JP3641791B2 - アマモ類育成用構成体 - Google Patents

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  • Cultivation Of Seaweed (AREA)

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、新しく造成された海岸付近の海底や、環境の悪化等により海草等が消滅した海底に、効率的にアマモ場を育成するために使用されるアマモ類育成用構成体に関するものである。アマモ類は、各地の内湾を中心とする沿岸域の水深0〜10mの砂泥海底に地下茎と根を張って繁茂しており、このアマモ類が単独で又は混在して群落を形成している所は、一般にアマモ場と呼ばれ、魚介類の産卵成育場として活用されているだけでなく、アマモ類が海底砂泥に地下茎と根を張って繁茂することから、海底の砂の移動を防止するのに役立ち、更に、アマモ類が海水や海底から栄養塩を吸収し懸濁物質の沈降を促すことから、海洋環境の浄化に役立っている。そのため、近年の埋立工事の増加により新しく造成された沿岸海底や往時の生活排水や工場排水による水質汚濁により海底植物の消滅した沿岸海底に、アマモ類を移植してアマモ場を育成し、海岸の環境の浄化と保全を図り、更に漁業生産性の向上を図ることが急務となっている。本発明は、このようなアマモ場の造成するにあたって、アマモ類の育成をより効率的に行うための新規なアマモ類育成用構成体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
アマモ類は、種子から発芽し生長する有性繁殖と、地下茎の分枝による栄養繁殖とを行うので、アマモ類の育成には、種子を採取して育成予定地に播種する方法と、自生しているアマモ場や造成した苗代からアマモ類の苗を採取し、育成予定地に移植する方法とがある。アマモ類を移植するには、これまで、海中で人手で一本一本海底に移植する方法や、アマモ類の苗をネットに直接結束して海底に敷設する方法や、アマモ類の苗に小石等を直接結束して海中に投下する方法や、アマモ類の苗をパイル(海底に差し込む棒状の木片、釘状の金属片等)に結束して海底に差し込み固定する方法が提案されてきたが、それぞれに問題があることから、本発明者は、特公平7−2063号公報に記載されたように、草丈10〜150cmのアマモ類の1株ごとに、その根茎部の全部又は1部を、海水中の重量で5〜400gの粘土又は粘土様物質で包み、一体化したことを特徴とするアマモ類移植用構成体、及び、それを利用したアマモ類の移植方法に係わる発明を完成した。
【0003】
一方、アマモ類の種子を育成予定地にそのまま播種するには、単に海底に種子を播くだけでは、種子が潮流等によって沖合に流されるおそれがあり、また、アマモ類は覆土しないと発芽しないので、海底を掘り起こして播種し覆土することが必要になる。海中でこのような作業を行うことは面倒であり、また、多くの人手が必要となるので、このような労力を軽減するために、地上の畑作で各種農作物のシードテープや種子入りマット等を使用すると類似した方法も提案されている。例えば、特開平2−97344号公報には、ロックウールからなる無機質繊維成形体に海草種子を抱持させて、それを碇体等により海底に着座させる方法が開示されており、また、特開昭63−141523号公報には、ロックウールマットにアマモ類の種子を播き、水槽内で発芽・育成した後、海底に移植する方法が開示されている。しかしながら、これらの方法では、ロックウールをしっかりと海底に固定しておかないと、潮流や暴風時の波浪によってアマモ類がロックウールマットごと剥離するおそれがあった。このような問題を解決するため、本発明者は、ロックウール等よりも自然に劣化し易いセルローステープを使用する方法等、種々検討した結果、砂と海水を混合した後、コロイダルシリカを混入して均一に混練して、海水とコロイダルシリカとを反応させてゲル化して得られた混合物に、アマモ種子を混合し分散させた培養砂壌を、船上から海中に投入して、又は、人手によって、海底にほぼ2cmの厚さに敷置する方法に係わる発明を完成し、特公平2−59683号公報に開示した。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、育成予定地に播種してからアマモ場の形成までに少なくとも1月程度の期間が必要であるが、既存のアマモ場や別途に造成した苗床から採取した苗を移植する方法は、移植後すぐにアマモ場としての効果が期待できるので、近くにアマモ類が天然に又は苗床に比較的多量に生育している場合には非常に有利な方法である。しかしながら、育成予定地が広く、それに必要とする量のアマモ類の苗が、既存の天然のアマモ場や苗床から調達できない場合は、アマモ類の苗を移植する方法ではなく、アマモ類の種子を育成予定地に播く方法をとることが必要になる。
