JP3639318B2 - 平行光束化装置 - Google Patents

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【0001】
【産業上の利用分野】
本願発明は、入射光を体積領域で散乱させながら導光させる機能を有する光学要素(以下、「平行光束化素子」と言う。)を利用して非平行性の光束を平行化された光束に変換する機能を有する平行光束化装置に関し、また、非平行性の光束を必要に応じて拡大された均一な平行性の光束に変換する機能を併せ備えた平行光束化装置に関する。本願発明は、平行光束を必要とする任意のアプリケーションに適用可能であるが、特に、平行光束を照明、投光、情報伝達等の目的で用いる型の各種装置に有効に利用され得るものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、非平行性の光束を平行度の高い光束に変換する必要がある場合には、レンズや曲面鏡(放物面鏡等)からなる光学系が用いることが通常であった。このレンズや曲面鏡を利用した光束平行化技術は、非平行性光束源(単数または複数の光源素子あるいは光ファイバ出射端等)から多方向に出射される光を、レンズや曲面鏡の持つ光収束あるいは光発散の機能を利用して平行化するというものである。
【0003】
従って、非平行性光束源が発散性(例えば、単一の点光源)あるいは収束性(例えば、1点に向けられて配置された多数の指向性点光源)のいずれか一方の性質のみを帯びている場合には有効な平行化手段となり得るが、拡がりのある光源から多方向に向けて放射される光のように、発散性あるいは収束性の一方の性質で規定出来ないような光束を平行化することは困難であった。
【0004】
また、レンズや凹面鏡からなる光学系を利用した場合には、平行化された光束の光強度プロファイル(光束断面上における光強度分布)を平坦にすることが原理的に難しく、光強度の均一な平行光束を得る為の用途には適していない。
【0005】
更に、レンズや曲面鏡に光収束・発散機能を発揮させる為には、光軸方向に沿った距離を充分に確保する必要があるので、平行光束化装置全体の奥行き方向の寸法を小さくすることが一般に難しい。
【0006】
これらレンズや凹面鏡からなる光学系を利用する技術とは全く別型の技術として、光散乱体を用いて側方から入射させた光を正面側の光取出面から出射させる技術が知られているが(例えば、特開平2−221926号、特開平4−145485号及び実開昭51−89888号公報)、これら技術は、導光体内部あるいは表面領域に与えられた光散乱作用によって光の進行方向を出来るだけランダムなものとすることを通して光取出面から出射させる光量を確保するというものであり、光取出面からの出射光を平行化するという技術課題を前提にしたものではなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本願発明の目的は、簡単な構成で入射光束を均一な平行光束に変換し、更にそれを拡大して出力することが出来る平行光束化装置を提供することである。更に本願発明は、平行化された光束の出射方向を制御すると共に必要に応じて所望の寸法に光束断面積を拡大することが可能な平行光束化装置を提供することを企図するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本願発明は、先ず、上記目的を達成する技術手段として、「有効散乱照射パラメータE[cm-1]の値が0.5≦E≦50の範囲にあり、光散乱能を生み出す屈折率不均一構造の相関関数γ(r)をγ(r)=exp[−r/a](但し、rは光散乱導光体内の2点間距離)で近似した時の相関距離a[μm]の値が0.06≦a≦35の範囲にある一様な散乱能が与えられた楔形状断面を有する体積領域を含む光散乱導光体からなる平行光束化素子と、該平行光束化素子の前記楔形状断面の断面積が相対的に大きな方の端面側に配置された光入射手段を備えた平行光束化装置において、前記平行光束化素子の光取出面から出射された平行光束の方向特性を前記光入射方向から見た前記平行光束化素子の縦断方向に関して修正する第1のプリズム面を有する光出射方向修正手段を更に備え、該光出射方向修正手段は、前記平行光束が入射する位置に、前記該平行光束の光軸方向に対して傾斜し且つ前記光取出面に対しても傾斜した姿勢で配置され、前記第1の光出射方向修正手段から、前記平行光束化素子の光取出面からの出射時に比して拡大された断面積を持つ平行光束が出射されることを特徴とする平行光束化装置」(請求項1)を提供したものである。
【0009】
また、上記基本構成に対し、平行光束の進行方向を整えて3次元的な平行度を向上させる為に、「前記平行光束化素子の光取出面に臨み、前記光入射方向から見た前記平行光束化素子の横断方向に関して出射光束の方向特性を修正する第2のプリズム面を備えた光出射方向修正手段が、前記平行光束化素子と一体的に、あるいは別体で設けられている」(請求項2,請求項3)という要件を課した構成を提案したものである。
【0011】
【作用】
先ず、本願発明における平行光束化素子を構成する光散乱導光体の散乱特性を記述する為に使用されている散乱照射パラメータEと相関距離aについて、Debyeの理論を引用して説明する。
強度I0 の光が媒体中をy(cm)透過し、その間の散乱により強度がIに減衰した場合に、有効散乱照射パラメータEを次式(1)または(2)で定義する。
【0012】
【数1】
Figure 0003639318
上式(1),(2)は各々いわゆる積分形及び微分形の表現であって、物理的な意味は等価である。なお、このEは濁度と呼ばれることもある。
一方、媒体内に分布した不均一構造によって光散乱が起こる場合の散乱光強度は、縦偏光の入射光に対して出射光の大半が縦偏光である通常の場合(VV散乱)には、次式(3)で表される。
【0013】
