JP3639865B2 - オレフィンの重合方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は高圧下において重合触媒を用いてオレフィンを重合させる方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
エチレンをはじめ種々のα−オレフィンの重合に、トリアルキルアルミニウムと塩化チタン(IV)よりなる系(チーグラ触媒)を用い、低圧下に立体特異的重合を行う方法が汎用されている(いわゆるチーグラ法;低圧法)。また、Cp2TiCl2などのチタノセン化合物と有機アルミニウムからなる系がエチレン重合能を有することがナッタら(Natta, G., et al., J. Polym. Sci., 26, 120, 1957)により報告され、さらに超高活性単一活性種触媒としてメチルアルモキサン(MAO) とCp2ZrMe2の系(いわゆるカミンスキー触媒の中の一種類)が提案されて以来、オレフィン重合触媒としてメタロセン錯体系が注目を集めている(Sinn, H. and Kaminsky, W., Adv. Organomet. Chem., 18, 99, 1980; H. Sinn, et al., Angew. Chem., Int. Ed. Engl., 19, 390, 1980)。この重合方法により、プロピレンのアイソタクチックおよびシンジオタクチック立体規則性重合、スチレンのシンジオタクチック重合などを効率よく行うことができ、また、非常にシャープな分子量分布を持ったポリマーが製造できる。
【0003】
特に、カミンスキー触媒については、触媒の構造と触媒活性との相関(触媒活性構造相関)が詳しく研究されている(総説として、化学と工業、44, 86-89, 1991 参照)。アタクチック・ポリプロピレンの合成を例にとると、Zr錯体のCp環上に置換基を導入すると、環上のメチル基の数や位置の違いによって重合結果が大きく変化することが報告されている(宮ら、高分子学会予稿集, 36, 189, 1987)。この刊行物に記載された触媒では、活性度およびポリマーの分子量はメチル基の数とともに増加し、3個で最大となり、その後メチル基の数の増加とともに再び低下する傾向を示す。この理由はメチル基の電子的効果と立体的効果のバランスによるものと考えられている。例えば、Cp'=1,2,4-Me3C5H2 の場合、グループ中最高の重合活性を示し、しかも最高の分子量を持った粘稠なポリマーが得られることが報告されている。
【0004】
また、インデニルないしテトラヒドロインデニル基をエチレン基で架橋し、ジルコニウム中心に不斉を導入した錯体を用いるとアイソタクチック・ポリプロピレンが製造できることが報告されており、二つのCp基間の架橋にMe2Si 基を用いた触媒を用いた例も報告されている(Mise, T., et al., Chem. Lett., 1853, 1989) 。例えば、わずか一個のメチル基の導入 (C1対称)でもかなりのアイソタクチック・ポリプロピレンが得られるが、C2対称を持つ触媒の方が立体規則性の高い高分子量のポリマーを与えること、並びに、3,4'位にメチル基を導入するとポリマーの重合度と立体規則度が向上することが報告されている(反応機構に関して Longo, P., et al., Macromolecules, 24, 4624, 1991 及び Kuribayashi, H., et al., 38th Symp. Organomet. Chem. Jpn., A208, 1991を参照) 。
【0005】
