JP3642709B2 - 追従走行装置及びその制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、自車と同一車線を走行する先行車と車間距離を検出し、車間距離を自車速に応じた目標距離以上に保持する追従走行装置及びその制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車に搭載される安全走行の補助装置のひとつとして、車間距離制御型定速走行装置と称される追従走行装置がある。この種の追従走行装置は、従来、例えば自車速が50km/hの時には60m、100km/hの時には100mというように、自車の車速に応じて目標車間距離を決定し、自車と同一車線を走行する先行車との車間距離を車間距離検出手段により検出し、その車間距離が目標車間距離よりも小さければスロットルバルブを閉じるなどして減速し、車間距離を目標車間距離以上に保持すべく制御するようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このような追従走行装置では、先行車の停止に伴って自車も停止する場合に、特に自車がオートマチック車であると、自車が減速して停止直前になるとクリープ力がエンジンブレーキによる制動力を上回る状態になり、そのクリープ力に打ち勝って停止するには、クリープ力よりも大きな制動力を発生するためにブレーキを強く踏み込まなければならない。
【0004】
その結果、停止の際に、いわゆる「カックンブレーキ」と呼ばれるノーズダイブ現象が生じ、乗り心地の悪化を招いていた。
【0005】
尚、特開平10−159966号公報において、自車両が停止状態で、かつアクセルペダルが踏み込まれていないことを条件に、自動変速機をニュートラルもしくはパーキングに状態に制御する発明が開示されているが、これは車両停止時のバッテリ負荷、運転者負荷、その他の負荷を軽減すると共に、燃費の向上を図るための技術であって、自動変速機の制御条件が、上記した「カックンブレーキ」と呼ばれるノーズダイブ現象を防止するようにはなってない。
【0006】
そこで、本発明は、停止直前のノーズダイブ現象を確実に防止できるようにすることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記した課題を解決するために、本発明にかかる追従走行装置は、自車と同一車線を走行する先行車と車間距離を検出し、前記車間距離を自車速に応じた目標距離以上に保持する追従走行装置において、自車と前記先行車との車間距離を検出する車間距離検出手段と、自車の車速を検出する車速検出手段と、エンジンブレーキによる制動力よりもクリープ力が上回るであろう基準速度を予測し、前記車間距離検出手段及び前記車速検出手段による検出結果から前記先行車が停止したと判断し、かつ前記車速検出手段により検出される自車速が、前記基準速度まで低下することを条件に切換制御信号を出力する制御手段と、前記切換制御信号によりオートマチックトランスミッションの変速位置をニュートラル状態に切り換える切換手段とを備えていることを特徴としている。
【0008】
このような構成によれば、車間距離検出手段及び車速検出手段による検出結果から、先行車が停止したと判断したときに、自車速が、エンジンブレーキによる制動力よりもクリープ力が上回るであろう基準速度まで低下すると、制御手段による切換制御信号により切換手段が制御されてオートマチックトランスミッションの変速位置が自動的にニュートラル状態に切り換わる。
【0009】
そのため、エンジンブレーキによる制動力よりもクリープ力が上回る基準速度まで減速すると、オートマチックトランスミッションの変速位置がニュートラル状態に切り換わり、その後はクリープ力が作用しなくなることから、ドライバは、必要以上にブレーキを踏み込まなくても、それまでの踏み込み量若しくはそれ以下の踏み込み量で、従来のようなノーズダイブ現象を生じることなく円滑な停止を実現することができる。
【0010】
また、本発明にかかる追従走行装置は、自車が走行中の道路の勾配を検出する勾配検出手段を備え、前記制御手段は、前記勾配検出手段による検出勾配と、前記エンジン回転数検出手段により検出されるエンジン回転数とから、前記基準速度の予測を行うことを特徴としている。
【0011】
このような構成によれば、勾配検出手段により検出される走行中の道路の勾配も加味して、エンジンブレーキによる制動力よりもクリープ力が上回るであろう基準速度を予測することができるため、現在の走行状況に合致したタイミングで、オートマチックトランスミッションの変速位置をニュートラル状態に切り換えることができる。
【0012】
また、本発明にかかる追従走行装置の制御方法は、エンジンブレーキによる制動力よりもクリープ力が上回るであろう基準速度を予測し、前記先行車の停止を検出し、かつ自車速が前記基準速度まで低下することを条件に、オートマチックトランスミッションの変速位置をニュートラル状態に切り換えることを特徴としている。
【0013】
このような構成によれば、先行車が停止し、しかも自車速がエンジンブレーキによる制動力よりもクリープ力が上回る程度の車速まで低下したときに、オートマチックトランスミッションの変速位置が自動的にニュートラル状態に切り換わるため、変速位置がニュートラル状態に切り換わった後はクリープ力が作用しなくなることから、ドライバはそれまでの踏み込み量若しくはそれ以下の踏み込み量を維持することにより、従来のようなノーズダイブ現象を生じることなく円滑な停止を実現することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