【数2】
Figure 0003639318
自然光を入射させた場合には、Hh散乱を考慮して、式(3)の右辺に(1+cosΦ)/2を乗じた次式を考えれば良いことが知られている。
【0014】
【数3】
Figure 0003639318
ここで、λ0は入射光の波長、ν=(2πn)/λ0、s=2sin(Φ/2)、nは媒体の屈折率、Φは散乱角、<η>は媒体中の誘電率ゆらぎ2乗平均(以下、<η>=τとして、τを適宜使用する。)であり、γ(r)は相関関数と呼ばれるものであり、次式(6)で表わされる。
【0015】
そして、Debyeによると、媒体の屈折率不均一構造が界面を持ってA相とB相に分かれて分散している場合には、誘電率のゆらぎに関して相関関数γ(r)、相関距離a、誘電率ゆらぎ2乗平均τ等が次の関係式(7),(8)で表される。
【0016】
【数4】
Figure 0003639318
不均一構造が半径Rの球状界面で構成されているとみなせば、相関距離aは次式で表される。
【0017】
【数5】
Figure 0003639318
相関関数γ(r)についての式(6)を用い、式(5)に基づいて自然光を媒体に入射させた時の有効散乱照射パラメータEを計算すると結果は次のようになる。
【0018】
【数6】
Figure 0003639318
以上述べた関係から、相関距離a及び誘電率ゆらぎ2乗平均τを変化させることにより、散乱光強度、散乱光強度の角度依存性及び有効散乱照射パラメータEを制御することが可能であることが判る。
図1には、横軸に相関距離a、縦軸に誘電率ゆらぎ2乗平均τをとって有効散乱照射パラメータEを一定にする条件を表わす曲線が、E=50[cm−1]及びE=100[cm−1]の場合について描かれている。
【0019】
一般に、Eが大きければ散乱能が大きく、Eが小さければ散乱能が小さい、換言すれば透明に近くなる。E=0は全く散乱の無いことに対応する。
従って、大寸法の平行光束化素子にはEの小さな光散乱導光体を用い、小寸法の平行光束化素子にはEの大きな光散乱導光体を利用すれば良い。
【0020】
上記基準を考慮しつつ、平行光束化素子の実現の為の有効散乱照射パラメータEのレンジは、E=0.5〜50[cm-1]の程度となる。
【0021】
一方、相関距離aは、平行光束化素子に用いる光散乱導光体内部における個々の散乱現象における散乱光の方向特性に深く関わっている量である。即ち、上記(3)式乃至(5)式の形から推察されるように、光散乱導光体内部における光散乱は一般に前方散乱性を帯びているが、前方散乱性の強さが相関距離aによって変化する。
【0022】
図2は、これをaの2つの値について例示したグラフである。図において、横軸は散乱角度Φ(入射光線の進行方向をΦ=0°とする。)を表わし、縦軸は自然光を仮定した場合の散乱光強度、即ち、上記(5)式をΦ=0°に対して規格化した値、Vvh(Φ)/Vvh(0)を表わしている。図に併記されているように、a=0.13μm、上記(9)を用いて粒径に換算して2R=0.2μmの場合には、規格化散乱強度のグラフはΦに関する緩やかな減少関数となるが、a=1.3μm、上記(9)式による粒径換算値で2R=2.0μmの場合には、規格化散乱強度のグラフはΦが小さい範囲で急激に減少する関数となる。
【0023】
このように、光散乱導光体内の屈折率の不均一構造によって生ずる散乱は、基本的に前方散乱性を示し、相関距離aの値が小さくなると前方散乱性が弱まり、1回の散乱における散乱角度範囲が広がる傾向を持つようになると言うことが出来る。この事実自体は、実験的にも確認済みの事柄である。
【0024】
以上は平行光束化素子を構成する光散乱導光体内部に分布した屈折率不均一構造による散乱現象そのものに着目した議論であるが、平行光束化素子の光取出面から実際に出射される光の方向特性を評価する為には、光取出面における全反射の現象と光出射時の透過率(平行光束化素子からの脱出率)を併せて考慮する必要がある。
【0025】
基礎的な光学理論によって良く知られているように、光散乱導光体の内部側から光取出面に光が入射した時、光散乱導光体内外の媒質の屈折率によって決まる臨界角αc (ここでは、光取出面に立てた法線方向を0°とする。)を上回る場合には、外部(空気層)への出射(脱出)が起らない。本願発明に使用される代表的な材料であるPMMA(屈折率1.492)では、αc =42°となる。後述するように、本願発明で好適に使用される樹脂材料の屈折率は、1.4〜1.7の範囲にあるので、実際的なαc の範囲は、36.0°〜45.6°の程度の値となる。
【0026】
上述したように、光散乱導光体内部における散乱は前方散乱性を示すから、光取出面の側方に光入射面をとる通常のケースでは、光入射面から入射した光が不均一構造に遭遇して発生した1次散乱光が直ちに上記臨界角条件を満たすことは稀であると考えられる。
【0027】
換言すれば、光取出面からの光出射には、光散乱導光体内部における多重散乱や光散乱導光体の背面側の界面、あるいは反射部材による反射等を経た光が上記臨界角条件を満たして外部に出射される現象が大きく寄与しているものと思われる。
【0028】
そうだとすると、臨界角条件を満たす光に注目した場合には、個々の散乱現象の属性である前方散乱性は相当程度薄められ、光の進行方向分布には相当の拡がりが生じている筈である。従って、光散乱導光体で構成された平行光束化素子から出射される光の方向特性は、臨界角条件を満たした光の光取出面における透過率(脱出率)の角度依存性に大きく左右されることになる。
【0029】
一般に、臨界角条件をぎりぎりで満たすような場合の界面透過率は極めて低く(例えば、アクリル樹脂−空気界面の場合、P偏光成分40%程度、S偏光成分20%程度)、臨界角を下回ると急激に上昇し、5°乃至10°以上下回った条件ではほぼ一定となる(アクリル樹脂−空気界面の場合、P偏光成分90%以上、S偏光成分85%以上)。
