JP3641971B2 - 貝類の中腸腺姿勢制御方法及び中腸腺除去吸引力制御方法、並びに貝類の中腸腺自動除去方法 - Google Patents

貝類の中腸腺姿勢制御方法及び中腸腺除去吸引力制御方法、並びに貝類の中腸腺自動除去方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の目的】
この発明は、貝類の剥き身から中腸腺部分を除去する作業を自動化する技術に関するものであり、特に、剥き身の大小や平置き姿勢に係らず中腸腺部分だけを正確且つ確実に除去することが可能となる新規な貝類の中腸腺姿勢制御方法、および新規な貝類の中腸腺除去吸引力制御方法、ならびに新規な構造からなる貝類の中腸腺自動除去装置を提供しようとするものである。
【0002】
【従来の技術】
我が国におけるホタテ貝の生産量は、栽培漁業の発展に伴って増加を続け、略年間を通して大量且つ比較的安価に生産され、国内外での消費拡大に大きく貢献してきているが、他方、海外におけるホタテ貝の増殖技術も近年益々向上していて、非常に安いホタテ貝が大量に輸入、供給されるようになってきていることから、市場での価格競争は激化の一途を辿り始めており、国内生産者においてもより一層の生産コストの削減を迫られるようになってきいる。
【0003】
ホタテ貝生産現場では、貝殻を取り除き、剥き身にした上、消化器官である中腸腺(うろ)部分をきれいに取り除き、可食部である閉殻筋(貝柱)部分を取り分ける作業に高度な熟練を要し、その作業技術の良否、即ち、閉殻筋部分に中腸腺部分の一部が付着、残存したままとなったり、誤って閉殻筋部分に傷を付けてしまえば、商品価値を著しく低下させ、品質に大きな差を生じてしまうため、高品質のホタテ貝を大量生産、出荷しようとすれば、熟練した多くの作業者を雇用しなければならないことととなるが、最近では若年層の作業者の確保が難しくなって技術の習熟、伝承が円滑になされず、生産性の高い若年層からの熟練作業者の補充に期待が掛けられない事情もあって、結局従来どおり限られた中年、高齢婦人層に頼らざるを得ないため、大量生産によるコスト削減には自ずと限界があり、望むような生産性の改善を進められないでいるのが現状となっている。
【0004】
こうした問題を解消するため、例えば、特開平5−176727号公報に示される中腸腺自動除去装置の開発、提案がなされており、貝類の剥き身の閉殻筋と中腸腺との境界線をカメラで撮影し、画像処理することによって座標データに変換し、ウォータージェットノズルを当該境界線に沿って移動するよう制御し、中腸腺を機械的に切除してしまおうとするものや、本願発明者自らの開発による、特許第2630925号公報に開示された中腸腺自動除去装置のように、剥き身を保持した保持回転装置を回転駆動させ、光学的検出器が中腸腺部分を検知すると同時に保持回転装置の駆動を停止し、続いて中腸腺部分の停止位置に対向して設けられた吸引ノズルが、予め設定された距離まで接近し、当該中腸腺部分だけを吸引、除去するよう構成したもの等があり、できるだけ人手に頼らず、大量の貝類を自動加工してしまおうとする試みがなされている。
【0005】
しかし、これら従前からの提案によるものでは、貝類の剥き身が保持回転装置に正確な姿勢で保持されなければ、光学的検出器が中腸腺部分を検知できなくなる虞れがあり、したがって、貝類の平置き作業をいかに正確に実施し得るかという点に課題を残したままとなっていて、実用性に欠けるといわざるを得ないものであり、また、固定された二点間を進退移動する吸引ノズルの接近距離も、中腸腺部分の形や大きさに応じて適正に維持されたものとなり難く、吸引ノズルの近接が不十分なために中腸腺部分を充分に除去できず、可食部側に取り残されてしまったり、あるいは接近し過ぎて閉殻筋の一部までをも吸引して傷つけてしまい、製品価値を損ねてしまう虞れがあるといった難点がある等、貝類を安定して高品質に加工処理するための手段、装置としては、更に改良の余地が残されたものであった。
【0006】
この発明は、以上のように、従前までの中腸腺自動除去装置では、貝類の剥き身から中腸腺部分のみを正確に除去することが困難であったという事情に鑑み、大量の剥き身から正確且つ効率的に中腸腺部分だけを除去できるようにした自動処理を実現化できないものかとの判断から、逸速くその開発、研究に着手し、長期に渡る試行錯誤と幾多の試作、実験とを繰り返してきた結果、今回、遂に新規な貝類の中腸腺姿勢制御方法、および新規な貝類の中腸腺除去吸引力制御方法、ならびに新規な構造からなる貝類の中腸腺自動除去装置を実現化することに成功したものであり、以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構成を詳述することとする。
【0007】
【発明の構成】
図面に示すこの発明を代表する実施例からも明確に理解されるように、この発明に包含される貝類の中腸腺姿勢制御方法は、基本的に次のような構成から成り立っている。
即ち、光信号を電気信号に変えるカメラにより、載置盤に平置き状に載置した貝の剥き身全体を撮像し、得られた画像信号に基づき、中腸腺部分の映像信号のみを選択して同中腸腺部分の重心位置を計算すると共に、載置盤の回転中心を原点とする平面座標上における当該重心位置を特定した上、該特定重心位置および予め設定してある平面座標上の定点の各ベクトルのなす角度を割り出し、剥き身の載置された載置盤、もしくは載置盤上に載置された剥き身を載置盤諸共、その角度に相当する回転移動角度分だけ回転駆動、停止させ、中腸腺重心位置を定点ベクトル上またはその延長線上に合致または略合致するようにして中腸腺の向きが常に所定方向に向くよう制御するものである。
【0008】
この基本的な構成の中腸腺姿勢制御方法を、他の記載表現によって示せば、略垂直な軸心回りに回転駆動する載置盤上に平置き状且つ仮固定可能に載置した貝の剥き身全体を、光信号を電気信号に変えるカメラによって撮像し、得られた画像信号に基づき、中腸腺部分の映像信号のみを選択して同中腸腺部分の重心位置を概略計算すると共に、載置盤の回転中心を原点とする平面座標上における当該重心位置を特定した上、該特定重心位置および予め設定してある平面座標上の定点の各ベクトルのなす角度を割り出し、剥き身を仮固定状にした後の載置盤、もしくは載置盤に仮固定状とした後の剥き身を同載置盤諸共、その角度に相当する回転移動角度分だけ回転駆動、停止させ、中腸腺重心位置を定点ベクトル上またはその延長線上に合致または略合致するようにして中腸腺の向きが常に所定方向に向くよう制御することを要旨とする貝類の中腸腺姿勢制御方法ということができる。
【0009】
