JP3639252B2 - 乾燥装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、長靴や衣服等の身装品或いは調理用具等任意の被乾燥物を、収納部内に取出し可能に収容して乾燥させる乾燥装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、扉及び棚部を備えた乾燥室を複数段に形成した収納部内で、被乾燥物としての多数の長靴を取出し可能に収容して乾燥させる乾燥装置は、特開平11−30479号公報で示されるように既に知られている。
この乾燥装置は、各乾燥室に通ずる一側に吸気ファン及び送気ファンを備えた中空状の送気部を設置すると共に、他側に乾燥室に送風された空気を他方の乾燥室側に送風する送気案内部を設け、収納部内で循環する空気をヒータ部で加熱するようにしていると共に、各乾燥室は長靴の底面を棚板又は棚杆で受けて通常姿勢で載置する棚部を設けた構造にしており、また長靴を上向きの反転姿勢で支持する反転支持構造としては、長靴を上向きにした反転姿勢で内部に支持棒を差し込んで支持せしめる構成が記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記公報で示されるような構成の乾燥装置の収納部は、長靴を受けて通常姿勢で載置し乾燥保管する棚部を全ての乾燥室に設けた棚部構造にしているので、内部に厚いフェルト等の防寒部材を張設しているような防寒用長靴を、洗濯した直後に水切りをしないまま通常姿勢で乾燥しようとすると、日数(時間)を大幅に要するため実用に不適切であると共に、上記防寒用長靴は防寒部材が洗濯時に多量の水を含浸し速やかな乾燥使用を不能にするので、その洗濯が敬遠され不衛生な使用を強いられる等の欠点がある。
また長靴を上向きにした反転姿勢で内部に支持棒を差し込んで支持せしめる反転支持構造のものは、長靴の筒部内に加熱された空気を下方から送風する際に、支持棒が支障し空気の入流を妨げるものであると共に、またこの棚部で長靴を通常姿勢に切り換えて通常姿勢で収容することができない等の課題がある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明による乾燥装置は、第1に、長靴W等の被乾燥物を取出し可能に収容する乾燥室を複数段に形成してなる収納部2と、該収納部2内の空気を左右方向に送風して循環させる送気部3と、収納部2内で循環される空気を加熱するヒータ部3bを備えた乾燥装置1において、前記複数段の乾燥室のうち、最下段の乾燥室に被乾燥物を上下反転姿勢で支持せしめて乾燥させる反転切換可能な反転支持構造6を設けるとともに、該最下段の乾燥室の下部に送気部3から送風される除湿加熱空気を導入して該乾燥室内の下方から上方に向けて送風するバイパス路76を送気部3に接続して設け、該最下段の乾燥室を最も短時間に被乾燥物を乾燥させる最急速乾燥室21としたことを特徴としている。
【0005】
第2に、反転支持構造6によって反転姿勢で支持される被乾燥物の下方に、該被乾燥物から滴下する水を受けて収納部2から排出する排水構造5bを設けることを特徴としている。
【0006】
第3に、収納部2に形成した複数段の乾燥室のうち、最上段の乾燥室を被乾燥物に送気流と共に異なる方向から他の送気流を送風せしめて急速乾燥をさせる急速乾燥室22となし、他の乾燥室を通常乾燥状態で被乾燥物を保管する通常乾燥室23として形成することを特徴としている。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。符号1は本発明の一実施形態を示す乾燥装置であり、図1で示す乾燥装置1は、被乾燥物として作業用の長靴Wを一対づつ多数収容せしめて乾燥させる、後述する棚部構造を備えた履物収納部としての中空室状の収納部2と、該収納部2の一側(右側)に設置されて収納部2内に空気を送風せしめる送気部3と、上記収納部2の他側(左側)で上下方向に設置されて、収納部2内の空気を転向させて収納部2内を通し送気部3側に循環せしめる送気案内部4等から構成している。
【0008】
そしてこの実施形態の乾燥装置1は、図2で示すように上記の構成要素を上下に横一直線状に分割することにより、上部乾燥本体1a側と下部乾燥本体1b側とにアッシー状に分割形成しており、これにより収納部2に後述するように多くの長靴Wを各収容載置可能な棚部5の設置構造及びその製作等を、簡潔で廉価なものにするようにし、また大型になる乾燥装置1を上下に分割したコンパクトな姿によって、その運搬及び据え付け等の作業を能率よく簡単に行うようにしている。
さらに、上部乾燥本体1aの下部面と下部乾燥本体1bの上部面はそれぞれ平坦面に形成し、両者を接合固定することで、前記送気部3と収納部2と送気案内部4とによる空気循環路を一連に形成し、多数の長靴Wの乾燥等の処理を能率よく簡単に行うことができるようにしている。
【0009】