もっとも、これらの触媒を使用する目的の一つがオレフィンの重合を低温・低圧で効率的に行うことにあることから、通常の場合、反応は通常1〜数気圧で行われており、高圧下における触媒の特性や挙動についての報告はない。1,000 atm 以上の高圧下、例えば 5,000〜 10,000 atm 程度の圧力下で有機反応を行う方法は知られているが、これらの高圧下の反応はいずれも触媒を用いない通常の有機反応である。例えば、2分子を1分子に縮合するような反応(反応生成物の体積が減少するような反応)は高圧下で効率よく進行することが示唆されているものの、触媒を用いてオレフィンの重合を高圧下に行った例は従来全く報告されていおらず、その反応の特徴についても全く報告されていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、オレフィン重合用触媒を用いて、これらの触媒について従来の反応条件から予測される触媒特性とは異なる触媒活性を引き出して、オレフィンを重合する方法を提供することにある。また、別の観点からは、オレフィン重合用触媒を用いて、従来の反応工程でこれらの触媒を用いた場合に予測される生成物とは著しく異なった特徴を有するオレフィン重合物を得ることが本発明の課題である。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、オレフィン重合用触媒を用いて重合を行うにあたり、1,000 気圧以上の高圧下に反応を行うと、常圧ないし数気圧で触媒を用いた場合の触媒特性とは著しく異なる結果が得られることを見い出した。すなわち、このような高圧下で重合反応を行うことにより、触媒の新たな特性が引き出され、常圧ないし数気圧で触媒を用いた場合からは全く予測できない重合物が得られることを見い出した。本発明はこれらの知見を基にして完成されたものである。
【0008】
すなわち本発明は、重合用触媒の存在下でオレフィンの重合を行う方法であって、1,000 気圧以上の高圧下に反応を行うことを特徴とする方法を提供するものである。この発明の好ましい態様により、反応を3,000 気圧ないし8,000 気圧下に行う上記方法;触媒としてチーグラー系触媒またはカミンスキー系触媒を用いる上記方法;触媒として、チタノセン、ジルコノセン、ハフノセン、及びバナドセン誘導体を含むカミンスキー系触媒を用いる上記方法;1ないし5個の電子供与基または電子供与基を側鎖に含む1ないし5個の炭化水素基を置換基として有するシクロペンタジエニル基を配位子として少なくとも1個以上有するカミンスキー系触媒を用いる上記方法が提供される。
【0009】
本発明の特に好ましい態様によれば、(R5C5)2MX2, O(R2SiC5H4)2MX2, (R4C5H)2MX2, (R3C5H2)2MX2, (RC5H4)2MX2, (C5H5)2MX2, R2Si(C5H4)2MX2, R1 2Si(R2C5H3)2MX2, R1 2Si(R2 2C5H2)2MX2, [(R5C5)2MX]2O, [O(R2SiC5H4)2MX]2O, [(RC5H4)2MX]2O, [(C5H5)2MX]2O, [R2Si(C5H4)2MX]2O, [R1 2Si(R2C5H3)2MX]2O, [R1 2Si(R22C5H2)2MX]2O, 及びそれらの混合物(ただし、 M はチタン、ジルコン、又はハフニウム原子を示し、X はハロゲン原子、炭化水素基、シリル基、又はゲルミル基を示し、R, R1 及びR2はそれぞれ独立に炭化水素基、シリル基、又はゲルミル基を示す)からなる群から選ばれるカミンスキー系触媒を用いる上記方法;(Me5C5)2ZrCl2, O(Me2SiC5H4)2ZrCl2, (MeC5H4)2ZrCl2, (1,2,4-Me3C5H2)2ZrCl2, (Me4C5H)2ZrCl2, (C5H5)2ZrCl2, Me2Si(C5H4)2ZrCl2, Me2Si(MeC5H3)2ZrCl2, Me2Si(Me2C5H2)2ZrCl2, 及びそれらの混合物からなる群から選ばれるジルコノセン誘導体を含むカミンスキー系触媒を用いる上記方法;(Me4C5H)2HfCl2, Me2Si(Me2C5H2)2HfCl2, 及びそれらの混合物からなる群から選ばれるハフノセン誘導体を含むカミンスキー系触媒を用いる上記方法;並びに、常圧下で実質的にオレフィン重合活性を有しないカミンスキー系触媒を用いる上記方法が提供される。
【0010】