そして、それら基本的な構成からなるこの発明の貝類の中腸腺姿勢制御方法は、より具体的には、略垂直な軸心回りに回転する載置盤上に平置き状、且つ抑え板で仮固定可能に載置した貝の剥き身全体を、電荷結合素子または撮像管等光信号を電気信号に変えるカメラによって撮像し、得られた画像信号に基づき、中腸腺部分の映像信号のみを抽出すると共に、映像上の中腸腺部分の平面形状縦横寸法から面積を概算する等適宜方式で凡その重心位置を計算すると共に、載置盤の回転中心を原点とする平面座標上における当該重心位置を特定した上、該特定重心位置および予め設定してある平面座標上の定点の各ベクトルのなす角度を割り出す一方、カメラ撮影した後の何れかの時点で、当該剥き身を、載置盤と抑え板との間に挟み込み仮固定してから、算出された角度に相当する回転移動角度分だけ回転駆動、停止させ、中腸腺重心位置を定点ベクトル上またはその延長線上に合致または略合致するようにして中腸腺の向きが常に所定方向に向くよう制御するようにした構成を要旨とするものである。
【0010】
この発明の中腸腺姿勢制御方法において、画像処理によって中腸腺部分の重心位置を計算、特定する方式としては、後述する実施例にも示すように、中腸腺部分の面積を計算して特定する方式に代表されるものの外、中腸腺部分の平面形縦横寸法の夫々の中間点を結ぶ交点位置に重心があるものと概算することも可能であり、また、中腸腺部分を縦横複数の、例えば単位正方形面積毎に分割して画像を仕切り、各単位面積毎の重心位置を算出し、更にこれら全ての単位正方形面積毎の重心位置に基づき、中腸腺部分全体の重心位置を算出するようにしたり、撮像された中腸腺部分の形状に近似した扇形や円形等を想定し、その図形の重心を中腸腺部分の重心位置と仮定して演算を進めるようにすることも可能になる等、電算機処理する上で都合の良いあらゆる方式の採用が可能であって、特にその方式が限定されるものでないことはいうまでもない。
【0011】
また、剥き身を載置盤の軸心を回転の中心として回転移動し、平置きした剥き身姿勢を所定の向きにする手段としては、載置盤自体を回転駆動して実施することが可能となる外、載置盤とは別体に設けられた駆動部を、剥き身上方から押さえ込むように当接、押圧状とするか、あるいは吸着して浮き上がり状にする等し、載置盤との間に押圧状とするか、浮き上がり状に保持する等して剥き身を一旦仮固定状にした上、載置盤上で当該剥き身だけを、あるいは載置盤諸共当該剥き身を、上記画像処理して得られた角度に応じた回転移動角度分だけ回転駆動、停止するようにした手段等によっても実現可能である。
【0012】
【関連する発明1】
上記した貝類の中腸腺姿勢制御方法に関連し、この発明には、貝類の剥き身から中腸腺部分だけを除去するのに必要となる貝類の中腸腺除去吸引力制御方法も包含しており、その構成の要旨とするところは、基本的に以下のとおりのものとなる。
即ち、光信号を電気信号に変えるカメラによって貝の剥き身全体を撮像し、得られた画像信号から中腸腺部分の映像信号のみを選択し、同中腸腺部分の大きさおよび重心位置を計算した上、これら計算値に基づいて吸引ノズルの吸引条件を決定し、剥き身の中腸腺部分に対峙させた吸引ノズルを前記吸引条件で作動するよう制御する貝類の中腸腺除去吸引力制御方法である。
【0013】
また、この貝類の中腸腺除去吸引力制御方法は、より具体的には、載置盤に平置き状に載置した貝の剥き身全体を、光信号を電気信号に変えるカメラによって撮像し、得られた画像信号に基づき、中腸腺部分の映像信号のみを抽出すると共に、同中腸腺部分の大きさおよび重心位置を概略計算し、それら得られた値を基にして、吸引圧力、吸引時間、ノズル径、ならびにノズルから中腸腺重心位置までの距離、あるいはノズル先端から中腸腺輪郭までの離反距離の何れか一つ、または何れか複数、あるいはそれら全ての吸引条件を決定した上、剥き身の中腸腺重心位置方向に対向状とした吸引ノズルを前記吸引条件で作動するよう制御する構成を要旨とするものであるいうことができる。
【0014】
そして、更に具体的な構成によるものとして示せば、この発明の貝類の中腸腺除去吸引力制御方法は、載置盤に平置き状に載置した貝の剥き身全体を、電荷結合素子または撮像管等光信号を電気信号に変えるカメラによって撮像し、得られた画像信号に基づき、中腸腺部分の映像信号のみを抽出すると共に、同中腸腺部分の大きさおよび面積を概略割り出し、概算で得られた重心位置を基に、少なくとも中腸腺部分に対向する吸引ノズルから中腸腺重心位置までの距離を、吸引、分離に好適な間隔寸法の加味された値として算出し、当該算出値に基づいて吸引ノズルを中腸腺重心位置に向けて進退移動させ、吸引ノズル先端から中腸腺輪郭までの離反距離を最適な条件下に制御するようにした方法を要旨とするものであるといえる。
【0015】
以上のとおりのこの発明の中腸腺除去吸引力制御方法においては、カメラの映像信号を演算処理し、その信号を受けて作動するようにする制御部が、吸引ノズルを各剥き身毎に好適な吸引条件で吸引するよう制御機能するようにしたものとしなければならず、例えば、吸引ノズルに接続され吸引力を発生させるコンプレッサーやポンプ等の出力を調整してその吸引圧力を調節したり、あるいはバルブの開閉速度や開度を調節して吸引力および吸引時間を制御するものとする外、吸引ノズル先端に、絞り込みが可能なシャッター構造を設け、吸引する中腸腺の大きさに応じて開口寸法を調節するよう構成したり、あるいはまた、後述する実施例にも示すように、吸引ノズルを中腸腺部分に進退移動させ、中腸腺部分の周囲をかすめて通過する空気量とその速度とが適切な状態に保持され、その吸引力としてできる限り最適な条件を実現し得るようにする中腸腺部分からの離反距離に可能な限り正確且つ迅速に移行し得るようにする等、閉殻筋(貝柱)部分からの中腸腺部分の吸引、分離のために必要となる吸引ノズルの各種条件に呼応して作動、制御するようにしたものとする。
【0016】
【関連する発明2】
一方、この発明には、先に示したこの発明の貝類の中腸腺姿勢制御方法と、上記した貝類の中腸腺除去吸引力制御方法とに関連し、それらの方法を使って実現される以下のような構成を要旨とする貝類の中腸腺自動除去装置も、関連する発明として含まれる。
即ち、光信号を電気信号に変えるカメラによって載置盤に平置き状に載置した貝の剥き身全体を撮像し、得られた画像信号に基づき、中腸腺部分の映像信号のみを選択して同中腸腺部分の大きさおよび重心位置を計算すると共に、載置盤の回転中心を原点とする平面座標上における当該重心位置を特定した上、該特定重心位置および吸引ノズル設置位置に対応して設定してある平面座標上の定点の各ベクトルのなす角度を割り出し、剥き身の載置された載置盤を、その角度に相当する回転移動角度分だけ回転駆動、停止させ、中腸腺重心位置方向に対向状とした吸引ノズルを、同中腸腺部分の大きさおよび重心位置に基づいて求められた吸引条件で作動させ、剥き身から中腸腺部分だけを吸引、分離することができるようにした構成を要旨とする貝類の中腸腺自動除去装置である。
【0017】