【0005】
また、地上の畑等に作物の種子を播く場合は、畑を掘り起こして種子を播き覆土するが、海底に播種する場合には、作業が地上より面倒な水中で行われる上、掘り起こした砂泥が舞い上がって水が濁る等の問題も派生する。また、地上の畑作で使用されるシードテープや種子入りマット等は、そのままでは海中で使用することはできない。それは、一般にそれらの中に収納されている培養土や種子や肥料等の混合物は、海中では容易に水中に分散してしまうおそれがあり、また、播種後不要となったテープ等は、地上では容易に除去できるが、海中では困難になるだけでなく、それらが潮流や暴風時の波浪によって剥離し、折角育成した植物まで剥離するおそれがあるためである。前述の特開平2−97344号公報に開示された発明、及び、特開昭63−141523号公報において、ロックウールマットを使用する場合も、アマモ類の根や地下茎がロックウールの下の海底に達するまでに長期間を要し、それまでに潮流や暴風時の波油によって剥離し、それにともなって折角育成したアマモ類まで剥離するおそれがある。
【0006】
また、特公平2−59683号公報に開示されたコロイダルシリカを利用する方法は、それなりの効果がえられるが、新たに次のような改善すべき点があることがわかった。その一つは、アマモ類は、低い塩分濃度でも発芽し、河口付近等の塩分濃度の低い海域でも生育するが、コロイダルシリカは、塩分濃度が低い場合は充分にゲル化しないことであり、もう一つは、コロイダルシリカのゲル化によって発生した粘性は、必ずしも充分でなく、種子から発芽した幼苗が潮流等により容易に流されることであり、更に一つは、コロイダルシリカの特性が、その主成分である二酸化珪素の特性によって殆ど決定されるので、育成予定海域の塩分濃度等の条件に適合するよう微調整することが困難であることである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前述の課題を解決するため、当初、アマモ類の種子は土で被覆されないと発芽し難いことから、粘土等で被覆したアマモ類育成用積層物を製造して種々の試験を行ったところ、海底の柔らかい土壌と異なり硬い粘土で被覆した場合は、却って、その粘土で発芽が阻害されることを見いだした。そこで、更に、種々検討した結果、粘土の表面の2〜3mm程度の厚さの表層にアマモ類の種子が保持されている場合だけ、海底の柔らかい土壌に被覆されると、アマモ類の種子が発芽し、かつ、育成した幼苗も粘土で確実に把持され、潮流等に流されることないことを見いだして、本発明に到達した。
【0008】
本発明は、海水より比重の大きい粘土又は粘土様物質からなる塊の少なくとも上部の表層に10cm当たり1〜50個のアマモ類の種子を含有させたことを特徴とするアマモ類育成用構成体(以下「第1発明」という)、海水より比重の大きい粘土又は粘土様物質からなる塊が、断面の直径が1〜5cmのロープ状、又は、厚さが1〜3cmのリボン状であるを特徴とする第1発明に係わるアマモ類育成用構成体(以下「第2発明」という)、海水より比重の大きい粘土又は粘土様物質からなる塊を、アマモ類の種子が散布された床面を転圧し、又は、アマモ類の種子を、海水より比重の大きい粘土又は粘土様物質からなる塊の表面に散布し軽く押圧して、アマモ類の種子を表層に押し込み固着させたことを特徴とする第1発明又は第2発明に係わるアマモ類育成用構成体の製造方法(以下「第3発明」という)、海水より比重の大きい粘土又は粘土様物質の表層にアマモ類の種子を固着した後、更にその表面をゲル化したコロイダルシリカ等の糊状物質で被覆することを特徴とする第3発明に係わるアマモ類育成用構成体の製造方法(以下「第4発明」という)、海水より比重の大きい粘土又は粘土様物質に、10cm当たり4〜200個のアマモ類の種子を混合し、任意の形に成型したことを特徴とする第1発明又は第2発明に係わるアマモ類育成用構成体の製造方法(以下「第5発明」という)、海水