また、本発明の別の態様によれば、重合用触媒の存在下にオレフィンの重合を行う方法であって、1,000 気圧以上の高圧下に反応を行い触媒の配位子の立体的効果の寄与を実質的に消失させて重合を行う方法;該触媒を常圧下で用いて得られるポリオレフィンとは重合体特性が異なるポリオレフィンを製造する方法;重合用触媒の存在下でオレフィンの重合を行う方法であって、1,000 気圧以上の高圧下に反応を行い、該触媒を常圧下で用いて得られるポリオレフィンとは重合体特性が異なるポリオレフィンを製造する方法が提供される。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明のオレフィンの重合方法に出発原料として用いられるオレフィンは特に限定されないが、例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1- ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデソン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセンなどのα−オレフィンを好適に用いることができ、これらの1種または2種以上を重合に供することができる。また、ブタジエン、1,4-ヘキサジエン、1,4-ペンタジエン、1,7-オクタジエン、1,8-ノナジエン、1,9-デカジエンなどのジエン類、シクロブテン、シクロヘキセン、ノルボルネン、ジシクロペンタジエンなどの環状オレフィン類などを重合に供することができる。
【0012】
例えば、上記の環状オレフィンとα−オレフィンとの共重合を行うこともできる。なお、シクロプロパンはオレフィン様の性質を有しているので、本発明の方法により重合することができ、本明細書においてはオレフィンの概念に包含される。また、本発明の方法では、触媒の種類や圧力を適宜選択することにより、アタクチック、アイソタクチック、又はシンジオタクチックのいずれの重合体を製造することも可能である。
【0013】
重合方法は特に限定されず、溶媒の存在下若しくは非存在下に反応を行うことができる。例えば、懸濁重合や溶液重合などの方法を用いることができ、液相重合の重合溶媒として、例えば、ペンタン、ヘキサン、オクタン、デカン、ドデカンなどの脂肪族炭化水素、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタンなどの脂環式炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、ガソリン、灯油、軽油などの石油成分などを好適に用いることができる。
【0014】
反応に用いる触媒は、オレフィンを重合することができるものであれば特に限定されないが、本発明の方法に従えば、常温及び/または常圧下でほとんど重合活性を有しない触媒でも極めて優れた触媒活性を発揮することがあるので、オレフィンを重合することができるか否かは常圧及び/または常温下での触媒特性によって判断すべきではない。
【0015】
触媒としては、例えば、周期律第I, II, III族(ただしホウ素を除く)金属有機化合物を一つの成分とし、第IV〜VIII族の金属化合物又は金属有機化合物を他の成分とする系からなる、いわゆるチーグラー触媒又はチーグラー・ナッタ触媒を用いることができ、例えば、トリアルキルアルミニウムと塩化チタン(IV)よりなる系や塩化マグネシウム担持型高活性チタン触媒などを好適に用いることができる。また、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウムなどのメタロセン誘導体、好ましくはチタノセン誘導体又はジルコノセン誘導体を1成分として含み、他の成分として有機アルミニウム化合物を含む触媒系も本発明の方法に好適に使用できる。また、オレフィン重合用の触媒として当業者が利用可能な他の型の触媒を用いてもよい。本発明の方法には、このような触媒の1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0016】
本発明の方法に好適に使用できる触媒として、カミンスキー系触媒〔ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドなどに AlMe3の部分加水分解によって得られるメチルアルミノキサン(MAO) を助触媒として組み合わせたもの〕を挙げることができる。カミンスキー系触媒については、種々の改良や修飾がなされた触媒が知られているが(総説として、角五ら著「前周期遷移金属の有機化学」、第15章 カミンスキータイプ触媒、学会出版センター、157-169 頁、1993年参照)、本発明の方法には、このような改良あるいは修飾されたカミンスキー系触媒を用いてもよい。