また、この基本的な構成の貝類の中腸腺自動除去装置を、より具体的な構成のものとして示せば、略垂直な軸心回りに回転する載置盤上に平置き状、且つ仮固定可能に載置した貝の剥き身全体を、光信号を電気信号に変えるカメラによって撮像し、得られた画像信号に基づき、中腸腺部分の映像信号のみを選択して同中腸腺部分の重心位置を概略計算すると共に、載置盤の回転中心を原点とする平面座標上における当該重心位置を特定した上、該特定重心位置および予め設定してある平面座標上の定点の各ベクトルのなす角度を割り出し、剥き身を仮固定状にした後の載置盤、もしくは載置盤に仮固定状とした後の剥き身を同載置盤諸共、その角度に相当する回転移動角度分だけ回転駆動、停止させて中腸腺重心位置を吸引ノズル方向に対向状とした上、概算で得られた中腸腺部分の重心位置を基に、少なくとも中腸腺部分に対向する吸引ノズルから中腸腺重心位置までの距離を、吸引、分離に好適な間隔寸法の加味された値として算出し、当該算出値に基づいて吸引ノズルを中腸腺重心位置に向けて進退移動させ、吸引ノズル先端から中腸腺輪郭までの離反距離を最適な条件下に保持した上、該吸引ノズルの吸引作動で中腸腺部分だけを剥き身から吸引、分離できるようにした構成を要旨にするものであるということもできる。
【0018】
更に具体的には、略垂直な軸心回りに回転可能であり、上面に貝の剥き身を載置可能に形成してなる載置盤を有し、載置盤を回転駆動するか、もしくは、載置盤上に載置した貝の剥き身を、同載置盤諸共回転駆動する回転駆動機構を設け、該載置盤の外周側適所には、載置盤回転中心方向への進退駆動用の進退駆動機構を組み込んだ吸引ノズルが設置されると共に、前記載置盤上に平置き状に載置した貝の剥き身全体を撮影可能な位置に、光信号を電気信号に変えるカメラを設置する一方、該カメラから出力した電気信号を演算処理し、前記各回転駆動機構および進退駆動機構を適宜駆動制御する制御部を設け、載置盤上に供給された剥き身の中腸腺部分を識別した電気信号で該制御部が作動することにより、剥き身を載置した載置盤、もしくは載置盤上に仮固定状に載置した剥き身を載置盤諸共回転駆動、停止して中腸腺重心位置を吸引ノズルに対向させると共に、吸引ノズルを、中腸腺部分の大きさおよび重心位置に相関して割り出された中腸腺重心位置からの最適な離反位置まで進退駆動してから、最適吸引条件で吸引作動させ、剥き身から中腸腺部分だけを吸引、分離できるように構成からなるした貝類の中腸腺自動除去装置となる。
【0019】
そして、上記までの構成を要旨とするこの発明に包含される貝類の中腸腺自動除去装置を、望ましい構成のものとして示すと、一個もしくは複数個の載置盤を有する投入皿を複数連結してなるベルトコンベア上流側の、各投入皿の載置盤上にある個々の剥き身全体を撮影可能な位置には、光信号を電気信号に変えるカメラを設置し、該カメラに撮影された剥き身を載置した載置盤が移動する先には、載置盤上に位置して同載置盤との間に剥き身を挟み込み仮固定し、載置盤と同期して回転可能な抑え板を設けると共に、載置盤および抑え板の少なくとも何れか一方に、剥き身を仮固定状のまま回転駆動する回転駆動機構を設け、さらに載置盤外周側適所には、載置盤上の剥き身に向けて進退駆動する進退駆動機構を有する吸引ノズルを設けた上、前記カメラから出力した電気信号を演算処理し、前記回転駆動機構および進退駆動機構を適宜駆動制御する制御部を設けたものとし、次々に供給される複数の剥き身をベルトコンベアを形成する個々の投入皿毎に個別に受け取り、載置盤上に平置き状に載置され、移送されてくる剥き身を順次カメラ撮影し、同カメラから出力された映像信号を演算処理して各剥き身中腸腺部分の大きさおよび重心位置を求めて、中腸腺重心位置を吸引ノズルに対向させるのに必要な剥き身の回転移動角度を算出すると共に、中腸腺部分を吸引、分離するに最適な中腸腺重心位置から吸引ノズルまでの距離を計算し、カメラ撮影後の適宜段階に抑え板で剥き身を仮固定状にした上、それら算出値に基づいて制御部を作動することにより、該当する剥き身を載置した載置盤および/または該当する剥き身を抑えた抑え板を回転駆動する回転駆動機構を制御すると共に、該当する中腸腺に対向する吸引ノズルを進退駆動する進退駆動機構を制御し、さらに最適な吸引条件下で吸引ノズルを吸引作動し、連続的に供給される複数の剥き身個々から自動的に中腸腺部分だけを吸引、分離することができるようにした構成を要旨とする貝類の中腸腺自動除去装置となる。
【0020】
カメラは、貝類の平面形状を光学的に撮像し、その画像信号を獲得する機能を果たすものであり、光信号を電気信号に変え得る機構、構造を有していなければならず、貝類の剥き身の閉殻筋、外套膜および中腸腺を識別するに充分な解像、解析力を備えた、例えば電荷結合素子や撮像管等、画像処理機能に秀れたカメラを採用したものとするのが望ましく、必要に応じて剥き身を照明するストロボ等の照明器具や、レンズや絞り等の光学系を用い、剥き身に焦点を合わせる自動焦点機構等を設けたものとすること等も当然可能であり、連続的に供給される貝類の剥き身を、コンベア等の移動機構で移動させたままか、それを間歇的に所定時間停止させ、その間に一個あるいは複数個まとめて撮像して個々の静止画像とした上、断続的に光信号を電気信号に変換して静止画像信号を出力するよう構成することができる外、動画像として撮像し、光信号を連続的に電気信号に変換して動画像信号を連続出力するよう構成したものとすることもできる。
【0021】
載置盤は、平置き状の貝類の剥き身を略水平状に載置、支持する機能を果たすものであり、剥き身の載置面を、載置された剥き身が不用意に傷付かない程度の平滑面状に形成し、また、中腸腺除去の対象となる貝類の剥き身を載置可能とするに足る平面寸法および形状に設定し、貝類の剥き身が簡単に落下してしまうことのない形状としなければならず、したがって、剥き身の落下を防ぐように載置面を皿状に僅かに湾曲させたり、剥き身を係止するための比較的滑らかな凹凸表面形状に形成されたものとする外、必要があれば、移動中の振動による移動を確実に阻止する目的等で、中央に吸引口を設けて剥き身を吸着、仮固定できるよう構成するようにしたり、また、中央部を中心として回転可能に支持する構造を付加するだけではなく、必要であれば所定単位角度毎に制御駆動可能な回転駆動機構を並設するようにしたもの、あるいは、昇降機構を組み込んでなるものとし、構造上の必要性等から、中腸腺部分を吸引する吸引ノズルの設置されている高さまで上昇移動可能な構造のものとする等、剥き身を載置するだけの機能ではなく、載置前後の処理に付随する適宜機構、構造の組み合わされたものとすることも選択、採用できる。
【0022】
