必要な角度開くことにより、充填用のスペースを作り出すことができる。そして、化粧料の充填により、化粧料(B)は充填ノズルの先端近傍まで充填されて、図3(b)に示すように底部形成片(6)先端が化粧料に取り込まれ、刺さった状態で化粧料が固まることとなる。従って、本実施例の中皿を使用すると、化粧料充填時に化粧料底部の内部にまで片が入りこんで、支持することとなる。したがって、この底部形成片(6)の作用により、使用中、化粧料の落ち込みが防止できると共に、化粧料が減ってくると次第にこの底部形成片(6)の傾斜角度も小さくなり、初期の状態(図3(a))に近づき、底部形成片(6)は化粧料に対して完全に容器底部の働きをなすようになる。 なお、以上は底部形成片(6)側に水平方向より下方に変化しないための支持部(6a)を片側に設けた例を示したが、図3(c)に示すように中皿の内壁の厚みを厚くし(7a )、底部片の下方へのストッパーに役立てても良い。 〔実施例3〕 本実施例は、取替え可能な化粧料容器について、底充填を可能とした実施例に関するものである。 一般に取替え可能な化粧料容器にあって、第3設定部材先端に上方への移動のみを可能とする弁を設けた場合を図5に基づいて説明する。 図において、(9)は第1設定部材で、この設定部材(9)下端近傍には、嵌合用溝(9a)が形成されている。また第1設定部材(9)は第3設定部材(8)を保持するとともに、第2設定部材(10)とともに繰り出し動作を行う繰り出し用部材であり、側面長手方向に溝(9a)及び突起(9b)を有し、内壁に第3設定部材(8)の嵌合用溝(8a)に合致する突起(図示せず)及び次に述べる第2設定部材(10)のストッパー用溝(10a)に対応する突起(図示せず)、さらには、各部材をセットした状態で、底充填方式で化粧料の充填が可能な様に、内壁下部に上方へのみ移動可能な底部形成片(8b)を有する。第2設定部材(10)は第3設定部材押し出し用の上縁部(10b)を有した上部開放の円筒状部材で、第1設定部材(9)の溝(9a)に係合する突起(10’)を有し、該突起は、螺旋部材と係合する回転突起(10d)と第3設定部材排出用の排出突起(10c)が径を違えて、同一位置に2つ設けられている。さらに、円筒部材(図5C)には、軸方向に前後2本、計4本の溝が設けられている。このうち1つは第1設定部材規制溝、他は第2設定部材規制溝となる。 このような部材を用いて、本発明の実施例3の取替え可能化粧料容器の製造及び動作について図5を参照して説明する。
【0013】
まず、第1〜第3設定部材をセットし(図5B)、第3設定部材(8)に口紅成形用のキャップ(図示せず)を嵌め、図5(B)に示すように第2設定部材(10)の開口底部より紅を充填して、紅を製造する。次にそれらのセットされた紅付部材を、回転及び排出突起(10d)(10c)が第1設定部材の溝(9a)に係合するように、また第1設定部材の突起(9b)を第1部材規制溝(4a)に、第2設定部材の突起(10c・10d)を第2部材規制溝(4b)に、係合するように嵌め、さらに螺旋部材(4c)と最外ケースをセットする。 そして回転動作を行い、そして、逆回転動作により紅を引き戻すことで、容器内に紅は収納され、最大繰り出し位置までの自由位置での紅の保持が可能であるとともに、第3設定部材ごと紅の交換あるいは、使用終了により紅の差し替えをしたい場合には、さらに繰り出しの回転動作を続けることにより、第2設定部材の排出突起(10c)が第3設定部材(8)の底部を押し上げることで、第3設定部材ごと紅を容器外に排出することが可能となる。なおこの時の操作に必要な力は、第2設定部材のストッパー用溝(10a)と第1設定部材内壁の突起の嵌合を解除し、さらに第3設定部材の溝と第1設定部材の突起とが嵌合している状態を解除する程度のものが必要となる。なおこの場合の第3設定部材は、底部に第3設定部材排出用の突起(図示せず)を設けて、該突起を第2設定部材が押し上げることで、第3設定部材を排出しても良いことはもちろんである。