また上部乾燥本体1a及び下部乾燥本体1bは、共に支柱となる複数の縦枠10を上下の横枠11で連結することにより方形立方体状の箱枠を形成し、その前面側の上下の横枠11を収納部2の巾内において、1足分の長靴Wを出し入れ可能に収容する収容間隔を有して縦枠10で連結することにより、長靴Wの出入口を左右方向に区画形成すると共に、該縦枠10間には従来のものと同様な扉装着手段によって、透明板からなる扉20を蝶番部を支点に開閉回動可能に取付け、その周囲にシール部材を施工し内部を気密及び断熱構造を以て開閉可能に閉塞し、圧風による内部空気の漏出を防止するようにしている。
また他方の外側面即ち左右側面,背(後)側面,上側面,下側面には、平鉄板等からなる壁板を貼設することにより、各側壁13を形成した気密状の箱枠体にしている。
【0010】
そして、左右の側壁13の内側には複数の通気口14a,15aを穿設した内側壁14,15を所定の間隔を有して平行状に張設し、前記送気案内部4と送気部3の各室を収納部2と区画形成している。
尚、図示例の上部乾燥本体1aは、収納部2内で最下部の横枠11と略同位置に長靴Wを載置する棚部5と、その上方で同構造の棚部5を縦枠10の中途部に設けることにより、上下2段の乾燥室(空気流通路)を形成し、下部乾燥本体1bは収納部2内に3つの棚部5を設けることにより、上中下段の3段の乾燥室を形成するようにしている。
【0011】
これにより図示例の乾燥装置1は、下部乾燥本体1b上に上部乾燥本体1aを連結した状態において、収納部2内に5段の流通路を形成し、以下に記す構成によって最下段の流通路は最急速乾燥室21にしていると共に、最上段の流通路は急速乾燥室22にし、その間の3段の流通路は通常乾燥室23となるように形成することにより、各種の乾燥状態を備えて長靴Wを適正に乾燥することができる乾燥室を1台の乾燥装置1に対し、簡潔で合理的な構造を以て廉価に設置せしめると共に、被乾燥物としての長靴Wの状況及び使用者の要求に適応した乾燥を、収納部2にまとめて設けた各乾燥室の乾燥形態を自由に選択し得、利便性の高い長靴Wの乾燥処理と装置の使用を可能にしている。
【0012】
即ち、上部乾燥本体1a内の側壁14の各通気口14aには送気ファン16を設け(図1)、他方の内側壁15の通気に15aには吸気ファン17を設け(図4)、これにより上部の乾燥本体1aの急速乾燥室22と下部の通常乾燥室23には、図1の矢印で示すように、送気案内部4から送気部3に至る整流状の送気流を収納部2内に整然と形成するようにしている。
このとき、上記各乾燥室の左右に対となるように対設される送気ファン16と吸気ファン17は互いに離間しているが、棚部5が風路の上側或いは下側の隔壁ガイドを兼ねて送気流形成作用をすると共に、一側から他側に向かう棚部5は後述する構造による棚板間隙から、送気流の風圧によりその一部を相隣る乾燥室側に向けて送出し上下に混流せしめるので、一連の送気流を形成しながら各室内の流通を促し、収納部2内の乾燥空気の均質化を図りながら長靴Wを効率よく乾燥させる等の特徴がある。
【0013】
次に上記棚部5の構成について図1,図3,図8〜図10を参照し説明する。 図示例の棚部5は、収納部2内で2足分の長靴Wを載置する間隔を有して立設している前後の縦枠10,10を、棚の設置位置において横杆25で連結し、相対向する横杆25,25に、丸パイプ状の複数の棚杆50(図示例では3本)を前後方向に疎間隔に挿通して取付支持していると共に、該複数の棚杆50上には1足分の長靴巾程度に形成した棚板51を、着脱可能に位置決め載置した構成とし、相隣る棚板51間で前記棚板間隙を形成し、上下方向の通気を可能にし乾燥室内通気混流を促進するようにしている。
【0014】
また、上記棚部5は長靴Wの収納空間を隔てた上方に、例えばスリッパや他の任意な小物等の被乾燥物を載置可能な補助棚部5aを設置している。
図示例の補助棚部5aは、前記のものと同様な手段を以て複数(3本)の小径杆からなる棚杆50を横杆25に取付支持しており、この際棚杆50は収納部2の奥側(後方側)に偏寄させた位置に設置し、これにより、棚板51上に靴底を接触させた通常の使用姿勢(以下通常姿勢と言う)で載置される長靴Wを、その筒部と棚杆50との接当を防止し収納を妨げないようにし、また乾燥室内にスリッパ等の別の履物と共に効率よく収容することができるようにしている。
また上記のように構成した棚部5及び補助棚部5aは、相隣る棚杆50を疎間隔に取付支持することで形成される間隙(スリット)によっても、上下方向の通気を自由にする。
【0015】
そして棚部5の棚板51は、相隣る棚板51及び横杆25との間を離間させる大きさにしているから、その間隙から送気流を吸気方向に部分的に逃しながら長靴Wの棚板51毎に分岐流を合理的に形成することができ、下方側から送風される温風を上方の乾燥室側に送風し、当該乾燥室内を流れている送気流に混在せしめて収納部2内温度の均質化を図ることができ、通常乾燥室23内の棚部5に載置収納される多数の長靴Wの均質乾燥を、速やかに促進することができる等の特徴がある。
【0016】
このような収納部2において、その最上段に構成する前記急速乾燥室22は、棚部5を同方向に一連に形成し、図3で示すように、その天井となる側壁(天板)13に取付ブラケット13a介して送気ファン18を下方の棚板51毎に対向させて設置し、急速乾燥室22を横断する送気流の一部を天板13側から下方の1足毎の長靴Wの筒部内に向けて強制的に送風するようにしている。