投入皿は、その凹部の底に載置盤が組み込まれ、投げ入れられた剥き身を該載置盤上に自動的に誘導して載置状にすると共に、載置盤上に導いた剥き身が不用意に移動あるいは脱落しないよう保持する機能を果たすものであり、昇降自在且つ回転自在な載置盤の外周側を器状に包囲するよう構成しなければならず、載置盤を包囲する器状の部分を平滑壁面状に形成するのが望ましく、その他、複数の排水孔を設けたものとしたり、全体またはその一部を網状または籠状に形成して水切りを良くするようにしたものとすることができる外、複数個を所定間隔置きで横並び配列にしてベルトコンベア状に形成し、所定の速度で移動させ、剥き身を連続的に供給して所定の工程を連続して経由するように構成したものとすることもできる。
【0023】
ベルトコンベアは、複数個の貝類の剥き身を連続して移送する機能を果たすものであり、個々の剥き身夫々を平置き状の姿勢のまま移動するよう構成する必要があり、底部に載置盤を有する複数の投入皿を無端状に連結してなるものとすべきであり、所定間隔を隔てて設置された少なくとも一対の転輪間に巻掛けられ、例えば何れか一方の転輪を回転駆動することにより、一方向に送り移動するよう構成したものとすることが可能な外、合成樹脂や合成ゴム等の軟質素材を成型して、長手方向の等間隔毎に投入皿を一体的に形成した帯状のものとした上、その端部同士を連結して無端ベルト状に形成し、所定間隔を隔てた一対の転輪間に巻掛けたものとすることができる。
【0024】
抑え板は、載置盤上の貝類の剥き身を上方から抑え込む機能を果たすものであって、下方に移動して剥き身を押さえ込む動作、および上方に移動して押さえ込みを解除する動作を可能とする昇降駆動機構部を設ける必要がある上、抑え面を剥き身に傷を付けない程度の平滑面状に形成し、剥き身に損傷を与えない程度の押圧強度で押さえ込むよう構成することを必要とする外、必要に応じ、抑え面が剥き身に傷付けない程度の凹凸形状、あるいは俯けの皿形状のものとしたり、前記した載置盤の場合と同様に、中央部に剥き身を吸引して仮固定する吸引口の組み込まれたもの、あるいはまた、必要であれば、剥き身を押さえ込んだ状態で、載置盤諸共所定単位角度毎に回転駆動可能とする回転駆動機構を取り入れたもの等、仮固定に必要となる機構、構造に限らず、載置盤と同期して、あるいは独立して剥き身の姿勢を変更するために必要となる機構、構造までも組み込んでなるものとすることもできる。
【0025】
回転駆動機構は、載置盤に平置き状に載置した貝類の剥き身を、略垂直な軸心回りに回転駆動、停止して、画像処理によって得られた回転移動角度どおりに剥き身の中腸腺部分の向きを強制変更する機能を果たすものであり、載置盤および抑え板の双方を同期して回転駆動するよう設けるか、あるいは載置盤または抑え板の何れか一方を回転駆動するよう構成することが必要であり、制御部から出力された回転移動角度値に応じ、できるだけ正確且つ迅速に回転移動するよう構成すべきであり、必要があれば、回転軸または回転軸に一体に形成された部分に制動機構を組み込み、停止の際に強制的に制動し得るようにし、正確な位置決めに有利な構成を採用したものとすることもできる。
【0026】
吸引ノズルは、貝類の剥き身から中腸腺部分だけを吸引、除去する機能を果たすものであり、中腸腺部分を吸引するのに都合の良いノズル径であって、そのノズル口の形も、例えば円形、楕円形だけではなく、それらの形が更に中腸腺部分の輪郭に略添うよう湾曲させた形としたり、その他、吸引力を強めるために開発された都合の良い特別な形状のものに設定する等して、中腸腺部分を剥き身から分離するための吸引に際して十分な負圧が得られるような構造のものに形成する必要がある上、その吸引力や吸引時間、ノズル径、ならびにノズルから中腸腺部分の重心位置までの距離、またはノズル先端から中腸腺部分輪郭までの離反距離の何れか一つ、あるいはそれらの幾つかか、全ての吸引条件を満足する条件で作動、制御できるように形成すべきであり、例えば、後述の実施例にあるように、載置盤上に載置された剥き身の中腸腺部分に向けて進退移動可能とする進退移動機構部を組み込んでなるものとしたり、あるいは吸引力を変更可能なポンプ、コンプレッサー等を用いて吸引負圧の強弱を自在に制御することができるよう構成したものとすると極めて好都合のものとなる。
【0027】
吸引ノズルの進退駆動機構は、上記したとおり、吸引ノズルの先端を、剥き身および/または中腸腺部分の大きさ、形状に応じて最も好位置に望むよう、吸引ノズル自体を進退移動させる機能を果たすものであって、制御部から出力される信号に応じ、吸引ノズルを正確に進退駆動させることができるようにしたものでなければならず、例えば、サーボモーターやステップモーターの回転運動を、ラック・アンド・ピニオン機構やクランク機構等を用いて直線的往復運動に変換するよう構成したものとしたり、汎用モーターを用いて往復動を行うと共に、前進位置および後退位置の夫々に移動を制限する係止部を設け、リミットスイッチその他の手段を介して進退位置を夫々強制的に決定するよう構成したものとすることも可能であり、また、汎用モーターを前進の際に正転、後退の場合に逆転させ、各回転方向の夫々に所定時間駆動するものとし、さらに吸引ノズルの一部を挟持して進退移動の制動を行う制動機構を設け、前進および後退位置の夫々に強制的に制動するよう構成する等、各種公知の進退制御機構を採用したものとすることができることはいうまでもない。
【0028】
制御部は、カメラからの画像信号に基づき、中腸腺姿勢の変更および中腸腺の吸引を作動、制御する機能を果たすものであり、画像信号を処理する機能ならびに演算処理した出力信号により、各駆動機構を作動、制御することができるものでなければならず、例えば、カメラからの画像信号を、載置盤の回転中心を原点とする平面座標上に捕らえ、同座標上に剥き身の中腸腺部分の重心位置を特定し、原点と当該重心位置との間のベクトルと、原点と吸引ノズル位置との間のベクトルとのなす角度を割り出し、回転駆動機構を同角度分回転駆動するよう制御すると共に、同座標上の中腸腺部分の重心位置に基づき、吸引ノズルの吸引圧力、吸引時間、ノズル径、ならびにノズルから中腸腺重心位置までの距離、あるいはノズル先端から中腸腺輪郭までの離反距離等の吸引条件を全てあるいは幾つかを満足するよう制御可能に構成すべきであり、また、当該吸引ノズルの吸引口形状を中腸腺の輪郭形状に沿って湾曲拡開された形状に固定し、ノズル径を一定とした上、吸引力および吸引時間を一定に保ち、進退駆動機構を適宜進退駆動するよう制御したり、その反対にノズル径を信号によって変更可能なものにして吸引力を調節、制御するようにしたものとしてもよい。
【0029】
なお、載置盤上への貝類の剥き身の載置、供給手段については、作業者の手作業によって一つずつ載置盤上に載せるようにする外、所定速度で移動するようにした載置盤の軌道中途に自動供給装置を位置させ、その末端から自然落下方式、ハンドキャッチ方式、あるいは水平回動アーム等による払い落し方式等、公知あるいは今後開発されるであろう適宜手段によって機械的に平置き載置されるようにしたり、あるいは、剥き身をまとめて収容可能なホッパーの下端出口内に、適宜区分け機構を組み込み、当該出口から一個の剥き身だけが略水平状に落下するようにした自動居球装置を用意し、載置盤をその出口の下に間歇移動するようにして一個の剥き身を受け取るようにする等、適宜自動化した手段によっても実施することが可能であり、それら供給手段は、載置盤の移動機構に同期したものとしなければならないことはいうまでもない。