【0017】
例えば、1ないし5個の電子供与基または電子供与基を側鎖に含む1ないし5個の炭化水素基を置換基として有するシクロペンタジエニル基を配位子として少なくとも1個以上有するカミンスキー系触媒を用いることは本発明の方法に好適である。このような触媒において2個以上のシクロペンタジエニル基が存在する場合には、各シクロペンタジエニル基はそれぞれ架橋されていても架橋されていなくてもよい。架橋のために用いる基は特に限定されないが、例えば、炭化水素基、シリル基、若しくはゲルミル基、又は、ケイ素、ゲルマニウム、酸素、及び/又はイオウ原子を含む炭化水素基、シリル基、ゲルミル基などを用いることができる。電子供与基は特に限定されないが、例えば、アルキル基、アリール基、メトキシ基、ヒドロキシ基、シリル基、ゲルミル基、アミノ基、アルキルチオ基などを用いることができる。
【0018】
より具体的には、(R5C5)2MX2, O(R2SiC5H4)2MX2, (R4C5H)2MX2, (R3C5H2)2MX2, (RC5H4)2MX2, (C5H5)2MX2, R2Si(C5H4)2MX2, R1 2Si(R2C5H3)2MX2, R1 2Si(R2 2C5H2)2MX2, [(R5C5)2MX]2O, [O(R2SiC5H4)2MX]2O, [(RC5H4)2MX]2O, [(C5H5)2MX]2O, [R2Si(C5H4)2MX]2O, [R1 2Si(R2C5H3)2MX]2O, [R1 2Si(R2 2C5H2)2MX]2O, 及びそれらの混合物(ただし、M はチタン、ジルコン、又はハフニウム原子を示し、X はハロゲン原子、炭化水素基、シリル基、又はゲルミル基を示し、R, R1 及びR2はそれぞれ独立に炭化水素基、シリル基、又はゲルミル基を示し、例えばR2Si及びR2 2C5H2 などの標記は、それぞれ、珪素原子上に置換基R が2個存在すること及びシクロペンタジエニル基上に置換基R2が2個存在することを示す)からなる群から選ばれるカミンスキー系触媒を用いることができる。
【0019】
特に好ましくは、(Me5C5)2ZrCl2, O(Me2SiC5H4)2ZrCl2, (MeC5H4)2ZrCl2, (1,2,4-Me3C5H2)2ZrCl2, (Me4C5H)2ZrCl2, (C5H5)2ZrCl2, Me2Si(C5H4)2ZrCl2, Me2Si(MeC5H3)2ZrCl2, Me2Si(Me2C5H2)2ZrCl2, 及びそれらの混合物からなる群から選ばれるジルコノセン誘導体を含むカミンスキー系触媒、並びに、(Me4C5H)2HfCl2, Me2Si(Me2C5H2)2HfCl2, 及びそれらの混合物からなる群から選ばれるハフノセン誘導体を含むカミンスキー系触媒を用いることができる。これらの触媒の一部については詳細な使用方法を実施例に記載したが、本発明の方法に用いる触媒はこれらの触媒に限定されることはない。
【0020】
また、カミンスキー系触媒として、例えば、特開昭63-222177 号公報、特開昭63-222178 号公報、特開昭63-222179 号公報、特開昭63-234005 号公報、又は特開昭63-235309 号公報などに記載された触媒を用いることも好適である。本発明に上記の触媒を用いる場合、メタロセン誘導体とアルミノキサンとの混合比率は特に限定されないが、例えば、メタロセン誘導体の濃度を10-4〜10-9モル/リットルの範囲とし、アルミニウム原子/メタロセン金属原子のモル比は 100以上、好ましくは 1,000以上で用いることができる。
【0021】
本発明の方法を行うには、1,000 気圧以上の圧力下、例えば3,000 気圧以上、より好ましくは5,000 気圧以上の圧力下で行えばよい。例えば、3,000 〜5,000 気圧、3,000 〜8,000 気圧などの範囲で反応を行うことができるが、圧力はこの範囲に限定されることはない。また、例えば、10,000気圧以上の圧力下で反応を行うこともできるが、20,000気圧以上では一般的に溶液状態での反応を行うことができず、反応効率が低下するので、20,000気圧を超えて圧力をかけることは一般に好ましくない。反応温度は、通常の場合0 〜50℃、好ましくは室温下で行うことができるが、触媒の種類と目的物の種類により反応の圧力を適宜選択することが望ましい。