これにより最上段の急速乾燥室22内で、比較的高温状態にある送気流が横方に流動することに加えて、その空気を長靴W内に強制的に吹き込ませるので、長靴Wの内外を速やかに乾燥することができ、通常乾燥室23の長靴Wよりも短時間に急速乾燥せしめることができる。
【0017】
一方、下部乾燥本体1bの収納部2の最下段には最急速乾燥室21を構成し、該最急速乾燥室21内には前記のものと同様な棚部5を一連に形成していると共に、この乾燥室に後述する構成からなる長靴Wの反転支持構造6を設け、長靴Wにその通常姿勢と反転支持姿勢の両姿勢において、高温及び低湿度状態の空気(高温乾燥空気)を送風することにより、収納部2内で最も短時間に長靴Wを乾燥処理させることができる乾燥室にしている。
【0018】
即ち、最急速乾燥室21は、図4,図5で述べる送気部3の上下ストレート状の風路下部から、除湿及び加熱された空気を送気ファン16を介して直接的に送風されること、また必要によって棚板51の下部に設置される加熱部55によっても加熱されることにより、収納部2の最下段を他のエリアよりも最も短時間で最急速乾燥せしめる特定エリアとして、濡れた状態の長靴Wでも能率よく適切に乾燥させることができるようにしている。
【0019】
図示例の加熱部55は、点線で示すようにパネル或いはブロック状のヒータを底板13上に設置しているが、棒状ヒータ等を用い棚杆50に一体的に設置構成すると、ヒータスペースを大きく占めることなくまた空気の流れを阻害することなく、室内の空気を効率よく加熱することができる等の利点がある。
また上記の手段に限ることなく、例えばパネルヒータ等を棚板51の裏側に設置してもよい。さらに棚部5と底板13間に形成される空間路内に、図4の点線で示すようにバイパス路76を設け、送気部3から送風される除湿加熱空気を選択的に導入送風するようにしてもよい。
尚、この実施形態では、各乾燥室に横設する棚杆50のパイプ内には、従来のものと同様にチューブヒータ或いはコードヒータ等のヒータ3hを設置し、温風加熱に加えて局部的な接触加熱を選択可能に行うようにしている。
【0020】
次に図8〜図10を参照し、最急速乾燥室21内に設けた反転支持構造6について説明する。
図示例の反転支持構造6は、コ字状に屈曲形成した杆状部材からなる支持杆60の両端を、下段の棚部5の上方に位置する左右の横杆25に対し、補助棚部5aの前側で回動可能に枢支し、支持杆60の支持部61を図9,図10の実線で示す最急速乾燥室21内に突出せしめた支持姿勢と、点線で示すように上方に回動退避せしめ、横杆25に沿わせて格納状態にする格納姿勢とに切換可能に構成している。
また反転支持構造6と対設させるこの部の補助棚部5aは、支持杆60の切換作動時に棚杆50を退避作動せしめる進退可能構造にすることにより、支持部61と棚杆50との接当を防止し、支持杆60の姿勢変更及び長靴Wの反転支持等を、乾燥室の空間を有効利用して収納部2を不要に大型化させることなく、簡潔でコンパクトに纏めた構成を以て、簡単且つ速やかに行うことができるようにしている。
【0021】
即ち、図示例の補助棚部5aは通常使用姿勢にある3本の棚杆50のうち、前側2本の棚杆50をその両端を作動部材62で一体的に連結すると共に、該作動部材62を横杆25に形成したガイド溝25aにスライド可能に嵌挿支持させた構成にしている。
そして、最急速乾燥室21内の反転支持構造6及び補助棚部5aは、図8,図10の点線で示す通常姿勢(通常載置姿勢)において、支持杆60は横杆25に沿う格納姿勢にされていると共に、作動部材62で連結した棚杆50は前側に引き出されて後方の棚杆50と共にスリッパ等を載置可能な補助棚部5aの拡張した使用状態にあるので、長靴Wを棚部5上に靴底を接触させて載置した通常姿勢において、長靴Wの筒部を補助棚部5aに接当させることなく安定よく収納することができる。
【0022】
また同図の実線で示す反転姿勢にするときは、補助棚部5aの前側の2本の棚杆50を押し込むと、当該2本の棚杆50は作動部材62を介して奥側に移動退避し縮小するので、棚部5の前側上方に大きな空間部を形成しながら棚杆50を奥側に纏めてコンパクトに残置せしめることができ、この状態で支持杆60を切換部材65からその弾性に抗して外しながら手前側に回動させると、支持杆60を補助棚部5aに接当させることなく、支持姿勢への切換作動を速やかに行うことができる。
次いで、長靴Wはその靴底を上向きに反転させ、つま先部を補助棚部5a上に載せ掛けた状態で、長靴Wの後部に形成されるかかと部の膨面に、支持杆60の支持部61を接合させると、長靴Wはつま先部とかかと部とを棚杆50及び支持杆60によって安定よく支持される。
【0023】
従って、この構成によれば長靴Wの反転支持を簡単且つ速やかに行うことができると共に、長靴Wの筒部を補助棚部5aの設置空間部を利用し棚部5と離間せしめながら、下向きの自然垂下状態で広く開口させることができる。
また反転支持された長靴Wは、従来のもののように長靴W内に支持棒を挿入しないから、最急速乾燥室21の加熱部55で加熱された空気を、中空の垂下姿勢にある筒部内に抵抗なく適切に入流させると共に、靴内の水分は下方に下がりながら滴下させることができるので、洗濯直後の長靴Wであっても良好且つ短時間に乾燥させることができる。
