JP3639697B2 - 溶鋼容器の注湯口への耐火性材料の充填方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自然開孔性に優れる溶鋼容器の注湯口に耐火性材料を充填する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、溶鋼容器に溶鋼を収容するに際しては予め注湯口内に耐火性の充填物を充填している。この溶鋼容器の注湯口に充填される耐火性材料が発現しなければならない機能として、鋼の融点近傍で溶融層を形成することで注湯された溶鋼の注湯口内への浸透防止がある。そのため、耐火性材料としては、一般的に、例えば特公昭59−5388号公報に提案の比較的融点の低いシリカを主成分とした耐火性材料が使用されている。
【0003】
この特公昭59−5388号公報で提案のシリカ質耐火性材料は、溶鋼容器内で在湯時に、熱伝導により注湯口に充填された耐火性材料内部での温度上昇で、図1に示すように溶融層1及び焼結層2を形成する。
【0004】
焼結層2は、耐火性材料の原料粒子間で進行する焼結により形成されるが、この焼結によりもたらされる過度の強度発現が原因で、溶鋼容器の注湯口から容器内の溶鋼を排出する際に発生する不開孔と称せられる、注湯口に充填された耐火性材料の閉塞現象が発生することがある。
【0005】
この閉塞現象を解消することを目的として、例えば特開平5−42360号公報に提案のように注湯口への耐火性材料の充填方法がある。この充填方法とは、図2に示すように注湯口下部に焼結が進行することでの過度の強度発現を防止するために、難焼結性の耐火性材料8を図1に示す焼結層2の領域まで充填し、注湯口上部に鋼の融点近傍で溶融層を形成する融点の低い耐火性材料7を充填する方法である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
特開平5−42360号公報で提案の充填方法では、熱伝導により耐火性材料内部で温度上昇が起きた場合でも、前記注湯口下部に充填した耐火性材料8内部で強度発現を引き起こす焼結が進行し、そのため、在湯時には前記耐火性材料8内部の状態は、最近接の原料粒子間同士には結合界面が生成していない。すなわち何ら結合力が働いていない状態となっており、注湯口に充填した直後の粉粒体の状態と同一となる。
【0007】
そのため、在湯時に上部に充填された耐火性材料7が液相を主体とする溶融層を形成し、液相が下部の耐火性材料8内部に流れ込んでくると、液相は耐火性材料7内部の空隙のみならず、最近接する原料粒子間にも浸透することになる。最近接する原料粒子間に浸透した液相は、その表面張力に起因する毛細管作用を引き起こし、最近接する原料粒子間に結合力を生成させる。その結果、在湯時に耐火性材料8内部で過度の強度が発現するために、溶鋼容器の注湯口から容器内の溶鋼を排出する際に、溶鋼の静圧のみでは溶鋼容器の注湯口に充填された耐火性材料は、自然開孔せず溶鋼の排出が不可能となる現象が多々発生し、生産性や溶鋼歩留が大きく低下する等の問題があった。
【0008】
本発明は、溶鋼容器内に溶鋼が長時間収容されていても、耐火性材料内部での過度の強度発現を防止し、溶鋼容器の溶鋼を排出する際における自然開孔率を向上することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、その手段は、溶鋼容器の注湯口に耐火性材料を充填するに際し、下層部に下記(1)の条件を満足する焼結層形成耐火性材料を充填し、上層部に下記(2)の条件を満足する溶融層形成耐火性材料を充填することを特徴とする溶鋼容器の注湯口への耐火性材料の充填方法にある。
(1)溶鋼容器に溶鋼を装入すると焼結層を形成し、その形成した焼結層の1400℃における強度が0.1〜2kg/cm2 である。
(2)融点が1600℃超である成分を70wt%以上含有し、かつ粒度1mm以下の原料粒子が生成する液相率が1600℃において15%超である。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の溶鋼容器の注湯口に充填される耐火性材料の溶融層の形成は、在湯時の溶鋼の注湯口内への浸透防止を図るためのものである。その化学成分において融点が1600℃超である成分の含有量を70wt%以上とするのは、在湯時に溶鋼の熱で、溶融している耐火性材料の流出防止を図り、溶鋼の注湯口内への浸透を防止するためである。
【0011】
ところで、溶融層形成耐火性材料の組織解析結果から、溶融層の源である液相は、原料粒子の粒度で、1mm以下の粒子が溶融して形成されることが判明した。この粒度1mm以下の原料粒子が溶融し液相を生成する比率が、溶鋼の注湯口内への浸透を防止する上で重要な因子となる。
【0012】
そのため、耐火性材料の1mm以下の粒度の原料粒子が生成する液相率が1600℃において15%超とするのは、溶鋼容器に収容された溶鋼の注湯口内への浸透防止を図るためである。この耐火性材料の1mm以下の粒度の原料粒子が生成する液相率が1600℃において15%以下では、耐火性材料が溶鋼と接触した時に生成する液相量が少ないために、溶鋼が注湯口内へ浸透し注湯口に充填された耐火性材料に閉塞現象を引き起こし、溶鋼容器の注湯口から容器内の溶鋼を排出する際に溶鋼の静圧のみでは溶鋼容器の注湯口に充填された耐火性材料は、自然開孔せず、溶鋼の排出が不可能となるからである。
【0013】
ここで1600℃における耐火性材料の1mm以下の粒度の原料粒子が溶融して生成する液相率とは、以下に定義されるものである。
液相率(%)=(粒度が1mm以下の原料粒子の重量分率)×(粒度が1mm以下の原料粒子の平均化学成分より計算状態図から算出される1600℃での液相率)
【0014】
