JP3642037B2 - 旋回燃焼器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃焼器に関するものであり、特に燃焼室内に予め空気と燃料を混合した混合ガスを噴射して旋回流を発生させる旋回燃焼器に関するものである。本発明の燃焼器は、給湯器やボイラーといった熱源を要するあらゆる装置に活用することができる。
【0002】
【従来の技術】
高い空間発熱率を有する燃焼手段の一つとして、旋回燃焼器が知られている(特許第2863841号)。
旋回燃焼器とは、筒状の燃焼室を使用し、この燃焼室内に空気と燃料との混合ガスを噴射して内部に旋回流を発生させるものである。
【0003】
図12は、従来技術の旋回燃焼器の概念図である。
旋回燃焼器101では、円筒形の燃焼室102を使用し、この燃焼室102に対して接線方向に空気と燃料との混合ガスを噴射する。この混合ガスは、燃焼室102内で旋回流を形成する。燃焼室102内では、円筒状の旋回火炎が発生する。また既燃焼ガスは、旋回しながら開口103から外部に排出される。
【0004】
旋回燃焼器101は、開口103から大気中に直接的に混合ガスを噴射させる通常の燃焼方式に比べて、格段に高い空間発熱率を発揮する。そのため給湯器等の装置の小形化が可能である。また旋回燃焼器101は、強い旋回流を利用して燃焼を行うので、燃料を希薄な状態で燃焼させることができる。そのため火炎の温度を低下させることが可能であり、排出されるNOx (窒素酸化物)の低減が可能である。さらに通常の燃焼器に比べて燃焼量絞り比(T.D.R)を広くとることができるという利点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
旋回燃焼器101は、前記した様に、通常の燃焼方式に比べて、格段に高い空間発熱率を発揮する。しかしながら産業界においては、さらに高い空間発熱率を求める声がある。また燃焼によるNOx の発生を現状よりもさらに抑制したいという産業上の要求がある。さらに常に安定して燃料を完全燃焼し、NOx を低減するために、燃料の濃度や流量を規定する燃焼量制御手段が必要とされている。 そこで本発明は、これらの要求に応えるため、旋回燃焼器に改良を加え、より高い空間発熱率を発揮すると共に、NOx の発生がより少ない旋回燃焼器の提供を課題とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記した様に、産業界にはNOx の発生を、現状よりもさらに抑制したいという要求がある。そこで本発明者は、NOx が発生する原理に立ち返って検討を行なった。燃焼装置においてNOx が発生するのは、火炎において空気中の窒素と酸素が燃焼反応を通して結合するためである。ここで従来から行なわれていた、NOx を低減するための方策は、燃料を希薄な状態で燃焼させて火炎の温度を低下させ、NOx 生成反応を抑制するものである。
その結果、NOx の発生は少ないものとなったが、薄い混合ガスを使用するため、燃焼室内の単位空間当たりの燃焼反応による熱発生率が減少し、旋回燃焼器の本来の特質たる高空間発熱率を十分に発揮することができないという弊害が生じていた。
【0007】
すなわち従来技術の旋回燃焼器では、混合ガス中の燃料濃度が低いが故に、急激な発熱を伴う燃焼反応は旋回火炎面でほぼ完了して、旋回燃焼器の中心部分からは熱が発生していない。
そこで本発明者らは、旋回燃焼器の中心に近い部分からも熱を発生させ、空間発熱率を向上させることを考えた。またNOx については、従来とは異なる原理に基づいて低減を図ることとした。
【0008】
そして上記した構想に基づいて完成された請求項1に記載の発明は、一端が開放された燃焼室を有し、該燃焼室内に空気と燃料を所定の割合で混合した第1混合ガスを噴射して燃焼室内で混合ガスの旋回流を発生させ、さらに燃焼室の内壁を離れた位置に、空気と燃料とを先の第1混合ガスとは異なる割合で混合した第2混合ガスおよび燃料を全く含まない空気が噴射されることを特徴とする旋回燃焼器である。
【0009】
本発明の旋回燃焼器では、燃焼室の中心側に、前記第2混合ガスが噴射される。そのため旋回流の中心部においても火炎が発生し、発熱する。
また第2混合ガスは、旋回火炎に巻き込まれて燃焼するので、第2混合ガスは既燃ガス成分たるCO2 ,H2 O等とも混合しながら燃焼することとなる。そのため第2混合ガスの燃焼領域においては既燃成分の希釈により火炎温度が低下する。すなわち本発明の旋回燃焼器では、旋回火炎又は燃焼ガスに含まれる既燃ガス成分の希釈効果により、第2混合ガスの燃焼反応によるNOx の生成が著しく減少する。つまり既燃ガスのEGR効果(Exhaust Gas Recirculation) によってNOx の生成量を顕著に減少することができる。
さらに、第2混合ガスは第1混合ガスの燃焼により発生する既燃ガスに比べ低温であるため密度が既燃ガスよりも高く、この密度差と既燃ガスの持つ旋回力に起因して第2混合ガスと既燃ガスの混合が促進され効果的に燃焼される。
【0010】
請求項に記載の発明は、一端が開放された燃焼室を有し、該燃焼室内に空気と燃料を所定の割合で混合した第1混合ガスを噴射して燃焼室内で混合ガスの旋回流を発生させ、さらに燃焼室の内壁を離れた位置に、空気と燃料とを先の第1混合ガスとは異なる割合で混合した第2混合ガスおよび前記2種の混合ガスよりも燃料濃度の低い低濃度ガスが噴射される旋回燃焼器であって、前記低濃度ガスは旋回流の中心部に向かって噴射され、第2混合ガスはその周囲から噴射されることを特徴とする旋回燃焼器である。