これにより図10で示すように、長靴Wが内部に5ミリ程度の厚いフェルト等の防寒部材W1を張設している防寒用長靴を洗濯した場合や、他に使用直後の濡れたスキー靴或いは一般的な靴であるような場合でも、反転支持構造6を備えた最急速乾燥室21によって簡単且つ速やかに乾燥することができる。
【0024】
尚、切換部材65は、横杆25に支持杆60を乾燥室に支持するバネ材又はゴム材等からなる弾性変位可能なストッパ構造にしている。
また図示例で補助棚部5aの棚杆50は、前後方向にスライド移動させる進退可能構造としたが、これに限ることなく棚杆50を上下方向に回動させることにより、補助棚部5aの通常使用姿勢と退避姿勢とに切換るようにしてもよい。
また反転支持される長靴Wの下方には排水構造5bを設置しており、この排水構造5bは、底板13を屈曲することにより谷溝状の排水樋部57を形成し、長靴Wから滴下する水を底板13で受けて排水樋部57に集水し、該排水樋部57を介して機外に向けて速やかに排出するようにしていると共に、滴下した水が蒸発することにより収納部2内の湿度を徒に増大させることを抑制している。
この際長靴Wの反転支持乾燥を行うとき、棚板51を取外して使用すると水滴を速やかに排出し乾燥をより促進することができる。
【0025】
次に、図11〜図13を参照し棚部5及び反転支持構造6の別実施形態について説明する。
図11で示す反転支持構造6の切換部材65は補助棚部5aの棚杆50に設けている。また棚板51には中途部から一側に偏寄させて複数の通気孔51aを穿設し、該通気孔51aから反転支持される長靴Wの筒部内に下方から上方に向けて、棚板51を取り外すことなく空気を集中的に送風せしめ、長靴Wの乾燥を促進することができるようにしている。
この際棚板51は、図12,図13で示すように山折り状に屈曲させるとよく、この場合には上方から滴下する水を集水しながら排水を速やかに行うと共に、通常姿勢で載置される長靴Wの靴底と棚板51との間に通気空間を確保することができ、靴底の乾燥を促進する等の利点がある。
【0026】
次に、収納部2に設置する送気部3及び送気案内部4について説明する。
先ず、収納部2の右側に設置される送気部3は、下部乾燥本体1b側に前記内側壁15,側壁13,底板13並びに正面側の開閉可能な蓋部19等で密閉状の送気室30を形成し、その内部に断面方形状の送気筒7を上記側壁13と所定の断熱間隔を有して立設すると共に、上部乾燥本体1a側に形成した密閉状の除湿室31内には、低温除湿型の除湿機3aを内装し、下部乾燥本体1bと上部乾燥本体1aを連結した状態において、上部乾燥本体1aの急速乾燥室22及び通常乾燥室23から吸気した、湿度の高い空気を除湿機3aを介して除湿し、除湿された乾燥空気を送気筒7から、下部乾燥本体1bの下段側の通常乾燥室23及び最急速乾燥室21側に向けて送風するようにし、また下部乾燥本体1bの上段側の通常乾燥室23は送気筒7の上部に吸気可能に連通させている。
尚、上記蓋部19には、乾燥装置1の運転操作及び各機器の制御を機外から自動及び手動操作可能に司る操作盤9を設けている。また操作盤9は図示しないマイコン及び各種アクチェタ並びに温度センサ,湿度センサ等の機器類と連結し、乾燥装置1の運転を各種の設定パターンで自由に行うようにしている。
【0027】
即ち、送気筒7は直通状の風路70の上端に送気ファン32を設け、該送気ファン32を上記除湿室31内に向けて臨設し、その下端に最急速乾燥室21側に向けて屈曲指向させた径小巾lの最下段風路71を形成し、該最下風路71の端部を内側壁15に取着している送気ファン16と連結している。
また風路70の中途部は、前記通常乾燥室23,23の吸気ファン17,送気ファン16と連結する中段風路72,73を、上下に分岐形成していると共に、上記中段風路72と中段風路73との間に、正面視において前記最下段風路71の風路巾lより大きい風路巾Lを形成しながら、空気を加熱するヒータ部(加熱部)3bを設置している。
【0028】
これにより、ヒータ部3bをして風路構成部材に兼用せしめながら、一連の通直状の風路70を簡潔で廉価な構成を以て、その製作及び組立作業等を行い易くし、且つヒータ部3bを風路70内の送気方向上手側の特定位置に設置することにより、ヒータ部3bの加熱効率の向上及び送気筒7全体の機外への放熱を防止し、断熱性能の向上を図ることを可能にし、また各送気ファン16から各乾燥室に向けて送風(送気)を略均等にすることができるようにしている。
【0029】
さらに、風路70から略直交状に分岐する風路71,72,73の変曲路部分には、所定の形状と枚数の導風板75を図4で示すように設置することにより、前記鉛直筒形状で巾を異ならせた風路70から、各対応する乾燥室に対して送風を整流状態で略均等量に送風することができるようにしている。
即ち、導風板75は、変曲路部分のコーナ中心から所定の間隔を有して湾曲径と長さを異ならせて湾曲形成せしめたものをセットとして複数設置することにより、送気ファン32から風路70内に送風される送気を、各対応する乾燥室側等の送風方向下手側に向けて、整流状態で円滑に導風案内することができるようにしている。
【0030】