より比重の大きい粘土又は粘土様物質の少なくとも上部に、粘土又は粘土様物質に10cm当たり4〜200個のアマモ類の種子を混合したものを圧着したことを特徴とする第1発明又は第2発明に係わるアマモ類育成用構成体の製造方法(以下「第6発明」という)、海底に、アマモ類育成用構成体を、そのまま着床させ、又は、埋設することを特徴とする第1発明に係わるアマモ類育成用構成体の使用方法(以下「第7発明」という)、および、船上等の海上から、ロープ状、又は、リボン状のアマモ類育成用構成体を、連続的に繰り出し、連鎖状に投入して、海底に着床させることを特徴とする第2発明に係わるアマモ類育成用構成体の使用方法(以下「第8発明」という)からなる。
【0009】
第1発明ないし第6発明で使用される粘土は、海水より比重が高く、アマモ類に害がなく、ある程度の型保持性と可塑性と粘性を有し、海水中で容易には分散しないものであれば、どのようなものでもよい。また、粘土様物質とは、このような特性を有する粘土以外の天然物質、合成組成物、合成化合物等をいう。その一例として、カオリン、タルク、サンキライト等の珪酸塩類を主体とする粘土鉱物の粉末に、水、糊、有機物、コロイド溶液、界面活性剤等を添加して、大気中及び水中において粘性や可塑性を発現させた合成組成物をあげることができる。このような合成組成物の長所は、含有成分の種類や組成率を変更することで、粘性や可塑性や比重等を、育成予定地の環境条件に適合するように調整することができることである。なお、種子の発芽や根等の成長を促進するため、この粘土又は粘土様物質(以下両者を総称して「粘土物質」という)に肥料や成長ホルモン等を混合してもよい。
【0010】
第1発明ないし第6発明で使用されるアマモ類の種子は、海産顕花植物の構成種で単子葉植物綱オモダカ目ヒルムシロ科、又は、トチカガミ科に属し、日本の沿岸では、アマモ、コアマモ、タチアマモ、オオアマモ、スゲアマモ、ウミヒルモ、ウミジグサ、マツバウミジグサ、ボウバアマモ、リュウキュウスガモ、ベニアマモ、リュウキュウアマモ、ウミショウブの13種からなり、各地の内湾を中心とする沿岸域の水深0〜10mの砂泥海底に根茎と髭根を張って繁茂し、帯状又は楕円形の葉を密生する植物の種子である。
【0011】
第1発明は、前述の粘土物質の塊の少なくとも上部の表層に10cm当たり1〜50個のアマモ類の種子を含有することを特徴とするアマモ類育成用構成体である。この塊の形状は、蒲鉾状、団子状、円盤状、短冊状、円錐台状、円柱状等の個々のものや、ロープ状やリボン状等の連続したもの等、どのような形状でもよい。また、この塊の大きさは、蒲鉾状等の個々のものでは、2〜200gであり、穏やかな海では小さくてよいが、潮流等の激しい海では大きい方がよい。また、アマモ類の種子は、少なくとも上部の表層にあることが必要であるが、必ずしも、上部の表層だけに限定されず、側面の表層や底面の表層にあってもよいし、また、粘土物質の全体に混合されていてもよい。アマモ類の種子が発芽するのは、必ずしも、上部の種子だけが発芽するのではなく、側面や底面にあるものでも、柔らかい海底の土壌に覆われている限り発芽する。また、表層とは、アマモ類の種子が、一部が露出していても、完全に粘土物質に保持され、かつ、粘土物質で2mm以上被覆されない範囲をいい、通常3mm程度である。アマモ類の種子の密度は、10cm当たり1〜50個であることが必要で、1個未満であると生育したアマモ類が疎らになり過ぎ、また、50個以上になると、必要以上に発芽し種子が無駄になる。最も好ましいのは、5〜15個の範囲である。
【0012】
第2発明は、第1発明のアマモ類育成用構成体において、粘土物質の塊の形状が、断面の直径が1〜5cmのロープ状、又は、厚さが1〜3cmのリボン状であることを特徴とするものである。このアマモ類育成用構成体は、船上等から連続的に海中に投入し敷設することを企図するものである。断面の形状は、必ずしも、円形に限定されず、矩形や台形であってもよい。断面がほぼ円形のロープ状の場合は、全周の表層にアマモ類の種子を固着させることによって、海底に着床させた際の捩じれ等でどの面が上になり、また、どの面が海底の土壌に接してもよいようにできる。従って、船上等から深い海底に敷設するに適している。このロープ状のものの太さは、断面の直径で、1〜5cmであることが必要で、粘土物質の粘弾性等の特性によっても異なるが、一般に、1cm未満では、引張強度が充分でなく、5cmを超えると、捲いたり延ばしたりする際に折れ易くなる。