【0011】
第1混合ガスの燃焼により発生した既燃ガスの旋回流の中心部は旋回力が弱いため、第2混合ガスと既燃ガスは旋回流の中心部では混合が不十分であり、燃料ガスの燃焼は不完全となりやすい。しかし旋回流の中心部に向かって低濃度ガスを噴射すると、旋回力の弱い旋回流の中心部分においても低濃度ガスの噴射力により既燃ガスと第2混合ガスの混合が促進され、燃料ガスが完全燃焼される。
【0012】
請求項に記載の発明は、一端が開放された燃焼室を有し、該燃焼室内に空気と燃料を所定の割合で混合した第1混合ガスを噴射して燃焼室内で混合ガスの旋回流を発生させ、さらに燃焼室の内壁を離れた位置に、空気と燃料とを先の第1混合ガスとは異なる割合で混合した第2混合ガスおよび前記2種の混合ガスよりも燃料濃度の低い低濃度ガスが噴射される旋回燃焼器であって、前記旋回流の中心部に、旋回流によって生じる負圧領域の一部または全部を占める占居物が設けられ、前記低濃度ガスは当該占居物の頂部又はその近傍から噴射されることを特徴とする旋回燃焼器である。
【0013】
前述した請求項1又は2に記載の構成によれば、一定空間での熱発生率を増加させると同時に、既燃ガスの希釈効果によってNOx 生成量を低減することができた。しかしながら、既燃ガスの旋回流の勢いが強い場合では、燃焼室の下流から循環流による逆流が生じ、その逆流の影響を受けて、第2混合ガスが燃焼して形成した拡散火炎は不安定になりやすく、更に燃焼室内の燃焼場全体が不安定となるという問題点が生じた。請求項に記載の発明は、この問題に対処するものであり、燃焼室内の旋回流の中心部に、旋回流によって生じる負圧領域の一部または全部を占める占拠物が設けられているので、燃焼室の半径方向の圧力勾配を小さくすることができ、旋回火炎面が燃焼室内で半径方向の圧力勾配の影響で収縮することが防止されて逆流が阻止され、旋回火炎が安定する。
【0014】
また低濃度ガスが当該占拠物の頂部またはその近傍から噴射されるため、既燃ガスの旋回流の中心近傍に低濃度ガスが噴射され、既燃ガスと第2混合ガスの混合が促進され、燃料ガスは完全燃焼される。また、占拠物近傍は高温であるが、低濃度ガスにより占拠物およびその近傍が冷却されるため占拠物の耐熱性の向上およびNOx の低減が図られる。
【0015】
請求項に記載の発明は、一端が開放された燃焼室を有し、該燃焼室内に空気と燃料を所定の割合で混合した第1混合ガスを噴射して燃焼室内で混合ガスの旋回流を発生させ、さらに燃焼室の内壁を離れた位置に、空気と燃料とを先の第1混合ガスとは異なる割合で混合した第2混合ガスおよび前記2種の混合ガスよりも燃料濃度の低い低濃度ガスが噴射される旋回燃焼器であって、前記第1混合ガスと第2混合ガスと低濃度ガスは、空気の総量及び空気の分配比が一定であり、低濃度ガスの燃料の量が一定であり、第1混合ガスあるいは第2混合ガスのいずれか一方の混合ガスの燃料の量が一定であることを特徴とする旋回燃焼器である。
【0016】
本発明によれば燃焼器の正常燃焼範囲内において燃焼器に要求される燃焼量に応じた濃度または流量で燃料ガスを供給できるため、常に安定して燃料を完全燃焼し、NOx の排出量を低減することができる。
【0017】
請求項2乃至4のいずれかに記載の旋回燃焼器において、低濃度ガスには燃料が全く含まれていなくてもよい。(請求項5)
【0018】
上記した各旋回燃焼器において、第2混合ガスは第1混合ガスよりも燃料濃度が高いものであってもよい。また、上記した各旋回燃焼器において、第1混合ガスは空気過剰率が1以上のものであり、第2混合ガスは空気過剰率が0以上1未満のものであってもよい。
【0019】
ここで空気過剰率とは燃料ガス中に含まれる空気の割合を示すものである。空気過剰率が1.0であればガス中に当該燃料がちょうど完全燃焼し得るだけの空気が含有されており、1.0未満のときはガス中に含まれる空気量が完全燃焼するのに必要な量より少ない。また、空気過剰率が1.0より大きい場合はガスの完全燃焼に必要な空気量以上の空気が含有されている場合である。よって高濃度ガスは、燃料そのもの、あるいは空気が不足した状態の混合ガスである。
【0020】
本発明者の実験によると、第1混合ガスの燃焼により発生した既燃ガスの旋回流の中に空気が不足状態の第2混合ガスを噴射すると、NOx の発生量が減少した。この理由として、第2混合ガスが燃焼して還元成分を発生しその還元成分により形成された還元性雰囲気において旋回火炎で生成したNOx を還元し、NOx 排出濃度を減少させたことが考えられる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下さらに本発明の実施形態について説明する。
(第1実施形態)
図1は本実施形態における旋回燃焼器の概念図である。
図1において1は本実施形態の旋回燃焼器であり、旋回燃焼器1は円筒形の外周壁2を有し、その内部に円筒状の内周壁3が設置されており、外周壁2の底板4の中央部に貫通孔が設けられ高濃度ガス供給口5を形成している。また、高濃度ガス供給口5と略同心でパイプが挿通され低濃度ガス供給管6が形成されている。
【0022】