次に、上記構成からなる送気筒7に好適化せしめたヒータ部3bの一実施形態を図4,図6,図7を参照し説明すると、このヒータ部3bはヒータ線を内装したブロック状のヒータ35と、該ヒータ35の側面に接合可能で他側に多数のフィンを縦方向に形成したアルミ等高熱伝導率部材製の放熱部材36とからなり、ヒータ35を左右の放熱部材36で一体的に挟持固定すると共に、ヒータ部3bを断面方形状のヒータ筒33の中央部に挿脱可能に取付支持し、ヒータ筒33の内周とフィンとの間に通風間隙を形成している。
これにより上方の送気ファン32によって略35℃程度で送風される空気は、ヒータ筒33内を通過するとき多数のフィンに接触することになり、略45℃程度に効率よく加熱されて、送気筒7の下方から通常乾燥室23及び最急速乾燥室21に送風される。
【0031】
このとき、空気は発熱部として高温になるヒータ35には直接的に接触せず、間接加熱される縦方向のフィンに接触しながら通過するので、空気中に混在する塵埃の付着や体積を防止すると共に、これを焼いたり焦がしたりすることがない等の特徴がある。
またヒータ筒33は、ヒータ部3bとその上下の長さを略同長さに形成し、その上下端に設けた鍔状の取付片を介し、上下に分割した風路70a,70bを連結させるようにし、これにより送気筒7を一連に構成するようにしている。
【0032】
即ち、上記のように構成した送気筒7は、上下の風路70aと70bを分割形成し、風路を兼ねてヒータ部3bを内装したヒータ筒33で両者を連結するので、長大で複雑な形状の送気筒7であっても、個々の風路を簡単に製作することができると共に、その組付け作業も簡単に行うことができる。
また送気筒7に対し単独で着脱可能に構成されるヒータ筒33は、ヒータ部3bを予め部品付けして組付けることができる等の特徴がある。
尚、図6で示すようにヒータ筒33は、その一側に形成した開口孔からヒータ部3bの清掃や修理等のメンテナンス作業を行うようにしており、送気筒7を分解することなくメンテナンス作業を簡単に行うことができる。
【0033】
また上記のように構成した送気筒7は、送気ファン32を上部乾燥本体1a側に位置させると共に、両者は接離可能に分割形成し、送気ファン32を上部乾燥本体1a側に取付支持させた構成にしており、これにより下部乾燥本体1b側での送気筒7を小型化させると共に、風路を複雑にすることなく送風抵抗の少ないシンプルな構成にしている。
また上記送気ファン16は、接手筒74を介して上部乾燥本体1aの下部枠35に取付支持せしめることにより、該接手筒74の下端と送気筒7の上端を上部乾燥本体1aと下部乾燥本体1bの接合部に一致又は略一致せしめ、これにより上部乾燥本体1a及び下部乾燥本体1bは互いの接合面から両者の接合端を突出させないで、運搬時や組付け時においてこれ等の変形や破損等を防止しながら、組付け作業を簡単に行うことができる等の特徴を有している。
【0034】
次に同図を参照し除湿機3aについて説明する。この除湿機3aは周知の低温除湿方式の除湿構造からなり、上部乾燥本体1aの送気部3内において、その吸気口37を急速乾燥室22及び通常乾燥室23側に対向させると共に、除湿空気の送出口38を送気ファン32側に向けて設置し、該吸気口37側と送出口38側とは適宜な隔壁部材39を介して区画している。
また以上のように構成した送気部3は機体の外壁を形成する側壁13等の内面に断熱部材を張着又は吹着け施工することによって送気部3内を断熱構造にし、熱損を防止している。
また下部乾燥本体1b側の送気筒7の外周に断熱部材を施工すると、この場合には側壁13等に対する断熱施工は省略することもできる。
【0035】
従って、前記送気部3を中空状の送気室30に形成すると共に、該送気室30内に一方の乾燥室から吸気した空気を除湿する除湿機3aと、該除湿機3aによって除湿された空気を加熱して他方の各乾燥室に送風する、複数の分岐風路を一体的に形成した送気筒7を設置した構成にすることにより、収納部2内の空気を一方(上方)の乾燥室から吸気し除湿機3aによって除湿した後、送気室30内で周囲に断熱空間を有して鉛直状に設置された送気筒7とヒータ部3bによって、加熱した空気を他方(下方)の乾燥室に送風するので、除湿及び加熱させた加熱乾燥空気は側壁13側から断熱空間を有して離間されて、その放熱を可及的に防止しながら送気方向の乾燥室側に効率よく送風し、複数段の乾燥室からなる収納部2内の空気の循環を促進させながら被乾燥物の乾燥を速やかに行うと共に、乾燥装置1の円滑な省エネ運転を可能とし、ランニングコストも低減させることができる等の利点がある。
【0036】
次に、図1を参照し送気案内部4について説明する。送気案内部4は前記送気部3と略同様な構成によって開閉可能な蓋部を有する閉鎖状中空室に形成しており、この中空室内の下部乾燥本体1b側に第2除湿機3cを設置すると共に、上部乾燥本体1a側の中空室内で後壁側には、空気中の雑菌を殺菌又は抑制処理(雑菌処理)する空気処理部(雑菌処理部)としての、例えば紫外線ランプ式オゾン発生器或いは放電式オゾン発生器等からなるオゾン処理部(オゾン発生器)8と、芳香発生器等で芳香作用を付与せしめることにより空気中の異臭を除去又は防止する芳香処理部8aを設置していると共に、また従来のものと同様な殺菌液を噴霧する殺菌剤噴霧器等からなる殺菌剤噴霧処理部8b等を纏めて空気浄化処理可能構造を設置している。