また、断面の形状が矩形や台形のリボン状で横幅が広く厚さが薄い場合は、捲いたり延ばしたりする際に折れ難く、上面を識別し易い。また、捩じれ難く、敷設後、潮流等の影響を受け難い。しかし、平らになるように、又は、上面が上になるように着床させることが必要になる。従って、海底への着床状況が監視できる浅い海底に敷設するに適している。このリボン状のもの幅は任意に定めることができるが、その厚さは、1〜3cmであることが必要で、粘土物質の粘弾性等の特性によっても異なるが、一般に、1cm未満では、引張強度が充分でなく、3cmを超えると、容易に捲いたり延ばしたりできるという特性が失われる。
【0013】
第3発明ないし第6発明は、第1発明、又は、第2発明に係わるアマモ類育成用構成体の製造方法に関するものである。第3発明は、粘土物質の塊を、アマモ類の種子が散布された床面を転圧し、又は、アマモ類の種子を、粘土物質の塊の表面に散布し軽く押圧して、アマモ類の種子を表層に押し込み固着させたことを特徴としている。第4発明は、アマモ類の種子を表層に押し込んだ後、更に、その表面をゲル化したコロイダルシリカ等の糊状物質で被覆することを特徴としている。このように糊状物質で被覆するのは、表層に単に押し込んだだけのアマモ類の種子が、運搬中に脱落するのを防止するためのである。従って、この糊状物質は、アマモ類育成用構成体が海底に着床した後、膨潤したり海水中に溶出したりして、アマモ類の種子の発芽や生育に支障を来さないことが必要である。このような目的のために使用しうる安価な物質として、コロイダルシリカをあげることができるが、必ずしもこれに限定されず、通常の澱粉糊や有機高分子糊等、他の糊状物質でもよい。
【0014】
第5発明は、粘土物質に、10cm当たり4〜200個のアマモ類の種子を混合し、任意の形に成型したことを特徴とするアマモ類育成用構成体の製造方法である。このような割合で粘土物質にアマモ類の種子を混合した場合、平均の厚さが2.5mmの表層のアマモ類の種子の密度は、ほぼ10cm当たり1〜50個になる。また、表層の種子の密度を10cm当たり5〜15個の好ましい範囲にするためには、混合する種子の割合を10cm当たり20〜60個の範囲にすればよい。このような方法によりアマモ類育成用構成体を製造した場合は、内部に混合されたアマモ類の種子は、短期間には発芽せず、無駄にはなるが、アマモ類育成用構成体の製造が極めて容易になる。このようして得られた粘土物質とアマモ類の種子の混合物は、蒲鉾状、団子状、円盤状、短冊状、円錐台状、円柱状、ロープ状、リボン状等の任意の形に成型される。これらの成型物の大きさが大きいほど、内部の無駄になる種子が多くなり、小さいほど無駄になる種子が少なくなる。このような観点から、これらの成型物の厚さは、1〜5cmであることが好ましい。また、特に、この方法は、攪拌機で粘土物質とアマモ類の種子を混合し、押出機でロープ状又はリボン状に押しだしてアマモ類育成用構成体を製造し、そのまま船上から連続的に投入し敷設する場合に最も適している。
【0015】
第6発明は、海水より比重の大きい粘土物質の少なくとも上部に、粘土物質に10cm当たり4〜200個のアマモ類の種子を混合したものを圧着したことを特徴とする第1発明又は第2発明に係わるアマモ類育成用構成体の製造方法であり、第5発明で製造されたアマモ類育成用構成体において、種子が無駄にならないように、内部や下部等の種子を必要としないところには、種子の含有されていない粘土物質を使用したものである。従って、この方法で製造されたものは、種子含有層と種子無含有層の2層からなる。この両層の粘土物質の組成等は必ずしも同一でなくてもよいが、2種の粘土物質を調整するのも面倒であり、また、両層の特性が違い過ぎると剥離するおそれもあるので、同一の粘土物質を使用した方が便利である。
【0016】
第7発明は、海底に、アマモ類育成用構成体を、そのまま着床させ、又は、埋設することを特徴とする第1発明に係わるアマモ類育成用構成体の使用方法である。ここで、「そのまま着床させ」とは、全表面の表層にアマモ類の種子が固着された団子状や円柱状等のアマモ類育成用構成体を、船上等から投入することをいい、深い海底に着床させる場合に応用される。この場合、アマモ類育成用構成体は、柔らかい海底の土壌にもぐり込むので、先ず海底の土壌に被覆された底面や側面の種子が発芽し、また、潮流等によって海底の土壌によって上面も被覆されれば、上面の種子も発芽する。また「埋設する」とは、海底に穴を堀って、好ましくは上部の表層にアマモ類の種子が固着された蒲鉾状や円錐台状等のアマモ類育成用構成体を置き、海底の土壌で被覆することをいい、海底で作業ができる浅い海底に応用され、潮流等の激しい海底に適した方法である。