以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構造について詳述することとする。
【0030】
【実施例1】
図1の貝類の中腸腺自動除去装置の斜視図、図2の中腸腺自動除去装置のベルトコンベアを示す側面図、および図3の中腸腺自動除去装置の要部の縦断面図に示される事例は、ベルトコンベア13を用いて一度に大量の貝類の剥き身9,9,…から中腸腺部分91,91,……だけを連続的に除去できるように構成したものの、この発明の貝類の中腸腺自動除去装置における代表的な一実施例を示すものである。
【0031】
当該中腸腺自動除去装置は、左右に一個ずつの帆立貝の剥き身9,9を収容できる複数の投入皿12,12,……を連結して形成した無端状のベルトを、所定間隔を隔てた一対の転輪2,2間に巻き掛け、ベルトコンベア13を形成し、一方の転輪2に同軸となるよう固着した歯車21に対して駆動用モーターユニット22の出力を伝える歯車23を噛合して送り移動するよう構成し、器状に形成された各投入皿12の底部には、夫々二個ずつの載置盤1,1を昇降自在且つ回転自在に設け、送り移動するベルトコンベア13の上側に位置して連続する所定範囲に渡る合計五個の投入皿12,12,……の下側には、図示していないコンプレッサーからの圧縮空気が制御弁を介して供給され、合計十個の各載置盤1,1,……の下面中央に鉛直状に固着した回転軸部11,11,……の夫々を回転自在な状態のまま昇降駆動するエアシリンダー14,14,……を設け、また、同所定範囲に渡る五個の各投入皿12,12,……上には、各々に対応する十台の中腸腺除去部3,3,……を設置したものとする。
【0032】
そして、これら中腸腺除去部3,3,……よりもベルトコンベア13の移動方向の上流側であって、投入皿12,12,……上に投入された剥き身9,9,……を撮影可能な位置に二台の撮像部4,4を並列状に設置した上、当該撮像部4,4からの出力信号を夫々演算処理して後続状に配置する五台毎の中腸腺除去部3,3,……を夫々個別に制御する二台の制御部5,5を設け、また、ベルトコンベア13送り方向の撮像部4,4よりも上流側には、ベルトコンベア13の周囲を平面コ字形状に包囲し、その天面で貝類の剥き身9,9,……をベルトコンベア13に向かって滑降させる漏斗状の傾斜案内面15,15,15を形成し、更にまた、ベルトコンベア13の下側を迂回する復路範囲には、同ベルトコンベア13に所定水圧の洗浄液を吹き付け、連続的に洗浄する洗浄用ノズル16,16,……を設置したものとなっている。
【0033】
制御部5は、内蔵された電気回路、あるいはマイクロコンピュータおよびその計算プログラムから構成したものであって、ベルトコンベア13の往路部分を挟んで撮像部4の鉛直下方に位置させ、載置盤1が撮像部4の撮影位置に移動したことを検知する載置盤検知センサー51からの信号を受けて、ベルトコンベア13を駆動する駆動用モーターユニット22の駆動を停止し、撮像部4の撮影を実行した後、載置盤1を一個分移動させて再度撮像部4に撮影を実行させることを繰り返すと共に、これに続く一連の貝類の中腸腺姿勢制御および同中腸腺除去吸引力制御を後述する如く実行するよう構成したものとしている。
【0034】
なお、この実施例では、ベルトコンベア13を間歇的に停止させ、その間に各撮像部4,4で夫々一個ずつの剥き身9を撮影する方法を採用しているが、場合によっては、各撮像部4,4のカメラアングルを比較的広角のものとして夫々が複数個の剥き身9、9,……を同時に撮影して一括処理してしまうようにしたり、あるいは、各撮像部4,4を高速シャッター機構付きのもとし、ベルトコンベア13を間歇停止させることなく、定速連続移動させたままで一個あるいは複数個の剥き身9、あるいは9,9,……を撮影、処理できるようにする等、後述の構造の撮像部4との兼ね合いで、該制御部5において処理するベルトコンベア13や撮像部4等各部への制御プログラムの組替え、変更がなされることはいうまでもなく、それら機構の組替え、変更には、当然のことながら装置各部で不要(例えば、高速撮影方式によるとすれば、この実施例におけるベルトコンベア13間歇停止用の載置盤検知センサー51等が不要)、あるいは追加(例えば、同様の方式に代替するとすれば、撮影タイミングを計るための載置盤検知センサー等を追加)部分を伴うことになる。
【0035】
撮像部4は、電荷結合素子を有するカメラの外、図示を省略したストロボ等の照明装置部等の撮影効果を高めるための各種付属装置部からなり、貝類の剥き身9全体を撮影して得られた光信号を電気信号に変え、同出力信号を制御部5に入力するよう回路設定されており、出力信号の入力を受けた制御部5が自動的に画像処理すると共に、同演算処理によって得られた計算値に従って、該当する剥き身9の供給を受けた中腸腺除去部3毎に制御信号を出力すると共に、当該制御信号の出力に連携して図示しない増幅器を通じてベルトコンベア13の駆動用モーターユニット22の駆動を制御するよう構成している。
【0036】
前記十台の中腸腺除去部3,3,……は、夫々同一構造に形成されており、一台の構造について示せば、移動するベルトコンベア13投入皿12の一個の載置盤1の鉛直上方には、下端に抑え板31を固着し、載置盤1回転軸部11に同心状であって回転自在、且つ昇降自在な抑え軸部32を有し、当該抑え軸部32の中途部に、回転駆動用歯車33を設けると共に、抑え軸部32に平行状に隣接する位置には、パルスモーターの出力軸に、所定範囲に渡って抑え軸部32と一体となって上下移動する回転駆動用歯車33が、噛合可能な程度の上下幅に設定したスライド用歯車62を固着してなる回転駆動用モーター61を設け、回転駆動機構6を形成した上、抑え軸部32の上端には、比較的弱い圧力で抑え軸部32を昇降移動して、回転する剥き身9を抑え込む仮固定用エアシリンダー63を設け、さらに、当該仮固定用エアシリンダー63の上部には、同仮固定用エアシリンダー63の押圧用軸部を介して抑え軸部32を比較的強い圧力で押し下げ、中腸腺部分91の吸引の際に剥き身9を抑え込む固定用エアシリンダー75を設けており、各仮固定用エアシリンダー63、固定用エアシリンダー75および回転駆動用モーター61は、制御部5からの出力信号を図示しない増幅器を介して夫々受信し、駆動するようになっている。
【0037】