【0037】
またオゾン処理部8は循環路となる送気案内部4の中空室内上部に設置していることにより、送気案内部4の上部の障害物の存在しない中空室内で、オゾン発生器で発生されるオゾンを空気に効率よく照射せしめることができ、空気中の雑菌処理並びに空気清浄処理等を良好に行うと共に、オゾン発生器から生ずる紫外線等は閉鎖されている送気案内部4から漏出しないので、ユーザの目に触れさせず装置を安心して使用することができる等の利点がある。
【0038】
また上記のような空気清浄処理を行った後は、オゾン成分を減衰せしめる所定の経時後に芳香処理部8aを作動せしめるようにしており、これによりこの部において清浄化された空気に対し芳香剤を良好に付与することができる。
また雑菌処理部8と芳香処理部8a並びに殺菌剤噴霧処理部8b等は、メンテナンス可能空間として好適な送気案内部4内で、略同位置にコンパクトに纏めて設置することができると共に、装置の点検及び修理並びに殺菌剤の補給等のメンテナンス作業も、簡単に行うことができる等の構造上の利点がある。
【0039】
上記第2除湿機3cは、送気案内部4の下方において送気部3の除湿機3aと対角線上に設置しており、最急速乾燥室21及び通常乾燥室23側から排送される湿気を含む空気を吸い込み、これを除湿したのち比較的に湿度の低い上段の通常乾燥室23からの空気と合流せしめて、上部乾燥本体1a側の通常乾燥室23及び急速乾燥室22側等に向けて送風するようにし、当該上部乾燥本体1a側の収納部2内に乾燥状態にある空気を循環送風して、この部の長靴Wの乾燥を下部乾燥本体1bの収納部2と同様に行い、全体として均一な収納部2内の乾燥を除湿機3aと第2除湿機3cによって、簡潔で廉価な構成を以て効率よく行うようにしている。
【0040】
また上記のように空気を乾燥装置1内を循環させるようにしたことにより、空気に混在して浮遊する塵埃類は、除湿機3a及び第2除湿機3cが備えているフィルターや除湿時に生ずる水滴中に付着又は混入せしめて除去され、収納部2内の空気の浄化を促し清浄状態にすることができ、長靴Wの乾燥及び保管を高品質に行うと共に、使用者が扉20を開いた際に塵埃による支障を防止することができるものであるが、この実施形態では、除湿機3a側にはフィルターを設けないで、上部乾燥本体1a側の送気ファン16にフィルターを設けることにより、除湿機3aの小型化と能力の向上を図りながら、空気の浄化能力を各段に向上させるようにしている。
尚、本実施形態において上記第2除湿機3cは、収納部2が小容量である場合、或いはヒータ性能が十分であるような場合には、その設置を省略することができ、また同様にヒータ部3bの容量を大きくしたり、被乾燥物が空気中の除湿を大きく要しないものであるような場合には、除湿機3aの設置をも省略してもよいものである。
【0041】
以上のように構成した乾燥装置1は、前記送気部3を中空状の送気室30に形成すると共に、該送気室30内に一方の乾燥室側から吸気した空気を除湿する除湿機3aと、該除湿機3aに連通し除湿された空気を加熱して他方の乾燥室に送風する複数の風路71,73等を一体的に分岐形成した送気筒7を設置していること、及び収納部2内に形成する複数段の乾燥室の内、上段側の乾燥室に除湿機3aを対設し、下段側の乾燥室に送気筒7を連通せしめ、また送気筒7の上部に除湿機3aで除湿された空気を導入送風する送気ファン32を設け、送気筒7の中途部にヒータ部3bを設置し、ヒータ部3bの下手側に形成した分岐風路71,73に送気ファン16を設け、加熱乾燥空気を乾燥室内に送風するようにしているので、操作盤9を操作した運転状態において、扉20を開いて各棚部5に長靴Wを収容したのち扉20を閉鎖すると、長靴Wは所定に加熱乾燥した状態にある空気によって乾燥処理される。
【0042】
この際、通常乾燥室23内に収容された長靴Wは通常時間程度を以て乾燥されるが、急速乾燥室22内に収容された長靴Wは、収納部2の最上段にあること及び送気ファン18によって長靴W内に強制送気されることにより、通常時間よりも短い時間で急速乾燥されることになる。
また最急速乾燥室21内に収容された長靴Wは、収納部2の最下段において送気筒7の下部から、除湿機3a及びヒータ部3bを経た除湿乾燥空気が直接的に送風されること、及び加熱部55によって当該空気が再加熱されることにより、前記送気ファン18を停止させた状態の急速乾燥室22よりも短時間で乾燥させることができる。
また上記のような長靴Wの乾燥において、雑菌処理部8及び芳香処理部8a並びに殺菌剤噴霧処理部8b等を選択的に作動させることにより、被乾燥物としての長靴Wの状況に対応した各処理を簡単且つ所望に行うことができる。
【0043】
このような長靴Wの乾燥において、前記送気部3を中空状の送気室30に形成すると共に、該送気室30内に一方の乾燥室から吸気した空気を除湿する除湿機3aと、該除湿機3aによって除湿された空気を加熱して他方の乾燥室に送風する、複数の分岐風路を一体的に形成した送気筒7を設置した構成の乾燥装置1は、収納部2内の空気を一方の急速乾燥室22及び通常乾燥装置23等の乾燥室から吸気して除湿機3aによって除湿した後、送気室30内に断熱空間を有して単独的に形成した送気筒7のヒータ部3bによって、加熱した空気を他方の通常乾燥装置23及び最急速乾燥室21等の乾燥室に送風するので、装置全体の断熱箱枠構造に併せ、送気部3の送気筒7は送気室30内で断熱構造で設置され、加熱乾燥空気の放熱を防止しながら乾燥室内に効率よく送風し、収納部2内の空気の循環を促進させて被乾燥物の乾燥を速やかに行うことができる。