順次説明すると、外周壁2と内周壁3は共に円筒形であり外周壁2の内側に内周壁3が同心状に配されている。また、両者の先端側はフランジ7によって閉塞されており、内部に混合ガス供給部8が形成されている。内周壁4には母線方向および円周方向に等間隔で図1に示すように内周壁3が切り起こされた炎孔9が複数設けられている。内周壁3のガス上流側の端部には底板4が設けられ、内周壁3と底板4により燃焼室10を形成している。また底板4の中心には図1(b)のように外周壁2と同心円状に貫通孔11が設けられ高濃度ガス流入口5を構成している。さらに高濃度ガス流入口5と略同心で高濃度ガス流入口5より半径の小さな低濃度ガス供給管6が挿通されている。ただし、図1(c)のように貫通孔11に貫通孔11と同径の低濃度ガス供給管6が挿通され、底板4の低濃度ガス供給管6近傍に高濃度ガス供給口5が複数設けられた構造であってもよい。
【0023】
続いて本実施形態の旋回燃焼器1の作用について説明する。
本実施形態の旋回燃焼器1では濃度の異なる3種類のガスが使用される。すなわち本実施形態では過濃(高濃度)ガス、希薄(混合)ガス、低濃度ガス(空気)の3種類のガスが使用される。
ここで過濃(高濃度)ガスは空気過剰率が0以上1未満であり、特に本実施形態では空気量が燃焼可能範囲未満のガスが使用されている。また、希薄(混合)ガスは空気含有量が過濃(高濃度)ガスより多く、低濃度ガスは空気過剰率が少なくとも1を越えたガスであり本実施形態では特に燃料を全く含まない、すなわち空気が使用されている。
【0024】
まず、希薄(混合)ガスは混合ガス供給部8に供給され、内周壁3に複数設けられた炎孔9より接線方向に噴出して旋回流を発生し、内周壁3の接線方向に旋回火炎を形成する。希薄(混合)ガスは旋回火炎となって燃焼し、旋回火炎面の内部では高温の既燃ガスの旋回流が発生する。
そして本実施形態に特有の構成・作用として、燃焼室10の底板4に設けられた高濃度ガス供給口5から空気過剰率が1未満の過濃(高濃度)ガスが、また低濃度ガス供給管6より低濃度ガス(空気)がそれぞれ燃焼室7に噴射される。ここで高濃度ガス供給口5および低濃度ガス供給管6は、燃焼室10の底板4の略中央部に設けられているため、過濃(高濃度)ガスおよび低濃度ガス(空気)は、前記した旋回火炎の略中心部に、軸方向に噴射されることとなる。特に低濃度ガス(空気)は燃焼室10内の底板4より離れた位置へ噴射される。本実施例においては低濃度ガス供給管6が底板4より突き出しており、燃焼室10の中央部に当該低濃度ガス供給管6より低濃度ガス(空気)が噴射される。これは過濃(高濃度)ガスが既燃ガスと混合する以前に低濃度ガス(空気)と混合し、高温の火炎を伴い多量のNOx が排出しながら燃焼するのを防止するためである。
【0025】
旋回火炎の中心部に噴射された過濃(高濃度)ガスは、温度が低いためにその密度が旋回流中の高温既燃ガスの密度より大きい。そのため過濃(高濃度)ガスは、燃焼室10の中心部から外周方向へ旋回しながら密度差によって拡散する。また旋回流の中心付近においては旋回火炎に起因する旋回力は非常に弱く、当該旋回流のみでは既燃ガスと過濃(高濃度)ガスの混合は不十分であるが、低濃度ガス供給管6より低濃度ガス(空気)が旋回流の中心付近に噴射されるため、この近傍においても過濃(高濃度)ガスの拡散が促進される。過濃(高濃度)ガスは密度差に起因する拡散効果に加えて低濃度ガス(空気)の噴射に起因する拡散効果が生じることによって、既燃ガスの成分と速やかに混合しながら燃焼する。
【0026】
ここで過濃(高濃度)ガスの燃焼においては希薄(混合)ガスが燃焼して生成した既燃ガスに、酸素が多く残留しているため、過濃(高濃度)ガスの濃度及び流量を適当に制御することによって、過濃(高濃度)ガスは完全燃焼し、未燃成分の発生が非常に少ない。すなわち本実施形態の旋回燃焼器1においては、希薄(混合)ガスから発生した既燃ガスに残留する酸素によって過濃(高濃度)ガスが完全燃焼される。図2は第1実施形態および従来の旋回燃焼器における未燃成分の排出限界を示すグラフであり、従来の燃焼器に比べて本実施形態の旋回燃焼器の方が旋回燃焼器1の過濃側(高濃度側)及び希薄側(混合ガス側)において未燃成分の排出限界領域は広い。すなわち本実施形態の旋回燃焼器の方が従来に比べて未燃成分の発生が非常に少なく、設定可能な燃焼条件の範囲が広い。
本実施形態の旋回燃焼器1は、過濃(高濃度)ガスを噴射しない従来の場合と比べて、限られた燃焼室10の空間内でより多くの燃料を完全燃焼させることができ、単位時間・単位空間の熱発生量の増加によって、同熱発生量の燃焼器をよりコンパクトにすることができる。
【0027】
また実験によると、本実施形態の旋回燃焼器1は、NOx の発生量が少ないものであることが分かった。この理由は、本実施形態の旋回燃焼器1においては、過濃(高濃度)ガスは、旋回流の中で拡散効果によって残留酸素以外の既燃ガス成分CO2 ,H2 Oなどとも混合しながら燃焼するため、これらの既燃ガス成分の希釈効果によりその燃焼反応によるNOx の生成が抑制されるからであると予想される。つまり既燃ガスのEGR効果によってNOx の生成量を顕著に減少することができたと考えられる。
また本実施形態の旋回燃焼器では、一旦旋回火炎において生成されたNOx が、過濃(高濃度)ガスの燃焼によって形成された還元性雰囲気において窒素と酸素に還元されるのではないかと予想される。
【0028】