【0030】
以上のことから、アクリル樹脂の場合で言えば、光取出面への入射角が35°〜40°前後の光が、平行光束化素子の光取出面からの光出射に最も寄与しているものと考えられる。光取出面における屈折を考慮に入れると、35°〜40°の入射角で光取出面に入射した光は、光取出面に立てた法線に対して65°付近から前後10度程度の範囲内に収まる方向へ向けて出射される。
【0031】
平行光束化素子を構成する光散乱導光体にアクリル樹脂以外の材料を使用した場合でも、実際的な材料の屈折率の範囲は1.4〜1.7の程度であるから、上記角度に数度程度のずれを見込めば、全く同様の議論が成立する。
【0032】
即ち、平行光束化素子の光取出面からの出射光は、粗く見積って光取出面表面に対して20°〜30°前後も立ち上がった方向に明瞭な指向性を有する光となる。
【0033】
但し、ここで注意すべきことは、相関距離aの値が余り小さくなると、前方散乱性そのものが薄れてしまい、一次散乱のみで後方散乱を含む広範囲の散乱光が発生するようになる為に、この指向性が弱まってしまうことである。本願発明では、このような現象が顕著とならないような光散乱導光体(以下、[指向出射性の光散乱導光体」と呼ぶ。)で構成された平行光束化素子を使用する。これを相関距離aの数値で言えば、0.06μm〜35μmの程度となる。光散乱導光体を異屈折率粒子を分散させた場合には、(9)式から、粒子径0.1μm〜54μmの範囲がこれに対応することになる。
【0034】
本願発明は、光散乱導光体をこのような指向出射性が発揮される条件下で平行光束化素子として使用することにより、簡単な構成で入射光束を均一な平行光束に変換し、また必要に応じて、平行化された光束の出射方向を光出射方向修正素子を利用して更に制御しつつ所望の寸法に拡大出来るようにしたものである。
【0035】
これら平行光束化素子と組み合わせて配置される各手段の機能、平行光束化素子を楔形状断面の光散乱導光体で構成することの意義及び光散乱導光体の材料と製法については、次記実施例の中で述べることとする。
【0036】
【実施例】
図3は、本願発明の平行光束化装置の前提となる基本型の配置を表わした断面図であり、その平行光束化機能を実証する為に行なった光計測の条件を説明する為のデータが併記されている。
【0037】
図3において、1は指向出射性の光散乱導光体からなる楔形状の平行光束化素子で、ここではポリメチルメタクリレート(PMMA)中にシリコン系樹脂材料(屈折率=1.4345)を0.07wt%の割合で一様に分散させたものを使用し、サイズは、図中左右方向の長さが68mm、幅が85mm、光入射面2側の端部で4.0mm、末端部3で0.2mmとした。Lは平行光束化素子1の入射面2から1mm離して配置された直径3mmの蛍光ランプで、このランプlから右方に向かって光を入射させ、光取出面5から平行化された光束を取り出す配置とした。また、Rは入射面2から入射する光量を出来るだけ多くする為に適宜配置される反射手段で、ここでは銀箔を用いた。
【0038】
平行光束化素子1の裏面4には、光拡散インキパターンや凹凸拡散面等、強い光散乱を生じさせる為の処理は特に施されていない。そして、裏面4に対向しては、裏面4から出射される光を平行光束化素子1内に復帰させる為の反射体Sが適宜を配置される。反射体Sを配置しない条件、拡散反射性のもの(白色シート等)を配置する条件及び正反射性のもの(銀箔シート、アルミニウム箔等)を配置した条件の各々で得られる平行化光束の特性には若干の差が生じる(後述する実測データ参照)。
【0039】
以下、このような基本型の平行光束化装置が作用の欄で述べた平行光束化機能を有していることを確認する為に行なった2種類の光計測について説明する。
[計測I]
先ず、光取出面5から出射される光の指向性を確認する為に、輝度計M(ミノルタ製LS110;測定視野角1/3°、クローズアップレンズ装着)を、測定光軸6が光取出面5の中央部の1点Pと交わるように配置し、平行光束化装置全体を点Pを中心として半径203mm(輝度計に指定された基準位置と点P間の距離)で回転させて、測定光軸6と光取出面5となす角度φを変えながら光計測を行なった。平行光束化素子1の裏面4側に配置する反射体Sの有無及び拡散反射性/正反射性による特性の差についても検証する為に、反射体Sについて、「反射体Sなし」、「反射体Sに白色シート使用」、「反射体Sに銀シート使用」という3条件の下でデータを採取した。
【0040】
その結果は図4に示した通りである。グラフの横軸は輝度計Mの光軸6と光取出面5のなす角度を表わし、縦軸はnit(cd/m2 )で示した輝度を表わしている。但し、φの90°からのずれに応じた計測面積の変動を補償する為に、見かけの実測値に補正係数としてsin φを乗じたものがプロットされている。このグラフから次のことが直ちに読み取れる。
【0041】
(1)反射シートの条件の如何に関わらず、光取出面5からの出射光には明瞭な指向性があり、その中心角度は25°あるいはこれをやや上回る範囲にあること。
(2)反射シートSに正反射性の銀シートを用いた場合の指向性が最も明瞭であり、且つ、明るさのピーク値が高いこと。その理由は、反射シートSに拡散性があると光散乱導光体内における光進行方向の分布がよりランダムとなり、広範囲の角度で光出射が起ってしまうことによるものと思われる。
(3)反射シートSを配置しない場合には、明るさのピーク値が相当程度低下すること。これは、平行光束化素子1の裏面から出射された光が無駄になることによる当然の結果であろう。
【0042】