この発明にかかる追従走行装置の一実施形態について図1及び図2を参照して説明する。但し、図1はブロック図、図2は動作説明用フローチャートである。
【0015】
まず、追従走行装置の全体構成について説明する。図1に示すように、車間距離検出手段である車間距離センサ1が設けられ、この車間距離センサ1は、例えばスキャンレーザレーダにより構成され、自車の前方にレーザ光を照射すると共に所定角度(例えば1°)ずつ水平方向にスキャンし、その反射光を受光器により受光してレーザ光の照射から反射光の受光までの時間から、自車と同一車線を走行する先行車との車間距離を検出する。このような1回の車間距離の検出処理に要する時間は、約0.1秒程度の非常に短い時間である。
【0016】
また、車速検出手段である車輪速センサ2により自車速が検出されると共に車輪速センサ2の出力パルスの所定時間内でのパルス数から、自車の加速度が検出される。更に、加速度センサ3によっても自車の加速度が検出され、ストップランプスイッチ4によりブレーキ操作の有無が検出され、スロットルセンサ5によりスロットルバルブの開度が検出されると共に、アクセルセンサ6によりアクセルペダルの踏み込みの有無が検出され、シフトレバースイッチ7によりオートマチックトランスミッションの変速位置が検出される。このとき、車輪速センサ2の出力から検出される加速度と加速度センサ3により検出される加速度とを比較することで、回度等から自車が走行中の道路の勾配が検出され、これら各センサ2、3が勾配検出手段として機能する。
【0017】
そして、これら各センサ1、2、5、6及び各スイッチ4、7からの信号は電子制御ユニット(以下、ECUという)9により取り込まれ、このECU9により各部の制御が行われる。
【0018】
具体的には、ECU9により、例えば液晶表示装置からなるディスプレイ11の表示制御のほか、先行車との車間距離を目標距離に保持するために、ブレーキアクチュエータ12の駆動制御が行われ、ブレーキアクチュエータ12が駆動されて自動ブレーキがかかったときにストップランプ13の点灯制御が行われ、電子スロットル14の開度制御も行われる。
【0019】
また、図1には示されていないが、電子制御式燃料噴射装置及びエンジン回転数を検出するエンジン回転数検出手段が搭載され、ECU9によりこの電子制御式燃料噴射装置の制御も行われる。このとき、エンジン回転数検出手段により検出されるエンジン回転数から、エンジンブレーキによる制動力よりもクリープ力が上回るであろう基準速度として導出される。
【0020】
更に、ECU9により、車間距離センサ1及び車輪速センサ2による検出結果から先行車が停止したかどうかの判断が行われ、先行車が停止したと判断されたときに、車輪速センサ2による自車速が上記した基準速度まで低下したことがECU9により判断されると、ECU9から、オートマチックトランスミッションの変速位置を切り換える切換手段としてのトランスミッション切換部15に切換制御信号が出力され、このトランスミッション切換部15により変速位置がニュートラル状態に強制的に切り換えられる。このECU9による切換制御信号の出力処理が制御手段に相当する。
【0021】
このように、エンジンブレーキによる制動力よりもクリープ力が上回る基準速度まで自車速が低下すると、ECU9による切換制御信号によりオートマチックトランスミッションの変速位置が自動的にニュートラル状態に切り換わると、その後はクリープ力が作用しなくなることから、ドライバは、必要以上にブレーキを踏み込まなくて済み、円滑な停止が可能になのである。
【0022】
次に、動作について、図2のフローチャートを参照して説明する。図2に示すように、車間距離センサ1により検出される自車と先行車との車間距離、及び車輪速センサ2により検出される自車速の時間的変化から、先行車が停止したか否かの判定がなされ(S1)、この判定結果がNOであればそのまま動作は終了し、判定結果がYESであれば、走行中の道路勾配と、エンジン回転数検出手段により検出されるエンジン回転数とから、エンジンブレーキによる制動力をクリープ力が上回る基準速度が演算により導出される(S2)。
【0023】
続いて、車輪速センサ2により検出される自車速が上記した基準速度以下になったか否かの判定がなされ(S3)、この判定結果がNOであればそのまま動作は終了し、判定結果がYESであれば、車間距離センサ1により検出される先行車との車間距離がそのときの自車速に応じた目標距離以下であるか否かの判定がなされる(S4)。
【0024】
そして、このステップS4の判定結果がNOであればそのまま動作は終了し、判定結果がYESであれば、変速位置スイッチ7により検出されるオートマチックトランスミッションの変速位置が“ドライブ(D)レンジ”にあるか否かの判定がなされ(S5)、この判定結果がNOであればそのまま動作は終了し、判定結果がYESであれば、ECU9から、トランスミッション切換部15に切換制御信号が出力されて変速位置がニュートラルレンジに強制的に切り換えられ(S6)、その後動作は終了する。
【0025】