また本実施形態では、過濃(高濃度)ガスは空気混入率が低く、混合された空気量は燃焼可能範囲未満である。このように過濃(高濃度)ガスの濃度を高く設定した理由は、逆火を防止するためである。すなわち燃焼室10の底板4付近は高温の既燃ガスにさらされて加熱されるので、過濃(高濃度)ガスの流量が小さい時に、上流への逆火が発生しやすい。そこで本実施形態では、過濃(高濃度)ガスの空気過剰率を通常条件で燃焼可能範囲の空気過剰率よりも小さくすることによって、その逆火を防ぐこととした。
【0029】
(第2実施形態)
前記した第1実施形態の旋回燃焼器1は希薄(混合)ガスを燃焼させて発生する既燃ガスの旋回流の空間に向かって過濃(高濃度)ガスを高濃度ガス供給口5より、また低濃度ガス(空気)を低濃度ガス供給口6より燃焼室10内に噴出する。よって上記の旋回燃焼器は過濃(高濃度)ガスと既燃ガスの密度差から生じる拡散効果によって過濃(高濃度)ガスと既燃ガスを十分に混合させ、低濃度ガス(空気)を噴出させて追加燃焼させることで未燃成分の発生を抑制するものであり、同一体積空間での熱発生率を増加させると同時に、既燃ガスの希釈効果によってNOx 生成量を低減させることができた。
【0030】
しかし、燃焼量の多い条件下においては高濃度ガス供給口5より既燃ガスの旋回流中に供給される過濃(高濃度)ガスの流入量も多くなる。多量の過濃(高濃度)ガスを旋回流中に一度に供給すると既燃ガスの持つ旋回力では過濃(高濃度)ガスを既燃ガス中に速やかに混合することが困難となり、その結果完全燃焼ができず未燃成分が発生しやすくなってしまうという問題があった。さらに、既燃ガスの旋回流の旋回が強い場合に、燃焼室10の下流側から循環流による逆流が生じる場合があった。そしてその逆流の影響を受けて、過濃(高濃度)ガスが燃焼して形成した拡散火炎が不安定になりやすく、更に燃焼室10内の燃焼場全体が不安定となってしまうという問題も生じた。
そこで本発明の第2実施形態は過濃(高濃度)ガスと既燃ガスの混合をさらに促進し、不完全燃焼を防止すると同時に循環流による逆流を阻止するための改良がなされたものである。
【0031】
図3は本発明の第2実施形態の旋回燃焼器の縦断面図である。
図3の20は本実施形態の旋回燃焼器であり、旋回燃焼器20は前記実施形態の旋回燃焼器1とほぼ同様の構造を有するため共通する部分については前記と同様の番号を付し、これらの詳細の説明については省略する。
【0032】
本実施形態においては過濃(高濃度)ガスおよび低濃度ガス(空気)を燃焼室10内部に供給する部分が前記実施形態と大きく異なる。すなわち本実施形態では底板4と略同心で略円錐状の占拠物21が設けられている。占拠物21の表面には母線方向および平面断面の円周方向に等間隔で複数の高濃度ガス炎孔22が設けられている。また、占拠物21内部には占拠物21と略同心で両端が開口の低濃度ガス噴出管26が設けられている。低濃度ガス供給管26の燃焼室10側の端部と占拠物21のガス下流側の端部が接合され上端が閉塞された高濃度ガス噴出部27を構成しており、ガス上流側は底板4および後述する高濃度ガス室23を貫通し図示しない供給手段に接続される。
底板4の占拠物21直下には上部が開口していて図示しない高濃度ガス供給手段により内部に過濃(高濃度)ガスが供給される高濃度ガス室23が接合されており、底板4には占拠物21直下の高濃度ガス室と通じる高濃度ガス供給口24が設けられている。
【0033】
本実施形態においては低濃度ガス供給管25より燃焼室10内に低濃度ガス(空気)が噴射される。また、希薄(混合)ガスは混合ガス供給部8より内周壁3に設けられた炎孔9を通じて燃焼室10内に旋回噴射される。さらに過濃(高濃度)ガスは高濃度ガス室22より高濃度ガス供給口24を通じ占拠物21内部に供給され、高濃度ガス炎孔22より燃焼室10内部に噴射される。
【0034】
前記実施形態と同様に、過濃(高濃度)ガスと低濃度ガス(空気)の既燃ガスの密度の差と、希薄(混合)ガスが燃焼され発生する既燃ガスが持つ旋回力により過濃(高濃度)ガスと既燃ガスの混合が促進され燃焼される。前記旋回力は旋回の中心部、すなわち燃焼室10の中心部において旋回力が弱いため、この近傍においては過濃(高濃度)ガスと既燃ガスの混合が不十分である。しかし燃焼室10の中心部に占拠物21の中心部から低濃度ガス(空気)を供給すると、旋回の中心部においても過濃(高濃度)ガスと既燃ガスの混合が促進され燃焼される。また本実施例においては、過濃(高濃度)ガスは占拠物21の表面に複数設けられた高濃度ガス炎孔22より分散されて既燃ガスの旋回流中に噴射される。そのため過濃(高濃度)ガスの流量の多い場合、すなわち旋回燃焼器20の燃焼量が多い場合においても過濃(高濃度)ガスと既燃ガスは容易に混合され燃焼が促進される。
本実施形態においては、上記のように過濃(高濃度)ガスと既燃ガスは十分混合され完全燃焼されるため、前記第1実施形態と同様に未燃成分の発生が非常に少ない。よって本実施形態の旋回燃焼器は未燃成分の発生が少なく、設定可能な燃焼条件の範囲がさらに広い。
【0035】
また、過濃(高濃度)ガスは、旋回流の中で拡散効果によって残留酸素の以外の既燃ガス成分CO2 ,H2 Oなどとも混合しながら燃焼するため、これらの既燃ガス成分の希釈効果によりNOx の生成は少ない。さらに空気の供給による燃焼室10内の温度低下によってもNOx の生成が抑制される。
【0036】
本実施形態に特有の構成として、旋回流の中心であって負圧領域となるであろう部位に占拠物21が設けられている。そのため本実施形態の旋回燃焼器20では、旋回流の中心の負圧領域が消失し、または減少する。従って燃焼室10内の中心部分の圧力低下が緩和され、半径方向の圧力勾配は平坦に近づく。そのため火炎の逆流が無くなり、安定して燃焼する。