以上のことから、平行光束化素子1の裏面には正反射性の反射体を配置することが好ましいと考えられる。なお、反射シートSに銀シート、アルミニウムシート等を用いる場合には、紫外線と空気との接触による酸化作用に起因した反射性の劣化を防止し、反射シートに皺がよることを防ぐ為には、これらシートを平行光束化素子1の裏面4に固着させてしまうことが好ましい。後述するように、平行光束化素子1は射出成形法で製造することが出来るから、紫外線吸収性の接着剤を用いたインモールド法によって平行光束化素子1と反射シートSを一体化することも一法である。
【0043】
[計測II]
次に、図3に示した基本型の配置において、光取出面5から出射される光の均一性を確認する為に、計測Iで使用したのと同じ輝度計Mを指向性の概略の中心角度φ=25°の姿勢を保ったまま、輝度計Mに指定された基準位置と点P間の距離を203mmに維持しつつ、光取出面5に沿って末端部3に対する遠近方向へ平行移動させた場合の輝度変化を実測した。計測Iの場合と同様に、平行光束化素子1の裏面4側に配置する反射体Sの有無及び拡散反射性/正反射性による特性の差についても検証する為に、反射体Sについて、「反射体Sなし」、「反射体Sに白色シート使用」、「反射体Sに銀シート使用」という3条件の下でデータを採取した。その結果は図5〜図7に示した通りである。グラフより、次のことが確認された。
【0044】
(1)反射シートの条件の如何に関わらず、光取出面5からの出射光には高い均一性があり、その範囲は平行光束化素子1のほぼ全長に亙っている。なお、d=60mmの付近で輝度が急激に低下しているのは、平行光束化素子1の光入射面2側の端部数mmに亙って光取出面5表面を反射シートRの端部で覆ったことによる。
【0045】
(2)反射シートSに正反射性の銀シートを用いた場合が、明るさのレベルが特に高く、また均一性も優れていること。
【0046】
(3)反射シートSを配置しない場合には、明るさ全体が相当程度低下すること。これは、計測Iの場合と同じく、平行光束化素子1の裏面から出射された光が無駄になることによる当然の結果と思われる。
【0047】
(4)図5〜図7のいずれのグラフにおいても、光入射面2の近傍においてやや均一性が低下し、輝度ムラが発生している。この現象は、平行光束化素子1の裏面4、反射シートS及び光取出面5の表面反射による光源の映り込みに起因したものである。この映り込みは、光入射面2の近傍で楔形状の傾斜を逆転あるいは緩和することや、光入射面2の近傍の裏面領域の裏面をシボ面とすることによって軽減されることが確認されている。
【0048】
以上、計測I,IIを通して、図3に示したような基本型の配置により、指向性が乏しいランプLの入射光が、均一で明瞭な指向性を有する平行光束に有効に変換されることが確かめられた。
さて、このように光源Lの光が光取出面3から平行光束化されて出射される理由については作用の説明の欄で述べた通りであるが、光源Lから出射される光に対して光取出面5から平行化されて出射する光の割合が高くなり、且つ、光強度の均一度が極めて高いのは、楔形の断面形状を有していることが大きく寄与しているものと考えられる。
【0049】
図8は、これを説明する為に、図3の配置で用いられている楔形状の光散乱導光体で構成された平行光束化素子1の断面図であり、その内部における繰り返し反射の様子が、光入射面2から平行光束化素子内部に取り込まれる光が光線B0 で代表させて描かれている。光源Lは楔形の1側端部に形成された光入射面2に面して配置されるから、代表光線B0 は、図示したように水平方向と小さな角度をなしているものと考えることが出来る。
【0050】
この光線B0 の挙動を考察してみると、光線B0 は、一定割合で散乱による方向転換を受けながら、図示したように光取出面5とこれに対して傾斜した裏面4において反射を繰り返して、平行光束化素子1の厚みの薄い部分へ近づいていく。面4,5の内側表面における反射は正反射であるから、個々の反射における入射角と反射角は等しい(θ1 ,θ2 ,θ3 ・・・・)。ここで、光取出面5における各回の反射に注目すると、θ2 >θ4 >θ6 ・・・の関係が成立していることが判る。
【0051】
更に、各反射時における界面透過率を考えてみると、光散乱導光体の指向出射性の場合と同様の議論によって、θi >αc (臨界角;PMMA−空気界面で42°)の条件では全反射が起こり、θi がαc を下回ると透過率が急上昇し、θi が所定値(PMMA−空気界面で35°前後)以下で透過率はほぼ一定となる。図では、θ2 >αc >θ4 >θ6 の関係によって、出射光B4 ,B6 が生じている様子が描かれている。
【0052】
このような効果は、代表光線B0 (無散乱光)に限らず、1次散乱光や多重散乱光についても同様に生じている筈であるから、平行光束化素子1全体としては光入射面2から遠ざかる程光取出面5からの光出射率を高める効果を生んでいるものと考えられる。この効果を、光入射面2からの距離xの関数f(x)で評価すると、f(x)はxに関する増加関数である。一方、光入射面2に近い部分では光源Lに近いという効果が直接光、散乱光いずれについても働く。この近接効果をg(x)で評価すれば、g(x)は減少関数となる。
【0053】
従って、近接効果g(x)がf(x)によって相殺され、より遠くまで光を導いた上で光取出面5から光を出射させる傾向が生まれることになる。また、平行光束化素子1内の光が光取出面5に入射する機会も、楔形状の効果によって入射面2から遠ざかるにつれて増大する傾向を持ちつつ全体的に増大すると考えられるから、光取出面5全体に亙って輝度レベルを一段と向上させる効果も生じているものと思われる。
【0054】
なお、両面4,5のなす角度ψに絶対的な制限は特にないが、明るさのレベル、均一度、指向特性等を考慮した実際的な範囲としては、0.5°≦ψ≦5°が考えられる。また、傾斜した裏面4(場合によっては光取出面5)を曲面とすることにより、反射角θ1 、θ2 、θ3 ・・・・の増大推移を制御し、より望ましい特性を実現することも可能である。
【0055】