従って、上記した実施形態によれば、車間距離センサ1及び車輪速センサ2による検出結果から、先行車が停止し、かつ自車速が基準速度まで低下することを条件に、オートマチックトランスミッションの変速位置が自動的にニュートラルレンジに切り換えられるため、エンジンブレーキによる制動力よりもクリープ力が上回る基準速度まで減速すると、変速位置がニュートラル状態に切り換えられた後はクリープ力が作用しなくなるので、ドライバは、必要以上にブレーキを踏み込まなくても、それまでの踏み込み量若しくはそれ以下の踏み込み量で、従来のようなノーズダイブ現象を生じることなく円滑な停止を実現することができる。
【0026】
また、検出されるエンジン回転数から、電子制御式燃料噴射装置によりアイドルアップ制御が開始する速度を基準速度として予測しているため、アイドルアップ制御の開始タイミングで、ECU9から切換制御信号を出力することによって、クリープ力がエンジンブレーキによる制動力よりも上回るタイミング精度よくでオートマチックトランスミッションの変速位置をニュートラル状態に切り換えることができる。
【0027】
更に、走行中の道路の勾配も加味して、エンジンブレーキによる制動力よりもクリープ力が上回る基準速度を予測しているため、現在の走行状況に合致したタイミングで、オートマチックトランスミッションの変速位置をニュートラル状態に切り換えることができる。
【0028】
なお、先行車の発進を検知したときには、ECU9により、トランスミッション切換部15を制御して変速位置をニュートラルからD(ドライブ)レンジに切り換えるようにしてもよい。このとき例えば、自車が停止している状態で、車間距離センサ1により検出される車間距離が増大すれば、先行車が発進したと判断することで実現可能である。
【0029】
また、上記した実施形態では、自車が走行中の道路の勾配を加味した制御を行う場合について説明しているが、必ずしも走行中の道路勾配を考慮する必要はない。
【0030】
更に、車間距離センサ1により検出される先行車との車間距離及び車輪速センサ2による自車速に基づき、自車が現在位置から先行車の現在位置に到達するまでの時間差である車間時間を検出する機能をECU9に設け、上記した車間距離に代えて、この車間時間を基準に先行車の停止の判断等を行うようにしても構わ図、この場合も上記した実施形態と同等の効果を得ることが可能である。
【0031】
また、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。
【0032】
【発明の効果】
以上のように、請求項1、3に記載の発明によれば、エンジンブレーキによる制動力よりもクリープ力が上回る程度まで減速すると、オートマチックトランスミッションの変速位置がニュートラル状態に切り換わりため、その後はクリープ力が作用しなくなることから、ドライバは、必要以上にブレーキを踏み込まなくても、それまでの踏み込み量若しくはそれ以下の踏み込み量で、ノーズダイブ現象を生じることなく円滑な停止を実現することができ、安定した停止性能を得ることが可能になる。
【0033】
また、請求項2に記載の発明によれば、勾配検出手段により検出される走行中の道路の勾配も加味して、エンジンブレーキによる制動力よりもクリープ力が上回るであろう基準速度を予測することができるため、現在の走行状況に合致したタイミングで、オートマチックトランスミッションの変速位置をニュートラル状態に切り換えることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態のブロック図である。
【図2】この発明の一実施形態の動作説明用フローチャートである。
【符号の説明】
1 車間距離センサ(車間距離検出手段)
2 車輪速センサ(車速検出手段、勾配検出手段)
3 加速度センサ(勾配検出手段)
9 ECU(制御手段)
15 トランスミッション切換部(切換手段)
Claims (3)
- 自車と同一車線を走行する先行車と車間距離を検出し、前記車間距離を自車速に応じた目標距離以上に保持する追従走行装置において、
自車と前記先行車との車間距離を検出する車間距離検出手段と、
自車の車速を検出する車速検出手段と、
エンジンブレーキによる制動力よりもクリープ力が上回るであろう基準速度を予測し、前記車間距離検出手段及び前記車速検出手段による検出結果から前記先行車が停止したと判断し、かつ前記車速検出手段により検出される自車速が、前記基準速度まで低下することを条件に切換制御信号を出力する制御手段と、
前記切換制御信号によりオートマチックトランスミッションの変速位置をニュートラル状態に切り換える切換手段と
を備えていることを特徴とする追従走行装置。 - 自車が走行中の道路の勾配を検出する勾配検出手段を備え、前記制御手段は、前記勾配検出手段による検出勾配と、前記エンジン回転数検出手段により検出されるエンジン回転数とから、前記基準速度の予測を行うことを特徴とする請求項1に記載の追従走行装置。
- 自車と同一車線を走行する先行車と車間距離を検出し、前記車間距離を自車速に応じた目標距離以上に保持する追従走行装置の制御方法において、
エンジンブレーキによる制動力よりもクリープ力が上回るであろう基準速度を予測し、前記先行車の停止を検知し、かつ自車速が前記基準速度まで低下することを条件に、オートマチックトランスミッションの変速位置をニュートラル状態に切り換えることを特徴とする追従走行装置の制御方法。
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