【0037】
また燃焼時においては、燃焼室10内の全体のガスは、下流に行くに従い、燃焼反応の進行と、それに伴う温度上昇のために体積流量が増大する。しかしながら、本実施形態の旋回燃焼器1では、燃焼室10の中心部に、下流に行くほど断面積が小さくなる略円錐形の占拠物21が設けられているので、燃焼室10の空間から占拠物21を除いたガスの流れる空間の半径方向の断面積は、下流に行くほど増大している。従って本実施形態の旋回燃焼器20では、ガスの体積増大が、ガス流路の拡大によって相殺され、燃焼室10内の全体のガスの線速度は、一定値に近づく。このため火炎面がさらに安定する。
【0038】
(第3実施形態)
前記した第2実施形態の旋回燃焼器は希薄(混合)ガスを燃焼させて発生する既燃ガスの旋回流の空間に向かって過濃(高濃度)ガスを占拠物21の表面に複数設けられた高濃度ガス炎孔22より分散して燃焼室10に噴出する。よって上記の旋回燃焼器は既燃ガスの旋回流において過濃(高濃度)ガスと既燃ガスの密度差から生じる拡散効果によって過濃(高濃度)ガスと既燃ガスを十分混合した後追加燃焼させることで未燃成分の発生を抑制するものであり、同一体積空間での熱発生率を増加させると同時に、既燃ガスの希釈効果によってNOx 生成量を低減させることができた。
また、占拠物21は下流に行くほど断面積が小さくなる略円錐形であるため
ガスの体積増大がガス流路の拡大によって相殺され、燃焼室10内の全体のガスの線速度は、一定値に近づき火炎面がさらに安定した。
しかし、旋回燃焼器20の燃焼能力が向上した分、燃焼量が増え、内部に配置された占拠物21は非常に高温の雰囲気下に晒される。ここで空気通路と直接接している占拠物21の先端部分は十分冷却されるが、占拠物21の下半分は赤熱しやすく耐久性に問題が生じるため、占拠物21には耐熱性の高い高価な材料を用いざるを得ないという問題が生じてきた。
そこで本発明の第3実施例は、旋回燃焼器20の燃焼能力を抑制することなく内部に配置される占拠物21がさらに冷却されるように改良がなされたものである。
【0039】
本実施例の旋回燃焼器は燃焼室10内部に設置される占拠物11以外は前記第2実施例と同様であるため、共通する部分については前記と同様の番号を付し、詳細の説明については省略する。
図4(a)は本実施形態において燃焼室10内部に配置される占拠物30の斜視図であり、図4(b)は図4(a)のA−A断面図である。占拠物30は高濃度ガス通路31と平面視が円弧状の連結部32の端部を接合し円錐状に形成されている。なお高濃度ガス通路31は平面視が略「D」字状でありガス下流側に向かうに従い断面積が小さくなり、頂部が封止された形状である。さらに高濃度ガス通路31には占拠物30の母線方向に等間隔に高濃度ガス流出孔33が設けられている。また、低濃度ガス通路34は高濃度ガス通路31と連結部32で構成される占拠物30の内部である。
【0040】
本実施形態の占拠物30は先の実施形態における旋回燃焼器20の占拠物21を代替するものである。以下順次説明すると、過濃(高濃度)ガスは高濃度ガス通路31を流れ高濃度ガス流出孔33を通じて燃焼室10内の既燃ガスの旋回流中に噴出される。低濃度ガス(空気)は通路34を通じて占拠物30の頂部より既燃ガスの旋回流のほぼ中央部に噴出される。
【0041】
本実施形態の占拠物30において連結部32は占拠物30の内部を流れる低温の低濃度ガス(空気)により直接冷却され、さらに高濃度ガス通路31は3面が低濃度ガス通路34に面しているため効率よく冷却される。そのため、内部を流れる低濃度ガス(空気)により占拠物30は全体が効率よく冷却され、高温の燃焼室10内部に配置しても高温とならないため従来のように耐熱性の高い高価な材料を用いなくてもよい。
【0042】
また、高濃度ガス流出孔33は高濃度ガス通路31に占拠物30の母線方向に等間隔に複数設けられているため、過濃(高濃度)ガスは流量が分散されて占拠物30の表面全体から既燃ガスの旋回流中に噴出される。そのため過濃(高濃度)ガスは旋回流中において容易に分散され、過濃(高濃度)ガスの流量の多い場合、すなわち旋回燃焼器20の燃焼量が多い場合においても過濃(高濃度)ガスと既燃ガスが十分混合され完全燃焼され、未燃成分の発生が非常に少ない。また、前記実施例と同様に過濃(高濃度)ガスの既燃ガスによる希釈効果によりNOx の発生量が抑制される。
【0043】
さらに本実施例の占拠物30は、前記第2実施例と同様に、旋回流の中心であって負圧領域となるであろう部位に占拠物30が設けられている。そのため燃焼室10内の半径方向の圧力勾配は平坦に近づくため火炎の逆流が無くなり、安定して燃焼する。
【0044】
また燃焼時においては、燃焼室10内の全体のガスは、下流に行くに従い体積流量が増大するが、本実施形態では燃焼室10の中心部に、下流に行くほど断面積が小さくなる略円錐形の占拠物30が設けられているので、下流に行くほどガス流路が拡大する。そのため前記第2実施例と同様に、燃焼室10内の全体のガスの線速度は一定値に近づき、火炎面がさらに安定する。
【0045】
図5に示した占拠物35は図4に示した第3実施形態の占拠物30の変形実施例である。占拠物35は中心に円筒状の低濃度ガス噴出管36が設けられる。低濃度ガス噴出管36の外周には高濃度ガス噴出管37が端部を低濃度ガス噴出管36に接合することにより取り付けられている。なお、高濃度ガス噴出管37は平面断面が「コ」字状で中空であり、当該平面断面がガス下流に向かって縮小し頂部が閉塞された形状の管である。