以上述べた断面楔形状の光散乱導光体を採用したことによる効果は、裏面4に沿って反射体を配置した場合にも同様に成立することは明らかであるが、平行光束化を阻害しない為には、拡散反射性の反射体よちも正反射性を有する反射体を配置することがより好ましいことは明らかであり、このことは上述した実測データでも裏付けられている。
【0056】
次に、図9は、本願発明に従って拡大型の配置を採用した平行光束化装置に係る実施例を表わした断面図であり、拡大化機能を分かりやすくする為に、実際的な寸法データが具体的に例示併記されている。
【0057】
図9において、Fで示された部分は、図3に示した基本型の配置とサイズデータ以外は同じものである。即ち、1は指向出射性の光散乱導光体からなる楔形状の平行光束化素子で、ポリメチルメタクリレート(PMMA)中にシリコン系樹脂材料(屈折率=1.4345)を0.01wt%の割合で一様に分散させたもので構成されている。裏面4の長さサイズは図中に示した通り38mmであり、入射面2側の端部の厚みは1.0mmである。末端部3の厚みは図3と同じ0.2mm程度とする。幅については適宜の値(例えば、200mm)とすることが出来る。
【0058】
Lは平行光束化素子1の入射面2から1mm離して配置された直径8mmの蛍光ランプで、このランプlから右下方に向かって光を入射させ、光取出面5から平行化された光束が取り出される。また、Rは入射面2から入射する光量を出来るだけ多くする為に適宜配置される銀箔である。また、平行光束化素子1の裏面4に対向して、銀箔Sを配置した。
【0059】
この拡大型の配置が図3の基本型の配置と本質的に異なる点は、光入射方向から見た平行光束化素子1の縦断方向に関して出射光束の方向特性を修正する光出射方向修正手段が、平行光束化素子1の光取出面5から出射された平行光束が入射する位置に、該平行光束の光軸方向に対して傾斜し且つ導光板の光取出面に対しても傾斜した姿勢で配置され、光出射方向修正手段から拡大された平行光束が出射されることである。なお、光出射方向修正素子PRとほぼ平行に反射体として銀箔S’を配置し、光出射方向修正素子PRとの間に平行光束の通路となる中空部が形成される形とした。
【0060】
この光出射方向修正素子PRは、基本配置部分Fで生成された平行光束の光軸方向を所要方向へ転換すると共にそのフラックスの断面積を拡大する機能を有するものである。ここでは、平行光束の光軸方向Gが光取出面5となす角度を約60°として、出射光束7を図中上方に向けて方向転換すると共に、145/38=約3.8倍の拡大が平行光束化素子1の縦断方向に関して行なわれている。
【0061】
以下、光出射方向修正素子PRの代表的な構造とその作用の概略を図10(a),(b)を参照して説明する。なお、ここでは、光出射方向修正素子PRはポリカーボネート(PC;屈折率n2 =1.59)製とする。
【0062】
光出射方向修正素子PRはプリズム作用を利用して光の方向特性を修正する機能を持った素子で、図10(a)のように多数のプリズム面H1 ,H1 ’・・を列状に形成した面を光入射面とするか、逆に図10(b)のように多数のプリズム面J1 ,J1 ’・・を列状に形成した面を光取出面として使用する。
【0063】
先ず、図10(a)のケースを説明すると、G1 ,G2 は図9の平行光束を代表させた光線であり、その方向はGに一致し、且つ、光出射方向修正素子PRの延在方向に対して傾斜(直交しない)している。
【0064】
代表光線G1 ,G2 は、空気層7(屈折率n0 =約1.0)を直進した後、光出射方向修正素子PRのプリズム面H1 ’に垂直に近い角度で入射する。反対側のプリズム面H1 ,H2 に入射する割合は相対的に小さい。従って、代表光線G1 ,G2 はプリズム面H1 ’までほぼ直進して正反射され、光出射方向修正素子PRの平坦面8に対して垂直方向に近い角度で入射し、光線光出射方向修正素子PRの平坦面8から垂直方向に近い角度で出射される。
【0065】
なお、平行光束化装置全体を薄型に構成する為には、平行光束の光軸Gの方向を、光出射方向修正素子PRの延在方向に対して小さな角度をなすようにすることが好ましい。そして、その場合には、平行光束入射側のプリズム面H1 ,H2 ・・は平行光束がほぼ垂直に入射するような面方向(光出射方向修正素子PRの延在方向と直角に近い角度)を有し、他方のプリズム面H1 ’,H2 ’・・は内部反射された光が平坦面8にほぼ垂直に入射するような面方向(出射方向修正素子PRの延在方向に対して45°をやや上回る角度)を有していることが好ましい。
【0066】
次に図10(b)は、図9に示した配置における光出射方向修正素子PRを、そのプリズム面を外側に向けて配置した場合の光の挙動を説明する断面図である。図10(a)の場合と同様に図9の平行光束を代表する光線G1 ,G2 は、光出射方向修正素子PRの延在方向に対して傾斜(直交しない)している。代表光線G1 ,G2 は、空気層7(屈折率n0 =約1.0)を直進した後、光出射方向修正素子PRの平坦面8’に傾斜した角度で入射してやや上方に向けて屈折する。
【0067】
そして、反対側のプリズム面J1 ,J2 から出射される。その際、更に上方へ向けて再屈折されるから、光出射方向修正素子PRの延在方向に対して垂直方向に近い角度の出射方向が実現される。
【0068】
以上、図9の配置に、図10(a),(b)いずれのケースを適用した場合でも、プリズム角θh ,θj 、光出射方向修正素子PRと平行光束光軸Gの傾斜角度あるいは光出射方向修正素子PRの屈折率等を適当に選択することによって、相当程度の範囲に亙って光の出射方向を制御出来ることは特に説明を要しないであろう。また、光出射方向修正素子PRと平行光束光軸Gの傾斜角度が小さい程平行光束の拡大率が大きく出来る傾向があることも容易に理解されるところである。
【0069】