【0017】
第8発明は、船上等の海上から、ロープ状、又は、リボン状のアマモ類育成用構成体を、連続的に繰り出し、連鎖状に投入して、海底に着床させることを特徴とする第2発明に係わるマモ類育成用構成体の使用方法である。ロープ状のアマモ類育成用構成体を使用する場合は、全周にわたり表層にアマモ類の種子を固着したものを使用すれば、海底での捩じれを考慮する必要がないので、深い海底に敷設する場合に適している。この場合、アマモ類育成用構成体は、柔らかい海底の土壌にもぐり込むので、先ず海底の土壌に被覆された底面や側面の種子が発芽し、また、潮流等によって海底の土壌によって上面も被覆されれば、上面の種子も発芽する。また、リボン状のアマモ類育成用構成体を使用する場合は、片面にアマモ類の種子が固着されているものでは、その面が上になるように、また、両面にアマモ類の種子が固着されているものでも、リボンの面が海底と平行になるように、設置することが必要になるので、潮流等が多少激しくてもよいが、海底が監視できる浅い海底に敷設する場合に適している。なお、リボン状のアマモ類育成用構成体を使用した場合は、潮流等によって海底の土壌によって被覆されることも期待できるが、積極的に海底の土壌で被覆することが好ましい。
【0018】
【作用】
第1発明及び第2発明に係わるアマモ類育成用構成体から効率的にアマモ類が発芽し成育するには、次のような作用が関与するものと推定される。すなわち、アマモ類の種子が、潮流等に流されないように海水より比重の大きい粘土物質に保持されており、アマモ類育成用構成体が海底に設置されて、土壌に被覆又は接触すると、粘土物質の表面から海水が浸透して、粘土物質の表層を柔らかくすると同時に、種子の発芽を促す結果、アマモ類の種子が発芽し、生長を阻害されることなく成育する。一方、粘土物質は、海水の浸透によっても、スラリー化したり軟泥化したりすることなく、幼苗を保持することができるので、潮流等に流さることがない。従って、この第1発明及び第2発明に係わるアマモ類育成用構成体は、任意の形状に成型された粘土物質の表層でアマモ類の種子を保持し、海底に着床することがで、種子や幼苗を潮流等に流されることもなく、着実に種子から発芽させてアマモ類を育成することができる。なお、このような作用を前提にすれば、長期間をかければ、海水が内部まで浸透し、内部の種子も発芽し生長すると考えられるが、短期間にアマモ場を育成するためには、表層の種子の発芽と生長を対象にした方がよいと考えられる。
【0019】
また、第3発明に係わる製造方法は、このようなアマモ類育成用構成体を簡単に製造することを可能にし、第4発明に係わる製造方法は、ゲル化したコロイダルシリカ等の糊状物質で被覆することにより、アマモ類育成用構成体の運搬等における表層の種子の脱落を防止することを可能にし、また、第5発明に係わる製造方法は、単一な組成物とすることにより、アマモ類育成用構成体を機械的に極めて簡便に製造することを可能にし、第6発明に係わる製造方法は、この簡単な製造方法の特色を維持しながら種子の有効利用を可能にするものである。更に、第7発明に係わる使用方法は、第1発明に係わるアマモ類育成用構成体を広い態様で使用することを可能にし、第8発明に係わる使用方法は、連続的に着床作業を行うことにより、第2発明に係わるアマモ類育成用構成体を極めて効率的に利用することを可能にするものである。
【0020】
【実施例】
1.試験片の製造
タルクを主体とする粘土鉱物の粉末に水と糊とを添加して混練し粘土様物質を製造し、直径2cm、長さ25cmのロープ状に成型し、表面に125粒のアマモ(Zostera marina Linnaeus)の種子を散布粘着させ、平板上で転圧し、直径約1mm、長さ約3mmの種子をめり込ませて、本発明に係わるアマモ類育成用構成体(以下「試験片1」という)を製造した。この試験片1の種子密度は、10cm当たり約8個で、種子は表面から見え隠れする程度であった。次に、幅9cm、長さ15cm、厚さ5mmの短冊状に成型した粘土様物質の上面に、同一のアマモの種子170粒を散布し、その上に同一幅、同一長さで、厚さ2mmに成型した短冊状の粘土様物質を載せて、比較のためのアマモ類育成用積層物(以下「試験片2」という)を製造した。更に、砂、海水、コロイダルシリカの1:1:1を混合して製造したゲルに、同一アマモの種子を125粒を添加し混合して、直径2cm)長さ25cmのロープ状に成型してアマモ類育成用組成物(以下「試験片3」という)を製造した。