【0046】
低濃度ガス(空気)は低濃度ガス噴出管36内部を流れ、ガス下流側の開放端より燃焼室10内部に噴出される。また、過濃(高濃度)ガスは高濃度ガス噴出管37内部を流れ高濃度ガス噴出口38より燃焼室10内部に噴出される。
【0047】
図6に示した占拠物40は図4に示した第3実施形態の占拠物30のさらに別の変形実施例である。占拠物40は略円錐形で中空の外周部材42と外周部材42の内部に設置される中空の中子41とから構成されている。中子41は前記占拠物35と外形が同様である。さらに具体的には、中子41の外周面は略円錐の母線方向に平面断面が「コ」字状で当該平面断面がガス下流に向かって縮小し頂部が閉塞された形状の凸部43が複数設けられた形状をしている。占拠物40は前記中子41を外周部材42の内部に設置しガス下流側の端部を閉塞した形状であり、外周部材42の中子41の凹部44に相当する部分には母線方向に等間隔に高濃度ガス噴射口45が設けられる。中子41と外周部材42で構成される隙間により高濃度ガス通路46が構成される。
【0048】
低濃度ガス(空気)は中子41内部を流れ、ガス下流側の開放端より燃焼室10内部に噴出される。また、過濃(高濃度)ガスは高濃度ガス通路46内部を流れ高濃度ガス噴出口45より燃焼室10内部に噴出される。
【0049】
上記の占拠物35,40のような構造であっても、占拠物35,40の内部を流れる低濃度ガス(空気)により占拠物全体が冷却されるため、占拠物35,40が高温の燃焼室内に配置されても、占拠物35,40は全体にわたって高温にならない。そのため、占拠物の構成材料には従来のように耐熱性の高い高価な材料を用いなくてもよい。また、前記実施例と同様に高濃度ガス噴出口38,45が複数設けられているため、過濃(高濃度)ガスは旋回流中において容易に分散され、過濃(高濃度)ガスと既燃ガスが十分混合され完全燃焼され、未燃成分の発生が非常に少ない。また、過濃(高濃度)ガスの既燃ガスによる希釈効果によりNOx の発生量も抑制される。さらに占拠物の形状が略円錐形であるため、前記実施例と同様に燃焼室10内部の圧力勾配は平坦に近づくため火炎の逆流が無くなり、さらに下流に行くほどガス流路が拡大するため燃焼室10内の全体のガスの線速度は一定値に近づき、火炎面が安定する。
【0050】
続いて、前記第2実施形態の旋回燃焼器20を例にあげ、燃料ガスの濃度調整および旋回燃焼器20への燃料の供給方法による旋回燃焼器の制御について説明する。以下において、低濃度ガスは前記と同様に全く燃料を含まないガス、すなわち空気とする。
図7は旋回燃焼器20への燃料および空気の供給経路を示す概念図である。燃料および空気の供給手段は旋回燃焼器20の外部に配置される。燃料を供給するガス管50はガス第1分岐管51およびガス第2分岐管52に分岐される。一方空気を供給する空気管53は空気第1分岐管54、空気第2分岐管55および空気第3分岐管56に分岐される。空気第1分岐管54は低濃度ガス供給管25に接続され、空気第2分岐管55はガス管50に接続される。また、空気第3分岐管56はガス第2分岐管52に接続される。ガス第1分岐管54は高濃度ガス室23に接続され、ガス第2分岐管55は混合ガス供給部8に接続される。
【0051】
ガスの流れについて説明すると、燃料はガス管50およびその分岐管であるガス第1分岐管51、ガス第2分岐管52を通じて高濃度ガス室23あるいは混合ガス供給部8に流れ込む。また、空気は空気管53およびその分岐管である空気第1分岐管54、空気第2分岐管55、空気第3分岐管56を通じ低濃度ガス供給管25、高濃度ガス室23および混合ガス供給部8に流れ込む。さらに具体的には、過濃(高濃度)ガスはガス管50に接続された空気第2分岐管55より供給される空気がガス管を流れる燃料と混合の後、ガス第1分岐管54を通じ高濃度ガス室23に空気過剰率λR で流れ込む。また希薄(混合)ガスはガス第2分岐管55を流れる燃料に空気第3分岐管56より空気が混入し、空気過剰率λL の混合ガスとなって混合ガス供給部8に供給される。ここで希薄(混合)ガスの空気過剰率λL は過濃(高濃度)ガスの空気過剰率λR よりも大きい。さらに本実施形態においては低濃度ガスとして燃料を含まない空気が供給されるため、低濃度ガスは空気第1分岐管54が低濃度ガス供給管25に接続されることにより供給される。
【0052】
図8は前記の燃料供給方法により燃料が供給される旋回燃焼器20の運転条件を示すグラフである。図8において横軸は旋回燃焼器20に供給される燃料の総発熱量を示す燃焼量を示し、縦軸は空気過剰率を示す。λT はガス管50より供給される燃料の総量と空気管53から供給される空気の総量から求められる見かけの空気過剰率であり、各運転条件におけるλT の変化を運転設定条件とする。ある運転条件において、λT が運転上限の空気過剰率を超えると供給される燃料ガスが希薄となり燃焼が不安定で、未燃成分の濃度が高くなる。また逆にλT が運転下限の空気過剰率を下回ると燃料ガスの濃度が高くなりすぎて逆火が発生しやすく、NOx や未燃成分の発生が急増する。従って運転設定条件λT は運転上限と運転下限に挟まれる範囲内に設定する必要がある。
【0053】