【0014】
このような容器を用いれば、底充填方式で以下のことが可能となる。
口紅製造の最終段階で不良品が発見されても、第3設定部材ごと紅を取替えるだけで、容器本体は再度利用することができ、資源の節約が可能である。また、紅の差し替えが可能となるため、1つの容器にいろいろな色の紅を差し替えて使用でき、その日の服装にあわせた、紅を気に入った容器に挿入して使用することが可能となる。さらに口紅の容器は全体の価格に対して多くの部分を占めており、紅を使い終わった後にも、新たな紅を差しかえることで、容器を再利用することができ、ひいては価格の低下を可能とした。また、本発明の底部形成片(8b)が紅の底部を支えるため、従来頻繁に起こっていた紅の容器内への落ち込みが無くなり、使用上の問題が無くなった。
【0015】
〔実施例4〕
次に、実施例4として、化粧料を最後まで使用可能で、しかも底充填が可能な落ち込み防止化粧料容器(ファンデーション)について図7・8をもとに説明する。
本実施例では、ファンデーションを最後まで、使用可能とするため、第2設定部材には、ストッパー用溝(12a)を4段設けており、それに対応して、第1設定部材の軸方向長さも長く設定し、ストッパー用溝に対応して、第1設定部材内壁には、嵌合突起が形成されている。本実施例においては、実施例3における第3設定部材をなくしており、以下に述べるように、第2設定部材先端部に上方にのみ移動可能な弁(16)を設けてファンデーションの底充填を可能とするとともに、ファンデーションの落ち込みを防止している。
【0016】
このような部材を使用した取替え可能化粧料容器の動作説明を図7・8を参照して行う。
図7に示すように、本実施例においても、ファンデーションを容器の回転操作により、最大引き込み位置から最大繰り出し位置まで、自在に操作可能である。また、ファンデーションをほぼ使い残りがわずかの部分となったような場合には、さらに回転動作を続けることで、図8bに示すようにファンデーションのほとんど底部まで、押し上げることが可能となっている。これは、最大繰り出し位置で、第1設定部材(11)は規制されるが、その後の回転操作により、第2設定部材のみが上昇を続けるため、ファンデーションが図8(b)に示すように第2設定部材の上面に完全に押し上げられる。
この時、ファンデーション押し出しのために必要とされる力は、第2設定部材のストッパー用溝の内、最下段の溝と第1設定部材内壁のストッパー用突起との嵌合を解除する程度のものである。
【0017】
このような落ち込み防止化粧料容器を使用すると、実施例1〜3の効果に加えて、ファンデーションを最後まで使用することが可能となり、しかも化粧料の繰り出し、引き戻し、化粧料の最後までの使用について、いずれも回転操作という同一の操作の一連の流れで可能となるため、使用する側にとり、簡単で、使いやすい落ち込み防止化粧料容器の提供が可能となる。
【0018】
なお以上説明した実施例は、いずれも典型的な場合の一部について述べたものであり、本発明は、種々の態様の化粧料容器に適用可能である。
共通していえることは、水平方向以下には移動不可とされた片あるいは弁を化粧料底部近傍に使用して、化粧料の落ち込みを防止するとともに化粧料の底充填を可能としているものである。
従って、本発明は、化粧料保持部材が、分離されるものであっても、一体型のものであっても、あるいは取替え可能とするための化粧料保持部材を使用するものであっても、直接第1・第2設定部材で化粧料を保持する形態のものであっても、応用が可能である。
また図8(c)に示すように、第3設定部材(23)ごと容器外への排出が可能な取替え可能化粧料容器(細型口紅)で第1設定部材・第2設定部材の軸方向の規制を第1設定部材(22)に設けた環状突起(22a)と円筒部材(23)に設けた筒内径の絞り(23a)で行い、第2設定部材の突起と円筒部材の軸方向溝1本との係止で可能とした場合についても応用は可能であることは言うまでもない。