なお、光出射方向修正素子PRは、図示したように列状にプリズム面が形成されたものに限らず、いかなる型のものを使用しても良い。例えば、3角錐状あるいはドーム状の突起群を分布させたフィルム、かまぼこ形断面を有する列状凸部を有する板状素子等が考えられる。また、複数枚重ねて使用することも考えられる。
【0070】
また、図9の配置を対向した向きで並列配置し、2灯式としてほぼ倍のサイズ(本例では、145×2=290mm程度)の平行光束を得ることも出来る。その際に、光出射方向修正素子PRを倍のサイズの1個のみとすることも可能である。
【0071】
さて、ここまでの説明における平行光束化素子1の平行光束化作用及び光出射方向修正素子PRの光出射方向修正作用は、光入射面2の側から見て平行光束化素子1の縦断方向に関するものである。本願発明は、光入射面2の側から見て平行光束化素子1の横断方向に関して平行光束性を向上させる手段をも提供するものである。以下、図11及び図12を参照してこの手段について説明する。
【0072】
図11(a),(b)は、この横断方向の光出射方向修正手段を、平行光束化素子1’,1”の光取出面にプリズム面5’,5”として形成した例を表わしている。
【0073】
図11(a)では、平行光束化素子1’の光取出面5’が横断方向に繰り返される3角プリズム凹凸面として形成されている。その光出射方向修正作用を支える現象は、次のようなものであると推定される。即ち、平行光束化素子1’の横断方向の断面について平行光束化素子1’から出射され得る光の挙動を考察して見ると、図13に示されているように、図中左右方向に近い進行方向を有する光線B1 ,B2 と上方向へ向かう光線B3 が混在しているものと考えることが出来る。
【0074】
先ず、左右方向に近い進行方向を有する光線B1 ,B2 は、図示されているように、平行光束化素子1’の光取出面に形成されたプリズム面5a’,5b’の一方から一旦空気層7へ出射されるが、その相当部分は他方のプリズム面5b’,5a’で正反射して上方向へ光線B1 ’,B2 ’として出射される。
一方、上方へ向かう光線B3 は、図示されているように、一方のプリズム面5a’で反射されてから、他方のプリズム面5b’を通過して一旦空気層7へ出射されるが、その相当部分は隣接したプリズム面5a’で正反射して上方向へ光線B3 ’として出射されるものと考えることが出来る。なお、光出射方向修正機能を良好に発揮させる上で好適なプリズム頂角(プリズム面5a’,5b’のなす角度)の大きさは、80°〜110°程度である。
【0075】
図11(b)は、平行光束化素子1”の光取出面5”に横断方向に繰り返し形成されるプリズム凹凸面を曲面とした例であり、その作用は図11(a)の場合とほぼ同様である。
【0076】
このようなプリズム面を有する平行光束化素子1’,1”を得る為には、例えば、平行光束化素子を射出成形によって製造する際に使用する金型の対応部分の内面形状を対応するプリズム面に合致したものとすれば良い。
【0077】
図12は、光入射面側から見て横断方向に関して平行光束性を向上させる手段として、平行光束化素子1とは別体の光出射方向修正素子PR’を用いた例を表わしている。この光出射方向修正素子PR’は、図9の拡大型配置における光出射方向修正素子PRの場合と同様作用を平行光束化素子1の横断方向について発揮するものである。即ち、平行光束化素子1の光取出面に対して小さな角度で出射された光をプリズム作用によって、光取出面に対して直交する方向へ立ち上げるように修正するものである。
【0078】
これら図11,図12で説明したような横断方向の光出射方向修正手段は、図3に示した基本型配置に適用してそのまま使用しても良いことは勿論であるが、これを図9における基本型配置部分Fに適用すれば、縦横両方向の平行性がより改善された拡大平行光束を得ることが出来る。
【0079】
なお、以上述べたいずれの事例においても、光源として棒状の蛍光ランプを用いられているが、本願発明が光源の種類、形状等に格別の制限を設けるものでないことは、本願発明の原理とこれまで説明事項に照らして明らかであろう。例えば、光拡散性の面光源の光を平行光束化素子の光取出面から入射させても良いし、発光ダイオードアレイからの複数ビームを入射光として、これを均一な平行光束に変換することも出来る。
【0080】
最後に、本願発明に使用される光散乱導光体の材料及び製造方法について説明する。
本願発明で使用する平行光束化素子を構成する光散乱導光体のベースには、ポリマー材料をベースとした種々のものが利用可能である。これらポリマーの代表的なものを下記の表1及び表2に示した。
【0081】
【表1】
Figure 0003639318
【0082】
【表2】
Figure 0003639318
このようなポリマー材料をベースとする平行光束化素子は、次のような製造法によって製造することが可能である。
先ず、その1つは、2種類以上のポリマーを混練する工程を含む成形プロセスを利用する方法である。
即ち、2種類以上の屈折率の相互に異なるポリマー材料(任意形状で良い。工業的には、例えばペレット状のものが考えられる。)を混合加熱して、練り合わし(混練工程)、混練された液状材料を射出成形機の金型内に高圧で射出注入し、冷却固化することによって成形された平行光束化素子を金型から取り出せば金型形状に対応した形状の平行光束化素子を得ることが出来る。
【0083】
混練された2種類以上の異屈折率のポリマーは完全には混ざり合うことなく固化するので、それらの局所的濃度に不均一(ゆらぎ)が生まれて固定され、一様な散乱能が与えられる。
また、混練された材料を押し出し成形機のシリンダー内に注入し、通常のやり方で押し出せば目的とする成形物を得ることが出来る。
【0084】
これらポリマーブレンドの組合せや混合割合については、非常に幅広い選択が可能であり、屈折率差、成形プロセスで生成される屈折率不均一構造の強さや性質(散乱照射パラメータE、相関距離a、誘電率ゆらぎ2乗平均τ等)を考慮して決定すれば良い。なお、使用し得るポリマー材料の代表的なものは前記表1及び表2に示されている。