図8中において外周火炎の燃焼条件の設定値をλL 、内周火炎の燃焼条件の設定値をλR とする。外周火炎に供給される希薄(混合)ガス中の燃料の量と内周火炎に供給される過濃(高濃度)ガス中の燃料の量の比率は常に一定に保たれる。λT は要求される燃焼量に応じて正常燃焼範囲内に設定され、λL およびλR は安定かつ完全燃焼可能であり、NOX 排出量が最小となるように決定される。
【0054】
図9は図8に示す燃料供給方法とは異なる燃料供給方法を図示したものである。なお前記と同様に、以下において低濃度ガスは全く燃料を含まないガス、すなわち空気とする。図8に示す燃料供給方法では空気と燃料の双方の流量を制御する必要がある。しかし、実際の使用にあたっては双方を一度に制御するのが困難であるという問題や双方の制御をできるようにするためにはコストがその分高くなるという問題があった。そこで、図9に示す燃料の供給方法は燃料の流量の調整によりガス流量および濃度を調整する方法を示したものである。
【0055】
図9に示す燃料供給方法においては、燃料および空気の供給手段は旋回燃焼器20の外部に配置される。燃料を供給する燃料管60は燃料第1分岐管61およびガス第2分岐管62に分岐される。一方空気を供給するエア管63はエア第1分岐管64、エア第2分岐管65およびエア第3分岐管66に分岐される。エア第1分岐管64は低濃度ガス供給管25に接続され、エア第2分岐管65は燃料第1分岐管61に接続される。また、エア第3分岐管66は燃料第2分岐管62に接続され、燃料第2分岐管62は混合ガス管68に接続される。また、混合ガス管68は混合ガス供給部8に接続される。燃料第1分岐管61は高濃度ガス管67に接続され、高濃度ガス管67は高濃度ガス室23に接続される。
【0056】
続いてガスの流れについて説明すると、燃料は燃料管およびその分岐管である燃料第1分岐管61、燃料第2分岐管62を通じて高濃度ガス室23あるいは混合ガス供給部8に流れ込む。また、空気はエア管63およびその分岐管であるエア第1分岐管64、エア第2分岐管65、エア第3分岐管66を通じ低濃度ガス供給管25、高濃度ガス室33および混合ガス供給部8に流れ込む。
さらに具体的には、過濃(高濃度)ガスは燃料第1分岐管61に接続されたエア第2分岐管65より供給される空気が燃料第1分岐管61を流れる燃料と混合の後、高濃度ガス管67を通じ高濃度ガス室23に空気過剰率λR で流れ込む。また希薄(混合)ガスは燃料第2分岐管62を流れる燃料にエア第3分岐管66より空気が混入し、空気過剰率λL の混合ガスとなって混合ガス管68を通じて混合ガス供給部8に供給される。ここで希薄(混合)ガスの空気過剰率λL は過濃(高濃度)ガスの空気過剰率λR よりも大きい。さらに本実施形態においては低濃度ガスとして燃料を含まない空気が供給されるため、低濃度ガス(空気)はエア第1分岐管64が低濃度ガス供給管25に接続されることにより供給される。また、燃料第1分岐管61の中途には流量が調整可能なように弁69が設けられている。
【0057】
上記の燃料供給方法においては旋回燃焼器20に供給される空気の総量および希薄(混合)ガスと低濃度ガスと過濃(高濃度)ガスに供給される空気の分配比率を一定にする。また、希薄(混合)ガスに供給される燃料の量を一定し、過濃(高濃度)ガスに供給される燃料の量のみを弁69で調整し旋回燃焼器20に供給される燃焼量の変化を調整する。このときの運転条件を図10,11に示す。図10は旋回火炎に供給される燃料の量、すなわち混合ガス供給部8に供給される燃料の量を一定に固定した場合の運転条件を図示したものである。なお、図中線Aは固定された旋回火炎の燃焼条件を示し、空気過剰率が1.0以上である。その際高濃度ガス炎孔22より噴射される過濃(高濃度)ガスの空気過剰率は線Aの空気過剰率より小さな値とする。要求される燃焼量に応じて、過濃(高濃度)ガスの空気過剰率は1.0を下回る。図11は旋回火炎に供給される空気過剰率が1.0を下回る場合(図中線B)である。この場合、高濃度ガス炎孔22より噴射されるガスの空気過剰率は点Bの空気過剰率よりも大きい。
【0058】
図9に示す燃料供給方法によれば、高濃度ガス炎孔22への燃料供給量を弁69の開度により変化させるだけで燃焼量を調整できる。そのため、本方法によれば空気量の調整が不要であり、燃料濃度、流量の調整が容易であり、最適な燃焼条件下において燃料の燃焼が可能であるため未燃成分の排出が少なく、NOx の発生も抑制できる。また、燃料の供給量の制御が困難な場合においても燃料の濃度および流量が制御できる。
【0059】
【発明の効果】
以上の通り、本発明の旋回燃焼器は従来のものに比べてより高い空間発熱率が得られる。また、本発明の旋回燃焼器によれば従来に比べNOx の排出量が低減される。
【0060】
請求項1および5に記載の旋回燃焼器は、燃料を全く含まない空気を噴射する構成とされているため、ガスの濃度調整が不要であり、ガスの供給手段が簡素化できる。
【0061】
請求項2に記載の旋回燃焼器では既燃ガスの旋回流の中心に低濃度ガスが噴射されるため、既燃ガスと低濃度ガスの周囲から噴射された高濃度ガスが旋回力の弱い中心部分においても十分混合される。そのため完全燃焼により燃焼することなく排出される未燃成分の発生が抑制される。また、低濃度ガスの噴射によりNOX の発生もさらに抑制される。
【0062】
請求項3に記載の旋回燃焼器では、既燃ガスの逆流を阻止することができ、旋回火炎が安定する効果が得られる。また、当該占拠物の頂部あるいはその近傍より噴射される低濃度ガスにより、既燃ガスと低濃度ガスの混合が不十分な旋回流の中心部分においても混合が促進される。