【0044】
また収納部2内に形成する複数段の乾燥室の内、上段側の乾燥室に除湿機3aを対設し、下段側の乾燥室に送気筒7を連結したことにより、長靴Wを乾燥せしめて上段側に移行する多湿状態の空気を除湿機3aによって効率よく除湿することができると共に、除湿された空気を下方の送気筒7のヒータ部3bに移行せしめて加熱し、加熱乾燥空気を下段の乾燥室に送風するので、収納部2内の被乾燥物の乾燥を効率よく速やかに行うことができる。
【0045】
また上記実施形態による乾燥装置1は、収納部2内を略38℃程度の設定温度で所定の運転をし、一般的な長靴Wを洗濯し通常の載置姿勢で、急速乾燥室22及び通常乾燥室23,最急速乾燥室21に収容した場合に、急速乾燥室22では略1〜3時間、通常乾燥室23では略2〜4時間,最急速乾燥室21では略1〜3時間程度でそれぞれ所定の状態に乾燥させることができ、またこの乾燥運転仕様を以て、洗濯直後の厚いフェルトを張設した既述の防寒用長靴Wを、急速乾燥室22及び通常乾燥室23に通常姿勢で収容し、且つ最急速乾燥室21では反転支持構造6を使用した反転姿勢で収容した場合には、それぞれ所定の状態に乾燥させるに要した時間は、急速乾燥室22では2日〜4日程度であり、通常乾燥室23では3日〜7日程度であり、また最急速乾燥室21では半日〜1.5日程度であり、長靴Wを反転支持構造6によって反転支持せしめる最急速乾燥室21の高乾燥性能を確認することができた。
【0046】
またこのとき、乾燥装置1は収納部2内の前記複数段の乾燥室のうち、特定エリアの乾燥室に被乾燥物を反転姿勢で支持せしめる反転支持構造6を設け、当該乾燥室で被乾燥物を反転姿勢で乾燥させるようにしているので、洗濯直後の被乾燥物を反転支持構造6を有する乾燥室で反転姿勢で速やかに乾燥させることができ、また当該被乾燥物を通常姿勢の乾燥室に移し替えて乾燥させることもできるから、被乾燥物の乾燥を利便性を有して能率よく行うことができる。
従って、厚い防寒部材等を張設した防寒用長靴等、洗濯を敬遠されがちな被乾燥物の洗濯使用を促進することができる。
【0047】
また反転支持構造6を備えた最急速乾燥室21は、複数段の乾燥室のうち腰曲げ等を要する最下段の乾燥室に形成しているので、腰曲げ等を大きく要しないで楽な姿勢で被乾燥物の収納及び取り出しを行うことができる上段側の乾燥室を、使用頻度の高い通常姿勢で乾燥させる通常乾燥室23にするから、上段側の乾燥室を効率よく使用することができると共に、乾燥に時間を要する洗濯直後等の被乾燥物を、最下段の最急速乾燥室21で十分に時間をかけて乾燥させることができる。
【0048】
またこの際、最上段の乾燥室を被乾燥物に送気流と共に異なる方向から送気流を送風せしめて急速乾燥をさせる急速乾燥室22にしているので、最上段の急速乾燥室22と、最下段の反転支持構造6を有した最急速乾燥室21の間を、使用頻度の高い通常乾燥室23にするので、収納部2の利便性を被乾燥物の乾燥使用態様に適応せしめて向上させることができると共に、急速乾燥室22と最急速乾燥室21とを通常乾燥室23を介して離間させるから、各乾燥室の使用時の混同を防止することができる。
また最急速乾燥室21及び急速乾燥室22で乾燥させた被乾燥物は、通常乾燥室23に簡単に移し替えて乾燥保管状態にさせることもできるので、被乾燥物の乾燥を利便性を有して能率よく行うことができる等の利点がある。
【0049】
そして、最急速乾燥室21に設置される棚部構造は、長靴Wを上向きにした反転姿勢で支持せしめる反転支持姿勢と、長靴Wを棚部5に通常姿勢で載置せしめる格納姿勢とに切換可能な反転支持構造6を設けた構成にしているので、該反転支持構造6の切り換えによって、最急速乾燥室21で長靴Wを通常姿勢で乾燥せしめる利便性の高い履物収納部を備えた乾燥装置1にすることができる。
さらに、棚部5と反転支持構造6との間に補助棚部5aを設けると共に、該補助棚部5aと反転支持構造6によって履物Wを反転姿勢で支持するようにしたことにより、反転支持構造6と棚部5間の空間部を有効利用して補助棚部5aにスリッパ等の別の履物を載置すると共に、反転支持構造6を使用姿勢に切り換えたとき、上記補助棚部5aを利用して反転姿勢の履物を反転支持構造によって安定よく簡単に支持することができる等の利点がある。
【0050】
尚、本発明係わる乾燥装置1は、図14で示すように収納部2等の構成要素を左右の所定巾毎に縦方向にアッシー状に分割形成してもよく、これにより収納部2に多くの長靴W等の被乾燥物を各収容載置可能な乾燥室の設置構造及びその製作等を、簡潔で廉価な構成にすることができると共に、また大型になる乾燥装置1を縦方向に分割したコンパクトな姿によって、その運搬及び据え付け等の作業を能率よく簡単に行うことができる。