【0019】
実施例1〜4の構成の場合にも、円筒部材の溝を1本とすることで、第1・第2設定部材の両方の突起をこの溝に係止させることでも両設定部材の規制が可能となる。この場合「円筒部材に設けられた溝全体の長さ−第1設定部材の全長」が第1設定部材の移動可能範囲となる。また第2設定部材の移動可能範囲は、溝全体の長さ+第1設定部材の嵌合溝長さ」となる。
このような構成の取替え可能化粧料容器を使用すると、細型化粧料容器にも本発明が応用可能となり、また太いタイプの口紅については円筒部材の形成がシンプルとなり、強度も保つことができる。
【0020】
【発明の効果】
本発明に係る落ち込み防止化粧料容器は、従来底充填方式の化粧料容器で、頻繁に発生していた、化粧料の落ち込みを防止することが可能となったばかりではなく、その底部形成片や弁は、充填時に化粧料底部に刺さった状態で化粧料を保持し、化粧料の使用による上部よりの加圧により、柔軟にその位置を変化させ、最終的に水平状態を維持し、それより下方に底部形成片、弁が傾くことを防止することで、化粧料の落ち込みを完全に防止するものである。
しかも、取替え可能や、最後まで使用可能な化粧料容器にも応用可能なため、あらゆる種類の化粧料容器に適用でき、応用範囲が幅広いものである。従って、製造工程においても、使用状態においても容器や化粧料を無駄にすることなく便利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明第1実施例の分離型化粧料保持部材を示す説明斜視図。
【図2】本発明第2実施例の化粧料保持部材を示す説明斜視図。
【図3】(a)本発明第2実施例の底部形成片の一構成を示す説明図。
(b)本発明第2実施例の底部形成片の底充填時の移動状態を示す説明図。
(c)本発明第2実施例の底部形成片の他の構成を示す説明図。
【図4】本発明の底部形成片及び弁の変形形態を示す説明図。
【図5】本発明第3実施例の部材を示す説明図。
【図6】従来の化粧料の落ち込みを示す説明図。
【図7】本発明第4実施例の部材を示す説明図。
【図8】(a)〜(b)本発明第4実施例の動作状態を示す説明図。
(c)細型化粧料容器の部材構成を示す説明図。
【符号の説明】
1 化粧料保持部材
2 螺旋嵌合摺動部材
3 底部
4 螺旋嵌合用突起
4a 第1設定部材規制溝
4b 第2設定部材規制溝
5 一体型化粧料保持部材(中皿)
6 底部形成片
6a 支持部
7 内部側壁
8 第3設定部材
8a、9a 嵌合用溝
9 第1設定部材
9b 突起
10 第2設定部材
10a ストッパー用溝
10b 上縁部
10’ 突起
10c 排出突起
10d 回転突起
16 弁
A チューブ
B 化粧料
Claims (5)
- 繰り出し式で底充填方式の棒状化粧料容器において、
螺旋繰り出し用の突起を外周に設け、螺旋嵌合摺動部材を兼ねた底充填式化粧料保持部材の内周下部に、少なくとも1端を側壁に固定して、水平方向から90度上方への移動可能とした底部形成片を設け、
該底部形成片下方の該化粧料保持部材の内壁厚みを厚くすることにより、該底部形成片が下方に傾くことを防止し、
底充填のためのチューブの底部からの挿入に対して、該底部形成片の開放端が上方に押し上げられて、該チューブを挿入可能な開口が形成されるようにしたことを特徴とする落ち込み防止化粧料容器。 - 繰り出し式で底充填方式の棒状化粧料容器において、
螺旋繰り出し用の突起を外周に設け、螺旋嵌合摺動部材を兼ねた底充填式化粧料保持部材の内周下部に、少なくとも1端を側壁に固定して、水平方向から90度上方への移動可能とした底部形成片を設け、
該底部形成片が水平方向より下方に傾くことを防止する手段を設け、
該底部形成片は完全に該底充填式化粧料保持部材の底部を形成し、