【0022】
特に本発明の方法では、同じ触媒を用いた場合にも、圧力を変えることによって、生成物であるポリオレフィンの重合体特性を種々変化させることができる。特に、本発明の方法では、同一の触媒を常圧及び/又は常温で用いた場合の重合体特性とは異なる特性を有するポリオレフィンを得ることができる場合がある。重合体特性としては、例えば、重合度、平均分子量、分子量の分布、アイソタクチック又はシンジオタクチックなどの立体特異性などを挙げることができる。従って、本発明の方法では、所望するポリオレフィンの種類に応じて、触媒の種類と圧力を適宜選択することは重要である。このような選択は、本明細書の実施例を参照することにより当業者が適宜なしうるものである。
【0023】
いかなる特定の理論に拘泥するわけではないが、本発明の方法に従うと、高圧下では触媒の活性中心と反応種とが常圧での反応に比べて非常に接近するので、触媒の配位子の立体的効果が殆どあるいは全く寄与せず、一方、配位子の電子的な効果のみが触媒反応において支配的になるものと考えられる。従って、本発明の方法では、電子供与能の強い置換基を有する錯体を用いた場合にポリマーの重合度が高くなる傾向があり、特に、立体的な嵩高さのために常温・常圧下ではほとんど活性のない (Me5C5)2ZrCl2などが、本発明の方法では極めて良好な結果を示すことが特徴的である。また、本発明の方法では、極めてシャープな分子量分布を持った重合体が得られるという特徴がある。また、本発明の方法では、従来の触媒(例えば、不均一系のチーグラー触媒)と比較して、著しく触媒活性を高めることができるという特徴がある。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されることはない。
【0024】
【実施例】
例1
不活性ガス雰囲気下、テフロン製高圧反応用セル(容量 33 mL) 中に、室温でジルコニウム錯体のトルエン溶液 (0.2 mL、Zr錯体 1.2×10-7mol)とメチルアルミノキサンのトルエン溶液(0.6 mL, Al 1.2 mmol、Al/Zr = 10,000) を加えた。10分後、-78 ℃に冷却した1-ヘキセン(32.2 mL、0.26 mol) をカニューレ(ポリエチレン細管等)で反応容器に移し、ふたをしてセルを -78℃に冷却した。セルを高圧反応装置に移し、23時間にわたって室温で所定の圧力をかけた。反応後、粘稠な内容物をビーカーに移し、ヘキサンで洗浄し、メタノール (10 mL)を加えた。メタノールで分解したメチルアルミノキサンの分解物を濾過して除いた後、濾液から溶媒を除き、無色のポリマーを得た。
【0025】
高圧下では重合反応が促進され、ポリヘキセンの収量及び分子量は大きく増加したが、いずれの触媒を用いても 5,000気圧付近が最大で、それ以上では収量及び分子量は徐々に減少した。以下の表1に示した 5,000気圧時の反応結果より、電子供与能の強い置換基を有する錯体を用いた場合ほどポリマーの重合度が高いことが分かる。特に、立体的に嵩高いために常圧下ではほとんど活性のない (Me5C5)2ZrCl2が最も良い値を示すことから、このような高圧下では配位子の立体的効果はほとんど無視でき、電子的効果のみが優先していることが分かる。
【0026】
【表1】
【0027】
例2
例1の方法に従い、各種の圧力で種々の触媒を用いて1-ヘキセンの重合を行った(室温23時間, 1-ヘキセン=32ml, [Zr]=1.2 ×10-7mol, Al/Zr=10,000)。例1及び例2で得られた結果をまとめて表2に示す。
【0028】
【表2】
【0029】
例3
例1の方法に従い、各種の圧力で触媒の使用量を種々変化させて1-ヘキセンの重合を行った(室温23時間, 1-ヘキセン=32ml, Al/Zr=10,000)。結果を表3に示す。
【0030】
【表3】
【0031】
例4