また、投入皿12から上昇された剥き身9に対向する外周側の特定位置には、進退駆動機構8を有すると共に、開閉弁72およびエアフィルター74を有する中腸腺回収タンク73を通じて真空ポンプ71を接続した吸引ノズル7を設け、当該吸引ノズル7は、ラック・アンド・ピニオン機構からなる進退駆動機構8を介してパルスモーターからなる進退駆動用モーター81に接続され、当該進退駆動用モーター81が、図示しない増幅器を介して供給される制御部5からの出力信号を受けて正、逆転駆動するよう構成されており、当該吸引ノズル7より僅か上方には、中腸腺部分91を除去した剥き身9に洗浄液を吹き付けて洗浄する洗浄用ノズル17を設けたものとしている。
【0038】
【作用】
以上のとおりの構成からなるこの発明の中腸腺自動除去装置は、図4の中腸腺自動除去のフローチャートに示されるとおり、ステップ1ないしステップ9の工程を踏んで貝類の中腸腺姿勢制御方法および同中腸腺除去吸引力制御方法を連続的に実行するものとなり、その工程は、先ず、中腸腺自動除去装置を起動させ、複数個の貝類の剥き身9,9,……を傾斜案内面15,15,15に供給すると、各剥き身剥き身9,9,……が移動を開始したベルトコンベア13の投入皿12,12,……に次々と載置状となり、撮像部4側へ向けて移動され、制御部5は、載置盤検知センサー51からの出力信号を受けて、載置盤1が撮像部4に移動してきたことを知ると、駆動用モーターユニット22への電力供給をカットして停止させ、連続的または断続的に撮影を実行している撮像部4からの図6の映像信号の平面図に示されるような映像信号を受け取り、その光信号の強弱あるいは色調の違いに基づいた濃淡画像データを、中腸腺部分91と閉殻筋部分92との識別に最適な閾値で2値化し、図7の中腸腺部分を含む抽出画像の平面図に示されるように、中腸腺部分91を含む画像を選択し、さらに中腸腺部分91の形状、大きさ、色等の情報に基づき、図8の中腸腺部分のみの画像を示す平面図に示されるように、外套膜部分93等の不要成分を除いた中腸腺部分91のみの信号を抽出した上、図9の中腸腺を載置盤回転軸を原点とする座標上に表した平面図に示すように、当該中腸腺部分91の縦横寸法L1,L2および載置盤1の回転軸部11を平面座標の原点とした場合の中腸腺部分91の重心位置までの距離L3をベクトルとして計算し、当該原点と吸引ノズル7とを結ぶ特定ベクトルを求めて、その間の開き角度θを算出し、また、得られた中腸腺部分91の大きさおよび重心位置に基づき、吸引ノズル7と中腸腺部分91との吸引に最適な離反距離を算出する。
【0039】
撮像部4の下側に移動された載置盤1上に、貝類の剥き身9が載置されていなかった場合には、制御部5が画像信号中に中腸腺部分91が存在しないことを確認し、当該載置盤1に対しての姿勢制御および吸引、除去制御の一切を実行せず、対応する抑え板31や吸引ノズル7は、次に供給されてくる貝類の剥き身9に備えて待機状態を維持することとなる。
【0040】
制御部5は、撮像部4からの画像信号を受け取った直後に、駆動用モーターユニット22への電力供給を開始し、再度ベルトコンベア13を送り移動させ、連続して5個分の投入皿12,12,……上の合計10個の剥き身9,9,……を断続的に移送すると共に、夫々の画像信号を取り込み、前記同様の演算処理を実行し、撮影開始からベルトコンベア13送り方向6個目の載置盤1が移動して来たことを知らせる載置盤検知センサー51,51からの信号を受信したときに、中腸腺除去部3,3,……下側に移動されている2列合計10個の載置盤1,1,……直下のエアシリンダー14を駆動して載置盤1,1,……を上昇させると共に、仮固定用エアシリンダー63を降下させ、抑え板31,31,……で各剥き身9,9,……を抑え込み、且つ、図11の剥き身の姿勢を制御して吸引、除去する状態の正面図に示すように、吸引ノズル7,7,……が位置する高さまで、上昇させる。
【0041】
と同時に、図10の剥き身の姿勢を制御する状態の平面図に示すように、回転駆動用モーター61,61,……を個々の演算処理によって得られた角度θ分回転駆動し、個々の剥き身9,9,……の中腸腺部分91,91,……を吸引ノズル7,7,……に対向させ、さらに、進退駆動用モーター81,81,……を駆動して、前記演算処理で得られた各剥き身9,9,……毎の最適離反距離となるよう、吸引ノズル7,7,……を各中腸腺部分91,91,……に向けて進退移動させ、且つ、固定用エアシリンダー75,75,……を駆動して、吸引に耐える力で各剥き身9,9,……の夫々を抑え込む。
【0042】
続いて、制御部5は、最適の離反距離まで移動した吸引ノズル7,7,……の各開閉弁72,72,……を開放し、各中腸腺部分91,91,……を吸引、除去し、除去した全ての中腸腺部分91,91,……が、一台の中腸腺回収タンク73に回収され、中腸腺部分91,91,……の吸引を終えた後に各開閉弁72,72,……を閉鎖して各吸引ノズル7,7,……を後退させる。その後、洗浄用ノズル17,17,……が、中腸腺部分91,91,……を除去された剥き身9,9,……に対して洗浄液を吹き付けて洗浄し、各載置盤1,1,……を降下すると共に、抑え板31を押圧する固定用エアシリンダー75,75,……の押圧力を解除した上、仮固定用エアシリンダー63,63,……を上昇させ、これに一体となっている抑え軸部32および抑え板31を上昇させてから、ベルトコンベア13を駆動して、中腸腺部分91,91,……を除去した各剥き身9,9,……を、各投入皿12,12,……と共にベルトコンベア13の下流側端に順次移送し、中腸腺自動除去装置から送出して行く一方、新たな2列、合計十個の剥き身9,9,……の夫々を次々に撮影し、演算処理して同様に中腸腺部分91,91,……を吸引、除去することとなり、剥き身9,9,……を送出した移送方向下流側のベルトコンベア13は、下側に回り込む復路途中に、洗浄用ノズル16,16,……から連続的に吹き付ける洗浄液によって洗浄され、再度上昇して往路へと移動することとなる。
【0043】
【効果】
以上のとおり、この発明の貝類の中腸腺姿勢制御方法によれば、大きさの異なる剥き身であっても、中腸腺部分を特定する位置に正確に対向するよう移動させることが可能となり、特定位置に配置された吸引ノズルに中腸腺の重心位置を確実に対向させることができることから、貝類の剥き身の姿勢制御が効率的に行えるようになるという秀れた特徴が得られ、また、この発明に包含される貝類の中腸腺除去吸引力制御方法によれば、剥き身の大小に拘らず、中腸腺部分の重心位置と吸引ノズルとの離反距離、あるいは中腸腺輪郭部分と吸引ノズルとの離反距離を最適の位置に制御することが可能となり、中腸腺部分の大きさにも対応して確実に吸引、除去することができ、正確且つ迅速な作業を実現して、中腸腺除去作業の作業効率を高めることができるという特徴を発揮するものである。
【0044】