【0085】
平行光束化素子を構成する材料の製造法の別の1つは、ポリマー材料中に屈折率の異なる(0.001以上の屈折率差)粒子状材料を一様に混入分散させるものである。
そして、粒子状材料の一様混入に利用可能な方法の1つにサスペンション重合法と呼ばれる方法がある。即ち、粒子状材料をモノマー中に混入し、湯中に懸濁させた状態で重合反応を行なわせると、粒子状材料が一様に混入されたポリマー材料を得ることが出来る。これを原材料に用いて成形を行なえば、所望の形状の平行光束化素子が製造される。
【0086】
また、サスペンション重合を種々の粒子状材料とモノマーの組合せ(粒子濃度、粒径、屈折率等の組合せ)について実行し、複数種類の材料を用意しておき、これを選択的にブレンドして成形を行なえば、多様な特性の平行光束化素子を製造することが出来る。また、粒子状材料を含まないポリマーをブレンドすれば、粒子濃度を簡単に制御することが出来る。
【0087】
粒子状材料の一様混入に利用可能な方法の他の1つは、ポリマー材料と粒子状材料を混練するものである。この場合も、種々の粒子状材料とポリマーの組合せ(粒子濃度、粒径、屈折率等の組合せ)で混練・成形(ペレット化)を行なっておき、これらを選択的にブレンドして平行光束化素子を成形製造することにより、多様な特性の平行光束化素子を得ることが出来る。
【0088】
また、上記のポリマーブレンド法と粒子状材料混入方法を組み合わせることも可能である。例えば、屈折率の異なるポリマーのブレンド・混練時に粒子状材料を混入させることが考えられる。
【0089】
以下、製造法の幾つかの実例を挙げておく。
<製造例1>
メタクリル樹脂のペレット(旭化成製、デルベット80N)に粒径0.8μmのシリコン系樹脂粉体(東芝シリコン製、トスパール108)を0.3wt%添加し、ミキサーで混合分散させた後、押し出し機でストランド状に押し出し、ペレタイザーでペレット化することにより、シリコン系樹脂粉体が均一に分散されたペレットを調製した。
【0090】
このペレットを射出成形機を用い、シリンダー温度230゜C〜260゜C、型温度50゜Cの条件で成形して、縦68mm、横85mmで厚さが長辺方向に3.8mmから0.2mm迄徐々に変化した楔型の平行光束化素子を得た。
【0091】
製造された平行光束化素子の相関距離はa=0.53μmであり、有効散乱照射パラメータの前記(11)式による見積計算値はE=12.6[cm-1]であった。
【0092】
<製造例2>
MMAに粒径0.8μmのシリコーン系樹脂粉体(東芝シリコン製、トスパール108)を0.3wt%添加し、公知のサスペンション重合法により、該粉体が均一に分散した球状粒子を得た。これを製造例1と同様にペレタイザーでペレット化することにより、シリコーン系樹脂粉体が均一に分散されたペレットを調製した。
【0093】
以下、製造例1と同じ条件で同型の楔状平行光束化素子を得た。この平行光束化素子は、製造例1で作製された平行光束化素子と外観上全く区別がつかないものであった。そして、相関距離はa=0.53μmであり、有効散乱照射パラメータの前記(11)式による見積値はE=12.6[cm-1]であった。
【0094】
<製造例3>
ポリメチルメタクリレート(PMMA)にポリスチレン(PSt)を0.5wt%添加し、V型タンブラーを用いて10分間、次いでヘンシェルミキサーを用いて5分間混合した。これを径30mmの2軸押し出し機[ナカタニ機械(株)製]を使って、シリンダー温度220゜C〜250゜C、スクリュー回転数75rpm、吐出量6kg/hrの条件で融解混合してペレットを作成した。
【0095】
このペレットを射出成形機を用い、シリンダー温度220゜C〜250゜C、型温度65゜C、射出速度中速、射出圧力ショートショット圧プラス10kg/cm2 の条件で成形して、縦68mm、横85mmで厚さが長辺方向に3.8mmから0.2mm迄徐々に変化した楔型の平行光束化素子を得た。
【0096】
<製造例4>
MMA(メチルメタクリレート)に粒径2μmのシリコン系樹脂粉体(東芝シリコン製、トスパール120)を各々0.05wt%、0.08wt%、0.10wt%、0.15wt%を加えて均一に分散した4種類の試料と粒子無添加のMMA試料を用意し、計5種類の試料の各々にラジカル重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド(BPO)0.5wt%、連鎖移動剤としてn―ラウリルメルカプタン(n−LM)を0.2wt%加え、70℃で24時間注型重合させて縦68mm、横85mmで厚さが長辺方向に3.8mmから0.2mm迄徐々に変化した楔型の平行光束化素子を1枚づつ作製した。
【0097】
<製造例5>
MMA(メチルメタクリレート)にシリコーンオイルを0.025wt%加えて均一に分散させ、ラジカル重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド(BPO)を0.5wt%、連鎖移動剤としてn―ブチルメルカプタン(n−BM)を0.2wt%、各々加え、70℃で30分間にわたりゾル化を行なった上で、更に65℃で24時間注型重合させて縦68mm、横85mmで厚さが長辺方向に3.8mmから0.2mmまで徐々に変化した楔型の平行光束化素子を作製した。
【0098】
<製造例6>
PMMA(ポリメチルメタクリレート)に粒径2μmのシリコン系樹脂粉体(東芝シリコン製、トスパール120)を0.08wt%加え、V型タンブラを用いて10分間、次いでヘンシェルミキサを用いて5分間混合した。これを2軸押し出し機で溶融混合(シリンダ温度220℃〜250℃)・押出成形して、ペレットを作製した。
【0099】