本発明の溶鋼容器の注湯口に充填される耐火性材料の焼結層の形成は、在湯時に、上部の耐火性材料が生成する液相の浸透による過度の強度発現の防止を図るためのものである。在湯時に、最近接する原料粒子間に焼結が起こり、結合界面が形成されると、上部より流れ込んでくる液相は、最近接の原料粒子間に浸透することはなく、液相の表面張力により、最近接する原料粒子間に結合力が生成されることはない。
【0015】
しかし、在湯時に、最近接する原料粒子間で過度に焼結が進行すると、発現される強度が異常に大きくなり、溶鋼容器の注湯口から容器内の溶鋼を排出する際に溶鋼の静圧のみでは溶鋼容器の注湯口に充填された耐火性材料は、自然開孔せず、溶鋼の排出が不可能となるからである。
【0016】
一方で、熱伝導解析から、注湯口に充填された耐火性材料内部で自然開孔を阻害させる過度の強度発現が見られる領域、すなわち、図1に示す焼結層2の温度は約1400℃であることが判明した。
【0017】
そこで、焼結層を形成する耐火性材料の1400℃における発現強度と実操業での自然開孔性との関係を調査した結果を図3に示す。図3から、焼結層形成耐火性材料の1400℃における発現強度が0.1〜2kg/cm2 であると、自然開孔率100%を達成することが判明した。
【0018】
焼結層を形成する耐火性材料としては、鋼玉やボーキサイト等のアルミナ質原料や溶融金属処理容器の内張り耐火物であるアルミナ−マグネシア系、アルミナ−シリカ系、マグネシア−クロマイト系、アルミナ−炭化珪素−カーボン系、マグネシア−カーボン系耐火物の使用後の破砕粒子等が使用可能である。
【0019】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示す。
表1及び表2に本発明実施例および比較例に使用した溶鋼容器の注湯口に充填される耐火性材料の特性を示すとともに、表3に容量360t溶鋼鍋の注湯口の充填材として500回使用した時の自然開孔率を示す。
耐火性材料の溶鋼容器の注湯口への充填は、先ず、焼結層を形成する耐火性材料を全充填容積の約80%を占有するまで充填した後に、溶融層を形成する耐火性材料を充填することにより行った。
【0020】
焼結層を形成する耐火性材料としては、溶鋼鍋、真空脱ガス槽で内張りとして使用したアルミナ−シリカ系(表2中F)、アルミナ−マグネシア系(表2中G)、マグネシア−クロマイト系(表2中H)の各耐火物を破砕したもの及びマグネシア−カルシア系(表2中I)、クロマイト−シリカ系(表2中J)の耐火性原料を使用した。
焼結層を形成する上記耐火性材料の1400℃における発現強度は、耐火性材料を1400℃で焼成した焼成体の常温での圧縮強度で代表させた。
【0021】
また、下記▲1▼▲2▼で調製した耐火性材料を常温での圧縮強度の測定はJIS−R2206に準拠して行った。
▲1▼1400℃での耐火性材料の焼成は、炭素坩堝に自然充填した耐火性材料を大気中で1400℃に保持した電気炉内に挿入して3時間保持焼成する。
▲2▼その後、再度大気中で600℃で長時間焼成することにより炭素坩堝を焼却除去させ、圧縮強度測定用の試料を調製した。
また、溶融層を形成する耐火性材料としては珪砂(表1中A〜C、E)、珪砂とホウ砂の混合物(表1中D)を使用した。
【0022】
本発明の実施例の1〜3は100%の自然開孔を達成し、優れた自然開孔性を示した。
比較例1は溶融層を形成する耐火性材料は、融点が1600℃超である化学成分の含有量が70wt%未満であり、溶鋼の熱で過溶融し流出するために自然開孔性に劣っていた。
比較例2は溶融層を形成する耐火性材料の粒度が1mm以下の原料粒子が生成する液相率が1600℃において15%未満であるために、自然開孔性に劣っていた。
比較例3は焼結層を形成する耐火性材料の1400℃で焼成した焼成体の常温での圧縮強度が0kg/cm2 であるために自然開孔性に劣っていた。
比較例4は焼結層を形成する耐火性材料の1400℃で焼成した焼成体の常温での圧縮強度が2kg/cm2 超であるために、自然開孔性に劣っていた。
【0023】
【発明の効果】
本発明は溶鋼容器内に溶鋼が長時間収容されていても、耐火性材料内部での過度の強度発現を防止し、溶鋼容器の溶鋼を排出する際における優れた自然開孔性を得ることが可能となり、人手による開孔作業を大幅に低減出来、生産性の向上や溶鋼歩留の向上等の効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】注湯口に充填された耐火性材料の在湯時の状態に関する概念図
【図2】注湯口に充填された耐火性材料の在湯時の状態に関する概念図
【図3】焼結層を形成する耐火性材料の1400℃で焼成した耐火性材料の常温での圧縮強度と耐火性材料の自然開孔率との関係を示す図。
【表1】 【表2】 【表3】
Claims (1)
- 溶鋼容器の注湯口に耐火性材料を充填するに際し、下層部に下記(1)の条件を満足する焼結層形成耐火性材料を充填し、上層部に下記(2)の条件を満足する溶融層形成耐火性材料を充填することを特徴とする溶鋼容器の注湯口への耐火性材料の充填方法。
(1)溶鋼容器に溶鋼を装入すると焼結層を形成し、その形成した焼結層の1400℃における強度が0.1〜2kg/cm2 である。
(2)融点が1600℃超である成分を70wt%以上含有し、かつ粒度1mm以下の原料粒子が生成する液相率が1600℃において15%超である。
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JP18889597A JP3639697B2 (ja) | 1997-07-01 | 1997-07-01 | 溶鋼容器の注湯口への耐火性材料の充填方法 |
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JPH1119764A JPH1119764A (ja) | 1999-01-26 |
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