さらに、この発明に包含される貝類の中腸腺自動除去装置によれば、前述のの中腸腺姿勢制御方法および同中腸腺除去吸引力制御方法を連続的且つ円滑に実施可能にすると共に、比較的簡潔な構造のものとして製造することが可能であって、故障も少なく管理、保安面で有利なものとなる上、比較的安価なものとして提供することをも可能にするものである上、全て(但し、剥き身の載置盤上への供給作業は、別途公知の手段か、今後開発されるであろう最適な手段あるいは専用の手段等を組み合わせる必要がある。)作業を自動化することができ、従前まで行われてきた手作業に比較して正確且つ効率的である上、作業工数を大幅に削減して製造コストを低減することができるという特徴に加え、何よりも中腸腺部分を完全に除去した極めて品質の良い閉殻筋だけの加工処理を確実に実施可能にして歩留まりを良くし、大いに経済効果を高めることができるようになるという秀れた特徴を得ることができるものとなる。
【0045】
特に、実施例に説明した貝類の中腸腺自動除去装置は、ベルトコンベア13に向けて複数の剥き身9,9,……を一度に供給することができ、順次移動する投入皿12,12,……上の剥き身9,9,……を撮像部4,4で撮影すると、制御部5が自動的に演算処理して、一度に十個の剥き身9,9,……の夫々を載置した載置盤1,1,……を姿勢制御すると共に、各吸引ノズル7,7,……を夫々進退駆動して、中腸腺部分91,91,……を夫々最適な距離から吸引、除去することができるので、多数の熟練作業者に匹敵する生産能力を発揮可能である上、装置を操作する作業者は、装置を起動した後に、剥き身9,9,……を傾斜案内面15,15,15からベルトコンベア13に向けて適宜供給するだけですむため、特別な熟練を必要とせず、生産コストを削減することができ、また吸引、除去された中腸腺部分91,91,……の全ては、中腸腺回収タンク73内に速やかに回収されるので、作業環境を衛生的に保つことができるという大きな利点が得られ、極めて実用性に富む装置とすることができる。
【0046】
叙述の如く、この発明の貝類の中腸腺姿勢制御方法及び中腸腺除去吸引力制御方法並びにそれ等を使用した中腸腺自動除去装置は、その新規な制御方法ならびに新規な装置構成によって所期の目的を遍く達成可能とするものであり、しかも貝類の中腸腺自動除去装置は比較的小型に製造することが可能であり、貝類の加工現場の片隅に設置するだけで、大勢の作業者を動員するのに匹敵する作業能力を発揮して、従前までの手作業によっては実現し得なかった大きな経済効果を基体することができるものとなることから、生産コストの削減と迅速な大量生産とが求められている水産加工食品業界、特に貝類の生産加工に従事または関連する人々に高く評価され、広く利用、普及していくものと予想される。
【図面の簡単な説明】
図面は、この発明の貝類の中腸腺姿勢制御方法および同中腸腺除去吸引力制御方法、ならびに貝類の中腸腺自動除去装置の技術的思想を具現化した代表的な実施例を示すものである。
【図1】貝類の中腸腺自動除去装置を示す斜視図である。
【図2】ベルトコンベアの構造を示す側面図である。
【図3】貝類の中腸腺自動除去装置の要部構造を縦断面化して示す正面図である。
【図4】貝類の中腸腺を除去する工程を示すフローチャートである。
【図5】カメラが貝類の剥き身を撮影する状態を示す正面図である。
【図6】カメラ撮影された画像を示す平面図である。
【図7】中腸腺部分を含む画像を抽出した状態を示す平面図である。
【図8】中腸腺部分のみを抽出した画像を示す平面図である。
【図9】中腸腺を載置盤回転軸を原点とする座標上に示す平面図である。
【図10】中腸腺の姿勢を制御する状態を示す平面図である。
【図11】中腸腺の姿勢を制御して吸引、除去する状態を示す正面図である。
【符号の説明】
1 載置盤
11 同 回転軸部
12 同 投入皿
13 同 ベルトコンベア
14 同 エアシリンダー
15 同 傾斜案内面
16 同 洗浄用ノズル
17 同 洗浄用ノズル
2 転輪
21 同 歯車
22 同 駆動用モーターユニット
23 同 歯車
3 中腸腺除去部
31 同 抑え板
32 同 抑え軸部
33 同 回転駆動用歯車
4 撮像部
5 制御部
51 同 載置盤検知センサー
6 回転駆動機構
61 同 回転駆動用モーター
62 同 スライド用歯車
63 同 仮固定用エアシリンダー
7 吸引ノズル
71 同 真空ポンプ
72 同 開閉弁
73 同 中腸腺回収タンク
74 同 エアフィルター
75 同 固定用エアシリンダー
8 進退駆動機構
81 同 進退駆動用モーター
9 剥き身
91 同 中腸腺部分
92 同 閉殻筋部分
93 同 外套膜部分

Claims (10)

  1. 光信号を電気信号に変えるカメラにより、載置盤に平置き状に載置した貝の剥き身全体を撮像し、得られた画像信号に基づき、中腸腺部分の映像信号のみを選択して同中腸腺部分の重心位置を計算すると共に、載置盤の回転中心を原点とする平面座標上における当該重心位置を特定した上、該特定重心位置および予め設定してある平面座標上の定点の各ベクトルのなす角度を割り出し、剥き身の載置された載置盤、もしくは載置盤上に載置された剥き身を載置盤諸共、その角度に相当する回転移動角度分だけ回転駆動、停止させ、中腸腺重心位置を定点ベクトル上またはその延長線上に合致または略合致するようにして中腸腺の向きが常に所定方向に向くよう制御することを特徴とする貝類の中腸腺姿勢制御方法。
  2. 略垂直な軸心回りに回転駆動する載置盤上に平置き状且つ仮固定可能に載置した貝の剥き身全体を、光信号を電気信号に変えるカメラによって撮像し、得られた画像信号に基づき、中腸腺部分の映像信号のみを選択して同中腸腺部分の重心位置を概略計算すると共に、載置盤の回転中心を原点とする平面座標上における当該重心位置を特定した上、該特定重心位置および予め設定してある平面座標上の定点の各ベクトルのなす角度を割り出し、剥き身を仮固定状にした後の載置盤、もしくは載置盤に仮固定状とした後の剥き身を同載置盤諸共、その角度に相当する回転移動角度分だけ回転駆動、停止させ、中腸腺重心位置を定点ベクトル上またはその延長線上に合致または略合致するようにして中腸腺の向きが常に所定方向に向くよう制御することを特徴とする貝類の中腸腺姿勢制御方法。
  3. 略垂直な軸心回りに回転する載置盤上に平置き状、且つ抑え板で仮固定可能に載置した貝の剥き身全体を、電荷結合素子または撮像管等光信号を電気信号に変えるカメラによって撮像し、得られた画像信号に基づき、中腸腺部分の映像信号のみを抽出すると共に、映像上の中腸腺部分の平面形状縦横寸法から面積を概算して凡その重心位置を計算すると共に、載置盤の回転中心を原点とする平面座標上における当該重心位置を特定した上、該特定重心位置および予め設定してある平面座標上の定点の各ベクトルのなす角度を割り出す一方、カメラ撮影した後の何れかの時点で、当該剥き身を、載置盤と抑え板との間に挟み込み仮固定してから、算出された角度に相当する回転移動角度分だけ回転駆動、停止させ、中腸腺重心位置を定点ベクトル上またはその延長線上に合致または略合致するようにして中腸腺の向きが常に所定方向に向くよう制御することを特徴とする貝類の中腸腺姿勢制御方法。