このペレットを射出成形機を用いてシリンダ温度220℃〜250℃の条件で射出成形し、縦68mm、横85mmで厚さが長辺方向に3.8mmから0.2mmまで徐々に変化した楔型の平行光束化素子を作製した。
【0100】
【発明の効果】
本願発明によれば、従来のレンズや曲面鏡を利用した方法では困難であった無秩序な方向性を有する光束の平行化と断面積拡大が達成される。また、その際に得られる平行光束は、そのフラックス断面の強度プロファイルの平坦度が高いことも従来の方法には期待し得なかった利点である。
【0101】
更に、本願発明では、光入射面側から見て横断方向に関しても平行度を向上させる技術手段を提供したので、非平行性の光束を3次元的な意味で高い平行性を有する光束に変換することも可能となった。
【0102】
即ち、本発明では、平行光束化の機能に加えて光束を均一に拡大する機能を併せ持った平行光束化装置を実現することにも成功したので、全体を薄型とした構成で比較的大きな断面積を有する平行光束を必要とするアプリケーションに充分対応出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 横軸に相関距離a、縦軸に誘電率ゆらぎ2乗平均τをとって有効散乱照射パラメータEを一定にする条件を表わす曲線を、E=50[cm-1]及びE=100[cm-1]の場合について描いたものである。
【図2】 相関距離aによって平行光束化素子の前方散乱性の強さが変化することを説明するグラフである。
【図3】 本願発明の平行光束化装置の前提となる基本型の配置を表わした断面図に、平行光束化機能を実証する為に行なった光計測の条件を説明する為のデータを併記したものである。
【図4】 図3に示した配置における出射光の指向性を確認する為に行なった測定の結果をグラフで示したものである。
【図5】 図3に示した配置における出射光の均一性を確認する為に行なった測定の結果を示したものであり、平行光束化素子の裏面側に反射シートを配置しない条件下で得られたデータをグラフ化したものである。
【図6】 図3に示した配置における出射光の均一性を確認する為に行なった測定の結果を示したものであり、平行光束化素子の裏面側に白色シートを配置した条件下で得られたデータをグラフ化したものである。
【図7】 図3に示した配置における出射光の均一性を確認する為に行なった測定の結果を示したものであり、平行光束化素子の裏面側に銀シートを配置した条件下で得られたデータをグラフ化したものである。
【図8】 図8は、楔形状の光散乱導光体で構成された平行光束化素子1の内部における繰り返し反射の様子を説明する図である。
【図9】 本願発明に従った拡大型の配置に係る平行光束化装置の実施例を表わした断面図であり、実際的な寸法データが具体的に例示併記されている。
【図10】 図9の拡大型の配置で用いられている光出射方向修正素子の作用を説明する図で、(a)にはプリズム面側から光を入射させた場合の代表光線の光路、(b)は平坦面側から光を入射させた場合の代表光線の光路が各々描かれている。
【図11】 横断方向の光出射方向修正手段を、平行光束化素子の光取出面に形成されたプリズム面とした例を表わす図であり、(a)は3角プリズム凹凸面を形成した場合、(b)はプリズム凹凸面を曲面とした例を表わしている。
【図12】 光入射面側から見て横断方向に関して平行光束性を向上させる手段として、平行光束化素子とは別体の光出射方向修正素子を用いた例を表わした図である。
【図13】 図11(a)で使用されている平行光束化素子1’の光取出面5’に形成されている3角プリズム凹凸面の横断方向光出射方向修正機能作用を説明する図である。
【符号の説明】
1,1’,1” 平行光束化素子
2 光入射面
3 末端部
4 裏面
5 光取出面
5’,5” プリズム面を形成した光取出面
6 輝度計の光軸
7 空気層
F 基本型部分
G 平行光束の光軸
L 蛍光ランプ
M 輝度計
PR 光出射方向修正素子
R,R’ 反射シート(銀箔)
S,S’ 反射体(銀箔、白色シート)

Claims (3)

  1. 有効散乱照射パラメータE[cm-1]の値が0.5≦E≦50の範囲にあり、光散乱能を生み出す屈折率不均一構造の相関関数γ(r)をγ(r)=exp[−r/a](但し、rは光散乱導光体内の2点間距離)で近似した時の相関距離a[μm]の値が0.06≦a≦35の範囲にある一様な散乱能が与えられた楔形状断面を有する体積領域を含む光散乱導光体からなる平行光束化素子と、該平行光束化素子の前記楔形状断面の断面積が相対的に大きな方の端面側に配置された光入射手段を備えた平行光束化装置において、
    前記平行光束化素子の光取出面から出射された平行光束の方向特性を前記光入射方向から見た前記平行光束化素子の縦断方向に関して修正する第1のプリズム面を有する光出射方向修正手段を更に備え、
    第1の光出射方向修正手段は、前記平行光束が入射する位置に、前記該平行光束の光軸方向に対して傾斜し且つ前記光取出面に対しても傾斜した姿勢で配置され、前記第1の光出射方向修正手段から、前記平行光束化素子の光取出面からの出射時に比して拡大された断面積を持つ平行光束が出射されることを特徴とする平行光束化装置。
  2. 前記平行光束化素子の光取出面に臨み、前記光入射方向から見た前記平行光束化素子の横断方向に関して出射光束の方向特性を修正する第2のプリズム面を有する光出射方向修正手段が、前記平行光束化素子と一体的に設けられていることを特徴とする請求項1に記載された平行光束化装置。
  3. 前記平行光束化素子の光取出面に臨み、前記光入射方向から見た前記平行光束化素子の横断方向に関して出射光束の方向特性を修正する第2のプリズム面を有する光出射方向修正手段が、前記平行光束化素子と別体で設けられていることを特徴とする請求項1に記載された平行光束化装置。
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