底充填のためのチューブの底部からの挿入に対して、該底部形成片の開放端が上方に押し上げられて、該チューブを挿入可能な開口が形成されるようにしたことを特徴とする落ち込み防止化粧料容器。 - 繰り出し式で底充填方式の棒状化粧料容器であって、
相対移動可能な第1・第2設定部材及び該第1設定部材に嵌合可能とした化粧料を直接保持する第3設定部材で形成され、
軸方向への共動のためのストッパを第1・第2設定部材間及び第1・第3設定部材間にそれぞれ設け、
繰り出しの回転動作を続けることにより、第1・第2設定部材間のストッパの嵌合を解除して一方の設定部材と他方の設定部材の動きを異ならせ、さらに第1・第3設定部材間のストッパの嵌合を解除して、第3設定部材を化粧料容器外に排出するようにした、第3設定部材を取替え可能な化粧料容器において、
第3設定部材の先端部に水平方向から上方向へのみ移動可能な弁を設けたことを特徴とする落ち込み防止化粧料容器。 - 繰り出し式で底充填方式の棒状化粧料容器であって、
螺旋溝を内壁に有する螺旋部材、
前記螺旋部材に挿入され、螺旋部材に対し軸方向に移動不能で、且周方向に回動可能に取付けられ、周壁には軸方向に延びた溝を有する円筒部材、
該円筒部材に昇降可能に挿入され、上下を開口された筒状をなし、前記円筒部材の溝に摺動可能に係合する突起を有し、完全引き込み状態から最大繰り出し状態まで該円筒部材に対して軸方向に相対移動する第1設定部材、
及び該第1設定部材の下側に挿入連結され軸方向に相対移動可能で、前記第1設定部材の溝を挿通して前記螺旋部材の螺旋溝に摺動可能に係合する突起を有する上下貫通状態の第2設定部材、
該第1設定部材に嵌合可能で、化粧料を直接保持する第3設定部材からなり、
第1及び第2設定部材を一緒に縦方向に共動させるためのストッパー手段を有し、
前記円筒部材が、第1設定部材が上動規制位置を超えて繰り出さないように第1設定部材の上方への動きを規制し、
第2設定部材が、第3設定部材を上方へ動かして第3設定部材の容器外への排出を行い、
第1及び第2設定部材が第1段階の回転動作で、前記ストッパー手段により、完全引き込み状態から上動規制位置まで共動し、
第1段階の回転動作以上の力による第2段階の回転動作で、上動規制位置を超えて、第3設定部材を化粧料容器外に排出するようにした、第3設定部材を取替え可能な化粧料容器において、
該第3設定部材内周下部に水平方向から上方へのみ移動可能とした底部形成片を設けたことを特徴とする落ち込み防止化粧料容器。 - 繰り出し式で底充填方式の棒状化粧料容器であって、
螺旋溝を内壁に有する螺旋部材、
前記螺旋部材に挿入され、螺旋部材に対し軸方方向に移動不能で、且周方向に回動可能に取付けられ、周壁には軸方向に延びた溝を有する円筒部材、
該円筒部材に昇降可能に挿入され、上下を開口された筒状をなし、前記円筒部材の溝に摺動可能に係合する突起を有し、完全引き込み状態から最大繰り出し状態まで該円筒部材に対して軸方向に相対移動する第1設定部材、
及び該第1設定部材の下側に挿入連結され軸方向に相対移動可能で、前記第1設定部材の溝を挿通して前記回転部材の螺旋溝に摺動可能に係合する突起を有し、化粧料を保持する第2設定部材からなり、
第1及び第2設定部材を一緒に縦方向に共動させるためのストッパー手段を有し、
前記円筒部材が、第1設定部材が上動規制位置を超えて繰り出さないように第1設定部材の上方への動きを規制し、
第1及び第2設定部材が第1段階の回転動作で、前記ストッパー手段により、完全引き込み状態から上動規制位置まで共動し、第1段階の回転動作以上の力による第2段階の回転動作で、第2設定部材が第1設定部材とは分離して完全繰り出し状態に繰り出される最後まで使用可能化粧料容器において、
第2設定部材先端に水平方向から上方へのみ移動可能な弁を設けたことを特徴とする落ち込み防止化粧料容器。
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