  4. 光信号を電気信号に変えるカメラによって貝の剥き身全体を撮像し、得られた画像信号から中腸腺部分の映像信号のみを選択し、同中腸腺部分の大きさおよび重心位置を計算した上、これら計算値に基づいて吸引ノズルの吸引条件を決定し、剥き身の中腸腺部分に対峙させた吸引ノズルを前記吸引条件で作動するよう制御してなることを特徴とする中腸腺除去吸引力制御方法。
  5. 載置盤に平置き状に載置した貝の剥き身全体を、光信号を電気信号に変えるカメラによって撮像し、得られた画像信号に基づき、中腸腺部分の映像信号のみを抽出すると共に、同中腸腺部分の大きさおよび重心位置を概略計算し、それら得られた値を基にして、吸引圧力、吸引時間、ノズル径、ならびにノズルから中腸腺重心位置までの距離、あるいはノズル先端から中腸腺輪郭までの離反距離の何れか一つ、または何れか複数、あるいはそれら全ての吸引条件を決定した上、剥き身の中腸腺重心位置方向に対向状とした吸引ノズルを前記吸引条件で作動するよう制御してなることを特徴とする貝類の中腸腺除去吸引力制御方法。
  6. 載置盤に平置き状に載置した貝の剥き身全体を、電荷結合素子または撮像管等光信号を電気信号に変えるカメラによって撮像し、得られた画像信号に基づき、中腸腺部分の映像信号のみを抽出すると共に、同中腸腺部分の大きさおよび面積を概略割り出し、概算で得られた重心位置を基に、少なくとも中腸腺部分に対向する吸引ノズルから中腸腺重心位置までの距離を、吸引、分離に好適な間隔寸法の加味された値として算出し、当該算出値に基づいて吸引ノズルを中腸腺重心位置に向けて進退移動させ、吸引ノズル先端から中腸腺輪郭までの離反距離を最適な条件下に制御することを特徴とする貝類の中腸腺除去吸引力制御方法。
  7. 光信号を電気信号に変えるカメラによって載置盤に平置き状に載置した貝の剥き身全体を撮像し、得られた画像信号に基づき、中腸腺部分の映像信号のみを選択して同中腸腺部分の大きさおよび重心位置を計算すると共に、載置盤の回転中心を原点とする平面座標上における当該重心位置を特定した上、該特定重心位置および吸引ノズル設置位置に対応して設定してある平面座標上の定点の各ベクトルのなす角度を割り出し、剥き身の載置された載置盤を、その角度に相当する回転移動角度分だけ回転駆動、停止させ、中腸腺重心位置方向に対向状とした吸引ノズルを、同中腸腺部分の大きさおよび重心位置に基づいて求められた吸引条件で作動させ、剥き身から中腸腺部分だけを吸引、分離するようにしたことを特徴とする貝類の中腸腺自動除去方法。
  8. 略垂直な軸心回りに回転する載置盤上に平置き状、且つ仮固定可能に載置した貝の剥き身全体を、光信号を電気信号に変えるカメラによって撮像し、得られた画像信号に基づき、中腸腺部分の映像信号のみを選択して同中腸腺部分の重心位置を概略計算すると共に、載置盤の回転中心を原点とする平面座標上における当該重心位置を特定した上、該特定重心位置および予め設定してある平面座標上の定点の各ベクトルのなす角度を割り出し、剥き身を仮固定状にした後の載置盤、もしくは載置盤に仮固定状とした後の剥き身を同載置盤諸共、その角度に相当する回転移動角度分だけ回転駆動、停止させて中腸腺重心位置を吸引ノズル方向に対向状とした上、概算で得られた中腸腺部分の重心位置を基に、少なくとも中腸腺部分に対向する吸引ノズルから中腸腺重心位置までの距離を、吸引、分離に好適な間隔寸法の加味された値として算出し、当該算出値に基づいて吸引ノズルを中腸腺重心位置に向けて進退移動させ、吸引ノズル先端から中腸腺輪郭までの離反距離を最適な条件下に保持した上、該吸引ノズルの吸引作動で中腸腺部分だけを剥き身から吸引、分離するようにしたことを特徴とする貝類の中腸腺自動除去方法。
  9. 略垂直な軸心回りに回転可能であり、上面に貝の剥き身を載置可能に形成してなる載置盤を有し、載置盤を回転駆動するか、もしくは、載置盤上に載置した貝の剥き身を、同載置盤諸共回転駆動する回転駆動機構を設け、該載置盤の外周側適所には、載置盤回転中心方向への進退駆動用の進退駆動機構を組み込んだ吸引ノズルが設置されると共に、前記載置盤上に平置き状に載置した貝の剥き身全体を撮影可能な位置に、光信号を電気信号に変えるカメラを設置する一方、該カメラから出力した電気信号を演算処理し、前記各回転駆動機構および進退駆動機構を適宜駆動制御する制御部を設け、載置盤上に供給された剥き身の中腸腺部分を識別した電気信号で該制御部が作動することにより、剥き身を載置した載置盤、もしくは載置盤上に仮固定状に載置した剥き身を載置盤諸共回転駆動、停止して中腸腺重心位置を吸引ノズルに対向させると共に、吸引ノズルを、中腸腺部分の大きさおよび重心位置に相関して割り出された中腸腺重心位置からの最適な離反位置まで進退駆動してから、最適吸引条件で吸引作動させ、剥き身から中腸腺部分だけを吸引、分離するようにしたことを特徴とする貝類の中腸腺自動除去方法。
  10. 一個もしくは複数個の載置盤を有する投入皿を複数連結してなるベルトコンベア上流側の、各投入皿の載置盤上にある個々の剥き身全体を撮影可能な位置には、光信号を電気信号に変えるカメラを設置し、該カメラに撮影された剥き身を載置した載置盤が移動する先には、載置盤上に位置して同載置盤との間に剥き身を挟み込み仮固定し、載置盤と同期して回転可能な抑え板を設けると共に、載置盤および抑え板の少なくとも何れか一方に、剥き身を仮固定状のまま回転駆動する回転駆動機構を設け、さらに載置盤外周側適所には、載置盤上の剥き身に向けて進退駆動する進退駆動機構を有する吸引ノズルを設けた上、前記カメラから出力した電気信号を演算処理し、前記回転駆動機構および進退駆動機構を適宜駆動制御する制御部を設けたものとし、次々に供給される複数の剥き身をベルトコンベアを形成する個々の投入皿毎に個別に受け取り、載置盤上に平置き状に載置され、移送されてくる剥き身を順次カメラ撮影し、同カメラから出力された映像信号を演算処理して各剥き身中腸腺部分の大きさおよび重心位置を求めて、中腸腺重心位置を吸引ノズルに対向させるのに必要な剥き身の回転移動角度を算出すると共に、中腸腺部分を吸引、分離するに最適な中腸腺重心位置から吸引ノズルまでの距離を計算し、カメラ撮影後の適宜段階に抑え板で剥き身を仮固定状にした上、それら算出値に基づいて制御部を作動することにより、該当する剥き身を載置した載置盤および/または該当する剥き身を抑えた抑え板を回転駆動する回転駆動機構を制御すると共に、該当する中腸腺に対向する吸引ノズルを進退駆動する進退駆動機構を制御し、さらに最適な吸引条件下で吸引ノズルを吸引作動し、連続的に供給される複数の剥き身個々から自動的に中腸腺部分だけを吸引、分離するようにしたことを特徴とする貝類の中腸腺自動除去方法。
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