また図示例の乾燥装置1は、長靴Wを乾燥させるに好適な実施形態について説明したが、被乾燥物は長靴Wに限ることなく、他の身装品や物品を乾燥させる場合には、これの形状や大きさ並びに乾燥仕様等によって、収納部2及び棚部5の構成或いは、除湿,乾燥その他必要とされる各種の処理部の性能を設定するとよいものである。
【0051】
【発明の効果】
本発明は以上説明したように乾燥装置を構成しているので、以下に記載するような効果を奏する。
(1)一の収納部内に、被乾燥物を通常姿勢で収納し乾燥する乾燥室と、被乾燥物を反転姿勢で収納して乾燥する乾燥室を併設することにより、洗濯直後の被乾燥物を反転支持構造を有する乾燥室で反転姿勢で速やかに乾燥させることができ、また当該被乾燥物を通常姿勢の乾燥室に移し替えて乾燥させることもできるので、被乾燥物の乾燥を利便性を有して能率よく行うことができる乾燥装置を簡単な構成を以て提供し得る。
これにより、厚い防寒部材等を張設した防寒用長靴等、洗濯を敬遠されがちな被乾燥物の洗濯使用を促進することができる等の利点もある。
【0052】
(2)反転支持構造によって反転姿勢で支持した被乾燥物から滴下する水を、排水構造で受けて収納部外に排出するので、洗濯直後の長靴等の被乾燥物を水切りをしながら速やかに乾燥させることができると共に、乾燥室内の湿度の増大を抑制することができる。
【0053】
(3)腰曲げ等を大きく要しないで楽な姿勢で被乾燥物の収納及び取り出しを行うことができる上段側の乾燥室を、使用頻度の高い通常姿勢で乾燥させる通常乾燥室にすると共に、腰曲げ等を要する最下段の乾燥室に反転支持構造を設けて最急速乾燥室にするので、上段側の乾燥室を効率よく使用することができると共に、乾燥に時間を要する洗濯直後等の被乾燥物を、最下段の最急速乾燥室で十分に時間をかけて乾燥を促進させることができる。
【0054】
(4)最上段の急速乾燥室と、最下段の反転支持構造を有した最急速乾燥室の間を、使用頻度の高い通常乾燥室にするので、収納部の利便性を被乾燥物の乾燥使用態様に適応せしめて向上させることができると共に、急速乾燥室と最急速乾燥室とを通常乾燥室を介して離間させ、各乾燥室の使用時の混同を防止することができる。
また最急速乾燥室及び急速乾燥室で乾燥させた被乾燥物は、通常乾燥室に簡単に移し替えて乾燥保管状態にさせることもできるので、被乾燥物の乾燥を利便性を有して能率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係わる乾燥装置の構成を一部破断をして示す正面図。
【図2】 図1の乾燥装置の上部乾燥本体と下部乾燥本体との構成を示す斜視図。
【図3】 (A)は上部乾燥本体の収納部の構成を一部破断をして示す正面図。(B)は(A)の側断面図。
【図4】 収納部及び送気部の構成を示す正断面図。
【図5】 図4の送気部の構成を示す側断面図。
【図6】 ヒータ部の平断面図。
【図7】 送気筒の分岐風路の構成を示す平断面図。
【図8】 棚部及び反転支持構造等の構成を示す斜視図。
【図9】 図8の棚部及び反転支持構造等の構成を示す正面図。
【図10】 図9の棚部及び反転支持構造等の構成を示す側断面図。
【図11】 図8の棚部及び反転支持構造等の別実施形態の構成を示す側断面図。
【図12】 棚板の別実施形態の構成を示す側断面図。
【図13】 棚板の別実施形態の構成を示す側断面図。
【図14】 乾燥装置を縦方向に分割した別実施形態の構成を示す斜視図。
【符号の説明】
1 乾燥装置
2 収納部
3 送気部
3a 除湿機
3b ヒータ部
4 送気案内部
5 棚部
5a 補助棚部
5b 排水構造
6 反転支持構造
7 送気筒
21 最急速乾燥室
22 急速乾燥室
23 通常乾燥室
33 ヒータ筒
50 棚杆
51 棚板
55 加熱部
57 排水樋部
60 支持杆
61 支持部
70 風路
71,72,73 風路(分岐風路)
W 被乾燥物(長靴)
Claims (3)
- 長靴(W)等の被乾燥物を取出し可能に収容する乾燥室を複数段に形成してなる収納部(2)と、該収納部(2)内の空気を左右方向に送風して循環させる送気部(3)と、収納部(2)内で循環される空気を加熱するヒータ部(3b)を備えた乾燥装置(1)において、前記複数段の乾燥室のうち、最下段の乾燥室に被乾燥物を上下反転姿勢で支持せしめて乾燥させる反転切換可能な反転支持構造(6)を設けるとともに、該最下段の乾燥室の下部に送気部(3)から送風される除湿加熱空気を導入して該乾燥室内の下方から上方に向けて送風するバイパス路(76)を送気部(3)に接続して設け、該最下段の乾燥室を最も短時間に被乾燥物を乾燥させる最急速乾燥室(21)とした乾燥装置。
- 反転支持構造(6)によって反転姿勢で支持される被乾燥物の下方に、該被乾燥物から滴下する水を受けて収納部(2)から排出する排水構造(5b)を設ける請求項1の乾燥装置。
- 収納部(2)に形成した複数段の乾燥室のうち、最上段の乾燥室を被乾燥物に送気流と共に異なる方向から他の送気流を送風せしめて急速乾燥をさせる急速乾燥室(22)となし、他の乾燥室を通常乾燥状態で被乾燥物を保管する通常乾燥室(23)として形成する請求項1又は2の乾燥装置。
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