【0021】
2.発芽育成育成試験
水深1.1mの海底に、潮流等の影響を受けないように、1m間隔に3箇所に穴を堀り、それぞれに、試験片1〜試験片3を置き、2cmの厚さに海底の土壌を被覆して、アマモの発芽生育状況を観察した。その結果は表1のとおりである。
【0022】
【表1】
Figure 0003641791
【0023】
この表において、本発明に係わるアマモ類育成用構成体(試験片1)では、次第に育成株数が増加しており、上部の種子だけでなく、側面や底面近くの種子も発芽しているのが認められが、種子を厚さ2mmの粘土様物質で覆ったアマモ類育成用積層体(試験片2)では、観察している間には1株も発芽していない。また、ゲル化したコロイダルシリカにアマモ種子を混合したアマモ類育成用組成物(試験片3)には、多少の発芽し育成した株が見られるが、3月13日の株数より、4月24日の株数の方が少なくなっている。これは、ゲル化したコロイダルシリカの幼苗を把持する力が弱く、かつ、被覆した土壌がスラリー状に軟泥化した結果、発芽した幼苗が海水の流れ等によって流失したものと考えられる。
【0024】
【発明の効果】
本発明に係わるアマモ類育成用構成体は、前述のような構成と作用とを有するので、多量の移植用のアマモ類の苗が入手できない場合等において、アマモ類の移植に代わって、種子を確実に発芽させ、かつ、アマモ類の種子や幼苗の潮流等による流失を防止して、アマモ場を短期間に育成するという効果をもたらし、本発明に係わる製造方法は、このようなアマモ類育成用構成体を、極めて効率的に製造できるという効果をもたらし、また、本発明に係わる使用方法は、このようなアマモ類育成用構成体を、極めて広範な態様で使用できるという効果をもたらすものであり、新しく造成された沿岸海底や、水質汚濁により海底植物の消滅した海底に、アマモ場を造成して、海岸環境の浄化と保全を図り、かつ、沿岸漁業の生産性を高めることにより、国民の生活の向上に寄与するものである。

Claims (8)

  1. 海水より比重の大きい粘土又は粘土様物質からなる塊の少なくとも上部の表層に10cm当たり1〜50個のアマモ類の種子を含有させたことを特徴とするアマモ類育成用構成体
  2. 海水より比重の大きい粘土又は粘土様物質からなる塊が、断面の直径が1〜5cmのロープ状、又は、厚さが1〜3cmのリボン状であるを特徴とする請求項1記載のアマモ類育成用構成体
  3. 海水より比重の大きい粘土又は粘土様物質からなる塊を、アマモ類の種子が散布された床面を転圧し、又は、アマモ類の種子を、海水より比重の大きい粘土又は粘土様物質からなる塊の表面に散布し軽く押圧して、アマモ類の種子を表層に押し込み固着させたことを特徴とする請求項1、又は、請求項2記載のアマモ類育成用構成体の製造方法
  4. 海水より比重の大きい粘土又は粘土様物質の表層にアマモ類の種子を固着した後、更に、その表面をゲル化したコロイダルシリカ等の糊状物質で被覆することを特徴とする請求項3記載のアマモ類育成用構成体の製造方法
  5. 海水より比重の大きい粘土又は粘土様物質に、10cm当たり4〜200個のアマモ類の種子を混合し、任意の形に成型したことを特徴とする請求項1、又は、請求項2記載のアマモ類育成用構成体の製造方法
  6. 海水より比重の大きい粘土又は粘土様物質の少なくとも上部に、粘土又は粘土様物質に10cm当たり4〜200個のアマモ類の種子を混合したものを圧着したことを特徴とする請求項1、又は、請求項2記載のアマモ類育成用構成体の製造方法
  7. 海底に、アマモ類育成用構成体を、そのまま着床させ、又は、埋設することを特徴とする請求項1のアマモ類育成用構成体の使用方法
  8. 船上等の海上から、ロープ状、又は、リボン状のアマモ類育成用構成体を、連続的に繰り出し、連鎖状に投入して、海底に着床させることを特徴とする請求項2記載のアマモ類育成用構成体の使用方法
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