【0063】
請求項4に記載の燃焼量制御手段によれば内部火炎への燃料供給量の調整のみで容易に燃焼量を調整できる。そのため燃料の完全燃焼が可能であり、未燃成分およびNOx の排出量を最小限に抑制できる。また、当該燃焼量制御手段は旋回燃焼器に限らず燃料濃度、流量の調整が必要な場合に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)は本発明の第1実施形態の旋回燃焼器の概念図であり、(b)および(c)は(a)の高濃度ガス供給口5および低濃度ガス供給管6の斜視図である。
【図2】 本発明の第1実施形態の旋回燃焼器における未燃成分の排出限界を示すグラフである。
【図3】 本発明の第2実施形態の旋回燃焼器の概念図である。
【図4】 本発明の第3実施形態の旋回燃焼器に内蔵される占拠物であり、(a)はその概念図、(b)は(a)のA−A断面図である。
【図5】 本発明の第3実施形態の旋回燃焼器に内蔵される占拠物の変形実施例であり、(a)はその概念図、(b)は(a)のA−A断面図である。
【図6】 本発明の第3実施形態の旋回燃焼器に内蔵される占拠物のさらに別の変形実施例であり、(a)はその概念図、(b)は(a)のA−A断面図である。
【図7】 本発明の燃料供給方法を示す概念図である。
【図8】 図7における燃焼量制御手段を用いた旋回燃焼器20における燃焼量と空気過剰率の関係を示すグラフである。
【図9】 本発明のさらに別の燃料供給方法を示す概念図である。
【図10】 図9における燃焼量制御手段において、外周火炎の燃焼条件を空気過剰率1.0以上に固定した場合の燃焼量と空気過剰率の関係を示すグラフである。
【図11】 図9における燃焼量制御手段を用いた旋回燃焼器20において、外周火炎の燃焼条件を空気過剰率1.0以下に固定した場合の燃焼量と空気過剰率の関係を示すグラフである。
【図12】 従来の旋回燃焼器の概念図である。
【符号の説明】
1,20 旋回燃焼器
2 外周壁
3 内周壁
4 底板
5 高濃度ガス供給口
6 低濃度ガス供給口
7 フランジ
8 混合ガス供給部
9 炎孔
10 燃焼室
11 貫通孔
21,30,35,40 占拠物
22 高濃度ガス炎孔
23 高濃度ガス室
24 高濃度ガス供給口
25 低濃度ガス供給管
26 低濃度ガス噴出管
27 高濃度ガス噴出部
31 高濃度ガス通路
32 連結部
33 高濃度ガス流出口
34 低濃度ガス通路
36 低濃度ガス噴出管
37 高濃度ガス噴出管
38 高濃度ガス噴出口
41 中子
42 外周部材
43 凸部
44 凹部
45 高濃度ガス噴射口
46 高濃度ガス通路
50 ガス管
51 ガス第1分岐管
52 ガス第2分岐管
53 空気管
54 空気第1分岐管
55 空気第2分岐管
56 空気第3分岐管
60 燃料管
61 燃料第1分岐管
62 燃料第2分岐管
63 エア管
64 エア第1分岐管
65 エア第2分岐管
66 エア第3分岐管
67 高濃度ガス管
68 混合ガス管
69 弁

Claims (5)

  1. 一端が開放された燃焼室を有し、該燃焼室内に空気と燃料を所定の割合で混合した第1混合ガスを噴射して燃焼室内で混合ガスの旋回流を発生させ、さらに燃焼室の内壁を離れた位置に、空気と燃料とを先の第1混合ガスとは異なる割合で混合した第2混合ガスおよび燃料を全く含まない空気が噴射されることを特徴とする旋回燃焼器。
  2. 一端が開放された燃焼室を有し、該燃焼室内に空気と燃料を所定の割合で混合した第1混合ガスを噴射して燃焼室内で混合ガスの旋回流を発生させ、さらに燃焼室の内壁を離れた位置に、空気と燃料とを先の第1混合ガスとは異なる割合で混合した第2混合ガスおよび前記2種の混合ガスよりも燃料濃度の低い低濃度ガスが噴射される旋回燃焼器であって、前記低濃度ガスは旋回流の中心部に向かって噴射され、第2混合ガスはその周囲から噴射されることを特徴とする旋回燃焼器。
  3. 一端が開放された燃焼室を有し、該燃焼室内に空気と燃料を所定の割合で混合した第1混合ガスを噴射して燃焼室内で混合ガスの旋回流を発生させ、さらに燃焼室の内壁を離れた位置に、空気と燃料とを先の第1混合ガスとは異なる割合で混合した第2混合ガスおよび前記2種の混合ガスよりも燃料濃度の低い低濃度ガスが噴射される旋回燃焼器であって、前記旋回流の中心部に、旋回流によって生じる負圧領域の一部または全部を占める占居物が設けられ、前記低濃度ガスは当該占居物の頂部又はその近傍から噴射されることを特徴とする旋回燃焼器。
  4. 一端が開放された燃焼室を有し、該燃焼室内に空気と燃料を所定の割合で混合した第1混合ガスを噴射して燃焼室内で混合ガスの旋回流を発生させ、さらに燃焼室の内壁を離れた位置に、空気と燃料とを先の第1混合ガスとは異なる割合で混合した第2混合ガスおよび前記2種の混合ガスよりも燃料濃度の低い低濃度ガスが噴射される旋回燃焼器であって、前記第1混合ガスと第2混合ガスと低濃度ガスは、空気の総量及び空気の分配比が一定であり、低濃度ガスの燃料の量が一定であり、第1混合ガスあるいは第2混合ガスのいずれか一方の混合ガスの燃料の量が一定であることを特徴とする旋回燃焼器。
  5. 低濃度ガスには燃料が全く含まれていないことを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の旋回燃焼器。
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