例1の方法に従い、各種の圧力で種々の触媒を用いて1-ヘキセンの重合を行った(25℃, 2時間, 1-ヘキセン=25ml, Al/Zr(Hf)=10,000)。得られた結果を表4に示す。
【0032】
【表4】
【0033】
例5
例1の方法に従い、錯体として Me2Si(MeC5H3)2ZrCl2を用い、各種の圧力で1-ヘキセンの重合を行った(25℃、23時間, 1-ヘキセン=32 ml, Al/Zr=10,000) 。結果を表5に示す。
【0034】
【表5】
【0035】
例6
例1の方法に従い、錯体として Me2Si(2,4-Me2C5H2)2ZrCl2 及び Me2Si(2,4-Me2C5H2)2HfCl2 を用い、各種の圧力で1-ヘキセンの重合を行った(25℃、2時間, 1-ヘキセン=25 ml, Al/Zr(Hf)=10,000) 。結果を表6に示す。
【0036】
【表6】
【0037】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、汎用のオレフィン重合用触媒を用いても、これらの触媒について従来の反応条件から予測される生成物(ポリオレフィン)とは異なった重合体特性を有するポリオレフィンを得ることができる。例えば、常温・常圧ではほとんど重合活性を有しない触媒でも著しく高い重合活性を示す場合があるので、触媒の効率的な利用が可能になるという特徴がある。
Claims (7)
- チーグラー系触媒またはカミンスキー系触媒の存在下でオレフィンの重合(エチレン又はプロピレンを出発原料として含むものを除く)を行う方法であって、0〜50℃で、1,000 気圧以上の高圧下に反応を行うことを特徴とする方法。
- 反応を3,000 気圧ないし8,000 気圧下に行う請求項1に記載の方法。
- 触媒としてチタノセン、ジルコノセン、ハフノセン、及び/又はバナドセン誘導体を含むカミンスキー系触媒を用いる請求項1または2に記載の方法。
- アルキル基、アリール基、メトキシ基、ヒドロキシ基、シリル基、ゲルミル基、アミノ基及びアルキルチオ基からなる群から選ばれる1ないし5個の電子供与基またはアルキル基、アリール基、メトキシ基、ヒドロキシ基、シリル基、ゲルミル基、アミノ基及びアルキルチオ基からなる群から選ばれる電子供与基を側鎖に含む1ないし5個の炭化水素基を置換基として有するシクロペンタジエニル基を配位子として少なくとも1個以上有する触媒を用いる請求項1ないし3のいずれか一項に記載の方法。
- (R5C5)2MX2, O(R2SiC5H4)2MX2, (R4C5H)2MX2, (R3C5H2)2MX2, (RC5H4)2MX2, (C5H5)2MX2, R2Si(C5H4)2MX2, R1 2Si(R2C5H3)2MX2, R1 2Si(R2 2C5H2)2MX2, [(R5C5)2MX]2O, [O(R2SiC5H4)2MX]2O, [(RC5H4)2MX]2O, [(C5H5)2MX]2O,[R2Si(C5H4)2MX]2O, [R1 2Si(R2C5H3)2MX]2O, [R1 2Si(R2 2C5H2)2MX]2O, 及びそれらの混合物(ただし、M はチタン、ジルコン、又はハフニウム原子を示し、X はハロゲン原子、炭化水素基、シリル基、又はゲルミル基を示し、R, R1 及びR2はそれぞれ独立に炭化水素基、シリル基、又はゲルミル基を示す)からなる群から選ばれるカミンスキー系触媒を用いる請求項3に記載の方法。
- (Me5C5)2ZrCl2, O(Me2SiC5H4)2ZrCl2, (MeC5H4)2ZrCl2, (1,2,4-Me3C5H2)2ZrCl2, (Me4C5H)2ZrCl2, (C5H5)2ZrCl2, Me2Si(C5H4)2ZrCl2, Me2Si(MeC5H3)2ZrCl2, Me2Si(Me2C5H2)2ZrCl2, 及びそれらの混合物からなる群から選ばれるジルコノセン誘導体を含むカミンスキー系触媒を用いる請求項5に記載の方法。
- (Me4C5H)2HfCl2, Me2Si(Me2C5H2)2HfCl2, 及びそれらの混合物からなる群から選ばれるハフノセン誘導体を含むカミンスキー系触媒を用いる請求項5に記載の方法。
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